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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y091645
管理番号 1323609 
審判番号 取消2014-300884 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-11-04 
確定日 2016-12-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第4895177号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4895177号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第4895177号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類「録音若しくは録画済みのCD又はDVD」、第16類「写真集及び詩集及び自叙伝」及び第45類「著名人又は芸能人に関する情報の提供」を指定商品及び指定役務として、平成17年9月16日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を、次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条1項の規定により、取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、本件商標は、前商標権者、被請求人及び使用許諾を受けた者により、使用されてきたものであると主張する。
しかしながら、以下に述べるように、被請求人によって提出された書証では、商標法第50条第1項に規定する本件商標の使用事実は、全く立証されていない。
(2)本件商標の使用ついて
上記第1のとおり、本件商標は、「ミスキャンパス」の片仮名及びその右横に配置されたハートの図形及び「Miss Campus」の図案化された欧文字を矩形の中に纏まりよく配置してなる商標である。
商標法第50条第1項の規定により、その商標登録の取消を免れるためには、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標を、その指定商品及び指定役務のいずれかについて、本件審判請求の登録前3年以内(以下「本件要証期間内」という。)に使用していたことを立証しなければならない。
(3)被請求人の主張する本件商標の使用態様
ア 被請求人は、特に、乙第7号証によって、本件商標が使用されていたと主張するが、乙第7号証のいずれをみても、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されている事実は見出し得ない。
イ この点、被請求人は、「平成26年2月、埼玉県を中心に「第3回ミスキャンパスサミット」を開催してきた。」、「アジア各国の「ミスキヤンパス」が行うというものである。」、「主催者を「ミスキャンパスサミット実行委員会」、制作運営を「ミスキャンパス運営事務局」として、観光庁及び鳥取県の後援の下、第1回・第2回「ミスキャンパスサミット」を開催してきたところ」等述べ、「ミスキャンパス」の語の使用を抽出し、それを本件商標の使用と主張する。
しかし、乙第7号証で示されているものは、すべて、「ミスキャンパス」と称される女性を説明するために、「ミスキャンパス」の言葉が使用されているにすぎない。
いい換えれば、ここで使用されている「ミスキャパス」の言葉は、何ら、被請求人やその使用権者と結びつくものではなく、本件商標の指定商品及び指定役務が、被請求人やその使用権者により提供されているという、その出所を表示する標章として、認識させるものでないことは明らかである。
乙第7号証のいずれをみても、「ミスキャンパス」として選ばれた女性を、「ミスキャンパス」と、そして、そのコンテストを「ミスキャンパスジャパン」や「ミスキャンパスグランプリ」と称しているにすぎない。
ウ 「ミスキャンパス」とは、以下の意味を持つ語として、我が国で周知となっている言葉である。すなわち、「ミスキャンパス」とは、1970年代頃より、大学の学生サークルらが中心となって、学園祭の催しとして、その女子学生の中から容姿、品位、行動等の優れた者として選出するという催しがなされ、そこで選出された女子学生を称する言葉として使用されてきているものである。その一例として、全国紙においても、上記「ミスキャンパス」の催しや「ミスキャンパス」の紹介記事が掲載され、「ミスキャンパス」の語が使用されてきている(甲1)。すなわち、「ミスキャンパス」の言葉自体は、本件商標の出願日前より、我が国国民によって使用されはじめ、それ以降、現在に至るまで、広く使用され、親しまれてきた言葉である。
エ 上記のとおり、乙第7号証に示す「ミスキャンパス」の言葉の使用のいずれをみても、「ミスキャンパス」として選出された女学生やそのコンテストを称するために使用されているものにすぎない。このような使用例は、上記新聞記事における「ミスキャンパス」の使用と何ら異なるものではない。
別言すれば、本件商標の指定商品及び指定役務が、被請求人から製造販売された商品であること、又は、被請求人から提供される役務であることを示す、商品や役務の出所を表示するための標章として使用されている事実はない。
オ 加えて、本件商標は、「ミスキャンパス」「Miss Campus」のロゴ化した欧文字、ハートの図形及びそれらを矩形の図形の中に纏めた、その外観構成に商標としての特徴があるものであり、その全体にこそ、商標としての識別力がある商標とみるべきである。
しかしながら、乙第7号証には、本件商標及びこれと社会通念上同一と認識できる商標の使用事実はない。
よって、本件商標が、本件要証期間内に使用された事実は立証されておらず、本件商標の登録は、その取消を免れるものではない。
(4)その他の使用要件について
上記のとおり、本件商標の使用の事実は立証されているものではないが、さらに、以下の点からも、商標法第50条第1項の規定する「登録商標の使用」の要件は立証されていない。
ア 本件商標の指定商品及び指定役務についての使用の事実について
乙第7号証には、本件商標の指定商品が製造販売されている事実は全く示されていない。また、何ら著名人や芸能人の情報は提供されていない。「ミスキャンパス」として選出された女学生の顔写真が示されている事実は認められるとしても、「ミスキャンパス」に選出されたからといって、当該女学生が直ちに、我が国における「著名人」や「芸能人」となるものではない。
仮に、乙第7号証が、「ミスキャンパス」や「ミスキャンパス」コンテストに関する情報の提供を示しているとしても、これが、被請求人によって、「業として」提供されている事実についても全く立証されていない。
イ 商標権者又はその使用権者による使用
乙第7号証で示されるいわゆる情報の提供が、商標権者によって提供されている事実又はその使用権者によって提供されている事実についても全く立証されていない。
ウ 本件要証期間内での使用の事実について
乙第7号証は、複数のウェブサイトの寄せ集めと思われるものである。これらのサイトが実際に本件商標の使用についての本件要証期間内に開示されていたものであるかどうかについても全く立証がなされていない。
(5)以上述べたとおり、被請求人によって本件商標の使用の事実を示すものとして提出された乙各号証によっては、本件商標の使用事実は全く証明されておらず、本件商標の登録は取り消されるべきである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を、次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。
1 答弁の内容
(1)被請求人は、以下のとおり、本件商標を使用してきたものであり、本件商標は、商標法第第50条により取消されるべきものではない。
(2)被請求人は、平成26年3月1日、前商標権者から本件商標を譲り受けた(乙8、乙9)。なお、被請求人は、その設立時である平成25年5月から、前商標権者により本件商標の利用管理等を実質的に任されていた。
そして、被請求人は、平成26年3月、申立外株式会社ウェブスクウェア(以下「申立外ウェブスクウェア」という)に対し、本件商標の使用許諾を与えた。
なお、前商標権者、被請求人及び使用許諾を受けた申立外ウェブスクウェアは、後述する各活動において、「ミスキャンパス」を、大学生を代表する存在及び大学の顔として捉え、その夢に向かい社会で活躍できる力をもち、広い視野をもって身近な問題から動き出せる輝く女性としての姿を全国及び世界に発信して、その情報発信力を、地域活性化や国際交流親善などの学生が行うべき社会貢献に活かすとともに、商業目的等に偏った「ミスキャンパス」の濫用を防止する活動を行ってきたものである。
(3)平成26年3月1日に、本件商標を被請求人に譲渡した前商標権者は、譲渡以前、学生のコンテストを応援する目的のもと、「ミスキャンパス・オフィシャルポータルサイト」を立ち上げ、平成16年度から平成24年度までの「ミスキャンパス」の情報をアーカイブとして集約し掲載してきた。また、平成25年5月から前商標権者により本件商標の利用管理等を実質的に任されてきた被請求人も、上記ポータルサイトを引き継ぎ、「ミスキャンパス」の情報を掲載してきた(乙7、1頁上段?3頁上段)。
ア 上記のポータルサイトは、「ミスキャンパス」「Miss Campus」を、「各大学の学園祭等で開催されるコンテストにおいて当該大学のシンボルたるに相応しい女子学生としてグランプリを受賞した女性」と定義したうえで、その夢に向かい社会で活躍できる力をもち、広い視野をもって身近な問題から動き出せる輝く女性としての姿を全国及び世界に発信することにより、地域の大学及び学生の関係構築、相互発展を図るという趣旨の下、「ミスキャンパス」の活動を応援するため企画運営してきたものである(乙7、1頁上段)。
イ そして、上記のポータルサイトの企画及び運営において、前商標権者及び被請求人は、本件商標を使用してきた。すなわち、トップページにおいて「Miss Campus JAPAN」「ミスキャンパスオフィシャルポータルサイト」と題し(乙7、1頁下段)、「ミスキャンパス」の定義を掲載し(乙7、2頁下段)、「ミスキャンパスのポリシー」と題してその運営趣旨を掲載した上で(乙7、3頁上段)、後述する「ミスキャンパスサミット」の紹介(乙7、1頁下段)や「ミスキャンパス」の活動内容等の情報を掲載してきた(乙7、1頁下段)。
(4)また、前商標権者及びこれを引き継いだ被請求人は、アジア各国の「ミスキャンパス」とともに、日本の「ミスキャンパス」が学生相互間の親善活動を行い、「ミスキャンパス宣言」を発表する興行である「ミスキャンパスサミット」を企画運営し、本件商標を使用してきた(乙7、3頁下段?5頁下段)。
ア すなわち、前商標権者は、平成23年12月、観光庁後援のもと、西日本を中心に「第1回ミスキャンパスサミット」を開催し、平成25年2月、神奈川県を中心に「第2回ミスキャンパスサミット」を開催してきたところ、被請求人はこれを引き継ぎ、平成26年2月、埼玉県を中心に「第3回ミスキャンパスサミット」を開催してきた。
イ 上記の興行の趣旨は、アジア各国が国際社会において国交に様々な問題を抱えながらも協力体制を築くべき時代にあることや、高い理想と柔軟な発想を持ち的確な知識を身に付け、隣人と協力して物事を進めることのできる人材の育成が求められていること等の現状認識のうえで、国籍・宗教・民族・言語・経済力等に依らない、感情を伴った文化的な民間交流により恒久的な国際平和に貢献することを目的とした活動を、現役大学生の代表として、大学の知性、学生の情熱や夢を象徴する存在であり大学及び学生間への影響の大きいアジア各国の「ミスキャンパス」が行うというものである。
ウ そして、上記の興行の企画及び運営において、前商標権者及び被請求人は、本件商標を使用してきた。すなわち、前商標権者は、主催者を「ミスキャンパスサミット実行委員会」制作運営を「ミスキャンパスサミット運営事務局」として、観光庁及び鳥取県の後援のもと、第1回・第2回「ミスキャンパスサミット」を開催してきたところ(乙7、4頁)、被請求人はこれを引き継ぎ、第3回も同様に、観光庁後援のもとで「ミスキャンパスサミット」を開催し(乙7、5頁)、「ミスキャンパス宣言」を協議して発表する興行を行った。そして、その活動内容は、前商標権者及び被請求人により、前述のポータルサイト「ミスキャンパス・オフィシャルポータルサイト」に「ミスキャンパスサミット」情報として掲載された(乙7、3頁下段?5頁下段)。
(5)そして、前商標権者及び被請求人は、平成25年2月、「第1回ガクチカ観光PRアワード」と題する興行を企画運営し、ここでも本件商標を使用してきた(乙7、12頁上段)。
上記興行の趣旨は、地域の魅力を、学生の手で日本全国に届け、地域活性化を目指し、ひいては日本を明るく元気にすることを目指すことにある。
この興行においても、全国の「ミスキャンパス」候補者、47都道府県60大学の約300人が、方言で「おらが街」を国内外に発信するイベントを開催し、また首都圏及び関西の「ミスキャンパス」が応援団を結成して各大学の地元観光PR動画を発信するイベントを開催する等して、本件商標を使用してきた(後述する「キャンパスナビ」「Campus Navi」掲載内容参照。乙7、12頁下段)。
(6)また、前商標権者は、平成24年10月、一般社団法人日本自動車工業会の開催するお台場学園祭2012の中のプログラムとして、「お台場ミスキャンパスコレクション」と題する興行を企画運営し、ここでも本件商標を使用してきた(乙7、13頁上段)。
上記興行では、若年層など車に関心の低い層を主なターゲットとして、車の夢や楽しさを身近に感じてもらい、車ファンを増やすという目的の下、学生層に影響力が高く親和性のある「ミスキャンパス」を起用し、車に係るファッションショーを行い、本件商標を使用したものである(後述する「キャンパスナビ」「Campus Navi」掲載内容参照。乙7、13頁下段?14頁)。
(7)また、前商標権者及び被請求人は、大学イベント、クラブサークルや「ミスキャンパス」等を取り上げた学生のための総合情報サイト「キャンパスナビ」及び「Campus Navi」を企画運営し、本件商標を使用してきた(乙7、6頁?10頁)。
ア 上記のサイトは、ポジティブな大学生の活動を発信し、学生の力で日本を元気にする取り組みである「学生観光PRアワード」や、「JCF学生映画祭」、「ミスキャンパスサミット」などの興行の情報を取り上げたり、「ミスキャンパス」候補者の情報を網羅してコンテストを盛り上げること等を目的として企画運営されたものである。
イ そして、上記のサイトの企画及び運営においても、前商標権者及び被請求人は、本件商標を使用してきた。すなわち、「キャンパスナビ」からワンクリックで「ミスキャンパス」情報ヘアクセスできるよう「ミスキャンパス」ボタンが冒頭に設定され(乙7、6頁)、「ミスキャンパス」情報として、全国の「ミスキャンパス」のプロフィールや自己紹介動画等を掲載し、また前述の「ミスキャンパスサミット」開催情報や、「ガクチカ観光PRアワード」開催情報、「お台場ミスキャンパスコレクション「ファッションショー」」開催情報等の活動情報を掲載してきた(乙7、7頁?10頁、12頁下段、13頁下段?14)。
(8)また、被請求人から本件商標の使用許諾を受けた申立外ウェブスクウェアは、「e-club」というサイトを企画運営し、ここでも本件商標を使用してきた(乙7、11頁)。
ア 上記のサイトは、全国4万団体以上の大学サークル・クラブ活動を支援し、イベントの告知やサークル情報の発信を通じて同じ志をもつ大学生同士の交流を促進する目的のもと、サークル情報の発信やイベントの告知、全国の大学生に関連した時事ニュースを網羅するコミュニディサイトとして企画運営してきたものである。
イ そして、上記サイトのトップページに、「ミスキャンパス」が大学サークルを応援する企画等を掲載するなどして、本件商標を使用してきた(乙7、11頁下段)。
2 以上のとおり、本件商標は、前商標権者、商標権者及び使用許諾を受けた者により使用されてきたものであり、商標法第50条により取消されるべきものではないことは明らかである。

第4 当審の判断
被請求人は、前商標権者、商標権者及びその使用許諾を受けた者が、本件商標を使用している旨主張しているので、以下検討する。
1 被請求人提出の証拠及び主張について
(1)乙第7号証は、その主張によれば「ミスキャンパスポータルサイト」、「CampusNavi」及び「e-club」の各サイトに係る説明資料として提出されたものであり、前商標権者及び商標権者は、前商標権者が平成26年3月1日に学生のコンテストを応援する目的のもとに立ち上げたサイトであって、平成25年5月から商標権者も実質的に、本件商標を使用してきたものであり(乙7、1頁?5頁)、また、前商標権者及び商標権者は、大学イベント、クラブサークルや、「ミスキャンパス」等を取り上げた学生のための総合情報サイト「Campus Navi」を企画運営し、本件商標を使用してきたものであり(乙7、6頁?10頁)、また、平成26年3月に商標権者から本件商標の使用許諾を受けた申立外ウェブスクウェアは、「e-club」を企画運営し、本件商標を使用してきた(乙7、11頁)と主張する。
しかしながら、「ミスキャンパスポータルサイト」、「CampusNavi」(乙7、1頁?10頁)及び「e-club」(乙7、11頁)において、その運営者等の記載は見あたらないものであり、いずれの者の業務に係るウェブサイトであるかを確認することができない。そして、被請求人は、平成27年8月18日付けの乙第7号証に係るウェブサイトの主催者又は運営者についての審尋に何ら応答していない。
さらに、本件商標の使用について、平成25年5月に前商標権者から商標権者に、また、平成26年3月に商標権者が申立外ウェブスクウェアに、本件商標の使用の許諾をしたことを確認できる証拠の提出もない。
したがって、被請求人は、上記各ウェブサイトが、前商標権者、商標権者及び申立外ウェブスクウェアの業務に係るものであることを証明していない。
(2)乙第7号証に係る各ウェブサイトの掲載日は、被請求人の提出した証拠により、いずれも明確に確認することはできないが、「イベントカレンダー 2015.2」(1頁)、「ミスキャンパスサミット」の第1回(2011年12月開催)(4頁)、第3回(2014年2月開催)(3頁?5頁等)の情報、「新着情報」の日付(1頁、2頁)の内容からすると、「ミスキャンパスポータルサイト」、「CampusNavi」(乙7、1頁?10頁)及び「e-club」(乙7、11頁)は、本件要証期間内に掲載されているものと認めることができる。
なお、乙第7号証に係る各ウェブサイトについて、被請求人は、「ミスキャンパス・オフィシャルポータルサイト」及び「CampusNavi」は、「ミスキャンパス」の活動を応援するための「キャンパスサミット」や「第1回ガクチカ観光PRアワード」「お台場ミスキャンパスコレクション」等のコンテストなど、興行の企画運営を行っているとも主張していること及び掲載内容から、乙第7号証に係る各ウェブサイトは、上記興業の企画運営を内容とするものといえる一方で、「ミスキャンパスグランプリ公開中」、「ミスキャンパスアーカイブス」(1頁等)、「ミスキャンパスファイナリストプロフィール公開中」(7頁)等の表示のもとに顔写真が掲載されていることから、「ミスキャンパス」に関する何らかの情報が掲載されているものとも推認し得るが、その情報の具体的な内容を確認することはできないものであり、本件商標の指定商品及び指定役務のいずれについて使用しているか、不明である。
(3)本件商標は、別掲1のとおり、「ミスキャンパス」の片仮名及びその右横に斜めに傾けて配置されたハートの図形及び図案化された「Miss Campus」の欧文字を矩形内に配置した構成からなる商標であって、一般に「ミスキャンパス」及び「Miss Campus」の文字は、「大学で選ばれた女性」を表す語として使用されているものであり、ハート図形及び矩形図形も一般的な図形であることからすると、その構成各部分は、いずれも看者の印象に強く残るものとはいえないものであるから、構成各部分が全体として一体の商標として認識されるものであるとみるのが相当である。
そして、「ミスキャンパス」、「Miss Campus」、「ミスキャンパスオフィシャルサイト」、「ミスキャンパスサミット」、「ミスキャンパスコレクション」等の文字が、乙第7号証の各ウェブサイトのタイトルとして使用され、又は、各ウェブサイトの説明文に使用されていることが認められるが、上記「ミスキャンパス」及び「Miss Campus」の文字は、本来の「大学で選ばれた女性」を表す語として使用されているものと認められるものであり、出所識別標識として使用されているものと認めることはできない。また、「ミスキャンパスオフィシャルサイト」、「ミスキャンパスサミット」、「ミスキャンパスコレクション」等の文字において、その構成中の「ミスキャンパス」の文字は、「大学で選ばれた女性」の意味を表すものとして他の語と一体に使用されているというべきであり、該文字部分が独立して出所識別標識として使用されているものと認めることはできない。
さらに、乙第7号証の各ウェブサイトには、デザインされた欧文字のモノグラムの左右に植物の図形を配し、それらを包むように円弧状に表された「MissCampusJapan」又は「MissCampusSummit」の文字を配した構成からなる標章(以下「使用商標」という。)が表示されていることが認められるところ、その構成中の文字部分は、全体として「日本において大学で選ばれた女性」又は「大学で選ばれた女性のトップ会談」程の一体の意味合いを容易に理解させるものであり、使用商標全体としてみても、本件商標の構成態様とは明らかに異なるものであり、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることはできない。
(4)そうすると、乙第7号証によって、各ウェブサイトは、商標権者(前商標権者又は商標権者)、専用使用権者及び通常使用権者のいずれかの者が、主催者又は運営者であるとは認められないものであり、また、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)が使用されているということもできない。
その他、被請求人の提出に係る全証拠をみても、本件商標の使用を認めることはできない。
3 上記2を総合すると、乙第7号証に係るウェブサイトにおいて提供されている役務又は商品について判断するまでもなく、被請求人は、商標権者(前商標権者又は商標権者)、専用使用権者及び通常使用権者が、本件要証期間内に、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用したことを証明したということはできない。
したがって、本件商標は、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、本件商標の指定商品及び指定役務について、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者によっても使用されていないものといわざるを得ないから、本件商標の登録は、商標法第50条1項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標)




審理終結日 2016-09-30 
結審通知日 2016-10-05 
審決日 2016-10-27 
出願番号 商願2004-63538(T2004-63538) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y091645)
最終処分 成立  
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田村 正明
堀内 仁子
登録日 2005-09-16 
登録番号 商標登録第4895177号(T4895177) 
商標の称呼 ミスキャンパス 
代理人 正林 真之 
代理人 西 靖雄 
代理人 東谷 幸浩 

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