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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y32
管理番号 1323600 
審判番号 取消2015-300866 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-12-01 
確定日 2016-12-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4825124号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4825124号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第4825124号商標(以下「本件商標」という。)は、「すっきり」の平仮名を標準文字で表してなり、平成16年4月28日に登録出願、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料」を指定商品として、同年12月10日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成27年12月15日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判請求書及び審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第15号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)社会通念上の同一性について
被請求人は、本件審判請求の登録日である平成27年12月15日より前3年以内(以下「要証期間内」という。)に被請求人が製造、販売した商品(以下、「本件商品」という)の包装容器に付された商品ラベル、包装箱及び本件商品が掲載された商品カタログに記載された「スッキリ」の文字が本件商標と社会通念上同一の商標である旨、主張し、証拠として乙第1号証ないし乙第8号証を提出しているところ、本件商品の包装容器等に使用したと主張する商標についてみると、「スッキリ」の文字の下部に「スッ」の文字と一部重なるように配したピンク色の波線図形を伴っており、当該波線図形は、「スッキリ」の文字から「梅」の文字にかけてこれらの文字と一体となって表されている。かかる構成により、「スッキリ梅」の文字と当該波線図形とが一体となった結合商標として認識できる。
そうすると、「スッキリ」の文字は、「梅」の文字よりも小さく配されているものの、「スッキリ」の文字から「梅」の文字にかけて一体的に表されたピンク色の波線図形の存在により外観上の一体性が強調されているため、「スッキリ梅」全体で1つの商標として看取される。また、「スッキリ梅」の文字からは、全体として「味わいが爽快である梅」程の意味合いが生じるため、観念上の強い結びつきを有する。そして、「スッキリ梅」の文字より生ずる「スッキリウメ」の称呼は、格別冗長というべきものではなく一気一連に淀みなく称呼できる。
このため、「スッキリ梅」は、常に一体として認識されるべき商標とみるのが相当であり、「スッキリ梅」の文字から、単に「スッキリ」部分のみを抽出することは妥当ではないと思料する。
そうとすれば、「スッキリ梅」の文字が使用されているというものであり、登録商標「すっきり」とは、外観上同一でないばかりでなく、同一の称呼及び観念を生ずることもないため、商標法第50条第1項括弧書きに規定される類型のいずれにも該当せず、「スッキリ梅」を登録商標「すっきり」と社会通念上同一の商標として認定できる根拠は存在しない。
(2)商標的な使用態様には該当しない点について
商標の本質は、当該商標を使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものとして機能すること、すなわち、商品又は役務の出所を表示し、識別する標識として機能することにあると解されるから、商標がこのような出所表示機能、出所識別機能を果たす態様で用いられているといえない場合には、形式的には商標法第2条第3項各号に掲げる行為に該当するとしても、当該行為は、商標の「使用」に当たらないと解するのが相当である(取消2010-301233審決において引用された東京地裁、平成20(ワ)第34852号、平成22年11月25日判決)。
これを本件についてみるに、「スッキリ梅」より、「スッキリ」の文字が分離抽出され、本件登録商標「スッキリ」と対比の対象になったとしても、「スッキリ」又は「すっきり」の文字は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。つまり、本件商品「炭酸飲料」に「スッキリ」の文字を使用しても、単に「味わいが爽快である」という商品の品質を記述的に表記したものとして、看取、把握されるに過ぎないもの、すなわち、自他商品の識別標識としての機能を完全に喪失している語であることは明らかであるから、乙第1号証ないし乙第8号証に記載された事実をもって、商標としての使用がされているとはいえないというべきである。
(3)むすび
以上(1)及び(2)のとおり、本件商標は、要証期間内に、その指定商品について商標権者等により使用された事実が存しないものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を審判事件答弁書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。
1 使用証拠について
(1)本件商品(包装容器及び包装箱)
乙第1号証及び乙第2号証は、被請求人が製造販売する本件商品であるところ、乙第1号証の正面画像より、本件商品の包装容器に貼付された商品ラベルにおいて、被請求人の商号の略称たる「常盤薬品」の文字、緑色の長方形の図形の中に白地で表された「スッキリ」の文字、左下隅において「炭酸飲料」の文字がそれぞれ確認できる。また、左側面の画像において、製造者として被請求人である「常盤薬品工業株式会社」の記載が確認できる。
また、乙第2号証は、通信販売サイト「楽天市場」に開設されているウェブサイト「スグくる特価」であるところ、本件商品の包装容器及び包装箱の画像とともに、本件商品が販売されており、本件商品の包装容器の画像において、乙第1号証において示す本件商品の包装容器の正面画像と一致するものであり、本件商品の包装箱と思しき画像において、大きく表示された緑色の長方形の図形に「スッキリ」の文字が認められ、その他、被請求人の商号の略称たる「常盤薬品」の文字、及び「炭酸飲料」の文字が確認できる。
(2)商品カタログ
乙第3号証ないし乙第5号証は、被請求人が発行した商品カタログ「2015年度版/ヘルスケア事業部商品のご案内」、「ヘルスケア事業部商品のご案内 2014年度版」及び「ヘルスケア事業部商品のご案内 2013年版」であるところ、該カタログは、被請求人が製造販売する商品が掲載されているものであり、その表面において、被請求人である「常盤薬品工業株式会社」の表示と、「炭酸飲料」のカテゴリーに属する商品の一つとして本件商品の包装容器の画像が認められる。そして、その裏面においても、本件商品の包装容器の画像が掲載され、下欄には、被請求人である「常盤薬品工業株式会社」の表示が確認できる。
(3)販売促進企画用の商品カタログ
乙第6号証ないし乙第8号証は、被請求人が発行した商品の販売促進企画「限定企画2015ドリンクキャンペーン」、「限定企画2014ドリンクキャンペーン」及び「限定企画2013ドリンクキャンペーン」に関する商品カタログであるところ、被請求人が製造販売する商品を、それぞれ2015年5月7日から同年8月21日まで、2014年5月7日から同年8月22日まで及び2013年5月7日から同年8月23日までの間に注文すると、特別価格にて提供することを内容とする販売促進企画を、取引先に通知するために作成されたものである。該商品カタログは2頁からなるものであり、1頁目の冒頭において、被請求人の商号の略称たる「常盤薬品」の文字と、キャンペーンの開催期間として、上記期間の記載が確認できる。そして、商品カタログ2頁目において、本件商品の包装容器の画像の掲載が確認できる。
(4)小括
上記(1)ないし(3)のとおり、乙第1号証は、本件商品の包装容器、乙第2号証は、本件商品の包装箱、また、乙第3号証ないし第8号証は、本件商品にかかる商品カタログに関するものである。全ての使用証拠において、包装容器に「スッキリ」の文字が付された本件商品の画像が認められ、被請求人の商号の略称たる「常盤薬品」又は被請求人である「常盤薬品工業株式会社」の表示が確認できる。
2 使用時期について
(1)本件商品(包装容器)
乙第1号証において、本件商品の包装容器に付された商品ラベル(右側面)に「賞味期限」として「2017.02/A2」との記載が確認できる。かかる記載の内「2017.02」の文字部分については、これを「2017年2月」と理解され、本件商品の賞味期限が、2017年2月であると認識されるものである。
そこで、本件商品が製造された時期について検討すると、乙第3号証ないし第5号証の商品カタログの裏面の「賞味期限」の欄において「18ヵ月」との記載が確認できる。
そうとすると、本件商品は、上記する本件商品の右側面にかかる画像より、本件商品が2015年(平成27年)8月頃に製造したものと推測することができるものであり、本件商品が製造された2015年(平成27年)8月頃は、要証期間内に該当するものである。
(2)本件商品(包装箱)
乙第2号証は、本件商品の賞味期限が18ヵ月であることを考慮すると、該ウェブサイトに掲載されている包装箱入りの本件商品は、遅くとも現在より18ヵ月前である、平成26年6月頃以降に被請求人により製造販売されたものであると理解できる。
そうとすると、乙第2号証に掲載されている包装箱入りの本件商品は、遅くとも平成26年6月頃以降に被請求人の取引に資されたものであり、要証期間内に被請求人により製造し、譲渡されたものとみなされるべきものである。
(3)商品カタログ
乙第3号証ないし第5号証にかかる商品カタログは、2015年(平成27年)、2014年(平成26年)及び2013年(平成25年)の3年間に配布されているものと認められるものであり、2015年(平成27年)、2014年(平成26年)及び2013年(平成25年)は、要証期間内に該当するものである。
(4)販売促進企画用の商品カタログ
乙第6号証は、「期間 2015年5月7日(木)?8月21日(金)」の記載、乙第7号証は、「期間2014年5月7日(水)?8月22日(金)」の記載、乙第8号証は、「期間2013年5月7日(火)?8月23日(金)」の記載が、それぞれ確認でき、いずれも要証期間内に該当するものである。
(5)小括
上記(1)ないし(4)のとおり、使用証拠として提出した乙第1号証ないし乙第8号証は、いずれも2013年(平成25年)から2015年(平成27年)にかけて被請求人の取引に資されたものであることが明らかであり、要証期間内、すなわち平成24年12月10日から平成27年12月10日までの間に該当するものであることは自明である。
(審決注 被請求人は、上記において、要証期間内を「平成24年12月10日から平成27年12月10日まで」としているが、本件審判の請求の登録は、平成27年12月15日であるから、要証期間は平成24年12月15日から平成27年12月14日までと解される。)
3 使用者について
乙第1号証は、商品ラベル(左側面)の製造者欄に、被請求人である「常盤薬品工業株式会社」の記載、乙第2号証は、包装箱の上面において、被請求人の商号の略称たる「常盤薬品」の表示、乙第3号証ないし乙第5号証は、カタログも冒頭に、被請求人である「常盤薬品工業株式会社」の表示及び乙第6号証ないし乙第8号証は、1頁目の冒頭において、被請求人の商号の略称たる「常盤薬品」の表示が確認できる。
以上より、乙第1号証ないし乙第8号証は、いずれも被請求人を示す「常盤薬品工業株式会社」又はその略称たる「常盤薬品」の略称を表示するものであって、乙第1号証及び乙第2号証に掲載される本件商品は、被請求人が製造販売したものであり、乙第3号証ないし乙第8号証にかかる商品カタログは、被請求人が本件商品を掲載し、取引先へ配布したものであることが明らかである。
4 商品について
乙第1号証において、包装容器に付された商品ラベルに「梅」、「炭酸飲料」、「果汁1%」、「クエン酸配合」の文字及び「梅の図形」、乙第2号証の包装箱は、その上面に「梅」、「炭酸飲料」、「クエン酸配合」の文字、乙第3号証ないし第5号証において、本件商品に対する説明書きとして「炭酸飲料」、「健康維持におすすめのクエン酸をたっぷり配合」及び「こだわりの南高梅の果汁10入り!」との記載及び乙第6号証ないし第8号証において、本件商品に対する説明書きとして「健康維持におすすめのクエン酸をたっぷり配合」、「こだわりの南高梅の果汁入り!」及び「炭酸飲料」との記載が確認できる。
そうすると、本件商品は、これに接する取引者及び需要者をして、本件商品が梅の果汁を用いた炭酸飲料であることを認識させるものであるから、「梅を加味してなる炭酸飲料」と認められるものであり、当該「梅を加味してなる炭酸飲料」は、本件商標の指定商品「第32類 清涼飲料」に属する範ちゅうの商品として認められるものである。
5 登録商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)について
本件商品の「商品ラベル」に表示される「スッキリ(当該文字の下部には、単純な波線が同文字を強調するかのごとく付記されている。)について」は、その「スッキリ」の文字と当該文字の下部に単純な波線とからなるものであるところ、当該「スッキリ」の文字の下部に表示される単純な波線(図形)は、同「スッキリ」の文字を誇張(強調)するかのごとく装飾的に捉えられ、単に付記的なものと認識されるものであるから、当該図形部分は、それ自体商標としての機能を果たし得ないものである。よって、本件表示は、「スッキリ」の文字部分が商標としての機能を果たすものである。
そして、「商品ラベル」及び「包装箱」に表示される「スッキリ」の文字は、本件商標と対比するに、平仮名の文字の表示を変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標に対応するものと認められる。
そうとすると、左斜め書きに表示されている「スッキリ」の文字は、左横書きに表示されている本件商標「すっきり」と社会通念上同一と認められるものと理解できる。
6 使用について
乙第1号証に示す本件商品は、被請求人が、本件商品の包装容器に、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)を付したものであり、被請求人による前記行為は、商標法第2条第3項第1号に規定する「商品又は商品の包装に標章を付する行為」に該当する。また、乙第2号証に示す本件商品の包装箱は、被請求人が、本件商品の包装箱に、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)を付したものであり、被請求人による前記行為は、商標法第2条第3項第1号に規定する「商品又は商品の包装に標章を付する行為」に該当する。
そして、被請求人は、乙第3号証ないし第8号証において示すとおり、商品カタログ及び販売促進用商品カタログにおいて、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)が付された本件商品を掲載し、商品の広告を行い、本件商品の販売を行っていたものであるから、被請求人による前記行為は、商標法第2条第3項第8号に該当するものである。
7 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件商品を製造販売するものであるところ、本件商品は、「梅を加味してなる炭酸飲料」であって、これは当該審判の請求に係る指定商品中の「第32類 清涼飲料」に含まれるものであり、また、乙第1号証にかかる本件商品、乙第2号証にかかる本件商品の包装箱及び本件商品を掲載する乙第3号証ないし乙第8号証にかかる商品カタログは、いずれも要証期間内に、日本国内において、被請求人によって取引に資されたものである。
そして、被請求人は、本件商品の包装容器及び包装箱に登録商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を付すものであるところ、商品の包装容器及び包装箱に登録商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を付する行為並びに本件商品を掲載したカタログを頒布する行為は、それぞれ商標法第2条第3項第1号及び同項第8号の「使用」に該当するものである。
してみれば、被請求人が、乙第1号証に示す本件商品の包装容器、及び乙第2号証に示す包装箱に、登録商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を付する行為は、商標権者が要証期間内に、日本国内において、当該審判の請求に係る指定商品中の「第32類 清涼飲料」に含まれる「炭酸飲料」ついて使用(商標法第2条第3項第1号)するものである。
また、被請求人が本件商品を掲載した商品カタログ(乙第3号証ないし乙第8号証)を頒布する行為は、商標権者が要証期間内に、日本国内において、登録商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を、当該審判の請求に係る指定商品の内、「第32類 清涼飲料」に含まれる「炭酸飲料」について使用(商標法第2条第3項第8号)するものである。
8 結語
以上によれば、本件商標は、要証期間内に被請求人である商標権者によって、取消請求に係る指定商品中「清涼飲料」に含まれる「炭酸飲料」について使用されていたことが明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録は取り消されるものでない。

第4 当審においてした審尋
審判長が、被請求人に対し、平成28年8月3日付けで審尋した内容は、要旨以下のとおりである。
1 乙第1号証は、炭酸飲料の容器側面に、ラベルが貼付されており、そのラベル中央の緑地の部分に「スッキリ」の片仮名を左上にやや右斜め上に向かい横書きしてなり、その下に「クエン酸配合」の文字、そして、右側に大きく「梅」の漢字を配してなるものある。
そして、ラベルに表された文字のうち、「クエン酸配合」の文字は、普通の書体で白抜き文字で表されている一方、「スッキリ」の片仮名と「梅」の漢字は、極めて薄い灰色で、白色の縁取りがなされており、あたかも影付き文字であるかのような同じ装飾が施されており、一体のものとして看取されやすいといえるばかりか、「梅」の漢字が「スッキリ」の片仮名の右側に配置し、文字間隔が同じであることから、「スッキリ梅」と横一連に表示してなるものと、無理なく認識し得るものある。
そうすると、本件商品の包装容器上には、「スッキリ梅」の文字が商標として使用されているといえるものであって、該商標は、本件商標である「すっきり」と社会通念上同一と認められる商標ということはできない。
2 乙第2号証は、「楽天市場」のウェブサイト内の「スグくる」と称するショッピングサイトであるところ、「スッキリ梅」の文字がはっきりと視認し得るように本件商品の包装容器が掲載されており、また、該文字と同じ書体の文字を上面及び側面に表してなる商品の包装箱が掲載されている。
そうすると、これら本件商品の包装容器及び包装箱に使用された商標は、「スッキリ梅」であるといえることから、本件商標である「すっきり」と社会通念上同一と認められる商標ということはできず、ほかに本件商標(「社会通念上同一と認められる商標」を含む。)を使用している事実も見いだすことができない。
3 乙第3号証ないし乙第5号証は、被請求人の名称である「常盤薬品工業株式会社」の文字が確認されることから、被請求人の2013年度ないし2015年度における商品の紹介パンフレットといえるところ、各号証には、上記1と同一の構成態様の「スッキリ梅」の文字が表示された本件商品が広告に用いられている。
そうすると、本件商品の包装容器に使用された商標は、「スッキリ梅」であるといえることから、本件商標である「すっきり」と社会通念上同一と認められる商標ということはできず、ほかに本件商標(「社会通念上同一と認められる商標」を含む。)を使用している事実も見いだすことができない。
4 乙第6号証ないし乙第8号証は、被請求人を表してなるといえる「常盤薬品」の文字が確認されることから、各号証に掲載されている期間に被請求人が行った商品の販売促進キャンペーンの宣伝広告用のパンフレットといえるところ、各号証には、上記1と同一の構成態様の「スッキリ梅」の文字が表示された本件商品が広告に用いられている。
そうすると、本件商品の包装容器に使用された商標は、「スッキリ梅」であるといえることから、本件商標である「すっきり」と社会通念上同一と認められる商標ということはできず、ほかに本件商標(「社会通念上同一と認められる商標」を含む。)を使用している事実も見いだすことができない。

第5 被請求人の回答の要旨
被請求人は、前記第4の審尋に対し、要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第10号証ないし乙第17号証を提出している。
1 本件商品の包装容器に使用されている商標について
(1)本件商品の包装容器の側面に表された文字について
本件商品の包装容器のラベルに表示される「梅」の漢字は、これが顕著に大きく表示されているものであるが、該「梅」の文字を本件商品との関係より考察すると、本件商品に接する取引者及び需要者をして、その商品が「梅の文字に照応する商品」、例えば「梅を加味した清涼飲料(炭酸飲料)」「梅風味の清涼飲料(炭酸飲料)」「梅又は梅エキス入り清涼飲料(炭酸飲料)」「梅果汁が加味された清涼飲料(炭酸飲料)」等であると理解・認識し、単に商品の品質・内容を表示してなるにすぎないと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を有しない文字(漢字)と捉えられるものである。
そして、本件商品の包装容器の側面のラベルに表示される「梅」の漢字が本件商品との関係において、単に商品の品質・内容を表示するにとどまるものであることについては、清涼飲料業界における各種商品の包装容器について、極めて一般的に採用されている宣伝広告の手法によっても裏付けられる(乙第10号証ないし乙第16号証)。
清涼飲料業界において、果汁入り清涼飲料の包装容器のラベルに、その商品の品質・内容を一目瞭然に判別すべく、果実の図形とその果実の名称を大きく表示するといった広告宣伝の手法は極めて一般的であり、そして、数多ある清涼飲料に接する需要者及び取引者は、前記「広告宣伝の手法」により表示された果実の図形と果実の名称をもって、その商品の品質・内容を判然と理解するものである。
かかる清涼飲料業界における広告宣伝の手法は、本件商品にあっても然るべく使用されているものである。
そうとすると、本件商品の包装容器の側面のラベルに表示されている「梅」の漢字と梅の図形は、本件商品の品質表示として無理なく認識されるべきものである。
すなわち、本件商品に接する需要者及び取引者は、本件商品の包装容器の側面のラベルに表される「梅」の漢字と、その下部に配置される梅の果実の図形によって、本件商品が「梅果汁の加味されている清涼飲料(炭酸飲料)」等であると理解するものである。つまり、かかる「梅」の漢字と梅の図形は、本件商品に接する需要者及び取引者をして、いずれも、本件商品「梅果汁の加味されている清涼飲料(炭酸飲料)」における品質・内容を表示するものとして理解・認識されるにとどまるものである。
そうとすると、本件商品の包装容器の側面のラベルに表示される「スッキリ」の片仮名と「梅」の漢字は、両者に同じ装飾が施されているとしても、両文字は、文字の大きさを明らかに異にし、しかも、「梅」の漢字にあっては、これを本件商品との関係から考察すると商品の品質・内容を示すものと認識され、自他商品の識別標識としての機能を有しない文字であることが明白であるから、その「ラベル」において、他の文字等とは独立して表示されていると認識されるものである。すなわち、該「梅」の漢字は、他の理由を敢えて加えて述べるまでもなく、その「ラベル」中のいずれの文字や図形等と結合され一体のものとして捉えられるものではない。
すなわち、本件商品の包装容器の側面のラベルに表示される「スッキリ」の片仮名と「梅」の漢字は、いわゆる「横一連に表示してなる商標」とは認識されない。
(2)過去の登録例について
乙第17号証に示す登録例は、指定商品「清涼飲料」との関係において、商標構成中の「梅」の文字が自他商品の識別標識としての機能を発揮しないと判断された登録例の一覧表である。いずれの登録商標も「○○梅」といった「梅」の漢字を末尾に配置してなる構成をとり、指定商品を「梅を加味した清涼飲料」「梅風味の清涼飲料」「梅又は梅エキス入り清涼飲料」「梅果汁入り清涼飲料」等とするものである。一覧表に表示される全ての登録商標において、その構成中の「梅」の漢字は、商品「梅を加味した清涼飲料」「梅風味の清涼飲料」「梅又は梅エキス入り清涼飲料」「梅果汁入り清涼飲料」等について使用される場合、商品の品質表示として把握されるものであることが確認できる。
(3)本件商品の包装容器の側面に表された「スッキリ」と「梅」の文字について
本件商品の包装容器に表示される「スッキリ」の片仮名と「梅」の漢字が一体のものとして認識されるためには、構成する各文字が同一の書体・同一の大きさ・同一の間隔で書されているとか、その全体より特定の観念が生ずるとか、又は、その構成中には本件商品との関係においてその商品の品質・内容等を認識する文字が含まれていない等でなければならない。
そこで、本件商品の包装容器に表示されている「スッキリ」の片仮名と「梅」の漢字の具体的表示態様をみると、
ア 「スッキリ」の片仮名と「梅」の漢字は、構成する両者の各文字が同一の書体・同一の大きさ・同一の間隔で書されていない。
イ 「スッキリ」の片仮名と「梅」の漢字は、その全体より特定の具体的な意味合いが生じない。
ウ 「スッキリ」の片仮名と「梅」の漢字にあって、仮に、両者を「スッキリ梅」と表記しても、その構成中には、本件商品との関係においてその商品の品質・内容等を認識する文字(「梅」の漢字)が含まれている。
そうとすると、本件商品の包装容器に表示される「スッキリ」の片仮名と「梅」の漢字にあって、上記アないしウのとおり、両文字が一体のものであることを完全に否定しているものである。
したがって、審尋における「スッキリ梅」の文字が商標として使用されているといえるものであって、該商標は、本件商標である「すっきり」と社会通念上同一と認められる商標ということはできないとの認定については、これを認めることができない。むしろ、前述したとおり、本件商品に表示される「スッキリ」の文字、それ自体が明確に分離され、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たしている商標であるから、本件商標「すっきり」とは社会通念上同一と認められる商標である。
2 商標法第50条第1項が規定する社会通念上同一について
審尋によると、本件商品の包装容器に「スッキリ梅」の文字が商標として使用され、該商標は、本件商標である「すっきり」と社会通念上同一と認められる商標でないと認定するものであるが、仮に本件商品の包装容器の側面のラベルにおいて「スッキリ梅」の文字が商標として使用されているとしても、商標と仮定する「スッキリ梅」とて、「スッキリ」との対比において両者は、後半部における「梅」の文字の有無であるところ、該「梅」の漢字は、これが「梅を加味してなる炭酸飲料」に付され、使用されている事実を考慮すると、かかる商品に接する取引者及び需要者をして、本件商品が梅果汁の加味されている清涼飲料であることを判然と理解させるに過ぎないものであり、かつまた、商品「梅果汁の加味されている清涼飲料」について「梅」の文字が使用される場合において、その「梅」の文字がその商品の品質表示として理解し、認識されることについては、乙第17号証の登録例に示すとおりであって、これを否定することはむしろ困難であるから、その要部が「スッキリ」の片仮名であることは言をまつまでもなく、本件商品の包装容器の側面のラベルに表された「スッキリ梅」の文字は、商標法第50条第1項にいう登録商標「すっきり」の使用(社会通念上同一と認められる商標を含む。)に該当するものである。

第6 当審の判断
1 請求人の提出した甲各号証及び被請求人の提出した乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標について
本件商標は、「すっきり」の平仮名を横書きしてなるところ、該語は「気分や味わいが爽快であるさま。」の意味を有するものである(甲第3号証)。
(2)本件商品について
乙第1号証は、本件商品の瓶製の包装容器の写真であるところ、本件商品の包装容器の側面にはラベルが付されており「■本件商品(正面)」から見ると、左上部に「常盤薬品」の文字を緑色で横書きしてなり、中央部の緑地の部分に「スッキリ」の片仮名を左上にやや右斜め上に向かい横書きしてなり、その下に「クエン酸配合」の文字を白抜きで横書きしてなり、そして、右側に大きく「梅」の漢字を配してなるものである。また、「スッキリ」の片仮名及び「梅」の漢字は、極めて薄い灰色で、白色の縁取りがなされており、あたかも影付き文字であるかのような同じ装飾が施されており、「スッキリ」の片仮名の下には、桃色の波線が付されており、当該波線は「梅」の文字の偏の部分につながるように描かれている。そして、ラベルの左下には矩形内に「炭酸飲料」の文字を横書きしてなるものである。
さらに、本件商品の包装容器を「■本件商品(左側面)」から見ると、左上部に黒字で「スッキリ梅」の文字が普通に用いられる方法により同じ書体及び大きさで、等間隔に横書きされており、その下の矩形内には「名称」として「炭酸飲料」及び「製造者」として「常盤薬品工業は部式会社T」と記載されていることが認められる。また、本件商品の包装容器を「■本件商品(右側面)」から見ると、下部に「賞味期限」として黒地に白抜き文字で「2017.02/A2」と記載されていることが認められる。
(3)本件商品の販売及び宣伝広告
乙第2号証は、2016年1月25日付け楽天市場のウェブサイト内の「スグくる」と称するショッピングサイトにおける「【スグくる特価】常盤薬品 スッキリ梅160ml瓶 30本入 一般あたり【特価59円】」の販売ページであるところ、商品の紹介として、赤色の矩形内に青字で「スッキリ梅 160ml」の文字が右上部に記載及び本件商品の包装容器が掲載されている。
また、乙第3号証ないし乙第5号証は、2013年度ないし2015年度における「常盤薬品工業株式会社」の「ヘルスケア事業部商品のご案内」の商品パンフレットであるところ、いずれの年度においても「スッキリ梅」の文字が記載されている欄に本件商品の包装容器が掲載されている。なお、同パンフレットにおいて、本件商品の「賞味期限」が「18ヶ月」と記載されている。
さらに、乙第6号証ないし乙第8号証は、2013年、2014年及び2015年において「常盤薬品」が行った「ドリンクキャンペーン」の企画の宣伝パンフレットであるところ、いずれの年においても、「スッキリ梅」の文字が記載されている欄に本件商品の包装容器が掲載されている。
(4)本件商品の使用期間について
乙第1号証における本件商品の「賞味期限」として黒字に白抜き文字で「2017.02/A2」は、2017年2月であると推認できるものであり、本件商品の賞味期限が18ヶ月であることからすると、当該本件商品は2015年8月頃に製造されたと推認できるものである。
また、乙第3号証ないし乙第5号証は、2013年度ないし2015年度におけるパンフレットであることから、2013年4月から2016年3月にかけて使用されたものと認められる。
さらに、乙第6号証ないし乙第8号証は、当該パンフレットに記載された期間、すなわち、2015年5月7日から同年8月21日、2014年5月7日から同年8月22日及び2013年5月7日から同年8月23日の期間と当該期間より少し前の期間に宣伝広告用のパンフレットとして頒布されていたものと推認できる。
2 上記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断することができる。
(1)商標権者について
本件商標の商標権者である常盤薬品工業株式会社は、自己の製造する本件商品の包装容器のラベルに「常盤薬品」との表示を使用していることから、当該表示を自己の略称として使用しているといえるものである。
そうすると、乙第1号証ないし乙第8号証は、本件商品の包装容器及び各パンフレットに「常盤薬品」又は「常盤薬品工業株式会社」の表示が認められるから、商標権者により製造された商品ということができる。
(2)本件商品の取引について
本件商品は、商品ラベルから「炭酸飲料」であるといえるものであり、当該商品は本件商標に係る指定商品「清涼飲料」の範ちゅうに含まれるものといえるものである。また、本件商品は、2015年8月頃に製造されたものといえることから、要証期間内に製造されたものであり、各パンフレットについても、いずれも要証期間内において使用されたものである。
なお、乙第2号証については、2016年1月25日付けであり、本件商品が当該ショッピングサイトに掲載された日付が確認できないことから、要証期間内の使用とはいえない。
(3)本件商標の使用について
本件商品の包装容器に付されたラベル中央部の緑地の部分には、「スッキリ」の文字が右斜め上に向かい横書きされており、最後の文字である「リ」の直後に「梅」の漢字が大きく表されているところ、両文字は、同じ書体で、極めて薄い灰色で、白色の縁取りがなされており、あたかも影付き文字であるかのような同じ装飾が施されているものである(「スッキリ」の文字の下に桃色の波線が描かれており、当該波線の右側部分が「梅」の文字の偏の部分に接して描かれている。)。また、緑地の部分には、「クエン酸配合」の文字が、普通に用いられる方法により、白抜きで横書きされているものである。
してみると、このラベル中央部の緑地の部分には、「スッキリ」、「梅」及び「クエン酸配合」の文字が記載されているところ、「クエン酸配合」の文字部分が普通に用いられる方法により横書きされているのに対し、「スッキリ」及び「梅」の文字部分は、文字の大小に違いはあるものの、「梅」の漢字が「スッキリ」の片仮名の「リ」の文字の直後に配置されており、同じ書体で表され、かつ、同じ装飾が施されていることから、一体のものとして看取されやすいといえるものであって、また、「すっきり」の語が「気分や味わいが爽快であるさま。」の意味を有するものであることから、「スッキリ」及び「梅」の文字を組み合わせた全体より「味わいが爽快な梅」ほどの観念を生じるものである。
さらに、本件商品の包装容器の左側面のラベル上部に「スッキリ梅」の文字が普通に用いられる方法で横書きされており、各パンフレットにおいても、「スッキリ梅」の欄に本件商品の包装容器が掲載されていることから、商標権者は、本件商品を「スッキリ梅」と称しているといえるものである。
そうすると、本件商品の包装容器に接する取引者、需要者は、「スッキリ」及び「梅」の文字を組み合わせた「スッキリ梅」を一体のものとして認識するというのが相当であるから、本件商品には、「スッキリ梅」の標章(以下「使用商標」という。)が使用されているとみるのが相当である。
そこで、使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるか否かについて検討すると、本件商標は、「すっきり」の平仮名を横書きしてなるところ、該文字より「スッキリ」の称呼及び「気分や味わいが爽快であるさま。」の観念を生じるのに対し、使用商標は、「スッキリ梅」の文字を横書きしてなるところ、該文字より「スッキリウメ」の称呼及び「味わいが爽快な梅」の観念を生じるものである。
したがって、本件商標と使用商標とは、「梅」の文字の有無の差異を有し、外観において相違するものであり、両商標より生じる称呼及び観念も相違するものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるということはできない。
(4)小括
以上のとおり、被請求人が提出した証拠からは、要証期間内に日本国内において、商標権者が、本件商標に係る指定商品に含まれる「炭酸飲料」に使用商標を使用しているということができても、使用商標をもって、本件商標(社会通念上同一と認められる商標)の使用ということはできない。
3 被請求人の主張について
(1)本件商品の包装容器に表された文字について
被請求人は、本件商品の包装容器のラベルに表示される「梅」の漢字は、これが顕著に大きく表示されているものであり、取引者及び需要者をして、単に商品の品質、内容を表示してなるにすぎないと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を有しない文字(漢字)と捉えられるものである。
そして、清涼飲料業界において、果汁入り清涼飲料の包装容器のラベルに、その商品の品質、内容を一目瞭然に判別すべく、果実の図形とその果実の名称を大きく表示するといった広告宣伝の手法は極めて一般的である(乙第10号証ないし乙第16号証)。
そうとすると、本件商品の包装容器の側面のラベルに表示されている「梅」の漢字と梅の図形は、本件商品の品質表示として無理なく認識されるべきものであり、「スッキリ」の片仮名と「梅」の漢字に同じ装飾が施されているとしても、両文字は、文字の大きさを明らかに異にし、しかも、「梅」の漢字にあっては、これを本件商品との関係から考察すると商品の品質、内容を示すものと認識され、自他商品の識別標識としての機能を有しない文字であることが明白であるから、他の文字等とは独立して表示されていると認識されるものである。すなわち、該「梅」の漢字は、その「ラベル」中のいずれの文字や図形等と結合され一体のものとして捉えられるものではなく、「スッキリ」の片仮名と「梅」の漢字は、いわゆる「横一連に表示してなる商標」とは認識されない。
また、指定商品「清涼飲料」との関係において、「梅」の漢字を末尾に配置してなる構成をとる登録商標において、その構成中の「梅」の漢字は、商品「梅を加味した清涼飲料」「梅風味の清涼飲料」「梅又は梅エキス入り清涼飲料」「梅果汁入り清涼飲料」等について使用される場合、商品の品質表示として把握されるものである。
さらに、本件商品の包装容器において、「スッキリ」の片仮名と「梅」の漢字が一体のものとして認識されるためには、構成する各文字が同一の書体、同一の大きさ、同一の間隔で書されているとか、その全体より特定の観念が生ずるとか、又は、その構成中には本件商品との関係においてその商品の品質、内容等を認識する文字が含まれていない等でなければならないものであり、「スッキリ」の片仮名と「梅」の漢字は、構成する両者の各文字が同一の書体、同一の大きさ、同一の間隔で書されていない、その全体より特定の具体的な意味合いが生じない及び両者を「スッキリ梅」と表記しても、その構成中には、本件商品との関係においてその商品の品質、内容等を認識する文字(「梅」の漢字)が含まれているものである旨主張する。
しかしながら、本件商品の包装容器に表された「スッキリ」及び「梅」の文字は、「スッキリ梅」という一体の表示として、これに接する取引者、需要者に把握、理解されることは、上記2のとおりである。すなわち、本件商品の包装容器のラベルの緑地に表された「スッキリ」と「梅」の文字は、同じ書体で表され、同じ装飾が施され、接近して配置されているという一体のものとして看取されやすい視覚的要素に加え、「スッキリ梅」の文字より「味わいが爽快な梅」の一体の観念を生じるものであるから、「スッキリ梅」の文字を表してなると認識させるというのが相当である。そうすると、被請求人が清涼飲料業界における包装容器のラベルに表示する一般的な広告宣伝の手法として取り上げた具体例(乙第10号証ないし乙第16号証)は、それを構成する図形及び文字並びに図形や文字の装飾及び配置等、個別の事情が異なるものであるから、これらの具体例に係る文字の使用と本件商品の包装容器における「スッキリ」及び「梅」の文字の使用とは、同列に論ずることはできないものである。また、「梅」の漢字が末尾に配された構成からなる登録商標は、「梅」の文字を含めた一体の商標なのであるから、これをその指定商品に使用するときは、「梅」の文字が商品の品質等を表示するものであるとしても、「梅」の文字を含む登録商標の使用とみるのが相当である。
したがって、被請求人の上記主張は、採用することはできない。
(2)本件商標と「スッキリ梅」の同一性について
被請求人は、仮に本件商品の包装容器の側面のラベルにおいて「スッキリ梅」の文字が商標として使用されているとしても、「スッキリ梅」と「すっきり」との対比において、両者は後半部における「梅」の文字の有無であるところ、該「梅」の漢字は、商品の品質表示として理解し、認識されることから、その要部が「スッキリ」の片仮名であることは言をまつまでもなく、「スッキリ梅」の文字は、商標法第50条第1項にいう登録商標「すっきり」の使用(社会通念上同一と認められる商標を含む。)に該当するものである旨主張する。
しかしながら、「スッキリ梅」の「梅」の文字部分が、商品との関係で品質を表示するものとしても、使用商標は、上記2(3)のとおり、その構成態様から一体のものとして認識されるものであり、また、被請求人のパンフレット等に使用商標が付された本件商品を「スッキリ梅」として掲載している取引の実情を踏まえると、これに接する看者に、「スッキリ梅」の文字が使用されているものと認識させるものである。
そうすると、「スッキリ梅」という一体のものとして把握される使用商標は、「すっきり」の文字とは外観において異なるものであり、両文字より生じる称呼及び観念も異なることから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標とはいえない。
したがって、被請求人の上記主張も、採用することはできない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人が提出した証拠からは、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標に係る指定商品について、本件商標を使用していることを証明したものということができない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-09-29 
結審通知日 2016-10-05 
審決日 2016-10-28 
出願番号 商願2004-40375(T2004-40375) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y32)
最終処分 成立  
前審関与審査官 梶原 良子 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 原田 信彦
高橋 幸志
登録日 2004-12-10 
登録番号 商標登録第4825124号(T4825124) 
商標の称呼 スッキリ 
代理人 特許業務法人RIN IP Partners 
代理人 特許業務法人あーく特許事務所 

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