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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W2039
管理番号 1323598 
審判番号 不服2016-12533 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-19 
確定日 2016-12-09 
事件の表示 商願2015-15378拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「宅配収納」の文字を横書きしてなり、第20類「通信手段を備えた宅配ボックス,その他の宅配ボックス,通信手段を備えた宅配自動管理ロッカー,その他の宅配自動管理ロッカー,錠(電気式又は金属製のものを除く。)」及び第39類「荷物の保管,家具の保管,物品の保管,鉄道による輸送,車両による輸送,航空機による輸送,船舶による輸送,配達物の一時預かり,倉庫の提供,荷物の宅配並びにこれに関する媒介又は取次ぎ」を指定商品及び指定役務として、平成27年2月20日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『宅配収納』の文字を、普通に用いられる態様により表してなるところ、その構成中、『宅配』の文字部分は、『自宅配達の略。商品や新聞・雑誌・荷物などを家まで配達すること。』を表す語であり、『収納』の文字部分は、『物をかたづけしまうこと。』を表す語であることから、本願商標全体として『商品や新聞・雑誌・荷物などを家まで配達し、物をかたづけしまうこと』程の意味合いが容易に認識されるところ、生活支援サービスを提供する業界や倉庫業界においては、家の収納スペースに余裕がない者や、荷物が多い者向けに、利用者の自宅で回収した又は利用者によって宅配便で送られた荷物を収納・保管し、利用者が必要な時に、荷物を自宅まで配送する宅配型収納サービスが多数提供されていることが確認できる。そうすると、本願商標を、本願の指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、『宅配型収納サービスに利用する商品』及び『宅配型収納サービスのための役務』であると認識、理解するにとどまり、単に、商品の品質及び役務の質を、普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「宅配収納」の文字を横書きしてなるところ、その構成中の「宅配」の文字は、「商品や新聞・雑誌・荷物などを家まで配達すること。」の意味を有する語であり、「宅配便」の略称としても親しまれている語である。
また、「収納」の文字は、「物をかたづけしまうこと。」の意味を有する語(いずれも、株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)であって、共にごく親しまれている語であるから、全体として、「宅配便で配達されたものをしまうこと」程の意味合いを容易に理解させるものである。
ところで、「不在時に宅配されたものを収納するための収納庫」や、「宅配便を利用して荷物を集荷し、保管、収納する役務」が、「宅配収納」並びに「宅配」及び「収納」の文字と共に使用又は説明されている実情がある。
そして、上記の事実については、原審で示した事実のほか、別掲に示す事実からも裏付けられるところである。
そうとすれば、本願商標を、その指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、該商品が、「宅配されたものを収納しておくための収納庫」であることを認識するにすぎず、また、本願の指定役務中、「荷物の保管,家具の保管,物品の保管,配達物の一時預かり,倉庫の提供,荷物の宅配並びにこれに関する媒介又は取次ぎ」に使用したときは、該役務が、「宅配便を利用して荷物を集荷し、保管、収納する役務」であることを認識するにすぎないものとみるのが相当であって、自他商品役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、本願商標は、その商品の品質及び役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
請求人は、「『宅配収納』の語は、構成上一体不可分の商標であることから、一種の造語として認識、把握するのが自然といわなければならない。そして、原査定で引用した使用例は、いずれも本願商標を構成する『宅配収納』の語に関する使用例ではなく、この事実がまさに、本願商標は請求人の創出に係る造語であるという事実を裏付けているものである。」旨、主張する。
しかしながら、「宅配」及び「収納」の文字が、一般的にごく親しまれている語であることからすると、請求人の創作した造語として認識されるというよりは、両語が単に結合されたものとして理解されるというのが相当である。
そして、「宅配」及び「収納」の文字が、本願の指定商品及び本願指定役務との関係において、普通に使用されていることが、別掲のインターネット情報及び新聞記事情報より窺えるものであり、さらに、「宅配収納」の文字についても、「宅配されたものを収納しておくための収納庫」及び「宅配便を利用して荷物を集荷し、保管、収納する役務」を表す語として使用されていることが窺えるものである。
また、請求人は、造語として認識されるとする主張のみで、これを証する証拠の提出がない。
よって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本願の指定商品との関係における「宅配収納」、「宅配」及び「収納」の文字の使用例について
(1)「YAHOO!ショッピング」のウェブサイトにおいて、「にわのライフコア」の見出しの下、「宅配物の受取をスムーズにするデリバリーボックス。」として、「ナスタ※受注生産品※宅配収納デリバリーボックス(メカ式)捺印システム付 前入前出 ステンレス扉Dタイプ1列5ボックス KS-TLM500-SD-N【ダイヤル錠】」の記載がある。
(http://store.shopping.yahoo.co.jp/niwanolifecore/mz-ks-tlm500-sd-n.html)
(2)「環境生活」のウェブサイトにおいて、「収納庫付き宅配ボックス」の見出しの下、「不在時でも荷物を受け取れるので時間を有効活用できます!」の記載がある。
(http://www.ec-life.co.jp/post/takuhaibox/shuunou.html)
(3)「宅配ボックス荷物当番」のウェブサイトにおいて、「荷もつ当番のご紹介」の見出しの下、「独自の繋止錠と収納ボックスの組み合わせによって留守中でも宅配物が授受できる」の記載がある。
(http://www.outin.jp/product.html)
(4)1994年(平成6年)3月30日付け「東京読売新聞」(夕刊、14頁)に、「[ポシェット]留守中の宅配便悩み解消『受け取り君』」の見出しの下、「小袋入りの収納袋をドアにはさんで固定する。配達人は袋を広げて荷物を入れ南京錠をかける。認め印代わりに、印鑑は、あらかじめ押したシールを小袋に用意しておくから大丈夫。」の記載がある。
(5)1995年(平成7年)7月22日付け「日経流通新聞」(7頁)に、「留守宅に便利な宅配物置、和泉化成(新製品)」の見出しの下、「留守中に宅配物が受け取れる屋外型収納物置『宅配物置バーンケース93型』。幅88×奥行き55×高さ92センチのポリプロピレン製。」の記載がある。
(6)1998年(平成10年)3月3日付け「日刊工業新聞」(17頁)に、「クリナップ、アパート用の電気式留守番ロッカーを発売。宅配便や郵便小包用に」の見出しの下、「主婦の社会進出などで昼間の不在率が高まっていることから、不在時に配達された宅配便や郵便小包を確保する。・・・ボックスの大きさは間口四十五センチメートル、奥行き四十五センチメートルで、高さが四十五センチメートル、六十センチメートル、ゴルフバッグが収納できる百二十センチメートル、の三種類。」の記載がある。
(7)1999年(平成11年)5月20日付け「日経産業新聞」(23頁)に、「日本通運、ペリカン便お預かりポスト??自社専用限界(なぜ売れない新・誤算の研究)」の見出しの下、「日通の『ペリカン便お預かりポスト』は通常の宅配便からゴルフバッグまでを収納できる十個のカギ付きボックスを備えた高さ一メートル八十センチ、横一メートル四十八センチのロッカーで、百世帯以上のマンションなどに無料で設置してきた。」の記載がある。
(8)2000年(平成12年)8月1日付け「中日新聞」(夕刊、8頁)に、「宅配物自動受け渡し 千葉市 新システム 来月から実験 数年後」の見出しの下、「玄関に宅配ボックスを設置し、宅配便、クリーニングなどをコンピューターシステムなどにより二十四時間管理する『宅配自動受け渡しシステム』サービスの流通実験が、九月から千葉市稲毛区内で始まる。家庭のコンピューターを使った電子商取引時代に向けての試みだ。このシステムは、各家庭に通信回線を接続した宅配ボックスを設置。クリーニング、米穀店、通信販売業者、デパートなどからの商品配達、郵便物などを収納する。」の記載がある。
(9)2013年(平成25年)9月16日付け「東京読売新聞」(朝刊、18頁)に、「[住]戸建てに宅配ボックス 多様な設置方法 門柱埋め込みなど」の見出しの下、「宅配ボックスは高さ約1・8メートル、幅約50センチ、奥行き約60センチの金属製。収納棚が縦に三つ並ぶ3段式で、門扉の外側に届け口、内側に受け取り口がある。コンピューター制御されており、荷物を納めた宅配業者が扉を閉めると自動的に鍵がかかる。届け口側の操作盤に印鑑をセットしておき、業者が伝票を差し込むと、受領印が押印される仕組み。」の記載がある。
2 本願の指定役務との関係における「宅配収納」、「宅配」及び「収納」の文字の使用例について
(1)「RESIDIA」のウェブサイトにおいて、「カスタマーサポート」の見出しの下、「宅配収納らくらく便」の項に、「季節品やすぐに使わないものを専用ボックスに入れてお預かりします。宅配便で送るだけですので簡単にご利用できます。」の記載がある。
(http://www.residia.jp/support/clear)
(2)「HIROIE【ヒロイエ】」のウェブサイトにおいて、「宅配してくれるトランクルーム/アプリで簡単に収納できるトランクルーム」の見出しの下、「搬入・搬出作業不要」、「荷物のお預入れは専門のスタッフがお伺いして梱包・配送します。お取り出しも宅配でとっても楽ちん♪」の記載がある。
(http://www.hiroie.jp/)
(3)「LogisticsToday」のウェブサイトにおいて、「阪神電鉄、宅配収納サービスでプロ向け書籍ECと提携」の見出しの下、「阪神電鉄が新規事業として昨年5月に立ち上げた利創庫は、宅配便を活用し、専用ボックス(段ボール)の送付を受けた顧客が書籍などの荷物を封入・送付した後、荷物を倉庫で保管するサービスで、個人顧客が段ボール一箱から利用でき、宅配便関連の費用負担も生じない。」の記載がある。
(http://www.logi-today.com/208146)
(4)「FELISSIMO」のウェブサイトにおいて、「集荷も返却も電話1本」の見出しの下、「宅配ボックス収納保管レギュラーサービス」、「オフシーズンのものや思い出の品々を、お送りいただいたボックスの状態のままでプライバシーを守ってお預かりします。」の記載がある。
(http://www.felissimo.co.jp/kajisapo/html/service04.cfm)
(5)「コロクリ」のウェブサイトにおいて、「衣類保管+クリーニング」の見出しの下、「コロクリは、『宅配クリーニング+衣類保管』と『かけつぎ・かけはぎ』の専門店です。衣替え時になれば、季節外れの衣類をコロクリバックに詰め込み、後は宅配で送るだけでOK!後はコロクリがバッチリクリーニング後に保管し、宅配でお届けます!・・・宅配クリーニング後の衣類も防虫剤と通気性衣類カバー付きの『収納らくらく梱包』なので、次の衣替えは、宅配お受け取り後そのままクローゼットに収納保管するだけでラクラクです。」の記載がある。
(http://www.korokuri.com/)
(6)「株式会社ワラケン東濃事業所」のウェブサイトにおいて、「荷主様の手を煩わせない/シマウマン」の見出しの下、「シマウマンは、引越・単身赴任・進学・改築など生活環境の変化によって収まらなくなる物をお預かりするサービスです。お荷物の引取り、収納、お届け、使わなくなった場合の廃棄処分(お預かりしているものに限ります。)まで、荷主様のお手を煩わせることなくお預かりいたします。」の記載がある。
(http://www.simauman.com/)
(7)2004年(平成16年)6月6日付け「日本経済新聞」(朝刊、29頁)に、「貸しスペースなぜ増える???2003年問題で中古ビル変身(エコノ探偵団)」の見出しの下、「身近な収納場所『収納スペースが足りないのでしょう。みなさん、本などを大量に置かれていますよ』・・・利用者が同社のサイトで住所や荷物の量などを入力すると、宅配便で段ボール箱が自宅に届く。それに荷物を入れて送り返せば作業は完了。利用者は段ボール箱に対応した同社のデータベースにアクセスできる。『必要になったら一日で送り返せるから、家の納戸で目当てのものを探すよりずっと早いし簡単ですよ』」の記載がある。
(8)2008年(平成20年)4月12日付け「日本経済新聞」(朝刊、13頁)に、「三井物産、レンタル収納本格化、コンビニ併設の新型開業。」の見出しの下、「利用者が収納時に必要な雑貨用品を購入したり、取り出した荷物を宅配便で発送するなど、コンビニ店との相乗効果が期待できるという。レンタル収納スペースの出店適地は交通の便や敷地の形、日照条件などの制約を受けにくい。」の記載がある。
(9)2009年(平成21年)4月20日付け「流通新聞」(11頁)に、「寺田倉庫??女性ブーツ2足から預かり、『身近さ』で主婦取り込み(新発想で勝負)」の見出しの下、「倉庫業大手の寺田倉庫(東京・品川)は洋服や本など小荷物を保管するトランクルームサービスに力を入れる。このほど女性用ブーツを二足から預かる新サービスを始めた。使い方はインターネットで申し込み、宅配便で荷物を送るだけ。・・・寺田倉庫が段ボール一箱から荷物を保管するサービス『ちょこトラ』を始めたのは二〇〇七年十二月だ。都心のマンションは収納スペースが小さい場合が多いため、トランクルームの潜在需要は大きい。」の記載がある。
(10)2009年(平成21年)7月7日付け「住宅新報」(5頁)に、「レンタル収納スペース資産活用策で脚光」の見出しの下、「利用者にとっても、荷物を梱包する資材をコンビニで手に入れられるほか、例えばゴルフを愛好する利用者の場合、プレイの際に収納しているゴルフクラブをゴルフ場へ宅配便で送る手間が省けるメリットがある。駐車場も確保されており、利便性が高い。」の記載がある。
(11)2010年(平成22年)2月4日付け「日本経済新聞」(夕刊、167頁)に、「倉庫の中身、ネットで一覧??収納サービス、出し入れ自在(ネットナビ)」の見出しの下、「新しい家の収納スペースが今の自宅より狭いと荷物があふれる。そんなときに便利なのがインターネットで荷物の出し入れを注文できる収納サービスだ。部屋を広々と使うため、上手に活用してみてはいかがだろうか。収納サービスを使えば、かさばる荷物をサービス提供会社の倉庫に預け、物を捨てずに収納スペースを確保できる。必要な品物は一覧画面からマウスで指定するだけで届く。」の記載がある。
(12)2015年(平成27年)8月3日付け「産経新聞」(大阪夕刊、5頁)に、「【彩前線】トランクルーム おしゃれ内装、気軽に別荘気分」の見出しの下、「阪神電気鉄道も、宅配便で送られてきた書籍などを1カ月単位で預かるサービスを始めた。返還する際も宅配便で自宅まで届ける。」の記載がある。

審理終結日 2016-10-03 
結審通知日 2016-10-07 
審決日 2016-10-19 
出願番号 商願2015-15378(T2015-15378) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W2039)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 赤澤 聡美 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 大井手 正雄
中束 としえ
商標の称呼 タクハイシューノー、シューノー 
代理人 橘 哲男 
代理人 佐藤 大輔 

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