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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W41
管理番号 1323574 
審判番号 取消2015-300741 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-10-19 
確定日 2016-12-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第5519879号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5519879号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5519879号商標(以下「本件商標」という。)は、「DESIGNPLEX」及び「デザインプレックス」の文字を二段に書してなり、平成24年1月31日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書の貸与,書籍の制作,教育・文化用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),教育研修のための施設の提供」を指定役務として、平成24年9月7日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成27年11月2日である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めて、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれもが使用した事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
被請求人は、本件商標は、商標権者に許諾された通常使用権者である「株式会社日本ライセンスバンク」による使用である、などと主張し、乙各号証を提出しているが、いずれも理由のないものである。また、被請求人が提出した証拠に記載された標章は、本件商標と異なるものであり、本件商標は使用されているとはいえない。
そして、被請求人の提出に係る証拠については、信憑性が疑わしく、使用の主体についても明らかではなく、本件商標は使用されているとはいえない。
(1)証拠の信憑性
「2013 空間デザインプロフェッショナル総合コース(昼間部総合クラス1年制)第5期生」案内パンフレット(乙1)、「2013(第5期生)募集要項空間デザインプロフェッショナル総合コース昼間部総合クラス(1年制)」パンフレット(乙8)及び「第5期生募集開始の案内パンフレット」(乙9)を含む乙第1号証ないし乙第4号証、乙第8号証ないし乙第15号証は、被請求人が作成又は改ざん可能であり、上記パンフレットが、実際に印刷されたものか不明であって、頒布された日付、頒布した主体についての記載がない。仮にこのパンフレットが印刷されていたとしても、倉庫等に保管され頒布されなかった可能性もある。また、このパンフレットを受け取った人物を特定する客観的な証拠もない。
(2)本件商標の使用の主体及び使用時期
前述したように各証拠の信憑性は極めて疑わしいが、以下では一応信憑性があると仮定して進める。
ア 乙第1号証等について
被請求人の主張は、登録商標またはこれに類似する商標は、原則として商標権者及び使用権者以外の者は使用できないのであるから、乙第1号証には株式会社日本ライセンスバンク(以下「ライセンスバンク社」という。)という明示はないものの、ライセンスバンク社が商標権者である矢印を丸めた図形からなる登録第4267287号商標(以下「矢印図形商標」という。)や、当初はライセンスバンク社が商標権者であり、現在は、株式会社リカレントキャリア(以下「リカレントキャリア社」という。)が商標権者となっている「リカレント」の文字からなる登録第4186504号商標(以下「リカレント商標」という。)が記載された乙第1号証を頒布等できる者は、「矢印図形商標」の商標権者であるライセンスバンク社であると主張しているものと解されるところ、乙第1号証には、その頒布日、更には、その発行者が「ライセンスバンク社」であることについての記載もない。この点、被請求人は、乙第1号証を印刷会社に印刷依頼した後の校了日(2012年5月23日)の電子メール(依頼者欄に「ライセンスバンク社」)と主張する乙第2号証、乙第2号証の電子メールに添付された各種パンフレットの発注確認書と主張する乙第3号証、印刷会社から送られてきたPDFの出力内容と主張する乙第4号証を提出しているが、乙第2号証は単なるメールのコピーらしきものであり、改ざん可能なものである。ましてや、乙第3号証は市販の表計算ソフト等で後から極めて容易に作成できるもの、乙第4号証は、単に手書きで日付を記載したものにすぎない。
乙第2号証には、「昼間部総合パンフレットのPDFをお送りいただき…」との記載があるが、当該PDFが乙第4号証であることを証明する客観的証拠はない。乙第3号証では、「リカレントパンフレット2012-2013」となっているが、ここで示された「リカレントパンフレット2012-2013」が乙第1号証のパンフレットであると断定することはできない。また、印刷会社によって印刷されたのであれば、乙第1号証の印刷に関して請求書、これに対応する入金を示す銀行通帳の控え等があるはずであるが、それは提出されていない。
したがって、乙第1号証に示すパンフレットが、実際に発注されて印刷され、かつ頒布されたかは不明である。
そして、「矢印図形商標」は、その商標権者であるライセンスバンク社だけでなく、使用許諾を受けた第三者も使用できる。乙第1号証には、頒布者の明示がないので、かかる第三者が乙第1号証のパンフレットを頒布することも想定でき、この場合、本件商標は、その通常使用権者等(被請求人の主張に従えばライセンスバンク社)によって使用されたことにはならない。
また、「リカレント商標」については、ライセンスバンク社名義で設定登録された後、平成25年4月15日にリカレントキャリア社に譲渡されているから、ライセンスバンク社が「リカレント商標」の商標権者であったのは、設定登録された平成10年9月11日から平成25年4月14日までである。そして、同様に、「リカレント商標」は、その商標権者からこの登録商標について使用許諾を受けた第三者も使用できる。この場合、本件商標は、その通常使用権者等(被請求人の主張に従えばライセンスバンク社)によって使用されたことにはならない。
被請求人は、ライセンスバンク社は本件商標の通常使用権者であるなどと主張しているが、被請求人は、本件審判請求登録日前からライセンスバンク社は本件商標の通常使用権者であった旨の証拠を提出していない。被請求人は、乙第7号証「通常使用権許諾書」を提出しているが、その日付は平成27年12月18日であり、本件審判請求登録日後であって、それ以前は、ライセンスバンク社は、本件商標の通常使用権者ではないことを自ら認めているものである。
以上のとおり、乙第1号証は、実際に印刷されたか否か、頒布されたか否かは不明であり、仮に印刷・頒布されたとしても、誰が頒布したのか明示がなく、ライセンスバンク社以外の者の頒布の可能性があり、かつ、ライセンスバンク社は本件審判請求の登録前3年以内(以下「本件要証期間内」という。)に本件商標の通常使用権者であるということはできない。
イ 乙第8号証及び乙第9号証について
被請求人は、乙第8号証について、本件商標の通常使用権者、ライセンスバンク社が乙第1号証とともに頒布した募集要項であり、その表紙と裏表紙には、乙第1号証に表示された商標と同じ商標が表示されていると主張している。
しかしながら、乙第8号証には、乙第1号証と同様、その頒布日、その発行者がライセンスバンク社であることについての記載もない。この点、被請求人は、乙第8号証を印刷会社に印刷依頼する際に取り寄せた2012年5月23日付の見積書と主張する乙第10号証、乙第8号証の見積りから納品場所などについて2012年5月18ないし24日までの間にやりとりされた電子メール一式と主張する乙第11号証、乙第8号証の印刷注文依頼書と主張する乙第12号証を提出しているが、これらも乙第2号証ないし乙第4号証と同様、単なるメールのコピーらしきもの等、改ざん可能なものであるし、乙第8号証と乙第10号証ないし乙第12号証とを結びつける具体的証拠はない。なお、乙第10号証は見積書であり、実際にパンフレットが印刷されたのであれば、印刷に関する請求書等があるはずであるが、被請求人からは提出されていない。
乙第9号証についても、同様に、実際に印刷されたか否か、頒布されたか否かは不明であり、仮に印刷・頒布されたとしても、誰が頒布したのか明示がなく、ライセンスバンク社以外の者の頒布の可能性があり、かつ、ライセンスバンク社は本件要証期間内に本件商標の通常使用権者であるということはできない。
ウ 乙第13号証及び乙第14号証について
乙第13号証及び乙第14号証について、その頒布日、その発行者がライセンスバンク社であることについての記載もない。また、乙第14号証の印刷を発注する際にやりとりされた2015年11月9日付の電子メール・受注内容一式と主張する乙第15号証を提出しているが、2015年11月9日は、明らかに本件審判請求登録日後であり、被請求人は、乙第13号証ないし乙第15号証からは、出荷日の翌日である2015年11月16日から乙第10号証及び乙第11号証の頒布が開始されたことを知ることができ、本件審判請求の登録日以前から実質的な使用行為とみなすに足る使用準備行為が行われていたことが明らかとなると主張している。
しかしながら、「登録商標の使用」とは、「実質的に商標として使用されている」ことを必要とするものであると解されるところ、使用準備行為はかかる行為に該当しないことは明らかであるし、商標法第50条第2項但し書の「正当な理由」が被請求人に存在するとも到底考えられない。
したがって、乙第13号証及び乙第14号証についても、乙第1号証と同様に、実際に印刷されたか否か、頒布されたか否かは不明であり、仮に印刷・頒布されたとしても、誰が頒布したのか明示がなく、ライセンスバンク社以外の者の頒布の可能性があり、かつ、ライセンスバンク社は本件要証期間内に本件商標の通常使用権者であるということはできない。
(3)本件商標の使用
各証拠に記載された標章の使用態様は「RECURRENT SCHOOL OF DESIGNPLEX」、「リカレント スクール オブ デザインプレックス」であり、「DESIGNPLEX」又は「デザインプレックス」が単独で使用されている態様はない。そして、「RECURRENT SCHOOL OF DESIGNPLEX」及び「リカレント スクール オブ デザインプレックス」は、「デザインプレックスという再入学学校」などという観念を有する一体不可分の標章である。
したがって、上記、各証拠に記載された標章の使用態様は、商標の類否判断における称呼、観念、外観とも「デザインプレックス」とは異なると判断されるものであり、仮に被請求人が「リカレント スクール オブ デザインプレックス」を使用していたとしても、本件商標を使用しているとはいえない。
よって、商標権者等は、本件商標を使用しているとはいえない。
(4)証拠に信憑性がない根拠
甲第5号証ないし甲第8号証、甲第13号証ないし甲第18号証は、請求人の従業員が、以前「リカレント」に資料請求し、該従業員宛に送付されてきたメール及び案内書等一式である。
甲第7号証「2013 空間デザインプロフェッショナル総合コース(昼間部総合クラス1年制)第5期生」は、乙第1号証に、また、甲第8号証「2013(第5期生)募集要項空間デザインプロフェッショナル総合コース昼間部総合クラス(1年制)」は、乙第8号証に、それぞれ相当するものである。
甲第7号証及び甲第8号証に記載されているものは、「RECURRENT SCHOOL OF DESIGN」、「リカレント スクール オブ デザイン」であって、乙第1号証及び乙第8号証のような「RECURRENT SCHOOL OF DESIGNPLEX」、「リカレント スクール オブ デザインプレックス」ではない。さらに、被請求人が資料を発送した日は、甲第5号証(上記資料請求に対する、及び資料送付後の「リカレント」からの請求人従業員宛のメール)に明記されているとおり「2012年8月21日」であり、これは、被請求人が乙第1号証及び乙第8号証の使用期間として主張する2012年5月ないし2013年4月の期間中である。
したがって、乙第1号証及び乙第8号証は、本件審判を請求された後に、被請求人が「DESIGN」を「DESIGNPLEX」と改ざんした、又は捏造して提出されたものであるか、印刷はしたものの頒布されなかった冊子などについて、頒布し、使用されたものであると主張するものであることは明らかである。しかも、「リカレント」と「スクールオブデザイン」の文字(裏表紙)に至っては、ロゴの書体(太字・細字)まで異なるものである。
(5)その他
甲第9号証は、2016年2月5日時点でのリカレントのホームページであり、その左上部に、「矢印図形商標 リカレント スクール オブ デザインプレックス」、「「リカレントスクールオブデザインプレックス」は、2009年設立のリカレントスペースデザイン分野 全日制クラスのスクールブランドです」、「※「リカレント」ならびに「デザインプレックス」はリカレントグループの登録商標です」などの表示がある。
これに対して、甲第10号証は、同ホームページの2015年4月5日時点のアーカイブデータであり、これらによれば、リカレントは、2015年4月時点で「リカレント スクール オブ デザインプレックス」、「デザインプレックス」を用いておらず、本件審判の請求後に、ウェブサイト上の「リカレント スクール オブ デザイン」の表示を「リカレント スクール オブ デザインプレックス」と書き換えたことは明らかである。
甲第11号証は、2014年2月20日、甲第12号証は、2013年3月19日におけるリカレントのFACEBOOKの記事であり、リカレント スクール オブ デザインプレックス」及び「デザインプレックス」の表示は存在しない。
さらに、上記資料として同封されてきた甲第13号証(表裏表紙のみ)「Recurrent SCHOOL GUIDE 2012-2013」、甲第14号証(表裏表紙のみ)「RECURRENT KOUZA GUIDE 2012-2013 INTERIOR/スペースデザイン 案内書 107.108.109期生」、甲第15号証「重要事項説明書」、甲第16号証(表裏表紙のみ)「教育訓練給付ガイド2012」、甲第17号証「コース申込書」、甲第18号証(表裏表紙のみ)「Recurrent LOCATION MAP 2012-2013 リカレント校舎マップ」にも、「好きを仕事にする学校(矢印図形商標)リカレント」などと表示されているのみであり、本件商標又はこれに類似する商標「DESIGNPLEX」、「デザインプレッックス」の表示は全く存在しない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第15号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標の使用事実の要点
本件商標は、商標権者に許諾された通常使用権者である「ライセンスバンク社」により、本件要証期間内に我が国においてその請求に係る指定役務中「知識の教授」について使用されている。
(2)本件商標の使用の事実
ア 本件商標の使用者
乙第1号証は、「2013 空間デザインプロフェッショナル総合コース(昼間部総合クラス1年制)第5期生」案内パンフレットであり、その表紙に「RECURRENT SCHOOL OF DESIGNPLEX」が表示されているほか、その裏表紙にも「スクール オブ デザインプレックス」が表示されているものであり、「空間デザインのトータルプロデュース力を習得」するために用意された養成カリキュラムのラインアップの具体的な紹介を内容とするものである。
乙第2号証は、乙第1号証を印刷会社に印刷依頼した後の校了日(2012年5月23日)にやりとりされた電子メール一式を示すものであり、依頼者欄には、本件商標の通常使用権者が記載されている。
乙第3号証は、乙第2号証の電子メールに添付された各種パンフレットの発注確認書であり、その最下欄には、乙第1号証の発注予定数が記載されている。
乙第4号証は、印刷会社から乙第1号証の発注者である本件商標の通常使用権者の担当者に送られてきたPDFの出力内容であり、乙第1号証の内容に対応している。
しかも、乙第1号証の裏表紙には、乙第5号証の商標公報からも明らかなように、ライセンスバンク社が商標権者である「矢印図形商標」と、乙第6号証の商標公報からも明らかなように、当初はライセンスバンク社が商標権者であり、現在はリカレントキャリア社が商標権者となっている「リカレント商標」と社会通念上同一と認められる「リカレント」が表示されている(以下、両商標登録の表示をまとめて「リカレント商標等」という。)。
そして、本件商標権者は、本件商標が設定登録されて以降、現在に至るまでライセンスバンク社に対し通常使用権を許諾してきており、乙第7号証「通常使用権許諾書」は、その証左のひとつとして改めて作成した上で提出するものである。
以上の事実関係からして、乙第1号証は、本件商標の通常使用権者により頒布されたものであることは明らかである。
乙第8号証「2013(第5期生)募集要項空間デザインプロフェッショナル総合コース昼間部総合クラス(1年制)」パンフレットは、本件商標の通常使用権者が乙第1号証とともに頒布した募集要項であり、その表紙と裏表紙とには、乙第1号証に表示された商標と同じ商標が表示されている。
乙第9号証「資料請求をいただいた皆様へ空間デザインプロフェッショナル総合コース(1年制)第5期生募集開始のご案内」パンフレットは、乙第1号証と乙第8号証とを取り寄せた入学希望者に頒布された「募集開始のご案内」であり、その下欄には、「リカレント商標等」及び「スクール オブ デザインプレックス」がそれぞれ表示されている。
乙第10号証は、乙第8号証を印刷依頼する際に取り寄せた2012年5月23日付けの「御見積書」であり、その発注者欄には、本件商標の通常使用権者が記載されている。
乙第11号証は、乙第8号証の見積りから納品場所などについて、2015年5月18日から同24日までの間にやりとりされた電子メール一式を示すものであり、依頼者側には、本件商標の通常使用権者が記載されている。
乙第12号証は、乙第8号証の印刷注文依頼書であり、本件商標の通常使用権者の担当者が依頼者として記載されている。
乙第13号証は、「空間デザインプロフェッショナル総合コース(2016)1年総合クラス 全日制」案内パンフレットであり、その表裏の各表紙に「リカレント商標等」が表示されているほか、裏表紙に「スクール オブ デザインプレックス」が表示されているものであり、「未経験から1年間で空間デザインのプロになる!」ための資格を取得のためのカリキュラムを紹介する内容となっている。
乙第14号証「2016(第8期生)募集要項空間デザインプロフェッショナル総合コース1年総合クラス(全日制)」パンフレットは、本件商標の通常使用権者が乙第13号証とともに頒布した募集要項であり、その表紙と裏表紙とには、乙第1号証に表示された商標と同じ商標が表示されているほか、「リカレント商標等」が表示されている。
乙第15号証は、乙第14号証の印刷を発注する際にやりとりされた2015年11月9日付けの電子メール・受注内容一式を示すものであり、依頼者側には、本件商標の通常使用権者が記載されている。
イ 使用に係る役務
乙第1号証及び乙第13号証は、「空間プロデュースに関する知識の教授」の内容について紹介するものであり、乙第8号証及び乙第14号証は、「空間プロデュースに関する知識の教授」を行うための募集要項である。
ウ 使用に係る商標
乙第1号証並びに乙第8号証及び乙第13号証並びに乙第14号証の裏表紙に表示されている「RECURRENT SCHOOL OF DESIGNPLEX」は、「DESIGNPLEX」部分が、「スクール オブ デザインプレックス」は、「デザインプレックス」部分がそれぞれの要部となっており、本件商標と社会通念上同一と認められる。
エ 使用時期
乙第1号証には、「第5期生」の募集期間である2012年5月から2013年4月までの間であり、この期間が乙第1号証の頒布期間となる。
乙第8号証には、「2013(5期生)募集要項」と記載されていて、乙第1号証と同様に2012年5月から2013年4月までが乙第5号証の頒布期間となる。
したがって、乙第1号証及び乙第8号証によれば、本件商標は、本件要証期間内である2012年11月から2013年4月までの間に日本国内において頒布して使用されていたことが明らかとなる。
乙第13号証には、「2016年4月生/2016年10月生募集」の記載、乙第14号証には、「2016(第8期生)募集要項」と記載されている。
乙第15号証の電子メール一式には、注文確認が2015年11月9日に行われたことが記載されているほか、印刷通販サイトの「注文情報」欄にその出荷日が2015年11月15日である旨記載されている。
したがって、乙第13号証ないし乙第15号証からは、出荷日の翌日である2015年11月16日から乙第10号証及び乙第11号証(審決注:「乙第13号証及び乙第14号証」の誤りと認められる。)の頒布が開始されたことを知ることができ、本件審判請求の登録日以前から実質的な使用行為とみなすに足る使用準備行為が行われていたことが明らかとなる。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、本件要証期間内に日本国内において通常使用権者が指定役務中の「知識の教授」について使用していることは明らかである。

第4 当審の判断
被請求人は、本件商標の通常使用権者「ライセンスバンク社」が、「空間プロデュースに関する知識の教授」について本件商標と社会通念上同一の商標を、その募集案内及び募集要項に使用している旨主張し、証拠を提出しているので、被請求人及び請求人の主張及び提出された証拠について検討する。
1 乙第1号証及び乙第8号証について
(1)乙第1号証は、2013年の募集案内パンフレット(以下「2013募集パンフレット」という。)として提出されたものであり、その表紙には「空間デザインプロフェッショナル総合コース 昼間部総合クラス(1年制) 第5期生」及び「RECURRENT SCHOOL OF DESIGNPLEX」、裏表紙には「スクール オブ デザインプレックス」の記載が認められ、また、該パンフレットの内容は、空間デザインに関する1年間のカリキュラム及びその特長が紹介されている。
そして、乙第8号証は、2013年の募集要項(以下「2013募集要項」という。)として提出されたものであり、その表紙には、「2013 第5期生」、「空間デザインプロフェッショナル総合コース 昼間部総合クラス(1年制)」及び「RECURRENT SCHOOL OF DESIGNPLEX」、裏表紙には「スクール オブ デザインプレックス」の記載が認められる。
したがって、「2013募集パンフレット」(乙1)及び「2013募集要項」(乙8)は、空間デザインに関する知識を習得するコースの紹介及び受講生募集を内容とするものであるから、本件審判請求に係る指定役務中「知識の教授」の範疇に属する役務「空間デザインに関する知識の教授」に関するパンフレットであり、「RECURRENT SCHOOL OF DESIGNPLEX」及び「リカレント スクール オブ デザインプレックス」の表示が使用されていることが認められる。
(2)ところで、「2013募集パンフレット」(乙1)及び「2013募集要項」(乙8)は、その「募集受付期間」について第1次募集期間から第3次募集期間を設けているものであり、その最終募集受付期間(第3次募集期間)の末日が平成24年8月31日であることから、上記募集要項は、その募集が締め切られる平成24年8月末日まで頒布したものとみるのが自然であり、同様に「2013募集パンフレット」についても、同時期まで頒布されたものとみるのが相当である。
そして、被請求人は、「2013募集パンフレット」(乙1)及び「2013募集要項」(乙8)の頒布期間は、本件要証期間内の平成25年4月までであると主張するが、最終募集期間(第3次募集期間)の末日以降に頒布したことを認めることができる証拠を提出していない。
(3)なお、被請求人は、「2013募集パンフレット」(乙1)の発注の事実について、「乙第2号証は、(通常使用権者が)「2013募集パンフレット」(乙1)を印刷会社に印刷依頼した後の校了日(2012年5月23日)にやりとりされた電子メール一式であり、乙第3号証は、乙第2号証の電子メールに添付された各種パンフレットの発注確認書であって、その最下欄には、「2013募集パンフレット」(乙1)の発注予定数が記載されている」旨主張している。
しかしながら、乙第2号証(電子メール)は、件名を「昼間部総合パンフレット校正」として、その内容に「昼間部総合パンフレットのPDF」及び「CDAのパンフレット」と記載されているが、添付書類とする乙第3号証は、各種パンフレットの発注確認書とするものであって、その最下欄には、「ICF講座昼間部総合ガイド2012-2013」及びその納品予定日として「2012年6月1日」と記載されているが、これらの記載には、「空間デザインプロフェッショナル総合コース 昼間部総合クラス(1年制) 第5期生」(「2013募集パンフレット」(乙1))に符合する表示が確認できないものであり、その他の記載からみても、該パンフレットの印刷が発注されたものと認めることはできない。
さらに、被請求人は、「2013募集パンフレット」(乙1)と、「昼間部総合パンフレット」(乙2)、「CDAのパンフレット」(乙2)及び「ICF講座昼間部総合ガイド2012-2013」(乙3)の関係について明らかにする証拠を提出していない。
また、「2013募集要項」(乙8)については、同様に、平成24年5月23日付け見積書(乙10)、納品場所等に関する電子メール一式(乙11)及びFAX送信用の発注書面(乙12)が提出されているが、これらにより、「2013募集要項」(乙8)について、ライセンスバンク社が、平成24年5月24日までに印刷会社に見積りを依頼したといえるとしても、「2013募集要項」(乙8)が納品された事実を確認することはできない。
その他に、被請求人は、ライセンスバンク社による「2013募集パンフレット」(乙1)及び「2013募集要項」(乙8)の作成及び頒布の事実についての証拠を提出していない。
(4)したがって、上記(2)及び(3)により、「2013募集パンフレット」及び「2013募集要項」は、本件要証期間内に頒布されたものと認めることはできない。
(5)一方、請求人従業員が、2012年8月に、「リカレント」に請求した甲第6号証ないし甲第8号証、甲第13号証ないし甲第18号証によれば、甲第6号証は、リカレントの「挨拶文」、甲第7号証は、乙第1号証に記載された「RECURRENT SCHOOL OF DESIGNPLEX」が「RECURRENT SCHOOL OF DESIGN」と、「リカレント スクールオブデザインプレックス」が「リカレント スクールオブデザイン」とされていること以外は、乙第1号証と同じ内容が記載された2013年の募集パンフレットである。
甲第8号証は、乙第8号証の表紙に記載された「RECURRENT SCHOOL OF DESIGNPLEX」が「RECURRENT SCHOOL OF DESIGN」と、「リカレント スクールオブデザインプレックス」が「リカレント スクールオブデザイン」と記載されているものであり、「募集受付期間」(第1次募集期間ないし第3次募集期間があり、第3次募集期間は2012年10月1日(月)?同月26日(金)である。)及びイベントインフォメーションの開催日程の記載が相違する以外は、乙第8号証と同じ内容が記載された2013年の募集要項である。
また、甲第13号証は、「Recurrent SCHOOL GUIDE 2012-2013」の表紙及び裏表紙、甲第14号証は、「INTERIOR SPACE DESIGN DEPARTMENT」(2012-2013)の表紙及び裏表紙、甲第15号証は、「重要事項説明書」、甲第16号証は、「教育訓練給付ガイド2012」、甲第17号証は、「コース申込書」、甲第18号証は、「Recurrent LOCATION MAP 2012-2013 リカレント校舎マップ」であり、いずれにも「RECURRENT SCHOOL OF DESIGNPLEX」又は「リカレント スクールオブデザインプレックス」の表示はない。
(6)そして、「重要事項説明書」(甲15)における「事業主の名称 株式会社 日本ライセンスバンク (スクール名:リカレント)」の表示によれば、請求人従業員が、資料請求を行った上記(5)の「リカレント」は、「ライセンスバンク社」と認められるものであるから、甲第6号証ないし甲第8号証、甲第13号証ないし甲第18号証は、「ライセンスバンク社」から送付されたものといえる。
そうすると、甲第7号証及び甲第8号証の装丁並びに記載内容及び請求時期からみると、甲第7号証は、「2013募集パンフレット」(乙1)に、甲第8号証は、「2013募集要項」(乙8)に対応するものであることが認められるものであり、被請求人が提出した乙第1号証及び乙第8号証の表紙、裏表紙及び会員学則の欄に表示された「RECURRENT SCHOOL OF DESIGNPLEX」及び「リカレント スクール オブ デザインプレックス」は、甲第7号証及び甲第8号証の表紙、裏表紙及び会員学則の欄の同じ位置に、「RECURRENT SCHOOL OF DESIGN」及び「リカレント スクール オブ デザイン」と表示されていることが認められる。
さらに、本件審判請求後(平成28年2月5日)の「リカレント」のホームページ(甲9)には、「リカレント スクール オブ デザインプレックス」の表示が認められるが、他方、アーカイブデータによる、本件審判請求前(平成27年4月5日)の「リカレント」のホームページ(甲10)には、「リカレント スクール オブ デザイン」の表示が認められる。
2 乙第13号証及び乙第14号証について
被請求人は、2016年の募集案内パンフレット(乙13、以下「2016募集パンフレット」という。)、2016年の募集要項(乙14、以下「2016募集要項」という。)及び乙第14号証に係る印刷会社とライセンスバンク社との電子メール一式(乙15)により、平成27年11月16日から、「2016募集パンフレット」(乙13)が頒布されたことがわかるものであり、本件審判の予告登録日以前から、本件商標の実質的な使用行為とみなすに足りる行為が行われたと主張する。
そこで、乙第13号証ないし乙第15号証についてみると、「2016募集パンフレット」(乙13)及び「2016募集要項」(乙14)には、その表紙及び裏表紙に「RECURRENT SCHOOL OF DESIGNPLEX」及び「リカレント スクール オブ デザインプレックス」の表示が認められるものであり、「2016募集要項」(乙14)は、その注文確認に係るメール一式(乙15)の日付及びその「注文情報」の記載からすると、その注文日は平成27年11月9日とされ、納品日は同月15日とされているが、「2016募集パンフレット」(乙13)及び「2016募集要項」(乙14)について、納品の事実は、被請求人の証拠により確認できない。
また、被請求人は、「2016募集パンフレット」及び「2016募集要項」の準備期間において、本件商標の使用が実質的に行われたものとみるべきであると述べているが、商標法第50条第2項に規定する商標の使用を立証するためには、要証期間内における、商標の使用の行為を具体的に立証する必要があるから、それ以前における本件商標の使用を準備していたことにより、商標の使用を認めることはできず、さらに、その納品日からみても、それらが頒布可能になるのは、本件要証期間経過後である。
3 通常使用権者について
通常使用権許諾証書」(乙7)によれば、商標権者は、平成27年12月18日付(本件審判請求後)で、ライセンスバンク社に本件商標の使用を許諾していることが認められる。そして、被請求人(商標権者)は、本件商標が設定登録されて以降、ライセンスバンク社に本件商標の通常使用権を許諾している旨主張しているが、これを立証する証拠の提出はない。また、「通常使用権許諾証書」(乙7)締結日以前において、商標権者とライセンスバンク社とが、業務上、密接な関連性を有していたことを確認できる証拠の提出もないものであるから、ライセンスバンク社は、本件要証期間内に本件商標の使用について(黙示の)許諾があったものとは認められない。
4 小括
以上の事実を総合すると、ライセンスバンク社は、「2013募集パンフレット」(乙1)及び「2013募集要項」(乙8)、「2016募集パンフレット」及び「2016募集要項」(乙13及び乙14)を、本件要証期間内に頒布したものと認めることはできない。
また、上記1(5)及び(6)のとおり、「2013募集パンフレット」(乙1)及び「2013募集要項」(乙8)の募集期間内に「ライセンスバンク社」から送付されたと認められる甲第7号証及び甲第8号証の表示及び本件審判請求の前後における「リカレント」(ライセンスバンク社)のホームページの表示に照らすと、「2013募集パンフレット」(乙1)及び「2013募集要項」(乙8)が真に作成されたものとにわかに認められない。また、これらについて、被請求人は何らの主張、立証もしていないものであり、「ライセンスバンク社」が役務「空間デザインに関する知識の教授」に関するパンフレットに「DESIGNPLEX」及び「デザインプレックス」の表示が真になされていたものであるか疑問を抱かざるを得ない。
したがって、ライセンスバンク社は、「空間プロデュースに関する知識の教授」について、本件要証期間内に、本件商標を使用したものとは認められないものであり、また、本件商標の通常使用権者であると認めることもできない。
5 むすび
以上のとおり、被請求人及び請求人の主張及びその提出に係る各号証によれば、被請求人は、通常使用権者が、本件要証期間内に、その請求に係る指定役務中「知識の教授」について、本件商標を使用したことを証明し得たということはできない。
さらに、被請求人は、他に本件商標をその指定役務のいずれかについて使用していることを証明していない。
したがって、本件商標は、本件要証期間内に日本国内において、本件商標の指定役務について、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者によっても使用されていないものといわざるを得ないものであり、また、本件商標の指定役務について使用していないことについて正当な理由があるものとも認められないから、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-09-30 
結審通知日 2016-10-05 
審決日 2016-10-26 
出願番号 商願2012-5885(T2012-5885) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (W41)
最終処分 成立  
前審関与審査官 海老名 友子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 小松 里美
堀内 仁子
登録日 2012-09-07 
登録番号 商標登録第5519879号(T5519879) 
商標の称呼 デザインプレックス 
代理人 熊谷 浩明 
代理人 井上 誠一 

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