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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W29
審判 一部申立て  登録を維持 W29
審判 一部申立て  登録を維持 W29
審判 一部申立て  登録を維持 W29
審判 一部申立て  登録を維持 W29
審判 一部申立て  登録を維持 W29
管理番号 1322513 
異議申立番号 異議2016-900122 
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-05-12 
確定日 2016-12-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第5830558号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5830558号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5830558号商標(以下「本件商標」という。)は、「菌活生活」の文字を標準文字で表してなり、平成27年9月9日に登録出願され、第29類「乳製品」及び第30類「菓子,パン,ドレッシング」を指定商品として、同28年1月18日に登録査定、同年2月26日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第5653813号商標(以下「引用商標」という。)は、「菌活」の文字を横書きしてなり、平成25年5月24日に登録出願され、第5類「乳幼児用粉乳,サプリメント(ビタミン剤・アミノ酸剤・滋養強壮変質剤に類似するものを除く。),乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。)」を指定商品として、同26年3月7日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、その指定商品中、第29類「乳製品」について、本件商標は商標法第3条第1項第3号、同項第6号、同法第4条第1項第11号及び同項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2の規定に基づき、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第34号証を提出した。
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は、「菌活生活」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「菌活」の文字は、近時、健康を意識する一般需要者の間で「菌を含む食材(発酵食品など)を積極的に食べる活動」の意として用いられている(甲3)。また、「生活」は、「生存して活動すること。生きながらえること。」等の意味を有する語である(「広辞苑第6版」岩波書店発行)。
そして、これらを組み合わせた「菌活生活」の語は、ヨーグルトなどの「乳製品」を含む食品について、「菌を含む食材を積極的に摂取する生活に適した食品」程の意味合いで多数使用されている事実が認められる(甲4ないし甲22)。
商標法第3条第1項第3号に列挙されている商標は、商品や役務の内容に関わるものであるために、現実に使用され、あるいは、将来一般的に使用されるものであることから、出所識別機能を有しないことが多く、また、これを特定人に独占させることは適切でないため、このような商標の登録を認めないとするのが同号の立法趣旨である。
「菌活生活」の語は、ヨーグルト、チーズなどの「乳製品」について、その内容を表すものとして用いられている多数の使用例がある。
このような状況下で、「菌活生活」の文字からなる本件商標をその指定商品である「乳製品」に使用しても、これに接した需要者は、「菌を含む食材を積極的に摂取する生活に適した食品」程の意味合いを感得するにすぎず、単に該商品の品質・原材料・用途を表示するにすぎないので、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものと認められる。
また、「菌活生活」の語は、指定商品「乳製品」を含む食品分野で普通に用いられている実情があることから、何人もその使用を欲する語であり、独占適応性を有さないものである。
本件商標と同様、「○○生活」からなる構成の商標について、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとして、商標法第3条第1項第3号を根拠に拒絶された商標登録出願が散見される(甲23ないし甲25)。本件商標についても、これらの商標と異なる取扱いをすべき特段の事情はない。
以上より、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 商標法第3条項第1項第6号該当性について
本件商標を、指定商品「乳製品」について使用しても、本件商標に接した需要者は、「菌を含む食材を積極的に摂取する生活」程の意味合いを感得するにとどまり、全体としてそのような意味合いを有することを表す宣伝文句、キャッチフレーズの一種であると理解するにとどまる。
このため、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認められる。
また、本件商標と同様、「○○生活」からなる商標について、識別標識としての機能を有するものとは認められず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないとして、商標法第3条第1項第6号を根拠に拒絶された商標登録出願が散見される(甲26ないし甲33)。本件商標についても、これらの商標と異なる取扱いをすべき特段の事情はない。
以上より、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
3 商標法第4条項第1項第11号該当性について
本件商標中、「生活」の語は、「生存して活動すること。生きながらえること。」等の意味を有することは既述のとおりであるところ、本件商標の指定商品「乳製品」は、人が生存して活動する、あるいは、生きながらえる上で必要不可欠な食品である。
このため、本件商標中、「生活」の語自体は、指定商品との関係で、自他商品識別標識として機能しないか、又は、自他商品識別力が極めて弱い語であると考えられる。
そうすると、本件商標の要部は、前半の「菌活」の語であり、引用商標と同一・類似である。また、本件商標の指定商品「乳製品」と、引用商標の指定商品「乳幼児用粉乳」は、類似する商品である。
よって、本件商標は、引用商標と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品「乳幼児用粉乳」と同一又は類似の商品である「乳製品」について使用するものであるため、商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 商標法第4条項第1項第16号該当性について
本件商標は、その構成中に「菌活」の文字を含んでなるところ、該文字が、「菌を含む食材(発酵食品など)を積極的に食べる活動」といった意味合いで普通に用いられているものであるから、これを、菌を含まない指定商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。

第4 当審の判断
1 「菌活生活」の文字について
(1)「菌活」及び「菌活生活」の文字について、申立人が提出した甲各号証によれば、本件商標の登録査定前において、以下のとおりである。(下線は当合議体による。)
ア 「美女子の間で菌活ブーム?!食べるだけで美肌に!|女子力アップCafe Googirl」と表示されたウェブサイトには、「美女子の間で菌活ブーム?!食べるだけで美肌に!」の見出しの下、「菌活とは」として、「ヨーグルトやチーズ、塩糀や味噌、そしてキノコなどの体に良い菌のある食材を食べ、菌の働きを利用して美しくなろうという活動です。」の記載があり、「菌を食べることが美容に良い訳」として菌活による効果についての記載があり、「菌活に取り入れたい食材とは?」として「ヨーグルト」の項に「菌の種類はさまざまですが、代表的なのがビフィズス菌。腸内環境を整えてくれます。」の記載がある(甲7)。
イ 「菌活しましょう」等と表示されたウェブサイトには、「菌活生活」の見出しの下、「最近の食生活で言われることは、菌が足りない・・・」の記載があり、「ヨーグルトの新製品が度々出るわけだわ でしたら簡単に菌活しましょう」として、オーガニックレーズンと豆乳を使った食品の作り方の記載がある(甲9)。
ウ 「手作り発酵食品で菌活!」等と表示されたウェブサイトには、「手作り発酵食品で菌活!菌で健康と美を手に入れる!みりんレーズンや醤油麹作りは簡単ノンストップ」の見出しの下、「菌活とは」として、「体にいい菌を食べ物から取り入れ、腸内環境を整えて、健康な体を作る活動のこと。」の記載があり、「体にいいとされる菌の種類」として「乳酸菌 ヨーグルト・チーズ 便秘予防」の記載がある(甲10)。
エ 「あなたの菌活度をチェック!よい菌を生活にとりいれてみませんか?」等と表示されたウェブサイトには、「きれいなあの人はもうやっている?菌活生活はじめませんか?」の記載があり、「菌活とは」として、「身体に良い菌を積極的に食生活に取り入れる活動のことです。主に、発酵食品やきのこなどから菌を取り入れることができます。」の記載があり、「積極的に取り入れたい 菌活食材」の項には「・・・ヨーグルト・チーズ・・・」の記載がある(甲12)。
オ 「『椿オイル』を販売しています 店長つばきのブログ:菌活生活」と表示されたウェブサイトには、「菌活生活」の見出しの下、「昨夜、1時過ぎに菌活生活の番組をちらっと見ました、・・・女子に最近流行りの『菌活生活』のレポ」の記載があり、菌の種類等について、「今年は『酵母液』や『豆乳玄米ぐるぐるヨーグルト』・・・」の記載がある(甲13)。
カ 「朝から菌活!水分補給!でスッキリな毎日が手に入る|腸内改善ラボ」と表示されたウェブサイトには、「私の腸内改善話」の見出しの下、「菌活生活を続けているんですね!」、「納豆も、ヨーグルトも、自分に合ったものを続けることが効果を感じるコツのようですね。」の記載がある(甲18)。
キ 「楽(R)天BLOG」のウェブサイトには、「復活!菌活生活はじめます?」の見出しの下、「あすけんの『菌活ダイエット』にエントリーしまたまた菌活生活の復活です!」の記載があり、菌活のための商品として「菌活(きのこ、ヨーグルト、チーズ、納豆、キムチ)を加えるだけ」の記載がある(甲21)。
(2)前記(1)のウェブサイトの情報によれば、本件商標の登録査定時において、「菌活」の語は「身体に良い菌を積極的に食生活に取り入れる活動」程の意味合いで使用されていることはうかがえるものの、申立人が主張するように、「菌活生活」の語が、ヨーグルトなどの「乳製品」を含む食品について、「菌を含む食材を積極的に摂取する生活に適した食品」程の意味合いで多数使用されているということはできない。
そして、当審で職権をもって調査するも、「菌活生活」の語が、「菌を含む食材を積極的に摂取する生活に適した食品」であること、すなわち、商品の品質・原材料・用途を示すものとして、普通に使用されている事実を発見することができなかった。
2 商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は、前記第1のとおり、「菌活生活」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は同書、同大、等間隔で、まとまりよく一体に表され、これから生じる「キンカツセイカツ」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標は、その構成中の「生活」の文字は、「生存して活動すること。生きながらえること。」等の意味を有する語である(「広辞苑第6版」岩波書店発行)。一方、「菌活」の文字は辞書等に掲載されている成語ではなく、前記1(2)に記載のとおり、「身体に良い菌を積極的に食生活に取り入れる活動」程の意味合いで使用されているとしても、これらを結合した「菌活生活」の文字は、特定の意味を認識されることのない一種の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが自然である。
そうすると、本件商標は、その指定商品である「乳製品」の品質・原材料・用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
3 商標法第3条第1項第6号該当性について
申立人は、本件商標を指定商品「乳製品」について使用しても、本件商標に接した需要者は、「菌を含む食材を積極的に摂取する生活」程の意味合いを感得するにとどまり、全体としてそのような意味合いを有することを表す宣伝文句、キャッチフレーズの一種であると理解するにとどまると主張している。
しかしながら、前記2のとおり、本件商標は、特定の意味を認識されることのない一種の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが自然である。
そして、当審で職権をもって調査するも、「菌活生活」の語が、商品の生産者や販売者により商品の購入や利用を促すようなキャッチフレーズ(宣伝文句)などとして使用されているという事実や事情も認められない。
そうすると、本件商標を、その指定商品中の「乳製品」に使用しても、取引者、需要者は、商品の購入や利用を促すためのキャッチフレーズ(宣伝文句)であるとは認識しないとみるのが相当である。
よって、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。
なお、申立人は、本件商標と同様の「○○生活」からなる構成の商標について、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとして、商標法第3条第1項第3号を根拠に拒絶された商標登録出願例(甲23ないし甲25)、同じく、同項第6号を根拠に拒絶された商標登録出願例(甲26ないし甲33)を挙げて、本件商標についても、これらの商標と異なる取扱いをすべき特段の事情はないと主張している。
しかしながら、商標の自他商品識別性についての判断は、当該の商標について、当該判断時の取引の実情などを考察しつつ、個別具体的に判断されるべきものであって、申立人が示す上記甲各号証の事例と本件とは事案を異にするものであるから、その事例を直ちに本件に適用して自他商品識別性についての判断をすることは適切とはいえず、上記の申立人の主張は採用することはできない。
4 商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、「菌活生活」の文字を標準文字で表してなるものであって、これより「キンカツセイカツ」の称呼が生じるものである。
そして、前記2のとおり、「菌活生活」の文字は、特定の意味を有しない、一種の造語を表したものといえるから、特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標は、「菌活」の文字よりなるものであって、これより「キンカツ」の称呼が生じるものである。
そして、前記2のとおり、「菌活」の文字は、「身体に良い菌を積極的に取り入れる活動」程の意味合いの語として、ウェブ記事等で使用されている実態があるとしても、これが、通常、取引者、需要者において特定の観念を生じるというほどに、一般的に使用、認識されているということはできないものであるから、該文字は特段の観念を生じないというべきである。
そこで、本件商標と引用商標の類否を検討するに、両者は、「生活」の文字の有無により、外観上、相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生じる「キンカツセイカツ」の称呼と、引用商標から生じる「キンカツ」の称呼とは、「セイカツ」の音の有無により、明確な差異を有するものであるから、称呼上、相紛れるおそれはない。
そして、本件商標と引用商標は、共に特定の観念を有しない造語というべきものであるから、観念上、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからみても、相紛れるおそれのない、非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第16号該当性について
申立人は、本件商標はその構成中に「菌活」の文字を含んでなるところ、「菌活」の文字が、「菌を含む食材(発酵食品など)を積極的に食べる活動」といった意味合いで普通に用いられているから、これを、菌を含まない指定商品について使用するときは、商品の原材料・品質について誤認を生じさせるおそれがあり、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当すると主張している。
しかしながら、本件商標は、「菌活生活」の語からなるものであって、その構成中の「菌活」の語が、「身体に良い菌を積極的に取り入れる活動」程の意味合いで使用されている場合があるとしても、これが直ちに商品の品質を表示する語であるということはできないから、本件商標を「菌を含まない商品」に使用しても、商品の品質の誤認を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
6 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、第29類「乳製品」について、商標法第3条第1項第3号、同項第6号、同法第4条第1項第11号及び同項第16号のいずれにも違反して登録されたものとは認められないから、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-11-21 
出願番号 商願2015-86987(T2015-86987) 
審決分類 T 1 652・ 262- Y (W29)
T 1 652・ 16- Y (W29)
T 1 652・ 263- Y (W29)
T 1 652・ 261- Y (W29)
T 1 652・ 272- Y (W29)
T 1 652・ 13- Y (W29)
最終処分 維持  
前審関与審査官 早川 真規子 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 田中 亨子
原田 信彦
登録日 2016-02-26 
登録番号 商標登録第5830558号(T5830558) 
権利者 オハヨー乳業株式会社
商標の称呼 キンカツセーカツ 
代理人 吉澤 大輔 
代理人 秋元 輝雄 

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