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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W40
審判 全部申立て  登録を維持 W40
審判 全部申立て  登録を維持 W40
審判 全部申立て  登録を維持 W40
管理番号 1322512 
異議申立番号 異議2016-900118 
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-05-12 
確定日 2016-12-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第5825729号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5825729号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5825729号商標(以下「本件商標」という。)は,「RTP」の欧文字を標準文字により表してなり,平成27年7月30日に登録出願され,第40類「光学フィルムの貼合加工,プラスチックフィルムの加工,プラスチックフィルムの加工に関する情報の提供」を指定役務として,同28年1月13日に登録査定,同年2月12日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において引用する登録商標又は標章は,以下のとおりである。
1 申立人が引用する商標
申立人が引用する登録第2392678号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,昭和63年2月18日に登録出願,第34類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成4年3月31日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,さらに,同15年5月7日に指定商品を第1類「原料プラスチック,パルプ」及び第17類「プラスチック基礎製品,ゴム,岩石繊維製防音材(建築用のものを除く。),石綿の板,石綿の粉」とする指定商品の書換登録がされたものであり,現に有効に存続しているものである。
2 申立人が引用する標章
申立人が引用する標章は,同人の社名として使用している,「RTP Company」の欧文字を横書きしてなる標章(以下「引用標章」という。)である。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するものであるから,本件商標は同法第43条の2第1号により取り消されるべきである旨申し立て,その理由を要旨次のように述べ,甲第1号証ないし甲第40号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)商標の類否について
本件商標は,「RTP」を標準文字で表してなり,その構成文字より,「アールティーピー」の称呼を生ずるものである。また辞書類に載録のない語であり特段の意味を有する語ではないため,特定の観念を生じない造語として認識されるものである。
これに対し引用商標は,図案化したL字三つからなる図形部分と,角丸平行四辺形内に大きく表された「RTP」と配された文字部分と,「P」の縦棒部分の横に小さく表された「Co.」の文字からなるものである。図形部分からは特定の称呼及び観念は生じず,また小さく表された「Co.」の文字部分は「会社」を表している文字にすぎないため,引用商標の構成中,自他商品の識別機能を有するのは「RTP」の文字部分であり,その構成文字に対応して「アールティーピー」の称呼を生ずるものである。
したがって,本件商標と引用商標とは,共に「アールティーピー」の称呼を共通にするものであり,互いに類似する商標であるといえる。
(2)本件商標の指定役務と引用商標の指定商品の類否について
本件商標の指定役務は,「光学フィルムの貼合加工,プラスチックフィルムの加工,プラスチックフィルムの加工に関する情報の提供」であり,引用商標の指定商品中第17類「プラスチック基礎製品」(以下「引用商標の指定商品『プラスチック基礎製品』」という場合がある。)と類似する。
ア 「光学フィルムの貼合加工」と「プラスチック基礎製品」の事業者についてみると,「光学フィルムの貼合加工」の事業者は,プラスチック基礎製品の範ちゅうに含まれる偏光板やその他のプラスチックフィルムの製造・販売主体であり,そのため「光学フィルムの貼合加工」の事業者は,常に「プラスチック基礎製品」の製造・販売主体でもある。「光学フィルムの貼合加工」の事業者が「プラスチック基礎製品」の製造・販売に付随せず,「光学フィルムの貼合加工」のみを独立して行うとする例は業界において見られない。「光学フィルムの貼合加工」の需要者は,光学フィルムという合成樹脂からなる部材を使用して完成品や部品を製造する業者であるのに対し,「プラスチック基礎製品」の需要者も完成品や部品の製造業者であり,需要者も共通する。
また,「光学フィルムの貼合加工」は,「光学フィルム」の製造・販売主体が製品の納入先で行う役務であるのに対し,「プラスチック基礎製品」も,当該製品の需要者の指定する,例えば需要者の事業所や工場内に納入されるのが一般的であるため,役務の提供場所と商品の販売場所も共通するといえる。
よって,「光学フィルムの貼合加工」と「プラスチック基礎製品」の製造・販売は同一事業者により行われ,役務の提供場所と商品の販売場所,需要者の範囲も共通することを考慮すれば,本件商標の指定役務中の「光学フィルムの貼合加工」と引用商標の指定商品中の「プラスチック基礎製品」とに同一又は類似する商標が使用された場合,同一の事業者によるものであると誤認されるおそれがあるといえる。
したがって,「光学フィルムの貼合加工」という役務は,「プラスチック基礎製品」という商品に類似するというべきである。
イ 本件商標の指定役務中「プラスチックフィルムの加工」と引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」の類否について
「プラスチックフィルムの加工」とは,プラスチックフィルム製品のカット,貼り付け,コーティング,着色などを意味するところ(甲12),一般的に当該加工はプラスチック製品を製造・販売する事業者が当該加工を行った上で,プラスチックフィルム製品として販売する(甲13,甲14)。これらの事業者が,製品の販売に付随せず加工の役務のみ行った場合は「プラスチックフィルムの加工」の役務に該当するが,その場合,「プラスチックフィルムの加工」の事業者と,「プラスチック基礎製品」の範ちゅうに含まれる「プラスチックフィルム」の製造・販売主体は同一である。
その他に,プラスチックフィルムの加工を行う事業者により,材料を調達し加工をした上で,プラスチックフィルムの製品として販売する事業が通常行われている(甲15)。その場合においても,「プラスチックフィルムの加工」の事業者は,「プラスチック基礎製品」の範ちゅうに含まれるプラスチックフィルムの販売主体と同一であるといえる。
また,「プラスチックフィルムの加工」の需要者は,加工されたプラスチックフィルムを部品や材料として使用する完成品や部品の製造事業者であり,「プラスチック基礎製品」の需要者と共通する。さらに,加工業者は加工された製品を納入するまでがサービスに含まれるところ,加工されたプラスチックフィルムの納入先とプラスチック基礎製品の納入先とは範囲を共通にするものであるから,役務の提供場所と商品の販売場所も共通するといえる。
よって,「プラスチックフィルムの加工」と「プラスチック基礎製品」の製造・販売は同一事業者により行われ,役務の提供場所と商品の販売場所,需要者の範囲も共通することを考慮すれば,本件指定役務中の「プラスチックフィルムの加工」と引用商標の指定商品中の「プラスチック基礎製品」とに同一又は類似する商標が使用された場合,同一の事業者によるものであると誤認されるおそれがあるといえる。
したがって,「プラスチックフィルムの加工」という役務は,「プラスチック基礎製品」という商品に類似するというべきである。
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の著名性について
ア 申立人は,米国ミネソタ州で1982年より今日に至るまで「RTP Company」の名称の下,機能性熱可塑性樹脂コンパウンドの開発・製造・販売や機能性シート・フィルムの開発・製造・販売を主とする事業を行っている。申立人は1,500人以上の従業員を有し,年間売上高は5億ドルに上る。申立人は,米国に6拠点,メキシコ,ドイツ,フランス,中国及びシンガポールに各1拠点の,計11ケ所の生産工場で製品を製造している。またアメリカ大陸,欧州,日本を含むアジアにおける世界各国の販売網を通じ,同社の製品を広く販売している(甲16)。
申立人は,各国の製造・販売事業において,社名のロゴである引用商標及び申立人の社名「RTP Company」(引用標章)を使用している。なお,日本においては「RTPカンパニー」の表示も用いられ,「RTP社」と称されることもあるが,「RTP」以外の部分はいずれも「会社」を意味する語であるため,「RTP」の文字部分が要部であり,「RTP」は申立人の略称を示す語として広く知られている。また,申立人は,引用商標及び申立人のハウスマークである「RTP」について,これに化体した世界的信用を保護するため,世界各国で商標登録を得ている(甲17)。
RTP社は高い技術力を有する樹脂コンパウンドメーカーとして知られ,顧客の要望に応じ最適な材料選択・改質剤の選択・充填剤等の選択を行い,樹脂コンパウンド(複合材料)を提供することに特徴を有する。そのため,60種類以上のエンジニアリング樹脂を取り扱っている。また,ニーズに添った多様な機能のコンパウンド(複合材料)を提供しており,例えば,繊維強化プラスチックなどの「強化・構造用材料」や「摺動性・耐摩耗性材料」,「電気的導電性材料・熱伝導性材料」,「着色材料」,「難燃材料」としての用途など,RTP社が製造販売するコンパウンドは多様な用途に使用される(甲18,甲19の1ないし4)。
イ 申立人は,長年にわたり各国で開催される国際的な展示会に出展しており,例えば,ドイツで3年ごとに開催されプラスチックの分野では最大の展示会である「K Trade Fair」に出展しており,2016年10月に開催される「K2016」にも出展を予定している(甲20)。
申立人が2010年に開催された「K2010」に出展した際は,ドイツに製造拠点を新たに設けたことを発表しており,申立人の発表は様々な記事で紹介されている(甲21の1ないし3)。「K2010」の来場者数は222,486人に上り,申立人が各国に製造拠点を持つコンパウンドメーカーであることは,プラスチックの業界において広く認知されているといえる(甲21の4)。
申立人は2007年に開催された「K2007」にも出展しており,2007年12月付け「ポリマーダイジェスト」Web版に「K2007で注目した原材料出展物」として,第8頁に,「RTP(総合コンパウンドメーカー)この会社は特にエンプラのコンパウンダーとして世界No.1の会社であるが,エラストマー分野でもSBC,TPV,TPU,COPE,COPAなどの一連のグレードを生産している。」と紹介されており,K2007の見学者の数は25万人に達すると発表されているとの記載もある(甲22)。
また,申立人は,中国の上海で開催されるアジア最大のプラスチック・ゴム見本市「チャイナプラス」にも,2010年,2012年,2014年及び2016年に出展している(甲23の1ないし4)。来場者数は2012年が109,858人,2014年が130,370人,2016年は148,575人に上る(甲23の3,5及び6)。
なお,「チャイナプラス2016」に関しては,日本プラスチック加工研究会の視察報告において,「米国から世界的に展開するコンパウンド,エンプラ企業である,A SCHULMAN社やRTP社もコーナーには多くの来客との交渉が進められていた。」との記載がある(甲24)。
ウ 申立人は日本においても継続的に事業を行っており,会社案内,製品案内,ウェブサイト等で引用商標及び引用標章を使用している(甲18,甲19及び甲25)。日本では,2008年(平成20年)に11月7日から11日に幕張メッセにおいて行われた「IPF Japan2008」(国際プラスチックフェア)に出展している(甲26の1,2)。IPF Japan2008の来場者数は66,642名であり(甲26の3),展示会の前には申立人の会社案内や製品案内等の印刷物が500部ずつ作成され,展示会において広く配布された(甲27)。なお,会社案内・製品案内といった広告物は2010年にも印刷され,顧客や取引者に配布されている(甲28)。
また,日本における事業は,平成22年に法人化して以降は「RTPカンパニー・ジャパン株式会社」(以下「RTPジャパン」という場合がある。)の商号で事業を行い,法人化されてからも引用商標を継続的に使用している(甲29及び甲30)。甲第31号証は,日本法人であるRTPジャパンの顧客ごとの売上高を示す。RTPジャパンは日本において多数の顧客と取引関係にあり,その名称及び引用商標は需要者及び取引者に広く知られている。また近年売上高は増加している。
申立人はグローバルに製造拠点及び販売網を持ち多数の国際的な展示会にも出展する企業であるため,日本法人以外の様々な拠点においても,日本企業との取引がある。
エ 申立人は,世界を代表するコンパウンドメーカーとして,遅くとも2002年より,日本国内で発行された各種の刊行物に掲載されている。
(ア)「プラスチックス1月号」(第53巻第1号 2002年1月1日 株式会社工業調査会発行)には,2001年にドイツで開催された国際プラスチック・ゴム産業展「K2001」をレポートした記事が掲載されており,申立人の製品が紹介されている。GE Plastics社やDow Corning社といった著名な企業が出品した製品の紹介と共に申立人が紹介されていることから,申立人がプラスチックの分野において著名であることが推認できる(甲33)。
(イ)「ポリマーダイジェスト」(第55巻 第9号 2003年9月15日 株式会社ラバーダイジェスト社発行)には,米国で開催されたプラスチック材料に関する展示会「NPE2003」をレポートした記事が掲載されており,GE Plastics社やデュポン社,BASF社の紹介が数行であるのに対し,申立人の製品や技術の紹介が3頁にわたり記載されている。申立人については,「RTP社は米国に四カ所,フランス,シンガポール,上海にも工場を有する,ハイテクニックなコンパウンド会社で,もっともレベルの高いコンパウンドメーカーといえる。」との記載があり,申立人は遅くとも2003年には,技術力の高いコンパウンドメーカーとして日本においても知られていたといえる,また申立人の製品は当時から日本の需要者,取引者から注目されていたことが推認できる(甲34)。
(ウ)「プラスチックス8月号」(第54巻第8号 2003年8月1日発行)においても「NPE2003」のレポートが掲載されており,「機能的なコンパウンドメーカーとして世界的に認知されているRTP社」との記載の下,申立人が出品した製品に関する記事が掲載されている(甲35)。
(エ)「プラスチックス インフォ ワールド10/2003」(Vol.5 No.10 2003年10月10日 アーイン社発行)には,「世界に誇るコンパウンド技術,とくにエンプラ,高性能樹脂に強い」とのタイトルのもと,申立人であるRTP Companyの紹介記事が掲載されている。申立人は,60以上のエンジニアリングプラスチックシステムで特注の熱可塑性プラスチックコンパウンドを開発しており,金属の射出成形,自動車,医療器具など様々な用途で申立人が開発したコンパウンドが採用されていることが紹介されている(甲36)。
(オ)さらに,「プラスチックス9月号」(第57巻第9号 2006年9月1日発行)において,米国で開催された展示会「NPE2006」をレポートした記事が掲載されており,同記事の冒頭で,RTP社は「高機能コンパウンドメーカーとして最も実力のある」会社であるとして,申立人及び申立人が出品した製品が紹介されている(甲37)。
オ 小活
このように,申立人は世界有数のコンパウンドメーカーとして弛まぬ企業努力を続けているのであり,引用商標及び引用標章は当該分野における需要者の間で極めて広く知られるに至っている。
(2)混同を生ずるおそれ
本件商標と,「RTP」の文字部分を要部とする引用商標は,上述のとおり互いに類似する商標である。また,引用標章は「RTP Company」の文字を表してなるところ,「Company」は会社を意味する語であり要部は「RTP」の文字部分であるため,本件商標と引用標章も互いに類似する商標である。
ア 請求人は1982年以降30年以上もの間,高度な技術力を有する世界有数のコンパウンドメーカーとして事業を行っている。申立人が開発・製造及び販売するのは樹脂コンパウンド材料やその加工品であり,原料プラスチックやプラスチック基礎製品の範ちゅうに含まれる。需要者や取引者は主にプラスチック製の部品や材料を用いる製造業者又は加工業者であり,製造業者は電気機器メーカー,化学メーカー,自動車メーカーなど多岐にわたっている。本件商標の指定役務の需要者は,プラスチック基礎製品の範ちゅうに含まれるプラスチックフィルムを部品や材料として使用する製造業者又は加工業者といえ,その需要者層を共通とする。
イ 申立人の取扱う商品は,シート状,フィルム状に加工した樹脂コンパウンドの加工品も当然に含まれるため,申立人の業務にかかる商品と本件商標の指定役務の提供の用に供するものとは共通する。
ウ 申立人は顧客の要望に応じてカスタマイズした製品を提供しており,当該製品は用途に応じてプラスチック材料に機能を付加したコンパウンドであり高度な技術力を要するものであるため,技術的なサポートを不可欠とするものである。そのため製品を供給する際は,製品や材料,加工に関する情報の提供を付随して行っている。
よって,申立人の業務は,本件商標の指定役務と業務内容や需要者層において関連性が強いといえる。
かかる状況の下,引用商標及び引用標章に類似する本件商標を,本件商標の指定役務について使用した場合,需要者が,申立人の業務に係る役務であると誤認し,その出所について混同するおそれがあるのみならず,商標権者が恰も申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者であるかの如く誤認し,その役務の出所について混同するおそれがあるといわざるを得ない。
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号にも該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標
本件商標は,「RTP」の欧文字よりなるところ,該文字は,辞書類に載録された既成の語とは認められず,特定の意味合いを生じることのない一種の造語として看取されるとみるのが相当である。
そうすると,本件商標は,その構成文字に相応して「アールティーピー」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標
ア 引用商標は,別掲のとおりの構成からなるところ,その構成中の図形部分は,特定の称呼及び観念を生じない幾何的図形であり,また,その構成中の角丸平行四辺形内に配された文字のうち,「Co.」の文字部分は,極めて小さく表されている上,「会社」等を意味する英語「company」の略号として「カンパニー」と読まれ一般に広く知られているものであるから,該角丸平行四辺形内に配され,かつ,顕著に表された「RTP」の文字部分が看者に強く支配的な印象を与え,該文字部分をもって取引に当たる場合も決して少なくないとみるのが相当である。
また,「RTP」の文字は,上記(1)のとおり,特定の意味合いを有しない造語といえるものである。
してみれば,引用商標は,その構成中の文字部分全体に相応して,「アールティーピーカンパニー」の称呼を生じ,「RTP会社」程の意味合いを想起させるほか,その構成中の「RTP」の文字部分に相応して,「アールティーピー」の称呼をも生じるものであり,該「RTP」の文字部分からは特定の観念を生じないものである。
イ 引用標章は,「RTP Company」の欧文字からなるところ,これからは,その構成文字に相応して,「アールティーピーカンパニー」の称呼を生じ,「RTP会社」程の意味合いを想起させるものである。
また,その構成中後半部の「Company」の文字は,「会社」等を意味する英語として一般に広く知られているものであるから,引用標章は,前半部の「RTP」の文字部分が看者に強く支配的な印象を与えるものであり,該「RTP」の文字部分をもって取引に当たる場合も決して少なくないとみるのが相当である。
してみると,引用標章は,その構成中前半部の「RTP」の文字部分に相応して,「アールティーピー」の称呼をも生じるものであり,該文字部分からは特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標等の類否について
本件商標と引用商標等との類否について検討するに,本件商標と引用商標及び引用標章のそれぞれの要部と認められる「RTP」の文字部分は,外観においては,「RTP」のつづりを同じくするものであり,外観上,類似するものである。
称呼においては,本件商標と引用商標及び引用標章の「RTP」の文字部分からは,いずれも「アールティーピー」の称呼を生じ,その称呼を共通にするものであるから,称呼上,類似するものである。
観念においては,本件商標は,特定の観念を生じないものであり,引用商標及び引用標章の「RTP」の文字部分からは,特定の観念を生じないものであるから,観念上,両者は,比較することができない。
してみれば,本件商標と引用商標及び引用標章のそれぞれの要部と認められる「RTP」の文字部分とは,観念において比較することができないとしても,これらは,外観及び称呼を共通にする類似の商標というべきである。
(4)本件商標の指定役務と引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」の類否について
役務と商品の類否について,「役務と商品とが類似するかどうかに関しては,役務又は商品についての出所の混同を招くおそれがあるかどうかを基準にして判断すべきであり,商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的であるかどうか,商品と役務の用途が一致するかどうか,商品の販売場所と役務の提供場所が一致するかどうか,需要者の範囲が一致するかどうかなどの事情を総合的に考慮した上で,個別具体的に判断するのが相当である。」旨判示されている(東京地方裁判所 平成11年(ワ)第438号)。
そこで,本件商標の指定役務と引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」との類否について検討する。
ア 事業者について
本件商標の指定役務「光学フィルムの貼合加工,プラスチックフィルムの加工」を提供する事業者は,光学フィルム,プラスチックフィルムの加工業者であるのに対し,引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」を取り扱う事業者は,最終製品となる前のプラスチック基礎製品の製造・販売事業者であるから,同一事業者によって行われているものということができない。
イ 用途について
本件商標の指定役務「光学フィルムの貼合加工,プラスチックフィルムの加工」は,光学フィルムの貼合加工,プラスチックフィルムの加工を受託により提供する役務であり,用途が特定された加工であるのに対し,引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」は,プラスチック製品のうち用途が限定されていない半加工品であるから,用途が一致するものということができない。
ウ 役務の提供場所及び商品の販売場所について
本件商標の指定役務「光学フィルムの貼合加工,プラスチックフィルムの加工」は,光学フィルムの貼合加工,プラスチックフィルムの加工のそれぞれの加工工場で提供されるのに対し,引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」は,この商品を取り扱う専門の販売店若しくは小売店で販売されるものあるから,役務の提供場所及び商品の販売場所とが一致するといこうとができない。
エ 需要者の範囲について
本件商標の指定役務「光学フィルムの貼合加工,プラスチックフィルムの加工」の需要者は,光学フィルムの貼合加工,プラスチックフィルムの加工を必要とする者であるのに対し,引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」の需要者は,プラスチック基礎製品を購入して,これを元に製品を製造若しくは加工する者であるから,需要者の範囲が一致するものということもできない。
オ 本件商標の指定役務「プラスチックフィルムの加工に関する情報の提供」と引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」の類否について
本件商標の「プラスチックフィルムの加工に関する情報の提供」の役務は,プラスチックフィルムの加工に関する様々な情報を需要者に提供することを業としているものであり,引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」は,その製品を生産し,販売することを業としているものであるから,当該役務と当該商品については,その事業者,用途,役務の提供場所及び商品の販売場所並びに需要者が全く異なるものであり,申立人は,両者が類似するというべき証拠の提出もなく,そのような事情も発見できないから,両者は類似するとはいえないものである。
カ 小活
以上を総合すると,本件商標の指定役務と引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」とは,その事業者,用途,役務の提供場所及び商品の販売場所並びに需要者の範囲を異にする非類似のものというべきである。
(5)まとめ
以上のとおり,本件商標が引用商標と類似の商標であるとしても,本件商標の指定役務と引用商標の指定商品「プラスチック基礎製品」とが同一又は類似するものでないから,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の周知性について
申立人は,引用商標が本件商標の登録出願時及び査定時において,需要者の間に広く知られている申立人の著名な略称ないし著名な商標である旨の主張をしているので,この点について検討する。
ア 申立人の提出に係る証拠について
申立人の主張及び同人の提出に係る甲各号証によれば,以下のとおりである。
(ア)申立人は,米国で1982年に創業し,「RTP Company」の名称の下,機能性熱可塑性樹脂コンパウンドの開発・製造・販売や機能性シート・フィルムの開発・製造・販売を主とする事業を行っている(甲16)。
(イ)申立人は,1,500人以上の従業員を有し,年間売上高は5億ドルに上る。申立人は,米国に6拠点,メキシコ,ドイツ,フランス,中国及びシンガポールに各1拠点の,計11ケ所の生産工場で製品を製造している(甲16)。
また,申立人は,アメリカ大陸,欧州,日本を含むアジアにおける世界各国の販売網を通じ,同社の製品を販売している。我が国においては,2010年(平成22年)4月にRTPジャパンを設立し,継続的に事業を行っており,会社案内,製品案内,ウェブサイト等で引用商標を使用している(甲16,甲18,甲19,甲25,甲29及び甲30)。
(ウ)申立人は,各国で開催される国際的な展示会に出展しており(甲20ないし甲24),そのうちの幕張メッセで行われた「IPF Japan2008」(国際プラスチックフェア)(甲26の1及び2)の来場者数は66,642名であり(甲26の3),そこで申立人は会社案内や製品案内等の印刷物を500部ずつ作成し,配布している(甲27)。
(エ)日本法人であるRTPジャパンの年間売上額は次のとおりで,2014年の総額は,772,715USドル,同じく2015年の総額は,882,218USドル,同じく2016年(1月から6月末まで)の総額は709,859USドルである(甲31)。
(オ)日本国内で発行された書籍(2002年1月1日 株式会社工業調査会発行の「プラスチックス1月号」,2003年8月1日 株式会社工業調査会発行の「プラスチックス8月号」,2003年9月15日 株式会社ラバーダイジェスト社発行の「ポリマーダイジェスト」,2003年10月10日 アーイン社発行の「プラスチックス インフォ ワールドVol.5No10」,2006年9月1日 株式会社工業調査会発行の「プラスチックス9月号」)に,申立人に関する記事が掲載されている(甲33ないし甲37)。
(カ)申立人は,引用商標及び申立人のハウスマークである「RTP」について,世界各国で商標登録を得ている(甲17)。
イ 上記アによれば,以下のとおり判断できる
(ア)申立人の創業は,1982年であり,「RTP Company」の名称の下,機能性熱可塑性樹脂コンパウンドの製造・販売を行い,年間売上高は5億ドルに上り,日本法人であるRTPジャパンの年間売上額は,2014年,2015年及び2016年(1月から6月末まで)の総額は,年々増加しており,また,申立人は,国際的な展示会に出展しており,そこで顧客や取引者に会社案内や製品案内を配布し,日本国内で発行された書籍に申立人に関する記事が掲載され,さらに,平成22年に法人化し,その商号を「RTPカンパニー・ジャパン株式会社」としていることが認められるが,上記ア(エ)の申立人が述べている年間売上高は,数字のみであり,現実に引用商標が使用されて売り上げられたことが明確に把握できる証拠の提出はないし,上記ア(ウ)の国際的な展示会へ出展し,そこで広告用の印刷物を配布したことがあるとしても,例えば「IPF JAPAN2008」にあっては,2008年の来場者数は66,642名であるところ,そこで配布した会社案内や製品案内はそれぞれ500部であって,配布枚数も決して多いとはいえないものであり,かつ,その印刷内容も不明である(甲26の3及び甲27)。その他,引用商標を使用して取引した商品の宣伝広告の回数,費用,期間等については提出された証拠からはうかがい知ることができない。
(イ)上記ア(オ)の日本国内で発行された書籍に申立人に関する記事が掲載されているとしても,いずれも販売部数,販売地域等は明らかではなく,当該書籍の内容も専門的なものであるから,限られた範囲の需要者とみるのが相当であって,上記ア(イ)の日本法人のRTPジャパンにしても,平成22年の設立から,それ程期間が経過しているものではない。
そして,他に引用商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたと認め得る証拠は見いだせない。
また,上記ア(カ)のとおり,申立人が様々な国で商標登録を得ているとしても,これによって引用商標が世界的に周知であるか否かを示すものではない。
以上のことから,引用商標は,我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものである。
ウ 出所の混同について
引用商標は,上記イのとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたということはできないものである。
また,他に本件商標が申立人の業務に係る役務であるかのように役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるとする格別の事情も見いだせない。
してみれば,本件商標は,本件商標権者がこれを本件商標の指定役務について使用しても,取引者,需要者をして,その役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何等かの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものでないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲 引用商標



異議決定日 2016-11-21 
出願番号 商願2015-73226(T2015-73226) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W40)
T 1 651・ 261- Y (W40)
T 1 651・ 271- Y (W40)
T 1 651・ 263- Y (W40)
最終処分 維持 
前審関与審査官 杉本 克治 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 山田 正樹
榎本 政実
登録日 2016-02-12 
登録番号 商標登録第5825729号(T5825729) 
権利者 日東電工株式会社
商標の称呼 アアルテイピイ 
代理人 横川 聡子 
代理人 城山 康文 
代理人 北口 貴大 
代理人 岩瀬 吉和 
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