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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
管理番号 1322501 
異議申立番号 異議2016-900187 
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-07-13 
確定日 2016-11-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第5847076号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5847076号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5847076号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成27年9月1日に登録出願、第33類「果実酒,果実入りアルコール飲料,ラム,リキュール,韓国の伝統的な米を原料とする酒(マッコリ),梅酒,韓国の焼酎(ソジュ),米を原料とする酒,アルコール飲料(ビールを除く。),ウイスキー,朝鮮人参酒,スピリッツ(蒸留酒),ジン,清酒,調製済みのアルコール入りカクテル,韓国産の濁酒,ぶどう酒」を指定商品として、平成28年4月1日に登録査定、同月28日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、以下の4件であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)。
(1)登録第1690214号商標(以下「引用商標1」という。)は、「凛」の文字からなり、昭和56年3月10日に登録出願、昭和59年6月21日に設定登録されたものであり、その商標権は、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品とするものである。
(2)登録第4618373号商標(以下「引用商標2」という。)は、「凛」の文字を標準文字で表してなり、平成13年12月27日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、平成14年11月1日に設定登録されたものである。
(3)登録第5458072号商標(以下「引用商標3」という。)は、「凜」の文字を毛筆体で表してなり、平成22年5月18日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、平成23年12月16日に設定登録されたものである。
(4)登録第5625488号商標(以下「引用商標4」という。)は、「RIN」の文字を標準文字で表してなり、平成25年7月5日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」を指定商品として、平成25年10月25日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第36号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本件商標と引用商標1ないし4を比較してみると、本件商標は、上記1のとおりの構成からなり、当該文字に照応して「リン」の称呼を生じることは明らかである。
イ これに対し、引用商標1は、明朝体の「凛」の文字、引用商標2は「凛」の標準文字、引用商標3は毛筆体の「凜」の文字、引用商標4は「RIN」の文字を標準文字で表してなり、これらは、いずれも当該文字に照応して「リン」の称呼を生ずることは明らかである。
ウ してみれば、本件商標は、引用各商標と、「リン」の称呼を共通にする類似の商標であって、その指定商品も同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標1ないし3は、以下のとおり、申立人の子会社、宝酒造株式会社(以下「宝酒造」という。)により、その製造・販売に係る商品「ウイスキー」の商標として、2001年2月の販売開始から現在に至るまで、継続して使用され、周知なものとなっている。
イ 甲第6号証ないし甲第32号証は、宝酒造の商品カタログの抜粋である。
これによる使用商標の態様は、商品のラベルに表示されているとおり、引用商標3の毛筆体の「凜」であるが、文字として表記する際には、引用商標1及び2の異体字の「凛」の文字も使用されている。
ウ 甲第33号証は、商品「凜」の新発売に関する、2001年2月21日付け、日本食糧新聞の記事データであるところ、商品「凜」は、2001年2月20日に、2.7Lと4Lのエコペットボトル入り商品について、全国で販売開始された。なお、その後、2005年3月15日に、720mLの小容量タイプの商品も発売され、商品ラインナップは拡充されている。
エ 甲第34号証は、商品「凜」の販売数量を年ごとに集計して表にまとめた資料である。例えば、2014年1月ないし12月の販売数量は、4127kLに達する。「凜」のラインナップには、4L入り、2.7L入り、720mLの商品があるが、この2014年の販売数量は、2.7L入りの商品に換算すると、およそ152万8500本分にも相当する。
オ 甲第35号証は、2015年6月15日、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア発行の流通業界の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」に掲載の特集記事「2014年度下半期 注目カテゴリーランキング特集 POWER CATEGORY 2015/Part2 酒類」の記事データである。
2014年度下半期の全国約950店舗の食品スーパーマーケットのPOSデータの集計によるウイスキーの売上ランキングとして、「凜」の2.7L入り商品が20位にランクインしている。
同一ブランドの量の違いによる商品の重複を除外すると、実質的にはさらに売上上位のブランドとして認知されていることは明らかである。また、商品「凜」販売は、酒類のディスカウントストアが主力であり、その販売実績を加えると、さらに売上は上位にランキングされる。
カ 以上のとおり、宝酒造の商品「凜」(凛)は、本件商標の登録出願前には既に、取引者、需要者の間において、同社の業務に係る商品の表示として広く認識されていたものである。
キ そうとすれば、「リン」の称呼を共通にする本件商標が、その指定商品について使用された場合、その商品に接する取引者、需要者は、申立人及び宝酒造の業務に係る商品であるかのごとく誤認するおそれがあり、商品の出所について混同を生ずる蓋然性が高いといわざるを得ない。
ク そして、現に、本件商標が、引用商標「凜」(凛)と、混同を生じている例がある。
甲第36号証は、酒類販売のチェーン店である「リカーマウンテン」の守山店(滋賀県守山市)において2015年10月4日に撮影された、商標の使用に係る商品の店頭での販売状態を示す写真である。同商品のラベルには、引用商標4と同一である「RIN」の欧文字が表記されており、「リン」の称呼を生じる商標として取引されていることは明らかであり、さらに、棚に設置されているプライスカードには、誤って「凛」と表記されていて、これは引用商標1及び2と同一、または引用商標3と異体字として社会通念上同一視し得るものである。
このように、実際に、本件商標について、引用商標と混同を生じている事実があり、このことからも、取引者、需要者において、「リン」といえば宝酒造の「凜」(凛)が想起されて取引されていることが示される。
ケ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により、その登録は取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標は、上記1のとおりの構成からなる漢字であるところ、該文字は、我が国において親しまれて使用されている漢字とは認められないことから、「リン」の称呼を生じ得るとしても、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
一方、引用商標1ないし3は、上記2のとおり、「凛(凜)」の漢字からなるものであるから、その構成文字に相応して「リン」の称呼を生じ、「つめたい、りりしい」の観念を生じるものである。
また、引用商標4は、「RIN」の欧文字からなるものであるから、その構成文字に相応して「リン」の称呼を生じ、また、該文字が親しまれた成語を表したものとは認められないことから、特定の観念を生じないものである。
そこで、本件商標と引用商標1ないし3とを比較すると、本件商標は別掲のとおりの構成からなり、引用商標1ないし3は「凛(凜)」の文字からなるものであることから、両者は、「リン」の称呼を同一にするが、外観においては、明らかに異なる漢字であるから、見誤るおそれはない。そして、本件商標は、特定の観念を生じないのに対し、引用商標1ないし3は、「つめたい、りりしい」の観念を生じるものであり、両者は、観念において、互いに紛れるおそれはない。
したがって、本件商標と引用商標1ないし3とは、「リン」の称呼を共通にするとしても、外観において明確に区別でき、観念においても類似するとはいえないことから、外観、称呼及び観念を総合的に判断すると、両商標は、商品の出所について誤認、混同を生じるおそれのない非類似の商標というべきである。
次に、本件商標と引用商標4とを比較すると、本件商標は別掲のとおりの構成からなり、引用商標4は「RIN」の欧文字からなるものであることから、両者は、「リン」の称呼を同一にするが、本件商標が漢字であるのに対し、引用商標4は欧文字で構成されていることから、その構成文字が明らかに相違し、外観上、見誤ることはないものであり、また、いずれも、特定の観念を生じないものであるから、観念において類似するものとはいえない。
したがって、本件商標と引用商標4とは、「リン」の称呼を共通にするとしても、外観において明確に区別でき、観念においても類似するとはいえないことから、外観、称呼及び観念を総合的に判断すると、両商標は、商品の出所について誤認、混同を生じるおそれのない非類似の商標というべきである。
よって、本件商標は、引用商標とは、非類似の商標であり、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
申立人は、引用商標1ないし3は、申立人の子会社、宝酒造が「ウイスキー」に使用して需要者に広く認識されている旨主張しているところ、申立人の提出に係る証拠によれば、発売が開始された2001年から2015年において、年1回ないし2回、宝酒造の商品カタログが発行され、その間、継続して「キングウイスキー『凜』」が掲載されている(甲6?甲33)。また、2015年6月15日付けの雑誌「ダイヤモンド・チェーンストア」(ダイヤモンド・フリードマン社)において、2014年度下半期の食品スーパーマーケット(全国950店舗)のウイスキーの売上に対して、「キングウイスキー『凜』」2.7L」のシェアが1.52%であって、第20位であることが報道されている(甲35)。さらに、申立人は、「キングウイスキー『凜』」の「販売数量推移表」(2001年?2015年、甲34)を提出しているが、その市場占有率は明らかでなく、他に、「キングウイスキー『凜』」について、申立人又は宝酒造が、積極的、継続的な宣伝広告活動を行ったものと認め得る証左はない。
以上を総合すると、宝酒造が、2001年から2015年まで「キングウイスキー『凜』」を販売していたものと認めることができるが、該商品について、2014年度下半期の食品スーパーマーケットにおけるシェアは決して高いものとはいい難く、提出された証拠をもって、引用商標1ないし3が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において他人の業務に係る商品「ウイスキー」を表示するものとして取引者、需要者に広く知られているものと認めることはできない。
また、本件商標と引用商標1ないし3とは、上記(1)のとおり、非類似の商標であり、別異の商標であるから、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接する取引者、需要者が、引用商標1ないし3を連想又は想起するものとは認めがたく、その商品が申立人若しくは宝酒造又は同人らと経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
なお、申立人は、現に、酒類販売店において、本件商標に係る商品について、引用商標4と同一の「RIN」の文字が該商品に表示され、また、該商品のプライスカードに「凛」の文字が誤って使用されているから、混同が生じている旨主張するが、引用商標1ないし3が宝酒造の業務に係る商品「ウイスキー」を表示するものとして取引者、需要者に広く知られているものと認めることはできないことは、上記のとおりであり、また、引用商標4については、その著名性に係る証拠の提出もないものであるから、その前提を欠くものである。さらに、申立人の主張する事例は、わずか1件のみであり、これにより上記判断が左右されるものではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(本件商標)




異議決定日 2016-11-09 
出願番号 商願2015-84301(T2015-84301) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W33)
T 1 651・ 262- Y (W33)
T 1 651・ 263- Y (W33)
T 1 651・ 271- Y (W33)
最終処分 維持  
前審関与審査官 守屋 友宏 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 小林 裕子
堀内 仁子
登録日 2016-04-28 
登録番号 商標登録第5847076号(T5847076) 
権利者 ザ マッキス カンパニー インコーポレーテッド
商標の称呼 リン、キヨイ 
代理人 小暮 理恵子 
代理人 久保 怜子 
代理人 行田 朋弘 
代理人 特許業務法人みのり特許事務所 

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