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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0305
審判 全部申立て  登録を維持 W0305
審判 全部申立て  登録を維持 W0305
管理番号 1322497 
異議申立番号 異議2016-900148 
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-06-09 
確定日 2016-10-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第5834218号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5834218号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5834218号商標(以下「本件商標」という。)は,「Recovery Tab」の欧文字を横書きしてなり,平成27年11月26日に登録出願,第3類「入浴剤(医療用のものを除く。)」及び第5類「医療用入浴剤」を指定商品として,平成28年3月11日に設定登録されたものである。

第2 引用標章
申立人が引用する標章は,申立人が「入浴剤」に使用している商品名でもあり使用標章でもある「リカバリータブレット」の片仮名又は「RECOVERY TABLET」の欧文字からなる標章(以下「引用標章」という。)である。

第3 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同第15号及び同第16号に該当するものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号該当性
(1)商品「スパークリングホットタブ」について
申立人は,平成25年3月15日に「ホットタブ」と「Hot Tab」の文字からなる登録商標(甲2)を取得し,平成24年以来,「スパークリングホットタブ」の商品名の重炭酸を使用した入浴剤の製造及び販売を継続し,甲第3号証の出荷記録に示すとおり,本件商標の登録出願日までに,当該商品約35万パッケージを販売し,錠剤数にすると,約1.5億錠になり,「スパークリングホットタブ」は入浴剤の分野では広く知られた商品となっている。また,申立人は,「ホットタブ」に関連する登録商標を12件(甲4)以上保有すると共に,「スパークリングホットタブ」の商品パンフレット(甲5)やWEBのホームページ(http://tansan-tablet.com/:甲6),各種雑誌(甲7)などで「ホットタブ」,「Hot Tab」の名称を使用し,「スパークリングホットタブ」の宣伝広告を行っている。さらに,申立人は,重炭酸湯を用いた入浴法について研究を行っており,甲第6号証で示したホームページにて,重炭酸入浴法について解説すると共に,重炭酸協議会を発足して,重炭酸入浴法の普及活動を行っている。特に,本件商標の出願日である平成27年11月26日より前の平成27年10月21日に健康入浴指導士セミナーを開催し(甲8),「スパークリングホットタブ」の宣伝広告を行っている。この健康入浴指導士セミナーには,甲第9号証の代理店会議出席者リストに示すとおり,多数の関係者が参加しており,申立人は,重炭酸を使用した入浴剤に関して重要な役割を担っている。
以上より,本件商標の出願日より前において,「ホットタブ」,「Hot Tab」は,申立人が使用している商品の名称として広く知られており,「スパークリングホットタブ」は申立人が製造及び販売する商品として広く知られている。
(2)「ホットタブ」の関連商品について
「スパークリングホットタブ」は疲労回復・リカバリー性があることから,申立人は,アスリートをターゲットとした商品を提案しており,株式会社ゴルフダイジェスト社(以下「ゴルフダイジェスト社」という。)とコラボレーションした商品として引用標章を付したものも販売している(甲10)。また,ゴルフダイジェスト社とコラボレーションした商品を販売することは,上述した健康入浴指導士セミナー(甲8)でも紹介しており,甲第9号証で示した多数の関係者に告知している。
この商品のパッケージの表面には,申立人が使用している商品の名称として広く知られた「Hot Tab」を付していること,及び,パッケージの裏面に,販売名として「スパークリングホットタブ」を表記していること,製造販売元として申立人が代表を務めるホットアルバムコム株式会社(以下「ホットアルバムコム社」という。)の名称を付していることから(甲10),ゴルフダイジェスト社が販売する引用標章は申立人が製造販売元の商品であると需要者は認識する。
この商品は,本件商標の出願日である平成27年11月26日より前の平成27年11月9日に,11月24日を納期として,申立人から製造会社である株式会社東邦化学研究所(以下「東邦化学研究所」という。)に発注されている(甲11)。また,ゴルフダイジェスト社は,本件商標の出願日である平成27年11月26日より前の平成27年11月24日に発売の週刊ゴルフダイジェスト45号の特集記事に引用標章を掲載して宣伝広告を行っている(甲12)。この週刊ゴルフダイジェスト45号は,発行部数が143,550部であり,週刊ゴルフダイジェスト45号中には,「世界にひとつだけを編集部とメーカーで真剣コラボしました」,「”重炭酸温浴法”」,「この入浴法を開発したホットアルバムコム社代表の小星氏」及び「この炭酸泉をもとに分析し研究開発してできたのが,リカバリータブレットなのです」(甲10:審決注:甲12の誤り。)等と記載されていることから,引用標章は申立人が開発した商品であると需要者は認識する。
(3)申立人と本件商標の商標権者との関係について
本件商標の商標権者は,「Hot Tab」関連商品の販売チャンネルとして平成25年6月24日にOEM製造委託基本契約書(甲13)及び個別OEM商品取引覚書(甲14)を交わし,申立人が製造及び販売する「Hot Tab」関連商品のOEM販売を行っている。すなわち,申立人と本件商標の商標権者との関係は,製造販売元と販売元との関係であり,本件商標の商標権者がOEM販売する「Hot Tab」のパッケージ(甲15)の裏面にその旨が明記されている。
(4)本件商標と引用標章の類似性について
本件商標は「Recovery Tab」であるのに対して,申立人が本件商標の出願前から製造及び販売している商品名は「リカバリータブレット」,「RECOVERY TABLET」である。ここで,「Tab」は一般的に「Tablet」の略称であると需要者は解釈するので,「Recovery Tab」は「リカバリータブレット」と認識される。
したがって,本件商標の「Recovery Tab」と引用標章の「リカバリータブレット」又は「RECOVERY TABLET」とは外観,観念,称呼のいずれにおいても類似する。
(5)本件商標の指定商品と引用標章を付した商品との関係について
本件商標の指定商品は,「入浴剤(医療用のものを除く。)」と「医療用入浴剤」であり,引用標章を付した商品は,甲第12号証の週刊ゴルフダイジェスト45号に示す「薬用入浴剤」若しくは甲第10号証の商品パッケージに示す「入浴剤」であり,両者は同一である。
(6)本件商標を指定商品に使用した場合の出所の混同について
上述したように,「Hot Tab」は申立人が使用する商品の名称として広く知られており,引用標章は,「Hot Tab」の関連商品であることも広く知られており,さらに,引用標章を付した商品の製造販売元は申立人が代表を務める会社であることも広く知られている。
したがって,引用標章に類似する本件商標を「薬用入浴剤」若しくは「入浴剤」と同一の指定商品(「入浴剤(医療用のものを除く。)」と「医療用入浴剤」)について使用すると,申立人の業務に係る商品と出所の混同を生じる恐れがあることは明かである。
2 商標法第4条第1項第7号該当性
(1)申立人が本件商標出願よりも前に引用標章を商標として使用することを選択していたこと
前記1(2)のとおり,申立人は,アスリートをターゲットとした商品として,ゴルフダイジェスト社とコラボレーションした商品として引用標章を付して販売しているものであるところ(甲10),ゴルフダイジェスト社とコラボレーションした商品を販売することは,本件商標の出願日である平成27年11月26日より前の平成27年10月21日に開催した健康入浴指導士セミナー(甲8)でも紹介しており,甲第9号証で示した多数の関係者に告知している。
また,引用標章を付した商品は,本件商標の出願日である平成27年11月26日より前の平成27年11月9日に,11月24日を納期として,申立人から製造会社である東邦化学研究所に発注されている(甲11)。
さらに,ゴルフダイジェスト社は,本件商標の出願日である平成27年11月26日より前の平成27年11月24日に発売の週刊ゴルフダイジェスト45号の特集記事に,申立人の商品である引用標章を付した商品を掲載して宣伝広告を行っている(甲12)。
このように,申立人は,本件商標の出願日よりも前に引用標章を商標として使用することを選択していたものであり,「Hot Tab」と同様にやがて引用標章を商標出願しようとしていたものである。
(2)本件商標と引用標章とが類似すること
前記(4)に記載のとおり,本件商標と,引用標章とは,外観,観念,称呼のいずれにおいても類似する。
(3)本件商標の商標権者の不正の目的
本件商標の商標権者は,引用標章と類似する本件商標を用いた商品を販売している(甲18)。本件商標の商標権者は,申立人商品「Hot Tab」のOEM販売を行っている者であり,申立人が引用標章を付した商品の販売を行うことを知っていたものである。本件商標の商標権者は,本件商標出願によって引用標章を付した商品の販売を阻止し,他方で,申立人によって多数の関係者にその販売が告知され,ゴルフダイジェスト社の特集記事により多数の消費者に宣伝広告がなされた,引用標章と類似する本件商標を用いた商品を販売することにより,申立人の宣伝広告活動による効果にただ乗りして利益を得ようとしたものである。
したがって,本件商標出願は,不正の目的をもって行われたものである。
このことは,本件商標出願日(平成27年11月26日)と,申立人が開催した健康入浴指導士セミナーの日(平成27年10月21日)及び引用標章の特集記事が掲載された週刊ゴルフダイジェスト45号の発行日(平成27年11月24日)とが,きわめて近接していること,また,本件商標の商標権者が平成28年4月6日に通知書(甲19)を送付して,申立人による引用標章を付した商品の販売が本件商標権の侵害であることを告知していることからも明らかである。
(4)本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当すること
本件商標の商標権者は,申立人が引用標章を商標として使用することを選択しており,やがてこれらを商標出願するであろうことを認識しながら,申立人による引用標章を付した商品の販売を阻止し,申立人による広告宣伝活動の効果にただ乗りして利益を得ようとする不正な目的をもって剽窃的に本件商標出願を行ったものである。このような剽窃的な商標出願は,商標登録出願について先願主義を採用し,また,現に使用していることを要件としていない我が国の法制度を前提としても,健全な法感情に照らし条理上許されないというべきであり,さらに,商標法の目的(商標法第1条)にも反し,公正な商標秩序を乱すものというべきであるから,本件商標は「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」である商標法第4条第1項第7号に該当する。
3 商標法第4条第1項第16号該当性
(1)申立人が製造販売元の引用標章を付した商品と,本件商標の商標権者が販売する「Recovery Tab」の成分について
甲第10号証の成分の欄に示すように,申立人が製造販売元である引用標章を付した商品は,有効成分が炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウム,その他の成分が無水クエン酸,PEG6000,アルカンスルホン酸ナトリウムからなる商品である。ここで,申立人は,「Hot Tab」関連商品の製造方法として,特許第5017516号(甲16)及び特許第5588490号(甲17)を取得しており,特許第5017516号では,「…クエン酸とポリエチレングリコールの混合物の…造粒物Aと,…炭酸水素ナトリウムとポリエチレングリコールの混合物の…造粒物Bとを…混合して圧縮成型する錠剤の製造方法(請求項1)」,特許第5588490号では,「重炭酸塩(炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム)に対し1/50から1/5のポリエチレングリコール及び1/20から1/3の有機酸を加え圧縮成型する錠剤の製造方法において,…前記有機酸がクエン酸を含むことを特徴とする錠剤の製造方法(請求項1)」を開示している。
一方,本件商標の商標権者が販売する「Recovery Tab」は,甲第18号証の第1頁の赤枠を拡大した第2頁に示すように,「炭酸水素ナトリウム,リンゴ酸,PEG150,炭酸ナトリウム,カプリリルスルホン酸ナトリウム」からなる商品である。両者の主な違いは,申立人が製造販売元の引用標章を付した商品は,有機酸としてクエン酸を使用しているのに対して,本件商標の商標権者が販売する「Recovery Tab」は,有機酸としてリンゴ酸を使用している。
(2)重炭酸イオンとクエン酸の組み合わせによる効能について
申立人は,甲第6号証で示したホームページの画面でクエン酸の効果について説明し,甲第8号証で示した健康入浴指導士セミナーの資料で重炭酸イオンとクエン酸の組み合わせによる抗酸化能について説明しており,「Hot Tab」関連商品では,重炭酸イオンとクエン酸とを組み合わせることが重要であることを実証している。
(3)効能の表記について
申立人は,本件商標の出願日である平成27年11月26日より前に公表している甲第5号証のパンフレットに,水素イオンと重炭酸イオンとクエン酸のタブレット・トリプルパワーと記載し,水素イオンと重炭酸イオンとクエン酸を円で繋いだ図形を表記している。また,甲第6号証のホームページに,重炭酸イオンと水素イオン,クエン酸のトリプル効果と記載している。
一方,本件商標の商標権者が販売する商品の商品パッケージ(甲18)には,水素イオンと重炭酸イオンとリンゴ酸のトリプルパワーと記載し,水素イオンと重炭酸イオンとリンゴ酸を楕円で繋いだ図形を表記している。
(4)本件商標を指定商品に使用した場合について
上述したように,「Hot Tab」は申立人が使用する商品の名称として広く知られており,引用標章を付した商品は「Hot Tab」の関連商品であることも広く知られており,さらに,引用標章を付した商品は,重炭酸イオンとクエン酸を組み合わせた商品である。
したがって,引用標章に類似する本件商標を,引用標章を付した商品とは成分の異なる本件商標の商品について使用すると,商品の品質の誤認を生じる恐れがあることは明かである。
4 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号,同第7号及び同第16号に違反してされたものであるから,取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用標章の著名性
ア 申立人の提出した証拠によれば,以下のとおりである。
(ア)入浴剤に関する広告等について
a 申立人は,「重炭酸協議会 健康入浴指導士セミナー」(2015年10月21日)のテキストの第38葉目の一部に,「アスリートリカバリ商品開発」,「トップアスリート社やゴルフダイジェスト社共同開発」として,引用標章を付した入浴剤の発売に関する紹介を掲載した(甲8)。そして,「倍増施策研究会 代理店会議出席者リスト」によれば,上記セミナーの出席者は,66名であった(「出欠」欄に○が記載された者:甲9)。
b 引用標章を付した入浴剤の発売元であるゴルフダイジェスト社は,「週刊ゴルフダイジェスト」(平成27年12月8日発行・11月24日発売)に,当該商品の紹介・広告をした。当該商品の包装袋の表面には,引用標章が大きく表示されている。また,同裏面には,「製造販売元:ホットアルバムコム株式会社」の記載がある(甲10,甲12)。
(イ)入浴剤の販売数量
ホットアルバムコム社は,平成23年11月9日に,東邦化学研究所に対し,「薬用リカバリータブレット(OEM) 10錠〔40袋入り〕」を8箱と「薬用リカバリータブレット(OEM) 100錠〔10袋入り〕」を20箱の注文をした(発注元はゴルフダイジェスト社である。:甲11)。
イ 上記アによれば,申立人は,引用標章を付した入浴剤については,申立人の開催したセミナー(甲8)において,配布されたと推認されるテキストの1頁を割いて,「アスリートリカバリ商品開発」の表題のもとに,他の商品とともに紹介されたにすぎない。
また,引用標章の広告に関しては,当該商品の発売元であるゴルフダイジェスト社が本件商標の登録出願日の2日前に発売された雑誌に,わずか1回行ったにすぎないものであり,当該雑誌の広告には,ホットアルバムコム社の名前は記載されているが,申立人の名前は一切記載されていない。
そして,上記のとおり,ホットアルバムコム社が東邦化学研究所から入荷した薬用リカバリータブレットを付した入浴剤の数量は決して多いものとはいえないし,申立人は,ホットアルバムコム社との関係について,何ら立証する証拠を提出していない。
さらに,申立人は,引用標章の売上額,市場占有率(シェア)なども明らかにしていないし,その証拠の提出もない。
そうすると,引用標章が,申立人の業務に係る入浴剤を表示するものとして,本件商標の登録出願日においてはもとより,その登録査定日(平成28年2月22日)においても,入浴剤を取り扱う分野の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
(2)本件商標と引用標章の類否
ア 本件商標について
本件商標は,前記第1のとおり,「Recovery Tab」の文字からなるところ,該文字は,「Recovery」の文字部分と「Tab」の文字部分の間に,1文字程度の間隔を有するものであるとしても,いずれも欧文字で統一され,構成全体が外観上まとまりよく表されているものである。
また,本件商標より生ずると認められる「リカバリータブ」の称呼もよどみなく称呼され得るものといえる。
さらに,本件商標中の「Recovery」の文字部分は,「元の状態に返ること,回復,復旧,取り戻し」などを意味する英単語(研究社「新英和大辞典」第6版第10刷。以下,英単語に関しては同じ。)であり,また,「Tab」の文字部分は,名詞の主なものだけを取り上げてみても,「勘定書,つけ,費用,値段,勘定,(衣服などの)垂れ,垂れ飾り,(カードや書類の)タブ,耳,つまみ,靴のつまみ革,ひも先の金具,靴ひも,垂れそで,(帽子の)耳覆い,付け札,張札,ラベル」など様々な意味を有する英単語であって,両文字が結合されて親しまれた熟語的意味合いを生ずるものではない。
そうすると,本件商標は,外観及び称呼上の一体性からみて,構成全体をもって特定の意味合いを想起させない造語を表したと理解されるとみるのが相当である。
したがって,本件商標は,その構成文字に相応して,「リカバリータブ」の一連の称呼のみを生ずるものであって,特定の観念は生じないものということができる。
イ 引用標章について
引用標章は,前記第2のとおり,「リカバリータブレット」の片仮名又は「RECOVERY TABLET」の欧文字からなるところ,これより生ずると認められる「リカバリータブレット」の称呼は,よどみなく一連一体に称呼されるものである。
さらに,引用標章中の「RECOVERY」の文字部分は,本件商標中の「Recovery」の文字部分と同じ意味を有する英単語であり,また,「TABLET」の文字部分は,「錠剤,(一つづりの)便箋,(型に入れて作った石鹸・チョコレートなどの)一固まり,(金属・石・木の)平板,銘板,刻板,奉納額,絵馬,笠石,書字版」などを意味する英単語であって,引用標章が使用される入浴剤との関係からみると,「回復のための錠剤」なる意味合いを想起させる場合があるとしても,上記のとおり,「TABLET」の文字部分が多義語であることからすると,一義的に上記観念のみが生ずるとまでは認められない。
してみれば,引用標章は,外観上は,「RECOVERY」と「TABLET」の間が一文字空いているとしても,称呼上の一体性からみて,一体不可分の造語商標を表したと理解されるとみるのが相当である。
したがって,引用標章は,その構成文字に相応して,「リカバリータブレット」の一連一体の称呼のみを生ずるものであって,特定の観念は生じないものと認められる。
ウ 本件商標と引用標章との対比
(ア)外観について
本件商標は,欧文字の大文字と小文字との構成からなるものであり,引用標章は,欧文字がすべて大文字で構成されているもの,又は,片仮名で構成されているものであるから,これらの構成において,上記のような差異を有し,さらに,「LET」の文字の有無の差異をも有するものであるから,外観上,互いに紛れるおそれがないものである。
(イ)称呼について
本件商標より生ずる「リカバリータブ」の称呼と引用標章より生ずる「リカバリータブレット」の称呼は,「リカバリータブ」の音を共通にするものの,末尾において,明瞭に発音される「レット」の音の有無の差異を有するものである。
そうすると,該差異音が両称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえないから,それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても,称呼全体の語調,語感が相違したものとなり,両称呼は,称呼上,互いに紛れるおそれはないものである。
(ウ)観念について
本件商標と引用標章は,いずれも特定の観念は生じないものであるから,観念において比較することができず,観念上,類似するものとはいえない。
(エ)小括
したがって,本件商標と引用標章は,観念においては,比較することができないが,外観及び称呼のいずれの点についても,互いに相紛れるおそれのない非類似の商標と認められる。
(3)出所の混同
前記(1)及び(2)のとおり,引用標章は,申立人の業務に係る入浴剤を表示するものとして,本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において,その取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものであり,さらに,本件商標は,引用標章とは非類似の商標である。
そうすれば,本件商標に接する取引者,需要者が引用標章を想起又は連想することはないというべきであるから,本件商標は,これをその指定商品について使用しても,該商品が申立人又はこれと業務上何らかの関係のある者の取扱いに係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第7号該当性について
(1)申立人の提出した証拠によれば,以下のとおりである。
ア 申立人と商標権者は,平成25年6月24日に,「Hot Tab」関連商品についての基本契約書及び基本契約書を補完する本件覚書を締結した。
基本契約書の第2条(製品の製造及び包装材料)第1項には,申立人は,基本契約書に定める条件のもとに,日本国内における,非独占的なOEM商品販売権利を商標権者に与え,Hot Tab関連商品を商標権者に供給することを目的に生産することを受託する旨の記載がある(甲13)。
また,本件覚書の第4条(個別商品の特定と売買価格)には,「OEM商品」,「商品名/1.Hot Tab 10錠入り,2.Hot Tab 30錠入り,3.Hot Tab 100錠入り」の記載がある(甲14)。
イ 商標権者がOEM販売する商品のパッケージ(作成日は明らかではない。)の表面には,「Hot Tab/sparkling」,「重炭酸浴」,「浴用化粧品(錠剤タイプ)」などの記載があるが,引用標章の表示はない。また,同裏面の左下には,「製造販売元:ホットアルバムコム株式会社」,「発売元/株式会社ホットタブレット」などの記載がある(甲15)。
ウ 申立人が2015年10月21日に開催した「重炭酸協議会 健康入浴指導士セミナー」の出席者リスト(倍増施策研究会 代理店会議出席者リスト)中には,商標権者の従業員の名前が記載されている(甲9)。
エ 商標権者が作成したパンフレット(作成日は明らかではない。)には,その販売に係る入浴剤について,「Recovery」の文字と「Tab」の文字を二段に横書きした商標や本件商標が表示されている(甲18)。
オ 商標権者は,平成28年4月6日付け書面をもって,ゴルフダイジェスト社に対し,本件商標と類似する引用標章を使用した薬用入浴剤の広告・販売を中止することを請求する旨通知した(甲19)。
(2)上記(1)によれば,商標権者は,本件商標の登録出願日の約2年半前に,ホットタブを付した入浴剤に関し,申立人との間で,基本契約書及び本件覚書を締結していたところから,申立人とは商取引上密接な関係を有していたことが認められる。
また,商標権者は,本件商標の登録出願日の約1ヶ月前には,申立人が開催した「重炭酸協議会 健康入浴指導士セミナー」に代理店としてその従業員を出席させ,当該セミナーを通して,引用標章を付した入浴剤の存在を知ったと推認することができる。
しかしながら,前記1(2)のとおり,本件商標は,引用標章とは非類似の商標である。さらに,引用標章が,申立人の業務に係る入浴剤を表示するものとして,取引者,需要者の間に広く認識されていたという事情は存在しない。
そうすると,上記のように,商標権者が,申立人と商取引上密接な関係を有し,かつ,引用標章を付した入浴剤の存在を知っていたと推認されるような事実が存在するとしても,商標権者による本件商標の登録出願は,剽窃的なものということはできないばかりか,引用標章に化体した信用,名声,顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る等の目的をもってしたものとも認めることができない。
そして,商標法においては,商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを併せ考慮すれば,商標権者が本件商標を登録出願し登録を取得した行為が著しく社会的妥当性を欠き,その登録を容認することが商標法の目的に反するということはできない。
また,その他,本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると認めるに足りる証拠はない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第16号該当性について
申立人は,本件商標を使用する入浴剤と引用標章を使用した入浴剤とは成分が異なるから,商品の品質の誤認を生ずるおそれがある旨主張している。
しかし,商標法第4条第1項第16号でいう「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」の有無は,当該商標自体,すなわち,当該商標を構成する文字や図形等が表す商品の品質や特性から客観的に判断されるべきである。
そして,本件商標は,前記1(2)アのとおり,構成文字全体をもって,特定の意味合いを有しない造語よりなるものであるから,指定商品との関係からみて,商品の品質の誤認を生ずるおそれはないというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第7号,同第15号及び同第16号のいずれの規定にも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-10-18 
出願番号 商願2015-116140(T2015-116140) 
審決分類 T 1 651・ 272- Y (W0305)
T 1 651・ 271- Y (W0305)
T 1 651・ 22- Y (W0305)
最終処分 維持 
前審関与審査官 赤星 直昭 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 清棲 保美
榎本 政実
登録日 2016-03-11 
登録番号 商標登録第5834218号(T5834218) 
権利者 株式会社ホットタブレット
商標の称呼 レカバリータブ、リカバリータブ、レカバリー、リカバリー 
代理人 宮本 恵司 
代理人 折坂 茂樹 
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