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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1322491 
異議申立番号 異議2016-900111 
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-05-02 
確定日 2016-10-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第5824909号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5824909号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5824909号商標(以下「本件商標」という。)は,「RAZOR OLED」の文字を横書きしてなり,2015年(平成27年)5月27日に大韓民国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,平成27年11月5日に登録出願され,第9類「テレビジョン受信機,テレビジョン受信機用ディスプレイパネル,コマーシャル用モニター,スマートテレビジョン用アプリケーションソフトウェア,スマートフォン,携帯通信機器,オーディオコンポーネント,音響又は映像の記録用・送信用又は再生用の機械器具,アプリケーションソフトウェア,携帯電話機用コンピュータソフトウェア,ウェアラブルスマートフォン,携帯電話機用ケース,携帯型携帯電話機用充電器,ヘッドフォン,イヤフォン,無線サウンド送信システムに使用されるパーソナルヘッドフォン,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電子広告表示装置,電子看板,電子看板用モニター,充電器,コンポーネント型ステレオ,コンポーネント式オーディオ装置」を指定商品として,同28年1月13日に登録査定,同年2月5日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続している。
(1)登録第4993385号商標(以下「引用商標1」という。)は,「RAZR」の文字を標準文字で表してなり,2005年(平成17年)11月9日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,平成17年11月30日に登録出願,第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同18年10月6日に設定登録され,同28年4月19日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
(2)登録第5129314号商標(以下「引用商標2」という。)は,「RAZR」の文字を標準文字で表してなり,平成17年12月15日に登録出願,第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同20年4月18日に設定登録されたものである。
(以下,引用商標1及び2をまとめていうときは,単に「引用商標」という。)

第3 登録異議申立ての理由
申立人は,申立の理由の要旨を以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証から甲第9号証を提出した。
1 商標第4条第1項第11号の該当性について
本件商標は,「RAZOR OLED」の文字からなり,「RAZOR」と「OLED」の各文字の間にスペースがあることから,「RAZOR」と「OLED」の2つの単語からなることが明らかである。そして,「RAZOR」の文字は「カミソリ」を意味する基本的な英単語であって,本件商標の需要者はこの単語の意味を理解していること,また,「OLED」の文字は「有機発光ダイオード」を意味する略号であり,本件商標の指定商品中の表示画面を有する商品との関係では識別力が弱いものであることからすれば,本件商標の要部は「RAZOR」の文字部分であるといえる。
してみれば,本件商標は,その要部たる「RAZOR」の文字部分から「レーザー」の称呼及び「カミソリ」の観念が生じるところ,引用商標は,「RAZR」のつづりと「レーザー」の称呼から「カミソリ」の観念が生じる。
そうすると,本件商標と引用商標とは,外観が非類似であるとしても,称呼及び観念上相紛らわしい類似の商標であって,両商標の指定商品も同一又は類似する。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標第4条第1項第15号の該当性について
(1)引用商標の周知著名性について
商標「RAZR」を付したモトローラ社の携帯電話は,2004年に米国で発売されて全世界でヒットし,特に米国では2008年7?9月期にiPhone3Gに抜かれるまで3年間にわたり販売台数1位を保ち続けていたこと,また,「モトローラ レーザー」という2つの単語でグーグル検索すると,日本語のページが785万件ヒットすること等からすれば,「RAZR」は,モトローラ社の携帯電話機の名称として米国を中心とした世界において著名な商標であるといえる。
そして,我が国において,NTTドコモ等から「RAZR」の文字を含む名称で携帯電話やスマートフォンが発売されており,また,当該スマートフォンの紹介記事では「あの“MOTORAZR”がAndroidになってカムバック」とあることから,世界的なヒットと相まって我が国においても周知著名であり,このことは,上記グーグル検索結果からも明らかである。
また,申立人は,引用商標の商標権について,日米両国において,モトローラ社に使用許諾を与えている。
(2)本件商標と引用商標との類似性について
本件商標と引用商標が類似することは,上記1のとおりである。
(3)商品の関連性について
近年,音楽プレーヤー等の電子機器に表示画面が搭載されるとともに,携帯電話を含む様々な電子機器においては,それぞれの機能が融合された商品が次々と誕生している事情がある。
(4)出所の混同のおそれについて
上記(1)から(3)によれば,本件商標をその指定商品について使用すると,引用商標を使用する者の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 商標第4条第1項第19号の該当性について
引用商標が米国を中心とした世界及び我が国において周知著名であり,本件商標が引用商標と類似するものであることは,上記2のとおりである。
そして,本件商標が出願された2015年11月には,引用商標を付した携帯電話は販売終了となっていたが,この時点で引用商標と類似する本件商標を出願したことには,過去に著名となった商標が使用されなくなったことを奇貨として,その著名商標のイメージを利用しようとするフリーライドの意図があるから,不正の目的をもって使用するものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。
4 むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから,その登録は取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知著名性について
(1)申立人の主張及び引用商標が周知著名であることを立証する証拠として提出した甲第6号証から甲第9号証によれば,以下の事実が認められる。
ア 2004年(平成16年)に米国で「RAZR」の文字を使用したモトローラ社の携帯電話機が発売され,2008年(平成20年)7?9月期にiPhone3Gに抜かれるまで3年間にわたり販売台数1位を続けた(甲8)。
イ 我が国においては,2006年(平成18年)12月にNTTドコモから,2012年(平成24年)3月にauから,同年10月にソフトバンクモバイルから,名称中に「RAZR」の文字を含む携帯電話機が発売された(甲8)。
ウ 2012年(平成24年)1月17日付け及び同年4月3日付けウェブ記事に上記イ中のau向け携帯電話機の紹介文(同機が2011年(平成23年)10月に米国で発売されたモデルであること等)が掲載された(甲6,9)。
エ 2013年(平成25年)以降は,少なくとも我が国においては,「RAZR」の文字を使用した携帯電話機等は発売されていない。
オ 2016年(平成28年)5月9日に「モトローラ レーザー」を検索キーにしてグーグル検索すると日本語のページで785万件ヒットした(甲7)。
(2)以上からすれば,モトローラ社は,2004年(平成16年)に米国において「RAZR」の文字を使用した携帯電話機を発売し,2005年(平成17年)7月頃から2008年(平成20年)6月頃まで販売台数1位を記録したこと,2011年(平成23年)10月においても,同文字を付した携帯電話機を発売したこと,また,我が国において,NTTドコモ,au及びソフトバンクモバイルを通じて,それぞれ2006年(平成18年)12月,2012年(平成24年)3月及び同年10月に,名称中に「RAZR」の文字を含む携帯電話機が発売されたことが認められる。
しかしながら,日米両国における,「RAZR」の文字を使用した携帯電話機の発売開始時期はそれぞれわかるとしても,米国においては,2011年(平成23年)10月以後の使用の状況が不明である。我が国においては,2013年(平成25年)以降は,同文字を使用した携帯電話機等は発売されていない。さらに,米国においては,2008年(平成20年)6月までの3年間に販売台数1位を記録したことがうかがわれるものの,実際の販売台数,売上げ,シェア,広告宣伝の方法・回数・内容等を確認できる資料の提出はなく,我が国における,これら使用実績も一切不明である。
また,申立人は,上記(1)オのインターネットの検索結果の事実を挙げるが,広くインターネットが普及した現代社会において,単にヒット件数が多数あるという程度の事実によって,これら使用実績の立証の不足を補えるものではない。
そうすると,申立人が提出した証拠によっては,引用商標が,モトローラ社の業務に係る商品である携帯電話機について,本件商標の登録出願時(平成27年5月20日)及び登録査定時(平成28年1月13日)に,米国及び我が国において周知性を獲得していたものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は,「RAZOR OLED」の文字を横書きしてなるところ,その構成中の「OLED」の文字は,本件商標の指定商品に係る業界においては,「有機発光ダイオード」であること,すなわち商品の名称,品質を表示する語であるから,商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないか弱いとみるのが相当であり,本件商標の構成中,商品の出所識別標識としての機能を有するのは,「RAZOR」の文字部分にあるといえる。これより,本件商標からは,その要部たる「RAZOR」の文字部分から,「レーザー」の称呼及び「カミソリ」の観念が生じるというべきである。
(2)引用商標
引用商標は,「RAZR」の文字を標準文字で表してなるところ,同文字が一般的な英語の辞書に掲載されていないことから,特定の語義を想起しない一種の造語として認識され,当該文字からは特定の観念は生じないと判断するのが相当である。称呼については,我が国における英語の普及率や使用頻度が非常に高いことに照らせば,引用商標の構成文字は,英語風の読み方で「レーザー」又はその構成文字を一文字ずつ称呼した「アールエーゼットアール」の称呼が生じるものである。してみれば,引用商標からは,「レーザー」又は「アールエーゼットアール」の称呼が生じ,特定の観念は生じないというべきである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
まず,外観については,その構成は,それぞれ上記のとおりであり,外観において判然と区別できるものである。
次に,称呼については,「レーザー」の称呼において本件商標と引用商標は共通することがある。
また,観念については,本件商標からは「カミソリ」の観念が生じ,引用商標からは特定の観念を生じないものであって,両商標は,観念上,比較することができないことから,観念において相紛れるおそれはない。
そうすると,本件商標と引用商標とは,「レーザー」の称呼を共通にする場合があるとしても,これが外観における顕著な差異を凌駕するものではなく,観念において相紛れるおそれはないものであるから,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合的に考察すると,本件商標と引用商標は,商品の出所について誤認混同を生じるおそれのない非類似の商標とみるのが相当である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1のとおり,引用商標は,我が国において本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を獲得していたものと認めることはできず,さらに,上記2のとおり,引用商標と本件商標とは非類似の商標であるから,本件商標をその指定商品に使用しても,引用商標を使用する者の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあるものとは認められない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記1のとおり,引用商標は,米国及び我が国において本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を獲得していたものと認めることはできず,さらに,上記2のとおり,引用商標と本件商標とは非類似の商標であるから,不正の目的について判断するまでもなく,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
5 結論
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第19号の規定に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録は維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-10-17 
出願番号 商願2015-107888(T2015-107888) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W09)
T 1 651・ 262- Y (W09)
T 1 651・ 263- Y (W09)
T 1 651・ 271- Y (W09)
T 1 651・ 261- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 池田 光治 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 幸一
冨澤 武志
登録日 2016-02-05 
登録番号 商標登録第5824909号(T5824909) 
権利者 エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
商標の称呼 レザーオーレッド、レザーオオレッド、レザーオオエルイイデイ、レーザーオーレッド、レーザーオオレッド、レーザーオオエルイイデイ、レザー、レーザー、オーレッド、オオレッド、オオエルイイデイ 
代理人 青木 篤 
代理人 特許業務法人前田特許事務所 
代理人 田島 壽 

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