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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない X36
審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない X36
審判 全部無効 観念類似 無効としない X36
審判 全部無効 称呼類似 無効としない X36
審判 全部無効 外観類似 無効としない X36
管理番号 1322469 
審判番号 無効2014-890078 
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-10-30 
確定日 2016-11-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第5277725号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5277725号商標(以下「本件商標」という。)は,「レジアス」の片仮名と「REGIUS」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり,平成21年5月8日に登録出願,第36類「資金の貸付け及び手形の割引,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,商品代金の徴収の代行,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」を指定役務として,同年9月11日に登録査定,同年10月30日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は,本件商標の登録を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第301号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第19号に違反してされたものであり,同法第46条第1項の規定により,無効とされるべきである。
2 具体的な理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 引用商標
請求人が引用する登録第4473847号商標(以下「引用商標」という。)は,「REGUS」の欧文字を標準文字で表してなり,平成11年2月22日に登録出願,第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」並びに第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として,同13年5月11日に設定登録されたものであり,その商標権は,現に有効に存続しているものである。
イ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標は,「レジアス」の片仮名と「REGIUS」の欧文字とを同書,同大,等間隔にて二段に横書きしてなるものであるのに対し,引用商標は,「REGUS」の欧文字を標準文字で同書,同大,等間隔に表してなるものである。
(ア)外観における比較
本件商標は,片仮名と欧文字との二段書きの態様からなるため,視覚上,それぞれが分離観察される。本件商標の構成中の「REGIUS」の欧文字と引用商標を構成する「REGUS」の欧文字との差異は,中央の「I」の文字の有無にすぎない。この差異は,特に中間部分に位置するため,直ちに看取し得るものでなく,他の5文字を共通にしていることから,これらに接する取引者,需要者において,その差異は曖昧であり,両商標は,相紛れて看取され,互いに混同を生じさせやすい。
(イ)観念における比較
本件商標の構成中,「REGIUS」の欧文字は,「王の」との意味を有する英語であり,「レジアス」の片仮名は,何ら観念を生じさせない造語である一方,引用商標を構成する「REGUS」の欧文字は,イギリス人の苗字として使用されており,その由来は,ラテン語で「王」を意味する「rex」や「regis」にあるとされているから,両商標は,「王」なる観念を生じさせる点において,一定の共通性を有するものである。
被請求人は,本件商標に関し,一般の需要者又は取引者は,その意味合いを直ちに知り得るものではなく,造語であると主張するが,被請求人は,本件商標の使用に当たって,王冠図形とともに使用しているから,その意味合いを認識していたのは明らかであって,造語とはいえないし,本件商標に対する異議申立て(異議2010-900030)でも,本件商標からは「王の」の観念を生ずると判断されている。
(ウ)称呼における比較
a 本件商標は,その構成中,欧文字部分から英語読みで「リージャス」の称呼を,片仮名部分から「レジアス」の称呼を生じるものである。
被請求人は,本件商標の片仮名部分は欧文字部分の読みを特定したものと無理なく認識できるから,本件商標の称呼は「レジアス」に特定されると主張するが,後述のとおり,引用商標が国内外において不動産業で著名であるという特段の事情を考慮すれば,同じく不動産業を指定役務とする本件商標に接する取引者,需要者の中には,日本語である片仮名を認識できない在日外国人や外国からの出張者等も多く含まれるから,なじみ深い欧文字部分から生ずる「リージャス」の自然な称呼も混同のおそれの判断に含めるべきである。
b 引用商標は,次の理由により,「リージャス」の称呼を生じるものである。
(a)請求人は,世界各国の企業向けにレンタルオフィス・サービスオフィスを提供するイギリスの法人「リージャス・パブリック・リミテッド」(以下「英国法人リージャス」という。)の100%子会社であり,1989年にベルギーのブリュッセルに最初のオフィスを開設以来,本件商標の登録出願日(平成21年5月8日)前の2008年(平成20年)時点で,世界70か国,950か所に拠点を有し,その顧客数は,40万人にも及んでいるところ,我が国においては,1998年に新宿に現地法人「日本リージャス株式会社」(以下「日本リージャス社」という。)を設立して以来,2000年にはビジネスの中心である大手町及び日比谷に,2006年には横浜,名古屋及び大阪に,2008年には博多等,本件商標の登録出願日前には,既に日本の主要都市に多数のオフィスを開設するに至っている。日本リージャス社は,自己のホームページ,名刺,封筒,リーフレット等について,引用商標とともに,「リージャス」の片仮名をハウスマークとして使用していることから,日本リージャス社の取引業者及び顧客が引用商標を「リージャス」と称呼される商標と理解していることが分かる。
(b)日本リージャス社は,事業展開している東京・大阪等の主要都市において,積極的に,駅ポスター,車内広告,空港バナー広告等の宣伝活動を行っており,当該広告には,引用商標と「リージャス」の片仮名が併記されていることから,当該広告を目にした者は,「REGUS」の呼び方が「リージャス」であることを容易に理解する。また,当該広告は,1日の乗降客数が数十万人,数百万人単位である東京・大阪等の大都市の駅・空港に出されており,非常に多くの者が当該広告を目にしていることから,引用商標の呼び名が「リージャス」であることは,多くの者に知られている事実といえる。
(c)日本リージャス社が行うレンタルオフィスの提供サービスは,従来,我が国ではなじみの薄い役務であったため,日本経済新聞等,様々な媒体に取り上げられ,注目されているから,引用商標から「リージャス」の称呼が生じると理解している者は多いといえる。
(d)請求人及び日本リージャス社を知らない者は,即座に引用商標を「リージャス」と読むことができずに,ローマ字読み風に「レグス」,「リガス」,「レガス」などと読む可能性があるが,読み方が分からないときは,インターネット等を用いて読み方を調べ,引用商標を「リージャス」と読むに至るのが通常である。
(e)名前の正しい発音を紹介するアメリカのオンライン辞書で「Regus」を入力すれば,実際に「Ree-juhs(リージャス)」と称呼されていることを確認できる。
(f)「Regus」と同じ語源の人名に「Regis」があるところ,これは,「リージス」と読まれる語であるから,当該語を知っている者であれば,「Regus」を「リージャス」と読むことは十分可能である。
c 上記a及びbによれば,本件商標と引用商標とは,いずれも「リージャス」の称呼を生じるといえる。
なお,商標は使用することによってこそ,その商標に業務上の信用が蓄積されるものであるから,現に使用されている引用商標についての使用の実情を離れて,引用商標からローマ字読み風の称呼のみ生じると結論づけるのは妥当でない。
ウ 小括
以上によれば,本件商標と引用商標とは,前者について,その構成中の欧文字部分と片仮名部分とが視覚的に分離観察されることからすると,その外観,称呼及び観念のいずれにおいても,同一又は類似する商標であり,かつ,それぞれの指定役務も類似するものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の周知著名性
請求人は,前述のとおり,本件商標の登録出願日前の2008年(平成20年)時点で,世界70か国,950か所に拠点を有し,その顧客数は,40万人にも及び,我が国においては,日本リージャス社(1998年設立)が,2000年にはビジネスの中心である大手町及び日比谷に,2006年には横浜,名古屋及び大阪に,2008年には博多等,既に日本の主要都市に多数のオフィスを開設するに至っている。日本リージャス社は,その設立以来,事業を展開するに当たり,自己のホームページや封筒等のほか,駅ポスター,車内広告,空港バナー広告等においても,請求人所有の「リージャス」の文字からなる登録第5437077号商標及び別掲1に示すとおりの登録第5459267号商標(以下,前者を「請求人使用商標1」,後者を「請求人使用商標2」といい,両者を合わせていうときは「請求人使用商標」という。)を継続して使用していることから,引用商標は,需要者の間で広く知られた商標といえる。
また,請求人のレンタルオフィスの貸与は,従来,日本ではなじみが薄い役務であったため,その設立当初から現在に至るまで,請求人の業務は,日本経済新聞等,様々な媒体に取り上げられ,注目されている。なお,請求人は,現在においても,レンタルオフィスのランキングにおいて,東京で第2位,大阪で第5位であり,その他バーチャルオフィスの全国総合第3位という揺るぎないシェアを誇っている。
さらに,インターネット検索サイト「Yahoo!JAPAN」により「REGUS」の語を検索したところ,最初の20件全てが,請求人及び日本リージャス社に関する記事であった。
イ 本件商標と引用商標の役務について
被請求人は,不動産業は,多種多様な事業に細分化され,各種事業が独立して遂行されているから,本件商標と引用商標の需要者の範囲が異なり,さらに役務の提供の目的及び用途等も相違することから,全く別個のものと捉えるのが取引の実情であると主張する。
しかしながら,不動産業を営む企業の多くは,住宅や賃貸オフィスサービス等,不動産業に含まれる各種事業を幅広く網羅しており,また,需要者も,住居の購入を考える世代=働く世代ともいえるから,本件商標と引用商標の需要者の範囲が異なるとはいい切れないのであって,混同を生じさせるおそれは否めない。
ウ 以上によれば,引用商標は,広範な使用地域や宣伝広告等とあいまって,レンタルオフィスの貸与等を始めとする役務を提供する不動産業界において,本件商標の登録出願時及び登録査定時において著名であったことは明らかであるから,本件商標がその指定役務に使用された場合,取引者,需要者が,請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように誤認し,役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
ア 引用商標が,日本国内において本件商標の登録出願日前から周知著名な商標であることは,前述のとおりである。
外国における周知著名性については,前述のとおり,請求人は,1989年にベルギーのブリュッセルに最初のオフィスを開設以来,本件商標の登録出願日前の2008年(平成20年)時点で,世界70か国,950か所に拠点を有し,その顧客数は,40万人にも及んでいる。
また,その売上げについても,2005年(平成17年)から2009年(平成21年)にかけ,ほぼ右肩上がりで推移し,2009年には年間約10億5500ポンド(約1818億円)となっている。
以上を踏まえれば,引用商標が,レンタルオフィス事業を含む不動産業界において,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,国内外で周知著名であったことに疑う余地はない。
イ 本件商標に係る不正の目的については,本件商標の使用態様により明らかである。
すなわち,商標権者(被請求人)は,本件商標を既に不動産物件シリーズ名として使用しており,その使用態様は,別掲2のとおり,「Regius」の欧文字とその上部中央に王冠の図形を配してなるものである(以下「被請求人使用商標」という。)。このように,被請求人使用商標と請求人使用商標2とは,その構成が極めて近似しており,時と場所を異にして両者を離隔観察した場合,互いに混同を生ずるほどに類似していると判断できる。
上記した商標権者の実際の使用態様を考慮すれば,本件商標の使用は,請求人が長年の使用により蓄積した信用(グッドウィル)を毀損させるものであり,不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって出願され,使用されている商標であることが推認される。前述のとおり,引用商標が全世界で使用されている需要者の間に広く認識されているものであることからすれば,商標権者は,引用商標の存在を知りつつ,不正の目的をもって本件商標を使用していると考えられる。
また,請求人は,被請求人に対し,平成22年3月12日付け書面をもって,本件商標について引用商標に基づき,異議申立てを行っている事実を申し述べるとともに,本件商標に係る商標権を放棄すること,本件商標の使用を停止すること等を検討するように申し入れたが,被請求人は,当該書面により引用商標の存在等を知ったにもかかわらず,当該書面の送付から約2週間後に,本件商標の欧文字部分のみを取り出した態様からなる商標を出願しており,このような出願は,日本国内又は外国で周知な商標について,信義則に反する不正の目的をもって出願されたといわざるを得ない。
ウ 以上の事実により,引用商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたことは明らかであるから,これと類似する本件商標は,不正の目的をもって使用するものであることが推認される。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標とは,以下のとおり,外観・称呼・観念のいずれの観点からも互いに類似するものではない。この点については,特許庁で判断された本件商標に対する登録異議申立てにおいて,両商標が互いに非類似との判断をされていることからも明らかである。
ア 外観の非類似性
商標の類否判断に際しては,全体観察が用いられるべきであって,特段の事情がない限り,分離観察は用いられるべきではない。
本件商標は,「レジアス」の片仮名と「REGIUS」の欧文字とを二段に併記した構成よりなるから,欧文字よりなる引用商標と類似しないことは,一見して明らかである。
また,たとえ本件商標の欧文字部分と引用商標とが類否判断の対象となり得るとしても,本件商標の欧文字部分は6文字を,引用商標は5文字をそれぞれ単純に並べたにすぎないため,このようにそれほど多いとはいい難い文字数の場合は,これらに接する需要者又は取引者は,時と所を異にする離隔観察のみならず,両者を対比する対比観察によってもなお,視覚上,両者を明瞭,かつ,容易に区別することが可能である。
したがって,本件商標と引用商標とは,外観上,相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
イ 観念の非類似性
(ア)本件商標の構成中,「REGIUS」の語は,厳密に言えば,「王の,王に属する」の意味合いを有するものである。
しかしながら,本件商標に接する需要者又は取引者は,特段英語に関する知識が豊富であるとの事情は存在しないことから,これより直ちに「王の,王に属する」の意味合いを想起し得るとは到底いえない。すなわち,一般の需要者又は取引者は,中学2年生程度の語学力を基準として取引行為を行うとされているところ,この中学生を対象とする初級クラウン英和辞典に「Regius」の語は掲載されておらず,当該語は中学生が習得すべき範囲の語ではないから,一般の需要者又は取引者は,「Regius」の意味合いを直ちに知り得るものではないといえる。そのため,本件商標に接する需要者又は取引者は,「Regius」の語から「王の,王に属する」との意味合いを認識,把握することはなく,むしろ被請求人自身の創出に係る造語と捉えるというのが自然である。
他方,引用商標は,辞書類に一切掲載されておらず,請求人の創出に係る完全なる造語である。
したがって,本件商標と引用商標とは,いずれも造語と認定されるべきものであるため,観念上,対比すべくもなく,相紛れるものではない。
(イ)請求人は,引用商標に係る欧文字「Regus」は,イギリス人の苗字として使用されており,その由来は,ラテン語で「王」を意味する「rex」や「regis」にあるとされているから,本件商標と引用商標とは,「王」なる観念を生じさせる点において,一定の共通性を有する旨述べている。
しかしながら,引用商標に接する需要者又は取引者は,ラテン語に関する極めて専門性が高い知識を持ち合わせてはいないから,むしろ引用商標を請求人の創出に係る造語であると認識するのが通常である。
したがって,請求人の上記主張は,失当である。
ウ 称呼の非類似性
(ア)本件商標から「リージャス」の称呼は生じ得ないこと
本件商標は,片仮名と欧文字との二段併記であるところ,片仮名が欧文字の読みを特定したものと無理なく認識し得る場合は,片仮名から生ずる称呼がその商標より生ずる称呼と特定される,との過去の審決例の蓄積があり,このような商標実務が既に定着している。
本件商標も,「レジアス」の片仮名が当該「REGIUS」の欧文字の読みを特定したものと無理なく認識し得るものといえるから,その称呼は「レジアス」に特定される。
したがって,本件商標より「リージャス」の称呼が生ずる余地はない。
(イ)引用商標から「リージャス」の称呼は生じ得ないこと
a 引用商標は,「レガス」,「レグス」,「リガス」及び「リグス」の称呼を自然に生ずるものであり,これに接する需要者又は取引者においても,そのように理解,把握するものである。
したがって,引用商標から「リージャス」の称呼が生ずる余地はない。
b 請求人は,甲第9号証ないし甲第158号証を提出し,引用商標から「リージャス」の称呼を生ずる旨述べている。
しかしながら,商標法第4条第1項第11号に該当するか否かの判断時は,登録査定日であるところ,本件商標の登録査定日は,「平成21年9月11日」(以下「11号判断時」という。)であるから,この11号判断時以降の書証は,全て本号の判断資料から排斥されるべきである。
c 請求人は,引用商標の読み方が分からなければ,インターネット等を用いて読み方を調べ,引用商標を「リージャス」と読むに至るのが通常である旨述べている。
しかしながら,簡易迅速を尊ぶ取引の実情を考慮すれば,需要者又は取引者が,わざわざインターネットを用いて検索をした上で取引を行うことは考え難く,このことは,引用商標の需要者又は取引者においても同様である。そもそも,引用商標が著しく可読性が低いものであれば格別,引用商標は,「レガス」,「レグス」,「リガス」及び「リグス」の称呼を自然に発生し得るものであるから,わざわざインターネット検索等に頼ることもない。
(ウ)本件商標の称呼が引用商標の称呼とは似ても似つかないこと
上記(ア)及び(イ)によれば,本件商標は,「レジアス」の称呼のみを生じ,引用商標は,「レガス」,「レグス」,「リガス」及び「リグス」の称呼を生ずるものであるから,両商標より「リージャス」の称呼を生ずる余地はない。
そうすると,両商標の称呼は,構成音数や語韻語調が全く相違することから,両商標は,互いに似ても似つかない,称呼上,全く非類似の商標といわなければならない。
エ 小括
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,外観,観念及び称呼のいずれもが相紛らわしいものではなく,全く別個の商標である。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標と引用商標とが互いに類似する関係ではないこと
本件商標と引用商標とが,その外観,称呼及び観念のいずれの観点からも互いに類似する関係ではないことは,上記(1)のとおりである。
イ 引用商標が周知著名性を獲得していなかったこと
商標法第4条第1項第15号の判断時は,登録出願日及び登録査定日の両時であるところ,本件商標の登録出願日は,「平成21年5月8日」であり,同じく,登録査定日は「平成21年9月11日」である(以下,両日付を合わせていう場合において,商標法第4条第1項第15号に係るときは,「15号判断時」といい,同項第19号に係るときは,「19号判断時」という。)から,この15号判断時以降の書証は,全て本号の判断資料から排斥されるべきである。
そして,請求人が提出する甲第6号証ないし甲第158号証は,そのほとんどについて掲載日等が不明であったり,15号判断時以降のものであったり,あるいは不鮮明なものばかりであり,これらの書証によっては,引用商標が15号判断時に周知著名性を獲得していたとは到底いえない。
また,甲第164号証ないし甲第276号証は,「英リージャス」や「日本リージャス」の単なる紹介記事であり,引用商標が15号判断時において周知著名性を獲得していた証左とは到底なり得ない。
さらに,甲第189号証ないし甲第276号証に至っては,15号判断時以降のものであり,証拠能力がない。
上記のとおり,請求人の提出に係る証拠は,基本的に15号判断時以降の書証であって,15号判断時以前のものであったとしても,「英リージャス」や「日本リージャス」の単なる紹介記事にとどまるなど,到底,引用商標(「REGUS」の欧文字)が15号判断時に周知著名性を獲得していたといい得るものではない。
ウ 本件商標に係る役務と引用商標の役務とは別個の役務であること
(ア)一般に,不動産業とは,不動産の売買,交換,貸借,管理又はその代行,仲介を行う事業をいい,開発,分譲などもここに含まれ,我が国における主要な産業の一つであるが,その実態は,上記のように多種多様な事業に細分化され,各事業が独立して遂行されている。本件商標は,主に住居用戸建分譲の名称として使用されているものであり,その需要者は,広く一般的な需要者又は取引者である一方,引用商標は,業務用レンタルオフィスサービスについて使用されるものであり,その需要者は,事業を行うものに限られる。このように,住居用戸建分譲事業と業務用レンタルオフィス事業とは,需要者の範囲が異なる上,役務の提供の目的及び用途なども相違することから,全く別個のものと捉えるのが取引の実情である。
したがって,被請求人が本件商標をその指定役務に使用しても,請求人が提供する役務との間で出所の混同など起こり得ないものである。
(イ)請求人は,引用商標は不動産業界で広く知られているから出所の混同を生ずる旨主張するが,引用商標が仮に認知されているとしても,それは業務用レンタルオフィス業界という極めて限定的な業界で一定程度認知されているにすぎないものであるから,請求人の上記主張は,論理の飛躍が著しい。
(ウ)業務用レンタルオフィスの提供サービスは,請求人が自ら述べるように,「従来日本では馴染みの薄い役務であった」ものであり,少なくとも15号判断時においては,業務用レンタルオフィスサービスは,我が国において,一般に認知されていたものとはいい難いものである。
他方,住居用戸建分譲事業は,我が国において,古くから存在し,かつ,社会生活の根幹となり得る住居を対象とするものであるから,一般的な需要者又は取引者にとって馴染みが深い役務であるといえる。
(エ)上記のとおり,住居用戸建分譲事業と業務用レンタルオフィスサービスとは,全く別個のものであり,さらに,業務用レンタルオフィスサービスは,15号判断時に需要者又は取引者の間ではよく知られていない存在感が乏しい役務であったことから,需要者又は取引者は,その出所について誤認混同を起こすことなど到底あり得ない。
エ 小括
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,互いに類似する関係にはなく(上記ア),また,引用商標は,15号判断時に周知著名性を獲得していなかったものであり(上記イ),さらに,本件商標に係る役務と引用商標の役務とは別個の役務である(上記ウ)から,被請求人が本件商標をその指定役務に使用しても,請求人が提供する役務との間で出所の混同を生じるおそれは全くない。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
(3)商標法第4条第1項第19号について
ア 本件商標と引用商標とが互いに類似する関係ではないこと
本件商標と引用商標とが,その外観,称呼及び観念のいずれの観点からも互いに類似する関係ではないことは,上記(1)のとおりである。
イ 引用商標が19号判断時に日本国内又は外国において周知著名性を獲得していなかったこと
商標法第4条第1項第19号の該当性判断においても,19号判断時以降の書証は,全て本号の判断資料から排斥されるべきである。
そして,引用商標が19号判断時に日本国内において周知著名性を獲得していなかったことは,上記(2)のとおりである。
また,請求人は,甲第279号証を提出して,合計89か国,510都市に請求人施設が分布しているとするが,これらの施設がいつ設立されたものか不明である。
さらに,請求人は,甲第278号証を提出して,アメリカ合衆国のフォーチュン500にランクインする企業の半数以上が請求人施設を利用しているとするが,この点については,何ら客観的な立証がなされていない。
したがって,引用商標は,19号判断時に,日本国内又は外国において,周知著名性を獲得していなかった。
ウ 本件商標が「不正の目的」により使用されるものではないこと
(ア)本件商標が「不正の目的」により使用されるものではないことは,被請求人使用商標と請求人使用商標2が全く別個のものであることからも明らかである。
すなわち,被請求人使用商標の上部の王冠をモチーフにした図形(以下「略王冠図形」という。)と請求人使用商標2の上部の図形(以下「デザイン図形」という。)とは,似ても似つかない全く非類似の図形といわなければならない。デザイン図形は,明らかに王冠とはかけ離れたものであるため,略王冠図形とは,視覚上,全く別個の図形である。
また,被請求人使用商標は,「レジアス荻窪」の文字部分が「Regius」の欧文字と略王冠図形との間に存在している。
さらに,本件商標の構成の一部である「REGIUS」の欧文字部分と引用商標「Regus」とが全く別個のものであることは,上記(1)のとおりである。
(イ)上記したように,被請求人使用商標と請求人使用商標2とが互いに類似するものではないことは,一見して明らかであり,これらに接する需要者又は取引者において,互いに混同を生ずる余地はない。
また,引用商標は,19号判断時において,日本国内又は外国における周知著名性を獲得していたものではないから,我が国の商標法により,既得権として保護すべきグッドウィルや顧客吸引力も当然存在しない。
さらに,本件商標に対して請求人が異議申立てを行うことと,被請求人が「REGIUS」の文字部分を登録出願することは,本件商標の「不正の目的」とは関連性がない。
したがって,本件商標は,「不正の目的」により使用されるものではない。
エ 小括
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,互いに類似する関係にはなく(上記ア),また,引用商標は,19号判断時に日本国内又は外国において周知著名性を獲得していなかったものであり(上記イ),さらに,不正の目的をもって使用するものではないことは明らかである(上記ウ)。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではない。
2 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものではない。
したがって,本件商標は,商標法第46条第1項第1号に基づいて,その登録は無効とされるべきものではない。

第4 当審の判断
1 認定事実
証拠及び請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。(なお,商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に係る周知性については,本件商標の登録出願時に該当しなければ,同条第3項により,その適用が排除されるところ,甲号証の大多数は,本件商標の登録出願後のもの又は日付の不明なものであるため,それらの証拠は,原則,採用しない。)
(1)請求人は,世界各国の企業向けに,請求人使用商標2を付したレンタルオフィス・バーチャルオフィス等を提供する英国法人リージャスの100%子会社であり,1989年(平成元年)にベルギーのブリュッセルに最初のオフィスを開設以来,本件商標の登録出願日(平成21年5月8日)前の2008年(平成20年)時点で,世界70か国,950か所に拠点を有し,その顧客数は,40万人に及んでおり,その売上額は,2005年から2009年にかけ,ほぼ右肩上がりで推移し,本件商標の登録出願日前の2008年(平成20年)には,年間約10億7700万ポンドであった(甲6,甲7,甲296,甲297)。
(2)我が国においては,日本リージャス社が,1998年(平成10年)に設立されて以降,請求人使用商標を付した企業向けのレンタルオフィス,貸会議室及び電話対応等の秘書代行サービスなどを提供しており,2000年(平成12年)にはビジネスの中心である大手町及び日比谷に,2006年(平成18年)には横浜,名古屋及び大阪に,2008年(平成20年)には博多等,本件商標の登録出願日前には,我が国の主要都市にオフィスを開設した(甲6,甲8,甲164,甲288,甲295)。
なお,本件商標の登録出願日前における日本リージャス社の売上額,営業利益など営業実績を示す証拠はない。
(3)本件商標の登録出願日前に発行されたと明確に認められる雑誌は,「日経ベンチャー(2008年11月号)」(甲119)及び「RMJ(2009年2月号)」(甲120)のみであり,これらには,請求人使用商標が表示された,日本リージャス社の業務に係るレンタルオフィスの広告又は記事が掲載された。
なお,本件商標の登録出願日頃に発行された雑誌「週間東洋経済(2009年5月号)」(甲121)にも,同様の広告が掲載された。
(4)日本リージャス社は,本件商標の登録出願日前に,リージャス神谷町MTビルセンター(東京都港区),東京モノレール浜松町駅及び福岡地下鉄天神駅で,レンタルオフィスの広告に請求人使用商標を付したポスター等を掲示した(甲8,甲11?甲14)。
(5)2002年8月2日付け住宅新報において「東京・大手町。……大手町ファーストスクェアビルは,……このビルの4階に,日本リージャスの拠点のひとつがある。『オフィス・アウトソーシング』。レンタル・オフィスの一形態だが,そのクォリティと戦略は定評が高く,英国法人のリージャスは,この業態では世界ナンバーワン。50カ国に拠点を置き,日本には98年に進出した。」(甲168)との記載があるほか,本件商標の登録出願日前に発行された各種新聞(日刊工業新聞,日経産業新聞,フジサンケイビジネスアイ,中部読売新聞,日本経済新聞,毎日新聞,大阪日日新聞,産経新聞,日刊不動産経済通信,西日本新聞,西部読売新聞)には,日本リージャス社の活動状況などの紹介記事が掲載された(甲164?甲167,甲169?甲188)が,それらには「日本リージャス」又は「英リージャス」の記載とともに,その略称としての「リージャス」(請求人使用商標1)の記載が僅かに確認できるのみである(甲168,甲170,甲176)。
(6)日本リージャス社のホームページ,名刺,封筒及びリーフレットには,請求人使用商標2とともに,請求人使用商標1ないし「日本リージャス株式会社」の文字が使用されている(甲9,甲10)。
(7)本件商標の登録出願日前に,請求人及び日本リージャス社又はこれらが属する企業グループなどが,引用商標と同一と認め得る態様で使用している証拠は,見当たらない。
2 引用商標ないし請求人使用商標の周知性について
上記1の認定事実によれば,請求人は,英国法人リージャスの100%子会社であり,世界各国の企業向けに,請求人使用商標2を付したレンタルオフィス・バーチャルオフィス等を提供しており,本件商標の登録出願日(平成21年5月8日)前の2008年(平成20年)時点で,世界70か国,950か所に拠点を有し,その顧客数は40万人に及び,その売上額も同年には年間約10億7700万ポンドであったこと(上記1(1)),英国法人リージャスは,レンタルオフィスの一形態である「オフィス・アウトソーシング」では世界ナンバーワンとの評価もあったこと(上記1(5))が確認できる。
しかしながら,本件商標の登録出願日前に,請求人及び日本リージャス社のホームページ以外で,引用商標ないし請求人使用商標が使用されたと認められるのは,雑誌掲載がわずか2回(本件商標の登録出願日頃のものを含めたとしても3回)であり(上記1(3)),また,ポスター等の掲示も,リージャス神谷町MTビルセンター(東京都港区),東京モノレール浜松町駅及び福岡地下鉄天神駅の3か所にすぎず(上記1(4)),さらに,日本リージャス社の活動状況などの紹介記事が新聞に掲載されたが,それらには「日本リージャス」又は「英リージャス」の記載とともに,その略称としての「リージャス」(請求人使用商標1)の記載が僅かに確認できるのみである(上記1(5))ことに加え,本件商標の登録出願日前における日本リージャス社の営業実績を確認することはできない(上記1(2))。
以上について総合的に勘案すると,本件商標の登録出願時において,請求人が各国の企業向けに,請求人使用商標2を使用してレンタルオフィスに係る役務を提供し,そのことが外国における需要者の間である程度知られていたものと認められるものの,引用商標ないし請求人使用商標が,他人(請求人等)の業務に係る役務を表示するものとして,我が国における需要者の間に広く認識されていた商標であるとまでは認めることができない。
3 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標は,上記第1のとおり,「レジアス」の片仮名と「REGIUS」の欧文字とを上下二段に横書きしてなるものであるところ,「REGIUS」の欧文字は,我が国ではなじみのない単語と認められること,上段の「レジアス」の片仮名は下段の「REGIUS」の欧文字の読みを特定したものと無理なく認識し得るものであることからすると,本件商標からは「レジアス」の称呼のみを生じ,全体として特定の観念は生じないものとみるのが自然である。
この点につき,請求人は,下段の「REGIUS」の欧文字部分からは,「リージャス」の称呼及び「王(の)」の観念を生じるとし,特に,本件商標に接する取引者,需要者の中には,日本語である片仮名を認識できない在日外国人や外国からの出張者等も多く含まれるから,なじみ深い欧文字部分から生ずる「リージャス」の自然な称呼も混同のおそれの判断に含めるべきである旨主張する。
しかしながら,英単語の「regius」は,初級クラスの英和辞典である株式会社三省堂発行「初級クラウン英和辞典」(乙2)に載録されておらず,また,中辞典クラスの株式会社小学館発行「プログレッシブ英和中辞典」(甲4)においても単語の重要度を示すマークが付されていない語であって,我が国においては,なじみのない語であると認められることから,特定の意味合いを有しない造語の一種として認識されるというべきである。加えて,本件商標の構成態様にあっては,「レジアス」の片仮名部分が「REGIUS」の欧文字部分の読みを特定したものと無理なく認識し得るものであるところ,本件商標の実際の取引者,需要者の中に,日本語である片仮名を認識できない在日外国人や外国からの出張者等が多く含まれていると認めるに足りる証拠もないから,本件商標からは「リージャス」の称呼及び「王の」の観念は生じないとみるのが相当であって,請求人の上記主張は採用できない。
したがって,本件商標は,「レジアス」の称呼のみを生じ,特定の観念は生じない。
(2)引用商標は,上記第2の2(1)アのとおり,「REGUS」の欧文字を標準文字で表してなるものであるところ,これは特定の意味合いを看取させない造語の一種と認められるから,その構成文字に相応して,「レガス」又は「リガス」の自然称呼を生じるほか,上記1によれば,引用商標と同じつづりからなる請求人使用商標2の「Regus」が請求人使用商標1の「リージャス」とともに使用されていることが認められるから,かかる取引の実情を踏まえれば,引用商標から「リージャス」の称呼も生じ得ると認められる。
なお,請求人は,引用商標から「王」の観念を生じる旨主張するが,我が国において,「REGUS」の欧文字がイギリス人の苗字として使用されているものであって,かつ,ラテン語で「王」を意味する「rex」や「regis」を由来とするものであること(甲5)が知られているとはいえないから,引用商標から「王」なる観念が生じるとは認めることができない。
したがって,引用商標は,「レガス」又は「リガス」の称呼のほか,「リージャス」の称呼も生じるものと認められるものの,特定の観念は生じない。
(3)そこで,本件商標と引用商標との類否を検討すると,両商標は,上述のとおり,(ア)外観は,本件商標が片仮名と欧文字との二段書きであるのに対し,引用商標は欧文字のみからなるのであるから明らかに相違しており(なお,本件商標の「REGIUS」の欧文字6文字と引用商標の「REGUS」の欧文字5文字とを比較しても,欧文字表示が普及している昨今にあっては,比較的短いこの程度の文字数であれば,需要者の通常有する注意力を基準に判断すれば,「I」の文字の有無において明らかに相違するといえる。),(イ)称呼も,「レジアス」の称呼と「レガス」,「リガス」又は「リージャス」の称呼とでは,いずれも音構成又は音数が明らかに相違しており,(ウ)さらに,共に特定の観念を生じないものであるから,観念において比較し得ないものである。
したがって,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。
(4)以上のとおり,本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標ないし請求人使用商標の周知性について
上記2のとおり,本件商標の登録出願時において,請求人が各国の企業向けに,請求人使用商標2を使用してレンタルオフィスに係る役務を提供し,そのことが外国における需要者の間である程度知られていたものと認められるものの,引用商標ないし請求人使用商標が,他人(請求人等)の業務に係る役務を表示するものとして,我が国における需要者の間に広く認識されていた商標であるとまでは認めることができない。
(2)本件商標と引用商標ないし請求人使用商標との類似性の程度について
ア 本件商標と引用商標
本件商標と引用商標とは,上記3のとおり,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。
イ 本件商標と請求人使用商標
(ア)本件商標は,上記3(1)のとおり,「レジアス」の称呼のみを生じ,特定の観念は生じない。
(イ)請求人使用商標1は,上記第2の2(2)アのとおり,「リージャス」の文字からなるところ,上記3(1)のとおり,「リージャス」と発音され,「王の」等の意味を有する英単語の「regius」は,我が国においては,なじみのない語であると認められることから,片仮名の「リージャス」についても特定の意味合いを有しない造語の一種として認識されるものというべきである。そうすると,請求人使用商標1は,その構成文字に相応して「リージャス」の称呼を生じ,特定の観念は生じない。
(ウ)請求人使用商標2は,別掲1のとおり,青色で表示した「Regus」の欧文字とその上部中央に青色と赤色とからなる幾何学的図形を配した構成からなるところ,上記3(2)と同様の理由から,その構成中の「Regus」の文字からは,「レガス」,「リガス」又は「リージャス」の称呼を生じ,特定の観念は生じない(幾何学的図形部分からも特定の称呼及び観念は生じない。)。
(エ)本件商標と請求人使用商標との類否について検討すると,両商標は,上述のとおり,(a)外観は,本件商標が片仮名と欧文字との二段書きであるのに対し,請求人使用商標は片仮名のみ又は図形付き文字であるから,明らかに相違しており(なお,本件商標の「REGIUS」の欧文字6文字と請求人使用商標2の「Regus」の欧文字5文字とを比較しても,上記3(3)と同様の理由から,「I」の文字の有無において明らかに相違するといえる。),(b)称呼も,「レジアス」の称呼と「レガス」,「リガス」又は「リージャス」の称呼とでは,いずれも音構成又は音数が明らかに相違しており,(c)さらに,共に特定の観念を生じないものであるから,観念において比較し得ないものである。
したがって,本件商標と請求人使用商標も,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)のとおり,引用商標ないし請求人使用商標は,本件商標の登録出願時において,他人(請求人等)の業務に係る役務を表示するものとして,我が国における需要者の間に広く認識されている商標であるとまでは認められないものであり,加えて,上記(2)のとおり,本件商標と引用商標ないし請求人使用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものであるから,本件商標は,これをその指定役務について使用しても,取引者,需要者をして引用商標ないし請求人使用商標を連想,想起させることはなく,その役務が他人(請求人等)又はその他人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号について
上記2のとおり,本件商標の登録出願時において,請求人が各国の企業向けに,請求人使用商標2を使用してレンタルオフィスに係る役務を提供し,そのことが外国における需要者の間である程度知られていたとしても,上記4(2)のとおり,本件商標と引用商標ないし請求人使用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものであるから,その他の要件について検討するまでもなく,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものとはいえないから,同法第46条第1項の規定に基づき,その登録を無効とすべきでない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(請求人使用商標2)

(色彩は原本参照)

別掲2(被請求人使用商標)




審理終結日 2016-06-28 
結審通知日 2016-07-01 
審決日 2016-07-20 
出願番号 商願2009-34033(T2009-34033) 
審決分類 T 1 11・ 261- Y (X36)
T 1 11・ 222- Y (X36)
T 1 11・ 271- Y (X36)
T 1 11・ 262- Y (X36)
T 1 11・ 263- Y (X36)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 根岸 克弘
田村 正明
登録日 2009-10-30 
登録番号 商標登録第5277725号(T5277725) 
商標の称呼 レジアス、レジウス、レギアス、レギウス 
代理人 橘 哲男 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 
代理人 佐藤 大輔 
代理人 藤本 正紀 
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