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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W37
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W37
管理番号 1322451 
審判番号 不服2016-8858 
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-15 
確定日 2016-11-30 
事件の表示 商願2015-53833拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「地産地消の家」の文字を標準文字で表してなり、第37類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成27年6月8日に登録出願されたものである。
そして、その指定役務については、原審における同年10月21日付けの手続補正書により、第37類「住宅の建設工事,アパートの建設工事,サンルームの建設工事,デッキの建設工事,暖房設備・換気設備及び空調設備の設置に関する建設工事,建築物のリフォーム工事,住宅の増改築の建築工事,車庫の建築工事,エクステリアの設置工事,住宅設備工事,住宅建築工事に関する助言,アパート建築工事に関する助言,建築物のリフォーム工事に関する助言,住宅の増改築の建築工事に関する助言,車庫の建築工事に関する助言,エクステリアの設置工事に関する助言,住宅設備工事に関する助言,住宅設備の運転・点検・整備,住宅の煙突の清掃,住宅の外壁の清掃,住宅の窓の清掃,住宅の床敷物の清掃,住宅の床磨き,住宅に設置されるし尿処理槽の清掃,住宅に設置される浴槽又は浴槽がまの清掃」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『地産地消の家』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『地産地消』の文字は『ある地域で収穫した農水産物をその地域内で消費すること。』の意味を有する語であり、建築業界において、『ある地域で生産した木材等をその地域内で消費すること』程の意味合いで広く一般に使用されている。さらに、『地産地消の家』の語が、本願指定役務に関連する建築業界において、『地域の木材を活用し、地域の気候風土や文化に合わせて建てられた家』程の意味合いで広く一般に使用されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定役務中、『地域の木材を活用し、地域の気候風土や文化に合わせて建てられる住宅の建設工事,地域の木材を活用し、地域の気候風土や文化に合わせて建てられる住宅建築工事に関する助言,地域の木材を活用し、地域の気候風土や文化に合わせて建てられた住宅設備の運転・点検・整備』について使用するときは、取引者、需要者は、それが「地産地消の家」に関する役務であることを認識するにすぎないから、本願商標は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の『住宅の建設工事,アパートの建設工事,サンルームの建設工事,デッキの建設工事,暖房設備・換気設備及び空調設備の設置に関する建設工事,建築物のリフォーム工事,住宅の増改築の建築工事,車庫の建築工事,エクステリアの設置工事,住宅設備工事,住宅建築工事に関する助言,アパート建築工事に関する助言,建築物のリフォーム工事に関する助言,住宅の増改築の建築工事に関する助言,車庫の建築工事に関する助言,エクステリアの設置工事に関する助言,住宅設備工事に関する助言,住宅設備の運転・点検・整備』に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、「地産地消の家」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「地産地消」の文字は、「ある地域で収穫した農水産物をその地域内で消費すること。」(広辞苑第六版)の意味を有する語であるが、該語は、一般においては、農水産物に限らず、ある地域で産出される種々の原材料についても使用されているものである。
そして、木材や木材を使用する分野(業界)においても、「地産地消」の文字が使用されているところであって、原審で示した建設業界における事実の他に、以下のとおり、「地産地消の家」の文字及び該文字を含む「地産地消の家づくり(造り)」の文字が、本願指定役務の分野において使用されている実情がある。
(1)「地産地消の家」の文字の使用について
<新聞記事情報> (下線は合議体による。以下同じ。)
ア 2013年7月5日付け日本農業新聞(1頁)に、「[四季]7/5」の見出しのもと、「『地産地消の家』を誇る友がいる。県産丸太を使ったログハウス。1階、屋根裏部屋の床も厚い県産材だ。暖房もまきストーブと凝り、木のぬくもり感たっぷり▼そんな家造りを国が勧める。木造住宅に、エコ家電ポイントならぬ『木材利用ポイント』が付く。林野庁が今月から受け付けを始めた。」の記載がある。
イ 2011年12月23日付け河北新報(朝刊)に、「『地産地消の家』完成/宮城・南三陸町産の杉材を活用/杜の家ネット/復興」の見出しのもと、「宮城県産木材による建築を進めている『杜(もり)の家作りネットーワーク』のメンバーが、10、11日、同県南三陸町の杉材を使った家の完成見学会を大崎市古川稲波で開いた。東日本大震災前に行った森林見学会で、建て主が選んだ木を伐採し製材した。ネットワークの活動を通じた『地産地消』の家が完成するのは震災後初めてで、メンバーは『復興へ一歩進めた』と喜んでいる。」の記載がある。
ウ 2009年12月6日付け高知新聞(朝刊22頁)に、「『声ひろば』地産地消の家 安岡之彦(44)会社員、高知市伊勢崎町」の見出しのもと、「家が建ちました。主な構造材として日本瓦、嶺北杉、土佐しっくいを用いました。・・・家作りを通して、それぞれの分野の技能を有する職人さんの存在が頼もしく思えました。そして、私たち家族にとっての家づくりは、生涯最大の『地産地消』となりました。」の記載がある。
エ 2009年4月14日付け朝日新聞(朝刊26頁)に、「山武スギ、もっと使って 強く堅い『最高の材』『地産地消の家』期待/千葉県」の見出しのもと、「優良な木材として江戸時代から重宝されている『山武スギ』が市場にほとんど出回っていかない。・・・このままでは『もったいない』と、地元産の木を使った『地産地消』の動きが、家づくりにも少しずつ広がっている。主に県産材を使って1年前に新築された、市川市内の住宅を訪ねた。」の記載がある。
オ 2008年5月28日付け西日本新聞(朝刊16頁)に、「大分県/『地産地消』で家造り Uターン梶原さん、所有の山から木材 日田市前津江町 山林の再生にも効果/日田玖珠」の見出しのもと、「地元で育った木ばかりを使った『地産地消の家』が、日田市前津江町堂尾集落に完成した。」の記載がある。
<インターネット情報>
ア 「大地を守る会の自然住宅」のウェブサイトにおいて、「埼玉県の木を使った地産地消の家」の見出しのもと、「昔から埼玉県西部はスギやヒノキなどの一大産地。そこからとれた地元・埼玉県産木材を、柱や梁はもちろん、床、押入れ、デッキなどにふんだんに使って建てられた家です。ベランダからは木材の産地・秩父の山並みが望めます。」の記載がある。
(https://www.daichi-m.co.jp/housing/zirei/1305/)
イ 「ミズセイホーム」のウェブサイトにおいて、「地産地消の家 TYPEII」の見出しのもと、「お客様の声」として、「県産材の家は高くつくと思っていたから、予算内に収まってびっくり!。岩手で育った木を使った家だから、安心だし愛着を感じます、『地産地消の家』って地域や地球のためにいいことのようで、なんだかうれしいですね。」の記載がある。
(http://mizusei.com/?p=log=202845)
(http://mizusei.com/?p=log=202841)
ウ 「永本建設株式会社」のウェブサイトにおいて、「モデルハウス」の見出しのもと、「町なかハウス『廿日市市串戸の家』広島県産材で建てる地産地消の家」の記載がある。
(http://nagamoto-home.com/model)
エ 「森のめぐみ工房」のウェブサイトにおいて、「木材にこだわった地産地消の家 一棟まるごと地域材を使用」の見出しのもと、「『杜の家』地域の木材にこだわった地産地消の家。」の記載がある。
(https://www.morimegu.co.jp/products/morinoie/)
オ 「藤山住宅株式会社」のウェブサイトにおいて、「『白×黒い焼杉の家』完成見学会★」の見出しのもと、「■県産材を使用した『地産地消の家』」の記載がある。
(https://www.touyama-j.co.jp/category/1346267-4.html)
(2)「地産地消の家づくり(造り)」の文字の使用について
ア 2012年6月30日付け愛媛新聞(9頁)に、「[インサイドりぽーと]県産材家づくり拡大 今治地域推進協 活動5年 消費者への周知課題」の見出しのもと、「県産材を使った木材住宅の需要拡大を目指し、今治市の木材産業関係者らが『越智今治地域地産地消の家づくり推進協議会』(越智彰会長)を立ち上げて5年。・・・今年4月、今治市内の工務店4社が『えひめ県産材 木の家今治』(小越啓司代表)を設立。今治新都市地区の住宅用地5区画を購入し、各社の特色を打ち出した県産材のモデルハウスを年内に建築する予定。」の記載がある。
イ 2011年12月12日付け日本経済新聞(夕刊9頁)に、「地産地消の家造り-風土性と新技術を融合(なるほど住まい術)」の見出しのもと、「『地産地消』という言葉がある。もともとは食べ物を地域ごとに育み、地域自立の取り組みにつなげようという運動だ。だが、地産地消は食べ物だけの話ではない。住まい造りもしかりである。・・・地域の材と職人さんで造る、地産地消の住まいを思い出そう。」の記載がある。
ウ 2011年3月29日付け静岡新聞(朝刊20頁)に、「来月9日、沼津で『地産地消の家づくり』紹介-沼津エコハウス協議会」の見出しのもと、「地場産の木材を使った“地産地消の家づくり”を目指す沼津市内の建築関連企業でつくる『沼津エコハウス協議会』(加藤修一代表)は4月9日午前10時から、主に地元の建築業界関係者らを対象に、同会の活動などを紹介する勉強会を市民文化センターで開く。」の記載がある。
エ 2010年9月30日付け毎日新聞(地方版26頁)に、「きらり・ぐんま繁盛記:斉藤林業(沼田市)/群馬」の見出しのもと、「◇地域振興にも力注ぐ 地産地消の家づくり 県内の山林から切り出した木材を使う『地産地消の家づくり』に力を入れる。地元産材にこだわった住宅建築に加え、山林資材を活用した地域振興にも取り組み、国土交通省の長期優良住宅先導事業に09年から2年連続で選ばれた。」の記載がある。
オ 2010年7月15日付け北海道新聞(朝刊地方23頁)に、「道産カラマツ住宅研究*国の事業に採択*帯広の会社も参加」の見出しのもと、「道産カラマツ材による住宅建築の研究を行っている『遊ベーシックデザインの会』(東京)の活動が、国交省の『地域木造住宅市場活性化推進事業』に採択された。事業は地産地消の家造りなどに取り組む団体が対象。」の記載がある。
<インターネット情報>
ア 「arc」のウェブサイトにおいて、「地産地消の家づくり」の見出しのもと、「地元の木を使う理由とは? 『地産地消の家づくり』・・木は家になってからも生きていきます。その土地、気候、風土に合った木でないと、健康で長生きはできません。つまり『地産地消の家づくり』とは本当にいい家を手に入れる第一歩なのです。」の記載がある。
(http://arc-associates.jp/hyougonoki/)
イ 「ウッドブレス ゆたか野」のウェブサイトにおいて、「地産地消の家づくり」の見出しのもと、「徳島の杉や桧は家づくりとの相性がいいんです 『ウッドブレスゆたか野』の木の家は、『徳島県木材認証制度』の認証を受けた生粋の徳島産木材を、主要な構造部(柱、床組、小屋組等)に使用しています。」の記載がある。
(http://www.woodbreath-yutakano.com/chisan/)
ウ 「末吉林業」のウェブサイトにおいて、「地産地消(千産地消)の家造り」の見出しのもと、「地産地消とは、『地域生産地域消費』の略で文字通り地域で生産されたものをその地域で消費することです。」の記載及び「住吉林業が千葉県産木材にこだわる理由 ・・一般の住宅建築会社のほとんどがコスト面を重視して輸入材を使用していますが住吉林業では国産材(主に千葉県産材)を使って家を造ります。」の記載がある。
(http://www.suerin.jp/make_house/chisan.html)
エ 「自然素材の家 いちかわつくみ建築設計室」のウェブサイトにおいて、「地産地消の家づくり 近くの山の木で家をつくること」の見出しのもと、「当設計室では、近くで育った森の木で家をつくる地産地消の家づくりを心がけております。」の記載がある。
(http://members3.jcom.home.ne.jp/tsukumi_archi/sumaitokankyou/ineyinenoadukuri.html)
オ 「越智今治森林組合」のウェブサイトにおいて、「越智今治地域『地産地消の家づくり』」の見出しのもと、「地産地消の家づくりの推進(県産材の利用推進) 森林組合では、越智今治地域から生産されたスギ・ヒノキが当森林組合の原木市売り場に集まります。この原木を使って製材された『柱や梁など』を木造住宅に使ってもらえるよう『「地産地消の家づくりセミナー』を開催し普及活動をしています。」の記載がある。
(http://jforest-ochiima.jp/publics/index/27/)
以上のことからすると、建築業界等において、「地産地消の家」の文字は、「地域産の木材等を使用して建てられる住宅」程の意味合いを表すものとして、また、「地産地消の家づくり(造り)」の文字は、そのような住宅を建築することを表すものとして、一般に理解され、使用されているものということができるものである。
してみれば、本願商標は、これを、その指定役務中の「地域産の木材等を使用して建てられる住宅の建設工事,地域産の木材等を使用して建てられる住宅のリフォーム工事,地域産の木材等を使用して建てられる住宅の増改築の建築工事,地域産の木材等を使用して建てられる住宅建築工事に関する助言,地域産の木材等を使用して建てられる住宅のリフォーム工事に関する助言,地域産の木材等を使用して建てられる住宅の増改築の建築工事に関する助言」に使用しても、取引者、需要者は、「地域産の木材等を使用して建てられる住宅」に関する役務であることを表したものとして理解するにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、本願商標は、その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、上記以外の「住宅の建設工事,建築物のリフォーム工事,住宅の増改築の建築工事,住宅建築工事に関する助言,建築物のリフォーム工事に関する助言,住宅の増改築の建築工事に関する助言」に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当するものである。
2 請求人の主張について
請求人は、「『地産地消の家』の文字からは、その意味合いを容易に看取できるものではなく、また、『地産地消の家』で止まっている使用例はわずかしかないから、本願商標は役務の質を普通に表示したものではない。」旨を主張している。
しかしながら、「地産地消の家」の文字が、前記した新聞記事や建築会社等のウェブサイトにおいて、「(県産材などの)地域産の木材等を使用して建てられる住宅」の意味を表す語として使用され、そのような住宅を建築することが、「地産地消の家づくり(造り)」と称され、これらの語が建築業界において普通に使用されていることからすると、本願商標は、その指定役務に係る取引者、需要者をして、「地域産の木材等を使用して建てられる住宅」に関する役務であるという、役務の質を表したものとして認識されるにとどまるものである。
さらに、請求人は、本願商標の登録適格性を主張するために、指定役務に関連する分野において「の家」の語を含む過去の登録例を挙げているが、本願商標と、これらの登録例は、「の家」の前の語が異なるから、その意味合いも異なるものであり、また、出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるものであるから、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではない。
よって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-09-29 
結審通知日 2016-10-03 
審決日 2016-10-19 
出願番号 商願2015-53833(T2015-53833) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W37)
T 1 8・ 272- Z (W37)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 白鳥 幹周寺澤 鞠子谷村 浩幸 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 榎本 政実
清棲 保美
商標の称呼 チサンチショーノイエ、チサンチショーノウチ 
代理人 大行 尚哉 

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