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審決分類 |
審判 査定不服 観念類似 登録しない W0103050607091011161718192021222526283542 審判 査定不服 外観類似 登録しない W0103050607091011161718192021222526283542 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W0103050607091011161718192021222526283542 |
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管理番号 | 1322424 |
審判番号 | 不服2015-18373 |
総通号数 | 205 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2017-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-10-08 |
確定日 | 2016-11-24 |
事件の表示 | 商願2014-52789拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,別掲1(1)のとおりの構成からなり,商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成26年6月25日に登録出願されたものである。 そして,その指定商品及び指定役務については,原審における平成27年3月31日付け手続補正書により補正された結果,別掲1(2)のとおりの商品及び役務となったものである。 2 引用商標 原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録商標は,別掲2のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。 以下,別掲2に記載の引用商標1ないし11をあわせて,「引用商標」という場合がある。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本願商標について 本願商標は,別掲1(1)のとおり,その構成中に大きく,太字の斜体で「i」の点を赤色,その他を青色で彩色した「Nitto」の欧文字を横書きし,その下にスペースを配して,傾けない書体(一般的なサンセリフ体)で灰色に彩色した「Innovation for Customers」の欧文字を小さく横書きしてなるところ,上段部分と下段部分とは,配置や大きさの明らかな違いに加え,書体や色彩の違いもあることからして,互いに著しく印象を異にするものであって,視覚上,分離して観察され得るものである。 また,本願商標の構成中の「Innovation for Customers」の欧文字は,その構成文字に相応して「顧客のための革新」程の意味を理解させるものであって,企業理念・経営方針等を表したものと認識されるものであるから,自他商品又は自他役務の識別標識としての機能を有さないか,極めて弱いものといえる。 そして,本願商標は,その構成全体から生じる「ニットーイノベーションフォーカスタマーズ」の称呼が長音を含め18音と冗長なものであり,全体として一体の観念を生じるものではない。 してみれば,本願商標は,簡易,迅速を尊ぶ取引の実際にあって,これに接する取引者,需要者が,その構成中の顕著に大きく表された「Nitto」の欧文字部分を要部と捉えて,これから生じる称呼により取引に資する場合も決して少なくないものというべきであるから,本願商標からは,構成全体より生じる称呼のほか,「Nitto」の欧文字に相応して,「ニットー」の称呼を生じるものであり,当該欧文字部分からは特定の観念を生じないものである。 イ 引用商標について (ア)引用商標1及び2について 引用商標1及び2は,別掲2(1)及び(2)のとおり,横長楕円形の枠線内に,「Nitto」の欧文字を「N」を多少デザイン化し,筆記体風に横書きしてなるものであるところ,その欧文字部分は,各種のレタリング文字が広く使用され,商品に標章等を付す際に様々なデザイン化が行われている現状にあっては,無理なく「Nitto」の欧文字を表したものと認識できるものであるから,引用商標1及び2からは,「ニットー」の称呼を生じるものであり,特定の観念を生じないものである。 (イ)引用商標3ないし5について 引用商標3ないし5は,別掲2(3)ないし(5)のとおり,その構成中に大きく表した黒塗り横長矩形内に,白抜きで引用商標1及び2と同様の構成からなる標章を顕著に表し,その矩形の下に,下線を伴う多少デザイン化した「日東精工」の漢字を配してなるところ,その構成中の「Nitto」の欧文字と「日東精工」の漢字とは,離れて配置され,矩形及び楕円形枠と下線の有無,書体や色彩の違いもあることからして,互いに著しく印象を異にするものであって,視覚上,分離して観察され得るものである。 そして,引用商標3ないし5の構成中,「Nitto」の欧文字及び「日東精工」の漢字は,それぞれが直ちに特定の観念を想起するとはいえないものであって,しかも,両者が常に一体となって特定の観念を生じるものではないから,両者は,独立して自他商品の識別標識としての機能を発揮するものといい得るものである。 してみれば,引用商標3ないし5は,簡易,迅速を尊ぶ取引の実際にあって,これに接する取引者,需要者が,その構成中の顕著に表された「Nitto」の欧文字部分を捉えて,これから生じる称呼により取引に資する場合も決して少なくないものというべきであるから,引用商標3ないし5は,「Nitto」の欧文字に相応して,「ニットー」の称呼を生じるものであり,当該欧文字部分からは特定の観念を生じないものである。 (ウ)引用商標6ないし8について 引用商標6は,「Nitto」の欧文字を,引用商標7及び8は,「NITTO」の欧文字を,それぞれ標準文字で表してなるものであるから,その構成文字に相応して,「ニットー」の称呼を生じるものであり,特定の観念を生じないものである。 (エ)引用商標9について 引用商標9は,六角形をその中心で上下に切り離した図形を表し,その切り離した空白部に「NITTO」の欧文字を太く横書きしてなるものであるから,その構成文字に相応して,「ニットー」の称呼を生じるものであり,特定の観念を生じないものである。 (オ)引用商標10について 引用商標10は,その構成中に,引用商標9と同様の構成からなる標章を大きく表し,その下に,「日東化成」の漢字を配してなるところ,その構成中の「NITTO」の欧文字と「日東化成」の漢字とは,離れて配置され,六角形状の図形の有無,書体や文字の大きさの違いもあることからして,互いに著しく印象を異にするものであって,視覚上,分離して観察され得るものである。 そして,引用商標10の構成中,「NITTO」の欧文字及び「日東化成」の漢字は,それぞれが直ちに特定の観念を想起するとはいえないものであって,しかも,両者が常に一体となって特定の観念を生じるものではないから,両者は,独立して自他商品の識別標識としての機能を発揮するものといい得るものである。 してみれば,引用商標10は,簡易,迅速を尊ぶ取引の実際にあって,これに接する取引者,需要者が,その構成中の顕著に表された「NITTO」の欧文字部分を捉えて,これから生じる称呼により取引に資する場合も決して少なくないものというべきであるから,引用商標10は,「NITTO」の欧文字に相応して,「ニットー」の称呼を生じるものであり,当該欧文字部分からは特定の観念を生じないものである (カ)引用商標11について 引用商標11は,その構成中に引用商標9と同様の構成からなる標章を大きく表し,その下に,「since 1947」の欧文字及び数字を配してなるところ,その構成中の「NITTO」の欧文字と「since 1947」の欧文字及び数字とは,離れて配置され,六角形状の図形の有無,書体や文字の大きさの違いもあることからして,互いに著しく印象を異にするものであって,視覚上,分離して観察され得るものである。 また,引用商標11の構成中の「since 1947」の欧文字及び数字は,「1947年創業」程の意味を理解させるものであって,企業の創業年等を表したものと認識されるものであるから,自他商品の識別標識としての機能を有さないか,極めて弱いものといえる。 そして,引用商標11は,その構成全体から生じる「ニットーシンスイチキューヨンナナ」又は「ニットーシンスセンキューヒャクヨンジューナナ」の称呼が長音を含め15音又は19音と冗長なものであり,全体として一体の観念を生じるものではない。 してみれば,引用商標11は,簡易,迅速を尊ぶ取引の実際にあって,これに接する取引者,需要者が,その構成中の顕著に表された「NITTO」の欧文字部分を要部と捉えて,これから生じる称呼により取引に資する場合も決して少なくないものというべきであるから,本願商標は,構成全体より生じる称呼のほか,「NITTO」の欧文字に相応して,「ニットー」の称呼を生じるものであり,当該欧文字部分からは特定の観念を生じないものである。 ウ 本願商標と引用商標の類否について 本願商標と引用商標の類否についてみるに,両商標は,「ニットー」の称呼を共通にするものである。 また,本願商標及び引用商標において,商品の出所識別標識としての要部又は独立して自他商品の識別標識としての機能を発揮し得る「Nitto」又は「NITTO」の欧文字部分は,特定の観念を生じないものであるから,両商標は,観念上比較できないものの,要部において同じ文字綴りからなるものであるから,外観上相紛らわしいものといえる。 してみれば,本願商標と引用商標とは,商品の出所識別標識としての要部又は独立して自他商品の識別標識としての機能を発揮し得る「Nitto」又は「NITTO」の欧文字部分において,観念において比較できないものの,「ニットー」の称呼を共通にし,外観において類似するものであるから,両商標は,相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。 エ 本願の指定商品と引用商標の指定商品の類否 本願の指定商品は,次の(ア)ないし(オ)に示すとおり,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。 (ア)本願の指定商品中,第3類「洗濯用漂白剤」は,専ら家庭で用いられる化学的製品のうち洗濯用に用いられるものであって,引用商標9ないし11の指定商品中の第1類「化学品」と類似の商品である。 (イ)本願の指定商品中,第6類「くぎねじ,ボルト」並びに別掲2の引用商標4,6及び7の指定商品は,それ自体単独で使用されるのでなく,何かに取付ける性質の金属製品であって,第6類「金属製金具」の概念に含まれる商品であり,また,引用商標5の指定商品は,「金属製金具」を含むものであるから,本願の指定商品と引用商標4ないし7の前記指定商品は,それぞれ同一又は類似する。 (ウ)本願の指定商品中,第7類「半導体製造装置」は,その範ちゅうに半導体製造用のロボットを含むものといえるから,引用商標2の指定商品中の第7類「組み立て用ロボット」と同一又は類似の商品である。 (エ)本願の指定商品中,第7類「化学機械器具,ろ過機」は,化学的製品を製造する際に専ら使用される機械器具であって,用途を限定して取引されるものではないから,引用商標1及び3の指定商品中の第7類「化学機械器具」と同一又は類似の商品である。 (オ)本願の指定商品中,第7類「機械式の接着テープディスペンサー」は,事務用の機械器具であり,同じく事務用の機械器具である引用商標8の指定商品中の第9類「作業記録機」と類似の商品である。 オ 小括 以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似する商標であって,本願の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似する商品である。 したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)請求人の主張について 請求人は,本願商標と引例商標とは,構成文字及び要素が完全同一でなく一定の差異をすること,「Nitto」又は「日東」を冠する企業が日本には相当数ある環境(甲1)から,わずかな差異で識別する慣習があること,引用商標の商標権者の取引先は企業であり,商標の外観にも相当の注意をもって取引されることなどから,両商標の識別は可能であり,また,請求人(出願人)は既に本願商標を使用しているが,誤認・混同すると需要者から指摘を受けたり,類似である旨を引用商標の商標権者より指摘されたことはないから,本願商標には独占適応性があると主張する。 しかしながら,商標法第4条第1項第11号は,先願に係る他人の登録商標と同一又は類似する商標であって,その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務と同一又は類似する商品若しくは役務について使用をするものの登録を認めないとするものであるところ,本願商標は,引用商標と類似するものであって,本願の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似するものであることは,上記(1)において認定,判断したとおりである。 そして,たとえ,請求人主張のとおり.「日東」の文字を商号に含む企業又は該文字若しくは「Nitto」等を含む商標を使用する企業が我が国に複数あるとしても,それをもって,本願と引用商標の指定商品において抵触する商品との関係において,上記(1)のとおり認定判断した本願商標及び引用商標の構成中の「Nitto」又は「NITTO」の欧文字部分についての出所識別機能が否定されることはないし,両商標は,これから生じる「ニットー」の称呼により取引に資される場合も決して少なくないというべきである。 また,請求人の主張する引用商標の商標権者の事業内容に係る実情を認めることができるとしても,それらは,単に引用商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的,限定的なものであり,本願と引用商標の指定商品において抵触する商品全般についての一般的,恒常的な取引の実情とはいえないものであるのに加え,本願の指定商品と引用商標の指定商品とで抵触する「くぎねじ,ボルト」を含む「金属製金具」等は,一般消費者も普通に購入する商品であって,企業間に限って取引される商品ということはできない。 なお,請求人は,過去の登録例を挙げて,本願商標も登録されるべきである旨主張しているが,請求人の挙げる登録例は,本願商標とは,商標の構成態様等において相違し,事案を異にするものであって,そのような例が存することをもって,本願商標と引用商標の類否についてした上記(1)の認定,判断が左右されるべきではない。 したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用することができない。 (3)まとめ したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(下線は,合議体が記載した。) 1 本願商標 (1)商標の構成(色彩については,原本を参照のこと。) (2)指定商品及び指定役務 第3類「洗濯用漂白剤」,第6類「くぎねじ,ボルト」及び第7類「半導体製造装置,化学機械器具,機械式の接着テープディスペンサー,ろ過機」を含む第1類,第3類,第5類ないし第7類,第9類ないし第11類,第16類ないし第22類,第25類,第26類,第28類,第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務 2 引用商標 (1)引用商標1(登録第1462842号商標) ・商標の構成 ・指定商品(書換登録後) 第7類「金属工作機械器具(但し電気熔接切断機および電気錐を除く),化学機械器具」 ・登録出願日:昭和47年6月9日 ・設定登録日:昭和56年5月30日 (2)引用商標2(登録第1851652号商標) ・商標の構成 ・指定商品(書換登録後) 第7類「自動ねじ締め機,自動リベットかしめ機,組み立て用ロボット」 ・登録出願日:昭和56年4月2日 ・設定登録日:昭和61年3月26日 (3)引用商標3(登録第2305708号商標) ・商標の構成 ・指定商品(書換登録後) 第7類「金属加工機械器具,化学機械器具,印刷用又は製本用の機械器具」 ・登録出願日:昭和55年1月23日 ・設定登録日:平成3年4月30日 (4)引用商標4(登録第3215496号商標) ・商標の構成 ・指定商品 第20類「金属代用プラスチック製締め金具,くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト・リベット及びキャスタ?(金属製のものを除く。),座金及びワッシャ?(金属製,ゴム製又はバルカンファイバ?製のものを除く。)」 ・登録出願日:平成5年8月4日 ・設定登録日:平成8年10月31日 (5)引用商標5(登録第4118658号商標) ・商標の構成 ・指定商品 第6類「金属製金具,荷役用ターンテーブル,荷役用トラバーサー,金属製締付け金具」 ・登録出願日:平成8年7月31日 ・設定登録日:平成10年2月27日 (6)引用商標6(登録第4287258号商標) ・商標の構成 Nitto (標準文字) ・指定商品 第6類「金属製ねじ,金属製ボルト,金属製ナット,金属製リベット,金属製ピン,金属製ワッシャー」 ・登録出願日:平成10年4月17日 ・設定登録日:平成11年6月25日 (7)引用商標7(登録第4357651号商標) ・商標の構成 NITTO (標準文字) ・指定商品 第20類「金属代用のプラスチック製締め金具,くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト・リベット及びキャスター(金属製のものを除く。),座金及びワッシャー(金属製・ゴム製又はバルカンファイバー製のものを除く。)」 ・登録出願日:平成11年6月24日 ・設定登録日:平成12年1月28日 (8)引用商標8(登録第4410626号商標) ・商標の構成 NITTO ・指定商品 第9類「測定機械器具,眼鏡の部品及び附属品,作業記録機,乗物用走行記録装置」 ・登録出願日:平成11年6月24日 ・設定登録日:平成12年8月18日 (9)引用商標9(登録第5074556号商標) ・商標の構成 ・指定商品 第1類「化学品」 ・登録出願日:平成18年4月6日 ・設定登録日:平成19年8月31日 (10)引用商標10(登録第5074557号商標) ・商標の構成 ・指定商品 第1類「化学品」 ・登録出願日:平成18年4月6日 ・設定登録日:平成19年8月31日 (11)引用商標11(登録第5361202号商標) ・商標の構成 ・指定商品 第1類「化学品」 ・登録出願日:平成22年6月3日 ・設定登録日:平成22年10月15日 |
審理終結日 | 2016-08-30 |
結審通知日 | 2016-09-02 |
審決日 | 2016-09-29 |
出願番号 | 商願2014-52789(T2014-52789) |
審決分類 |
T
1
8・
261-
Z
(W0103050607091011161718192021222526283542)
T 1 8・ 263- Z (W0103050607091011161718192021222526283542) T 1 8・ 262- Z (W0103050607091011161718192021222526283542) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小松 孝、小松 里美 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
平澤 芳行 根岸 克弘 |
商標の称呼 | ニットーイノベーションフォーカスタマーズ、ニットー、イノベーションフォーカスタマーズ |