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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1321425 
異議申立番号 異議2015-900373 
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-12-10 
確定日 2016-10-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第5790550号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5790550号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5790550号商標(以下「本件商標」という。)は、「腕林檎」の文字を標準文字で表してなり、平成27年5月7日に登録出願、第9類「アプリケーションソフトウェア,携帯情報端末用コンピュータアプリケーションソフトウェア,電子計算機用アプリケーションソフトウェア」を指定商品として、同年8月17日に登録査定、同年9月4日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
1 登録異議申立人「アップル インコーポレイテッド」(以下、「申立人1」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、本件商標は同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである旨申立て、その理由を要旨、以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証を提出している(注:申立人1の提出に係る甲第1号証を「甲1(A)」と表し、以下、各号証を順次同様に表記する。)。
(1)申立人1の引用する商標
登録第5819569号商標(以下、「引用商標1」という。)は、「APPLE WATCH」の欧文字を標準文字により表してなり、2014年3月11日にトリニダード・トバゴ共和国においてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成26年9月9日に登録出願され、第9類、第10類、第14類、第28類、第41類及び第44類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同27年12月21日に登録査定、同28年1月15日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
(2)引用商標1の周知著名性について
引用商標1は、「APPLE WATCH」の文字を標準文字で書してなり、第9類において本件商標に係る指定商品を含む商品を指定して登録されたものである(甲2(A))。
引用商標1は、スマートウォッチとして2015年4月24日に発売が開始されて以来(甲3(A))、爆発的な人気を博し、インターネットではスマートウォッチ市場のシェアの6割を占めていると評価されている(甲4(A))。そもそも、このスマートウォッチ市場自体も「APPLE WATCH」の登場により、大きく成長している。なお、甲第4号証に記述されているように、「APPLE WATCH」は発売前の2014年9月10日に公表され、それ以来需要者の注目となっていた(甲5(A))。そして発売を皮切りに即座に周知著名となったのである。
また、スマートウォッチ関連の記事においては、「APPLE WATCH」と対比して紹介するものが数多く存在する(甲6(A)?甲8(A))。裏を返せば、「APPLE WATCH」とそれ以外のスマートウォッチという位置づけとなっており、「APPLE WATCH」の絶対的な知名度を証明している。これについては、「(りんごの図形)WATCH&SmartWatch(アップルウォッチと気になるスマートウォッチ情報)」というタイトルのウェブサイトからも、スマートウォッチ市場においては「APPLE WATCH」とそれ以外のスマートウォッチという関係にあることを窺い知ることができる(甲8(A))。
また、インターネットにおいて「スマートウォッチ出荷台数の75%をAppleWatchが占める」との記事(甲9(A))、「2015年内に出荷されたAppleWatchは総計880万台に達した」「AppleWatchは実に全体シェアの51.5%」との紹介(甲10(A))や、「スマートウォッチは北米、西欧、アジアで急成長しており、AppleWatchが市場をけん引している」と紹介しており(甲11(A))、市場占有の高さをうかがい知ることができる。また、総務省平成27年版情報通信白書においてもAPPLE WATCHがウェラブルデバイスの製品例として最初に紹介されている(甲12(A))。
これらの情報からAPPLE WATCH(引用商標1)は出願人の著名な商標であることは顕著な事実であり、発売日と同時に周知著名性を獲得し現在においてもそれは維持されている。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、「腕林檎」からなるところ、「林檎」の語はアップルを意味する語であり、本件の指定商品「アプリケーションソフトウェア」の分野においては、企業名としても製品名としても著名である異議申立人「アップルインコーポレイテッド」ないしはアップル社製品を強く想起させる。また、「腕」の語自体は体の部位を意味するが、アップル社を想起させる「林檎」と結合することによって「腕に装着するアップル社製品」の意味を想起させ、そこから申立人1が発表したウェラブルコンピュータである、「アップルウォッチ」を想起させると考えるのが自然である。
よって、本件商標権者は、明確な意図をもって申立人1の著名商標APPLE WATCHにすり寄っている商標を採択しており、「林檎」が外観及び称呼において引用商標1と近似しないとしても、「腕林檎」から生じる観念が本件商標の指定商品の分野では、APPLE WATCHと類似する観念を想起させるため、本件商標を現実に使用した場合には、出所の混同が生じるおそれ、申立人1から公認を受けているとの誤認、あるいは、著名商標APPLE WATCHの希釈化汚染化が生じるおそれがあると言わざるを得ない。
(4)むすび
以上詳述したとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、本件商標登録は同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。
2 登録異議申立人「アーム・リミテッド」(以下、「申立人2」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきである旨申立て、その理由を要旨、以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証を提出している(注:申立人2の提出に係る甲第1号証を「甲1(B)」と表し、以下、各号証を順次同様に表記する。)。
(1)申立人2の引用する商標
申立人2が引用する登録商標は、以下のアないしウのとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
ア 登録第5203781号商標(以下、「引用商標2」という。)は、「ARM」の欧文字を標準文字により表してなり、平成19年4月27日に登録出願され、第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同21年2月13日に設定登録されたものである。
イ 登録第1758671号商標(以下、「引用商標3」という。)は、「APPLE」の欧文字を横書きしてなり、昭和53年4月4日に登録出願され、第11類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同60年4月23日に設定登録されたものであり、その後、平成7年12月25日、同17年1月11日及び同27年4月21日に存続期間の更新登録がされ、さらに、その指定商品については、同17年6月22日に、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換の登録がされたものである。
ウ 登録第2555518号商標(以下、「引用商標4」という。)は、「APPLE」の欧文字を横書きしてなり、平成元年10月2日に登録出願され、第11類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同5年7月30日に設定登録されたものであり、その後、平成15年8月12日及び同25年2月19日に存続期間の更新登録がされ、さらに、その指定商品については、同16年12月8日に、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換の登録がされたものである。
(2)具体的理由(要旨)
本件商標は「腕」及び「林檎」の2つの言語から構成されているが、この2つの言語は、申立人2の引用商標2及びアップル インコーポレイテッド(以下、「Apple」と言う。)の引用商標3及び4を初めとする多数の保有商標を念頭に置いてみれば、二つの企業の極めて著名な名称の核となる部分を単に漢字に置き換えたもので、今後漢字表記がなされることを想定して不当な目的をもって使用するために登録申請したものであることは明らかである。
ア 申立人2は、国際的なエレクトロニクス企業に対して、マイクロプロセッサ、システムチップ等のコンピュータ関連の精密機械部品及びソフトウェアの開発・製造・販売及びライセンス業務を行っていることで日本国を含めて広範に周知されているものである。
(ア)申立人2は、コンピュータ・プロセッサ、グラフィック・プロセッサ、デジタル・メモリー及び周辺ハードウェアを含む電気製品をデザインし、また、コンピュータハードウェア及びソフトウェアのための技術コンサルタント・サービスを提供している。
(イ)申立人2は、日本を含む、全世界における半導体IP供給者のリーディング企業である(甲5(B))。
(ウ)申立人2は、各国の子会社(30社)と共に、ARM Holdings、Plcグループに属し、ロンドン証券取引所のFTSE100及び米国のナスダック証券取引所に名を連ねている。アーム株式会社(横浜市)は、1994年に9月1日に設立され、この子会社には、現在約30人の申立人2の従業員を雇用している(甲6(B))。
(エ)ARM Holdings、Plcは、2010年には、全世界で406.6百万ポンド(日本で46.4百万ポンド)、2011年には、全世界で491.8百万ポンド(日本で50.0百万ポンド)、2012年には、全世界で576.9百万ポンド(日本で46.6百万ポンド)、2013年には、全世界で714.6百万ポンド(日本で47.6百万ポンド)、2014年には、全世界で795.2百万ポンド(日本で60.4百万ポンド)の事業売上を達成した(甲7(B))。
(オ)申立人2は、ソーシャルメディアネットワークでの自社のブランドや商品の宣伝に多く投資しており、全世界においてTwitter、Linkedln、FacebookやYouTube(ARMFlix)といった多数のソーシャルメディアチャネルを持っている(甲8(B))。
(カ)申立人2は、通常自社の展示会を企画したり、米国のコンシューマー・エレクトロニクス・ショーやスペインのモバイル・ワールド・コングレスのような、最も規模の大きい技術貿易イベントを含む世界中の多くの第三者のイベントで自社の技術を展示したりということを行っている。日本では、少なくとも2012年から、ARM技術シンポジウム貿易イベントを含む自社のイベントを企画し、また、多数の第三者のイベントにも展示している(甲9(B))。
(キ)申立人2は、モバイル・コンピュータ・デバイス等を含む様々な分野のマーケットを運営しており、スマート・フォン及びタブレット・コンピュータを含むモバイル・コンピュータ・デバイスの半数以上を可能にするIPと他の重要な構成要素を提供するマーケット・リーダーである。2014年には、モバイル・コンピュータ・デバイスにおける、全ての中心的なアプリケーション・プロセッサの86%のマーケット・シェアを達成した(甲10(B))。
各号証からもわかるように申立人2は引用商標を広く使用し今日に至っており、第9類における商品及び提供するサービスの我が国における著名性も極めて高いということができる。
イ Appleは、アメリカ合衆国カリフォルニア州に本社を置く、インターネット関連製品・デジタル家庭電化製品及び同製品に関連するソフトウェア製品を開発・販売する多国籍企業であり、直営店であるApple Storeを初めとして日本で多数商品を展開している。日本法人はApple Japan合同会社で、東京都港区に本社を置く(甲11(B))。
Appleは、そのウェブサイト上に自社の保有する商標リスト及びこれらの商標使用に関するガイドラインを掲載しているが(甲12(B))、日本でも多数の「Apple」を冠する商標を登録しており、引用商標2及び3はその一部である。Appleはこれら商標を広く使用し今日に至っており、第9類における商品又は提供するサービスの我が国における著名性は日本国を含めて普遍的と言える程度に高い。
以上から、本件商標の指定商品の分野の需要者は、本件商標が、本件指定商品について使用された場合には、漢字及び英文字の差こそあれ申立人2又はAppleの業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
さらに、本件商標は、申立人2及びAppleというIT業界の二つの巨人ともいうべき極めて著名な国際的な企業の名称の核となる部分を単に漢字に置き換えたものであることは誰の目にも明らかであり、今後漢字表記がなされることを想定して不正の目的をもって使用するために登録申請されたものであることは明白である。
(3)むすび
本件商標が本件指定商品に使用された場合、その商品の需要者が申立人2又はAppleの業務に係る商品と出所について混同するおそれがあり、かつ、申立人2又はAppleの業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものである。
したがって、本件登録商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。

第3 当審の判断
1 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標1の周知性について
申立人1の提出に係る証拠において、甲4(A)のフリー百科事典「Wikipedia」、「APPLE WATCH」の項には、「Apple Watchは、アップルから2015年4月24日に発売された腕時計型ウェラブルコンピュータ。・・・腕時計型端末市場に遅れての参入であったが、米調査会社IDCの調査によると2015年の出荷台数は1300万台に達する見通しとなり、腕時計型端末市場のシェア6割を占める。」との記載があり、甲9(A)の「juggly.cn」による2015年Q2のスマートウォッチ出荷台数に関する2015年7月23日の記事には、「2015年Q2のスマートウォッチ出荷台数の75%をApple Watchが占める(Strategy Analytics調査)」との記載があり、甲10(A)の「GGSOKU ガジェット速報」、APPLE WATCHの2015年の総出荷台数に関する記事には、「英国の調査会社Jupiter Researchが新たに発表した見積もりによると、2015年内に出荷されたApple Watchは総計880台に達したとのことです。また、同年におけるスマートウォッチの総出荷台数は1710万台とされており、Apple Watchは実に全体シェアの51.5%を占めたことになります。」との記載がある。
また、職権による調査によれば、2015年4月25日付け東京読売新聞には、「アップルウォッチ発売 着ける端末 普及なるか」の見出しの下、「米アップルの腕時計型端末『アップルウォッチ』が24日、日本や米国など世界9か国・地域で発売された。予約が殺到し、当面は品薄が続くとみられる。身に着ける『ウェラブル端末』普及の起爆剤となり、iPhone、iPadに続く、新たな市場を創造できるか注目される。」との記載があり、2015年6月10日付け日経MJ(流通新聞)には、「2015年上期ヒット商品番付-新旋風、消費ふわり。」の見出しの下、「話題になりつつ停滞していたウェラブル端末。突破口を開いたのは東の小結、米アップルの腕時計型端末『アップルウォッチ』だった。・・・ファッション性も話題で、4月の発売後すぐ予約待ちに。調査会社のGfKジャパンによると、4月のウェラブル端末の販売数は前年同月比2.1倍に。」と記載され、さらに、株式会社イードによるApple Watchに関する認知・利用意向調査(調査期間:2015年4月2日?6日、対象:25?49歳の男女、有効回答数:567)の結果では、Apple Watchの認知度は、「機能や特徴を知っている」が19.4%、「名前を聞いたことがある」が50.4%であり、合計すると7割となり、その認知度の高さがうかがえたとの記載がある(http://u-site.jp/survey/apple-watch)ことが認められる。
以上のことを総合勘案すれば、引用商標1は、申立人1の業務に係る商品「腕時計型端末」に使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、相当程度広く認識されていたものと認めることができる。
(2)引用商標2並びに引用商標3及び4の周知性について
申立人2の提出に係る証拠をみると、甲7(B)は、申立人2の2010年から2014年の間の毎年の売上の数字を示した年次報告書の抜粋(写し)であるが、内容は外国語によるものであって、その数字を裏付ける証拠もなく、同業他社の売上高等も立証されていないから金額の多寡について評価することができない。
また、申立人2は、ソーシャルメディアネットワークで自社のブランドや商品の宣伝を行っているとしても(甲8(B))、その広告媒体は範囲が限定的であり、さらに、申立人は、多くの第三者のイベントにも展示している旨述べているが(甲9(B))、日本でのイベントの回数はそれほど多いものとはいえず、その規模や内容が明らかでなく、引用商標2の使用時期、範囲及び具体的な商品の売上高、広告・宣伝回数なども不明であるから、申立人2の提出に係る証拠をもって、引用商標2の周知性の程度を推測することは困難である。
したがって、引用商標2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国において周知・著名性を獲得していたと認めることができないものである。
他方、引用商標3及び4は、申立人1の業務に係る商品「パーソナルコンピュータ」等に使用されて、本件商標の登録出願時には、既に、取引者、需要者の間に広く認識されていたことは当庁において顕著な事実である。
(3)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「腕林檎」の文字を標準文字で同書、同大、同間隔に一連にまとまりよく表してなるものであり、その構成文字全体から生ずる「ウデリンゴ」の称呼も、格別冗長ではなく一気に称呼し得るものであって、特定の観念を生じないものである。
(4)引用商標1ないし4について
引用商標1は、前記第2の1.(1)のとおり、「APPLE WATCH」の欧文字を標準文字により表した構成からなるものであり、これよりは「アップルウオッチ」の称呼を生じ、上記(1)より、申立人1の周知な商標としての「APPLE WATCH」の観念が生ずるものである。
引用商標2は、前記第2の2.(1)アのとおり、「ARM」の欧文字を標準文字により表した構成からなるものであり、これよりは「アーム」及び「エイアアルエム」の称呼を生じ、「腕」の観念が生じるものである。
引用商標3及び4は、前記第2の2.(1)イ及びウのとおり、「APPLE」の欧文字を書した構成からなるものであり、これよりは「アップル」の称呼を生じ、本件指定商品との関係では、上記(2)より、申立人1の著名な商標としての「APPLE」の観念が生ずるものである。
(5)本件商標と引用商標1ないし4の類否について
本件商標と引用商標1ないし4とを対比するに、両者は漢字と欧文字という顕著な差異により、外観上判然と区別することができるものである。
また、本件商標から生ずる「ウデリンゴ」の称呼と、引用商標1から生ずる「アップルウォッチ」の称呼、引用商標2から生ずる「アーム」及び「エイアアルエム」の称呼並びに引用商標3及び4から生ずる「アップル」の称呼とは、その構成音数、音構成が明らかに異なるものであるから、それぞれを一連に称呼するときは全体の音感、音調が著しく相違し、明瞭に区別することができるものである。
さらに、本件商標は、全体として既成の親しまれた観念を有しないものであることから、観念上、引用商標1ないし4と比較することができない。
なお、申立人1は、本件商標の構成中「腕」の文字部分は、体の部位を意味し、アップル社を想起させる「林檎」と結合することによって、申立人1が発表したウェラブルコンピュータである、「アップルウォッチ」を想起させる旨、また、申立人2は、本件商標は申立人2及び「Apple」という著名な国際的な企業の名称の核となる部分を単に漢字に置き換えたものである旨主張している。
しかしながら、本件商標は、前示のとおり、全体をもって一体不可分のものとして認識し把握されるものであり、各申立人の提出に係る証拠からは、申立人1及び申立人2が、「林檎」や「腕」の語を使用して取引を行い取引者・需要者に知られているといった格別の理由も見いだし難いものであるから、本件商標から引用商標1ないし4を直ちに想起連想させるとまではいえないものである。
してみれば、本件商標と引用商標1ないし4とは、観念上、比較し得ず、外観及び称呼において、相紛れるおそれのないものであるから、非類似の商標とみるのが相当であり、両者は別異のものとして看取されるというべきである。
(6)小括
上記(1)及び(2)のとおり、引用商標1、引用商標3及び引用商標4は、申立人1の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであるとしても、上記(5)のとおり、本件商標は、引用商標1、引用商標3及び引用商標4とは非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そして、引用商標2は、申立人2の業務に係る商標を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとは認めることができず、さらに本件商標は、引用商標2とは非類似の商標であり、別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標は、これに接する取引者、需要者が引用商標1ないし4を連想し、又は想起するものということはできない。
以上のことから、本件商標は、商標権者がこれを本件申立てに係る指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標1ないし引用商標4を連想し、又は想起させることはなく、その商品が申立人1又は申立人2あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
2 本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標3及び4は、申立人1の業務に係る商品「パーソナルコンピュータ」等を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、相当程度広く認識されていたといえるものの、本件商標と引用商標2ないし4とが相紛れるおそれのない非類似の商標であることは、上記1(5)のとおりである。
また、申立人2の提出に係る証拠を精査しても、本件商標が不正の利益を得る目的、申立人2に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものであることを示す具体的な理由は見いだし得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-10-06 
出願番号 商願2015-43161(T2015-43161) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W09)
T 1 651・ 222- Y (W09)
最終処分 維持 
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 幸一

小松 里美
登録日 2015-09-04 
登録番号 商標登録第5790550号(T5790550) 
権利者 宇留野 修
商標の称呼 ウデリンゴ、ワンリンゴ 
代理人 松井 真一 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 
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