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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成27行ケ10073 審決取消請求事件 判例 商標
不服201514100 審決 商標

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審決分類 審判 全部無効 外観類似 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) W03
審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) W03
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) W03
審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) W03
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) W03
管理番号 1321418 
審判番号 無効2015-890092 
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-11-13 
確定日 2016-11-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第5680431号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5680431号の指定商品中、第3類「せっけん類,化粧品」についての登録を無効とする。 その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5680431号商標(以下「本件商標」という。)は、「サンラッシュ」の片仮名及び「SUNLUSH」の欧文字を二段に表した構成からなり、平成25年9月9に登録出願、同26年5月13日に登録査定、第3類「せっけん類,香料,薫料,化粧品,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤」を指定商品として、同年6月27に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第159号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第10号及び同項第15号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。
(1)引用商標について
請求人が引用する登録商標は、以下のとおりである(これらを一括していうときには、「引用商標」という。)。
ア 登録第4479169号商標(以下「引用商標1」という。)は、「LUSH」の欧文字を横書きしたものであり、平成8年12月6日に登録出願され、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同13年6月1日に設定登録され、その後、同13年9月13日に指定商品中「香料類」について、放棄による一部抹消の登録がされ、現に有効に存続している。
イ 登録第5013148号商標(以下「引用商標2」という)は、「ラッシュ」の片仮名を横書きしたものであり、平成18年6月1日に登録出願され、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品」を指定商品として、同年12月22日に設定登録され、現に有効に存続している。
(2)引用商標の周知著名性について
ア 請求人について
請求人コスメティック ウォーリアス リミテッドは、ラッシュ リミテッドに引用商標について通常使用権を許諾し、ラッシュ リミテッドが株式会社ラッシュジャパン(以下「ラッシュジャパン」という。)に通常使用権を再許諾している。
イ ラッシュについて
ヘアケア・スキンケアのリテールビジネスを行うことを目的として、1994年に英国においてラッシュ リミテッドが設立され、1995年に英国プール市にラッシュ第一号店を開店した。現在は、世界49ヶ国、約800店舗を展開している(甲5)。
ラッシュジャパンは、平成10年10月1日に設立され、平成11年3月4日にスキンケア、ボディケア、ヘアケア、浴用化粧品等の商品を販売するラッシュの日本第一号店を東京都目黒区自由が丘に開店した。その後、全国に店舗数を増やし、本件商標の出願日前には、国内に155店舗を展開している(甲6)。売上は、平成23年6月期で120億円、平成24年6月期で149億円、平成25年6月期で152億円、平成26年6月期で145億円を計上しており(甲7)、富士経済研究所による平成24年の化粧品・美容サービス業態の市場調査においても、「ライフスタイル提案型ブランド」の代表として「ラッシュ」が取り上げられており、「05年頃から「ラッシュ」(ラッシュジャパン)などが出店を加速して市場が拡大し始めた」(甲8)とされている。ボディケア市場の調査においても、ボディクリーム・ローション市場は・・・「ラッシュ」などライフスタイル提案型ブランドが牽引することで拡大が続いている」と分析されている(甲9)。
また、平成22年11月27日の日経MJには、SNS(交流サイト)のミクシイにラッシュのコミュニティーがあり、最大の「ラッシュ・ラブ」は11万人が登録していることや、ラッシュジャパンの発行するフリーペーパー「ラッシュタイムズ」が年5回、120万部発行されていること、ラッシュ商品のファン層が厚いこと等を示す記事が掲載されている(甲10)。
さらに、ラッシュ商品やその店舗は、雑誌、新聞、インターネット、テレビ、ラジオ等で多数紹介されており、平成24年9月から平成25年8月までの間だけでも1,160件の記事等が掲載されている(甲11)。また、その内容はラッシュ商品の紹介やラッシュ商品愛用者の感想だけでなく、ラッシュジャパンの社会的活動にも及んでおり、「ラッシュ」の名称は広く知られたものとなっている(甲12?甲147)。
以上のとおり、引用商標は、本件商標の出願前に日本において請求人が使用許諾しているラッシュジャパンの商品を示すものとして広く認識され、周知著名性を有していた。
(3)商標法第4条第1項第11号について
ア 商標の類否の判断基準
商標法第4条第1項第11号における商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、呼称等によって、取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする(最高裁昭和三九年(行ツ)第一一〇号同四三年二月二七日第三小法廷判決・民集二二巻二号三九九頁)と考えられている(甲148)。
(ア)引用商標の周知著名性に基づく分離解釈
したがって、当該判断基準に照らし、本件商標と引用商標の類否を判断する際にも、その外観、観念、呼称等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきである。
そして、引用商標は、本件商標の出願前から現在に至るまで、請求人が使用許諾しているラッシュジャパンの商品を表示するものとして周知又は著名であったことから、本件商標の指定商品に含まれるせっけん類、化粧品類に使用された「サンラッシュ」又は「SUNLUSH」の表示に接した取引者・需要者の中には、同表示に含まれる「ラッシュ」又は「LUSH」の部分に注目し、ラッシュジャパンの商品を想起する者も少なくないというべきである。
そのため、需要者が「サンラッシュ」又は「SUNLUSH」の「ラッシュ」又は「LUSH」に着目し、「サン」及び「SUN」と、「ラッシュ」及び「LUSH」との間で区切って理解する可能性は十分にあるというべきである。さらに、本件商標「サンラッシュ」及び「SUNLUSH」は、既成の観念を有しない造語として認識されるものであって、また、「サンラッシュ」及び「SUNLUSH」という語自体に、一体のものとしてしか把握され得ないという性質を認めることはできないことも明らかであり、「サン」及び「SUN」と「ラッシュ」及び「LUSH」との間で区切られたものとして理解し、そのように呼称することが容易に想定される(甲149)。
平成27年4月17日の異議決定(甲150、以下「本件異議決定」という。)は、本件商標を一体的に看取するとしている。しかし、商標の類否は、商品に使用された商標がその外観、観念、呼称等により、取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきものであり、本件であれば、引用商標がラッシュジャパンの商品として需要者の間で広く知られているという周知著名性や、本件商標が既成の意味を有しない造語であり、それぞれ意味を有する「サン」及び「SUN」と「ラッシュ」及び「LUSH」に区切ることが極めて自然であるということを考慮すべきであり、本件商標の文字が一連に記載されていることや、一連に呼称することができるという形式的な構成にのみ着目すべきではない。
(イ)「サン」及び「SUN」に識別力がないことに基づく分離解釈
「サン」及び「SUN」という文字部分は、「サン」又は「SUN」を含んだ語が太陽や太陽光に関するものであるとの認識を生じさせ、また、太陽や太陽光に関連した効力を有する化粧品の商品名に付することが一般的であることからも、それ自体識別力を有するものではない。
したがって、本件商標においても、「サン」及び「SUN」という文字部分は識別力を有さず、「ラッシュ」及び「LUSH」の文字部分こそ識別力を有するのであり、本件商標は、「サン」及び「SUN」の文字部分と「ラッシュ」及び「LUSH」の文字部分に分離して解釈すべきであるといえる。
まず、「サン」又は「SUN」は英語で「太陽」を意味し、広辞苑第六版にも「サン(Sun)太陽。「-・グラス」「-・ルーム」」と掲載されるほど一般的に使用されている(甲151)。そして、インターネットで「サン 化粧品」を検索すると、500万件以上の該当があり、主に日焼け用化粧品に「サンスクリーン」、「サンブロック」、「サンプロテクト」等「太陽」の意を表す「サン」を用いている記載が多数見受けられる(甲152?甲157)。
このように「サン」又は「SUN」は、「サングラス」や「サンルーム」を含め、「サンブロック」、「SUNBLOCK」、「サンスプレー」、「サンスクリーン」、「SUNSCREEN」、「サンプロテクト」、「SUNPROTECT」等のように「サン」又は「SUN」の後につながる単語と一連に記載されていても「サン」又は「SUN」とその後ろの部分に分けて看取され、「太陽の日差しから保護する」や「太陽の日差しを遮る」等の認識を生じさせる。そして、「サンブロック」、「サンスプレー」、「サンスクリーン」また「サンプロテクト」というように、太陽や太陽光に対する効能を示すものとして、化粧品の商品名に多く使用されていることからも、「サン」及び「SUN」には識別力がないというべきである。
この点、本件異議決定では、「サン及びSUNの文字部分を捨象して考察しなければならない理由も見出すことができない。」と述べているが、本件商標に「サンスクリーン」、「サンプロテクト」、「サンローション」という文字自体が含まれていなくとも、「サン」及び「SUN」は、いずれも我が国の化粧品名において、「サンオイル」、「サンスクリーン」、「サンプロテクト」、「サンローション」というように、「日焼け用オイル化粧品」、「太陽の日差しを遮蔽するもの」、「太陽の日差しから保護するもの」、「日焼け用の化粧水」等の太陽又は太陽光に関連した効能を示す商品名に共通に使用されており、需要者は、まさに「サン」及び「SUN」の文字部分から、当該商品が太陽や太陽光に関する効能を有していることを想起しているといえる。このことから、化粧品等の商品名に「サン」又は「SUN」の文字部分を付することは、太陽や太陽光に関する効能を示すものとして一般的であり、当該「サン」及び「SUN」の部分に識別力はないというべきである。
イ 外観、呼称、観念の類否
上記アから、本件商標は、「サン」及び「SUN」の文字部分と「ラッシュ」及び「LUSH」の文字部分とに分離して観察すべきである。
そして、本件商標の構成要素中、上記に記載のとおり「ラッシュ」又は「LUSH」部分が出所を表示する部分として認識されるから、自他識別力のある部分である「ラッシュ」又は「LUSH」から「ラッシュ」の称呼を生じる。他方、引用商標はいずれも「ラッシュ」の称呼を生じ、本件商標と引用商標は呼称において共通する。
また、観念においても、上記のとおり引用商標はラッシュジャパンの商品を示すものとして周知著名であり、本件商標の「ラッシュ」又は「LUSH」の文字部分からラッシュジャパンが販売する商品が容易に想起されるものであり、本件商標と引用商標は、観念上も類似する。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼が共通し、観念が類似する類似商標であるといえる。
ウ 指定商品の同一性
本件商標の指定商品のうち、石けん類、香料及び化粧品は、引用商標の指定商品と同一又は類似であることは明らかである。
(4)商標法第4条第1項第10号について
ア 引用商標の周知著名性
上記で述べたとおり、引用商標と同一及び類似の標章は、本件商標の出願前に日本について請求人が使用許諾しているラッシュジャパンの商品を示すものとして需要者の間で広く知られていたものである。
イ 商標及び商品の同一性、類似性
本件商標が引用商標に類似し、その使用される商品の一部が同一であることは上記のとおりである。
(5)商標法第4条第1項第15号について
ア 「混同のおそれ」の意義
商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品又は指定役務に使用したときに、当該商品又は役務が他人の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品又は役務が上記他人との間に親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業上の業務に係る商品又は役務であると誤信される広義の混同を生じるおそれがある商標が含まれる。そして、上記の「混同を生じさせるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品の取引者及び需要者の共通性及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきものである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁)(甲158)。
そして、「(3)商標法第4条第1項第11号について」に記載のとおり、本件商標と引用商標は類似する商標である。また、仮に本件商標と引用商標が類似する商標と認められなくとも、以下に記載するとおり、本件商標と引用商標が観念上も高い関連性を有すること、引用商標が周知著名性を有することから、本件商標を引用商標の指定商品と同一の商品に使用した場合、取引者又は需要者は、当該商品が請求人又はラッシュジャパンと営業上の関係を有すると誤信するおそれがあり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する商標といえる。
混同を生じるおそれ
「(3)商標法第4条第1項第11号について」に記載したとおり、本件商標と引用商標とは類似する商標である。また、仮に類似性が認められないとしても、引用商標は、ラッシュジャパンの商品を表すものとして需要者の間で認識されており、本件商標中に「ラッシュ」及び「LUSH」が含まれていることから、本件商標に触れた者がラッシュジャパンの商品を想起することは容易に考えられ、本件商標と引用商標の関連性は極めて高いといえる。また、本件商標である「サンラッシュ」及び「SUNLUSH」は、それ自体特定の意味を有する語ではなく、「サン」及び「SUN」と「ラッシュ」及び「LUSH」の語を繋げた造語であることからも、本件商標に触れた需要者が、独立した意味を有する「サン」及び「SUN」と「ラッシュ」及び「LUSH」とに区切って把握することが想定され、このことによっても、本件商標に触れた需要者がより容易にラッシュジャパンの商品を観念するといえる。さらに、本件商標の指定商品のうち、石けん類、香料及び化粧品は、引用商標の指定商品と同一であることは明らかであり、本件商標が使用される商品と、引用商標が使用される商品の需要者は共通しており、仮に本件商標と引用商標との間に類似性が認められない場合においても、本件商標を指定商品に使用されたとき、その取引者及び需要者において、当該商品が、請求人又は請求人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所につきいわゆる広義の混同を生じるおそれがあることは否定できない。
本件異議決定においては、本件商標と引用商標とが非類似の商標であることのみを挙げ、その他の取引の実情を加味することなく、混同の生じるおそれを否定している。しかし、商標の類似性が認められない場合においても、「混同を生じるおそれ」の有無は、「ア『混同のおそれ』の意義」に記載したとおり、取引の実情に照らし、取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として判断するものであり、商標間に類似性が認められない場合においても、本件商標と引用商標との観念の関連性や、引用商標の周知著名性、使用される商品の同一性に照らし、混同を生じるおそれがあることは、判決においても示されている(甲159)。
また、「LUSH」の商標は、請求人が通常実施権の再許諾を承諾したラッシュジャパンの商標として広く知られていることから、無効審判事件(無効2012-890106)、異議申立(異議2013-900321)において、商標法第4条第1項第15号に該当するとの無効の審決又は登録取消の決定がされている。
したがって、本件商標は、これに接した取引者及び需要者に対し引用商標を連想させて、引用商標を使用してきた特定の者又はその者と組織的・経済的に何らかの関係がある者の商務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生じるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第10号及び同項第15号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べた。
1 手続の経緯
本件商標は、平成25年9月9日に商標登録出願、平成26年6月27日に商標登録第5680431号として登録、平成26年9月22日に異議2014-900271として登録異議の申立て、平成27年4月17日に登録異議の決定及び平成27年11月13日に無効審判請求がされている。
2 登録異議の申立て
(1)登録異議の申立ての概要
上記平成26年9月22日付けの登録異議の申立ては、本件無効審判請求の請求人と同一会社によりされたものである。また、この登録異議の申立てにおいて提出された証拠は、本件無効審判請求で提出された証拠と一部を除きほぼ同じである。この登録異議の申立てにおいて、異議申立人は、本件商標は、引用商標と類似するので、商標法第4条第1項第11号及び同項第10号に違反して登録されたものであると主張した。
また、異議申立人は、本件商標は未登録周知商標であるとする「LUSH図形」と出所の混同が生じるおそれがあるとして、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであると主張した。
(2)異議の決定
以上の登録異議の申立に対し、特許庁は、本件商標からは「サンラッシュ」の片仮名及び「SUNLUSH」の欧文字が一体不可分のものとして認識、把握されるとみるのが相当であるという前提のもとで、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であると認定し、商標法第4条第1項第11号及び同項第10号のいずれにも該当しないと結論した。
また、商標法第4条第1項第15号については、「本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異のものであるから、引用商標がラッシュジャパンの業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者間に広く認識されているとしても、本件商標をその指定商品について使用した場合に、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしはラッシュジャパンを連想、想起するようなことはないというべきである。」として、「出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。」と結論づけ、商標法第4条第1項第15号に基づく主張も否定した。
また、申立人が挙げる審決例及び異議決定例(甲4、甲5)については、「本件とは、商標の構成態様等が相違し、事案を異にするものであって、同列に論ずることはできない。」と認定した。
そして、以上の認定に基づいて、「登録第5680431号の商標の登録を維持する。」との決定を行った。
(3)本件無効審判請求
本件無効審判は、上記登録異議の申立の申立人と同一の法人により請求されている。
また、無効事由も上記登録異議の申立と同じく商標法第4条第1項第11号、同項第10号及び同項第15号が挙げられている。さらに、新たにいくつかの判例が加えられているものの(例えば、甲158、甲159)、引用商標の周知著名性を立証する証拠は上記登録異議の申立てにおいて提出された証拠とほぼ同じである。そして、上記新たな判例は、いずれも本件商標とは、商標の構成態様等が相違し、事案を異にするものであって、同列に論ずることはできないことは明白である。
(4)結び
以上のとおり、本件無効審判請求は、理由がないことが明らかであり、すみやかに「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする」との審決を求める。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)「LUSH」(引用商標1)及び「ラッシュ」(引用商標2)の周知性について、請求人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 請求人は、英国法人ラッシュ リミテッドに引用商標の通常使用権を許諾し、ラッシュ リミテッドがラッシュジャパンに通常使用権を再許諾している。
ラッシュ リミテッドは、ヘアケア・スキンケアのリテールビジネスを行う目的で、1994年(平成6年)に設立され、1995年(平成7年)にラッシュ第1号店を英国プール市に開店した。現在、世界49カ国、約800店舗を展開している(甲5)。
イ ラッシュジャパンは、平成11年3月、スキンケア用・ボディケア用・ヘアケア用及び浴用化粧品等の商品を販売する我が国におけるラッシュ第1号店を東京都目黒区自由が丘に開店して以来、順次、北海道から九州までのほぼ日本全国(一部の県を除く。)にわたり店舗を展開し、本件商標の出願前の同26年9月現在で155店舗を展開するに至っている(甲6)。
ウ ラッシュジャパンの売上は、平成23年6月期決算で120億円、同24年6月期決算で149億円、同25年6月期決算で152億円、同26年6月期決算で145億円である(甲7)。
エ 株式会社富士経済による平成24年の化粧品・美容サービス業態の市場調査によれば、同23年における化粧品販売・美容サービス市場は6兆3,298億円、同24年の見込みは6兆3,219億円であった。そして、メイクアップ市場は、同23年は4,660億円、同24年の見込みは4,637億円、ボディケア市場は、同23年は1,536億円、同24年の見込みは1,540億円である。
また、「ライフスタイル提案型ブランド」の代表として「ラッシュ」が取り上げられており、「05年頃から「ラッシュ」(ラッシュジャパン)などが出店を加速して市場が拡大し始めた」(甲8)と記載されている。ボディケア市場の調査においても、「ボディクリーム・ローション市場は・・・『ラッシュ』(ラッシュジャパン)などライフスタイル提案型ブランドが牽引することで拡大が続いている」と分析されている(甲9)。
オ 日経MJ(2010(平成22)年11月19日刊)には、SNS(交流サイト)のミクシイにラッシュのコミュニティーがあり、最大の「ラッシュ・ラブ」は11万人が登録していることや、ラッシュジャパンの発行するフリーペーパー「ラッシュタイムズ」が年5回、120万部発行されていること、ラッシュ商品のファン層が厚いこと等を示す記事が掲載されている(甲10)。
カ 「mini(ミニ)」「Gina(ジーナ)」「ELLE girl(エルガール)」「GINZA(ギンザ)」「VOCE(ヴォーチェ)」「vikka(ヴィカ)」「SEDA(セダ)」「美ST(ビスト)」「美的」「MORE(モア)」「with(ウィズ)」「チョキチョキガールズ」「BAILA(バイラ)」「an・an(アンアン)」「日経MJ」ほか、平成24年9月ないし同25年8月(本件商標の出願前)までの発行に係ると認められる多数の雑誌や複数の新聞には、ラッシュ リミテッドあるいはラッシュジャパンに係る商品の紹介記事及び商品の写真が継続的に掲載されている(甲12?甲147)。
そこには、せっけんをはじめ、バスボム(入浴剤)、ボディソープ、スキンケアジェル、リップクリーム、胸元専用クリーム、ヘアークリーム、ボディローション、スクラブ、化粧水ほかの商品についての紹介がされている。
キ 上記カの商品の紹介記事においては、引用商標又は「LUSH」に「ラッシュ」の文字を小さく併記した表示をもって、ラッシュリミテッドあるいはラッシュジャパンに係る商品が紹介されている。そして、これら雑誌等に掲載された商品の写真をみると、一部を除き、ほとんどの商品の包装(容器)には、「LUSH」の文字が顕著に表示されていることが認められる。
また、我が国における店舗名が「LUSH」であることが認められる(甲46、甲48、甲50等)。
(2)以上を総合してみると、引用商標は、本件商標の出願時、我が国において、ラッシュジャパンの取扱いに係る「せっけん、スキンケア用・ボディケア用・ヘアケア用及び浴用化粧品」を表示する商標(ブランド名)として、又は同商品を取り扱う店舗名(「LUSH」)として、需要者の間で広く認識され周知となっていたと認め得るものである。そして、その周知性は、本件商標の登録査定時にも継続していたと優に推認し得るものである。
しかしながら、引用商標を構成する「LUSH」及び「ラッシュ」の文字は、請求人の取扱いに係る「せっけん、スキンケア用・ボディケア用・ヘアケア用及び浴用化粧品」について使用される商標であって、用途及び原材料・品質が異なる商品にまで周知性が及ぶといわなければならない事情も見いだせないから、引用商標の周知性は、本件商標の指定商品すべてに及ぶものとはいえず、「せっけん類,化粧品」の範囲に限られるというのが相当である。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標を、その指定商品中「せっけん類,化粧品」に使用する場合
ア 本件商標と引用商標との対比
本件商標は、上記のとおり、「サンラッシュ」の片仮名と「SUNLUSH」の欧文字を上下二段に横書きしてなるところ、上段の片仮名は、下段の欧文字の表音として自然なものといえ、また、「サンラッシュ」及び「SUNLUSH」の文字は、一つの成語といえるものではない。
そして、本件商標の構成中、頭部の「サン」及び「SUN」の文字は、「太陽」の意味を有する語として親しまれた語であって、化粧品との関係においては、日焼け関連の商品に比較的よく使用される語であることから、「サン」又は「SUN」の文字とそれに続く文字とに分離して把握されやすいものといえる。加えて、「サン」又は「SUN」の文字に続く「ラッシュ」又は「LUSH」の文字(引用商標)は、上記1のとおり需要者の間で広く認識され周知となっていたものである。
そうすると、本件商標は、引用商標と同一の文字を有するものと認識されると判断するのが相当である。
イ 商品の関連性及び需要者の共通性等
引用商標は、上記1のとおり、主に、せっけんや、スキンケア用・ボディケア用・ヘアケア用及び浴用化粧品などについて使用されているものである。
これに対し、本件商標の指定商品には、引用商標が使用される商品と同一又は類似の商品である「せっけん類,化粧品」が含まれており、これらの商品は、引用商標の使用に係る商品と用途及び需要者等を共通にする商品といえるものである。
してみると、本件商標の指定商品中「せっけん類,化粧品」と引用商標の使用に係る商品とは、同一又は類似のものを含む関連性の程度が極めて高いものといえる。
ウ 出所混同のおそれについて
上記1ないし上記2(1)ア及びイで述べたとおり、引用商標は、本件商標の出願時及び登録査定時において、ラッシュジャパンの取扱いに係る「せっけん、スキンケア用・ボディケア用・ヘアケア用及び浴用化粧品」を表示する商標として、需要者の間に広く認識され周知となっていたものである。
そして、本件商標は、周知な引用商標と同一の文字を有するものと認識されるものであり、また、本件商標の指定商品中「せっけん類,化粧品」と引用商標の使用に係る商品は、その用途、需要者を共通にし、商品間の関連性が極めて高いことを総合勘案してみると、本件商標をその指定商品中「せっけん類,化粧品」に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「LUSH」の文字及び「ラッシュ」の文字部分に強く注意をひかれ、かかる部分より、引用商標又はラッシュジャパンを連想、想起し、該商品がラッシュジャパン又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生じるおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は、その指定商品中「せっけん類,化粧品」については、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)本件商標を、その指定商品中「香料,薫料,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤」に使用する場合
上記1(2)で認定したとおり、引用商標の周知性は、「せっけん類,化粧品」以外の商品には及ばないというのが相当である。
そして、本件商標は、(a)「SUNLUSH」の欧文字及び「サンラッシュ」の片仮名を同書、同大、等間隔に一連に書されたものであること、(b)これより生じると認められる「サンラッシュ」の称呼もよどみなく称呼し得るものであること、(c)「SUN」及び「サン」の文字のみで、商品の品質等を表示するために普通に用いられている事実も認められないことからすれば、本件商標の構成中の「LUSH」及び「ラッシュ」の文字部分のみが特に需要者の注意を強くひくとはいえないから、その構成全体をもって一体不可分のものと理解されるというべきである。
そうすると、本件商標をその指定商品中「せっけん類,化粧品」以外の「香料,薫料,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤」について使用した場合、これに接する需要者が引用商標又はラッシュジャパンを連想、想起することはなく、該商品がラッシュジャパン又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生じるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、その指定商品中「香料,薫料,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤」については、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)小活
上記(1)のとおり、本件商標は、その指定商品中「せっけん類,化粧品」については、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
他方、上記(2)のとおり、本件商標は、その指定商品中「香料,薫料,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤」については、商標法第4条第1項第15号に該当しないというべきである。
3 商標法第4条第1項第10号及び同項第11号該当性について
本件商標は、上記2(2)で認定したとおり、その指定商品中「せっけん類,化粧品」以外の「香料,薫料,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤」に使用する場合は、その構成全体をもって一体不可分の商標を表したものと理解されるものであるから、これより「サンラッシュ」の一連の称呼のみを生じるものであって、特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標は、その構成文字に相応して「ラッシュ」の称呼を生じるものである。
そして、引用商標1を構成する「LUSH」の文字は、「青々とした。みずみずしい」等の意味を有する英語であるが、我が国においては、上記意味合いの語として一般に親しまれたものとは認め難いものであり、また、引用商標2を構成する「ラッシュ」の文字も特定の意味合いを認識させるとはいえないから、引用商標からは特定の観念を生じない。
そこで、本件商標と引用商標を比較すると、両者は、外観においては、構成態様が明らかに相違し、称呼においても、構成音が明らかに異なるから、いずれにおいても相紛れるおそれはないものである。そして、観念においても、両者は、いずれも観念を生じるものでないから、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって、本件商標は、その指定商品中「香料,薫料,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤」については、引用商標と商標が同一又は類似するものではないから、商標法第4条第1項第10号及び同項第11号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中「せっけん類,化粧品」については、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。
しかしながら、本件商標は、その指定商品中「せっけん類,化粧品」を除くその余の商品については、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも該当しないものであるから、その登録は、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2016-05-12 
結審通知日 2016-05-16 
審決日 2016-06-29 
出願番号 商願2013-74326(T2013-74326) 
審決分類 T 1 11・ 271- ZC (W03)
T 1 11・ 263- ZC (W03)
T 1 11・ 261- ZC (W03)
T 1 11・ 25- ZC (W03)
T 1 11・ 262- ZC (W03)
最終処分 一部成立 
前審関与審査官 津金 純子 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 大森 健司
原田 信彦
登録日 2014-06-27 
登録番号 商標登録第5680431号(T5680431) 
商標の称呼 サンラッシュ 
代理人 朝比 一夫 
復代理人 石井 あやか 
代理人 佐藤 恒雄 
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