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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 025 |
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管理番号 | 1321344 |
審判番号 | 取消2015-300731 |
総通号数 | 204 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2016-12-22 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2015-10-15 |
確定日 | 2016-10-17 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4269909号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4269909号商標(以下「本件商標」という。)は,「TOMS」の欧文字と「トムス」の片仮名とを上下二段に書してなり,平成8年11月25日に登録出願され,第25類「被服,運動用特殊衣服」を指定商品として,同11年5月7日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。 そして,本件審判の請求の登録は,平成27年10月26日である。 第2 請求人の主張 請求人は,商標法第50条第1項により,本件商標の指定商品中,第25類「被服」について,その登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由,答弁に対する弁駁において,要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は,その指定商品中,第25類「被服」について,継続して過去3年以上,日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は,商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 被請求人より提出された,審判事件答弁書によれば,菱形図形内に「TOMS」の欧文字を書した商標を「使用商標1」と,「TOMS」の文字からなる商標を「使用商標2」と,別掲1のとおりの態様からなる商標を「使用商標3」と,別掲2のとおりの態様からなる商標を「使用商標4」と定義されているところ,以下,その定義に従って反論する。 (1)使用商標1及び2について ア 使用事実について 被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という。) に,被服の包装に使用商標1及び2を付したものを譲渡した旨主張する。 しかしながら,使用商標1及び2が付された被服の入った段ボールが譲渡されたことを示す客観的証拠はなく,供述書面があるにすぎない(乙5,乙8,乙10,乙13)。 乙第5号証及び乙第10号証は,要証期間後に被請求人により作成されたものであって,また,乙第8号証及び乙第13号証については,これらの各署名者が,納品当時(平成26年7月2日及び同年11月9日),どのような職務を行い,どのような作業にあたり段ボールを目にしたのか全く不明であるばかりでなく,納品日から長期間が経過した後に記憶に基づき作成されたものであって,直ちに信用できない。 イ 商標の社会通念上の同一性について 使用商標1及び2には,本件商標と異なり「トムス」の文字がないことから「トムズ」との読みが自然に生じる。 他方で,本件商標にはその下段に「トムス」の文字がある。これは,上段の「TOMS」の読みが「トムズ」ではなく「トムス」であることを明らかにしたものである。 したがって,使用商標1及び2と本件商標の称呼は実質的同?性を欠く。 また,使用商標1及び2は本件商標と異なり「トムス」の文字を欠いており,両者の外観には明確な差異がある。 特に,使用商標1は文字部分と菱形図形とが一体となったものとして全体的に判断されるものであり,この点からも,使用商標1の外観は,本件商標の外観と実質的に同一ではない。 よって,使用商標1及び2と本件商標は,社会通念上の同一性を欠くものである。 (2)使用商標3及び4について ア 商標的使用について 被請求人は,使用商標3及び4について,自他商品識別機能を発揮する態様で使用されていることから,商標的使用といえる旨主張する。 しかしながら,納品書及び請求書(乙6,乙7,乙11,乙12)に付された使用商標3及び4は,単に商号を示すにすぎず,被服の自他商品識別標識としては使用されていない。 使用商標4は被請求人の商号であり(ほとんどデザイン化されていない。),使用商標3は被請求人の商号に準じるものである。 また,使用商標3及び4は,上記納品書及び請求書において,通常,商号が付されると解される箇所に付されており,さらにその上から会社の代表者印が押されている。使用商標3及び4を自他商品識別標識として使用するのであれば,代表者印を上から押して,取引者及び需要者に認識されにくいようにはしないはずである。 以上より,使用商標3及び4は,単に商号を示すにすぎず,自他商品識別機能を発揮する態様で使用されていない。 イ 商標法上の頒布について 知財高判平成22年12月15日判時2108号127頁は,商標法第2条第3項第8号の「頒布」について「標章を付した広告等が一般公衆による閲覧可能な状態に置かれることをい(う)」と判示する。 しかしながら,納品書及び請求書(乙6,乙7,乙11,乙12)は,一般公衆による閲覧可能な状態に置かれているものではない。あくまで,証拠上,滋賀県所在の株式会社松本スクリーン印刷(以下「松本社」という。)及び大阪府所在の株式会社H.sketch(以下「H社」という。)という特定の業者が閲覧したことが示されているにすぎない。 よって,使用商標3及び4については,商標法第2条第3項第8号の「頒布」の要件を満たさず,商標法上「使用」されたものとは認められない。 ウ 商標の社会通念上の同一性について (ア)使用商標3 使用商標3は,本件商標と異なり「トムス」の文字を欠いており,本件商標とは外観及び称呼が実質的に異なっている。 また,使用商標3を構成する文字「T」「M」「S」はストライプが入ったデザインで,「O」はその他の文字とは異なり白抜きのデザインであり,かなり手が凝った印象を与える。一方,本件商標はほとんどデザイン化されていない。このように与える印象が正反対であることから,使用商標3と本件商標とは社会通念上同一ではないことが明らかである。 (イ)使用商標4 使用商標4における「トムス」部分と「株式会社」部分の文字の大きさ及び太さの違いは誤差の範囲内であり,「トムス」部分が特に看者の印象に残るとはいえない。 また,「トムス」部分と「株式会社」部分とのフォントの違いも大きく異なるものではない。むしろ,「トムス」部分と「株式会社」部分が同じ色でスペースなく,まとまり良く書されていることからすると,「トムス」部分と「株式会社」部分とは一体的に把握されるべきである。 そうすると,使用商標4は本件商標とその外観及び称呼が実質的に異なるのみならず,使用商標4は一義的に商号を示すものとして,その観念も本件商標とは実質的に異なるといえるから,使用商標4と本件商標とは社会通念上の同一性を欠く。 (3)まとめ 以上のとおり,被請求人の提出した証拠によっては,本件商標が,要証期間に,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者によって請求に係る指定商品に使用されていることの証明はなされていない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第18号証(枝番を含む。)を提出した。 1 被請求人及び取扱商品について 被請求人は,「プリンタブルウェアの衣料品製造,企画,販売」を主な事業内容としており(乙1の1),例えば,「ティーシャツ,ポロシャツ」等の商品を取り扱っている(乙2,乙3)。被請求人の商品は,プリント加工した状態で,例えばアパレル関係の法人に販売するほか,プリント加工していない無地の状態で,プリント加工をしている法人に販売する場合がある(乙1の3)。 被請求人が使用商標1ないし4について,使用の事実を証明する商品は,被請求人が顧客に配布していた2014年秋冬期の商品カタログ(乙2)の20頁に掲載されているカタログ品番「00300?ACT」の「ドライTシャツ」(以下「本件商品1」という。)及び2014年春夏期の商品カタログ(乙3)の85頁に掲載されているカタログ品番「00033-AC」の「アクティブコート」(以下「本件商品2」という。)である。 本件商品1及び2が,「ティーシャツ」及び「コート」であることは,それぞれの掲載頁の写真から明らかである。 2 使用の事実の説明 (1)使用商標1について 被請求人は,2014年11月7日,プリント加工事業者である松本社より,本件商品1について101枚を受注した(乙4)。 被請求人は,松本社より受注した本件商品1を,2014年11月8日,岐阜オペレーションセンターにおいて,カートンの側面中央上部に使用商標1が大きく表示されている包装箱に梱包し,松本社に発送した(乙5)。 納品書(乙6)及び請求書(乙7)は,上記取引における本件商品1の販売の事実を証明するものである。 そして,本件商品1は,使用商標1が表示された包装箱に梱包された状態で,2014年11月9日,松本社に納品された。その販売の事実は松本社の松本氏が証明している(乙8)。 以上のとおり,被請求人は,平成26年(2014年)11月9日に,その包装に使用商標1を付した「ティーシャツ」を,松本社に販売していた。これにより,被請求人が要証期間内に,日本国内で,使用商標1を使用していたことは明らかである。 (2)使用商標2について 被請求人は,2014年6月30日,H社より,本件商品2について210枚を受注した(乙9)。 被請求人は,H社より受注した本件商品2を,2014年7月1日,岐阜オペレーションセンターにおいて,カートンの側面の先頭行の「BRAND:」の欄の右横に使用商標2が表示されている包装箱に梱包し,H社に発送した(乙10)。 納品書(乙11)及び請求書(乙12)は,上記取引における本件商品2の販売の事実を証明するものである。 そして,本件商品2は,使用商標2が表示された包装箱に梱包された状態で,2014年7月2日,H社に納品された。その販売の事実は,H社の平波氏が証明している(乙13)。 以上のとおり,被請求人は,平成26年(2014年)7月2日に,その包装に使用商標2を付した「コート」を,H社に販売していた。これにより,被請求人が要証期間内に日本国内で使用商標2を使用していたことは明らかである。 (3)使用商標3及び4について 被請求人は,上記(1)及び(2)で説明した松本社及びH社との取引において同社に送付した納品書(乙6,乙11)及び請求書(乙7,乙12)に,使用商標3及び4を使用している。請求書の上端には,それぞれ松本社,H社からのFAX送信のヘッダ情報が印刷されており,請求書の原本が松本社,H社に送付され,同社が原本を所有していることが明らかである。 以上のとおり,被請求人は,平成26年(2014年)7月と10月に,「ティーシャツ」及び「コート」の取引書類に使用商標3及び4を付して,松本社及びH社に頒布していた。これにより,被請求人が,要証期間内に,日本国内で,使用商標3及び4を使用していたことは明らかである。 3 本件商標と「社会通念上同一と認められる商標」に該当することの説明 本件商標と使用商標1ないし4は,いずれも社会通念上同一の商標といえる。 4 まとめ 以上のとおり,使用商標1ないし4の使用の事実により,いずれにしても本件商標は,要証期間内に,日本国内において,取消対象とされた指定商品中の「被服」に含まれる「ティーシャツ」及び「コート」について,被請求人(商標権者)が使用していたものである。 第4 当審の判断 証拠及び被請求人の主張並びに職権調査によれば,以下の事実が認められる。 1 商品「ティーシャツ」について (1)乙第2号証は,被請求人の商品カタログ「THE PRINTABLE WEAR 2014 AUTUMN & WINTER COLLECTION」(抜粋)であるところ,20頁には,頁左側に「ドライTシャツ 00300-ACT」の表示,サイズの欄にはサイズ「M」,コード「02」等の記載があり,頁中央にはティーシャツの写真が掲載され,頁右端の様々な色彩の表示中に「●005/ブラック」の記載がある(本件商品1)。 (2)乙第4号証の2は,被請求人の商品の引合入力のデータの写しであるところ,そこには,受注日「2014/11/07」,出荷予定日「2014/11/08」,得意先名「株式会社松本スクリーン印刷」(松本社)の記載があり,受注商品が記載されている部分の行No.03には,商品「00300」,カラー「005」,サイズ「02」,受注数「101」,単価「330.00」,金額「33,330」,商品名「ジシャブランド ACTドライTシャツ ブラック M」の記載がある。 (3)乙第6号証は,「納品書(再)」であるところ,当該納品書の左上には,松本社の住所及び社名の記載があり,当該納品書の右上には使用商標3及びその下段に使用商標4が青色で表されている。そして,請求締日「2014年11月20日」,伝票日付「2014/11/08」,伝票番号「368320」の記載,納品商品の一覧表の3行目には,品番「0030000502」,商品「ACTドライTシャツ ブラック M」,数量「101.00」,単価「330.00」,金額「33,330」の記載がある。 (4)乙第7号証は,「請求書」であるところ,当該請求書の最上段にはFAX送信のヘッダ情報と認められる送信日時「2015年12月24日 16時39分」及び送信者「株式会社松本スクリーン印刷」(松本社)の表示がある。当該請求書の左上には,松本社の住所及び社名の記載があり,当該請求書の右上には使用商標3及びその下段に使用商標4(なお,当該部分は,不鮮明ながら,同様の納品書(乙6,乙11)及び請求書(乙12)も併せて勘案すれば,使用商標3及び4と推認できる。)が表されている。そして,当該請求書には,「2014年11月20日締切」の記載,商品の一覧表には,日付「11/08」,伝票No.「368320」,及び3行目には商品名「ACTドライTシャツ」,数量「101」,単価「330」,金額「33,330」の記載がある。 なお,納品書(乙6)及び請求書(乙7)の使用商標3及び4の下段には,大阪府大阪市の住所が記載されており,職権調査によれば,被請求人(商標権者)のウェブサイト(「会社案内」「営業所」)において,「営業所 大阪オフィス」の住所であることが認められる。 (5)小活 上記(1)ないし(4)における,商品,カラー,サイズのコード,商品名,顧客名,日付,伝票No.数量,単価,金額の記載が符合することから,被請求人は,顧客である松本社より,2014年(平成26年)11月7日に,本件商品1に係る「ティーシャツ」について黒色,Mサイズ,101枚を受注し,2014年(平成26年)11月8日に松本社に納品し,その料金は2014年(平成26年)11月20日締切りとして松本社に請求したと認められる。そして,当該取引における取引書類である納品書及び請求書に使用商標3及び4が使用されている。 2 商品「コート」について (1)乙第3号証は,被請求人の商品カタログ「PRINTABLE WEAR CATALOG 2014 SPRING & SUMMER」(抜粋)であるところ,85頁には,頁右側に「アクティブコート/00033-AC」の表示,サイズの欄にはサイズ「S」,コード「01」等の記載があり,頁中央にはコートの写真が掲載され,その下段に様々な色彩の表示中に「001/ホワイト」等の記載がある(本件商品2)。 (2)乙第9号証の2は,被請求人の商品の引合入力のデータの写しであるところ,そこには,受注日「2014/06/30」,出荷予定日「2014/07/01」,得意先名「株式会社H.sketch」(H社)の記載があり,受注商品が記載されている部分の行No.01には,商品「00033」,カラー「001」,サイズ「01」,受注数「210」,単価「1,050.00」,金額「220,500」,商品名「ジシャブランド ACアクティブコート ホワイト S」の記載がある。 (3)乙第11号証は,「納品書(再)」であるところ,当該納品書の左上には,H社の住所及び社名の記載があり,当該納品書の右上には使用商標3及びその下段に使用商標4が青色で表されている。そして,請求締日「2014年7月31日」,伝票日付「2014/07/01」,伝票番号「993509」の記載,納品商品の一覧表の1行目には,品番「0003300101」,商品「ACアクティブコート ホワイト S」,数量「210.00」,単価「1,050.00」,金額「220,500」の記載がある。 (4)乙第12号証は,「請求書」であるところ,当該請求書の最下段にはFAX送信のヘッダ情報と認められる送信日時「2016/01/07 14:41」及び送信者「From:株式会社H.sketch」(H社)の表示がある。当該請求書の左上には,H社の住所及び社名の記載があり,当該請求書の右上には使用商標3及びその下段に使用商標4が表されている。そして,「2014年07月31日締切」の記載,商品の一覧表には,日付「7/1」,伝票No.「993509」,及び1行目には,商品名「ACアクティブコート」,数量「210」,単価「1,050」,金額「220,500」の記載がある。 (5)小活 上記(1)ないし(4)における,商品,カラー,サイズのコード,商品名,顧客名,日付,伝票No.数量,単価,金額の記載が符合することから,被請求人は顧客であるH社より,2014年(平成26年)6月30日に,本件商品2に係る「コート」について白色,Sサイズ,210枚を受注し,2014年(平成26年)7月1日にH社に納品し,その料金は2014年(平成26年)7月31日締切りとしてH社に請求したと認められる。そして,当該取引における取引書類である納品書及び請求書に使用商標3及び4が使用されている。 3 本件商標と使用商標3及び4について 本件商標は,上段に「TOMS」の欧文字及び下段に「トムス」の片仮名を二段に横書きしてなるものであり,構成文字に相応して「トムス」の称呼が生じ,また,当該構成文字は一般の辞書に掲載されるような成語でなく,特段の意味を有するものとして知られている事情もないから,本件商標からは,特定の観念は生じないものである。 他方,使用商標3は,別掲1のとおり,やや図案化されているものの「TOMS」の文字からなることは明らかである。 また,使用商標4は,別掲2のとおり,「トムス株式会社」の文字からなるものであるが,その構成中の「トムス」の文字部分は,「株式会社」の文字部分と比べて2倍程度の太字で,かつ,文字サイズもやや大きく表されており,「株式会社」の文字とはその態様も異なることから,「トムス」の文字部分が看者の注意を引く態様であるといえ,当該文字部分を分離,抽出して把握し得るものである。 そして,納品書及び請求書(乙6,乙7,乙11,乙12)には,使用商標3と使用商標4が上下二段に併記された態様で使用されていることから,これに接した需要者は,使用商標3を構成する「TOMS」の文字が,その下段の使用商標4の構成中の最も看者の注意を引く態様の「トムス」の文字部分の欧文字表記であると認識するのというのが相当である。 使用商標3の「TOMS」の文字及び使用商標4の「トムス」の文字部分からは,共に「トムス」の称呼が生じ,特定の観念は生じないものである。そうすると,本件商標と使用商標3及び4とは,その称呼を共通にし,観念における相違はないから,本件商標と社会通念上同一の商標といえる。 4 納品書及び請求書について 請求人は,被請求人の納品書及び請求書(乙6,乙7,乙11,乙12)が,一般公衆による閲覧可能な状態に置かれているものではなく,松本社及びH社という特定の業者が閲覧したことが示されているにすぎないから,使用商標3及び4については,商標法第2条第3項第8号の「頒布」の要件を満たさず,商標法上「使用」されたものとは認められない旨主張する。 しかしながら,当該請求書(乙7,乙12)の写しには,それぞれ,松本社及びH社からFAX送信されたヘッダ情報が認められるから,当該請求書が当該顧客に対し頒布されたことを優に推認することができ,したがって,商標法第2条第3項第8号所定の「商品…に関する…取引書類に標章を付して…頒布…する行為」があったものと認めることができる。 また,請求人は,納品書及び請求書(乙6,乙7,乙11,乙12)において,使用商標3及び4が,通常,商号が付されると解される箇所に付され,さらにその上から会社の代表者印が押されており,使用商標3及び4を自他商品識別標識として使用するのであれば,代表者印を上から押して,取引者及び需要者に認識されにくいようにはしないはずであるから,使用商標3及び4は,単に商号を示すにすぎず,自他商品識別機能を発揮する態様で使用されていない旨主張する。 しかしながら,当該納品書及び請求書において,上記3のとおり,使用商標3は,図案化され目立つ様に表されており,また,使用商標4は,その構成中の「トムス」の文字部分が,看者の注意を引く態様であるといえるから,使用商標3及び4は,単に商号を示すだけでなく,本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていると認めることができる。なお,商取引の経験則上,当該請求書(乙7,乙12)に付されている代表者印によって,当該請求書の発行者の商号部分が判読できなくなるものとは考え難く,使用商標3及び4が視認できないとまではいえない。 したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用することができない。 5 まとめ 以上によれば,商標権者は,商品「ティーシャツ」及び「コート」を要証期間内に,顧客である松本社及びH社に販売し,納品し,その際,取引書類である納品書及び請求書に本件商標と社会通念上同一の商標を付して,松本社及びH社に頒布したものと認められる。そして,商標権者の使用に係る商品「ティーシャツ」及び「コート」は,本件審判の請求に係る指定商品中の「被服」に含まれるものであるから,被請求人は,商標権者が要証期間内に日本国内において,その請求に係る指定商品について本件商標を使用していたことを証明したというべきである。 したがって,本件審判の請求に係る指定商品に関する本件商標についての登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことはできない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 使用商標3 別掲2 使用商標4 |
審理終結日 | 2016-08-18 |
結審通知日 | 2016-08-23 |
審決日 | 2016-09-06 |
出願番号 | 商願平8-133280 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(025)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
田村 正明 田中 幸一 |
登録日 | 1999-05-07 |
登録番号 | 商標登録第4269909号(T4269909) |
商標の称呼 | トムス |
代理人 | 山本 進 |
代理人 | 溝上 哲也 |