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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1320411 
異議申立番号 異議2016-900151 
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-06-10 
確定日 2016-09-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第5833362号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5833362号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5833362号商標(以下「本件商標」という。)は、「PARSONS XTREME GOLF」の欧文字を標準文字で表してなり、2014年9月23日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成27年1月20日に登録出願、第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同年8月25日に登録査定、同28年3月11日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は、以下のとおりである。
(1)登録第2698083号商標(以下「引用商標1」という。)は、「PERSON’S」の欧文字を横書きしてなり、平成2年6月18日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同6年10月31日に設定登録され、その後、同16年11月9日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同年12月1日に、指定商品を第5類、第9類、第10類、第16類、第17類、第20類、第21類、第22類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換の登録がされたものである。そして、当該書換の登録がされた指定商品については、第5類、第16類、第20類、第21類、第22類、第24類及び第25類に属する指定商品について、同26年11月18日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
(2)登録第2183496号商標(以下「引用商標2」という。)は、「パーソンズ」の片仮名を横書きしてなり、昭和62年10月2日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年10月31日に設定登録され、その後、同11年10月19日及び同21年10月20日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同年11月11日に、指定商品を第5類、第9類、第10類、第16類、第17類、第20類、第21類、第22類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換の登録がされたものである。
なお、引用商標1及び2をまとめていうときは、以下、単に「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第35号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第15号該当性
ア 引用商標の著名性
引用商標は、申立人の業務に係る商品「被服」等を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されている(甲4?甲13)。
また、申立人は、他業種のメーカーを介して引用商標を冠したライセンス商品の販売を手掛けており、取扱商品が多角化しており、ゴルフ関連商品もそのうちの一つである(甲5、甲14?甲18)。
したがって、引用商標は、被服等について著名性を獲得していることはいうまでもなく、運動用具についても周知性を獲得している。
イ 本件商標と引用商標との類似性
本件商標は、その構成中に引用商標1と類似性の高い「PARSONS」の文字を含むものである。また、本件商標中の「GOLF」は、スポーツの「ゴルフ」を直ちに想起させるものであって、本件商標の指定役務との関連にあっては識別力を有さない部分である。そして、本件商標中の「XTREME」は、「究極の」などを意味する「EXTREME」の略語・俗語であり(甲19、甲20)、特に運動用具の分野において、品質を表示するものとして使用されている(甲21?甲31)から、識別機能を有しない。したがって、本件商標は、「PARSONS」の部分が要部であるから、これより「パーソンズ」の称呼を生ずる。
してみると、本件商標は、引用商標より生ずる「パーソンズ」の称呼を同一とするばかりか、引用商標1とは、外観上も相紛らわしい。
したがって、本件商標は、引用商標と類似する商標である。
ウ 本件商標の指定役務と引用商標が使用される商品との関連性
本件商標の指定役務の需要者と引用商標が使用されるゴルフ用品・被服等の需要者は、共通する。
エ 出所の混同
以上によると、引用商標に類似する本件商標をその指定役務について使用するときは、該役務が申立人の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)引用商標の著名性
ア 申立人の提出した証拠(括弧内に掲記)及び申立ての理由を総合すると、以下の事実を認めることができる。
(ア)申立人の設立から平成8年頃までの営業活動
申立人は、昭和54年に、婦人服、紳士服等の被服の製造販売を主たる業務として設立されたアパレルメーカーであり(甲4)、平成4年頃には、その広告費として約2億円を費やしていたこと(甲7)、申立人の売上高は、第10期(昭和63年2月?平成元年1月)が約56億円、第11期(平成元年2月?平成2年1月)が約58億円、第14期(平成3年)には約65億円であり、その後、第17期(平成6年)にかけて減少傾向にあったものの、第18期(平成7年)には約33億円を越えたこと(甲8、甲14)、雑誌「昭和40年男(タンデムスタイル4月号増刊)」(2011年(平成23年)5月11日、株式会社クレタパブリッシング発行)には、「昭和60年のファッションといえば、とにもかくにもDCブランドブーム!・・このブームを支えた代表的なメンズラインは、MEN’S BIGI、・・PERSON’S FOR MEN、・・などなど。」と記載されていること(甲9)、上記のとおり、申立人は、創業時から被服の製造販売を主たる業務としていたが、平成元年頃から、時計メーカーやハンカチメーカーなどの企業と引用商標のライセンス契約を締結し、他社を介して引用商標を冠した商品の販売を開始したこと(甲4、甲5)、などを認めることができる。
(イ)申立人の平成8年以降の営業活動等
申立人は、平成8年の時点で被服の製造販売業を辞め、ライセンスビジネスへと転換したこと(甲4)、引用商標に関し、申立人との間でライセンス契約の締結をした企業は、2015年(平成27年)の時点で60数社あり、これらの企業の販売に係る商品は、婦人服などの被服、靴、バッグ、ゴルフ用品、その他多数の商品に及び、これらの商品には、引用商標を冠した商標が表示されていること(甲5、甲15、甲16)、引用商標の「2011年度ライセンスブランド総売上高」は約171億円に達し、第11位にランキングしたこと(矢野経済研究所推計:甲5、甲18)、2010年(平成22年)5月27日付け日本繊維新聞の「有力ブランド窓口担当者一覧」には、申立人のライセンスビジネス事業の外部委託先である「パーソンズデザインスタジオ」とともに、引用商標が同社の管理するブランドの一つとして掲載されたこと(甲4、甲11)、申立人のライセンシーである株式会社千代田が引用商標を付したゴルフ用品の2013年(平成25年)8月1日から2014年(平成26年)7月31日までの販売金額は、約4,675万円であったこと(甲17)、などを認めることができる。
イ 判断
前記アで認定した事実によれば、以下のとおりである。
(ア)引用商標は、証拠(甲4、甲7、甲8、甲9及び甲14)によれば、平成8年頃までは、申立人の業務に係る被服を表示するものとして、我が国の被服等を取り扱う分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。
しかし、平成8年頃当時と本件商標の登録出願時(優先権主張の基礎となった平成26年9月23日をいう。以下同じ。)とは、年数に大きな隔たりがあり、本件商標の登録出願時においてもなお、引用商標が申立人の業務に係る被服を表示するものとして、その種商品を取り扱う分野において周知性を継続していたものと認めることができないし、また、これを裏付ける証拠の提出もない。
(イ)申立人は、平成8年以降、ライセンスビジネスへと転換し、他社とのライセンス契約の締結を元に、他社がその業務に係る商品について、引用商標を使用することを許諾した。そして、本件商標の登録出願日後である2015年(平成27年)の時点で、引用商標の使用許諾を受けた企業は60数社存在し、ライセンシーの取扱いに係る商品は、アパレル商品、靴、バッグ、ゴルフ用品等多数の商品に上ることを認めることができる。
しかし、引用商標の使用許諾を受けた各ライセンシーが、本件商標の登録出願時前までに、当該ライセンシーの業務に係る商品の周知性を獲得したといえる程度に宣伝広告をしたと認めるに足りる証拠は見いだせない。のみならず、平成23年における引用商標の「ライセンスブランド総売上高」が約171億円であったとしても、当該総売上高は、60前後の企業がそれぞれの業務に係る様々な商品についての総売上高であるから、当該総売上高をもって、引用商標が、特定の企業の業務に係る特定の商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日において、当該商品分野の取引者、需要者の間に広く認識されていた事実を基礎付けることはできない。
(ウ)申立人のライセンシーの一社である株式会社千代田は、平成25年8月1日から平成26年7月31日までの間に、引用商標を付したゴルフ用品について約4,675万円を売り上げたとしても、これを1カ月平均にすると約390万円であり、ゴルフ用品には、販売価格が相当高額のものも存在する(甲23?甲25)ことからすれば、その売上高は必ずしも多いとはいえないばかりか、売上高の算出年度が異なるものの、平成23年における引用商標の「ライセンスブランド総売上高」である約171億円を基準にすると、上記株式会社千代田の販売額は、「ライセンスブランド総売上高」の約0.27%にすぎないものと認められ、残りの「ライセンスブランド総売上高」は、およそ60前後の企業の各業務に係る様々な商品についてのものと考えられる。
(エ)してみると、上記「ライセンスブランド総売上高」の金額及びランキングからすると、取引者、需要者の間には、引用商標の存在を認識していた者もいたと窺うことができるとしても、これら取引者、需要者は、引用商標を使用した商品がいずれの業者から流出したものであることは認識し得なかったといわざるを得ず、したがって、申立人の提出した証拠をもって、本件商標の登録出願時において、引用商標が、申立人のライセンシーのうちの特定の企業の業務に係る特定の商品を表示するものとして、当該商品を取り扱う分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(オ)以上によれば、引用商標は、申立人の業務に係る被服を表示するものとして、また、申立人のライセンシーのそれぞれの業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時において、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
その他、引用商標が、申立人又はそのライセンシーなど特定の企業の業務に係る特定の商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国において、周知・著名性を獲得していたと認めるに足りる客観的証拠は見いだせない。
(2)本件商標と引用商標との類似性
本件商標は、「PARSONS」、「XTREME」及び「GOLF」の各文字部分の間に1字分のスペースを空けて、「PARSONS XTREME GOLF」と標準文字で表してなるところ、その構成中の「PARSONS」及び「XTREME」の各文字部分は、いずれも我が国ではなじみのない語であるから、これらの文字部分からは特定の意味合いを想起させないというのが相当である。
また、本願商標の構成中の「GOLF」の文字部分は、球技の「ゴルフ」を意味する平易な英語であって、本件商標の指定役務との関係では、役務の質を表示した部分として理解されるから、該文字部分からは出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる。
そうすると、本件商標は、「パーソンズエクストリームゴルフ」又は「パーソンズエクストリーム」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
上記に関し、申立人は、本件商標の構成中の「XTREME」の文字部分が、「極端な」、「究極の」という意味の英単語「EXTREME」の略語・俗語であることを前提にして、同文字部分も出所表示機能を有しないとし、本件商標の要部は「PARSONS」である旨主張する。
確かに、甲第19号証及び甲第20号証によれば、「XTREME」の語は、「極度」等を意味する「extreme」の語と同義である旨の記載が認められ、甲第21号証?甲第24号証、甲第26号証?甲第29号証(甲27と甲28は同一の会社のものと認められる。)によれば、「X-TREME」、「Xtreme」、「XTREME」の語がゴルフ大会の名称、ゴルフ用品、テニス用具について、他の語とともに使用されている事実が認められる。
しかしながら、「extreme」の語が「極度」を意味する英語として我が国において親しまれているものとは認め難いところであり、まして、一般的な取引者、需要者が「XTREME」の語について、「extreme」の語と同義であると認識するとは考えられないし、また、これを認めるに足りる証拠の提出もない。
そして、ゴルフ用品やテニス用具について「Xtreme」、「XTREME」の語が使用されているとしても、これらがいかなる意味をもって、すなわち、商品の品質表示語として使用されているのかは、提出された証拠からは読み取ることができない。
したがって、「XTREME」の語が商品の品質を表示するものとして普通に使用されているということはできないから、上記に関する申立人の主張は理由がなく、採用することができない。
一方、引用商標は、「PERSON’S」及び「パーソンズ」の文字からなるものであるところ、これよりは、「パーソンズ」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
以上によれば、本件商標について、その構成中の「PARSONS」の文字部分を分離、抽出し、これより「パーソンズ」の称呼をも生ずるとし、これを前提として、本件商標と引用商標とが「パーソンズ」の称呼を同じくする類似の商標であり、また、本件商標と引用商標1とが外観上類似する商標であるとする申立人の主張は、前提において誤りがあるというべきである。その他、本件商標と引用商標とが類似するとみるべき理由は見いだせない。
したがって、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(3)出所の混同のおそれ
前記(1)認定のとおり、引用商標は、申立人ないしそのライセンシーの業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時に、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
また、前記(2)認定のとおり、本件商標と引用商標は、商標において非類似のものであり、さらに、本件商標の指定役務と引用商標が使用される被服、その他の商品とは、事業者又は生産者、役務又は商品の用途、目的等において明確に異なるものであるから、その需要者が共通する場合があることを考慮しても、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標を想起ないし連想することはないというべきである。
してみれば、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、該役務が申立人又は申立人のライセンシーその他申立人と何らかの関係にある者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれはないとみるべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-09-09 
出願番号 商願2015-4046(T2015-4046) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉田 聡一 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 中束 としえ
大井手 正雄
登録日 2016-03-11 
登録番号 商標登録第5833362号(T5833362) 
権利者 パーソンズ エクストリーム ゴルフ エルエルシー
商標の称呼 パーソンズエクストリームゴルフ、パーソンズエックストリームゴルフ、パーソンズエクストリーム、パーソンズエックストリーム、パーソンズ、エクストリームゴルフ、エックストリームゴルフ、エクストリーム、エックストリーム 
代理人 網野 誠彦 
代理人 高橋 雅和 
代理人 高橋 友和 
代理人 網野 友康 
代理人 高橋 剛 

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