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審決分類 審判 一部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30
審判 一部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30
審判 一部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30
管理番号 1320341 
審判番号 無効2015-890044 
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-05-19 
確定日 2016-10-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第5602955号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5602955号の指定商品中、第30類「ごま入りの調味料,ごま塩,すりごま,いりごま,ねりごま,ごまを使用した穀物の加工品」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5602955商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成24年11月14日に登録出願、第30類「調味料,ごま塩,すりごま,いりごま,ねりごま,ごまを使用した穀物の加工品」を指定商品として、平成25年7月2日に登録査定、同月26日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が、登録の無効の理由として引用する登録商標は、以下の3件(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)である。
1 登録第553543号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ひらけ ごま!」の文字と「OPEN SESAME」の欧文字とを2段に横書きしてなり、昭和34年4月6日に登録出願、第45類「胡麻味付、その他本類に属する商品」を指定商品として、同35年7月28日に設定登録され、平成13年5月16日には、指定商品を第29類「食肉,塩辛,うに(塩辛魚介類),このわた,寒天,ジャム,卵,かつお節,干しのり,焼きのり,とろろ昆布,干しわかめ,干しあらめ,肉のつくだに,水産物のつくだに,野菜のつくだに,なめ物,果実の漬物,野菜の漬物」、第30類「胡麻を主材料とする穀物の加工品,みそ,甘酒,こしょう」及び第31類「のり,昆布,わかめ,あらめ」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
2 登録第562806号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ひらけ ごま!」の文字と「OPEN SESAME」の欧文字とを2段に横書きしてなり、昭和34年4月6日に登録出願、第47類「胡麻、胡麻豆腐、焦胡麻、摺胡麻、その他胡麻を材料とした製品」を指定商品として、同35年12月15日に設定登録され、平成13年10月24日には、指定商品を第30類「ごま塩,焦胡麻,味付胡麻,摺胡麻,味付摺胡麻,剥き胡麻,煎り剥き胡麻」及び第31類「胡麻」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
3 登録第1896568号商標(以下「引用商標3」という。)は、「ひらけ ごま!」の文字と「OPEN SESAME」の欧文字とを2段に横書きしてなり、昭和59年2月7日に登録出願、第31類「調味料、香辛料、食用油脂、乳製品」を指定商品として、同61年9月29日に設定登録され、平成19年10月3日には、指定商品を「第29類「食用油脂,乳製品」、第30類「調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」及び第32類「ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第64号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、パッケージ状の商標であり、七福神と思しきキャラクターが乗った船の白色の帆の上端に、黄色囲みの赤色の文字にて「“サクラサケ”」と横書きし、その下段に「サクラサケ」の文字の3倍程度の大きさの黄色囲みの茶色の文字で「ひらけごま」の文字を横書きしてなる商標である。
本件商標は、上部には、読みやすい文字ではっきりと「サクラサケ」と「ひらけごま」の文字があり、これらの文字をもって取引されると考えられるところ、これらの文字は、その色・大きさに加え、字体も異なり、文字全体から生じる「サクラサケヒラケゴマ」の称呼は、前半部と後半部で意味的なつながりもなく、冗長である。
そのため、本件商標は、これらを常に一体として見るべき理由はなく、「サクラサケ」の文字部分と「ひらけごま」の文字部分に分離して、考察されるとみるのが自然であり、特に、そのうちの「ひらけごま」の文字部分は、極めて大きく記載されていることから、本件商標に接する取引者・需要者が、該「ひらけごま」の文字部分に着目すると考えるのが自然である。
したがって、本件商標は、「ひらけごま」の文字部分から「ヒラケゴマ」の称呼が生じ、また、「千夜一夜物語における呪文」としての観念を生じるものである。
(2)本件商標の実際の使用について
本件商標を使用した商品は、本件商標権者とその代表取締役を共通にするグループ会社である株式会社真誠(甲5)(以下「真誠」という。)において製造販売されており、真誠のウェブサイトにおいては、本件商標を使用した商品「味付ごまアソート」が紹介されている(甲6)。
その商品の紹介においては、「ひらけごま味付ごまアソート」として紹介されている。
また、同サイトにおいては、本件商標の構成よりもさらに「サクラサケ」の文字を小さくし、「ひらけごま」の文字を目立たせる態様で使用されている例もある(甲7)。
本件商標権者は、審査における意見書において「2段文字列『“サクラサケ”ひらけごま』を含む本願商標は、『サクラサケヒラケゴマ』たる称呼を生じるのであり、その一部の『サクラサケ』或いは『ヒラケゴマ』の称呼を生じるものではないと思量いたします。」と自ら述べ、引用商標と類似するとした拒絶理由に対し反論しているが、実際の使用においては、その主張と矛盾する態様で使用している。
結局、実際の使用態様を勘案しても、本件商標権者及び使用者ともに、本件商標の構成中の「ひらけごま」の文字部分を商標として、または、本件商標の要部として認識し、かつ、使用していることは明らかであり、上記(1)で行った本件商標から生じる称呼・観念に対する主張を裏付けるものである。
(3)引用商標について
引用商標は、ひらがなで「ひらけ ごま!」と横書きした下段にアルファベットにて「OPEN SESAME」と横書きしてなるものである。
そのため、引用商標は、それぞれの文字に応じて「ヒラケゴマ」、「オープンセサミ」の称呼が生じ、また、本件商標と同様に「千夜一夜物語における呪文」としての観念が生じる。
(4)本件商標と引用商標の指定商品の類否について
本件商標の指定商品中の「ごまを使用した穀物の加工品」は、引用商標1の指定商品中の「胡麻を主原料とする穀物の加工品」と類似する商品であり、本件商標の指定商品中の「ごま塩,すりごま,いりごま,ねりごま」は、引用商標2の指定商品中の「ごま塩,焦胡麻,味付胡麻,摺胡麻,味付摺胡麻,剥き胡麻,煎り剥き胡麻」と同一又は類似する商品であり、本件商標の指定商品中の「ごま入りの調味料」は、引用商標3の指定商品中の「調味料」と類似する商品である。
そのため、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似である。
(5)まとめ
商標の類否については、「商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする」のが、最高裁判所昭和43年2月27日判決(民集22巻2号399頁)である。
そうであるならば、上記(2)で述べた本件商標の実際の使用状況を勘案すべきであり、本件商標と引用商標はその外観は異なるものの、いずれからも「ヒラケゴマ」の称呼及び「千夜一夜物語における呪文」という観念が生じるため、本件商標と引用商標とは、その称呼・観念を共通にし、同一又は類似する商品について使用するものであるから、互いに類似する商標といわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の周知性について
ア 請求人について
請求人は、宝暦2年(1752年)に乾物の仲買から始め、昭和6年(1931年)に合名会社となり、さらに、昭和26年(1951年)に現在の株式会社となった、非常に長い歴史を有する乾物食品問屋である(甲8)。戦後に日本で初めて食用の胡麻を輸入したのも請求人であり、また、請求人の相談役(前社長)は、全国胡麻加工組合連合会の理事長も務めていることもあり(甲9)、胡麻業界では、請求人は非常に知られた存在である。
イ 引用商標を使用した請求人の商品について
引用商標は、請求人を代表する胡麻のブランドであり、請求人は、引用商標を「すりごま」、「いりごま」などの胡麻関連商品に実際に使用している。
請求人は、引用商標を使用した商品を昭和40年頃から現在に至るまで永年にわたり継続的に製造している。
甲第10号証に添付されている証明書から、本会社案内は昭和59年3月に作成されたものであることが明らかであり、本会社案内に「ひらけごま」商標を使用した商品が掲載されていることが確認できる。また、甲第8号証で提出した現在の会社案内にも同じく「ひらけごま」商標を使用した商品が掲載されていることから、遅くとも昭和59年から現在に至るまで引用商標を使用していたことが証明される。
ウ 請求人の広告宣伝について
請求人は、日本食糧新聞や食品新聞などのいわゆる業界紙に、継続的に引用商標を使用した商品の宣伝広告を出稿している(甲11ないし甲62)。これらからわかるように、広告宣伝以外でも請求人が取り上げられている記事は多数存在することから、請求人及び請求人のメインブランドである引用商標は充分な著名性を得ていることがわかる。
さらに、甲第19号証や同第20号証の記事のように、請求人の記事と並んで、本件商標を使用している真誠の記事が掲載されており、その下段には、引用商標を使用した請求人商品の宣伝広告がなされていることから、本件商標の使用者並びに本件商標権者において、その出願時に請求人及び引用商標の存在を知らなかったはずはない。
よって、引用商標は、本件商標の出願時において十分な周知性を得ており、また、そのことを本件商標権者及び使用者において認識していたといえる。
(2)混同のおそれについて
仮に、本件商標がパッケージ全体の図形商標として認識され、引用商標と非類似と判断されるとしても、本件商標権者・使用者は、「ひらけごま」の文字部分を商標もしくは要部として使用しており、また、請求人も「ひらけごま」を要部として使用していることから、本件商標を使用した商品に接する取引者・需要者は、あたかも請求人の子供向け商品、または、請求人から材料などを仕入れて製造している商品であるかの如く、その出所について混同を生じるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、又は同項第15号に該当したものであり、商標法46条第1項1号に基づきその登録を無効にされるものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第20号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標との対比
ア 本件商標
本件商標は、イラスト化された可愛らしい七福神を想起させるキャラクターが乗り込んだ宝船が高らかに白帆を揚げた図案の中に、特に白帆に描かれたようにも見えるように「“サクラサケ”ひらけごま」の2段の文字列が配置され、さらに、5弁の桜の花びらをあしらい、帆の背後から放射状に延びている光をあしらったデザインも相まって、全体として、開運や合格、あるいはめでたさなどを惹起する標章全体として機能することを意図したものである。もとより、我が国において、七福神と宝船の図案は広く知られており、本件商標に接した需要者の多くは、七福神と宝船を想起するものと考えられる。また、5弁の花びらの図案も桜を示す図案として広く知られたものである。
したがって、本件商標と他の商標との類似を検討するとき、図柄を含まない文字商標と比べれば、外観が重要であり、また、商標全体が看者に惹起する観念も重要であるということができる。さらに、呼称について検討する場合も、徒に文字部分のみに着目して判断するのではなく、商標全体との関連に考慮を払うべきものである。
イ 外観
本件商標は、イラスト化された可愛らしい七福神が乗り込んだ宝船が高らかに揚げた白帆の中に、5弁の桜の花びらと共に「“サクラサケ”ひらけごま」の文字列を一体に含んだ上で、帆の背後から放射状に光を延ばしている図柄を有するのに対し、引用商標は、「ひらけごま!/OPEN SESAME」の2段の文字列商標であるにすぎない。
よって、本件商標は、その外観において、引用商標と全く相違する。
ウ 観念
本件商標は、イラスト化された可愛らしい七福神が乗り込んだ宝船が高らかに白帆を揚げた図案の中に、特に白帆に描かれたようにも見えるように「“サクラサケ”ひらけごま」の2段の文字列が配置され、さらに、5弁の桜の花びらをあしらった上で、帆の背後から放射状に光を延ばしているデザインの標章であることから、標章全体から、開運や合格、あるいはめでたさなどに加え願い事の成就等の観念を想起する。
これに対し、引用商標は、「ひらけごま!」及び「OPEN SESAME」の文字列が想起する観念を有するにすぎず、引用商標が想起する観念は、いずれもその文字列のとおりのごまが開いた観念や、開かないごまやこれに類するもの、例えば、開かない扉が開いた観念、また、請求人が主張するような千夜一夜物語における呪文としての観念にすぎず、本件商標が想起する上記の観念と全く相違する。また、「ひらけごま!」及び「OPEN SESAME」の文字列から引用商標が想起する観念が、本件商標の想起する上記の観念と同一又は類似であるとする商習慣や社会通念が確立しているものではない。
エ 称呼
本件商標は、図案として一体化されたものであり、単なる文字商標と商標全体を称呼という点で比較することは困難であるが、「“サクラサケ”ひらけごま」の2段の文字列が含まれていることから、この点に着目して対比すると、この2段の文字列は、「“サクラサケ”」の文字列と「ひらけごま」の文字列において、字体に大小の相違はあるものの、両文字列は、明確に判読可能であり、商標全体の中で互いに隣接して配置されている。
そうすると、本件商標は、「“サクラサケ”ひらけごま」の2段の文字列から、「サクラサケヒラケゴマ」の称呼を生じるのであって、「“サクラサケ”」の文字列から生じる称呼を除外した「ヒラケゴマ」の称呼ではない。その理由は、平成11年審判第5933号審決にて示されたとおりであり、本件商標にあっても、その称呼は、「ヒラケゴマ」ではなく、「サクラサケヒラケゴマ」である。
また、本件商標は、その表記「“サクラサケ”ひらけごま」を分離して捉えた「“サクラサケ”」と「ひらけごま」のいずれかが、自他商品の識別力を奏すると断定する根拠はない。
加えて、2段の文字列「“サクラサケ”ひらけごま」を「“サクラサケ”」と「ひらけごま」とに分離して捉えるという商習慣や社会通念が、本件の指定商品の商取引において確立している、もしくは存在すると判断する根拠はない。
さらに、商取引において往々にして略称、称呼されるとしても、2段の文字列「“サクラサケ”ひらけごま」を「“サクラサケ”」と「ひらけごま」とに分離して「“サクラサケ”」だけを省略して捉えることは、こうした略称、称呼に該当するものではない。
請求人は、「特に『ひらけごま』の文字が極めて大きく記載されていることから、本件商標に接する取引者・需要者が『ひらけごま』の文字部分に着目すると考えるのが自然である。」と主張している。確かに、本件商標において「ひらけごま」の文字部分は、「“サクラサケ”」よりも大きな文字で記載されている。しかしながら、本件商標において、「サクラサケ」の文字部分は、いわゆるダブルクォーテーションマーク(二重引用符)で囲まれているため、外観・観念・称呼において強調されている。
加えて、本件商標においては、桜の花弁をあしらった5つの図形が大小3つ配置されており、“サクラサケ”の意味を強調している。このため、本件商標に接する取引者・需要者にとって、「“サクラサケ”」の文字部分と「ひらけごま」の文字部分のいずれか一方のみに着目するのではなく、両部分を一体として捉えて「サクラサケヒラケゴマ」の称呼を生じると考えるのが自然であり、上述した請求人の主張は合理性に欠くものである。
以上より、2段の文字列「“サクラサケ”ひらけごま」を含む本件商標は、「サクラサケヒラケゴマ」の称呼を生じるのであり、その一部の「サクラサケ」あるいは「ヒラケゴマ」の称呼を生じるものではない。
その一方、引用商標は、2段の文字列の「ひらけごま!/OPEN SESAME」であることから、その称呼は「ヒラケゴマオープンセサミ」であり、「OPEN SESAME」の文字列から生じる称呼を除外した「ヒラケゴマ」単独の称呼ではない。また、引用商標は、2段の文字列の「ひらけごま!/OPEN SESAME」でありながら、「OPEN SESAME」の文字列から生じる称呼を除外した「ヒラケゴマ」単独で称呼され、商取引されている実情もない。これは、例えば、「OPEN SESAME」が、「ひらけごま!」のローマ字表記であるといった事情や、その訳語に相当するといった事情もないことからも明らかである。
したがって、「サクラサケヒラケゴマ」として一連に称呼される本件商標は、引用商標と称呼において同一又は類似するとする根拠に欠けるものであり、引用商標と称呼において類似しない。
(2)本件商標の実際の使用態様について
請求人は、被請求人のグループ会社である真誠のウェブサイトにおいて本件商標を使用した商品が紹介されており、かかる使用においては、「ひらけごま味付ごまアソート」として商品が紹介され、「ひらけごま」部分を商標として、又は、本件商標の要部として認識し、かつ、使用していることは明らかであると主張する。
しかしながら、当該ウェブサイトにおいて、請求人の指摘する文字列「ひらけごま味付ごまアソート」は、商標として用いられておらず、商品を区分するために用いられているというべきものである。具体的には、当該文字列は、「“サクラサケ”ひらけごま」の文字列及び宝船等を含む図案化された本件商標が付された商品の写真に併記的に使用されている、あるいは、当該ウェブサイトの最左端において、目次的に使用されているにすぎない(甲6)。
したがって、当該ウェブサイトにおいては、「ひらけごま」部分を商標として、又は本件商標の要部として使用されていない。
また、請求人は、真誠のウェブサイトにおいて、本件商標の構成よりもさらに「“サクラサケ”」の文字を小さくした態様での使用例があると主張している(甲7)。
しかしながら、上述のような文字列「ひらけごま味付ごまアソート」の使用及び「“サクラサケ”」の文字を小さくした態様での使用例は、これら2例しかなく、例えば、乙第1号証ないし乙第19号証に示すように、他の多くの使用は、文字列「“サクラサケ”ひらけごま」を含む本件商標の使用であり、かつ、「“サクラサケ”」の文字も本件商標どおりの大きさでの使用である。よって、取引者・需要者をして、本件商標について「ひらけごま」の文字部分のみを商標として、又は、本件商標の要部として認識して、「ヒラケゴマ」の称呼及び「千夜一夜物語における呪文」としての観念を生じる、との請求人の主張は合理性に欠くものである。
(3)小括
本件商標は、その外観、観念及び称呼のいずれにおいても引用商標と同一又は類似するものではなく、また、具体的な取引状況に基づいたとしても、同一又は類似するものではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)商標の類似性
本件商標と請求人が使用する引用商標とは、上記1のとおり、同一又は類似の関係にない。
(2)周知性について
請求人は、引用商標が周知性を獲得していることを、甲第11号証ないし甲第62号証を挙げて主張している。これらの証拠はいずれも、いわゆる業界紙への引用商標の使用を示すものであり、文字列「ひらけごま!」の使用が認められるものの、登録商標である2段の文字列「ひらけごま!/OPEN SESAME」の使用は、わずかに3つの書証(甲60ないし甲62)において認められるにすぎず、残りの49の書証(甲11ないし甲59)においては、2段の文字列「ひらけごま!/OPEN SESAME」の使用は認められない。
甲第11号証ないし甲第62号証における文字列「ひらけごま!」の使用態様を見ると、例えば、甲第11号証ないし甲第24号証、甲第26号証ないし甲第29号証、甲第31号証及び甲第32号証では、広告欄のうちのおよそ5割のスペースを用いて文字列「ひらけごま!」が大きく記載されている。このため、登録商標を示すマーク(R)がかかる文字列の右下近傍に小さく付してあるとはいえ、その記載態様は、単なるキャッチコピー然とした態様での記載であり、商標的使用態様ではない。
このように、一見して商標的使用ではない文字列、それも、本来の登録商標である2段の文字列の「ひらけごま!/OPEN SESAME」とは異なる文字列である1段の文字列の「ひらけごま!」を使用して、2段の文字列の「ひらけごま!/OPEN SESAME」について、請求人が主張するところの著名性を獲得している証拠に足りえない。1段の文字列の「ひらけごま!」をいくら多数回使用したとしても、2段の文字列の「ひらけごま!/OPEN SESAME」の著名性は獲得し得ない。まして、請求人の提示する書証によれば、わずかに52回(甲11ないし甲62)、それも一般紙ではなく業界紙において宣伝広告を出稿しているにすぎず、著名性を獲得しているとの主張は、合理性に欠くものである。
(3)小括
引用商標と本件商標とは、互いに大きく異なる。このため、本件商標が指定商品に使用されたとしても、請求人又は請求人と緊密な営業上の関係等を有する者の商品に係るものであると誤認されるおそれはない。
そもそも、引用商標は、周知性を備えていないので、仮に、引用商標と本件商標とが類似したとしても、その出所について混同を生じるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)甲第11号証ないし甲第59号証に示される商標の使用が虚偽表示である点
請求人は、1段の文字列の「ひらけごま!」からなる商標を登録商標(登録第5226043号)として有している(乙20、以下「別登録商標」という)。かかる別登録商標の指定商品は、第29類「食用油脂,乳製品,加工野菜および加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,牛丼のもと,その他のどんぶりもののもと,パスタソース,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」である。
したがって、仮に、甲第11号証ないし甲第59号証に示す1段の文字列の「ひらけごま!」の使用が商標的使用態様であると認められる場合、かかる文字列の近傍に登録商標を示すマーク(R)と共に用いられていることから、甲第11号証ないし第59号証に示す1段の文字列の「ひらけごま!」の使用は、別登録商標の使用に相当する。
そうすると、甲第11号証ないし甲第59号証に示す1段の文字列の「ひらけごま!」の使用は、仮に、商標的使用態様での使用であると認められたとしても、登録商標の虚偽表示(商標法第74条第2号)であり、刑事罰の対象となる行為である(商標法第80条)。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当しない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲のとおり、7体のキャラクターが乗った水上の帆掛船と、帆の背後に黄色の放射状の線と、5弁の花びらを3つ描いた図形と、黄色囲みの赤色の文字による「“サクラサケ”」の文字と、その下段に「ひらけごま」の文字を黄色囲みの茶色の文字にて大きく顕著に表した構成からなるものである。
そして、本件商標は、図形部分とその図形中の文字部分とが視覚上分離して認識されるものといえるところ、その構成中の図形部分については、七福神をモチーフとしていることを想起させる場合があるとしても、具体的に何を表した図形であるかまでは直ちに把握し得ないことから、該図形部分からは、特定の称呼、観念は生じないものとみるのが相当である。
一方、その構成中の文字部分については、上段の「サクラサケ」の文字部分が、「桜咲け」の文字を片仮名で表したものと理解され、かかる観念及び「サクラサケ」の称呼を生じるものであり、また、下段の「ひらけごま」の文字部分が、「アラビアの説話『アリババと40人の盗賊』で窃盗団の宝をかくした洞窟の扉を開ける呪文」(大辞泉増補・新装版 株式会社小学館)と理解され、かかる観念及び「ヒラケゴマ」の称呼を生じるものであるから、本件商標は、称呼及び観念においても、図形部分と文字部分との関連性を見い出すことはできないものである。
そうすると、本件商標は、図形部分と文字部分を常に一体不可分のものとしてのみ、把握され、認識されるものとすべき特段の事情は見受けられないものとみるのが相当である。
次に、本件商標の上段と下段の各文字部分についてみるに、上段の「サクラサケ」と下段の「ひらけごま」の文字部分は、文字の大きさ、書体、色彩を異にするため、それぞれが視覚上分離して観察されるものであり、また、それぞれの文字部分より生じる観念は、上記のとおりであって、文字部分全体として特定の観念を生じるものではなく、しかも、文字部分全体より生じる「サクラサケヒラケゴマ」の称呼もやや冗長といわざるを得ないものである。
そうとすると、本件商標は、「サクラサケひらけごま」、上段の「サクラサケ」、下段の「ひらけごま」のそれぞれの文字部分が、独立して自他商品の識別標識として機能し得るといえるものである。
してみれば、本件商標は、その構成中の看者に強く支配的な印象を与える「ひらけごま」の文字部分に相応して、「ヒラケゴマ」の称呼、「アラビアの説話『アリババと40人の盗賊』で窃盗団の宝をかくした洞窟の扉を開ける呪文」の観念をも生じるものといえる。
(2)引用商標について
引用商標は、前記第2のとおり、「ひらけ ごま!」の文字と「OPEN SESAME」の欧文字とを2段に横書きしてなるところ、外観上、上段と下段に分けて各文字が表されており、上段の「ひらけごま」の文字部分が、上記(1)のとおり、「アラビアの説話『アリババと40人の盗賊』で窃盗団の宝をかくした洞窟の扉を開ける呪文」を意味するものであり、下段の「OPEN SESAME」の文字部分が、上段の語と同様の意味を有する英語である。
そうとすれば、上段の「ひらけごま」の文字と、下段の「OPEN SESAME」の欧文字は、その全体より生じる「ヒラケゴマオープンセサミ」の称呼が冗長である上、いずれも「アラビアの説話『アリババと40人の盗賊』で窃盗団の宝をかくした洞窟の扉を開ける呪文」の観念を生じるものであるから、それぞれが着目され、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものと認められる。
したがって、引用商標は、上段の「ひらけごま」の文字部分から、単に「ヒラケゴマ」の称呼をも生じ、「アラビアの説話『アリババと40人の盗賊』で窃盗団の宝をかくした洞窟の扉を開ける呪文」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標の外観をみると、本件商標は図形と文字からなるのに対して、引用商標は文字のみからなることから、構成全体の外観は相違するものの、それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る本件商標の「ひらけごま」の文字部分と、引用商標の「ひらけごま」の文字部分とは、その構成文字を同じくするものであるから、外観上、これに接する取引者、需要者に近似した印象を与えるものである。
そして、両商標は、上記(1)及び(2)のとおり、「ひらけごま」の文字部分から「ヒラケゴマ」の称呼及び「アラビアの説話『アリババと40人の盗賊』で窃盗団の宝をかくした洞窟の扉を開ける呪文」の観念を共通とするものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、「ひらけごま」の文字部分において、外観において近似し、称呼及び観念を共通とする類似の商標というべきである。
(4)本件商標の請求に係る指定商品と引用商標の指定商品の類否について
本件商標の請求に係る指定商品中の「ごまを使用した穀物の加工品」は、引用商標1の指定商品中の「胡麻を主原料とする穀物の加工品」と、本件商標の請求に係る指定商品中の「ごま入りの調味料,ごま塩,すりごま,いりごま,ねりごま」は、引用商標2の指定商品中の「ごま塩,焦胡麻,味付胡麻,摺胡麻,味付摺胡麻,剥き胡麻,煎り剥き胡麻」と、また、本件商標の請求に係る指定商品中の「ごま入りの調味料」は、引用商標3の指定商品中の「ごま入りの調味料」とそれぞれ同一又は類似する商品であること明らかである。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、引用商標に類似する商標であり、かつ、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品に使用されるものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
なお、請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第15号にも該当すると主張しているが、同号は、かっこ書きにより「第10号から前号までに掲げるものを除く。」とあるから、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する以上、同項第15号には、該当しない。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、第30類「ごま入りの調味料,ごま塩,すりごま,いりごま,ねりごま,ごまを使用した穀物の加工品」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標


(色彩については原本を参照。)

審理終結日 2016-01-27 
結審通知日 2016-02-01 
審決日 2016-02-25 
出願番号 商願2012-92484(T2012-92484) 
審決分類 T 1 12・ 263- Z (W30)
T 1 12・ 262- Z (W30)
T 1 12・ 261- Z (W30)
最終処分 成立 
前審関与審査官 北口 雄基齋藤 貴博 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 平澤 芳行
田中 亨子
登録日 2013-07-26 
登録番号 商標登録第5602955号(T5602955) 
商標の称呼 サクラサケヒラケゴマ、サクラサケ、ヒラケゴマ、ヒラケ 
代理人 保崎 明弘 
代理人 水野 勝文 
代理人 和田 光子 
代理人 特許業務法人明成国際特許事務所 
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