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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X09
管理番号 1320339 
審判番号 取消2014-300618 
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-08-13 
確定日 2016-09-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第5411194号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5411194号商標(以下「本件商標」という。)は、「クリーンマスター」の片仮名を標準文字で表してなり、第7類、第9類、第11類及び第12類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、平成22年5月12日に登録出願、同23年5月13日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成26年9月1日である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標について、その指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品」についての登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を答弁に対する弁駁及び口頭審理陳述要領書において要旨次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品」について、継続して3年以上日本国内において使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定によって取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人の主張する商標の使用の事実は「使用」に当たらないこと
ア 商標の保護を維持するために「真正な使用」が必要であること
商標を使用した商品やサービスに関する実際の取引を伴わない、名目的に商標を使用するかのような外観を呈する行為が「真正な使用」に当たらないことは明白である。単なる名目的な使用によって登録商標の保護維持を求めることは、商標法を潜脱するものと言わざるを得ず、名目的な使用しかなされていない登録商標もまた、不使用取消審判により、取消の対象となるべきものである。
イ 本件不使用取消審判が請求されるまでの経緯
請求人は、平成25年10月10日、被請求人に対して、第9類の指定商品「電子応用機械器具及びその部品」について、本件商標にかかる商標権の一部を譲渡してほしいこと、一部譲渡が困難である場合には請求人が出願している「クリンマスター」または「CLEAN MASTER」の文字から成る商標(商願2013-043203及び商願2013-043204)の登録に協力してほしいことを述べたうえ、「本書状にかかわらず、譲渡に応じて頂けない場合には、誠に不本意でありますが、商標法50条に基づく不使用取消審判を請求させて頂く場合がございますことを予め申し添えます。」と記載した書面(以下「本件書面」という。甲3)を発送し、翌11日に被請求人に配達された(甲4)。
上記の申し出に対して、被請求人は、同月24日付の書面において、一部譲渡も協力も行わない旨の回答を行った(甲5)。
その後も請求人は、その関連会社であるキングソフト株式会社を通じて被請求人との交渉を続けたが、平成26年8月に至り、交渉成立の見込みがないことが判明した。
これを受けて、請求人は、同年8月13日付の審判請求書により、本件商標の指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品」に係る登録の取消しを求めるべく、本件不使用取消審判を請求した。
(2)本件ホームページにおける本件商標の使用は「使用」に当たらない
ア 本件ホームページの改訂は取消審決を免れる目的でなされたものであること
(ア)本件ホームページの改訂が本件書面の到達後になされていること
本件商標が登録された平成23年5月13日から2年半以上、商標権者のホームページには「クリーンマスター[R]」([R]は、○内に「R」の文字が記載されている。以下同じ。)の文字が一切表示されていなかったところ、商標権者は、平成25年10月11日に本件書面を受領した後、平成25年12月25日になって初めて、上記のとおり、「各種制御基板」の写真と共に「クリーンマスター[R]」が表示されるようにホームページを改訂したのである。
上記事実によれば、被請求人は、平成25年10月11日、本件書面により、請求人が、本件商標の一部譲渡を受けるか、自身の商標の登録に対する協力を得たいとの意向をもち、その意向が叶えられないことは本件商標について不使用取消審判を請求する意思があることを知らされたが、現実に本件商標はそれまでに使用されていなかったため、放置すれば、不使用取消の審決を受ける危険性が高かったことから、その審決を免れるため、急きよ、平成25年12月25日、本件ホームページを改訂するに至ったと推認することができる。
(イ)「クリーンマスター[R]」を「各種制御基板」に表示することについて
本件ホームページの記載によれば、本件商標は、「各種制御基板」のみならず、「樹脂回転ロータと起毛布ブラシを使用したパワーブラシ」、「クリーナー用床ブラシ」、「クリーナー用フィルター」、「エアコン用自動お掃除機構」及び「光学プロジェクター用自動お掃除機構」を表示するものとして使用されている。異なる複数の種類の商品群に一つの商標が共通に使用されること自体、さほど珍しいことではないが、そのようにして単一の商標が共通して使用される商品群は、当該商標が有する観念を共有しているのが通常である。
この点、本件商標は、「クリーン」と「マスター」とを組み合わせた造語であるところ、「クリーン」は動詞として「?を掃除する」、「?を清潔にする」等の意味を有し、「マスター」は動詞として「[技能などを]習得する」、「極める」等の意味を有すること、及び、本件ホームページの記載によると、本件商標は「独自の技術によりブラシを中心として展開される応用商品に使用」されていることを考慮すると、本件商標からは、「掃除技術を極めたもの」程度の観念が生じる。実際、本件商標が使用されている上記の「樹脂回転ロータと起毛布ブラシを使用したパワーブラシ」、「クリーナー用床ブラシ」、「クリーナー用フィルター」、「エアコン用自動お掃除機構」及び「光学プロジェクター用自動お掃除機構」はいずれも、そのような観念と親和する。これに対して、「各種制御基板」は、それ自体、外観的にも機能的にも「掃除すること」と直接関連しないものであり、「掃除技術を極めたもの」という観念とおよそ結びつかない商品である。また、被請求人のようにブラシを本業とする会社が、各種制御基板を単体で取引することは通常考えられず、これらのホームページへの掲載は、単に、不使用取消を免れるためになされたものであり、実際にこれらの商品が取引されている事実はないと断ぜざるを得ない。
なお、「クリーンマスター[R]」が表示されている上記の商品群の中で、本件取消審判の対象となっている指定商品、第9類「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる商品は、「各種制御基板」のみである。また、上記2のとおり、商標権者は、請求人との譲渡交渉を通じて、請求人が登録させることを望んでいる商標の指定商品が何であるかを認識することができたため、請求人が本件商標に対して不使用取消審判を請求した場合に第9類の指定商品「電子応用機械器具及びその部品」を取消の対象とすることについて、予測することが十分可能であった。
(ウ)以上を考慮すると、商標権者が、本件ホームページにおいて、「クリーンマスター[R]」を「各種制御基板」に表示させた目的は、不使用取消の審決を免れるためであり、取消の対象となる指定商品に含まれる唯一の商標権者の販売商品である「各種制御基板」に、「クリーンマスター[R]」を表示する必要があったからであると推認することができる。
イ 小括
以上のとおり、本件ホームページにおいて、「各種制御基板」に「クリーンマスター[R]」を表示する行為は、単に、不使用取消の審判を免れる目的で名目的に商標を使用するかのような外観を呈する行為にすぎない。かかる行為は、商標法第2条第3項第8号にいう商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為には該当しない。
(3)本件パンフレットにおける本件商標の使用は「使用」に当たらない
ア 本件パンフレットの改訂は取消審決を免れる目的でなされたものであること
本件商標が登録された平成23年5月13日から2年半以上、商標権者のパンフレットでは「各種制御基板」について「クリーンマスター[R]」が表示されていなかったところ、商標権者は、平成25年10月11日に本件書面を受領した後、平成26年1月になって初めて、上記のとおり、「各種制御基板」の写真と共に「クリーンマスター[R]」が表示されるようにパンフレットを改訂したのである。
上記事実によれば、上記(2)ア(ア)と同様の理由から、商標権者は、取消審決を免れるため、急きょ、平成26年1月頃、本件パンフレットを改訂するに至ったと推認することができる。
また、商標権者が、本件パンフレットにおいて、「クリーンマスター[R]」を「各種制御基板」に表示させた目的は、不使用取消の審決を免れるためであり、取消の対象となる指定商品に含まれる唯一の商標権者の販売商品である「各種制御基板」に、「クリーンマスター[R]」を表示する必要があったからであると推認される。
イ 本件パンフレットが頒布された事実を認定することができないこと
(ア)乙第8号証に記載の「H26」の記入箇所が不自然であること
第一に、乙第8号証の3枚目の左半分の頁では、「2/19」と「2/20」の間に1本の横線が引かれ、日付を記入する最左欄に、当該横線の上側に「H26」、下側に「新」と記載されている。この点、通常、「H26」等の年数を表示するのであれば、その年の最初に持出の記録が記入された日付の横か、あるいは、頁の最初に記入される日付の横に記入するものと解されるところ、そのいずれでもない上記の箇所に、「H26」が記入されているのはいかにも不自然である。
上記(3)アで述べたとおり、本件パンフレットの改訂の目的が、不使用取消の審決を免れるためであることを考慮すれば、実際に不使用取消審判が請求された場合に、本件商標の使用事実を立証するため、本件パンフレットを配布した事実を容易に立証することができるように、あえて、上記箇所に「H26」と記入したものと推認される。
したがって、「H26」の表示が、真に、当該表示がされている頁以降に記入されている記録が平成26年中に記入されたものであることを示すものと認めることはできない。それ故、乙第8号証の記載に基づいて、平成26年2月20日以降に本件パンフレットが配布された事実を認めることはできない。
(イ)乙第8号証は「会社案内持出控帳」の一部しか示していないこと
第二に、乙第8号証は、「会社案内持出控帳」の一部とされており、その2枚目の右頁は、平成20年7月9日の記録に始まり同年9月5日の記録で終わっているが、3枚目の左頁の最初の記録は「2月5日」で始まっている。
この点、仮に「H26」の表示が、実際に、当該表示がされている頁以降に記入されている記録が平成26年中に記入されたものであることを示すとすれば、平成20年9月5日の記録の次に平成26年2月5日の記録が記入されていることになる。そうでなければ、乙第8号証の2枚目と3枚目の間には本来、何頁か存在するが、それらの頁は除かれていることが推認される。
前者の場合、上記と同様、不使用取消の審決を免れるため、実際に不使用取消審判が請求された場合に、本件商標の使用事実を立証するため、本件パンフレットを配布した事実を容易に立証することができるように、平成26年2月5日になって急きょ、本件パンフレットの持出にかかる記録を付け始めたものと推認される。したがって、平成26年2月5日以降の記録が、真に、改訂前ないし改訂後の本件パンフレットを持ち出した事実を示すものと認めることはできない。それ故、乙第8号証の記載に基づいて、平成26年2月20日以降に本件パンフレットが配布された事実を認めることはできない。
他方、後者の場合であれば、特段、これを妨げる事情がない限り、平成20年9月5日から平成26年2月5日までの期間に記入された記録を通しで提出すべきである。
(ウ)小括
以上のとおり、乙第8号証の記載に基づいて、平成26年2月20日以降、本件パンフレットが配布された事実を認めることはできない。また、仮に、乙第8号証に基づいて、本件パンフレットが頒布された事実が認められるとしても、本件パンフレットにおいて「各種制御基板」に「クリーンマスター[R]」を表示し、本件パンフレットを配布する行為は、単に、不使用取消の審判を免れる目的で名目的に商標を使用するかのような外観を策定する行為にすぎない。いずれにしても、乙第5号証ないし乙第8号証に基づいて、商標法第2条第3項第8号にいう商品に関する広告に標章を付して頒布する行為があったことは認められず、したがって、本件商標が使用された事実を認めることはできない。
(4)本件商標を使用した「電子回路及びその部品」に属する商品が販売された事実を認定することができないこと
ア 制御基板は「電子回路及びその部品」に当たらない
(ア)乙第9号証に記載の製品は「電子回路及びその部品」に当たらない
請求人は、乙第9号証に記載の「制御基板」は、単体で販売されている汎用製品である、と主張する。
しかし、乙第9号証の中央上部には、「部品コード Part Code」との記載があり、その下には「PAD100ブラシ」との記載がある。また、右下のテーブル内には「ブラシ基板組立 ASY-PWB-BRUSH」との記載があり、その他の箇所にも「ブラシ基板」という言葉が複数みられる。これらの記載によれば、乙第9号証に記載されている「制御基板」は、電機ブラシの部品として用いられる制御基板であることが強く推認される。他方、乙第9号証において、そこに記載されている「制御基板」が単体で販売されている汎用製品であることを根拠づける記載は一つもない。
したがって、乙第9号証の記載によれば、そこに記載されている「制御基板」は、電機ブラシの部品であることが推認されるので、「電子回路及びその部品」には当たらないというべきである。
(イ)「制御基板」が汎用製品として販売されている事実は認められない
被請求人の業務内容から検討を加えても、被請求人が「制御基板」が汎用製品として販売されているとは考え難い。
すなわち、本件パンフレットには、代表取締役社長のメッセージと共に、「クリーナー用回転ロータ」、「クリーナー用床ブラシユニット」、「クリーナー用ダストカップ/フィルター」、「空気調和機用自動お掃除機構」、「プロジェクター用自動お掃除機構」にかかる製品の写真が掲載され、最後に「各種制御基板」にかかる製品が掲載されている。
本件パンフレットの記載によると、被請求人は、ブラシ技術を最大の強みとし、当該技術を応用して製品を展開しているといえる。そして、制御基板を製造しているとされる「生活家電クリーン事業部」では、「『クリーナー用床ブラシ』をはじめとして、『エアコン用自動清掃ブラシ』など、『あらゆる家電用ブラシ』の製造、販売を行」いつつ、「ブラシユニットや自動お掃除機構の構想から設計、金型製作、評価試験、品質保証まで」サービスを提供しているといえる。
このように、ブラシ製品を中核として事業を展開している被請求人が、ブラシの部品としてではなく、汎用製品として、制御基板を製造、販売しているとは、およそ考え難い。実際、本件パンフレットにおいて、制御基板が汎用製品として販売されている事実を示唆する記載はどこにも見当たらない。
(ウ)小括
以上のとおり、乙第9号証の記載からも、本件パンフレットの記載及びそこで紹介されている被請求人の事業内容からも、被請求人が販売していると主張する「制御基板」が、汎用製品として単体として販売されている事実は認められない。したがって、被請求人の主張する「制御基板」は、「電子回路及びその部品」には当たらない。
(5)乙第10号証に基づいて取引書類に本件商標を付して頒布された事実を認定することはできないこと
ア 「クリーンマスター[R]」が手書きされていること
乙第10号証にかかる受入/検収票及び検査票(以下「本件受入/検収票等」という)は、商標権者である被請求人が作成し、乙第9号証に記載される制御基板製品の納品時に、東芝ホームアプライアンスに提供されたものとされている。
本件受入/検収票等には、「受取数量」、「合格数量」及び「検収数量」の項目欄に、手書きで「100」と数字がそれぞれ記載されているが、これらの数字以外で手書きされている文字ないし数字は、「クリーンマスター[R]」の文字のみであり、それ以外の文字や数字はすべてタイプされている。
イ 「クリーンマスター[R]」が手書きされた時期について
本件受入/検収票等に「クリーンマスター[R]」の文字が手書きされている事実は極めて不自然である。
加えて、「品名略号」とは「品名」の「略号」を指し、「略号」とは「簡略に表すために定めた記号」を意味する(広辞苑第五版)。このような意味に照らすと、そもそも、「品名略号」の欄に「クリーンマスター[R]」という文字が記入されること自体、不可解があり、「品名略号」の欄に既にタイプされている「ASY-PWB-BRUSH」との表示に加えて、「クリーンマスター[R]」が手書きされることも不合理である。
また、迅速性が尊ばれる業者間の取引に用いられる書類の記載事項において、あえて「[R]」を付することも違和感がある。
以上の検討からすると、通常の取引上の必要性及び合理性の観点から、本件受入/検収票等が作成された時点、あるいは、これらが取引先の東芝ホームアプライアンスに提供された時点において、本件受入/検収票等に「クリーンマスター[R]」が手書きされていたとは到底考えられない。逆に言えば、本件受入/検収票等が東芝ホームアプライアンスに提供された時点では、「クリーンマスター[R]」が手書きされていなかったことが強く推認される。
ウ 取引された商品の数量が「100」と記載されている点について
なお、乙第10号証に示される機種名「VC-C12(R)」は、東芝の「TORNEO(トルネオ)」というブランド名の掃除機のシリーズ商品に属する商品の名前であり(甲6)、このような量産品に用いられる部品の数量が「100」という極少ない数量であることも極めて不自然である。この点からも乙第9号証及び乙第10号証は大いに疑わしいといわざるを得ない。
エ 小括
以上のとおり、乙第10号証にかかる本件受入/検収票等に「クリーンマスター[R]」が手書きされている事実に基づいて、商標権者が、本件受入/検収票等に「クリーンマスター[R]」を付して東芝ホームアプライアンスに頒布した事実を認定することはできない。それ故、乙第9号証及び乙第10号証に基づいて、商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する」行為に該当する行為があったと認めることはできない。
(6)まとめ
以上のとおり、被請求人の主張する制御基板が、汎用製品として単体として販売されている事実は認められないので、当該「制御基板」は、「電子回路及びその部品」には当たらない。このため、仮に、販売の事実が認められたとしても、「電子回路及びその部品」に含まれる商品が販売された事実は認められない。また、乙第10号証に基づいて、商標権者が、本件受入/検収票等に「クリーンマスター[R]」を付して頒布した事実を認定することはできない。このため、仮に、何らかの販売の事実が認められたとしても、当該事実は、商標の使用を基礎づけるものではない。いずれにしても、乙第9号証及び乙第10号証に基づいて、本件商標が「電子回路及びその部品」について使用された事実を認めることはできない。
(7)結論
以上のとおり、被請求人は、本件商標が、第9類「電子応用機械器具及びその部品」について使用されていた事実を立証していない。
したがって、本審判請求に係る指定商品についての本件商標の登録は、速やかに取り消されるべきである。
3 口頭審理陳述要領書における主張
(1)被請求人の口頭審理陳述要領書に対する意見
ア 被請求人は、被請求人の平成27年4月21日付口頭審理陳述要領書において、本件商標について登録から3年以内に使用を裏付ける証拠を提出し「真正な使用」があったこと、商標法50条2項ただし書の「正当な理由」があること、請求人の不使用取消審判の請求が権利濫用であることを主張し、その証拠として、新たに乙第11号証ないし乙第14号証を提出した。
しかしながら、請求人の平成26年12月10日付弁駁書において指摘したとおり、被請求人が提出した乙号証における商標を使用するかのような外観を呈する行為は名目的な使用に過ぎず、「真正な使用」に該当しない。このことは、被請求人が今回新たに提出した乙号証を併せて考慮したとしても同様である。したがって、被請求人が提出した乙号証からは、商標法第2条第3項第1号及び同項第2号はもとより、同項第8号にいう商標の「使用」があった事実をも認めることはできない。
イ 上記に加え、被請求人は乙第14号証により、各種制御基板の意味が単体で取引される電子回路も含まれると主張するが、請求人は各種制御基板の言葉の意味を争っているのではなく、被請求人が本件商標を表示している「各種制御基板」に商標が使用されていないとの事実を主張しているに過ぎない。
すなわち、請求人は、乙第9号証に記載されている「制御基板」が電機ブラシの部品にすぎないと主張したが、被請求人はこれに対して、部品であることを事実上認め、単独で汎用製品たる商品として存在するという反論を何ら行っていない。
被請求人は、本件ホームページ又は本件パンフレットに表示する「各種制御基板」が実際に具体的な商品として存在し、取引をした事実を証明すべきであり、乙号証からは当該事実を立証するには不十分であると考える。
以上のとおり、乙号証からは、本件商標が「真正に使用」された事実をそもそも読み取ることができないから、被請求人は依然その立証責任を果たしておらず、本件商標登録が取消しを免れないことは明らかである。
(2)被請求人の主張する不使用についての明らかな理由が「正当な理由」に該当しないこと
被請求人は、本件商標を使用しないことについて、商標法第50条第2項ただし書の定める「正当な理由」があることを主張する。しかしながら、被請求人が提出した乙号証からは、上記「正当な理由」が存在した事実を認めることはできない。
商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」とは、「地震等の不可抗力によって生じた事由、第三者の故意又は過失によって生じた事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由その他の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の責めに帰することができない事由が発生したために、商標権者等において、登録商標をその指定商品又は指定役務について使用することができなかった場合をいうと解するのが相当である」(知財高判平成22年12月15日判時2108号127頁)とされている。
このことから、同項ただし書における「正当な理由」とは、不可抗力等による事由すなわち使用権者が使用したくても使用できなかったという客観的事由が該当すると考えられる。
他方、被請求人は、本件商標を使用しようと思えばできたのである。これは不可抗力ではなく、被請求人の任意の意思で使用するか否かを決めることができたのである。
そのため、乙第12号証及び乙第13号証によって立証される事実は、商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」には該当しないことは明らかである。
以上のとおり、「正当な理由」がある不使用とは到底いえないため、被請求人の主張は成立しえない。また、請求人による不使用取消審判の請求自体、権利の濫用ではない。
(3)結論
以上(1)及び(2)のとおり、被請求人が新たに提出した証拠によっても、被請求人が本件商標を登録後3年以内に使用した事実は、依然として立証されていない。
したがって、本件商標登録は、速やかに取り消されるべきである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書及び口頭審理陳述要領書において、その理由を要旨次のように述べ、乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。
1 商標権者の使用
商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標を、「第9類 電子応用機械器具及びその部品」について使用している。
2「第9類 電子応用機械器具及びその部品」の範囲
「電子回路及びその部品」は、「第9類 電子応用機械器具及びその部品」の範囲に含まれる商品であることは明らかである。
よって、以下に、商標権者が、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標を、「電子回路及びその部品」について使用している事実を立証する。
3 ホームページにおける本件商標の使用事実
乙第3号証は、商標権者のホームページに表示されている内容の一部を印刷したものであり、3頁目には、「各種制御基板」の文字及び写真が掲載されていると共に、該写真の左下には、本件商標の表示がされている。
ここに掲載されている「各種制御基板」は、単体で販売するために掲載されている商品であり、「電子回路及びその部品」に該当するものである。
乙第4号証は、商標権者が、上記ホームページの改定を依頼した業者からの請求書である。この請求書に示すように、平成25年12月25日に、ホームページが改定され、本件商標の表示がされた「各種制御基板」の上記写真は、同日以降、商標権者のホームページにおいて閲覧可能となっていることは明らかである。
4 パンフレットの配布による本件商標の使用事実
乙第5号証は、商標権者の会社説明及び販売商品を印刷したパンフレットであり、4頁目には、「各種制御基板」の文字及び写真が掲載されていると共に、該写真の左下には、本件商標の表示がされている。ここに掲載されている「各種制御基板」は、単体で販売するために掲載されている商品であり、「電子回路及びその部品」に該当するものである。
乙第6号証は、商標権者が、上記パンフレットの改定を依頼した業者からの2014年1月27日付けのEメールと同Eメールに添付されていた添付ファイルの内容を印刷したものである。また、乙第7号証は、商標権者が上記パンフレットの改定を依頼した業者からの請求書である。この請求書に示すように、平成26年2月10日に、乙第5号証のパンフレットが、商標権者に1,000部納品されている。
乙第8号証は、被請求人会社の総務部に設置されたノート「会社案内持出控帳」の一部を抜粋した写しである。これにより、乙第5号証のパンフレットが実際に配布されている事実を立証する。乙第8号証のノートの左欄から、乙第5号証のパンフレットを持ち出した日付、持ち出した部数、持ち出した本人の所属部門、持ち出した本人の署名、配布目的の順で記載されている。
これにより、乙第5号証のパンフレットは、平成26年2月20日以降、実際に配布されていることは明らかである。
5 販売による本件商標の使用事実
乙第9号証は、被請求人が、東芝ホームアプライアンス株式会社(東芝ホームアプライアンス株式会社は、平成26年4月1日より東芝ライフスタイル株式会社に社名が変更されている。)に販売した制御基板製品の設計図面である。
乙第9号証の制御基板は、モーターへの通電のONとOFFを行う機能と、モーターの回転軸に基準値以上のトルクが付加された場合に、自動的に回転を停止させる機能とを備えた汎用製品であり、単体で東芝ホームアプライアンス株式会社に販売されている。この乙第9号証の設計図面には、右下に、品名コード「5AA14741」が記載されている。
乙第10号証は、東芝ホームアプライアンス株式会社に販売された乙第9号証の制御基板製品の検収票及び検査票の写しである。
乙第10号証の検収票及び検査票は、商標権者である被請求人が発行して乙第9号証の制御基板製品の納品時に東芝ホームアプライアンス株式会社に渡されたものであり、東芝ホームアプライアンス株式会社に保管されているものであるが、本件審判が請求された事情を説明し、特別に写しを頂いたものである。
乙第10号証の検収票及び検査票の品名コードの欄には、「5AA14741000」の文字が記載されている。また、品名略号の欄には、手書きで本件商標の文字が記載されている。さらに、納入数量の欄には、「100.0」の文字が記載されている。
ここで、商標法第2条第3項第8号には、「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する」行為は、標章の使用に該当する旨、規定されている。
したがって、乙第9号証及び乙第10号証より、本件商標を使用した制御基板製品100個が、商標権者から東芝ホームアプライアンス株式会社へ平成26年4月1日に販売されたことは明らかである。
6 結論
以上のとおり、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件登録商標を、「第9類 電子応用機械器具及びその部品」について使用しており、請求人の主張に理由がないことは明らかである。
7 口頭審理陳述要領書における主張
(1)請求人の提出した弁駁書について
ア 請求人は、弁駁書において、被請求人の登録商標の使用は「真正な使用」でない旨を主張しているので反論する。先ず、本件商標の登録日は平成23年5月13日であるから、平成26年5月13日までに本件商標の使用を開始していなければならないことは承知している。被請求人が提出した証拠は、商標登録の日から3年未満の使用を裏付けるものである。商標登録の日から3年未満であれば、使用を開始する日は商標権者が自由に決めることができるはずであり、そもそも、商標登録の日から3年未満に商標法第50条第1項に規定する不使用取消審判を請求することはできない。即ち、甲第3号証に示す平成25年10月10日付けの請求人からの手紙の内容によって、何らかの効力を発生させることはできない。したがって、被請求人の登録商標の使用は「真正な使用」に該当する。尚、請求人側から商標法第50条第1項に規定する不使用取消審判を請求する旨の正式な通知があったのは、請求人の親会社であるキングソフト株式会社の社員であり、請求人の代理人であるA氏の平成26年8月8日付のEメールである(乙11)。
イ また、請求人は、被請求人のホームページにおいて、「各種制御基板」の写真と共に、「クリーンマスター[R]」を表示する行為は、単に、不使用取消審判を免れる目的で名目的に商標を使用するかのような外観を呈する行為にすぎないと主張しているが、上記行為は、商標法第2条第3項第8号に規定する「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するものであり、登録商標の「真正な使用」に該当する。
ウ さらに、請求人は、被請求人のパンフレットにおいて、「各種制御基板」の写真と共に、「クリーンマスター[R]」を表示すると共に、該パンフレットを頒布する行為は、単に、不使用取消審判を免れる目的で名目的に商標を使用するかのような外観を呈する行為にすぎないと主張しているが、上記行為は、商標法第2条第3項第8号に規定する「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布する行為」に該当するものであり、登録商標の「真正な使用」に該当する。
エ なお、請求人が主張する乙第8号証「会社案内持出控帳」に関する疑義は、口頭審理において原本をみられることによって解消されるものと考えている。この「会社案内持出控帳」は、甲第3号証に示す平成25年10月10日付けの請求人からの手紙よりもずっと前から記入されているものであり、不使用取消審判の証拠作りの一環として作られたものではない。
(2)被請求人の登録商標の不使用についての明らかな理由
ア 商標法第50条第2項ただし書には、その指定商品または指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、取消を免れる旨規定している。本件は、まさに、同規定の適用を受けることができる事案であることを以下に説明する。
イ 甲第5号証の被請求人代理人の平成25年10月24日の手紙において言及しているとおり、請求人は、日本国内において、本件商標権を侵害する商標の使用を行っている。この使用行為によって、指定商品「電子計算機用プログラム」について被請求人が登録商標を使用することができなくなった理由を以下に説明する。
ウ 乙第12号証は、請求人の親会社であるキングソフト株式会社のホームページに記載の内容を平成26年4月3日に印刷したものである。また、乙第13号証は、請求人の親会社であるキングソフト株式会社の社員であり、請求人の代理人であるA氏が、披請求人を訪問した平成26年4月4日の交渉の内容を記載した議事録の写しである。乙第12号証から明らかなことは、請求人が提供するスマートフォン用アプリケーション「Clean Master/クリーンンマスター」の商標名でダウンロードされている商品は、全世界で1億ダウンロードを突破している商品であり、世界50カ国でカテゴリNo.1の商品であるということである。また、乙第13号証から明らかなことは、請求人が提供するスマートフォン用アプリケーション「Clean Master/クリーンマスター」の商標名でダウンロードされている商品は、平成25年の秋頃から、日本国内において、ダウンロードという形態で提供が開始され、A氏が来社した平成26年4月4日時点で、日本国内におけるダウンロード数は1,000万件を突破していたという事実である。
エ 言い換えれば、日本国内においてダウンロードが開始された日は、本件登録商標の登録日以降であって、日本国内におけるダウンロード数が1,000万件を突破した日は、本件登録商標の登録日から3年未満であるという事実である。
これは請求人が「悪意の周知商標主」であることを意味するに他ならない。すなわち、請求人は、本件登録商標が存在し、商標が同一又は類似であって、指定商品が同一又は類似であるという事実と、登録日から3年未満であるという事実を知りながら、短期間で、自らの商標を周知商標としたのである。この行為は、商標権者である被請求人が指定商品「電子計算機用プログラム」について登録商標を使用することを事実上不可能とする行為に他ならない。
オ 何故ならば、被請求人が「電子計算機用プログラム」について登録商標の使用を開始することによって、請求人の悪意の周知商標との間で出所の混同が生じ、需要者が被害を受けることは明らかだからである。我が国商標制度の趣旨に鑑みれば、例え正当な商標権者であったとしても、出所の混同が生じ、需要者が被害を受けることが明らかな場合には、使用を開始することは許されないと考える。また、請求人以外の他人に使用権を許諾することによって登録商標の使用を開始することも同様の事態を生じさせるものである。上記状況から、被請求人は、需要者が被害を受けることがないように配慮したのであり、その結果として、選択肢が他に無いことから、請求人との間でのみ使用許諾交渉を開始するに至ったのである。すなわち、請求人に通常使用権又は専用使用権を許諾することによって、登録商標の有効利用を図ると共に、登録日から3年以内に登録商標の使用を開始するという目的を果たそうと考えたのである。
カ にもかかわらず、請求人は、登録日から3年を経過した途端に交渉を打ち切り、不使用取消審判を請求するという暴挙に出たのである。これは明らかに権利の濫用であり、民法第1条第3項によって、請求人の不使用取消審判の請求は、棄却されなければならない。そうでなければ、登録日から3年未満の間であっても使用開始日を商標権者が自由に決めることができなくなり、我が国の商標登録制度を否定することにつながるものと考える。
キ 請求人が先ず行わなければならない事は、本件商標権を侵害すると共に、周知商標としてしまったことに関しての被請求人に対する謝罪であり、不使用取消審判を請求することではない。また、請求人には原状回復義務があるものと考える。すなわち、請求人の悪意の周知商標が日本国内において周知となる前の状態に戻し、被請求人が、出所の混同を生じさせること無く、登録商標を自由に使用できる状態に戻すことである。具体的には、請求人の悪意の周知商標の使用を直ちに中止し、謝罪広告を出して需要者に知らしめる必要がある。これによって、被請求人が直ちに登録商標の使用を開始できる訳では無い。悪意の周知商標の使用を中止した後、1年間は信用が残存していると考えられ、その間の登録商標の使用によっても需要者に出所の混同を生じさせるからである。請求人が不使用取消審判を請求することができるのは、更にその後の話であると考える。
(3)「各種制御基板」の意味する範囲
ア 乙第14号証は、インターネット上で制御基板の通信販売を行っているサイトの画面を印刷したものである。乙第14号証に示すように、ロボットを制御する基板、ラジコンヘリを制御する基板、温度を制御する基板等、様々な制御基板が存在するものであり、被請求人のホームページ及びパンフレットにおける各種制御基板の文字は、これらの製品を扱うことができますよという意思表示をしていると捉えることができる。したがって、各種制御基板の意味する範囲には、単体で独立して取引される電子回路も含まれると解することができ、指定商品「電子回路及びその部品」に属する商品も含まれると解することができる。仮に、乙第9号証に示す制御基板が電気掃除機用の部品であったとしても、それは一例に過ぎず、ホームページ及びパンフレットに記載の「各種制御基板」の範囲を限定することにはならないと考える。
イ すなわち、被請求人のホームページ又はパンフレットにおいて、「クリーンマスター[R]」の登録商標が記載された「各種制御基板」の写真及び文字を見た需要者が、被請求人に所望の電子回路の製造を依頼し、被請求人が需要者に所望の電子回路を納品することによって、取引が成立するわけであるが、実際に電子回路の取引が成立した事実を立証しなければ、商標法第2条第3項第8号に規定する「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当しないと判断することはできないと考える。需要者がホームページを閲覧でき、需要者にパンフレットが配布されている事実を示せば十分であると考える。
ウ そして、乙第8号証の「会社案内持出控帳」によれば、「クリーンマスター[R]」の登録商標が記載された「各種制御基板」の写真及び文字が記載された乙第5号証のパンフレットは、平成26年2月20日から平成26年8月8日までに合計713部配布されており、これにより、本件登録商標は指定商品「電子回路及びその部品」に使用されていることが立証されたものと考える。
(4)まとめ
以上述べてきたとおり、請求人は、悪意の周知商標主である。そして被請求人に対して自らが行った行為を何ら謝罪することなく、本件不使用取消審判を請求し、本件商標をなきものにしようと試みたのである。この行為は、民法第1条第3項に規定する権利の濫用に該当する行為であるから、本件不使用取消審判の請求は当然棄却されなければならない。
また、被請求人が登録商標を指定商品「電子計算機用プログラム」に使用することができなかった明らかな理由があり、商標法第50条第2項ただし書きの規定の適用を受けることができるものと考える。
また、被請求人は、被請求人の閲覧可能なホームページの提供及びパンフレットの配布という形態で、指定商品「電子回路及びその部品」についての登録商標の使用をしており、本件不使用取消審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び証拠方法によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第5号証は、パンフレットであるところ、2頁には会社の説明、3頁以降に商品の説明及び写真等が掲載されている。そのうち、4頁目に「各種制御基盤」として商品の写真が掲載され、「クリーンマスター[R]」の記載がある。また、裏表紙には、「株式会社コーワ」、「愛知県あま市西今宿平割?22番地」及び「2014.2」の記載がある。そして、パンフレット中には、4頁に2カ所訂正シールが貼られている。
(2)乙第7号証は、パンフレットを改訂した業者からの請求書であるところ、左上に「株式会社コーワ 御中」の記載、右上に「14/2/28」、「decopawer」、「デコパワー」等の記載、中段に「日付」として「14/2/10」、「品名」として「会社案内パンフレット改訂」、品名の内訳として、「印刷」、「数量」として「1,000」の記載、同じく中段に「日付」として「14/2/18」、「品名」として「訂正シール」、「数量」として「2,000」の記載があり、そのほか請求金額、振込先などの記載がある。
(3)乙第8号証は、「会社案内持出控帳」であるところ、記載内容は、「月日」、「部数」、「部所」、「持出者」及び「持出先」の5項目である。
そして、「月日」の欄に「2/20」と記載されている左横には、円で囲まれた「新」の文字及びその上に「H26]の文字の記載がある。また、「月日」の欄に「2/20」と記載されている行には、「部数」、「部所」、持出者」及び「持出先」の項目にそれぞれ順に「3」、「〃」(すぐ上の欄には「産業」と記載されている)、「広瀬」及び「営業用」の記載がある。さらに、例えば、「月日」の欄に「2/28」と記載されている行には、それぞれの項目に順に「1」、「生活」、「木野」及び「来客用」の記載があり、「月日」の欄に「9/22」と記載されている行までこれらと同様の記載がある。「月/日」が「2/20」から「8/29」までの記載はのべ123回である。
2 判断
(1)本件商標と使用について
本件商標は、上記第1のとおり、「クリーンマスター」の片仮名からなるものである。
また、使用商標は、上記1(1)のとおり「クリーンマスター[R]」の表示からなるものであるが、「[R]」は一般に登録商標を表す表示であることから、「クリーンマスター」の片仮名部分が自他商品の識別標識といえる。
そうすると、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(2)商標の使用行為について
上記1(1)ないし(3)によれば、商標権者の取扱商品を印刷したパンフレットの改訂版が2014年2月10日に1,000部納品され、訂正シールが2014年2月18日に2,000枚納品されたこと、そのパンフレットには、取扱商品として「クリーンマスター」の片仮名からなる商標とともに取扱商品として「各種制御基盤」の文字と写真が掲載されていること、また、そのパンフレットを平成26年2月20日以降同年9月22日までの間に、営業用又は来客用などとして、継続してのべ123回持ち出したことが認められる。
そうすると、パンフレット(乙5)は、本件審判の請求の登録前3年以内に頒布されたことが十分推認できる。
また、「制御基盤」は、「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに含まれるものである。
してみれば、商標権者は、「制御基盤」に係るパンフレットにおいて、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたといえ、そのパンフレットは本件審判の請求の登録前3年以内に頒布されたといえるから、その使用は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当するものである。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者がその請求に係る指定商品について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2015-09-03 
出願番号 商願2010-36706(T2010-36706) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X09)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 原田 信彦
土井 敬子
登録日 2011-05-13 
登録番号 商標登録第5411194号(T5411194) 
商標の称呼 クリーンマスター、マスター 
代理人 窪田 英一郎 
復代理人 石原 一樹 
代理人 中村 繁元 
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