• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W363742
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W363742
管理番号 1320281 
審判番号 不服2015-12410 
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-30 
確定日 2016-09-14 
事件の表示 商願2014-58387拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第36類、第37類、第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成26年7月11日に立体商標として登録出願されたものである。そして、指定役務については、原審における平成27年2月6日受付の手続補正書により、第36類「建物の売買,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買の代理又は媒介」、第37類「建築工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,建築物の保守」及び第42類「建築物の設計,建築物のデザインの考案」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、2階建ての建物の立体的形状からなるものであり、また、本願の指定役務は、建物又は建築物を対象とする役務であるところ、このような役務においては、一般に取引に係るその建物や建築物の全体像をイメージしやすいように、例えば、売買の対象となる建物や工事後の建築物、設計後の建築物を示して広告され、取引されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定役務に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、単に役務の提供の用に供する物の形状を表したと理解、又は認識するに止まり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。さらに、出願人が商標法第3条第2項の適用のための証拠として提出した資料からは、本願商標の形状のみをもって取引者、需要者間において自他役務の識別標識として明らかに識別されるに至ったとは認められないものである。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
立体商標が商品又は役務に使用されるものでなければならないことは、平面商標と異ならないところ、不動産である建築物も立体商標を構成し得るものであるということができる。
しかしながら、商標の本質的機能は、商品・役務(以下「役務等」という。)の出所を明らかにすることにより、自己の業務に係る役務等と他人の業務に係る役務等との品質・質等の相違を認識させること、即ち、自他商品・役務(以下「自他役務等」という。)の識別機能にあるということができるところ、立体商標に関しては、一般的に家屋や店舗、事業所等の建築物は、住居や商品の製造・販売の場又は役務の提供の場等として利用されるものであることから、本来、役務等の出所を表示し、自他役務等を識別するために使用をする標識として採択されるものではない。
そして、このような建築物の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは建築主又は事業主が自己の好みに合わせ他の建築物との差別化を図るためや、建築物としての美感を際だたせることを目的として施されたものであって、前示したように、自他役務等を識別するための標識として採択されるものではなく、全体としてみた場合、家屋や店舗、事業所等の建築物の形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該建築物のある所で商品の販売又は役務の提供が受けられるものと認識するに止まり、自他役務等を識別するための標識として認識し得ないものといわなければならない。
また、このように本来的には自他役務等を識別するための標識として採択されるものではない立体商標については、登録によって発生する商標権が全国的に及ぶ更新可能な半永久的な独占権であることを考慮すれば、その自他役務等の識別力について厳格に解釈し、適用することが役務等の取引秩序を維持するということを通じて産業の発達に貢献するという商標法の目的に沿うものといえるところである。
そうすると、建築物全体が立体的識別標識(広告塔)と認識されるような場合などはともかくとして、建築物の形状として認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標のみをもって、取引者、需要者間において自他役務等の識別標識として明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、自他役務等の識別力を有しないものとして商標法第3条第1項の規定に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおり、複数の縦長の窓を有する二階建ての住宅と思しき建築物の立体的形状からなるものである。
そして、本願商標の指定役務中、第36類「建物の売買,建物の貸与」などの建築物を取引の対象とする役務、第37類「建築工事,建築工事に関する助言」及び第42類「建築物の設計、建築物のデザインの考案」などの建築物に関連する工事や設計においては、一般に、取引に係るその建築物の全体像をイメージしやすいように、売買の対象となる建築物や工事後の建築物を示して広告され、取引されている実情が認められるものである。
そうすると、本願商標は、取引者、需要者においては、単に取引の対象となる建築物であること、すなわち、建物の売買の対象となる建築物の形状を表したものや、建築工事後の建築物の形状を表したものと理解するにとどまり、役務の提供の用に供するものや、役務の質を表したものであると認識するにすぎないものというのが相当である。
してみれば、本願商標は、これをその指定役務について使用しても、自他役務を識別するための標識としての機能を有するものとは認識し得ないものであって、結局、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 商標法第3条第2項について
請求人は、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであったとしても、請求人の使用により、需要者が何人の業務に係る役務であるか認識できる場合には、商標法第3条第2項の適用により登録が受けられる旨主張し、かつ、本願商標が周知である証拠として、原審において平成27年2月9日受付の意見書及び参考資料1ないし参考資料4(枝番を含む。)を提出し、また、当審において、同年8月24日受付の上申書及び参考資料1及び2、同年10月6日受付の上申書及び参考資料、同年10月13日受付の上申書及び参考資料、平成28年6月2日受付の上申書を提出している。
そこで、本願商標が商標法第3条第2項に該当するに至ったものであるかについて、以下判断する。
(1)商標法第3条第2項の趣旨について
出願商標が商標法第3条第2項の要件を具備し、登録が認められるか否かは、実際に使用している商標及び商品、使用開始時期、使用期間、使用地域、当該商品の生産又は販売量、並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用された結果、判断時である査定時又は審決時において、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるか否かによって決すべきものである(知財高裁平成18年(行ケ)第10054号参照)。
(2)本願商標の商標法第3条第2項該当性について
ア 請求人の提出した証拠及び主張について
(ア)請求人による建築物について
請求人は、本願商標と同様の立体的形状を持つ建築物を「ラ・プロヴァンス」シリーズと称して施工している旨主張し、「ラ・プロヴァンス」シリーズの施工例の写真資料及び、「ラ・プロヴァンス」シリーズの刊行物掲載例(住宅関連の雑誌掲載例など)を提出している。施工例には様々な角度から撮影された請求人が施工したそれぞれ異なる建築物の写真が、刊行物掲載例(参考資料3(1)?(17))には、請求人の名称の一部である「レジェンダリーホーム」の文字及び請求人が施工したそれぞれ異なる形状の建築物が掲載されている(平成27年2月9日受付の意見書 参考資料1及び3)。
(イ)施工件数等について
平成18年7月から平成27年6月までの「ラ・プロヴァンス」シリーズの施工件数は、自社が47棟、代理店が134棟、名古屋地区の代理店が20棟の合計201棟であり、更にそれから4か月の間に、数10棟の受注がある。その施工場所は、関東エリアのみならず、中部エリアまで拡張している(平成27年2月9日受付の意見書 参考資料4)。
また、平成27年2月9日から同年7月20日までの5か月の間に増加した「ラ・プロヴァンス」の施工件数は、完成と未完成を合わせて49棟である(平成27年8月24日受付の上申書)。
(ウ)売上高について
請求人の売上に関する表によると、自社売上高については第15期(平成18年7月?平成19年6月)から第22期(平成25年7月?平成26年6月)まで、代理店売上高については第17期(平成20年7月?平成21年6月)から第22期(同上)まで、それぞれ「ラ・プロヴァンス」の売上高及び棟数が記載されており、自社売上高における第15期の「ラ・プロヴァンス」の売上高及び棟数は約1,870万円及び1棟であるが、第22期の「ラ・プロヴァンス」の売上高及び棟数は、約1億8,830万円及び9棟であり、売上高及び棟数共に増加している(平成27年2月9日受付の意見書 参考資料4)。
(エ)公的機関等による証明について
特定行政庁や民間確認機関が建築確認申請の内容をチェックし、法令に適合していると確認し交付する公的な書類として、建築基準法の規定による確認済証(以下「確認済証」という。)等があり、請求人の各施工に係る「確認済証」等とこれと個別に対応する「立面図」を添付した書類が、平成27年8月24日受付の上申書にて31件、同年10月6日受付の上申書にて13件、同年10月13日受付の上申書にて5件、提出されている。
(オ)店舗数について
請求人と代理店契約を締結したレジェンダリーホーム加盟店は14社、代理店契約交渉中の会社は14社である(平成28年6月2日受付の上申書)。
イ 請求人が施工した建築物の態様等について
(ア)建築物の周知性について
上記アによれば、平成18年7月から平成27年7月までの「ラ・プロヴァンス」シリーズの施工数は、未完成を含めてもその総数は250棟である。また、その売上数は、第15期と比べて第22期の該シリーズの売上高及び棟数が増加しているとしても、第22期は約1億8,830万円である。そして、平成28年6月現在において、請求人と代理店契約を締結した加盟店が14社、代理店契約交渉中の会社が14社あることが認められる。
しかしながら、平成18年7月から平成27年7月までの施工数の250棟及び第22期の売上高の約1億8,830万円は、近年における我が国の新設住宅着工戸数が年90?100万戸であること、首都圏における注文住宅の建築費が1軒約3,000万円であること(出典:国土交通省 平成27年度住宅経済関連データ)からすれば、その施工数や売上高は決して大きいとはいえない数字である。
また、「ラ・プロヴァンス」シリーズの建築物の市場における占有率や、当該建築物に関する広告の期間、地域、規模等について提出された証拠はない。
してみれば、請求人によって施工された建築物の態様は、需要者に広く知られているということはできない。
(イ)本願商標と使用に係る標章の同一性について
請求人は、本願商標と同様の立体的形状を持つ建築物を施工している旨主張しているが、上記ア(ア)において、請求人が提出した「ラ・プロヴァンス」シリーズで施工された建築物及び刊行物に掲載された建築物は、願書に記載された建築物とは、窓の個数、扉の位置、バルコニーや庇の有無などについて同じではなく、異なる態様のものであり、請求人によって施工された建築物の態様が本願商標と同一であるという証明はされていない。
したがって、本願商標は、提出に係る各証拠によっては、本願商標と使用に係る商標が同一性を有しているということはできない。
ウ 使用による識別力の獲得について
本願商標は、上記ア及びイによれば、請求人によって施工された建築物の態様と異なる態様のものであって、同一性を有しているものではなく、また、その建築物の態様が需要者に広く知られているとはいえないものである。
さらに、上記ア(エ)の「確認済証」と「立面図」については、建築物が建築基準法の関係規定に適合していることを証明するものであって、本願商標の周知性を立証するものではなく、立面図に記載された建築物の態様も、本願商標の態様と全て異なるものである。
以上のとおり、請求人による建築物は、本願商標と同一と認められないものであるから、請求人提出の証拠は、本願商標がその指定役務について使用されていることを証明するものではない。
そして、当審において職権により調査しても、本願の指定役務を取り扱う業界において、本願商標が請求人の取扱いに係る役務を表すものとして、取引者、需要者において一般に広く知られている事実を発見することができない。
エ 小括
してみれば、本願商標は、これがその指定役務について使用をされた結果、需要者が請求人の業務に係る役務であることを認識することができるものになっているとはいえない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものではない。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、「本願商標の立体的形状のうち、最も看者の注意を引く部分は、妻壁部分の特徴的な形状であり、係る形状の部分が、美観を際立たせるものであったとしても、これと同時に、識別標識としての機能が発揮されているものである」旨を主張している。
しかしながら、建築物は一般に、機能面又は美観の観点から様々なデザインを採用し得るものであって、請求人が主張する特徴的な形状も、建築物の形状として、機能又は美観に資することを目的とする形状と予測し得る範囲のものであるから、建築物の形状を表したものと認識するにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
(2)請求人は、「建築された特徴的立体的形状を有する住宅自体が広告機能を有しており、建築された住宅そのものをカタログや刊行物に掲載して宣伝し、購入者が移住した後も、モデルハウスとして広告に用いるというのは一般的な宣伝方法であって、宣伝広告機能が発揮されるから、需要者が何人の業務に係る役務であるか認識できるものである」旨を主張している。
しかしながら、前記2(2)イのとおり、本願商標と、施工された建築物とが常に同一であると認めることはできないから、現実に建築された住宅が広告されることによって、需要者が請求人の業務に係る役務であると認識できるとはいえない。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
4 結論
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標
第1図



第2図



第3図



第4図



第5図



第6図



審理終結日 2016-06-29 
結審通知日 2016-06-30 
審決日 2016-08-02 
出願番号 商願2014-58387(T2014-58387) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W363742)
T 1 8・ 17- Z (W363742)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 渡邉 あおい 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 榎本 政実
清棲 保美
代理人 上吉原 宏 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ