• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z16
管理番号 1320267 
審判番号 取消2015-300480 
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-07-02 
確定日 2016-09-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第2316775号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第2316775号商標の指定商品中,第16類「文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」については,その登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2316775号商標(以下「本件商標」という。)は,「オーパー」の片仮名をゴシック体で横書きしてなり,昭和63年4月11日に登録出願,第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,平成3年6月28日に設定登録,同13年12月19日に,指定商品を第16類「洋紙,板紙,和紙,加工紙,セロハン類,合成紙,文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものであり,その商標権は,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,平成27年7月14日である。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,請求の理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第16類「文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人による使用について
答弁書において,被請求人は,自らが「包装紙」,「ラベル」,「カード」及び「ゴルフスコアカード」に本件商標を使用している旨主張している。具体的には,乙第3号証の参考資料1における「OPER Series」の紹介ページにおける「オーパー」の使用態様が,商標法第2条第3項第8号の「商標の広告的使用」に該当すると主張している。
確かに,乙第3号証の参考資料1によれば,被請求人のホームページの「オーパー」の紙の説明ページに,「用途と対応製品・グレード」との項目があり,用途及び対応製品の一例として,「包装紙」や「地図」等が列挙され,それに対応するグレード(等級・品質)の欄に,「オーパープレミア」,「オーパー」等の表示がある。
しかしながら,当該資料に記載された「包装紙」,「ラベル」,「カード」及び「ゴルフスコアカード」等の商品カテゴリーは,「オーパー」の紙を用いて作製することができる製品を例示するために記載されているにすぎず,それぞれの商品カテゴリーに対応する写真も,「包装紙」や「ラベル」等の一般的な写真を,需要者に分かりやすいように掲載しているだけである。
すなわち,被請求人のホームページは,被請求人が「包装紙」や「ラベル」等を商品として販売等していることを示すものではなく,あくまで「包装紙」や「ラベル」等の素材もしくは原材料である,被請求人に係る「紙」の商品を紹介等するためのものにすぎず,「オーパー」の文字は,あくまで「紙」の名称もしくは商標として表示されているものである。
よって,これらの「オーパー」の文字の使用態様によっては,本件商標が「包装紙」,「ラベル」,「カード」及び「ゴルフスコアカード」の商品を広告するために使用されていると認めることはできない。
以上より,「オーパー」の文字が本件審判の請求の予告登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)において,被請求人による本件商標の使用は,あくまで「紙」についての使用であって,本件商標が第16類「文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」について使用されていたと到底認めることはできない。
(2)被請求人以外の使用について
ア 東京読売開発株式会社(以下「東京読売開発」という。)による使用
(ア)使用行為について
被請求人は,東京読売開発のホームページに掲載された「順路帳用紙(オーパー防水加工,500枚)」及び「順路帳表紙(オーパー防水加工)」の表示(乙10の1の参考資料3及び乙10の2の参考資料4)が,本件商標の使用にあたる旨主張する。
確かに,東京読売開発は,そのホームページに「順路帳用紙(オーパー防水加工,500枚)」や「順路帳表紙(オーパー防水加工)」との態様で「オーパー」の文字を使用している。
しかしながら,カッコ書き内の表示は,順路帳表紙又は順路帳用紙の素材もしくは原材料となる紙の種類を示すものであって,このことは,その他のカッコ書きの表示として「普通紙,500枚」や「ユポ防水加工,500枚」,「ユポ防水加工」等が用いられていることからも明白である。例えば,「ユポ」とは株式会社ユポ・コーポレーションの販売する合成紙の名称であり(甲3),「オーパー」の文字も同様に被請求人に係る「紙」の名称として表示されているものである。
したがって,当該「オーパー」の表示は,「オーパー」という紙の種類を示すために用いられているにすぎず,「順路帳用紙」や「順路帳表紙」の商品についての商標として使用されているわけではない。
また,被請求人は,乙第12号証の2及び乙第13号証の6の「順路帳用紙」の中央下部に印字された「オーパー(防水加工)」の表示,並びに乙第12号証の3及び乙第13号証の6の「順路帳表紙」の左下下部に印字された「オーパー(防水加工)」の表示が,「順路帳用紙」及び「順路帳表紙」についての商標の使用である旨主張する。
ここで,順路帳とは,新聞配達の仕事で使用するものであって,配達区域ごとにその区域の全読者の名前が配る順番通りに記載されている帳面のことをいい,新聞配達中に雨で濡れても破けないように,通常の紙より強度があり耐水性のある紙を使用するのが通常である(甲4,甲5)。
順路帳の購入者は,乙第13号証の2ないし5に示されているとおり,YC(読売センター)東砂町やYC(読売センター)本郷等,新聞配達センターに限られており,東京読売開発のホームページにも,読売新聞販売店用に商品を販売している旨明記されている(甲6)。つまり,購入者にとって,順路帳は,仕事に必要な,使い慣れた商品であって,「オーパー」が紙の種類を示すものと理解した上で順路帳を購入しているのであり,本件商標が順路帳の出所を示すものと認識して購入しているわけではないと考えるのが自然である。
よって,乙第12号証の2及び3並びに乙第13号証の2ないし6の「オーパー」の表示も,「紙」の名称として用いられているにすぎず,「順路帳用紙」や「順路帳表紙」の出所を表示するための商標として使用されているわけでないことは明らかである。
(イ)東京読売開発が,黙示の通常使用権者であることについて
被請求人は,東京読売開発と被請求人との間で取り交わされた宣誓書を提出し,被請求人が東京読売開発に2010年頃から,黙示の使用許諾を与えていた旨主張する。
しかしながら,当該宣誓書は,請求人が本件審判の請求を行った後に作成されたものであって,被請求人が2010年頃から現在までの使用について継続して東京読売開発に黙示の使用許諾を与えていた証拠にはならない。また,このような宣誓書によって,黙示の使用許諾が容易に認められるならば,登録商標に対して不使用取消審判が請求された後,登録商標権者は,一取引者に宣誓書の作成を依頼することで,登録商標の取消しを免れることが可能になり,商標権者の不当な保護にあたり,妥当でない。
したがって,東京読売開発は黙示の通常使用権者ではなく,また東京読売開発による本件商標の使用も,「紙」への使用であるため,「順路帳用紙」及び「順路帳表紙」の出所を示すものではない。
イ 道央興発株式会社(以下「道央興発」という。)による使用
被請求人は,乙第14号証の1の別紙1及び乙第16号証の1の「ゴルフスコアカード」に本件商標が使用されている旨主張する。
確かに,道央興発は,「ゴルフスコアカード」に「日本製紙パピリアオーパーM22PEN#220使用」と表示し,「オーパー」の文字を使用している。
しかしながら,「ゴルフスコアカード」の裏面左下に小さく記載された「日本製紙パピリアオーパーM22PEN#220使用」との表示は,被請求人の製造するオーパーという「紙」を素材としていることを記述的に説明しているにすぎない。
したがって,道央興発による「オーパー」の表示は,「ゴルフスコアカード」の出所を表示するための商標として使用されているとは到底いうことができない。
ウ 株式会社大創産業(以下「大創産業」という。)による使用
被請求人は,乙第17号証の1の「たんざく」に本件商標が使用されている旨主張する。
確かに,当該「たんざく」には,その中央下部に「水に強い紙『オーパー』を使用しています。」との記載がある。
しかしながら,当該表示は,「たんざく」の素材もしくは原材料として「オーパー」との名称の紙を用いていることを説明しているにすぎず,よって,大創産業による「オーパー」の表示は,「たんざく」の出所を表示するための商標として使用されていないことは明らかである。
(3)結論
以上のとおり,被請求人の主張及び提出する証拠をもってしては,本件商標が日本国内において要証期間内に本件審判の請求に係る指定商品,第16類「文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」について使用されていた事実が何ら証明されていない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求めると答弁し,その理由(平成28年3月28日付け口頭審理陳述要領書を含む。)を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第23号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件使用商品について
本件商標権者は,「文房具類」に属する「包装紙」,「ラベル」,「カード」及び「ゴルフスコアカード」に本件商標を使用し,通常使用権者(黙示の使用許諾者)等は,「文房具類」に属する「順路帳用紙」,「順路帳表紙」,「ゴルフ用スコアカード」あるいは「短冊」等の紙製文房具商品(以下「オーパー製品」という。)に使用しているものである(乙3ないし乙17)。
ア オーパー製品の特徴
オーパー製品の紙は,上下のポリオレフィン系樹脂の間に紙ベース層を挟む複合材料のため,両者の特性を備えたユニークな素材であり,様々な加工が可能である。
すなわち,オーパー製品は,優れた寸法安定性,優れた紙質強度,優れた耐水性・耐候性,優れた印刷特性,優れた加工性等を有することにより各種の紙製品に展開が可能である。
イ オーパー製品の商品展開
オーパー製品の用途としては,例えば,「包装紙」,「ラベル」,「カード」,「ゴルフスコアカード」,「加工紙製品」等に使用が可能である。
オーパー製品の「包装紙」,「ラベル」,「カード」,「ゴルフスコアカード」,新聞等の配達のための「順路帳用紙」,「順路帳表紙」,そして「短冊」が本件指定商品の文房具類の範疇に属することは,明らかである。
なお,「順路帳用紙,順路帳表紙」は,紙の上に数字と罫線が印刷されており(乙12の2,乙12の3),「ゴルフ用スコアカード」には,持ち運びのできる形に切られ,数字のスコアが記載される罫線が印刷されたものである(乙16の1)。
ウ オーパー製品の川上から川下への流通経路
オーパー製品は,本件商標権者がオーパー製品の紙を製造し,川下の紙製文房具等に使用する二次的加工会社に販売する形態で使用されている(乙3ないし乙17)。
本件商標権者は,紙類の原材料であるオーパー製品の二次加工の製品,例えば紙製文房具を含む文房具類に本件商標を使用することを援助し,またオーパー製品の需要を増大するために,紙製文房具あるいは文房具類に本件商標を宣伝,広告をしている(乙3ないし乙5)。
(2)本件商標権者による使用について
乙第3号証は,本件商標権者が平成27年7月30日時点で,そのホームページにおける「製品紹介」中の「オーパー」に関する商品の検索結果についての陳述書であり,乙第3号証の参考資料1における「OPER Series」の紹介ページの1頁目中段から2頁目下段にかけて,類似群コード25B01を含む商品(「包装紙」,「ラベル」,「カード」及び「ゴルフスコアカード」)が紹介されており,これらの商品はいずれも第16類の「文房具類」(類似群コード25B01)に属するものである(乙6ないし乙9)。
乙第5号証は,Internet Archiveにおいて,過去の本件商標権者のホームページにおける「オーパー」の紹介ページに関する陳述書であり,平成23年5月25日,同年8月18日,同年12月5日,平成24年1月6日,平成25年6月23日,同年7月22日,同年7月25日及び平成27年4月27日のいずれの日においても「OPER Series」の紹介ページが掲載されており,特に内容が変わっていないことが確認できる。
したがって,本件商標権者は,平成24年7月14日から同27年7月14日の間においても継続的に,本件商標権者自身のホームページ上において,第16類の「文房具類」に属する商品(「包装紙」,「ラベル」,「カード」及び「ゴルフスコアカード」)の広告を内容とする情報に本件商標を付して提供(商標法第2条第3項第8号の使用)していることが明らかである。
(3)東京読売開発の使用について
乙第10号証の1は,平成27年7月30日において東京読売開発のホームページにおける「事務用品」の掲載ページに関する調査結果の陳述書であり,乙第10号証の1の参考資料3と乙第10号証の2の参考資料4の両方には,「順路帳用紙(オーパー防水加工,500枚)」及び「順路帳表紙(オーパー防水加工)」が販売価格とともに併記されていることが確認できる。
したがって,東京読売開発は,自社のホームページ上において,「順路帳用紙(オーパー防水加工,500枚)」及び「順路帳表紙(オーパー防水加工)」を,平成24年7月14日から同27年7月14日の間においても継続的に掲載していたことが明らかである。
乙第11号証は,本件商標権者が,東京読売開発に2010年から黙示の使用許諾を与えていた旨の本件商標権者及び東京読売開発による宣誓書であることから,東京読売開発は,本件商標権に関する通常使用権者であることが明らかである。
乙第12号証の2は,東京読売開発のホームページの「事務用品」の項で掲載された「順路帳用紙(オーパー防水加工,500枚)」に対応する商品(順路帳用紙)であり,中央下部に太文字からなる「オーパー」と付されており,明らかに第16類の「文房具類」に属する商品に本件商標を付したものである。
乙第12号証の3は,東京読売開発のホームページの「事務用品」の項で掲載された「順路帳表紙(オーパー防水加工)」に対応する商品(順路帳表紙)であり,左下下部に本件商標「オーパー」が付されており,当該商品は,本件商標を付した商品であることが明らかである。
乙第13号証の1は,東京読売開発が,自社のホームページ上で販売している「順路帳用紙(オーパー防水加工,500枚)」及び「順路帳表紙(オーパー防水加工)」の商品に関する陳述書である。
乙第13号証の2は,東京読売開発が,平成27年6月18日付けで「順路帳用紙」及び「順路帳表紙」を納品により発行した平成27年6月分の請求明細書である。
乙第13号証の3は,東京読売開発が,平成27年7月7日付けで「順路帳用紙」を納品により発行した平成27年7月分の請求書である。
乙第13号証の4は,東京読売開発が,平成27年6月4日付けで「順路帳用紙」を納品により発行した平成27年7月分の請求書である。
乙第13号証の5は,東京読売開発が,平成27年7月6日付けで「順路帳用紙」及び「順路帳表紙」を納品により発行した平成27年8月分の請求書である。
乙第13号証の6は,東京読売開発の取扱商品のご案内である。
乙第13号証の2ないし乙第13号証の5で示すとおり,平成27年6月4日,6月18日,7月6日及び7月7日において当該商品を実際に需要者に納品し,その請求書を発行しており,当該書類からも東京読売開発が平成24年7月14日から平成27年7月14日の間において使用していることが明らかである。
乙第21号証の1は,東京読売開発のホームページで販売されている「順路帳表紙」である。
乙第21号証の2は,東京読売開発のホームページで販売されている「順路帳用紙(普通紙,500枚)」である。
乙第21号証の1の「順路帳表紙」の左下部及び乙第21号証の2の「順路帳用紙(普通紙,500枚)」の中央下部には,何ら文字が記載されていないことが確認できる。
乙第22号証の1は,東京読売開発のホームページで販売されている「順路帳表紙(ユポ防水加工)」である。
乙第22号証の2は,東京読売開発のホームページで販売されている「順路帳用紙(ユポ防水加工,500枚)」である。
このように,東京読売開発は,「順路帳表紙」又は「順路帳用紙」が,登録商標に係る製品の場合には,「順路帳表紙」の左下部及び「順路帳用紙」の中央下部に当該製品の登録商標(例えば,「オーパー(防水加工)」や「ユポ(防水加工)」)と付している。
また,東京読売開発の「順路帳表紙(ユポ防水加工)」及び「順路帳用紙(ユポ防水加工,500枚)」に付された「ユポ(防水加工)」は,商品の特性を表す防水加工をカッコ書きにした上で,語頭に太字の「ユポ」を表記していることから,ユポ製品としての「順路帳表紙(ユポ防水加工)」及び「順路帳用紙(ユポ防水加工,500枚)」であることを意味することは明らかである。
請求人は,「順路帳用紙(オーパー防水加工,500枚)」や「順路帳表紙(オーパー防水加工)」における「オーパー」は,カッコ書きで囲われていることから,順路帳表紙又は順路帳用紙の素材もしくは原料となる紙の種類を示すにすぎないと主張している。
しかし,東京読売開発のホームページにおけるカッコ書きが全て,順路帳表紙又は順路帳用紙の素材もしくは原料となる紙の種類を表示するものではない。
したがって,「順路帳用紙(オーパー防水加工,500枚)」や「順路帳表紙(オーパー防水加工)」における「オーパー」は,カッコ書きで囲われていることから,順路帳表紙又は順路帳用紙の素材もしくは原料となる紙の種類を示すにすぎないとの,請求人の主張は失当である。
また,「順路帳表紙」や「順路帳用紙」を使い慣れた読売新聞販売店が,「順路帳表紙」や「順路帳用紙」中の「オーパー」を,これらの商品の素材として認識したとしても,特に素材としてのオーパーと記載されていないため,「順路帳表紙」や「順路帳用紙」自体の出所や品質等も表示しているものとして理解するのが自然である。
以上のとおり,少なくとも平成24年7月14日から同27年7月14日のまでの間,東京読売開発は,第16類の「文房具類」に属する商品(「順路帳用紙」及び「順路帳表紙」)に本件商標を付したものを譲渡しており,商標法第2条第3項第1号(審決注:「第1号」は「第2号」の誤記と認められる。)の使用をしていたことが明らかである。
そして,東京読売開発は,少なくとも平成24年7月14日から同27年7月14日の間において,自社のホームページ上で,第16類の「文房具類」に属する商品(「順路帳用紙」及び「順路帳表紙」)を内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供しており,商標法第2条第3項第8号の使用をしていることが明らかである。
(4)道央興発の使用について
乙第14号証の1は,道央興発の代表取締役社長による「ゴルフ用スコアカード」の使用に関する陳述書である。
乙第14号証の2は,道央興発のホームページを介してツキサップゴルフクラブのウェブサイトの検索結果に関する陳述書である。
乙第14号証の1及び乙第14号証の2の参考資料1で示すように,道央興発は,ツキサップゴルフクラブを経営する会社であり,平成16年から本件商標を付した「ゴルフ用スコアカード」を使用している。
事実,ツキサップゴルフクラブの過去のホームページの履歴を確認しても,少なくとも平成21年9月からの使用が確認できる(乙14の3)。
また,乙第14号証の2の参考資料1で示すように,ツキサップゴルフクラブを経営する道央興発は,本件商標権者が属する日本製紙グループに属し,本件商標権者とは関係会社であることも明らかである。
したがって,道央興発が経営するツキサップゴルフクラブは,平成16年よりも後の,平成24年7月14日から同27年7月14日の間において,本件商標を付した「ゴルフ用スコアカード」を使用していることが明らかである。
乙第15号証は,本件商標権者が2004年頃から道央興発に黙示の使用許諾を与えている旨の本件商標権者及び東京読売開発による宣誓書であることから,道央興発は,本件商標権に関する通常使用権者であることが明らかである。
乙第16号証の1は,道央興発の経営するツキサップゴルフクラブで用いられている「ゴルフ用スコアカード」であり,この表側左下には「日本製紙パピリア オーパーM22PEN#220使用」と,明らかに「ゴルフ用スコアカード」に本件商標権者の本件商標が付されている。
道央興発が経営するツキサップゴルフクラブは,少なくとも平成24年7月14日から平成27年7月14日までの間継続して,ゴルフ場を提供する際に乙第16号証の1で示す「ゴルフ用スコアカード」をゴルフ場の利用者に譲渡している。
現に,乙第16号証の2及び乙第16号証の3で示すように,道央興発は,平成26年3月22日に乙第16号証の1で示す「ゴルフ用スコアカード」の納品書及び請求明細書を受けており,「ゴルフ用スコアカード」を当該期間内において使用していることが明らかである。
したがって,道央興発は,少なくとも平成24年7月14日から同27年7月14日までの間において,第16類の「文房具類」に属する商品(ゴルフ用スコアカード)に本件商標を付して譲渡しており,商標法第2条第3項第2号の使用に該当することが明らかである。
(5)大創産業の使用について
乙第17号証の1は,「大創産業」が販売する「たんざく」であり,この表紙の下部には,「水に強い紙『オーパー』を使用しています。」と記載されている。
すなわち,大創産業が販売する「たんざく」にも,本件商標が付されている。
したがって,大創産業が,第16類の「文房具類」に属する商品(たんざく)に本件商標を付したものを譲渡しており,商標法第2条第3項第2号の使用行為に該当することが明らかである。
(6)むすび
以上のとおり,本件商標は,要証期間内に日本国内において,本件商標権者が,取消の対象となった指定商品第16類の「文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」に属する商品(特に,「包装紙」,「ラベル」,「カード」及び「ゴルフスコアカード」)に使用していることに加えて,通常使用権者である「東京読売開発」及び「道央興発」等が,取消の対象となった指定商品第16類の「文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」に属する商品(特に,「順路帳用紙」,「順路帳表紙」,「ゴルフ用スコアカード」及び「短冊」)について使用していることが明らかである。

第4 当審の判断
1 本件審判の請求は,本件商標の指定商品中の第16類「文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」(以下「取消請求商品」という場合がある。)について,登録の取消を求めるものであるから,被請求人は,取消請求商品に含まれる商品について,平成24年7月14日から同27年7月13日の間(要証期間内)に,本件商標(社会通念上同一の商標を含む。以下同じ。)の使用をしていることを立証することが必要である。
そこで,被請求人は,本件商標権者又は通常使用権者が本件商標を取消請求商品について使用している旨主張するので,以下検討する。
2 本件商標の使用について
(1)本件商標権者の使用について
ア 本件商標権者のホームページに表示された「オーパー」の文字について
(ア)乙第5号証は,弁理士Aの平成27年8月7日付けの「陳述書3」であり,要証期間内のものと認められる本件商標権者のホームページ(参考資料10?13(2013年(平成25年)6月23日ないし2015年(同27年)4月27日))には,「OPER Series」の見出しの下,「オーパーは紙と樹脂の複合材です。その組み合わせ次第では,耐水用途のみならずさまざまな用途への展開が可能です。」の記載があり,「オーパープレミア」,「オーパー」,「ザ・ポスター」及び「オーパーMDP」の4種類の商品について,それぞれの「用途と対応製品・グレード」が紹介されている。
そして,「用途と対応製品・グレード」の「包装紙」の欄には「オーパー/MMW80・FFW80・MMW100・FFW100」の記載があり,「ゴルフスコアカード」の欄には「オーパー/M22PEN・F22PEN」の記載があるほか,「ラベル」,「カード」等について紹介されている。
また,乙第5号証の参考資料4及び5には,本件商標権者の表示と「オーパー(マルR)/『紙にあらず,フィルムにあらず』両方の特製を兼ね備えた合成紙,それがオーパーです。」の記載がある。
(イ)乙第3号証は,弁理士Aの平成27年7月30日付けの「陳述書1」であり,参考資料2によれば,「オーパー」及び「OPER」の見出しの下,「オーパーの特長」に「カスタマイズ性(特注対応)/紙と樹脂の複合材料ですから,両者の特製を兼ね備えた他に類を見ないユニークな素材です。従って,様々な加工が可能です。」の記載があり,「オーパー及び筆記用オーパー(ゴルフスコア)商品ラインナップ」の「筆記用オーパー規格表」に「M」の項には「M22PEN」,「F(片面筆記)」の項には「F22PEN」及び「厚さ(μm)」の欄には「220」の記載がある。
(ウ)上記(ア)及び(イ)によれば,本件商標権者は,要証期間内である2013年(平成25年)6月23日ないし2015年(同27年)4月27日に,本件商標と社会通念上同一と認められる「オーパー」の文字を,本件商標の指定商品中の「合成紙」に関する広告について使用したものということができる。
しかしながら,「合成紙」は,取消請求商品に含まれる商品とは認められない。
イ 被請求人の主張について
被請求人は,本件商標権者のホームページ上において,第16類の「文房具類」に属する商品(「包装紙」,「ラベル」,「カード」及び「ゴルフスコアカード」)の広告を内容とする情報に本件商標を付して提供(商標法第2条第3項第8号の使用)している旨,主張する。
しかしながら,本件商標権者のホームページに掲載された内容は,合成紙「OPER Series」を紹介するものであって,そこに記載された「包装紙」,「ラベル」,「カード」,「ゴルフスコアカード」の表示は,合成紙「OPER Series」中の「オーパー」の用途を表したものとみるのが相当である。
(2)東京読売開発の使用について
ア 「オーパー(防水加工)」の文字が表示された「順路帳用紙」及び「順路帳表紙」について
(ア)乙第12号証の2は,「順路帳用紙」であり,下部には「オーパー(防水加工)」の文字の表示があり,乙第12号証の3は,「順路帳表紙」であり,表表紙と裏表紙の下部には「オーパー(防水加工)」の文字の表示がある。
(イ)乙第13号証の2は,要証期間内である2015年6月18日を注文日とする,東部YC東砂町に宛てた東京読売開発・事業部の「請求書 平成27年6月分」であり,「商品名」及び「注文数」の欄に「順路帳用紙(オーパー防水)」及び「500」,「順路帳表紙(オーパー防水)」及び「30」の記載がある。
(ウ)乙第13号証の3は,要証期間内である2015年7月7日を注文日とする,中央YC本郷に宛てた東京読売開発・事業部の「請求書 平成27年7月分」であり,「商品名」及び「注文数」の欄に「順路帳用紙(オーパー防水)」及び「500」の記載がある。
(エ)乙第13号証の4は,読売センター 中央林間に宛てた,東京読売開発・事業部の「請求明細書 平成27年7月度請求分」であり,要証期間内である6月4日の「品名・規格」及び「数量」の欄に「順路帳用紙(オーパー)」及び「1000」の記載がある。
(オ)乙第13号証の5は,読売センター 八千代緑が丘に宛てた,東京読売開発・事業部の「請求明細書 平成27年8月度請求分」であり,要証期間内である7月6日の「品名・規格」及び「数量」の欄に「順路帳用紙(オーパー)」及び「1000」,「順路帳表紙(オーパー)」及び「100」の記載がある。
(カ)上記(ア)ないし(オ)によれば,「オーパー(防水加工)」の文字が表示された「順路帳用紙」は,要証期間内に,東京読売開発から「東部YC東砂町」と「中央YC本郷」にそれぞれ「500」,「読売センター 中央林間」と「読売センター 八千代緑が丘」にそれぞれ「1,000」が販売されたものである。
また,「オーパー(防水加工)」の文字が表示された「順路帳表紙」は,要証期間に,東京読売開発から「東部YC東砂町」に「30」と,「読売センター 八千代緑が丘」に「100」が販売されたものである。
イ 「オーパー(防水加工)」の表示中の「オーパー」の文字について
東京読売開発代表取締役の2015年(平成27年)8月21日付けの「陳述書」(乙13の1)の別紙1の東京読売開発のホームページには,販売店様向けとして「事務用品」が多数紹介されており,「商品名」の欄に,「順路帳用紙(普通紙,500枚)」,「順路帳用紙(ユポ防水加工,500枚)」,「順路帳用紙(オーパー防水加工,500枚)」,「順路帳表紙」,「順路帳表紙(ユポ防水加工)」及び「順路帳表紙(オーパー防水加工)」の記載がある。
これらの記載内容からすれば,「順路帳用紙」及び「順路帳表紙」には,「普通紙」,「ユポ防水加工」及び「オーパー防水加工」の3種類があって,それぞれの「紙」の種類を表すものとして,「普通紙」,「ユポ」又は「オーパー」の文字が使用されたものとみるのが相当である。
そうすると,「オーパー(防水加工)」の表示中の「オーパー」の文字は,「順路帳用紙」及び「順路帳表紙」として使用する「紙」の種類を表すというのが相当であり,「紙」は,取消請求商品に含まれる商品とは認められない。
(3)道央興発の使用について
ア 「日本製紙パピリア オーパーM22PEN#220使用」の文字が表示された「ゴルフスコアカード」について
(ア)乙第14号証の1は,道央興発代表取締役による平成27年8月17日付けの「陳述書」であり,別紙1(及び乙16の1)の「ゴルフ用スコアカード」には,「ツキサップゴルフクラブ」,下部には,「日本製紙パピリア オーパーM22PEN#220使用」の文字の表示がある。
そして,「弊社は,2004年から現在に至るまで,弊社が経営するツキサップゴルフクラブのゴルフ場(札幌市清田区有明412-5に所在するゴルフ場)において,別紙1に示す『ゴルフ用スコアカード』を用いてゴルフ場の提供等を行っていたことに相違ありません。」と陳述している。
(イ)乙第16証の2は,要証期間内である2014年3月22日を発行日とする,道央興発に宛てた佐藤印刷株式会社の「納品書」であり,「品名」の欄に「ツキサップゴルフクラブ スコアカード」,「数量」の欄に「60,000」の記載がある。
(ウ)乙第16証の3は,要証期間内である2014年3月22日を発行日とする,道央興発に宛てた佐藤印刷株式会社の「請求明細書」であり,「品名」の欄に「ツキサップゴルフクラブ スコアカード」,「数量」の欄に,「60,000」の記載がある。
(エ)上記(ア)ないし(ウ)によれば,「日本製紙パピリア オーパーM22PEN#220使用」の文字が表示されたツキサップゴルフクラブの「ゴルフスコアカード」は,要証期間内である2014年(平成26年)3月22日に,佐藤印刷株式会社から道央興発に納品され,その請求明細書が発行されたものである。
そして,その後,道央興発は,該「ゴルフスコアカード」を,ツキサップゴルフクラブの利用者に引渡しているものと推認される。
イ 「日本製紙パピリア オーパーM22PEN#220使用」の表示中の「オーパー」の文字について
(ア)上記(1)ア(ア)のとおり,本件商標権者のホームページによれば,合成紙「オーパー」の用途に「ゴルフスコアカード」,対応グレードに「M22PEN」の記載がある(乙5参考資料1?13)。
(イ)上記(1)ア(イ)のとおり,「オーパー及び筆記用オーパー(ゴルフスコア)商品ラインナップ」の「筆記用オーパー規格表」に,「M22PEN」,厚さ(μm)「220」の記載がある(乙3参考資料2)。
(ウ)上記(ア)及び(イ)によれば,ツキサップゴルフクラブの「ゴルフスコアカード」に表示された「日本製紙パピリア オーパーM22PEN#220使用」は,本件商標権者である「日本製紙パピリア」の合成紙「オーパー」(規格「M22PEN」,厚さ「220μm」)を「使用」していることを示すものということができる。
そうすると,「オーパー」の文字は,「ゴルフスコアカード」として使用する「合成紙」を表すものというのが相当であり,「合成紙」は,取消請求商品に含まれる商品とは認められない。
(4)大創産業の使用について
乙第17号証の1は,大創産業の「たんざく」であり,その包装に「水に強い紙『オーパー』を使用しています。」の記載がある。
しかしながら,該記載中の「オーパー」の文字は,「たんざく」として使用する「紙」を表すものというのが相当であり,「紙」は,取消請求商品に含まれる商品とは認められない。
(5)その他,本件商標が,本件商標権者又は通常使用権者によって,取消請求商品について,商標法第2条第3項にいう使用をされた事実を示す証拠はない。
(6)まとめ
以上のとおり,被請求人が提出した証拠からは,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標権者,通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが,取消請求商品について,本件商標を使用していることを証明したものということができない。
また,被請求人は,取消請求商品について,本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
3 むすび
したがって,本件商標の登録は,その指定商品中の第16類「文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」について,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審決日 2016-08-04 
出願番号 商願昭63-41449 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z16)
最終処分 成立  
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 田中 亨子
平澤 芳行
登録日 1991-06-28 
登録番号 商標登録第2316775号(T2316775) 
商標の称呼 オーパー 
代理人 三嶋 景治 
代理人 中里 浩一 
代理人 川崎 仁 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 
代理人 中里 卓夫 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ