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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W25 審判 全部申立て 登録を維持 W25 審判 全部申立て 登録を維持 W25 審判 全部申立て 登録を維持 W25 審判 全部申立て 登録を維持 W25 |
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管理番号 | 1319365 |
異議申立番号 | 異議2015-900408 |
総通号数 | 202 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2016-10-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-12-28 |
確定日 | 2016-09-08 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5793529号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5793529号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5793529号商標(以下「本件商標」という。)は、「にゅ」の文字を標準文字で表してなり、平成27年3月2日に登録出願、同年8月28日に登録査定、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年9月18日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 (1)商標法第4条第1項第8号該当性 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、全米有数の私立総合大学であり(甲2)、英国のタイムズ紙による世界大学評判ランキング等では、「NYU」の表記とともに、常に上位にランキングされている(甲3?甲7)。さらに、新聞、ウェブページ、電車内・看板広告において、申立人を「NYU」と称して報道・広告が数多く行われている(甲8?甲54)。また、申立人は、平成25年9月26日に、東京にNYUプロフェッショナル学部を開校し(甲55)、平成25年秋には109人であった生徒数が平成27年秋には3倍近くになった。 さらに、申立人は、「NYU」の文字よりなる商標(以下「引用商標」という。)を付した被服の販売も行っており(甲56?甲72)、これらの商品は、申立人と提携関係にある企業を通して日本で販売され、その1年間の売上げは8000万円に達すると考えられる。 したがって、「NYU」は、申立人の著名な略称であり、ローマ字読みで「にゅ」と読めるところから、「にゅ」も申立人の著名な略称といえる。 してみると、本件商標は、申立人の著名な略称を含むものであって、申立人は、本件商標の出願について商標権者に承諾を与えていないから、商標法第4条第1項第8号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第10号該当性 引用商標は、日本国内において、申立人の業務に係る商品「被服」等について使用され、本件商標の登録出願時・査定時に、ファッション関連商品の需要者の間に広く認識されていた(甲56?甲75)。 本件商標及び引用商標は、その構成文字より「ニュ」の称呼が生ずるから、称呼において類似する商標である。 また、本件商標は、その指定商品中に、引用商標が使用される被服を含むものであり、また、本件商標の指定商品中の被服以外の商品は、引用商標が使用される被服と関連性を有する類似の商品である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性 引用商標は、申立人の商標として広く一般に知られているから(甲56?甲75)、これと近似する本件商標がその指定商品について使用された場合は、申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第19号及び同第7号該当性 本件商標は、米国を含む外国の需要者の間に広く認識されている引用商標と類似の商標である(甲2、甲77?甲83)。 また、本件商標の商標権者が、本件商標をその指定商品に使用することは、申立人が長年にわたり築き上げた大学ブランドへのフリーライドを許すものであるとともに、その高い信用、名声、顧客吸引力を毀損するものである。 したがって、本件商標は、不正な目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。 また、上記に照らせば、本件商標の出願・登録は、国際信義に反するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号、同第19号及び同第7号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第8号について ア 申立人の提出した証拠によれば、以下の事実を認めることができる。 (ア)申立人は、1831年に創立された米国ニューヨーク市にある私立総合大学であり、英国タイムズによるThe Times Higher Educationの世界大学評判ランキング2015での総合20位(全米14位)をはじめとする大学の各種ランキングで上位にランキングし、これらのランキングにおいて「ニューヨーク大学(NYU)」と表記された(甲2?甲7)。また、申立人は、ノーベル賞受賞者、映画監督・俳優など文化・芸術関連の人たちを数多く輩出しており、その卒業生は、幅広い分野で活躍している(甲2)。 (イ)申立人は、本件商標の登録出願日前に我が国で発行又は掲載されたと認められる全国紙の記事(甲8、甲9)、主として申立人に関するインターネットの記事等(甲10?甲21、甲24、甲25)に、「ニューヨーク大学(NYU)」、「New York University=NYU」、「New York University(NYU)」、「NYU(ニューヨーク大学)」などと表記された。 (ウ)申立人は、2013年(平成25年)9月に東京において、ニューヨーク大学プロフェッショナル学部(NYU-SCPS)の「アメリカン・ランゲージ・インスティテュート(ALI)東京校」を開校し、同年10月から英語での授業を開始した(甲18、甲55)。申立人は、当該開校に際し、車内広告や看板広告を行った。これらの広告における「NYU」の表示は、「ニューヨーク大学」の文字等とかなり離れて表示されているものであったり、「New York University SPS-Tokyo Center」の文字のみで「NYU」の表示がないもの、あるいは、「NYU SPS」の文字のみが目立つ態様で表示され、「New York University」の文字がないものなどが多く見受けられる(甲52)。 イ 前記アで認定した事実によれば、申立人であるニューヨーク大学は、我が国においても、本件商標の登録出願日前より、高等学校や大学等の教育に関連する者の間には知られていたものと認めることができる。 しかしながら、申立人の略称についてみると、申立人の提出した証拠の多くを占める申立人に関するインターネット記事等は、一般の人たちが頻繁に閲覧をするとは考え難いものであるし、また、一般の人たちが目にするであろうと認められる車内広告や看板広告にしても、「NYU」の表示が申立人の略称を表したと認識し得るような態様とは認め難いものである。 したがって、「NYU」の表示が、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、申立人を指し示す略称として、我が国の一般的な人々の間に受け入れられ、広く知られていたとの事実を認めることはできない。 また、申立人の略称として表記される「NYU」が、「ニュ」と称呼されている事実を認めるに足りる証拠は見いだせない。 してみると、本件商標に接する我が国の一般世人が、その構成中に、申立人の略称を含むものと認識することはないというべきである。 したがって、本件商標は、申立人の著名な略称を含む商標ということはできないから、商標法第4条第1項第8号に該当しないものと認める。 (2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について ア 引用商標の周知・著名性 申立人の提出した証拠(甲62、甲66、甲68、甲70、甲74)によれば、申立人は、引用商標を付した被服について、本件商標の登録出願日前である2013年(平成25年)12月頃から日本の提携会社を通して販売を行っていたことが認められる。 しかし、引用商標を付した被服に関して、申立人が、本件商標の登録出願日前より、我が国において、その主たる需要者といえる一般の消費者に向け、各種メディアを通じて積極的に広告をしたという事実を明らかにする証拠は極めて少なく、さらに、本件商標の登録出願日前において、引用商標を付した被服が我が国でどの程度の販売数量・売上高があったのかも明らかではない。なお、申立人は、引用商標を付した被服の1年間の売上げは8000万円に達すると考えられる旨主張するが、これを裏付ける証拠の提出はない。 してみると、申立人の提出した証拠をもってしては、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、引用商標が、申立人の業務に係る商品「被服」を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 イ 本件商標と引用商標との比較 本件商標は、その構成文字に相応して、「ニュ」と称呼されるものであって、特定の観念を有しないものと認めることができる。 これに対して、引用商標は、申立人(New York University)の名称中の大文字で書された部分をとった「NYU」であり、前記(1)認定のとおり、これが「ニュ」と称呼されている事実を裏付ける証拠は見いだせないから、引用商標に接する需要者は、これを構成する各欧文字から生ずる「エヌワイユー」の称呼をもって商品の取引に当たる場合が多いとみるのが自然である。 したがって、引用商標は、「エヌワイユー」の称呼を生じるものであり、特段の観念を有しないものと理解されるとみるのが相当である。 してみると、本件商標と引用商標は、それぞれの構成よりみて外観上明らかに相違するばかりでなく、本件商標より生ずる「ニュ」の称呼と引用商標より生ずる「エヌワイユー」の称呼についても、その構成する音の数・音調等の差異により、これらの称呼をそれぞれ一連に称呼した場合においても、その語調、語感が著しく相違したものとなり、称呼上相紛れるおそれはない。また、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を有しないものであるから、観念上比較することができず、観念において類似するということはできない。 したがって、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 ウ 以上によると、本件商標は、商標法第4条第1項第10号にいう「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標」には該当しないというべきであり、また、本件商標の指定商品と引用商標が使用される商品の需要者が共通することを考慮しても、本件商標は、これに接する需要者をして、引用商標を想起又は連想させて商品の出所について誤認・混同を生じさせるものということはできないから、商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」にも該当しないというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当しないものと認める。 (3)商標法第4条第1項第19号及び同第7号について 本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、引用商標が、申立人の業務に係る役務「大学における教授」を表示するものとして、米国の需要者の間に広く知られていることは認め得るところである。しかし、引用商標が、申立人の業務に係る商品「被服」を表示するものとして、米国を含む外国の需要者の間に広く認識されていたとする事実を明らかにする証拠は極めて少なく、その事実を認めることはできない。 さらに、前記(2)イ認定のとおり、本件商標と引用商標は、その外観、称呼及び観念のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。 してみると、本件商標は、引用商標の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)をするなどの不正な目的をもって使用するものとはいえない。 また、本件商標は、国際信義に反し公の秩序を害するものとも認めることができない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同第7号に該当しないものと認める。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号、同第19号及び同第7号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2016-08-30 |
出願番号 | 商願2015-18530(T2015-18530) |
審決分類 |
T
1
651・
22-
Y
(W25)
T 1 651・ 25- Y (W25) T 1 651・ 222- Y (W25) T 1 651・ 271- Y (W25) T 1 651・ 23- Y (W25) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 今田 尊恵 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
堀内 仁子 田村 正明 |
登録日 | 2015-09-18 |
登録番号 | 商標登録第5793529号(T5793529) |
権利者 | 前田 一輝 |
商標の称呼 | ニュ |
代理人 | 飯田 貴敏 |
代理人 | 山本 健策 |
代理人 | 山本 秀策 |
復代理人 | 草深 充彦 |
代理人 | 井▲高▼ 将斗 |
代理人 | 森下 夏樹 |
代理人 | 石川 大輔 |
代理人 | 富樫 竜一 |