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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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無効2016890065 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W34 審判 全部申立て 登録を維持 W34 審判 全部申立て 登録を維持 W34 審判 全部申立て 登録を維持 W34 |
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管理番号 | 1319361 |
異議申立番号 | 異議2014-900237 |
総通号数 | 202 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2016-10-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2014-08-28 |
確定日 | 2016-09-12 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5673379号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5673379号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5673379号商標(以下「本件商標」という。)は、「CLARION」の文字を標準文字で表してなり、平成25年11月8日に登録出願、第34類「たばこ(未加工品又は加工品),スモーキングたばこ,パイプたばこ,手巻きたばこ,かみたばこ,スヌースを含むかぎたばこ,紙巻たばこ,電子たばこ,葉巻たばこ,シガリロ,その他のたばこ,シガレットチューブ,ライター,その他の喫煙用具,マッチ」を指定商品として、同26年4月22登録査定、同年5月30日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する商標は、別掲(1)ないし(5)のとおりのものである。以下、これらをまとめて「Clarion商標」という。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第8号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきものである旨申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第7号について 本件商標は、欧文字「CLARION」を標準文字で表したものであり、第34類「たばこ」等を指定している。 一方、申立人は、別掲のとおりの「Clarion商標」を、商品に付する以外に、看板やスポンサーシップで使用してきている。 申立人によるこのような広告・宣伝は、「たばこ」については条約、自主基準で規制されており、本件商標が「たばこ」等についての登録が維持された場合、需要者は、申立人による同様の広告・宣伝を商標権者による「たばこ」についての広告・宣伝であると誤信するおそれがあり、このような広告を禁止して、需要者を保護しようとする条約、自主基準を没却し、国際信義に反すると共に、社会公共の利益に反する。 したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であり、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。 (2)商標法第4条第1項第8号について 「Clarion商標」は、申立人の略称として40年以上にわたり使用されており、申立人の著名な略称として、広く一般に知られている。 したがって、本件商標は、この著名な略称を含んでいるので、申立人の承諾を得ずに登録された商標であり、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。 (3)商標法第4条第1項第15号について 「Clarion商標」は、申立人の商標として広く一般に知られている。 したがって、これと同一の構成文字及び称呼を有する本件商標が指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生じるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。 (4)商標法第4条第1項第19号について 「Clarion商標」は、申立人の商標及び申立人の著名な略称として広く知られており、業務上の高い名声、信用、評判が形成されている。 したがって、これと同一の構成文字及び称呼を有する本件商標がその指定商品に使用された場合、出所表示機能を希釈化させ、名声を毀損させるおそれがあり、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。 4 当審の判断 (1)本件商標 本件商標は、上記1のとおり、「CLARION」の文字を標準文字で表してなるところ、「CLARION」の文字は、「クラリオン(明解な響き渡る音色を持つ昔のらっぱ)」の意味を有する英語である(研究社新英和中辞典 第6版)。 (2)「Clarion商標」の周知性について 提出された証拠及び申立の理由によれば、以下の事実が認められる。 ア 申立人は、1940年(昭和15年)に「電池式家庭用ラジオ」を製造する「白山無線電機株式会社」として誕生し、「帝国電波株式会社」を経て、1970年に「クラリオン株式会社」に商号を変更し、英文名称を「CLARION CO.,LTD.」に変更し今に至っている(甲2-2、甲3-1)。 イ 申立人は、「帝国電波株式会社」の時代、1951年に日本初のカーラジオ、1964年にカーステレオ、1968年に日本初のカセットカーステレオを発売し、それらの商品には、「CLARION」の文字表示がされている(甲5-2、甲5-3、甲6)。 ウ 申立人は、1951年の日野ルノー向け純正ラジオ納入を皮切りに、日産、ホンダ、トヨタ自動車、アウディ等の日本のみならず世界の主要な自動車メーカーヘナビゲーション装置を始めとする多彩な自動車用車載機器を納入し、OEMビジネスを展開している(甲3)。 エ 申立人は、創業から70年近い歴史を経て、現在は、一般車向けに、ナビゲーションシステム(ソフトウェアを含む)をはじめとした、カーオーディオ製品及びスピーカー、車載カメラ等の、また、バス、トラックなどの商用車向けに、車載カメラ等の自動車用車載機器の製造・販売を行っている(甲2、甲3、甲7)。 オ 申立人は、日本においては、埼玉の本社を拠点として、浜松、名古屋、大阪、広島に営業所を有し、全国に支店を網羅させ、海外においては、1958年にアメリカ向けにカーラジオの輸出に成功し、1970年にマレーシアで初の工場を設立後、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、アジア地域に多数の現地法人を有している(甲3)。 カ 甲第7号証のカタログによれば、表紙及び裏表紙には、「Clarion商標」が表示され、裏表紙には、「クラリオン株式会社」の文字が表示されている。 また、カーオーディオ、ナビゲーションシステム、スピーカー等の商品自体にも、提出された証拠が不鮮明で判読できないものもあるが、おおむね「Clarion商標」が表示されている(甲7-1?29)。 キ 「CLARION」、「クラリオン」等の商標について、電気通信機械器具を中心として申立人の業務に係る商品及び役務に関して、商標登録を受け、その保護を図っている(甲8)。 ク 申立人は、海外においては「Clarion商標」を表示し宣伝・広告(甲11、甲12)を行い、日本においても電車内ディスプレイによる広告(甲13)を行い、申立人の本社、渋谷(旧本社)に「Clarion商標」を表示した看板を掲げている(甲14)。 また、日本において新聞に申立人に関する記事が掲載されている(甲16、甲17)が、「Clarion商標」の表示はなく、「クラリオン」と記載されている。 ケ 申立人は、OEM先の日野自動車株式会社、マツダ株式会社、三菱ふそうトラック・バス株式会社、ダイハツ工業株式会社、日産自動車株式会社から優れた技術力を称えられ表彰されている(甲17)。 また、フルデジタルスピーカーについては、「2013年度グッドデザイン賞」(日刊自動車新聞2013年10月4日付け記事)、「日刊自動車用品大賞」(日刊自動車新聞 2013年8月27日付け記事)を受賞している(甲15)。 コ 以上の事実によれば、申立人は、「Clarion商標」を付して、1951年以降長年にわたり、継続して、OEM及び一般向けに、ナビゲーションシステムをはじめとした、カーオーディオ製品及びスピーカー等の自動車用車載機器製造・販売を行うと共に広告等を行っていることから、「Clarion商標」は、自動車製造・販売業界の間で申立人の業務に係る自動車用車載機器を表示するものとして広く知られているものといえる。 ここで、自動車用車載機器、例えば、「カーナビゲーション装置」についてみると、自動車ユーザーが該装置を購入する状況としては、(a)新車購入時にいわゆる純正品(OEM供給を受けた製品を含む。以下同じ。)の設置を希望する場合のほか、(b)自動車購入後に装置を付け替えたい場合などが想定されるところ、(a)の場合は、OEMの供給元が申立人であったとしても、相手先ブランドによる生産であるから、「Clarion商標」が表示されておらず、また、(b)の場合は、昨今の製品の品質からすれば、装置自体の故障というより、自動車ユーザーの嗜好にあった装置に付け替えたいことが主な理由といえるから、この場合の需要者は、自動車用車載機器に興味を有する者というのが相当である。 そうすると、「Clarion商標」は、自動車製造・販売業界及び自動車用車載機器に興味を有する者の間で広く知られているといえるものではあるが、自動車用車載機器に興味を有する者を除いた、一般の自動車ユーザーの間においてまで広く知られているとはいえない。さらに、「Clarion商標」が、一般の自動車ユーザーの間においてまで広く知られていると認め得る証拠も見いだせない。 (3)商標法第4条第1項第8号該当性について ア 「CLARION」の文字が、申立人の略称として、申立人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かについて 申立人は、「クラリオン株式会社」であるが、申立人の主張する「CLARION」の文字が、申立人の略称であるとしても、上記(2)のとおり、「Clarion商標」は、一般の自動車ユーザーの間においてまで広く知られていると認め得る証拠も見いだせないから、「CLARION」の文字が、申立人の略称として、申立人を指し示すものとして一般に受け入れられていたとはいえない。 イ そうすると、本件商標は、商標法第4条第1項第8号にいう「他人の名称の著名な略称を含む商標」とはいえないから、同項第8号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第15号該当性について 上記(2)のとおり、「Clarion商標」は、自動車製造・販売業界及び自動車用車載機器に興味を有する者の間で広く知られているにとどまり、一般の自動車ユーザーの間においてまで広く知られているとはいえず、本件商標の指定商品と自動車用車載機器とは商品の関連性がないことに加え、本件商標を構成する「CLARION」の文字が既成語であることを合わせ考慮すれば、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生じるおそれはないというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (5)商標法第4条第1項第19号該当性について 本件商標が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものと認め得る証拠は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (6)商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標は、上記(1)のとおりの構成からなるところ、構成自体がきょう激、卑わい又は他人に不快な印象を与える文字とはいえず、また、本件商標をその指定商品について使用することが、社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するものともいえない。さらに、本件商標は、他の法律によりその使用等が禁止されているもの又は国際信義に反するものとはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 なお、申立人は、商品に付する以外の看板やスポンサーシップなどの広告・宣伝は、「たばこ」については条約、自主基準で規制されており、本件商標が「たばこ」等についての登録が維持された場合、需要者は、申立人による看板やスポンサーシップによる広告・宣伝を商標権者による「たばこ」についての広告・宣伝であると誤信するおそれがあり、このような広告・宣伝を禁止して、需要者を保護しようとする条約、自主基準を没却し、国際信義に反すると共に、社会公共の利益に反するから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録された旨を主張しているが、該規制は、「たばこ」に関する広告・宣伝を行う際の規制であって、他の商品の広告・宣伝にまで及ぶものではないから、申立人のこの主張は採用できない。 (7)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号のいずれにも違反して登録されたものではない。 したがって、本件商標は、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(Clarion商標) (1) (2) (3)(色彩は、原本参照) (4) (5)(色彩は、原本参照) |
異議決定日 | 2016-09-02 |
出願番号 | 商願2013-87489(T2013-87489) |
審決分類 |
T
1
651・
23-
Y
(W34)
T 1 651・ 22- Y (W34) T 1 651・ 222- Y (W34) T 1 651・ 271- Y (W34) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 藤村 浩二 |
特許庁審判長 |
土井 敬子 |
特許庁審判官 |
原田 信彦 大森 健司 |
登録日 | 2014-05-30 |
登録番号 | 商標登録第5673379号(T5673379) |
権利者 | 日本たばこ産業株式会社 |
商標の称呼 | クラリオン |
代理人 | 吉水 容世 |
代理人 | 吉原 省三 |