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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W41 審判 全部申立て 登録を維持 W41 |
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管理番号 | 1319351 |
異議申立番号 | 異議2016-900043 |
総通号数 | 202 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2016-10-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-02-15 |
確定日 | 2016-09-01 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5806810号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5806810号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5806810号商標(以下「本件商標」という。)は、「モナコボーイズ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成27年5月29日に登録出願、第41類「パチンコホールの提供,その他の娯楽施設の提供,パチンコホール用機械器具の貸与,パチンコ玉補給装置の貸与,パチンコ台の貸与,その他の遊技用器具の貸与」を指定役務として、同年10月21日に登録査定、同年11月13日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、商標法第4条第1項第7号及び同第16号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第27号証を提出した。 (1)申立人について 申立人は、1863年に設立されたモナコ公国の法律に基づく株式会社であり、現在、モナコ公国政府がその株式の約7割を保有するモナコ公国最大規模の半国営の会社である(甲5)。 そして、申立人は、モナコ公国において、カジノ、ホテル、湯治場、レストラン等を経営しており(甲6ないし甲10)、1863年から同国内におけるゲームに関する組織を独占する(遊戯特権)ゲームサービスを提供できる唯一の企業であることから(甲11)、本件商標の指定役務の分野において、モナコ公国における役務の提供事業者そのものといえる。 (2)商標法第4条第1項第7号該当性 本件商標は、片仮名で「モナコボーイズ」と記載された標準文字の構成からなり、その構成中、「モナコ」の語は、モナコ公国(通称モナコ)を意味する語として知られている(甲2)。 そして、本件商標の指定役務「パチンコホールの提供,その他の娯楽施設の提供,パチンコホール用機械器具の貸与,パチンコ玉補給装置の貸与,パチンコ台の貸与,その他の遊技用器具の貸与」は、広義における「賭博」として同視し得る「パチンコ」に密接に関連する役務といえ、モナコ公国において広く知られている「カジノ」と広義において共通性を有するものと考えられる。 また、本件商標に係る「モナコボーイズ」の語は、「モナコ(公国)の少年」という程の意味を有し、モナコ公国の通称である「モナコ」の文字をその構成中に含む商標であって、かかる商標を「カジノ」と広義において共通性を有する「パチンコ」事業に使用することから、本件商標はモナコ公国の名称を営利目的で使用する商標といえる。 そうとすると、「カジノ」事業と広義において共通性を有する「パチンコ」事業につき、日本国の一企業である本件商標の権利者に営利目的で、自己の商標として登録し、独占的に使用させるべきではなく、本件商標の存在は、モナコ公国の国民の感情を害するおそれがあり、また、モナコ公国の尊厳を守り、ひいては国と国との信頼関係を構築・維持していくとの国際信義の観点からも、許容されるべきではない。 そして、我が国において、「モナコ」の文字を含む商標の独占使用を認めることは、「モナコ公国」ないしは申立人と本件商標の権利者との関係性を想起させ、カジノをはじめとするリゾート地域として著名な「モナコ」の表示へのただ乗り(フリーライド)及び同表示の希釈化(ダイリューション)を生じさせるおそれがある。 また、過去の審決例等でも、著名な原産地統制名称であって、その使用が厳格に管理・統制されている世界的に著名な地名に関する商標は、商標法第4条第1項第7号に該当し登録できないと判断されている。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第16号該当性 本件商標は、上記1のとおりの構成からなり、「モナコ公国」を意味する著名な通称である「モナコ」という国家名を含むものである。 そして、本件商標の指定役務は、我が国における事業を前提としている以上、当該役務がモナコ公国において提供されることはない。 そうとすれば、本件商標の指定役務に「モナコ」の文字を含む本件商標を使用した場合、これに接する需要者において、世界的に著名な「Casino de Monte-Carlo」を有するモナコとの関連から、モナコとの何らかの関連性を有する役務であるかの如く認識させ、役務の質について誤認を生じさせるおそれがある。 また、過去の審決例等でも、著名な地名を含む商標をその指定商品に使用した場合に、これに接する需要者が該商品の品質、原材料、産地について誤認を生じさせるものとして商標法第4条第1項第16号に該当し登録できないと判断されている。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第16号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により、その登録を取り消されるべきである。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標は、上記1のとおり、「モナコボーイズ」の片仮名を標準文字で表してなり、その構成中「モナコ」の文字部分は、「ヨーロッパ南部の公国(モナコ公国)」の意味を、また、「ボーイズ」の文字部分は、「少年達」の意味を有する平易な片仮名語であることから、本件商標全体として「モナコ(公国)の少年達」ほどの意味合いを理解、認識されるものであり、これから生じる「モナコボーイズ」の称呼も冗長なものではなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。 そうとすると、本件商標は、「モナコボーイズ」の称呼及び「モナコの少年達」の観念を生じる一連一体の商標であると認識されるものである。 そして、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではなく、また、申立人提出の証拠からは、本件商標の出願の経緯に社会的相当性を欠くなどの事実、本件商標をその指定役務について使用することが、モナコ公国らとの関係において公正な取引秩序を乱し国際信義に反するものとすべき事情も見当たらない。 したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ということはできないから、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第16号該当性について 上記(1)で述べたとおり、本件商標は、構成全体が一体不可分の造語として認識、理解されるとみるのが相当あって、その構成中の「モナコ」の片仮名文字は直後に続く「ボーイズ」と一体となって「モナコの少年達」の観念を生じさせるものであり、該文字部分をもって、役務の提供地等、役務の質を表示するものと認識、理解されるとは考え難いものであるから、本件商標をその指定役務に使用しても、役務の質について誤認を生じさせるおそれはないものといえる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当するということはできないものである。 (3)申立人の主張について 申立人は、過去の審決例等においても、世界的に著名な地名に関する商標については、商標法第4条第1項第7号あるいは同項第16号に該当すると判断されていることから、本件商標についても同様に、同項第7号あるいは同項第16号に該当し、商標登録は取り消されるべきものである旨主張する。 しかしながら、申立人の挙げたこれらの事例は、いずれも本件商標とは、使用する商品又は役務が異なるものであるばかりか、商標の構成態様においても異なるものであるから、事案を異にするというべきであり、また、そもそも、他の事例の存在によって、本件の判断が左右されるものではない。 したがって、申立人の主張は、採用することができない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同項第16号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2016-08-23 |
出願番号 | 商願2015-51049(T2015-51049) |
審決分類 |
T
1
651・
22-
Y
(W41)
T 1 651・ 272- Y (W41) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 石塚 文子 |
特許庁審判長 |
田中 幸一 |
特許庁審判官 |
真鍋 伸行 酒井 福造 |
登録日 | 2015-11-13 |
登録番号 | 商標登録第5806810号(T5806810) |
権利者 | 株式会社日本オカダエンタープライズ |
商標の称呼 | モナコボーイズ、ボーイズ |
代理人 | 石橋 佳之夫 |
代理人 | 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK |