• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0914182425
審判 全部申立て  登録を維持 W0914182425
審判 全部申立て  登録を維持 W0914182425
管理番号 1319343 
異議申立番号 異議2016-900004 
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-01-04 
確定日 2016-09-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第5796012号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5796012号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5796012号商標(以下「本件商標」という。)は,「SPORTREK」の欧文字を標準文字で表してなり,平成27年5月29日に登録出願,同年9月4日に登録査定がされ,第9類「サングラス,その他の眼鏡,携帯電話用ストラップ,携帯電話カバーその他の携帯電話機用部品又は附属品,その他の電気通信機械器具,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,ダウンロード可能な音楽,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」,第14類「身飾品,時計,貴金属,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,キーホルダー,宝石箱,貴金属製靴飾り」,第18類「かばん類,袋物,傘,かばん金具,がま口口金,蹄鉄,愛玩動物用被服類,携帯用化粧道具入れ,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具」,第24類「タオル,ハンカチ,その他の布製身の回り品,織物,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製テーブルナプキン,ふきん,織物製トイレットシートカバー,織物製椅子カバー,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,どん帳」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同年10月2日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は,以下のとおりの商標である(以下,これらの商標を総称する場合は「引用商標」という場合がある。)。
(1)申立人が,自己の使用に係る商品「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」に使用している「TREK」の文字からなる標章(以下「引用商標1」という。)。
(2)登録第2381687号の1商標(以下「引用商標2」という。)は,「TREK」の欧文字を書してなり,昭和63年9月29日に登録出願,第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成4年2月28日に設定登録され,その後,商標権の一部放棄及び分割譲渡がされ,また,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,さらに,同16年7月7日に指定商品を第12類「二輪自転車用フレーム,二輪自転車用ハンドル,二輪自転車用ハンドルステム,二輪自転車用ハンドルの握り,二輪自転車用シートの支柱,二輪自転車用シート,二輪自転車用タイヤ,二輪自転車用タイヤチューブ,二輪自転車用ウオーターボトル,二輪自転車用ウオーターボトルかご,二輪自転車用荷台,二輪自転車用ラック,二輪自転車用修理用具,二輪自転車用キャリーラック,二輪自転車用かばん,二輪自転車用パック,二輪自転車用警報装置,二輪自転車用フェンダー,その他の二輪自転車およびその附属品」とする指定商品の書換登録がされているものであって,その権利は現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第8号,同項第10号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第35号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号について
ア 引用商標の周知性について
(ア)申立人の業務及び製造・販売に係る商品とその周知性
申立人は,米国において1976年に設立され,マウンテンバイクを世界で最初に製造したゲーリー・フィッシャーや自転車部品で需要者からの高い信頼を得ているボントレガーなどのブランドを傘下に持つ,世界最大規模の二輪自転車の製造・販売メーカーである。北米では1700以上の販売店を通じて,ヨーロッパやアジア圏では子会社や代理店を通じて自転車を販売しており,現在では,全世界90か国以上で自己の製造に係る自転車の販売を行っている(甲4,甲5)。
申立人が,1982年から生産に着手したロードレース用自転車分野においては,これまでに幾度ものツール・ド・フランス優勝に貢献しており,また,他の世界的なロードレースでもmadoneシリーズなどのトレックの上位モデルが優勝選手によって使用されていることからも,申立人の自転車は,プロの自転車競技者から絶大な信頼を得ており(甲4,甲5),今や日本を含む世界の自転車愛好家らがあこがれる世界的な自転車ブランドの一つとなっている(甲6,甲7)。
一方で,申立人は,世界的な自転車レースに出場する著名な自転車競技者が使用する,高性能で高額な「ハイエンド」な自転車(50万円以上の価格帯)から,アマチュアの自転車愛好家が使用する「ミドルレンジ」の自転車(20万円から40万円),さらには自転車競技初心者や広く一般向けの「エントリー」と呼ばれる比較的手ごろな価格帯の下位モデルの自転車(20万円以下)まで,幅広い需要者をターゲットとしたビジネスを世界規模で展開している(甲8,甲9)。
日本でも,高額・高性能なプロ向けの自転車のみならず(甲8,甲10),アマチュアの自転車愛好家や一般需要者向けの自転車が数多く販売されており(甲9,甲11?甲18),全国のプロショップと呼ばれる320店の自転車専門店の店長や自転車の取引者からの「TREK」ブランドへの信頼は絶大である(甲8,甲9,甲18)。
また,自転車愛好家の間でも「TREK」ブランドは,「今後1年間の購入予定のブランド」として2011年には1位,2013年でも5位となっており(甲19,甲20),2010年にはプロ100人が選ぶ「エントリー」分野の自転車でも1位に選ばれるなど(甲21),少なくとも2010年までには完全に一般の自転車愛好家の間でも「TREK」ブランドが広く浸透していることを示している。
さらに,インターネットのGoogle検索において「TREK」の文字でキーワード検索を行ってみたが,少なくとも上位1番目から7番目までは全て申立人の日本語ウェブサイトやトレック社の自転車の販売店に関する情報がヒットしてくるなど(甲22),市場において「TREK」といえば「トレック社の自転車(及び自転車関連商品)」又は「トレック社」を示すものとして広く浸透していることがうかがえる。
そして,現在では,申立人の日本の子会社であるトレック・ジャパン社のホームページ(甲23,甲24)や日本語カタログ(甲25?甲27)によれば,申立人の製造・販売に係る商品は,今やロードバイク,マウンテンバイク,シティバイクといった二輪自転車にとどまらず,ブレーキバー,フレーム,ライトなどといった自転車の部品・附属品から,アマチュアを含む自転車競技者が使用する自転車用シューズや自転車用ジャージなどといった運動用特殊靴や運動用特殊衣服にまで広がりを見せていることがわかる(甲26,甲28?甲30)。
特に,申立人は,「トレック・セガフレード」というプロロードレースチームを2011年から保有し(甲31,甲32),このレースチームで着用される自転車用ジャージや「TREK」のロゴ入り自転車用ジャージは,プロ野球チームやサッカーナショナルチームのユニフォームのように,多くの自転車専門店で取り扱われており(甲26,甲28?甲30),自転車愛好家たちに購入されていることがうかがえる。
(イ)申立人の「TREK」製品の日本及び世界における売上高・広告費
過去6年分の申立人の日本及び全世界におけるトレック社製品の総売上高及び申立人の日本及び全世界における広告費(甲33)をみると,申立人の宣伝広告費については,日本でも毎年2億円前後の広告費が費やされており,申立人製品は,自転車専門雑誌のみならず,一般雑誌に至るまで掲載されており(甲7?甲10,甲14?甲18,甲21,甲28,甲29),これらを見ても,申立人製品が,需要者に幅広く知られていることがうかがえる。
上記のとおり,申立人の過去6年分の売上高や宣伝広告費等の推移を見れば,申立人の商標「TREK」が,本件商標の登録出願時までには,米国内はもとより日本国内においても「需要者に広く知られた商標」であったことが容易に推測される。
(ウ)世界各国において申立人が保有する商標登録リスト
申立人は,引用商標「TREK」について,92の国と地域で合計170件の各国商標登録を有しており,これら各国直接出願に要したであろう費用を考慮すると,申立人の自己のブランドに対する強い権利意識と各国の商標登録を保持し続ける絶え間ない努力が見て取れる。
(エ)上記(ア),(イ)及び(ウ)で述べた申立人の業務の状況,日本や世界における売上高や宣伝広告費,さらに各国の商標登録の状況を,周知性を判断する基準に照らせば,申立人の引用商標が,本件商標の登録出願時までに,申立人の本国である米国を含む,少なくともツール・ド・フランスが放映されるような外国においては,「二輪自転車及びその部品・附属品,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」について,すでに周知であったことを示しており,また,我が国においても十分な周知性を有していたといえる。
イ 本件商標と引用商標の対比
本件商標は,「SPORTREK」の欧文字よりなり,「運動」を意味する「SPORT」の英単語と引用商標権者の名称の著名な略称である「TREK」を「T」を一つにして当該二つの語をつなぎ合わせた語であると把握できる。
そして,異議申立ての対象となっている,第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」については,「運動」を意味する本件商標中の「SPORT」の文字は識別力がないと考えられるため,残る「TREK」の文字部分が強い識別力を発揮する要部であると考えられる。
そうとすると,本件商標からは,強い識別力を発揮する「TREK」の文字部分に相応して,「トレック」の称呼が生じ,引用商標権者を示す「トレック社」の観念が生ずると判断するのが妥当である。
一方,引用商標1は,「TREK」の欧文字からなり,その構成から,「トレック」の称呼が生じ,上述のとおり,「TREK」が引用商標権者の名称の著名な略称であることから,引用商標権者を示す「トレック社」との観念が生ずる。
そうとすると,本件商標と引用商標1とは,称呼及び観念を共通にするものであるから,互いに類似する商標であるといえる。
よって,本件商標は,引用商標権者の業務に係る商品,すなわち「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標であって,その商品について使用するものであるといえるから,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標と引用商標1とが類似の関係にあること及び引用商標の周知性については,上記(1)で述べたとおりである。また,本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性についても,本件商標の指定商品中の「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」と申立人の引用商標1の使用商品とが同一であること,また,引用商標2の指定商品と強い関連性を有することは,上記(1)アで述べたとおりであり,取引者・需要者も完全に共通している。
イ 出所の混同について
上記アの事実を本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断をした場合,本件商標と引用商標とは,商標の主要部及び商品についてほぼ同一又は極めて類似している状況から,本件商標の指定商品中の「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」に接する取引者・需要者は,その商品の出所について,あたかも申立人又は申立人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると混同を生ずるおそれがあるというべきであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第8号について
申立人の名称は,「TREK BICYCLE CORPORATION(トレック バイシクル コーポレーション)であり(甲3),申立人の略称である「TREK」(又は「トレック」)の文字が,申立人の製造・販売に係る「二輪自転車及びその部品・附属品,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」の商標として広く知られていることは上述のとおりである。
さらに,「TREK」が申立人の名称の著名な略称として普通に使用されていることも明らかである。
よって,本件商標は,申立人の名称の著名な略称である「TREK」の文字を含む商標であるから,本件商標は商標法第4条第1項第8号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の提出に係る甲各号証及び申立人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(ア)申立人は,米国に本社を置く自転車の製造・販売メーカーであり,1976年の創業以来,北米・ヨーロッパ・アジアの子会社・代理店などを通じて,全世界90か国以上で販売を行っていること(甲4,甲5)。
(イ)申立人は,自転車競技者が使用する高性能で高額な「ハイエンド」な自転車(50万円以上の価格帯)から,アマチュアの自転車愛好家が使用する「ミドルレンジ」の自転車(20万円から40万円),さらには自転車競技初心者や広く一般向けの「エントリー」と呼ばれる比較的手ごろな価格帯の下位モデルの自転車(20万円以下)までの需要者をターゲットとした商品を製造・販売しており(甲8,甲9),我が国においても,高額・高性能なプロ向けの自転車のみならず(甲8,甲10),アマチュアの自転車愛好家や一般需要者向けの自転車が販売されていること(甲9,甲11?甲18)。
(ウ)「CYCLE MODE international 2011」及び「CYCLE MODE international 2013」の購入予定ブランドアンケートで,1位及び5位となったこと(甲19,甲20)。
(エ)申立人の子会社であるトレック・ジャパン社のホームページ及び雑誌等によれば,我が国においては,申立人の二輪自転車(マウンテンバイク,ロードバイク等)及びその部品・附属品(ブレーキバー,フレーム,ライト等)から自転車競技者が使用する自転車用シューズや自転車用ジャージなどといった運動用特殊靴や運動用特殊衣服が販売されていること(甲23?甲30)。
イ 以上によれば,申立人は,会社設立の1976年以降,今日まで北米を中心に90か国以上の国において,引用商標を使用した二輪自転車(マウンテンバイク,ロードバイク等)を製造・販売していることが認められる。
しかしながら,申立人の製造・販売する二輪自転車は,ロードレース用のロードバイク,野山や林道を走るのに適したマウンテンバイク及びロードバイクとマウンテンバイクを組み合わせたクロスバイクであり,一般の二輪自転車と異なり,やや特殊な自転車ということができ,その販売価格も100万円以上のものも含め10万円以上と高額なものが多く,子供用のものを除けば最も安いものでも6万円前後であり,加えて,トレック・ジャパン社のホームページ(職権調査)によれば,申立人の二輪自転車は,我が国においては,トレック専門店及び正規販売店のみで販売されていることからすれば,一般の消費者を対象として広く販売されているとはいえないものである。
また,購入予定ブランドアンケートは,その回答人数が,それぞれ2011年は157人,2013年は36人にすぎないものである。
そして,申立人の提出に係る甲各号証の雑誌のうち,本件商標の登録出願時前に発行されたものは,2009年(平成21年)5月から2014年(平成26年)12月発行の9誌(甲7,甲9,甲14?甲18,甲21,甲29)にすぎないものであり,また,提出されている雑誌の多くが自転車関係の専門誌であって,その購読者も自転車愛好家等に限定されるというべきものである。
加えて,申立人は,自転車競技者が使用する自転車用シューズや自転車用ジャージ等の運動用特殊靴・運動用特殊衣服を販売していることは認められるが,これらの商品の取引の実情は明らかでなく,申立人がロードバイク等の自転車メーカーとして一定程度知られているとしても,自転車用シューズや自転車用ジャージ等をも取り扱っていることが広く知られているとまではいい難い。
さらに,申立人の主張によれば,日本国内での2010年?2015年の申立人製品の総売上高は約40億円前後,日本国内の広告費は約2億円前後(甲33)であるが,二輪自転車の分野における市場占有率(シェア),宣伝広告費の詳細などは明らかにされていない。
そうとすれば,引用商標は,我が国においてマウンテンバイク等の限られた分野に興味がある者や当該自転車愛好家,同競技者の間において,申立人の業務に係る商品を表示する標章若しくは申立人の略称として認識されているにとどまるものというべきであって,その範囲を超えて,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,本件商標の指定商品の取引者,需要者の間で広く認識されているとまではいうことができない。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
ア 本件商標は,上記1のとおり,「SPORTREK」の欧文字を標準文字で横書きしてなるところ,同じ書体,同じ大きさ,同じ間隔をもってまとまりよく一連に表されているものであり,全体としてもまとまりよく表され,外観上「TREK」の文字部分が他の部分から独立して強調されていると見られる態様ではない。また,「SPORTREK」の文字よりなる本件商標の構成文字全体に相応して生じる「スポートレック」の称呼は,無理なく一連に称呼し得るものである。
また,「SPORTREK」の文字は,辞書類に掲録されている成語又は特定の意味を有する語として一般に親しまれているものではないから,造語として理解されるものである。
そうすると,本件商標は,その構成全体をもって一体不可分の造語として認識し把握されるとみるのが自然であり,その構成文字全体に相応して「スポートレック」の称呼のみを生じ,特段の観念を生じないものである。
一方,引用商標1は,「TREK」の文字よりなるものであるから,その構成文字に相応して「トレック」の称呼を生じるものであって,該文字は「(骨折って長い距離を)歩く。」(研究社 新英和大事典)の意味を有するものの,我が国において,該意味合いをもって広く親しまれて使用されているとまではいえない語であるから,特定の観念を生じないとみるのが相当である。
そこで,本件商標と引用商標1とを比較するに,本件商標と引用商標1の構成は,上記のとおり,「SPOR」の文字の有無の差異を有するから,外観上明らかに区別し得るものである。
また,本件商標より生じる「スポートレック」の称呼と引用商標1より生じる「トレック」の称呼とを比較すると,両者は,音構成,構成音数に顕著な差異を有するものであるから,称呼上明らかに聴別し得るものである。
さらに,本件商標及び引用商標1は,共に特定の観念が生じないから,両者はその観念において比較することができず,相紛れるとする実情は見いだせない。
以上からすれば,本件商標と引用商標1とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
イ 上記(1)のとおり,引用商標1は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国において,申立人の業務に係る商品を表すものとして需要者の間に広く認識されていたと認めることができないものであり,しかも,本件商標と引用商標1とは,上記アのとおり,相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,我が国の需要者の間で広く認識されていたとはいえないものである。
また、上記(2)のとおり,本件商標と引用商標1とは非類似の商標であるから,その認定判断と同様に,引用商標1と同じ構成からなる引用商標2も本件商標とは非類似の商標であるといえる。
そうすると,本件商標は,その指定商品に使用されても,取引者・需要者において,申立人や引用商標を連想,想起するということができないから,その商品が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるということはできないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第8号該当性について
本件商標は,「SPORTREK」の欧文字を標準文字で表してなるところ,前記(2)アのとおり,該文字は,全体としてまとまりよく一体的に表わされ,その構成全体から生ずる「スポートレック」の称呼も,無理なく一連に称呼できるものであって,その構成全体をもって,一体不可分のものと認識,把握されるものというべきであり,殊更,その構成中の「TREK」の文字のみが独立して認識されるとは考え難く,申立人の略称としての「TREK」の文字を含むものとして把握され,当該申立人を想起・連想させるとはいい難いものである。
また,前記(1)に記載のとおり,申立人の提出に係る証拠によっては,「TREK」の欧文字は,申立人を指し示す「著名な略称」ということはできないものであるから,本件商標の構成中の「TREK」の文字部分は,これに接する者に,申立人を想起・連想させるということができない。
そうとすれば,本件商標は,たとえ,その構成中に「TREK」の欧文字を有するものであっても,当該文字は申立人の略称として著名であるということができないものであり,本件商標は,他人の著名な略称を含む商標とはいえないから,商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(5)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第8号,同項第10号及び同項第15号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-08-22 
出願番号 商願2015-50989(T2015-50989) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W0914182425)
T 1 651・ 23- Y (W0914182425)
T 1 651・ 25- Y (W0914182425)
最終処分 維持  
前審関与審査官 青野 紀子 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 中束 としえ
平澤 芳行
登録日 2015-10-02 
登録番号 商標登録第5796012号(T5796012) 
権利者 株式会社ワールド
商標の称呼 スポートレック、スポーツレック、レック、アアルイイケイ 
代理人 瀧野 文雄 
代理人 瀧野 秀雄 
代理人 今井 貴子 
代理人 藤田 朗子 
代理人 奥田 利枝子 
代理人 松本 尚子 
代理人 江成 文恵 
代理人 川崎 隆夫 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ