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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W2535
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W2535
審判 査定不服 外観類似 登録しない W2535
管理番号 1319307 
審判番号 不服2015-22379 
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-21 
確定日 2016-09-09 
事件の表示 商願2015-22376拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第25類及び第35類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成27年3月12日に登録出願されたものである。
その後,本願の指定商品及び指定役務については,当審における平成27年12月21日付けの手続補正書により,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に補正されたものである。

2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下の(1)ないし(4)のとおりであり,それぞれ,現に有効に存続しているものである(なお,本願商標の指定商品及び指定役務と抵触する商品及び役務には,合議体が下線を付した)。
(1)登録第1011321号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲2のとおり,「トラヤ」の片仮名を横書きしてなり,昭和44年8月29日に登録出願,第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,昭和48年5月1日に設定登録され,その後,平成16年9月1日に,指定商品を第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着,寝巻き類」とする指定商品の書換登録がなされたものである。
(2)登録第1677620号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲3のとおり,「TORAYA」の欧文字を横書きしてなり,昭和56年11月14日に登録出願,第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,昭和59年4月20日に設定登録され,その後,平成16年12月22日に,指定商品を第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」,第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」,第24類「かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着,寝巻き類」とする指定商品の書換登録がなされ,また,平成26年4月8日に,商品及び役務の区分を第25類とする商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
(3)登録第4762885号商標(以下「引用商標3」という。)は,別掲4のとおり,「とらや」の平仮名を横書きしてなり,平成15年7月22日に登録出願,第21類「デンタルフロス,ガラス基礎製品(建築用のものを除く。),かいばおけ,家禽用リング,魚ぐし,おけ用ブラシ,金ブラシ,管用ブラシ,工業用はけ,船舶ブラシ,家事用手袋,ガラス製又は陶磁製の包装用容器,なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く。),携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。),卵立て(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,アイロン台,霧吹き,こて台,へら台,湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく消し及びろうそく立て(貴金属製のものを除く。),家庭用燃え殻ふるい,石炭入れ,はえたたき,ねずみ取り器,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,じょうろ,愛玩動物用食器,愛玩動物用ブラシ,犬のおしゃぶり,小鳥かご,小鳥用水盤,洋服ブラシ,寝室用簡易便器,トイレットペーパーホルダー,貯金箱(金属製のものを除く。),お守り,おみくじ,紙タオル取り出し用金属製箱,靴脱ぎ器,せっけん用ディスペンサー,花瓶及び水盤(貴金属製のものを除く。),風鈴,ガラス製又は磁器製の立て看板,香炉,電気式歯ブラシ,靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー,コッフェル,ブラシ用豚毛」を指定商品として,平成16年4月9日に設定登録されたものである。
(4)登録第5188135号(以下「引用商標4」という。)は,別掲5のとおり,「TORAYA」の欧文字を横書きしてなり,平成19年5月30日に登録出願,第35類「風呂敷・袱紗の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,その他の身の回り品(「つけづめ・つけまつ毛・ひげそり用具入れ・ペディキュアセット・まつげカール器・マニキュアセット・耳かき・携帯用化粧道具入れ・化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)・つけあごひげ・つけ口ひげ・ヘアカーラー(電気式のものを除く。)」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,その他の飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楊枝の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,コースターの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,その他の台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,懐紙の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,その他の紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,平成20年12月12日に設定登録されたものである。
以下,これらをまとめていうときは「引用商標」という。

3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成からなるものであるところ,その構成は,何らかの動物とおぼしき図形の内部に,多少デザインされているものの,明らかに平仮名の「とらや」と容易に判読可能な文字が表示されているものであり,上記図形と「とらや」の文字とを結合したものといえる。
そして,その構成中の図形は,直ちに特定の動物を表すものとして一般に認識されているものとは認められないものである。一方,構成中の「とらや」の文字は,その構成文字に相応して「トラヤ」の称呼を生じるものであり,また,該文字は,本願商標の指定商品・指定役務との関係において,取引者・需要者が直ちに特定の意味合いを理解するともいい難いことから,該文字部分から特定の観念を生じないというのが相当である。
そうすると,本願商標を構成する図形部分と文字部分には,意味合いや称呼における密接な関連性を認めることはできないものであり,いずれも識別力を有するものであって,簡易・迅速を尊ぶ取引の実際にあっては,本願商標に接する取引者・需要者は,本願商標構成中の,読みやすい文字部分「とらや」の平仮名を記憶し,該文字部分を捉えて取引する場合も決して少なくないといえる。
してみると,本願商標は,その構成中の「とらや」の文字部分を要部として抽出し,これを引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
したがって,本願商標は,構成中の「とらや」の文字に相応して「トラヤ」の称呼を生じ,また,特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
ア 引用商標1は,上記2(1)のとおり,「トラヤ」の片仮名を横書きしてなるものであり,また,引用商標2及び引用商標4は,上記2(2)及び(4)のとおり,「TORAYA」の欧文字を横書きしてなるものであるから,引用商標1,引用商標2及び引用商標4は,それぞれの構成文字に相応して「トラヤ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標3は,上記2(3)のとおり,「とらや」の平仮名を横書きしてなるものであるから,その構成文字に相応して「トラヤ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標の類否について
ア 本願商標の「とらや」の文字部分と引用商標1,引用商標2及び引用商標4について
本願商標の要部である「とらや」の文字部分と引用商標1,引用商標2及び引用商標4は,上記(1)及び(2)アのとおり,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念において比較し得ないが,「トラヤ」の同一の称呼を生じる。
そして,外観においては,本願商標の文字部分と引用商標1,引用商標2及び引用商標4とは,平仮名,片仮名又は欧文字における相違があるところ,商標の使用において,これらの文字を相互に変更することが一般に行われていることからすると,両者は,外観においては文字種が異なるとしても,商品等の取引において,広く相互に使用される文字であるから,紛らわしいものとなる。
したがって,本願商標の「とらや」の文字部分と引用商標1,引用商標2及び引用商標4の外観,観念,称呼等によって取引者・需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
イ 本願商標の「とらや」の文字部分と引用商標3について
本願商標の要部である「とらや」の文字部分と引用商標3は,上記(1)及び(2)イのとおり,両者が特定の観念を生じないことから,観念において比較し得ないとしても,共に平仮名からなるものであり,「トラヤ」の同一の称呼を生じるものであるから,類似の商標と認められる。
ウ 小括
したがって,本願商標は,引用商標に類似する商標というべきであり,また,本願商標の指定商品及び指定役務は,上記2において下線で示す引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)請求人の主張について
ア 請求人は,「本願商標は主に図形からなり,文字は全体の十分の一程度を占めるにすぎず,文字は外観構成上図形と一体であるから,図形が特異な形態であることも鑑みれば,単に文字が判読できるからといって,該文字が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるということはできない。」旨,また「本願商標及び引用商標の指定商品『被服』等の需要者は,自ら商品を手に取り,ブランド,デザイン,色,サイズ,素材等を確かめて商品を購入し,取引者は商品の品番等により取引を行うし,また,上記商品を取扱商品とする小売等役務では,需要者は,自ら品揃え,接客を確認して店舗を選択し,取引を行うので,本願商標の称呼のみをもって取引に当たることはない。」旨主張する。
しかしながら,上記(1)のとおり,本願商標は,図形と文字とを結合し
た商標であることは明らかであり,また,本願商標の図形部分は特定の称呼及び観念を生じるものではない上,図形部分と文字部分には称呼及び観念上のつながりも見いだせず,これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。
また,本願商標の指定商品及び指定役務に係る取扱い商品は,慎重な取引がされるような格別高価なものばかりでなく,簡易,迅速が尊ばれる取引の実際にあっては,本願商標は,必ずしも常に構成全体によって観念され,記憶されるとは限らず,これに接する取引者・需要者が,構成中の称呼しやすい平仮名に着目し,これより生じる称呼及び観念をもって取引に資されることも少なくないというべきである。
したがって,本願商標は,その構成中の文字部分が独立して商品又は役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものであるから,本願商標に接する取引者・需要者は,その構成中の「とらや」の文字から生じる称呼,観念によって取引するものと判断するのが相当である。
なお,請求人は,本願商標の図形部分について,すでに商標登録を受けていることを挙げるとともに,「本願商標は,文字と図形がデザイン上一体に構成され,本願商標全体で『虎マーク』や『とらやマーク』の観念を生ずるため,文字と図形とを分離して観察することは取引上不自然である。」旨主張するが,請求人提出の証拠を見ても,本願商標全体及びその図形部分が,特定の観念をもって取引されている実情を把握することはできない。
したがって,請求人の上記主張は採用できない。
イ 請求人は,「遅くとも1965年には,本願商標の図形と同視できる標章の使用を開始し,現在,本願商標を使用する店舗数は静岡県内を中心に約30にのぼる。また,本願商標をトップページに付した請求人のウェブサイトへの訪問者数は,月平均7500前後に上る。よって,本願商標は長年にわたり,静岡県内や近隣県の店舗,ウェブサイト等で使用され,需要者の間に広く認識されているから,確固たる出所表示機能を有し,引用商標とは異なる印象,記憶,連想等を需要者に与えるものである。」旨主張し,資料1ないし資料7を提出する。
しかしながら,登録商標の効力の範囲は日本全国に及ぶものであるところ,本願商標の指定商品及び指定役務に係る取引者・需要者が特定の地域に限定されるものではないから,請求人が主張する上記使用実績を最大限考慮したとしても,本願商標の構成が一体のものとして,その指定商品及び指定役務に係る取引者・需要者の間において,広く知られるに至っているものとは認められない。そして,上述のとおり,本願商標は,その構成中の文字部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるものである。
したがって,請求人の上記主張は採用できない。
(5)まとめ
以上のとおりであるから,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)


別掲2(引用商標1)


別掲3(引用商標2)


別掲4(引用商標3)


別掲5(引用商標4)


審理終結日 2016-07-07 
結審通知日 2016-07-11 
審決日 2016-07-29 
出願番号 商願2015-22376(T2015-22376) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W2535)
T 1 8・ 263- Z (W2535)
T 1 8・ 262- Z (W2535)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 謙司 
特許庁審判長 堀内 仁子
特許庁審判官 田村 正明
小林 裕子
商標の称呼 トラヤ 
代理人 堀 明▲ひこ▼ 

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