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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 |
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管理番号 | 1318267 |
異議申立番号 | 異議2016-900078 |
総通号数 | 201 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2016-09-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-03-28 |
確定日 | 2016-08-25 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5816039号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5816039号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5816039号商標(以下「本件商標」という。)は、「SUNTORY」の欧文字と「みぞれ」の平仮名を二段に横書きしてなり、平成27年5月7日に登録出願、同年12月2日に登録査定がされ、第33類「削り氷に蜜をかけた飲物(みぞれ)の風味を有する洋酒,削り氷に蜜をかけた飲物(みぞれ)の風味を有する果実酒,削り氷に蜜をかけた飲物(みぞれ)の風味を有する酎ハイ」を指定商品として、同年12月25日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5588856号商標(以下「引用商標」という。)は、「みぞれ」の平仮名と「MIZORE」の欧文字を二段に横書きしてなり、平成24年8月1日登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同25年6月7日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 1 本件商標の理解 (1)本件商標は、「SUNTORY」の文字と「みぞれ」の文字が、上下二段に分断して配され、かつ、これらは文字の太さを違えて表されてなるから、外観上、上段と下段の文字がそれぞれ分離・独立して看取されるものであり、かつ、商標全体として、既成語等ではなく、意味の一体性も見出せないから、これらの文字を常に一体のものとして把握すべき格別の事情は存しない。 (2)さらに、「SUNTORY」の文字は、本件商標権者であるサントリーホールディングス株式会社のハウスマークとして良く知られたものである。 本件商標の指定商品である酒類の取扱い業界にあっては、ハウスマークやファミリーブランドと、個別銘柄を併記・併用することは広く行われており、それぞれの部分が商品の出所商品識別標識として機能している実情があることは、周知の事実である。 してみれば、下段に分離して表された「みぞれ」の文字は、「SUNTORY」のハウスマークの下で展開される個別銘柄と把握され、この部分もまた、独立して出所識別標識としての機能を果たすとみるのが妥当である。 (3)商標の構成中、顕著に表された「みぞれ」の文字は、それ自体、十分自他商品識別力を具えたものである。 「みぞれ」の文字の語義は、「広辞苑 第六版」によれば、「(1)雪がとけかけて雨まじりに降るもの。氷雨。(2)削り氷に蜜をかけた飲み物。」として掲載されている。 また、用語検索ウェブサイト「コトバンク」による検索結果によれば、「デジタル大辞泉」では、「(1)雪が空中でとけかかって、雨とまじって降るもの。ひさめ。(2)かき氷に蜜をかけたもの。」とされており、「和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典」では、「(1)砂糖みつをかけたかき氷。(2)すりおろした大根やかぶを用いる料理や調味料に冠する言葉。特に、大根。みぞれ和え・みぞれ鍋・みぞれ酢などがある。(3)道明寺粉やしんきび粉を用いる料理や菓子に冠する言葉。特に道明寺粉。みぞれ揚げ・みぞれかんなどがある。◆みぞれの白い色、雨と雪が混じったさま、舞い散るさまなどに見立てていう。」とされており、「大辞林 第三版」では、「(1)雪が空中で解けかけて雨まじりに降るもの。ひさめ。冬の初めや終わりに多い。(2)かき氷に蜜をかけた食べもの。(3)〔(1)のように見えるところから〕大根下ろしのこと。」とされている(甲3)。 これらよりみれば、「みぞれ」の文字より、第一に想起されるのは、日常よく親しまれた「雪がとけかけて雨まじりに降るもの。氷雨。」の意味といえ、これと見た目が似ていることから派生した「かき氷に蜜をかけた食べもの」の意味合いを表すことがあるとしても、あくまでも食べ物を指称する語であって、飲み物ではなく、まして、本件商標の指定商品の分野のアルコール飲料でもないから、商品の品質を記述するものでない。 また、料理の分野においては、同様に見た目が似ていることから派生した、大根おろし等のすりおろした白い食材を使用する料理などに「みぞれ○○」と冠して使用することがあるとしても、「みぞれ」の文字単独では、飲料、特に、本件商標の指定商品の分野のアルコール飲料について、普通に使用される語ではないから、商品の品質を記述するものでない。 なお、「広辞苑」の「削り氷に蜜をかけた飲み物。」との語義の記載は、具体的にいかなる「飲み物」のことを指すのか不明であるといわざるをえない。 そうとすれば、本件商標中の「みぞれ」の文字は、本件商標の指定商品の分野のアルコール飲料について使用される場合、日常よく親しまれている「雪がとけかけて雨まじりに降るもの。氷雨。」の意味を第一に理解させるものであって、何ら商品の直接的・具体的品質表示とはいえず、それ自体、強い自他商品識別力を有するものである。この点は、引用商標が登録されていることからも明らかである。 (4)本件商標の指定商品「削り氷に蜜をかけた飲物(みぞれ)の風味を有する洋酒,削り氷に蜜をかけた飲物(みぞれ)の風味を有する果実酒,削り氷に蜜をかけた飲物(みぞれ)の風味を有する酎ハイ」の表示は、「広辞苑」の記載に倣ったものと思われるが、削り氷用の蜜にも単純な白蜜から各種フルーツ風味のもの、さらには「スカイブルー」と呼ばれる風味まで、様々な風味のものがあり、「削り氷に蜜をかけた飲物の風味」とは、いかなる風味を指しているのか特定できないといわざるをえない。 仮に、一般に、透明の砂糖蜜をかけた削り氷として把握される「みぞれ」を指そうとしているのであれば、食べ物であって「飲物」ではなく、本件商標の指定商品の表示は、商品の内容及び範囲を明確に示したものではない。 してみれば、本件商標の指定商品の「削り氷に蜜をかけた飲物(みぞれ)の風味を有する洋酒,削り氷に蜜をかけた飲物(みぞれ)の風味を有する果実酒,削り氷に蜜をかけた飲物(みぞれ)の風味を有する酎ハイ」の表示によっては、商品の内容及び範囲が特定できないから、「みぞれ」の文字は、当該指定商品の品質を表したものとはいえず、自他商品識別力を有する。 (5)以上の点より、本件商標は、独立して出所識別標識としての機能を果たす下段の「みぞれ」の文字から、「ミゾレ」の称呼と、「雪がとけかけて雨まじりに降るもの。氷雨。」等の観念を生じるといえる。 2 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、上記のとおり、構成中「みぞれ」の文字から、「ミゾレ」の称呼と、「雪がとけかけて雨まじりに降るもの。氷雨。」等の観念を生じる。 これに対し、引用商標は、上記のとおり、「みぞれ」と「MIZORE」の文字よりなるから、これに照応した「ミゾレ」の称呼と、「雪がとけかけて雨まじりに降るもの。氷雨。」等の観念を生じる。 してみれば、本件商標は、引用商標と、「ミゾレ」の称呼と「雪がとけかけて雨まじりに降るもの。氷雨。」等の観念を共通にする類似の商標であって、その指定商品も抵触するから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。 なお、出願人は、審査における意見書において、「みぞれ酒」と呼ばれる酒があることを根拠に、「みぞれ」の文字は識別力を有しないと主張している。「麹をそのままみぞれのように浮かべている酒。」又は「『過冷却の作用』を用いた、注いだ時に『みぞれ状になる商品』」が「みぞれ酒」(霙酒)と呼ばれており、「みぞれ酒」の語が商品の品質を表示するものであることは否定するものではないが、本件商標の構成中に表されているのは「みぞれ」であって、「みぞれ酒」ではなく、単に「みぞれ」といえば、前記した意味合いを表すものであって、「みぞれ酒」とは別異の観念を生じるものである。したがって、「みぞれ酒」の存在は、「みぞれ」の文字の識別力を否定するものではない。 また、業界の取引実情に照らしてみても、仮に、本件商標と引用商標を非類似とすると、ハウスマークやファミリーブランドと、個別銘柄を併記・併用することが広く行われている酒類の取引実情にあって、ハウスマークやファミリーブランドを個別銘柄の商品商標に付加すれば、他者の先行登録している個別銘柄の商品商標に非類似となり、先行の他者が個別の商品識別標を通じて形成した市場に混乱をもたらすといわざるを得ない。 酒類メーカーのハウスマークやファミリーブランド等を併記や添記した個別銘柄として使用されている商品と同一の個別銘柄だけを、第三者が単体で出願して登録することを許し、当該個別銘柄商品が、ハウスマークの酒類メーカーの商品あるいはファミリーブランド等のグループ商品ではないかとの誤認混同を生じさせるほど相紛らわしい事態を招来する。 上記の取引事情のある酒類等については、ハウスマークやファミリーブランドが付加された商標と付加されていない商標を類似とすることを徹底することによって、事業者のブランド保護と、消費者の混同回避を図ることが、商標法の立法趣旨に適い、妥当なものと思料する。 3 商標法第4条第1項第16号について 仮に、本件商標中の「みぞれ」が「削り氷に蜜をかけた『飲物』」のことを表し、この意味合いを認識させるというのであれば、「みぞれ」の文字を含む本件商標を、アルコール飲料である本件指定商品に使用する場合、非アルコール飲料の「みぞれ」と、商品の品質につき誤認を生じさせるおそれがある。 第4 当審の判断 申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同項第16号に該当すると主張しているので、以下検討する。 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、「SUNTORY」の欧文字と「みぞれ」の平仮名を二段に書してなるものである。 そして、本件商標の構成中、「みぞれ」の文字は、「雪がとけかけて雨まじりに降るもの。削り氷に蜜をかけた飲物。」(株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)の意味を有するものであるところ、本件商標の指定商品「削り氷に蜜をかけた飲物(みぞれ)の風味を有する洋酒,削り氷に蜜をかけた飲物(みぞれ)の風味を有する果実酒,削り氷に蜜をかけた飲物(みぞれ)の風味を有する酎ハイ」との関係においては、該文字部分は、取引者、需要者に、その商品が「みぞれの風味を有するもの」であることを表したものと直ちに理解、認識させるといい得るものである。 そうすると、本件商標の「みぞれ」の文字部分は、その指定商品に使用する場合、「みぞれの風味を有する商品」であると理解、認識させるにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないか又は極めて弱いものとみるのが相当である。 他方、本件商標の構成中、「SUNTORY」の文字部分は、本件商標の商標権者である「サントリーホールディングス株式会社」の代表的出所標識として、需要者の間に広く認識されているものである。 してみると、本件商標は、その指定商品に使用する場合、「みぞれ」の文字部分のみをもって、取引に資されるということはできないものであり、また、「SUNTORY」の文字部分が、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであるから、本件商標の構成全体から生じる「サントリーミゾレ」の称呼のほか、「サントリー」の称呼をも生じ、それぞれに相応して「サントリーのみぞれの風味を有する商品」又は「(本件商標の商標権者の代表的出所標識である)サントリー」の観念を生じるとするのが相当である。 (2)引用商標について 引用商標は、「みぞれ」の平仮名と「MIZORE」の欧文字を二段に書してなるものであるから、「ミゾレ」の称呼が生じ、当該文字が有する一般的な意味合いから、「雪がとけかけて雨まじりに降るもの」の観念を生じるものである。 (3)本件商標と引用商標の類否について 本件商標と引用商標を比較すると、外観については、本件商標は、その上段部に「SUNTORY」の欧文字があるのに対し、引用商標は、その下段部分に「MIZORE」の欧文字があることから、両者は明確に区別されるものである。 また、称呼については、本件商標から生じる「サントリーミゾレ」又は「サントリー」の称呼と、引用商標から生じる「ミゾレ」の称呼とは、その音構成及び構成音数において明らかな差異を有するから、明瞭に聴別できるものである。 さらに、観念については、本件商標は「サントリーのみぞれの風味を有する商品」又は「(本件商標の商標権者の代表的出所標識である)サントリー」の観念を生じるものであるのに対し、引用商標は「雪がとけかけて雨まじりに降るもの」の観念を生じるものであるから、両者は、相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。 したがって、本件商標は、引用商標と同一又は類似の商標ではないから、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。 2 商標法第4条第1項第16号該当性について 本件商標は、上記1のとおり、その構成中、「みぞれ」の文字部分が、本件商標の指定商品との関係において、取引者、需要者に、「みぞれの風味を有する商品」であると直ちに理解、認識させるものであるところ、その指定商品は、上記第1のとおり、みぞれ風味を有する商品に限定されていることから、本件商標をその指定商品に使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるとはいえないと判断するのが相当である。 なお、申立人は、「みぞれ」の文字部分から、非アルコール飲料の「削り氷に蜜をかけた『飲物』」であると認識させるなら、本件商標を、アルコール飲料である本件商標の指定商品に使用すると、商品の品質について誤認を 生じさせるおそれがある旨述べているが、上記1のとおり、本件商標の指定商品に使用する場合には、「みぞれ」の文字部分は、取引者、需要者に、「みぞれの風味を有する商品」であると理解、認識させるものであるから、申立人の主張はその前提を欠くものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当するものではない。 3 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第16号のいずれにも違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2016-08-16 |
出願番号 | 商願2015-43017(T2015-43017) |
審決分類 |
T
1
651・
272-
Y
(W33)
T 1 651・ 263- Y (W33) T 1 651・ 263- Y (W33) T 1 651・ 261- Y (W33) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 守屋 友宏 |
特許庁審判長 |
青木 博文 |
特許庁審判官 |
板谷 玲子 大橋 洋子 |
登録日 | 2015-12-25 |
登録番号 | 商標登録第5816039号(T5816039) |
権利者 | サントリーホールディングス株式会社 |
商標の称呼 | サントリーミゾレ、サントリー、ミゾレ |
代理人 | 特許業務法人みのり特許事務所 |