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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1318259 
異議申立番号 異議2016-900035 
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-09-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-02-15 
確定日 2016-08-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第5805356号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5805356号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5805356号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成27年6月5日に登録出願され、第9類「眼鏡,運動技能訓練用シミュレーター,測定機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」を指定商品として、同年9月11日に登録査定、同年11月13日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議申立てにおいて引用する登録商標は、以下の16件であり、それぞれ現に有効に存続しているものである(以下これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)。
1 登録第5434196号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成: XPERIA ARC
登録出願日: 平成23年5月24日
(2010年12月1日に域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)においてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張)
設定登録日: 平成23年8月26日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
2 登録第5434197号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成: XPERIA PLAY
登録出願日: 平成23年5月24日
(2010年12月1日に域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)においてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張)
設定登録日: 平成23年8月26日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
3 登録第5434198号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成: XPERIA NEO
登録出願日: 平成23年5月24日
(2010年12月1日に域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)においてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張)
設定登録日: 平成23年8月26日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
4 登録第5469551号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成: XPERIA RAY
登録出願日: 平成23年12月22日
(2011年6月29日に域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)においてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張)
設定登録日: 平成24年2月10日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
5 登録第5469552号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成: XPERIA ACTIVE
登録出願日: 平成23年12月22日
(2011年6月29日に域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)においてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張)
設定登録日: 平成24年2月10日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
6 登録第5525017号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成: XPERIA (標準文字)
登録出願日: 平成20年6月27日
(2008年1月10日にアメリカ合衆国においてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張)
設定登録日: 平成24年9月28日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
7 登録第5529671号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成: XPERIA ACRO
登録出願日: 平成24年5月11日
設定登録日: 平成24年10月19日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
8 登録第5554050号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の構成: XPERIA
登録出願日: 平成24年12月14日
(2012年6月21日にアメリカ合衆国においてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張)
設定登録日: 平成25年2月1日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
9 登録第5562726号商標(以下「引用商標9」という。)
商標の構成: XPERIA LINK
登録出願日: 平成24年12月21日
(2012年6月21日にアメリカ合衆国においてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張)
設定登録日: 平成25年3月1日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
10 登録第5626048号商標(以下「引用商標10」という。)
商標の構成: XPERIA V
登録出願日: 平成25年3月29日
(2012年10月2日に域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)においてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張)
設定登録日: 平成25年10月25日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
11 登録第5629934号商標(以下「引用商標11」という。)
商標の構成: XPERIA LOUNGE
登録出願日: 平成25年6月11日
(2012年12月11日に域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)においてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張)
設定登録日: 平成25年11月15日
指定商品等:第9類、第38類及び第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
12 登録第5630000号商標(以下「引用商標12」という。)
商標の構成: XPERIA Z
登録出願日: 平成25年6月26日
(2013年1月8日にアメリカ合衆国においてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張)
設定登録日: 平成25年11月15日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
13 登録第5632000号商標(以下「引用商標13」という。)
商標の構成: XPERIA DIAGNOSTICS
登録出願日: 平成25年6月6日
(2012年12月11日に域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)においてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張)
設定登録日: 平成25年11月22日
指定商品等:第9類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
14 登録第5687486号商標(以下「引用商標14」という。)
商標の構成: XPERIA TABLET Z
登録出願日: 平成25年12月10日
(2013年6月21日に域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)においてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張)
設定登録日: 平成26年7月18日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
15 登録第5694406号商標(以下「引用商標15」という。)
商標の構成: XPERIA (標準文字)
登録出願日: 平成26年3月11日
設定登録日: 平成26年8月15日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
16 登録第5694407号商標(以下「引用商標16」という。)
商標の構成: 別掲2のとおり
登録出願日: 平成26年3月11日
設定登録日: 平成26年8月15日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品

第3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきものである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第74号証(枝番号を含む)を提出した。
1 本件商標について
本件商標は、「GLASSXPERIA」の欧文字をデザイン化してなるものであり、商標中の「A」の欧文字を二等辺三角形、「X」の欧文字を上下対称に配置した2つの正三角形により表現する構成となっている(甲1)。
2 申立人及び「XPERIA」商標の著名性について
(1)申立人について
申立人であるソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社は、2001年にスウェーデン法人との合弁会社として設立されたソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズを前身とし、2012年にソニー株式会社の完全子会社となった法人であり、ソニーグループのモバイル事業の中核を担う携帯電話、アクセサリー、コンテンツ及びアプリケーションの製造及び販売を行っている(甲18、19)。
(2)「XPERIA」商標の著名性について
ア 申立人の使用する商標「XPERIA」(以下「申立人使用商標」という。)は、「体験を意味する“experience”と場所を意味するラテン語の“-ia”を合わせ、『さまざまな体験を生み出す場所』と言う意味が込められた」申立人の造語であり、2008年10月に海外で携帯電話機に使用されたのを皮切りに、我が国では、2010年4月にスマートフォン対応の携帯電話機に使用開始された(甲18?23)。
イ 2010年の新聞記事には、エクスペリアの予約受注数が5万台を超えたことについての記事が掲載され、多数の雑誌でも申立人使用商標を使用した商品についての特集記事が組まれ、ヒット商品として取り上げられている(甲24?30)。
2011年には、「Xperia arc」及び「Xperia acro」が発売され、各商品について雑誌で取り上げられ、また、同年には、「PlayStationのゲームタイトルを楽しむことができる携帯端末として「Xperia PLAY」が発売されている(甲31?35)。
ウ 2012年には、申立人の前身であるソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズが、ソニー全額出資子会社であるソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社となり、「ソニータブレット」のブランドで販売されていたタブレット型多機能端末について、スマートフォン(多機能携帯電話)の名称である「エクスペリア」に変更して発売された(甲19,36、37)。この申立人使用商標を使用したタブレット「Xperia Tablet」は、タブレットの満足度ランキングで上位に入っており(甲38)、申立人使用商標の顧客吸引力をさらに高めるとともに、申立人使用商標が申立人のみならず、申立人と経済的・組織的に関係のあるソニーグループ(以下、申立人も含めて「ソニーグループ」という。)の商品の出所表示であることを認識させることとなっている。
エ 2013年2月には、スマホの最上位機種として「Xperia Z」が投入され、「エクスペリアZは日本経済新聞社が日本の家電量販店を対象に調査した今春の売れ筋予測で米アップルの『iPhone(アイフォーン)5』に並ぶ人気。英国でも『iPhone5を抑えて2位』」と紹介され、また、雑誌で特集記事が組まれている(甲39?43)。この「Xperia Z」は、日経優秀製品賞 最優秀賞を受賞し、「2013年2月に発売されると、日本国内でシェア1位を独走し、欧州でも品薄となるほどの人気を獲得した。」(甲44)と紹介されている。また同年に発売された「Xperia A」について、「1カ月64万台販売 ソニー・エクスペリアA スマホで最高」の見出し(甲45)、「エクスペリア人気(中略)売り上げに追い風となったのがエクスペリア。(中略)『ほとんどのお客がエクスペリアを指名買いする。7対3でソニーの勝ち』(中略)6月の携帯電話全体の販売台数はエクスペリアが1位。」(甲46)等紹介されている。さらにソニー株式会社の平井社長が、ドイツ・ベルリンの展示会(IFA2013)において、最新スマートフォン「Xperia Z1」を披露したことが雑誌にとりあげられ、「『エクスペリアZ1』は、まさにワン・ソニーを象徴する商品。今年秋に世界主要国で発売する」(甲47)、「ソニー エクスペリアZ1」のタイトルの下、「『Zシリーズ』は平井社長兼最高経営責任者(CEO)が掲げる『ワンソニー』の象徴」(甲48)と紹介され、同商品は、「one Sony」の象徴となっている(甲44、47、48)。また、同年には、タブレット端末「Xperia Z Ultra」が発売され、その後、雑誌で特集される等している(甲50?52)。
オ 2014年には、「ソニー、戦略大転換 バイオからエクスペリアへ」の見出しの下、「今後の成長を託すのはスマートフォン」(甲53-1)と紹介され、従前に増して、申立人使用商標が、ソニーグループ内において重要な商標であると位置付けられている。同年2月には、「Xperia Z2」が発表され、スペインのバルセロナで開催された発表会においては、ソニーの平井社長が当該製品について「Z2は映像技術などソニーの全てをつぎ込んだ製品だ」とアピール(甲53-2、3)しており、申立人使用商標が、ソニーグループの業務に係る商品を表示するものとの認識が需要者に完全に浸透したと考える。また、年末商戦に投入された「Xperia Z3」について「国産メーカーではソニーモバイルコミュニケーションズの『エクスペリア Z3』が売れ筋だ。」(甲54)と紹介されている。さらに、同年には「Xperia Z2 Tablet」が発売されている(甲55)。
カ 2015年には、「XPERIA Z4」、続いて「XPERIA Z5」が発売され、「日本経済新聞社がまとめた2015年第4四半期新製品ランキングは、ソニーモバイルコミュニケーションズのスマートフォン(スマホ)『エクスペリア Z5 プレミアム』が総合1位となった。」(甲56)と紹介されている。
(3)宣伝広告について
申立人は、申立人使用商標について、その使用開始時から、多大な費用をかけて宣伝広告を行っている。まず、我が国での2010年4月1日の発売開始時、アントニオ猪木等による「『エクスペリア』の発売カウントダウンセレモニー」(甲57)を開催している。また、テレビCMには特に注力し、同年7月の新聞記事において「ソニー・エリクソンが『Xperia(エクスペリア)』のCMでギネス世界記録に挑戦する。(中略)『1番組で最も多く流れた同一商品の異なったテレビCM』のギネス世界記録に挑む。」(甲58)との記載がある。さらに、「エクスペリア新CM、ギネス認定」の記事がある(甲59)。
申立人使用商標に係る新モデル製品の発表に際しては、申立人は頻繁にイベントを開催し、また、申立人又はソニー株式会社の代表者による新製品発表会見が国内・海外で行われ、マスコミにより、大きく報道されている(甲47、53-2、同-3、60?63-2)。
(4)小括
上述のとおり、申立人使用商標は、スマートフォンはもとよりタブレットおよび関連製品について、日本国内のみならず、全世界的に使用・展開されており、多額の売上高を有している。また、申立人は、「XPERIA」シリーズについて、長年にわたり多大な費用を掛け、テレビコマーシャル等において、宣伝広告を継続していた。その結果、申立人使用商標は、2011年には既に申立人のブランドとして広く認知され、本件商標の出願時である2015年6月5日の時点においては、全国的に著名な表示として確立され、ソニーグループの業務に係る商品を示す商標として認識されるに至っていたことが明らかである。
3 本件商標と引用商標の類似性について
「XPERIA」の文字から構成される引用商標は、全て現に有効に存続しているものであり、ソニーグループのソニー モバイル コミュニケーションズ アーベーによって所有されている。
(1)称呼
本件商標を構成する「GLASS」の欧文字は「ガラス」を意味するところ、その指定商品との関係では、眼鏡のガラスレンズやスマートフォンやタブレットの画面・背面の素材として用いられるものである。スマートフォン等において、画面は使用者にとって商品の操作部となる重要な部位であるため、使用者は画面の素材であるガラスの強度には神経質になるものであり、(甲64-1、同-2)、また、供給者にとっても、商品の差別化を図るアピールポイントとなる素材である(甲22、43、51)。即ち、本件商標を構成する「GLASS」の欧文字は、指定商品との関係では、単にその素材の普通名称を意味するに過ぎないため、本件商標の商標としての要部は、造語である「XPERIA」の文字部分にあるといえる。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応する「グラスエクスペリア」の称呼の他に、本件商標の要部である「XPERIA」の文字部分に相応する「エクスペリア」の称呼をも生ずるものと認められる。
特に、商標権者が、ウェブサイト上において、デザイン化されていない「GlassXperia」の表記も使用している(甲65-1)ことに鑑みると、三角形の図案化に拘わらず「X」の文字を明確に発音することが自然であり、上記称呼が生じるものと認められる。
引用商標についてみると、引用商標6、8、15、16は、「XPERIA」の欧文字より構成されるため、「エクスペリア」の称呼のみを生じる。また、その他の引用商標は、モデル名を示す欧文字を含んでいるが、全て「XPERIA」ブランドに係るものであって、全体称呼に加え、「エクスペリア」の称呼を生じる。
そうすると、本件商標と引用商標とは、称呼が同一又は類似する商標である。
(2)外観
本件商標は、別掲1のとおり「GLASSXPERIA」をデザイン化したものであるところ、「XPERIA」部分が、引用商標と共通している。さらに、申立人が2014年3月11日に出願し、現在使用・宣伝に使用している引用商標16(別掲2)と対比すると、「PERI」部分の書体が類似しており、全体として類似した印象を与える。
(3)観念
前述のとおり、引用商標を構成する「XPERIA」の文字は、「体験を意味する“experience”と場所を意味するラテン語の“-ia”を合わせ、『さまざまな体験を生み出す場所』と言う意味が込められ」た申立人の造語(甲18、19)であり、2008年から我が国を含め世界的に商標として広く使用を開始している。
一方、本件商標中、「GLASS」の欧文字が指定商品との関係では識別力が無いかあるいは非常に弱い識別力しか有していないことは上述のとおりである。そして、商標権者は、自身のウェブサイトにおいて、本件商標の「名前の由来」として、「『メガネ』を意味する『グラス(glass、印欧語)』と『経験・体験・経歴・熟練』を意味する『エクスペリエンス(experience)』を掛け合わせて作られた造語です。」(甲65-2)と述べている。そうすると、本件商標は、造語である「XPERIA」の語を要部としている。
したがって、両商標は、「XPERIA」の語によって経験・体験等を想起・連想させる点で観念が共通している。
(4)商標についての小括
以上のとおり、本件商標の「GLASS」の文字部分は、その指定商品との関係では、その画面等の素材の普通名称を意味するに過ぎないため、「XPERIA」部分が需要者の注意を惹くものであり、引用商標とは、その称呼及び外観が類似し、観念を共通とする。特に、商標権者は、本件商標を眼鏡について使用している(甲65-1、2)ところ、「GLASS(グラス)」の語が、我が国で眼鏡の普通名称として使用されている事実を鑑みると、需要者は、造語である「XPERIA」部分に着目することが明白であり、本件商標と引用商標は、互いに紛れるおそれの高い類似の商標である。
4 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、上記3のとおり、引用商標と類似する商標である。
さらに、本件商標の指定商品中、「電気通信機械器具」については、引用商標1ないし8及び10ないし16の指定商品と抵触しており、また、「電子応用機械器具及びその部品」については、引用商標6、8、9及び11ないし16の指定商品と抵触している。
したがって、本件商標は、引用商標との関係において、その指定商品中、「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
5 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標と申立人使用商標について
本件商標は、「GLASSXPERIA」の文字をデザイン化したものであるが、この商標は、「GLASS」及び「XPERIA」を組み合わせたものであることが明らかである。
申立人は、2008年にスマートフォン「XPERIA」初号機「XPERIA X1」を発表し、その後、申立人使用商標を継続的に使用するとともに、当該ブランドについて大々的な宣伝広告を行ってきた。2011年には、新聞記事において確立したブランドとして紹介(甲33)されており、本件商標の出願日である2015年6月5日には、申立人使用商標は我が国において周知著名商標となっていたことが認められる。
そして、申立人は、当該周知著名な申立人使用商標「XPERIA」の使用に際しては、モデル名に該当する語を付加して使用している。例えば「ARC」の語を付加した「XPERIA ARC」商標はスマートフォンに、「LOUNGE」の語を付加した「XPERIA LOUNGE」商標はダウンロード可能なスマートフォン用ソフトウェアに使用している。申立人によるこのような使用実態並びに申立人使用商標「XPERIA」の語が申立人の造語であることに鑑みると、需要者の間において、「XPERIA」の語を含む商標は、申立人使用商標が使用されている商品に密接に関連する商品に使用されているとの認識が浸透していると考えられる。
したがって、「GLASS」の語と申立人使用商標を組み合わせた本件商標がその指定商品に使用された場合、申立人又は申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者を出所とするかの如く誤認混同される可能性が極めて高いといえる。
(2)本件商標の指定商品と申立人業務の関連性
申立人使用商標は、元々は、スマートフォン対応の携帯電話端末に使用されていたが、当該端末には、PlayStationのゲームを実行できるもの(甲35)もあり、本件商標がその指定商品中「家庭用テレビゲーム機用プログラム、携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」に使用された場合、ソニーグループを出所とするゲーム機用プログラムであるとの誤認混同を生じることが容易に予見される。
また、ソニー株式会社においては、メガネの販売(甲66)に加え、申立人使用商標の関連商品として「ソニーのスマートグラス」として「メガネ型ウェアラブル端末」(甲67)をはじめ、多数の専用商品・周辺機器を販売している取引の実情がある(甲68?73)。
したがって、「眼鏡」の意味をも有する「GLASS」の欧文字を包含する本件商標が商品「眼鏡」に使用された場合、申立人の「XPERIA」関連商品に新たに「眼鏡」が加わったかの如くに需要者は誤認混同を生ずることとなる。
また、申立人の申立人使用商標を使用したスマートフォンの画面保護用ガラスフィルムの販売に関連して「GlassXPERIA」の語が表示されている事実(甲74)が見受けられ、本件商標が使用された場合、出所の誤認混同が生じる。
そして、ソニーグループが、多角化経営を行っていることは周知の事実である。ソニーグループは、電気通信機械器具はもとより、ゲーム、ネットワークサービス、半導体、映画、音楽、生命保険、損害保険、銀行、不動産、介護のいずれの分野においても顕著な業績を有する企業を擁している。
したがって、本件商標がその指定商品に使用された場合には、その商品に接する需要者は、商品がソニーグループの業務にかかる商品であると誤認し、商品の出所について混同することが予見される。
(3)小括
以上のとおり、申立人使用商標が、申立人の造語による創造標章であって、膨大な広告・宣伝の下に高い著名度を有し、さらにソニーグループが多角経営を行っていることが周知である事実を総合的に考慮すると、本件商標がその指定商品に使用された場合、ソニーグループを出所とするものであると誤認混同される可能性が極めて高いといえる。
6 商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、「GLASSXPERIA」の文字をデザイン化したものであって、申立人使用商標に類似する商標であることは前述のとおりである。一方、ウェブサイト上では、本件商標が、冒頭の「G」と、「X」の2文字のみを大文字で表示した「GlassXperia」の態様で使用されている(甲65-1)。また、甲第65号証-1に表示されている最初のロゴも「glassXperia」のように、「Xperia」部分が分離独立して看取される構成になっている。
商標権者は、本件商標の「XPERIA」の語の由来について、「『メガネ』を意味する「グラス(glass、印欧語)」と『経験・体験・経歴・熟練』を意味する『エクスペリエンス(experience)』を掛け合わせて作られた造語」であると述べている(甲65-2)が、「glass」の語と経験等を意味する英語「experience」とを組み合わせた語は「glassexperience」であるのに、中央部の「e」の文字を省き、かつ、末尾の「ence」を「a」の語に置換している点については、申立人の著名商標にフリーライドする意図があると考えられる。申立人使用商標「XPERIA」が、申立人の造語であって、2011年にはブランドとして確立され(甲33)、本件商標の出願時においては、明らかに我が国において著名商標となっていた事実に鑑みると、本件商標が申立人使用商標と無関係に採択されたとは考え難く、本件商標のこのような構成は、申立人使用商標の有する顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)することを意図しているものといわざるを得ない。ソニーグループは、甲第2号証ないし甲第17号証のとおり、単独の「XPERIA」商標に加え、モデル名も含めた「XPERIA」関連商標をこれまで多数商標登録してきた。これは、申立人使用商標が、高い顧客吸引力を有する、申立人にとって非常に重要な商標であることによるものである。それにもかかわらず、本件商標がソニーグループの商品と無関係の商品に使用された場合、ソニーグループが長年にわたり蓄積してきた高い品質イメージが損なわれる(ポリューション)可能性が生じ、また膨大な宣伝・広告費をかけて申立人使用商標に化体させた信用、名声、顧客吸引力が希釈化(ダイリュージョン)されるおそれがある。したがって、本件商標は「不正の目的」をもって使用される商標であるということができる。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
7 結論
本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおりの構成よりなるところ、その構成及び態様に徴すれば、第3文字目及び末尾の三角形の部分は、欧文字の「A」を図案化して表したものと把握され得るから、全体として「GLASS」の欧文字と「PERIA」の欧文字及びその間に三角形を上下対称に組み合わせた図形を配した構成よりなるものと認識できるものであり、外観上、まとまりよく一体的に表されているものである。
そして、本件商標の構成文字全体に相応して「グラスペリア」の称呼のみが生じ、その称呼も格別冗長というべきものでなく、淀みなく、一気一連に発音できるものであり、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、上記第2のとおり、「XPERIA」の文字のみからなるもの及び「XPERIA」の文字と他の欧文字とを結合してなるものであるところ、構成全体の文字構成に相応した、全体称呼に加え「XPERIA」の文字より「エクスペリア」の称呼をも生じるものであり、「XPERIA」の文字は、特定の意味を有しない造語であるものの、特に携帯電話・スマートフォンにおいて周知・著名なものと認められ、申立人の商標「XPERIA」の観念を生ずるものといえる。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標より生じる「グラスペリア」の称呼と引用商標の「XPERIA」の文字部分より生じる「エクスペリア」の称呼とを比較すると、称呼を識別する上で、重要な位置を占める語頭における「グラ」の音と「エク」の音において、差異を有するものであるから、称呼上明らかに区別し得るものである。
また、本件商標は、特定の観念を生じないものであり、引用商標は、申立人の商標「XPERIA」の観念を生ずるものであるから、両者は観念において相紛れるおそれはない。
さらに、本件商標と引用商標の構成は、上記第1及び第2のとおり、外観においても、判然と区別し得るものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。
なお、申立人は、本件商標を構成する「GLASS」の欧文字は、指定商品との関係では、単にその素材の普通名称を意味するに過ぎないため、本件商標としての要部は、「XPERIA」の文字部分にあるから、本件商標は、その構成文字に相応する「グラスエクスペリア」の称呼の他に、本件商標の要部である「XPERIA」の文字部分に相応する「エクスペリア」の称呼をも生ずる旨述べている。
しかし、本件商標は、上記(1)のとおり、「GLASS」の欧文字と「PERIA」の欧文字及びその間に三角形を上下対称に組み合わせた図形を一体に配した構成よりなると看取されるものである。
すなわち、「GLASS」の文字が一般に親しまれた平易な英語であることより、本件商標の3文字目の三角形の部分が、欧文字の「A」を表したものと認識されるものであり、それに伴って末尾の三角形の部分もまた欧文字の「A」を表したものと認識され得るといえるが、中央部の三角形を上下対称に組み合わせた図形は、他の構成文字に比して大きく表されており、また、該図形が「X」を表すものとして一般に知られているといった特段の実情も見いだせないから、これが「X」の文字を形成しているとみることは困難である。
そうすると、本件商標から、「エクスペリア」の称呼を生ずるということはできないから、本件商標から「エクスペリア」の称呼をも生ずるとした上で、本件商標と引用商標との類似を述べる申立人の主張は妥当でなく、その理由をもって両者を称呼上類似のものとすることはできない。
そして、本件商標と引用商標は、前記の構成よりみて、外観においても、判然と区別し得るものであって、互いに相紛れるおそれはないものというべきである。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、その指定商品が同一又は類似のものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するということができない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人の主張及び同人の提出に係る証拠方法によれば、申立人が携帯電話、スマートフォンに使用する「XPERIA」商標(申立人使用商標)は、申立人の創作した造語であって(甲18、19)、2008年(平成20年)10月に海外で携帯電話機に使用されたのを皮切りに(甲19)、我が国では、2010年4月にスマートフォン対応の携帯電話機に使用開始され(甲20?23)、当該標章を使用した商品の市場占有率、販売台数及び販売高も相当数に及ぶことが認められることからすれば、申立人使用商標は、遅くとも本件商標の登録出願日前において、その使用に係る商品の取引者、需要者の間において、申立人の業務に係る商品「携帯電話機」を表示するものとして、広く認識されるに至っており、その状態は、本件商標の登録査定時においても継続していたということができる。
しかしながら、たとえ申立人使用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において申立人の業務に係る携帯電話、スマートフォンを表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されていたとしても、本件商標と「XPERIA」の文字からなる申立人使用商標とは、上記1のとおり、非類似の商標であり、それぞれ別異の商標として認識されるというべきものである。
してみれば、本件商標をその指定商品に使用した場合でも、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、上記1のとおり、申立人使用商標とは非類似の商標であり、それぞれ別異の商標である。
そして、商標権者が、不正の利益を得る目的や申立人の登録商標の出所表示機能を希釈化させ、その名声等を毀損させる目的を持って本件商標を出願し、登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすこともできないから、本件商標は、不正の目的をもって使用するものということができない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標16)




異議決定日 2016-08-02 
出願番号 商願2015-53446(T2015-53446) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W09)
T 1 651・ 222- Y (W09)
T 1 651・ 262- Y (W09)
T 1 651・ 263- Y (W09)
T 1 651・ 271- Y (W09)
最終処分 維持 
前審関与審査官 池田 光治 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 今田 三男
小松 里美
登録日 2015-11-13 
登録番号 商標登録第5805356号(T5805356) 
権利者 森 一弘
商標の称呼 グラスペリア、ガラスペリア、ペリア 
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 
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