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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1318251 
異議申立番号 異議2015-900225 
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-09-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-07-08 
確定日 2016-08-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5755624号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5755624号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5755624号商標(以下「本件商標」という。)は、「オラジェス」の片仮名と「Orages」の欧文字を2段に書してなり、平成26年12月4日に登録出願され、第3類「口臭用消臭剤,動物用防臭剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,つけづめ,つけまつ毛,化粧用コットン,化粧用綿棒」のほか、第5類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同27年3月9日に登録査定、同年4月3日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第1216490号商標(以下「引用商標」という。)は、「Orage Rouge」の欧文字を横書きしてなり、2014年(平成26年)4月28日に国際商標登録出願され、第3類「rouge」を含む国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成27年7月10日に登録査定、同年9月18日に設定登録されたものである。

3 登録異議申立ての理由
申立人は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
(1)引用商標の前半部「Orage」は、「雷雨、風と雷を伴うにわか雨、(革命・戦などの)嵐、動乱、(感情・怒りなどの)激発」等の語義を有するフランス語の単語である(甲3)。また、引用商標の後半部「Rouge」は、「赤い、赤色、(化粧用の)紅、ルージュ」等を意味するフランス語の単語である(甲4)。そして、「Rouge」のカタカナによる音訳表記である「ルージュ」は、上記意味合い、特に「口紅」を意味する言葉として我が国においても定着し広く使用されている言葉である(甲5及び甲6)。
以上の事実並びに第3類の化粧品や美容関係の商品分野の取引者・需要者は、それら商品の性質上、他の分野における取引者・需要者よりもフランス語の知識を多く有するのが一般的であることを考慮すると、「口紅」を含む「化粧品」や美容関係の商品を主とする引用商標の第3類の指定商品との関係においては、「赤い、赤色、(化粧用の)紅、ルージュ」等を意味する引用商標の後半部「Rouge」は、単に記述的な言葉として認識され得ると考えるのが極めて妥当である。したがって、引用商標については、前半部「Orage」が商品の出所識別標識として機能する商標の要部として認識され得るため、欧文字「Orage」に対応する「オラージュ」の称呼をもって取引される場合もある。
一方、本件商標は、カタカナ文字「オラジェス」と欧文字「Orages」の2段併記により構成されるから、その外観構成上、下段の欧文字「Orages」も独立して認識され得ることは明かである。そして、本件商標の第3類の指定商品である「化粧品」や美容関係の商品分野の取引者・需要者は、それら商品の性質上、他の分野における取引者・需要者よりもフランス語の知識を多く有するのが一般的であるから、本件商標の下段の欧文字「Orages」は、「雷雨、嵐」等を意味するフランス語の単語「Orage」の複数形として認識される場合があると考えるのが妥当である。さらに、フランス語の名詞の複数形は、多くの場合において語尾の「s」が発音されないから、本件商標については、その下段の欧文字「Orages」に対応する「オラージュ」の称呼をもって取引される場合があると考えるのが相当である。
そうとすると、本件商標と引用商標は、「オラージュ」の称呼及び「雷雨、嵐」等の観念を共通とする相互に類似の商標と考えるのが極めて妥当である。
(2)次に、両商標の指定商品について検討すると、特許庁における類似商品・役務審査基準上、本件商標の第3類の指定商品中「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,つけづめ,つけまつ毛,化粧用コットン,化粧用綿棒」が、引用商標の指定商品と相互に類似する関係にあることは明かである。
また、本件商標の第3類の指定商品のうち、上記以外の指定商品である「口臭用消臭剤,動物用防臭剤」についても、生産部門・販売部門・原材料及び品質・用途・取引者及び需要者の範囲等の共通性を総合的に考慮すると、引用商標の指定商品との関係において、混同を生じさせるおそれがある程度に相互に類似すると考えるのが極めて妥当である。
(3)以上を総合的に勘案すると、本件商標は、商標及び指定商品において、引用商標と類似の関係にあり、かつ、引用商標の後願でありながら、登録を認められていますから、本件商標は商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものである。
よって、本件商標は、商標法第43条の2第1号により、第3類の全指定商品についてその登録を取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)本件商標について
本件商標は、上記1のとおり、「オラジェス」の片仮名と「Orages」の欧文字を2段に横書きしてなるところ、「Orages」の綴り字は英和辞典等に見いだせないものであって、親しまれた観念を有する成語を表したものとはいえず、上段の片仮名は下段の欧文字の読みを表示したものと理解されるものであるから、その構成文字に相応して、「オラジェス」と称呼され、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、「Orage Rouge」の欧文字を横書きしてなるところ、両文字の間には、半文字程度の間隔があるが、その構成はまとまりよく一体に表されているものである。
そして、その構成中の「Orage」の文字部分は、「雷雨、嵐」等の意味を有するフランス語であるが、我が国において一般に親しまれている語であるとは認められない。一方、「Rouge」の文字部分は、化粧品との関係では、「ルージュ」の読みを生じる「口紅,ほお紅」等を意味するフランス語として、一般に親しまれているものといえるものである。
してみると、引用商標は、構成全体をフランス語読みで「オラージュルージュ」と称呼するというのが自然であるいえるところ、「Rouge」の文字部分が「化粧品」との関係において、商品の出所識別標識としての称呼及び観念を生じないといえるものであっても、上述のとおり、まとまりよく一体に表された構成からなり、かつ、構成全体より生じる「オラージュルージュ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものであるから、殊更、「Orage」の文字部分を分離し、該文字より生じる称呼及び観念をもって取引に資されるものとはいい難い。
そうすると、引用商標は、その構成全体をもって一体不可分のものと把握、認識されるものであり、「オラージュルージュ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
ア 外観について
本件商標と引用商標は、それぞれ、上記(1)及び(2)の構成からなるところ、外観においては本件商標の欧文字部分と引用商標とは、「Orage」の文字の語尾の「s」の文字の有無のほか、「Rouge」の文字の有無が異なり、外観上明確に区別し得るものである。
イ 称呼について
本件商標から生じる「オラジェス」と引用商標から生じる「オラージュルージュ」の称呼を比較すると、これらの称呼は構成する音数が明らかに相違し、明瞭に聴別し得るものである。
ウ 観念について
本件商標と引用商標は、上記認定のとおり、特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することはできない。
エ 小括
以上によれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいづれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(4)商標法第8条第1項該当性について
本件商標と引用商標とは、上記(3)のとおり、非類似の商標であることから、本件商標の商標権者と引用商標の商標権者のいずれが最先の商標登録出願人であるかを判断するまでもなく、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものとはいえない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、本件登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第8条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-08-04 
出願番号 商願2014-102271(T2014-102271) 
審決分類 T 1 652・ 4- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 原田 信彦
高橋 幸志
登録日 2015-04-03 
登録番号 商標登録第5755624号(T5755624) 
権利者 ロート製薬株式会社
商標の称呼 オラジェス、オラゲス 
代理人 栃木 順子 
代理人 中山 真理子 
代理人 達野 大輔 
代理人 竹中 陽輔 
代理人 特許業務法人深見特許事務所 

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