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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X35
管理番号 1318212 
審判番号 取消2015-300771 
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-10-27 
確定日 2016-08-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第5130649号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5130649号商標の指定役務中,第35類「ホテルの事業の管理」については,その登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5130649号商標(以下「本件商標」という。)は,「ITD」の欧文字を書してなり,平成19年4月19日に登録出願,第35類「コンピュータによるファイルの管理,広告の代理又は広告文の作成,ホテルの事業の管理」を指定役務として,同20年4月25日に設定登録されたものである。
なお,本件審判の請求の登録は,平成27年11月9日にされたものである。
また,本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同24年11月9日から同27年11月8日までの期間を,以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,審判請求書,弁駁書及び口頭審理陳述要領書において,その理由及び答弁に対する弁駁等を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定役務中,第35類「ホテルの事業の管理」(以下「取消請求役務」という場合がある。)について,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商標法第50条第2項の要件が立証されていないこと
本件審判請求に係る役務は,第35類「ホテルの事業の管理」であるが,当該役務は,他人の依頼に基づいて,ホテルの経営の診断やホテル経営に関する助言を行う,いわゆる経営コンサルタントが行うサービスを指すものである(甲3)。これらを前提に,被請求人による答弁及び被請求人が提出した乙各号証について検討及び反論する。
ア 乙第1号証について
被請求人が,乙第1号証として提出した資料は,本件とは何ら関係のない商標登録の商標登録証であり,被請求人が,本件商標をその指定役務である「ホテルの事業の管理」について使用してきたことを何ら証明するものではない。
イ 乙第2号証ないし乙第5号証について
被請求人は,「ホテルの事業として行われていたエステ(美容)関連の管理業務内容の一部(中略)を提出します」と述べ,乙第2号証ないし乙第5号証を提出する。これらの資料のうち,まず,乙第2号証ないし乙第4号証は,オーバーチュア株式会社作成又は発行と思われる「ネット広告アカウント別明細」(乙2),「有限会社アイティーティー明細」(乙3),「各店舗WEB上管理画面」(乙4)であるが,これらの資料には本件商標に係る標章,すなわち,欧文字の「ITD」からなる文字標章は一切付されておらず,また,これらの資料が,具体的に被請求人の何の業務に関係するものなのかも明らかではない。そして,これらの資料の作成者(発行者)と思われるオーバーチュア株式会社と被請求人との関係性も不明であるのみならず,乙第2号証として提出される「ネット広告アカウント別明細」に至っては,「貴社名」として「有限会社日本最新美容機器研究所」の記載があるのみであり,当該資料には,被請求人の社名すら明記されていない。
このように,乙第2号証ないし乙第4号証として提出される資料をもっては,本件商標が,被請求人の業務について使用されたことは何ら証明されていない。また,乙第2号証ないし乙第4号証については,その発行・作成年が2007年(平成19年)となっており,これらの資料は,本件審判において被請求人が本件商標の使用を証明するべき要証期間内に作成又は発行されたものではない。
一方,乙第5号証として提出される「顧客管理システムパンフレット」については,同資料の下部中央に記載された著作権表示の一部に2013(年)の表示があり,また,同資料の右下に,青色の太字かつ影付きの態様で書された「ITD」の欧文字が付されている。しかし,かかるパンフレットが,被請求人によりいつ作成され,誰に対し,どのような方法で頒布されたのかについて,被請求人は答弁書において何ら説明しておらず,また,これらの事実を客観的に示す証拠も一切提出されていない。また,当該資料の内容をみると,そのタイトルは「ホテルやレストランやエステ等の予約管理システム」となっており,また,説明文中では「ITD SYSTEMからはじまる。顧客管理システムを手にしてください。」,「エクセルによるフリーサンプル版と簡易フリー版をご提供しております。」,「Groogle,YahooのSEO対策からSEM対策までITDはあなたの一つを目指します」等の説明がなされている(下線はいずれも請求人による)。
ところで,これらの説明文中,「SYSTEM(システム)」については,文脈からして「コンピュータシステム」を意味する語と考えるのが自然であり,また,「SEO(対策)」は検索エンジンの最適化,すなわち,検索エンジンで検索した際に,ホームページの表示順位を上げるための手法(甲4)を,「SEM(対策)」は,検索エンジンを利用する販売業者が,自社のWebサイトへの訪問者を増やすために用いるマーケティング手法の一つであり,具体的には,検索エンジン対策を行って自社サイトを検索結果の上位に掲載されるようコンテンツを最適化する方法(甲4)をそれぞれ意味するものである。ここで,これらの説明,及び,被請求人会社のホームページの写し(乙6,乙7,甲6,甲7)における被請求人会社の事業内容を勘案した場合,乙第5号証として提出されるパンフレットにおいて説明されている被請求人の事業は,あくまで,「コンピュータシステムの操作に関する運用管理」又は「コンピュータシステムの運用管理のためのコンピュータプログラムの提供」といった役務の範ちゅうを出ないものと考えるのが相当である。よって,当該資料をもって,被請求人が,業として「ホテルの事業の管理」の役務を提供し,また,当該役務について本件商標を使用していたことにはならない。
ウ 乙第6号証及び乙第7号証について
被請求人は,「ホームページ上にて謳っている会社沿革内容(中略)に示すとおり,本件商標について商標登録され使用している事実を表明している」及び「本件商標も被請求人が商いを行う上での必須アイテムになっている事は明らかであり,被請求人のホームページ上で(中略)示すとおり,指定役務『ホテルの事業の管理』について使用している」と述べている(乙6,乙7)。
しかし,乙第6号証として提出される,被請求人会社ホームページの「会社沿革」のページを見ても,被請求人が,耐震補強等の建築事業,電気通信事業,サーバー管理事業といった事業を行っているようであることは読み取れるものの,被請求人が業として「ホテルの事業の管理」を行っていることは何ら説明されていない。なお,同沿革に記載された「ディフェンドクロス」とは,被請求人の登録商標(登録第5439971号商標:甲5)であり,その指定商品は第6類の商品であって,本件審判において対象となっている「ホテルの事業の管理」の役務とは何ら関係のないものである。
また,当該ウェブページには,その上部に乙第5号証と同じ態様の青色の「ITD」の欧文字からなる標章が付され,また,「ITD会社沿革」の文字が記載されているが,当該ページは,被請求人会社の会社沿革,すなわち,会社の歴史を説明する目的のページにすぎない。すなわち,当該ページ上に標章を物理的に付したとしても,需要者が,当該標章を,被請求人の特定の事業との具体的な関連性をもって認識することは不可能である。よって,乙第6号証において付されている前記各標章は,被請求人の業務に係る特定の商品又は役務についての商標の使用と評価できるものではない。
乙第7号証は,被請求人会社ホームページの「会社概要」のページであり,当該ページにおいては,被請求人会社の商号,設立日,資本金といった情報を含む会社概要と,被請求人会社の事業内容の説明がなされている。当該ページの「事業内容」の箇所においては,被請求人の事業として,大きく分けて「システム事業」,「生活防災事業」,及び,「総合建築事業」の3つの事業が紹介されているが,これらのいずれも,本件審判請求に係る「ホテルの事業の管理」の役務に関連するものではない。よって,当該資料をもってしても,被請求人が業として「ホテルの事業の管理」を行ってきたこと,また,当該役務について本件商標を使用してきたことは証明されない。
なお,被請求人が行う「システム事業」の中に「ホテル事業管理システム・エステ,レストラン,宿泊予約管理」なるサービスが説明されているものの,これが本件審判請求に係る「ホテルの事業の管理」の役務に該当することについての具体的かつ客観的な説明は何らなされていない。しかし,被請求人が提出する他の資料を総合的に勘案した場合,被請求人が行っている前記事業は,あくまで「コンピュータシステムの操作に関する運用管理」又は「コンピュータシステムの運用管理のためのコンピュータプログラムの提供」といった役務の範ちゅうを出ないものと考えるのが相当である。
ところで,乙第7号証に関しては,その右下にウェブサイトの印刷日時と思われる日付及び時間が記載されている。しかして,その日時は2015年(平成27年)12月2日20時24分となっており,本件審判における本件商標の使用を証明するべき要証期間内のものではないばかりか,被請求人は,本件審判請求を受け,ホームページ上の記載を,被請求人の答弁の便宜のために書き換えた可能性がある点についても指摘しておく。実際,本件審判請求前の平成27年(2015年)4月10日付け,及び,同年9月15日付けの当該ウェブページの情報をみると,被請求人の事業内容として「ホテル事業管理システム・エステ,レストラン,宿泊予約管理」なる事業の説明はなされていなかった(甲6,甲7,審決注:甲7の日付は,「2015/09/25」の誤り。)。
エ 乙第8号証及び乙第9号証について
被請求人は,「被請求人は現在もホテル関係の管理作業を行っており,電気機器照明のLED化を行うことで,ホテル事業の電気代節約につながる作業も行っております」と述べ,池袋のホテル ザ・ビー池袋でのLED証明交換作業の見積書及び請求書を提出する(乙8,乙9)。しかし,これらの資料から分かることは,平成27年(2015年)9月30日付で,被請求人がLED照明の交換工事,すなわち,照明設備工事を行った事実のみであり,乙第8号証及び乙第9号証についても,他の資料と同様に,被請求人が業として「ホテルの事業の管理」の役務を提供し,当該役務の提供に際し本件商標を使用したことを証明するものではない。
3 口頭審理陳述要領書(平成28年5月19日付け)
(1)被請求人の主張に対する反論
被請求人の口頭審理陳述要領書における主張,及び,乙各号証は,以下のとおり,本件登録の指定役務である国際分類第35類「ホテルの事業の管理」についての,本件商標の使用を証明するものではない。
ア 被請求人は,「ホテルへの作業や業務委託は電話連絡や注文書や電子メールの取り交わしによって行っています」と述べ,これを証明する資料として乙第10号証を提出している。
ところで,被請求人提出の証拠説明書によると,乙第10号証は株式会社デンケンなる法人が平成27年9月1日に作成した注文書のようであるが,該注文書に記載されている作業名称は「LED交換作業」であり,その他の請求費目も,LED照明の交換工事に付随する作業に関するもののみである。すなわち,乙第10号証からは,被請求人が,他者からの依頼により,LED照明の交換工事,すなわち,照明設備工事を行ったようであることは推察されるものの,被請求人が業として「ホテルの事業の管理」の役務を提供したことは全く明らかではない。
なお,念のため補足すれば,「照明設備工事」は,国際分類第37類(類似群37A01)に分類される役務であり,本件審判の対象である国際分類第35類「ホテルの事業の管理」とは別異の役務である。
また,該注文書には,本件商標どころか,本件商標と社会通念上同一の商標も使用されていない。
さらに,乙第10号証では,前記照明設備工事以外の「ホテルへの作業や業務委託」の具体的な事業内容や,ホテル事業者との契約の事実は何ら説明されておらず,被請求人は,これらの事実を証明する他の証拠資料の提出もしていない。
イ 被請求人は,「ITDによるLED交換コンサル参考資料」と述べ,また,「経済産業省 資源エネルギー庁 推奨のエコに関するコンサル的な助言等はあらゆる人へ行っており,ホテル業の方にも行っている。」と述べ,乙第11号証を提出する。
しかし,乙第11号証は,ITDにより作成されたものであって,その作成日付も不明確であり,そもそも客観性を欠き,当該資料は,被請求人と同号証において「ITDご利用ホテルのお客様」として列記される他者との間で実際に何らかの取引がなされたことを客観的に証明するものではない。仮に,被請求人と前記他者との間で何らかの取引が存在していたとしても,乙第11号証からは,被請求人が,これら他者に対し,具体的に何の事業に係る商品や役務を提供したかは全く明らかでなく,また,被請求人が,当該商品又は役務の提供に際して本件商標を使用したかも明確ではない。
なお,乙第11号証には,その冒頭部分に「節電&省エネITDによるLED交換コンサルティング」とのタイトルが記載され,「資源エネルギー庁 推奨/http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/lighting/index.html/白熱電球と電球形蛍光ランプとLED電球のコスト比較」との文言が記載されているが,かかる文言は,経済産業省資源エネルギー庁の前記URLにおけるウェブサイトにおける説明がそのまま引用されているにすぎず(甲8),被請求人自身が,他者に対し,電球の種類の違いによる電力コストの比較や省エネルギーによる業務効率の改善等の役務の提供を行っていることを説明し証明するものではない。仮に,被請求人が,乙第11号証に記載の「LED交換コンサルティング」なる業務を他者に提供した事実があったとしても,これは,あくまで,前記のLED照明の交換工事,すなわち,「照明設備工事」及びこれに付随する助言や情報提供(国際分類第37類(類似群37A01,37A02))といったサービスにすぎないか,又は,「省エネルギーに関するコンサルティング」(国際分類第42類(類似群42Q02))といった役務に該当するものであり,いずれにしても,「ホテルの事業の管理」の役務とは別異の役務であり,被請求人が「ホテルの事業の管理」の役務を業として提供していることを示すものではない。
ウ 被請求人は,「ホームページ上でもITDという看板を掲げて常に仕事を行っており,商品に対しても全てITDシステムやITDシリーズやITDリフォームhttp://reform.itd.ne.jp/(乙12)をパッケージにして販売しています」と述べる。
しかし,被請求人のかかる主張からは,被請求人が具体的にどういった業務に係る商品・役務を提供し,「ITD」なる商標を何の商品・役務について使用しているかが明らかではない。また,乙第12号証として提出される「ITDリフォーム/Reform」のタイトルのウェブサイトの写しにも,「ホテルの事業の管理」の役務と関連するような事業についての説明は一切存在せず,よって,かかる主張及び乙第12号証をもっては,本件商標が「ホテルの事業の管理」の役務について使用されたことは証明されていない。
エ 被請求人は,「ITD(アイティーディー)とつけて商売を行っていますhttp://itd.ne.jp/itd/idea/」と述べ,乙第13号証を提出する。
しかし,被請求人が具体的にどういった業務にかかる商品・役務を提供しているのかについての説明にはなっていない。また,乙第13号証は,被請求人会社のホームページにおける「企業理念」のページであり,当該資料は,「ITD」の商標が特定の商品・役務との具体的関連性をもって使用されていることを示すものではない。
オ 被請求人は,「請求人は,全ての乙の証拠にITDと使われていないといっているが,弊社では,過去から今現在まで,毎日ITD(アイティーディー)と連呼して使用している。乙の証拠(被請求人)は,全て,ITD(アイティーディー)というパッケージによって商売を行ったものである。」と述べる。
しかし,本審判事件において被請求人が求められているのは,本件商標を,本件審判請求に係る指定役務「ホテルの事業の管理」について使用したことの証明であり,被請求人が当該事実について何ら証明を果たしていないことは繰り返し述べたとおりである。
カ 以上のとおり,被請求人口頭審理陳述要領書における主張及び乙各号証の提出をもって,被請求人は,本件商標の「ホテルの事業の管理」の役務についての使用の証明をしていない,というほかないから,本件商標の「ホテルの事業の管理」の指定役務についての取消は免れない。
(2)結語
以上述べたとおり,被請求人は,本件審判請求の登録前3年以内に,本件商標を本件審判請求に係る役務「ホテルの事業の管理」について日本国内において使用したことを証明していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める,と答弁し,その理由を,答弁書及び口頭審理陳述要領書において,要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標は,平成27年10月27日付で請求人によって商標法第50条第1項の規定による取消の審判請求を受けたため,被請求人は現在も通常使用している証拠を提出する。
(2)本件商標は,前記第1のとおり登録された。
(3)被請求人が過去から現在における使用内容を証明するためホテルの事業として行なわれていたエステ(美容)関連の管理業務内容の一部を提出する(乙2?乙5)。
(4)被請求人が,現在もホームページ上にて謳っている会社沿革内容(乙6)に示すとおり,本件商標について商標登録され使用している事実を表明している。
(5)被請求人は,現在も商いを行っており,本件商標も被請求人が商いを行う上での必須アイテムになっている事は明らかであり,被請求人のホームページ上(乙7)で示すとおり,指定役務「ホテルの事業の管理」について使用している。
(6)被請求人は,現在もホテル関係の管理作業を行っており,電気機器照明のLED化を行うことで,ホテル事業の電気代の節約につながる作業も行っている。最近,委託を受けている株式会社デンケン(住所:埼玉県川口市青木3-6-10)からの依頼作業でホテルのザ・ビー池袋でのLED照明交換作業の見積書(乙8)と請求書(乙9)で示すとおり,現在進行形で作業を行っている。また,別のホテルやグループ会社の管理作業も行っており守秘義務があるため証拠提出はできない見積作業もある。
(7)よって,本件審判請求は成り立たない。
2 口頭審理陳述要領書(平成28年4月19日付け)
(1)ホテルへの作業や業務委託は電話連絡や注文書や電子メールの取り交わしによって行っている(乙10)。
(2)ITDによるLED交換コンサル参考資料(乙11)。
(3)ホームページ上でもITDという看板を上げて常に仕事を行っており,商品に対しても全てITDシステムやITDシリーズやITDリフォーム(http://reform.itd.ne.jp/:乙12)をパッケージにして販売している。
(4)ITD(アイティーディー)とつけて商売を行っている(http://www.itd.ne.jp/itd/idea/:乙13)。
(5)経済産業省 資源エネルギー庁 推奨のエコに関するコンサル的な助言等は,あらゆる人へ行っており,ホテル業の方にも行っている(乙11)。
(6)請求人は,全ての乙の証拠にITDと使われていないといっているが,弊社では,過去から今現在まで,毎日ITD(アイティーディー)と連呼して使用している。乙の証拠(被請求人)は,全てITD(アイティーディー)というパッケージによって商売を行ったものである。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠によれば,以下のとおりである。
(1)乙第2号証ないし乙第4号証は,「ネット広告アカウント明細」,「(広告代理店)有限会社アイティーディー明細」及び「各店舗WEB上管理画面」とされるものであり,これらには,本件商標の表示がない。
(2)乙第5号証は,「顧客管理システムパンフレット」とされるものである。これには,「ホテルやレストランやエステ等の予約管理システム」,「ITD SYSTEMからはじまる。/顧客管理システムを手にしてください。」及び「サービス業は,初期投資が多額になるため収益を上げて回収するまでには,長期経営が必要になります。/エクセルによるフリーサンプル版と簡易フリー版をご提供しております。」等の記載があり,右下に,被請求人の名称,住所,連絡先等が記載され,その下に別掲1のとおり、青色でモノグラム的にデザイン化された「ITD」(以下「使用商標1」という。)の商標の表示がある。
(3)乙第6号証は,被請求人の「ITDホームページ会社沿革ページ」とされるものである。これには,上部に使用商標1が表示され,その下に,「ITD会社沿革」の文字とその沿革の表の記載がある。
(4)乙第7号証は,被請求人の「ITDホームページの会社概要・事業内容ページ」とされるものである。これには,上部に使用商標1が表示され,その下に,「ITD会社概要」及び「事業内容」の文字が記載され,「ITD会社概要」には,「商号/設立/資本金/本社所在地」等が表として記載され,「事業内容」には,「システム事業」の項目に,「事業内容:」の中に「ホテル事業管理システム・エステ,レストラン,宿泊予約管理」の文字の記載がある。
(5)乙第8号証は,被請求人が,株式会社デンケン(以下「デンケン社」という。)に宛てた「御見積書」である。これには,右上部に「日付/H27.3.30」の文字及び「見積番号/150330」の文字の記載があり,被請求人の名称の右には,別掲2のとおり、「Information/Technology/Data/ITD」を丸で囲んだ商標(以下「使用商標2」という。)の表示がある。
また,その表中には,「作業名称/品名」の欄に,「LED照明交換作業」の文字,「品番/サイズ」の欄に,「LED照明交換作業/養生費/廃棄物処分費/巡回管理費 諸経費」の文字,「数量」の欄に,「1.00」の文字等の記載がある。
(6)乙第9号証は,被請求人が,デンケン社に宛てた「請求書」である。これには,右上部に「2015年9月30日」の文字の記載があり,被請求人の名称の左側には,使用商標2の表示がある。
また,その表中には,「No」の欄に,「1」の数字,「見積番号」の欄に,「150330」の数字,「項目」の欄に,「ホテル ザ・ビー 池袋 LED照明交換作業/以下余白」の文字,「数量」の欄に,「1」の数字等の記載がある。
(7)乙第10号証は、デンケン社が、被請求人に宛てた「注文書」である。これには,右上部に「平成27年9月1日」の文字と,その下に,「貴社名」の欄に,デンケン社の名称,住所及び連絡先の記載があり,社印の押印がある。
また、その表中には,「作業名称/品名」の欄に,「LED照明交換作業」の文字,「品番/サイズ」の欄に,「LED照明交換作業/養生費/廃棄物処分費/巡回管理費 諸経費」の文字,「数量」の欄に,「1.00」の文字等の記載があるが,これには、本件商標の表示がない。
(8)乙第11号証は、「資源エネルギー庁 推奨 作業目録」とされるものである。これには、右上に「2014年-2015年度」の文字の記載がある。
そして、「節電&省エネ ITDによるLED交換コンサルティング」のタイトルの下に、「資源エネルギー庁 推奨/http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/lighting/index.html/白熱電球と電球形蛍光ランプとLED電球のコスト比較」の文字の記載がある。
また、タイトルが「節電&省エネ ITDご利用ホテルのお客様」とされる表の記載があるが、これには、本件商標の表示がない。
(9)乙第12号証は,被請求人のリフォームホームページとされるものである。これには,左上部に使用商標1が表示され,右上部には,被請求人の名称と連絡先等の記載,左側に上から「初めての方へ」,「特徴」,「ご相談」,「お見積」,「実績工事価格」及び「耐震補強」の項目の記載がある。
(10)乙第13号証は,被請求人の「ITDホームページ企業理念ページ」とされるものである。これには,上部に使用商標1が表示され,その下に,「ITD企業理念」の文字とその理念の記載がある。
2 上記1によれば,以下のとおり判断できる。
(1)被請求人による取消請求役務への本件商標の使用について
ア 被請求人は,乙第7号証のホームページによって,「ホテルの事業の管理」について本件商標を使用していると主張しているところ,乙第5号証ないし乙第7号証,乙第12号証及び乙第13号証における被請求人の顧客管理システムパンフレット及びホームページには,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる使用商標1が表示されているが,これらの証拠には被請求人が提供する役務のうち,取消請求役務である「ホテルの事業の管理」に使用されているのか不明である。
イ 乙第8号証及び乙第9号証は,「LED照明交換作業」についての見積書と請求書であり,この照明交換作業は,それぞれの日付から要証期間に行われたことは推認できるが,この役務は,第37類の「照明機器の設置工事」の役務の範ちゅうに含まれる役務であると認められる。
したがって,取消請求役務である「ホテルの事業の管理」の範ちゅうに含まれない役務であることは明らかである。
ウ その他,上記した証拠以外の被請求人が提出した証拠によっては,本件商標が,取消請求役務に使用されていることを証明する事実を認めることはできない。
(2)被請求人の主張について
被請求人は,「ホテル関係の管理作業を行っており,電気機器照明のLED化を行うことで,ホテル事業の電気代の節約につながる作業も行っている。最近,委託を受けているデンケン社からの依頼作業でホテルのザ・ビー池袋でのLED照明交換作業の見積書と請求書で示すとおり,現在進行形で作業を行っている。」旨を主張している。
しかしながら,「ホテルの事業の管理」の役務とは,「他人の依頼(契約)に基づいて、ホテルの事業(ホテルを経営する経済的活動)に関して,事務を経営し,物的設備の維持,管轄をなすこと,を行う役務。」ということがいえるものである。
そして,被請求人の提出した証拠からは,上記に記載した「ホテルの事業の管理」の役務を提供している事実が確認できない。
また,被請求人が,「LED照明交換作業」の役務をデンケン社から委託を受けて業務を行っていることは,前記1(5)及び(6)によって推認できるものであるが,この役務は,第37類の「照明機器の設置工事」の役務の範ちゅうに含まれる役務と認められる。
よって,被請求人の上記主張は,妥当でなく,採用することができない。
(3)小括
以上によれば,被請求人が提出した全証拠によれば,被請求人が,要証期間内にその請求に係る取消請求役務について,本件商標を使用していた事実は認められない。
3 むすび
してみれば,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に,日本国内において,本件商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,取消請求役務について,本件商標を使用していることを証明したものということができない。
また,被請求人は,取消請求役務について,本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,その指定役務中の「ホテルの事業の管理」について,商標法第50条の規定により,取り消すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 使用商標1(色彩については、乙第5号証を参照。)


別掲2 使用商標2(色彩については、乙第8号証を参照。)


審決日 2016-07-01 
出願番号 商願2007-45109(T2007-45109) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X35)
最終処分 成立  
前審関与審査官 原田 信彦 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 榎本 政実
清棲 保美
登録日 2008-04-25 
登録番号 商標登録第5130649号(T5130649) 
商標の称呼 アイテイデイ 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 北原 絵梨子 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 外村 玲子 
代理人 中村 稔 
代理人 辻居 幸一 
代理人 飯田 圭 
代理人 藤倉 大作 
代理人 松尾 和子 

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