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審決分類 審判 全部無効 商品(役務)の類否 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W09
審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W09
審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W09
審判 全部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W09
管理番号 1318126 
審判番号 無効2013-890078 
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-11-14 
確定日 2016-07-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第5576127号商標の商標登録無効審判事件についてされた平成27年6月5日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(平成27年(行ケ)第10134号、平成28年2月17日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 登録第5576127号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5576127号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成24年11月16日に登録出願、第9類「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」を指定商品として、同25年3月21日に登録査定、同年4月19日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第5160747号商標(以下「引用商標」という。)は、「DualScan」の欧文字を標準文字により表してなり、平成19年12月7日に登録出願、第10類「体脂肪測定器,体組成計」を指定商品として、同20年8月22日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第96号証(枝番を含む。)を提出した(なお、甲第17号証ないし甲第96号証は、審決取消訴訟の後に、証拠説明書として提出されたものである。)。
1 請求の理由の要点
本件商標は、引用商標と同一又は類似の商標であり、引用商標の指定商品と類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 本件商標の登録を無効とすべき理由
(1)商標の類否
ア 本件商標は、「デュアルスキャン」の片仮名と「Dual Scan」の欧文字とを2段に書したものであるが、「デュアルスキャン」は「Dual Scan」から生じる称呼を片仮名で表記したものにすぎないから、「Dual Scan」の欧文字部分が単独で本件商標の要部を構成する。
また、引用商標は、「DualScan」の欧文字を標準文字で表してなるものである。
イ 以上を前提として、本件商標と引用商標とを対比すると、第一に、外観については、本件商標の要部である「Dual Scan」の欧文字部分と引用商標との間には、「Dual」と「Scan」との間に空白が存在するか否かの相違しか存在しない。
そして、「Dual」及び「Scan」の各語がいずれも一般的な英単語であり、需要者にとって比較的なじみのある語であることや、引用商標の「Scan」の「S」の文字が大文字であることに鑑みれば、引用商標に接した需要者が、引用商標が「Dual」と「Scan」の2語から構成されるものであることを容易に理解できることは明らかであるから、「Dual」と「Scan」との間に空白が存在するか否かは、実質的な相違点ではない。
ウ 第二に、称呼については、本件商標及び引用商標は、いずれも「デュアルスキャン」の同一の称呼を生じる。
エ 第三に、観念については、「Dual」は「二重の」等の意味を有する英単語であり、「Scan」は「走査」等の意味を有する英単語であるから、「Dual Scan」ないし「DualScan」は、いずれも「二重の走査」といった同一の観念を有する。
オ 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観において実質的な相違点は存在せず、また、称呼及び観念において同一であるから、本件商標が引用商標と同一又は類似であることは明らかである。
(2)指定商品の類否
ア 前述のとおり、本件商標の指定商品は、第9類「脂肪計付き体重計、体組成計付き体重計、体重計」である。これに対し、引用商標の指定商品は、第10類「体脂肪測定器、体組成計」である。
イ 指定商品が類似のものであるかどうかは、商品自体が取引上誤認混同のおそれがあるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にある場合には、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても、商標法第4条第1項第11号にいう類似の商品に当たると解するのが相当である(最高裁昭和36年6月27日第三小法廷判決・民集15巻6号1730頁参照(甲4)。同判決を引用する最近の判決として、知財高裁平成23年4月25日判決・平成22年(行ケ)第10332号(甲5)など)。
ウ これを本件についてみると、第一に、本件商標の指定商品のうち、「脂肪計付き体重計」は、要するに脂肪計と体重計の両方の機能を備える機器であるところ、ここでいう「脂肪計」とは、人間の体脂肪を測定する機器であり、「体脂肪測定器」にほかならない。「脂肪計付き体重計」と「体脂肪測定器」との間には、体重計としての機能をも備えているという限定があるか否かの相違が存在するにすぎない。
したがって、「脂肪計付き体重計」及び「体脂肪測定器」が、通常、同一営業主によって製造又は販売される商品であり、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあることは明らかであるから、両者は類似する。
エ 第二に、本件商標の指定商品のうち、「体組成計付き体重計」とは、要するに体組成計と体重計との両方の機能を備える機器である。「体組成計付き体重計」と「体組成計」との間には、体重計としての機能をも備えているという限定があるか否かの相違が存在するにすぎない。
したがって、「体組成計付き体重計」及び「体組成計」が、通常、同一営業主によって製造又は販売される商品であり、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあることは明らかであるから、両者は類似する。
オ 第三に、本件商標の指定商品のうち、「体重計」は、「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計」を包含する商品であるから、結局、引用商標の指定商品「体脂肪測定器,体組成計」に類似する(本件商標の指定商品中に含まれるものは、「その他の体重計」ではなく、単なる「体重計」である。)。
カ 第四に、上記ウないしオで検討した組合せ以外の組合せに着目した場合であっても、いわゆる体重計、体脂肪計(体脂肪測定器)及び体組成計といった商品は、通常、同一のメーカーが製造又は販売する商品である。
例えば、請求人は、家庭用の健康機器として、体重体組成計及び体脂肪計を製造又は販売している(甲6の17?23頁)。請求人の体重体組成計は、人間が機器の上に乗り、あるいは、機器の上に乗るとともに、これに接続された別の機器を両手で持って、体組成を測定するものであり、体重を測定する機能及び体脂肪(体脂肪率、内臓脂肪レベル)を測定する機能を備えている(甲6の18?22頁)。また、請求人は、体重を測定する機能を備えない、両手で持って体脂肪率を測定する体脂肪計も製造又は販売している(甲6の22頁)。さらに、請求人は、家庭用以外にも、体重を測定する機能を備えない、医療用の内臓脂肪測定装置も製造している(甲7)。
他方、被請求人は、家庭用の健康機器として、体組成計及びヘルスメーターを製造又は販売している(甲8の3?12頁)。被請求人の体組成計は、人間が機器の上に乗り、あるいは、機器の上に乗るとともに、これに接続された別の機器を両手で持って、体組成を測定するものであり、体重を測定する機能及び体脂肪(体脂肪率、内臓脂肪レベル)を測定する機能を備えている(甲8の3?10頁)。また、被請求人のヘルスメーターは、体重を測定する機能のみを備えた、いわゆる体重計である(甲8の11?12頁)。さらに、被請求人は、家庭用以外にも、体重を測定する機能を備えない、医療用の腹部脂肪計も製造又は販売している(甲9)。
そして、請求人及び被請求人以外にも、パナソニック株式会社が、体重や体脂肪(体脂肪率、内臓脂肪レベル)を含む体組成を測定する機能を備えた体組成バランス計及び体組成計を製造又は販売しており(甲10の3?16頁)、また、シチズン・システムズ株式会社が、体重や体脂肪(体脂肪率、内臓脂肪レベル)を含む体組成を測定する機能を備えた体脂肪計や、単に体重を測定する機能を備えた体重計を製造又は販売している(甲11の32?33頁)。
このように、各社によって若干呼び名は異なるものの、体重計、体脂肪計(体脂肪測定器)及び体組成計は、各社によって製造又は販売されている。このことからも明らかであるとおり、これらの商品は、通常、同一のメーカーが製造又は販売するものである。
したがって、これらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは、同一メーカーの製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあることは明らかである。
キ 第五に、商品の流通の場面においても、体重計、体脂肪計(体脂肪測定器)及び体組成計といった商品は、同一のカテゴリに属する商品として、同一店舗の同じ売り場等で販売されている。
例えば、東京都千代田区に所在する家電量販店であるヨドバシカメラマルチメディアAkibaにおいては、体重計、体脂肪計及び体組成計は、いずれも「理美容・化粧品」のコーナーにおいて販売されている(甲12)。なお、上述したメーカー各社のカタログ(甲6、8、10、11)は、いずれも同コーナーにおいて配布されているものである。
さらに、インターネット通信販売においても、例えば、インターネット通信販売サイトである「楽天市場」においては、体重計、体脂肪計及び体組成計は、いずれも「ダイエット・健康>計測器・健康管理>体組成・体脂肪計」のカテゴリに分類されている(甲13の1)。なお、同カテゴリには、体重を測定する機能を備えない、手で持って体脂肪を測定する体脂肪計も含まれる(甲13の2)。
ク 以上より、体重計、体脂肪計(体脂肪測定器)及び体組成計といった商品が、同一営業主によって製造又は販売される商品であり、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあることは明らかである。
したがって、本件商標の指定商品である「脂肪計付き体重計、体組成計付き体重計、体重計」は、引用商標の指定商品である「体脂肪測定器,体組成計」と類似する。
3 答弁に対する弁駁
(1)第10類「体脂肪測定器,体組成計」が、医院又は病院で専ら使用される機器に限定されないこと
ア 第10類の「医療用機械器具」には、その下位概念として、「病院用機械器具」が存在する。これは、「類似商品・役務審査基準(改訂第8版)」の時点でそうなっており(乙9)、最新の「類似商品・役務審査基準(国際分類第10-2014版対応)」においても同様である(甲14)。
他方、「医療用機械器具」は、そのすべてが「病院用機械器具」に属するわけではなく、「病院用機械器具」に該当しない「医療用機械器具」も存在する。
したがって、「医療用機械器具」が、病院ないし医院において専ら使用される機械器具に限定されないことは明らかである。
なお、第10類「体脂肪測定器」は、「病院用機械器具」に属する商品であるとはされていない。
イ 「医療用機械器具」の中に列挙されている商品の中には、明らかに、病院ないし医院以外でも用いられるものが存在する。
例えば、体温計は、「類似商品・役務審査基準(改訂第8版)」及び「類似商品・役務審査基準(国際分類第10-2014版対応)」のいずれにおいても列挙されている(乙9、14)ところ、これは、一般人が普通に購入することができ、一般家庭において普通に使用される商品であり、病院ないし医院において専ら使用されるものではない。
ウ 特許電子図書館の「商品・役務名リスト」には、国際分類の第9版及び第10-2014版のいずれにおいても、「医療用機械器具」の類似群10D01に属する商品として、家庭用の機器が多数列挙されている(甲15、16)。
エ 上記したことからも明らかなとおり、第10類「医療用機械器具」は、医院又は病院で専ら使用されるものに限定されるものではないことから、第10類「体脂肪測定器,体組成計」もまた、医院又は病院で専ら使用されるものに限定されず、主に一般家庭において用いることを想定した体脂肪や体組成を計測する機器をも含むものである。
オ 被請求人は、専ら「商品及び役務の区分解説」に依拠して、第10類「医療用機械器具」は医院又は病院で専ら使用されるものに限定されると主張しているが、該商品は、上述のとおり、「類似商品・役務審査基準(改訂第8版)」の時点から既に、医院又は病院で専ら使用されるものに限定されていなかったものであり、その限定において、「商品及び役務の区分解説」の説明は、正確ではないと解される。
また、被請求人は、多数の商標登録例において、「体脂肪計」や「皮下脂肪率計」といった商品が、第9類「測定機械器具」の範ちゅうに属するものとして、特許庁に認められていることを根拠として、一般家電量販店等で販売され、どの一般家庭にもあるような小型かつ簡易な体脂肪率計は、第10類ではなく第9類に分類されると主張するが、これらの登録例における「体脂肪率計」や「皮下脂肪率計」が、なぜ一般家庭用の商品を指すと解されるのか、その根拠を全く挙げていない。
さらに、被請求人は、請求人が平成13年10月にした商標登録出願において、第9類の商品として「通信機能付き体脂肪測定器その他の測定機械器具」を指定し、登録を受けた例があることを根拠に、「体脂肪測定器」が第10類の商品と第9類の商品とにしゅん別される旨主張するが、該商品を第9類の商品としたまま登録を認めたのは単なる誤りであった可能性が考えられ、かかる登録例をもって、一般家庭用の「体脂肪測定器」が第9類に属するという被請求人の主張を裏付けるものではない。
(2)一般家庭用の「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」と業務用の「体脂肪測定器,体組成計」とが類似の商品であること
ア 体脂肪計及び体組成計等の商品の分野において、請求人と被請求人は、両者で国内市場のシェアの大半を占めており、いずれも家庭用の体組成計及び体脂肪計等のみならず、業務用の体脂肪測定器をも製造又は販売している(甲6?9)から、これらの商品が、通常、同一の営業主により製造又は販売されている実情が存在する。
イ 一般家庭用の体組成計及び体脂肪計等と業務用の体脂肪測定器及び体組成計とが相違するとする被請求人の主張の趣旨は、その流通過程、購入者、使用者及び用途が異なるということと解されるところ、確かに、業務用の体脂肪測定器及び体組成計は、病院等が購入して医師が使用するものであって、通常の家電量販店等では販売されていないものであるのに対し、一般家庭用の体組成計及び体脂肪計等は、一般人が購入して使用するものであって、通常の家電量販店等で販売されているものである。
しかしながら、業務用の体脂肪測定器及び体組成計の主な需要者である医師は、同時に、一般家庭用の体組成計及び体脂肪計等の需要者でもあるから、一般家庭用の体組成計及び体脂肪計等について使用されている商標と同一又は類似の商標が業務用の体脂肪測定器及び体組成計について使用されていれば、これを見た医師が、同一の企業が一般家庭用の機器のみならず業務用の機器をも製造又は販売していると誤認するおそれがあることは明らかである。
また、業務用の体脂肪測定器及び体組成計は、病院において医師が看者に対して使用するものであるから、一般人である患者にとって、かかる体脂肪測定器及び体組成計を目にする機会があるところ、その体脂肪測定器及び体組成計に一般人が家庭において使用している体組成計及び体脂肪計等に付されているのと同一又は類似の商標が付されていれば、これを見た一般人は、同一の企業が一般家庭用の機器のみならず業務用の機器をも製造又は販売していると誤認するおそれがある。
したがって、被請求人が主張する流通過程、購入者、使用者及び用途の相違は、いずれも一般家庭用の体組成計及び体脂肪計等と業務用の体脂肪測定器及び体組成計とが同一の営業主の製造又は販売に係る商品であると誤認するおそれがあることを否定するものとはならない。
4 結論
以上のとおり、本件商標は、引用商標と同一又は類似の商標であり、引用商標の指定商品と類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
したがって、本件商標の登録は、無効にすべきものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第15号証(枝番を含む。)を提出した。
1 「指定商品の類否」に対する具体的反論
本件商標の指定商品である第9類「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」は、いずれも第9類「測定機械器具(類似群コード:10C01)」の範ちゅうに属するものである一方(乙5の2)、引用商標の指定商品である第10類「体脂肪測定器,体組成計」は、いずれも第10類の「医療用機械器具(類似群コード:10D01)」に属するものであって、両商品は、類似商品・役務審査基準の下では、非類似と推定されているものである。
これに対して、請求人は、上記推定を覆すべく各種証拠を提出し、主張を行っているが、いずれも合理的な根拠を欠くものと述べざるを得ない。
(1)請求人が引用する最高裁判例について
請求人は、最高裁昭和36年6月27日第三小法廷判決中の「指定商品が類似するものであるかどうかは、商品自体が取引上誤認混同のおそれがあるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にある場合には、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても、商標法第4条第1項第11号にいう類似の商品に当たると解するのが相当である」の判示部分(甲4)を引用し、結論において、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、同一営業主により製造又は販売に係る商品と誤認混同を生ずるおそれがあるから類似すると主張しているところ、当該最高裁判例が示した基準による商品の類否判断は、請求人が提出した甲第5号証の判決中にもあるとおり、生産部門、販売部門、原材料・品質、用途、需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品との関係にあるかどうかを総合的に考慮するという比較方法をもって決せられるとされており、当該比較方法は、現行の商標審査基準にもそのまま示されている(乙1)。
しかるところ、以下に考察するとおり、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、一般的な取引の実情の下では、生産部門、販売部門、原材料・品質、用途、需要者の範囲のいずれについても共通性が乏しく、また、完成品と部品という関係にもないものであるから、非類似の商品といえるものである。
(2)第10類「体脂肪測定器、体組成計」の性質及び内容についての理解ないし解釈の誤りについて
請求人は、第10類「体脂肪測定器,体組成計」の性質及び内容についての理解ないし解釈を誤っているから、請求人による各主張及び各提出証拠に対して反論ないし反証を行う前に、商標法上の商品としての第10類「体脂肪測定器,体組成計」の性質及び内容について、以下詳述する。
ア 引用商標の指定商品中の第10類「体脂肪測定器」は、同じ第10類「医療用機械器具」に含まれる「診断用機械器具」の範ちゅうに属するものとして、特許庁商標課編による「『商品及び役務の区分』に基づく類似商品・役務審査基準」の中に明示されている(乙2)。
また、引用商標の指定商品中の「体組成計」も、「主として、医療用機器及び医療用品を含む。」(乙3、4)とされる第10類の区分に分類され、IPDL(特許電子図書館)の「商品・役務名リスト」において、第10類「医療用機械器具」と同一の類似群「10D01」が付されているから(乙5の1)、第10類「医療用機械器具」の範ちゅうに属するものと優に解される。
イ 「商品及び役務の区分解説〔国際分類第8版対応〕」(2003年(平成15年)10月29日 改訂第4版 第2刷発行)において、「医療用機械器具」は、「医院又は病院で専ら使用される機械器具」と定義されており(乙3)、また、「体脂肪測定器」を包含する「診断用機械器具」についても同様に、「診断の性質上、測定を目的とする機械器具が多いが、医院又は病院で専ら用いられるので、この概念に属することになる。」と説明されており(乙3)、さらに、現行の「商品及び役務の区分解説〔国際分類第10版対応〕」(2012年(平成24年)7月31日発行 改訂第6版発行)においても、上記説明ないし解釈に特段変わりはなく、「医療用機械器具」については、「この商品は、医院又は病院で専ら使用される機械器具が該当します。」との説明がある(乙4)。
他方、上記現行の「商品及び役務の区分解説」の中の「測定機械器具」に関する解説を参照すると、「専ら医療用に使用する測定機械器具については、第10類『医療用機械器具』に属します。」との説明がある(乙4)。
したがって、第10類「体脂肪測定器,体組成計」がいずれも第10類「医療用機械器具」の範ちゅうに分類されていることに照らすならば、当該商品は、上記の「商品又は役務の区分解説」にあるように、医院又は病院で専ら使用されるものが相当ないし該当すると解すべきである。
ウ 体脂肪測定とは、元来、生活習慣病等の診断や治療のために、水中体重秤量法、X線、CTスキャン等により身体の脂肪の割合や量を測定するなどの方法で、病院や医院等でかなり大掛かりに行われてきた専門的な診断行為である(乙6、7)。そして、当該体脂肪測定本来の性質に即して、「体脂肪測定器」は、医院又は病院で専ら使用される第10類「医療用機械器具」の範ちゅうに属するものとして分類されているものといえる。
その一方で、昨今ではダイエットやヘルスケアが大衆的なブームとなり、医院や病院等での専門的な診断という観点からでなく、一般家庭でも手軽に体脂肪率、体内筋肉量(率)、体内水分量(率)など(以下、まとめて「体脂肪率等」という。)を測定し、その結果をダイエット等に役立てたいという一般消費者のニーズが非常に高くなってきたが、X線、CTスキャン装置その他業務用の体脂肪測定器は、非常に大型で、到底一般家庭に持ち込むことはできず、また、操作方法も専門的で、コストも大変高額であることから、通常は病院その他の事業者しか利用又は購入できないものである(乙6、7)。
そこで、被請求人がパイオニアとなって研究及び開発努力を重ねた結果、体脂肪率等の測定機能を備えた、小型でかつ操作方法も簡単な一般家庭用の体重計、すなわち、「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計」が広く普及するようになった。
もっとも、体重計に体脂肪率等の測定機能が備わったといっても、個人が家庭でダイエットやヘルスケアに励むに当たり最も基本となる指標は、やはり「体重」であり、今日普及している一般家庭用の「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計」も、その大きさや簡便さについては従来の一般家庭用の体重計と基本的に大きな変わりはなく、医療診断用に用いられる一般に大型かつ高額で、その操作に相応の知識を要する業務用の体脂肪測定器とは、現在においても、性質等で大きく異なるものである。
すなわち、一般家庭用の「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計」が各家庭に普及してきた一方で、乙第7号証が示すように、病院や医院において体脂肪の測定を行う際には、現在でもX線やCTスキャン等の機能を備えた大型で操作に専門的知識を要する業務用機器を使用するのが一般的であり、一般家電量販店等で販売されている「脂肪計付き体重計、体組成計付き体重計」(甲12、13)が、乙第7号証が示すような医院又は病院で専ら使用される「医療用機械器具」に相当するものとはいい難い。また、一般家電量販店等で販売されるような「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計」が、実際に病院や医院において患者のための専門的診断の用に供されているという実情は見当たらないし(乙7)、本件無効審判においても、請求人からそのような事実の証明は一切なされていない。
したがって、第10類「体脂肪測定器、体組成計」は、医院又は病院で専ら使用される一般に大型かつ高額で、しかも、その操作に相応の専門的知識を要する業務用のものが相当すると解するのが自然である(乙6、7)一方で、第9類「体脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計」は、ダイエット等のために体重や体脂肪率等を手軽に測定することができ、どの一般家庭にもあるような小型かつ簡易な体重計が相当するものと解すべきである。
なお、上記主張の証左として、乙第8号証に示す多数の商標登録では、「体脂肪率計」や「皮下体脂肪率計」といった商品が、第10類「医療用機械器具」ではなく、第9類「測定機械器具」の範ちゅうに属するものとして指定され、特許庁に認められている。当該事実は、つまり、商標法上の商品として、一般家電量販店等で販売され、どの一般家庭にもあるような小型かつ簡易な体脂肪率計は、専門的かつ業務的な用に供される医療用の体脂肪測定器とは大きく性質等で異なるという取引の実情に基づき、第10類「体脂肪測定器(医療用機械器具)」とは明確にしゅん別され、非類似の商品として第9類に分類されることを示している。
エ ところで、「類似商品・役務審査基準(1997年(平成9年)7月22日 改訂第8版2刷発行)」の発行時には既に、「体脂肪測定器」は、第10類「医療用機械器具」の範ちゅうに属するものとして明示されていたが(乙9)、請求人においては、平成13年10月付けで、第9類「(通信機能付き)体脂肪測定器その他の測定機械器具」を指定して、商標登録出願を行い、その後、登録を受けているという実例が存在している(乙10)。当該事実は、請求人において、商標法上の商品としての「体脂肪測定器」には、医院又は病院において専ら使用される「医療用」と、そうでないものとの別があることを熟知していたこと、つまりは、本件無効審判における請求人の主張に無理があることを意味しており、また、何より、「体脂肪測定器」という商品が、その性質や用途等及び取引の実情に応じて、第10類と第9類にしゅん別され、非類似として扱われていることを示す、動かし難い証左といえる。
このほかにも、「体脂肪測定器」ではないが、請求人は、例えば、睡眠状態分析用の計器について、第9類「睡眠状態分析のための測定機械器具」と第10類「医療用睡眠状態分析器」とをそれぞれ指定している(乙11)。当該例も、同じ測定器であっても、「医療用」とそうでないものが明確にしゅん別され得ることを示している。
オ 以上のように、商標法上の商品として、「医療用」とそうでないものとを非類似としてしゅん別することには、実際の取引の実情に基づいた合理的な理由があり、その別は、「商品又は役務の区分解説」で説明されているとおり、「医院又は病院で専ら使用される機械器具」であるかどうかにより決せられるべきものである。そして、第10類「体脂肪測定器,体組成計」は、医院又は病院で専ら使用されるものと解されるところ、請求人は、第10類「体脂肪測定器,体組成計」には、医療用とそうでないもの(つまり、一般家庭で利用されるもの)すべてが混在して包含されるかのごとき誤った理解ないし解釈を前提として、各主張を展開しているから、以下、請求人の各主張に対して個別に反論する。
(3)「脂肪計付き体重計」と「体脂肪測定器」との比較
請求人は、「第一に、本件商標の指定商品のうち、『脂肪計付き体重計』は、要するに脂肪計と体重計の両方の機能を備える機器であるところ、ここでいう『脂肪計』とは、人間の体脂肪を測定する機器であり、『体脂肪測定器』にほかならない。『脂肪計付き体重計』と『体脂肪測定器』との間には、体重計としての機能をも備えているという限定があるか否かの相違が存在するにすぎない。したがって、『脂肪計付き体重計』及び『体脂肪測定器』が、通常、同一営業主によって製造又は販売される商品であり、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあることは明らかであるから、両者は類似する。」と主張する。
しかしながら、上述のとおり、第10類「体脂肪測定器」は、「商品又は役務の区分解説」にあるとおり、医院又は病院において専ら使用されるもので、実情として、それらは、一般に大型かつ高額で、しかも操作方法等につき相応の知識を要するものが相当するところ、ダイエット等のために体重や体脂肪率等を手軽に測定することができ、どの一般家庭にもあるような小型かつ簡易な体重計とは性質が全く異なるものである。
そこで、第10類「体脂肪測定器」と第9類「体脂肪計付き体重計」とが、実際に、どれほどかい離又は相違した商品であるかということを、以下例証する。
ア 請求人は、引用商標「DualScan」を医療用の体脂肪測定器について使用し、当該商品を販売していることが認められる(甲7)ところ、請求人の主張のとおり、当該商品に「体重計」の機能はなく、専ら医療診断の用に供される商品として医院又は病院向けに販売されているものである。請求人は、引用商標「DualScan」を、当該医療機器について使用するために、第10類に属する商品として権利取得を行ったものと優に推認されるところ、甲第7号証は、正に第10類「体脂肪測定器」に属する典型的な商品例を示しているといえる。
他方、第9類「脂肪計付き体重計」は、上述のとおり、被請求人が販売する、甲第8号証に示される体重や体脂肪率等を手軽に測定することができ、どの一般家庭にもあるような小型かつ簡易な商品が相当する。
しかして、請求人は、「『脂肪計付き体重計』と『体脂肪測定器』との間には、体重計としての機能をも備えているという限定があるか否かの相違が存在するにすぎない」と主張するが、甲第7号証が示すような大型かつ専門的な医療機器と、甲第8号証が示す一般家庭用の脂肪計付き体重計とを比較すれば、その相違が極めて大きいことは歴然としている。
また、前者は、薬事法に基づく医療機器の認証を受けている(甲7)のに対して、後者は、あくまで一般家庭用の商品であって、そのような認証は受けておらず、両商品は、当該観点からも根本的に品質、用途が異なるものと評価できるのである。
イ 甲第12号証及び甲第13号証は、いずれも一般家庭用の商品のみが掲載された一般家電量販店ウェブサイトを示したものであるが、医院又は病院において専ら使用されるような「医療用機械器具」としての「体脂肪測定器」がこのような一般小売店で取り扱われることは、通常、あり得ない。実際に、甲第12号証及び甲第13号証を見ても、請求人が医院又は病院向けに販売している甲第7号証に示すような業務用の商品は、?つも掲載されていない。
したがって、第9類「脂肪計付き体重計」と第10類「体脂肪測定器」とは、販売部門(医療機器専門店か、一般家電量販店等の一般小売店かの違い)、品質(一般に大型かつ高額で、操作方法等につき相応の知識を要するものか、小型かつ簡易で、一般の消費者でも個人的なダイエットや健康管理に手軽に利用できるものかの違い)、用途(医療診断その他の業務用か、一般家庭レベルでのダイエットや健康管理用かの違い)、需要者の範囲(医療従事者か、一般消費者かの違い)において著しく異なっており、両商品がその性質等においてかい離していることは明らかである。
(4)「体組成計付き体重計」と「体組成計」との比較
請求人は、「第二に、本件商標の指定商品のうち、『体組成計付き体重計』とは、要するに体組成計と体重計の両方の機能を備える機器である。『体組成計付き体重計』と『体組成計』との間には、体重計としての機能をも備えているという限定があるか否かの相違が存在するにすぎない。したがって、『体組成計付き体重計』及び『体組成計』が、通常、同一営業主によって製造又は販売される商品であり、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあることは明らかであるから、両者は類似する」と主張する。
しかしながら、当該主張についても、上記(3)における反論内容がそのまま当てはまる。すなわち、第10類「体組成計」は、例えば、乙第12号証が示すような医院や病院において専ら使用される医療診断その他の業務用のものが相当する一方で、第9類「体組成計付き体重計」は、一般家庭でダイエットや健康管理のために体脂肪率等を手軽に測定することができる家庭用体重計が相当するものといえる。
しかして、本件商標の指定商品中の第9類「体組成計付き体重計」もまた、X線・CTスキャン装置その他の業務用の体組成計に相当するとまではいい難いものであるから、第10類「体組成計」とかい離があることは明白である。
したがって、第9類「体組成計付き体重計」と第10類「体組成計」も、販売部門(医療機器専門店か、一般家電量販店等の一般小売店かの違い)、品質(一般に大型かつ高額で、操作方法等につき相応の知識を要するものか、小型かつ簡易で、一般の消費者でも個人的なダイエットや健康管理に手軽に利用できるものかの違い)、用途(医療診断その他の業務用か、一般家庭レベルでのダイエットや健康管理用かの違い)、需要者の範囲(医療従事者か、一般消費者かの違い)において著しく異なっており、両商品がその性質等においてかい離していることは明らかである。
(5)「体重計」と「体脂肪測定器,体組成計」との比較
請求人は、「第三に、本件商標の指定商品のうち、『体重計』は、『脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計』を包含する商品であるから、結局、引用商標の指定商品『体脂肪測定器,体組成計』に類似する(本件商標の指定商品中に含まれるものは『その他の体重計』ではなく、単なる『体重計』である。)。」と主張する。
しかしながら、当該主張についても、上記(3)及び(4)において反論したとおりであって、両商品が非類似であることは明らかである。まして、第9類「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計」以外の体重計と第10類「体脂肪測定器,体組成計」とが、非類似であることは自明である。
(6)生産部門の共通性について
請求人は、「第四に、上記ウないしオで検討した組合せ以外の組合せに着目した場合であっても、いわゆる体重計、体脂肪計(体脂肪測定器)及び体組成計といった商品は、通常、同一のメーカーが製造又は販売する商品である」と主張するとともに、体重計、体脂肪計(体脂肪測定器)及び体組成計を製造又は販売している事業者として、被請求人、請求人、パナソニック株式会社、シチズン・システム株式会社の4社を挙げ、そのことを根拠に、第9類「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」と第10類「体脂肪測定器,体組成計」とが、通常、同一メーカーにより製造又は販売されることは取引の実情であるかのごとく主張している。
しかしながら、上記したとおり、請求人は、医療用機械器具としての「体脂肪測定器,体組成計」と一般家庭用の「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計」との別について、誤った理解ないし解釈のまま主張を展開しているところ、甲第10号証及び甲第11号証を見ても、パナソニック株式会社及びシチズン・システム株式会社が、甲第7号証や乙第12号証に示されるような医療用の体脂肪測定器や体組成計を製造しているとの記載はなく、当該2社は、あくまで「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計」等の家庭用体重計を製造又は販売しているにすぎない。
また、上記4社以外についてみても、専ら医療用機械器具としての「体脂肪測定器,体組成計」しか製造しない企業がある一方で、専ら家庭用のものしか製造していない企業も多数あるというのが、実際の取引の実情である(乙12、13)。
したがって、実際の市場においては、一般家庭用の第9類「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計」と医療及び業務用の第10類「体脂肪測定器,体組成計」の両方を取り扱っているということ自体、むしろまれであるとともに、一般の需要者や取引者においてもそのような認識はないといえるから、請求人の主張は失当であると述べざるを得ない。
(7)販売部門(及び需要者の範囲)の共通性について
ア 請求人は、「第五に、商品の流通の場面においても、体重計、体脂肪計(体脂肪測定器)及び体組成計といった商品は、同一のカテゴリに属する商品として、同一店舗の同じ売り場等で販売されている。例えば、東京都千代田区に所在する家電量販店であるヨドバシカメラマルチメディアAkibaにおいては、体重計、体脂肪計及び体組成計は、いずれも『理美容・化粧品』のコーナーにおいて販売されている(甲12の1、12の2)。なお、上述したメーカー各社のカタログ(甲6、8、10、11)は、いずれも同コーナーにおいて配布されているものである。さらに、インターネット通信販売においても、例えば、インターネット通信販売サイトである『楽天市場』においては、体重計、体脂肪計及び体組成計は、いずれも『ダイエット・健康>計測器・健康管理>体組成・体脂肪計』のカテゴリに分類されている(甲13の1)。なお、同カテゴリには、体重を測定する機能を備えない、手で持って体脂肪を測定する体脂肪計も含まれる(甲13の2)。」と主張する。
しかしながら、上記主張も、第10類「体脂肪測定器,体組成計」についての誤った解釈ないし理解に基づいたものであり、失当である。
上記したように、第10類「体脂肪測定器、体組成計」とは、医院又は病院で専ら使用されるものであって、一般消費者向けに一般家電量販店等で販売されるものとは解されない。甲第6号証、甲第8号証及び甲第10号証ないし甲第12号証の内容を見る限り、いずれの商品も一般家庭で体重や体脂肪率等を測定するための器具であり、甲第7号証及び乙第12号証に示されるような医療従事者向けの医療用の体脂肪測定器は、一切広告、販売されていない。
また、甲第6号証は、一般家電量販店等において配布されている請求人のカタログのようであるが、この中に医院又は病院で専ら使用されるような業務用の体脂肪測定器は一切掲載されておらず、それら業務用のものは、甲第6号証とは別に、甲第7号証において医療従事者向けに紹介されている。同じように、甲第8号証は、被請求人のカタログであるが、この中に掲載されているものは一般家庭用の体重計等であって、業務用の商品については、別途、甲第9号証で医療従事者向けに紹介をしている。
イ 請求人は、甲第7号証に示すとおり、実際に医療用機械器具としての体脂肪測定器を製造しているが、「脂肪計付き体重計」の需要者である一般消費者において、請求人がそのような商品を販売している事実を知る機会はほとんどない。その意味でも、本件商標と引用商標との間で混同が生ずるおそれは、全くないと述べざるを得ない。
すなわち、請求人が販売する「デュアルスキャン」は、請求人の公式ウェブサイトの中の「医療関係者の方」という項目において紹介されているが(甲7)、「医療関係者の方」に進もうとすると、「このページは、医療関係者の方への情報提供を目的としております。申し訳ございませんが、一般の方はご遠慮くださいますよう、お願いいたします。医療関係者の方は『はい』のボタンを、一般の方は『いいえ』のボタンをクリックしてください。」と表示され、一般消費者に対して、医療用の体脂肪測定器の情報照会を拒絶している状況である(乙14)。このような状況で、一般の消費者が請求人の医療用の商品を認知することは困難である。
したがって、本件商標がその指定商品中の一般家電量販店等で販売される「脂肪計付き体重計」について使用された場合に、請求人の販売に係る医療用の「体脂肪測定器」との間で、出所の混同が生ずるおそれは全くないというべきである。
ウ 上記のとおり、第9類「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」と第10類「体脂肪測定器,体組成計」とが、販売部門及び需要者の範囲において著しく相違していることは明らかというべきである。
(8)その他
商品の類否は、原則として、商品の生産部門、販売部門の同一性、原材料、品質の同一性、需要者の範囲の同一性及び完成品、部品の関連性を総合的に考慮して作成された「類似商品・役務審査基準」(乙2)に基づいて判断されるものである。
その理由としては、登録主義を基調とする我が国の商標法の下においては、商品の類似なる概念は、商標の類似の概念と同様、商品の具体的出所の混同を防止するために一般的出所の混同の基準を画するものとして設けられた概念であり、それによって商標の禁止権の範囲が画定されるのであるから、権利関係の安定を期するためには、できるだけ客観的・一般的に定められることが要請される(「商標〔第5版〕」網野誠著586頁)からである。また、これから商標を使用したり出願するために既登録商標を調査しようとする第三者のサーチの便宜に配慮すると、商品、役務の類似の範囲が登録商標の認知度や双方の商標の類似度に応じて広狭を変えるというのでは、サーチの負担が大きくなるため、商品、役務の類似性は定型的に定まっていることが望ましく、そして、未使用商標に広範な保護を与える場合には第三者の商標選定の自由を過度に害する危険性があるところ、登録商標に対する具体の信用の化体の度合いに応じた保護の範囲の拡大は、4条1項15号、不正競争防止法2条1項1号に委ねれば足りる(「商標法概説〔第2版〕」田村善之著139頁)というべきである。
しかして、請求人は、甲第7号証のとおり、医院又は病院において専ら使用される第10類「体脂肪計測定器」について引用商標を使用しているが、いわゆる一般家庭用の第9類「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」について引用商標を使用している事実はなく、引用商標の禁止権を、未使用かつ非類似の第9類「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」にまでいたずらに及ぼすべきでなく、相応の理由がない限り、禁止権の拡張は認められるべきではない。この点、請求人は、甲第7号証に示されるような医療用の体脂肪測定器と甲第8号証に示されるような一般家庭用の「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」とが、どのような点で共通し、類似するのかというような証明や主張は一切尽くしていない。よって、上記両商品の非類似性の推定を覆すことは、到底できないというべきである。
また、現実の市場でも、審査基準の上でも、非類似である両商品の間で混同が生ずるというのであれば、引用商標の使用実績に基づき、個別具体的な出所混同の問題、すなわち、商標法第4条第1項第15号において処理すべき問題であると解されるが、請求人は、本件無効審判において、引用商標の使用実績はおろか、請求の理由において、同号すら挙げていないから、本件商標が同号に該当する余地がないことは明白である。
(9)判決例
最高裁第二小法廷昭和38年10月4日判決(昭和36年(オ)第1388号)は、「商品の出所について誤認混同を生ずる虞の有無、すなわち、商品の類似するかどうかは、場合々々に応じて判断せられるべき問題であって、類似商品に対する禁止権をあまりに広く認めることは、商標権者を保護するのあまり、他の者の営業に関する自由な活動を不当に制限する虞がないとはいえない・・・二つの商品が用途において密接な関係があり、同一店舗において同一需要者に販売されるということだけで、両者を類似商品として・・・容認した原判示は首肯することができない。」と判示している(乙15)。
しかるところ、第10類「体脂肪測定器,体組成計」と第9類「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」とが、用途だけでなく、販売部門や需要者の範囲等でさえ著しくかい離していることは上述のとおりであり、上記最高裁判決の判示に照らすならば、両商品が非類似であることは明白である。よって、引用商標に係る禁止権を非類似商品である第9類「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」にまでいたずらに拡張することは、許されないというべきである。
(10)小括
上記(1)ないし(9)において詳述したとおり、本件商標の第9類「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」と引用商標の第10類「体脂肪測定器,体組成計」とは、一般的な取引の実情として、生産部門、販売部門、品質、用途、需要者の範囲において異なり、類似していないことが明らかであるから、本件商標をその指定商品について使用したとしても、それら商品と引用商標の指定商品とが同一営業主により製造又は販売されているものと誤認混同されるおそれは全くないというべきである。
よって、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当しないことは明らかである。
2 結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号には該当しないものと認められるから、被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めるものである。

第5 当審の判断
1 商標の類否
(1)本件商標
本件商標の構成は、別掲のとおりである。上段と下段の文字の大きさにそれほど違いはないが、その位置関係からして、上段の「デュアルスキャン」という片仮名は、下段の「Dual Scan」の読みを記載したものと看取される。そして、下段は、「二重の」を意味する英語である「Dual」と、「走査」を意味する英語である「Scan」を組み合わせたものとして、「二重の走査」という観念を有すると理解される。
(2)引用商標
引用商標は、「DualScan」の欧文字を標準文字により表してなり、構成自体から特定の意味を有する語句とは理解されない。「Dual」と「Scan」の間に空白はないものの、「S」が大文字で記載されていることから、「二重の」を意味する英語である「Dual」と、「走査」を意味する英語である「Scan」を組み合わせたものとして、「デュアルスキャン」という称呼をもって、「二重の走査」という観念を有するものと理解される。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標の下段と引用商標は、構成文字において共通し、「Dual」と「Scan」との間の空白は1文字分もなく、前後が必ず分離して観察されるようなものではないから、外観において類似する。そして、称呼と観念は一致する。
したがって、本件商標と引用商標は類似する商標というべきである。
このこと自体は、当事者間に争いがない。
2 商品の類否
(1)本件商標と引用商標の指定商品
本件商標の指定商品は、第9類「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」である。
引用商標の指定商品は、第10類「体脂肪測定器,体組成計」である。
(2)判断基準
商標法第4条第1項第11号は、「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(中略)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」の商標登録を禁じている。そして、経済の発展に伴う産業の多様化や多角化、商品流通過程の複雑化等の事情を踏まえると、使用者の業務上信用の維持を図るという商標の目的(商標法第1条)を達成するためには、商品の属性と近似する商品についての商標の使用を禁止するだけでは足りず、同一の営業主の提供した商品であるという誤解を生じさせる商標の使用をも禁止する必要があるというべきである。
そうすると、指定商品の類似性の有無については、「それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認される虞がある認められる関係にある」か否かにより判断されるべきであり(最高裁昭和36年6月27日第三小法廷判決・民集15巻6号1730頁)、「商品の品質、形状、用途が同一であるかどうかを基準とするだけではなく、さらに、その用途において密接な関連を有するかどうかとか、同一の店舗で販売されるのが通常であるかどうかというような取引の実情をも考慮すべき」である(最高裁昭和39年6月16日第三小法廷判決・民集18巻5号774頁)。そして、「商品自体が取引上互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認混同されるおそれがある場合」には、「類似の商品」に当たると解すべきである(最高裁昭和43年11月15日第二小法廷判決・民集22巻12号2559頁)。なお、上記判断は、誤認混同のおそれの判断は、商標の類似性と商品の類似性の両方が要素となり、これらの要素を総合的に考慮して行うことを示すものであるが、商品の類似性は、商標の類似性とは独立した要素であり、登録に係る商標や引用商標の具体的な構成を離れて、判断すべきである。
ところで、指定商品に関し、商標法第6条第1項、同条第2項は、商標登録出願について、商標の使用をする商品又は役務を、政令で定める商品及び役務の区分に従って指定してしなければならないとしている。商標法施行令は、上記条項を受け、同区分を、「千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十七年五月十三日にジュネーヴで改正され並びに千九百七十九年十月二日に修正された標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関する千九百五十七年六月十五日のニース協定」1条に規定する国際分類(国際分類)に従って定めるとともに、各区分に、その属する商品又は役務の内容を理解するための目安となる名称を付し(商標法施行令1条、政令別表)、商標法施行規則は、上記各区分に属する商品又は役務を、国際分類に即し、かつ、各区分内において更に細分類をして定めている(商標法施行令1条、商標法施行規則6条、省令別表)。特許庁は、商標登録出願の審査などに当たり、指針とすべき「商標審査基準」を定めているが、本件商標の登録出願審査時における「商標審査基準」は、商品の類否判断について、ア 生産部門の一致、イ 販売部門の一致、ウ 原材料及び品質の一致、エ 用途の一致、オ 需要者の一致、カ 完成品と部品との関係該当性といった点を総合考慮することとし、この場合、原則として、「類似商品・役務基準」によるものとしている(乙1。引用商標の登録出願審査時も、商品の類否判断に関する部分の内容は同じ。)。「類似商品・役務審査基準」では、省令別表の包括的見出し又はそれを更にある程度具体的にした見出しの名称を、短冊と呼ばれる四角括弧でくくり、同一短冊に含まれる商品は、原則として、互いに類似商品であり、同一短冊に含まれない商品は、原則として、互いに非類似であるとしているものの、商品の個別的・具体的な審査結果によっては、上記推定は絶対的なものではないとして、例外を許容している(甲64)。このような特許庁の定めた枠組み自体は、上記に示した最高裁判例の示す判断基準に沿うものということができるし、商標法第6条第3項が、同条第2項の商品及び役務の区分が、類似の範囲を定めるものではないと規定していることとも、整合的である。
3 本件についての検討
(1)本件商標と引用商標の指定商品
ア 本件商標の指定商品は、第9類「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」であり、引用商標の指定商品は、第10類「体脂肪測定器,体組成計」であるから、政令別表では異なる分類になる。
イ 商標法施行令は、商標法6条2項に係る区分を定める政令別表において、第10類として「医療用機械器具及び医療用品」を挙げているところ、省令別表では、第10類の項目において、「医療用機械器具」が、「手術用キャットガット」や「人工鼓膜用材料」、「医療用手袋」等とともに列挙されているから、第10類の「医療用機械器具」とは、本来、医療行為に供することが予定されている商品を指すものと解される。
そうすると、引用商標の指定商品である「体脂肪測定器,体組成計」とは、医療行為に供する程度の品質、性能を保有することが予定されている体脂肪率、筋肉量、基礎代謝量等の体組成の測定機器を指すものというべきである。
確かに、省令別表の第10類には、「おしゃぶり」、「哺乳用具」、「綿棒」、「指サック」、「業務用美容マッサージ器」、「家庭用電気マッサージ器」や「耳かき」なども列挙されており、医師による診断、治療の場面以外での使用が想定されているものや、小型で安価で個人でも入手可能であり、病院以外に家庭での使用が想定されているもの、機能的に高度とはいえないものが含まれている。しかしながら、これらの物品は、いずれも美容、健康に関連する商品という意味において、医療行為の範ちゅうに属する行為ないし医療行為に関連する行為に供されるものと認められるし、高度な機能が不要であるとしても、医療行為に供されること、そのために必要な品質、性能が求められていることは同様であるから、当該物品に関する省令別表の分類は、上記判断を左右しない。
ウ これに対し、政令別表では、第9類として「科学用、航海用、測量用、写真用、音響用、映像用、計量用、信号用、検査用、救命用、教育用、計算用又は情報処理用の機械器具、光学式の機械器具及び電気の伝導用、電気回路の開閉用、変圧用、蓄電用、電圧調整用又は電気制御用の機械器具」が列挙されているところ、省令別表では、第9類の項目において、「測定機械器具」として、温度計、圧力計、金属材料圧縮試験機、気象観測用機械等の種々のものが列挙されているものの、いずれも、医療行為に供することを予定したものではないから、省令別表の「測定機械器具」が属する第9類の「測量用・・・の機械器具」は、元々、医療行為に供することが予定されていない商品を指すものと解される。
そうすると、本件商標の指定商品である「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」とは、体脂肪率、筋肉量、基礎代謝量等の体組成や体重の測定機器を指すというべきである。そして、測定の対象自体は引用商標の指定商品と重なる部分があるが、医療行為に供することが予定されていないという意味において、医療行為に供する場合よりも、品質や性能が劣るものを予定しているというべきである。
エ 「類似商品・役務審査基準」では、類似商品コードは、引用商標の指定商品の属する第10類「医療用機械器具」が「10D01」であり、本件商標の指定商品の属する第9類「測定機械器具」が「10C01」であって(甲14、18、乙2)、両指定商品は、同一短冊に含まれておらず、同基準上、原則として商品として類似しないことが推定されるという取扱いがなされている。
もっとも、「類似商品・役務審査基準」上、第10類の「医療用機械器具」には、(ア)核磁気共鳴CT装置,血圧計,体温計といった診断用機械器具、(イ)鉗子,電気メスといった手術用機械器具、(ウ)酸素吸入器,心臓ペースメーカ,注射針といった治療用器具、(エ)解剖台,担架といった病院用機械器具、(オ)矯正機械器具,穿削器具といった歯科用機械器具、(カ)去勢器具,蹄鉄機械器具といった獣医科用機械器具、(キ)義眼,義肢,補聴器といった医療用の補助器具(歩行補助器・松葉づえを除く。)、(ク)医療用X線装置など、多種多様なものが含まれており(甲14、18、乙2)、(ア)診断用機械器具を見ても、核磁気共鳴CT装置のような大型で高額なもので、性質上医師等の専門家以外に使用が不可能なものから、血圧計や体温計のような比較的小型で、値段や性能の点で、個人でも入手して使用し、その結果を利用することが可能なものまで、幅広く示されており、引用商品の指定商品である「体脂肪測定器」も後者に含まれる。
確かに、「医療用機械器具」に属する具体的な商品では、大型で高額であり、医師等の専門家でなければ入手し、使用することができないようなものが多く、このような商品については、一般的な消費者が自ら購入することは考えにくく、上記推定が及ぶものと解される。もっとも、「医療用機械器具」に属する具体的な商品の中には、上記のような多種多様なものが含まれ、必ずしも一般消費者には入手困難とはいえない類型のものも存在するし、今後、技術革新や取引形態の変化によって、高性能の低価格帯の製品が普及し、一般消費者も、医療用として使用されている機械器具を購入し、使用するようになれば、事後的に、出所について誤認混同するおそれが生じ得ることになるから、実際に商標が使用されている具体的な商品の使用状況、取引の実情等によっては、上記推定を及ぼすことが相当でない場合もあるというべきである。「類似商品・役務審査基準」において、商取引、経済界等の実情の推移から、類似と推定した場合でも非類似と認められること、基準上は類似とならない場合であっても類似と認められることがあると注記しているのも(甲64)、例外を許容する趣旨と解され、上記見解と整合するものである。
(2)体脂肪計、体組成計、体重計の取引状況
そこで、以下、本件商標の指定商品とこれに関連した引用商標の指定商品の取引の実情を、具体的に検討することにする。
本件商標の指定商品は、医療行為に供する性能を有しない体重計で、体脂肪率の測定機能やそれ以外の体組成の測定機能の付いたものと、それらの機能が付加していないものを全て含む。本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との違いは、医療行為に供する性能の有無と、体重測定機能のみを有する機器を含むか否かという点にあり、測定対象自体は共通する部分があるところ、家庭用として販売されている体重計であっても、体脂肪率やそれ以外の体組成の測定機能を有する機種も多く、このような機種は体脂肪計や体組成計でもあるといえるし、医療用として販売される製品の中にも体重測定機能しかない機種も存在する。そして、体脂肪率の測定機能が付加した体重計につき、体脂肪計と区別するために体重体組成計と称する場合もあれば、単に体組成計や体脂肪計と称する場合もあり、その呼称はメーカーや商品により異なり、体重測定機能しかない機器を特にヘルスメーターと称することもあるが、呼称自体に特に意味はない。内臓脂肪などの体脂肪の測定機能を有した大型機器の呼称も、内臓脂肪測定装置、腹部脂肪計などと様々であるが、いずれも体脂肪率を測定する機能を有するものである。機器の性能や機能の有無、内容、精度は必ずしも外観だけではしゅん別できないから、需要者に対する誤認混同が生じるおそれがある商品といえるか否かを判断するためには、性能や測定対象の内容いかんにかかわらず、体脂肪率を測定する機能を有する機器である体脂肪計、それ以外の体組成の測定機能を有する機器である体組成計、体重を測定する機能を有する機器である体重計(当然、複数の属性を兼ねる場合があるが、必要がない限り、以下、明示しない。)全てを対象として、取引状況を見ていくこととする。
ア 生産部門
(ア)被請求人は、家庭用の体脂肪計、体組成計、体重計といった健康機器と医療用の体脂肪計の双方を生産しており(甲8、9)、平成4年以降に販売した、医療用、家庭用の体脂肪計、体組成計、体重計の販売数は1500万台を超える(甲34)。
(イ)請求人も、家庭用の体脂肪計、体組成計、体重計といった健康機器と医療用の体脂肪計の双方を生産しており(甲6、7)、オムロンコーリン株式会社の販売する生態情報モニタ、患者情報伝送システムといった医療機器の製造販売元でもある(甲46)。
(ウ)株式会社インボディ・ジャパンは、医療用の体組成計と、非医療用の体組成計を製造しているが、InBodyシリーズは日本のみならず世界のトップシェアを誇る(甲65?67)。
(エ)その他、医療用の体組成計は、株式会社オーワメディカル、フレゼニウス メディカル ケア株式会社などで製造されている(甲19の2、19の3、乙12の2、12の3)。
イ 販売部門
(ア)カタログ販売
a 本件査定前の事情
(a)請求人の平成19年版及び平成25年版の健康機器総合カタログには、小型の体脂肪計、体組成計(Karada Scanシリーズ)、体重計が掲載され、販売されたが(甲6、35。それ以外に、血圧計、歩数計、体温計、電動歯ブラシ、治療機器、マッサージ機器等の掲載もある。)、業務用の大型内臓脂肪測定装置(DUALSCAN HDS-2000)は掲載されていない(甲7)。医療機器、医療システムの企画、開発、販売を事業内容とする、請求人の関連会社であるオムロンコーリン株式会社の総合カタログでは、手術室、病棟、外来、検査室等で使用される生体情報モニタ、患者情報伝送システム、自動血圧計等、医療用の血圧計、心電計、体温計等と並んで、請求人の上記カタログに掲載されている体脂肪計、体組成計(Karada Scanシリーズ)が掲載され、共に販売された(甲46)。
(b)被請求人の平成25年版の健康機器総合カタログには、小型の体脂肪計、体組成計(Inner Scanシリーズ)、体重計が掲載され、販売された(甲8。それ以外に、血圧計、睡眠計、活動量計・歩数計、アルコールセンサー、クッキングスケール、タイマー、温湿度計等の掲載もある。)。被請求人の平成19年版の総合カタログには、業務用の大型の体組成計、体重計(MC-180、190、DC-320、450)と、小型の体組成計(Inner Scanシリーズ)、体重計の両方が掲載され、販売された(甲34)。平成24年版の計量計測機器総合カタログには、業務用の大型の体組成計、体重計(MC-980A、180、190、DC-320)が掲載され、販売された(甲37)。
(c)パナソニック株式会社の平成25年春夏版の計測機器総合カタログにおいて、体重や体脂肪等の測定が可能な小型の体組成計(EW-FA43、23)が掲載され、販売された(甲10。それ以外に活動量計や血圧計、乗馬フィットネス機器の掲載もある。)。
(d)シチズン・システムズ株式会社の平成18年版及び平成25年版のシチズン健康機器総合カタログにおいて、体重や体脂肪等の測定が可能な小型の体組成計(HM-7000、3000)が掲載され、販売された(甲11、36。それ以外に、血圧計、体温計、活動量計・歩数計、温湿度計、超音波洗浄器等の掲載もある。)。
(e)テルモ株式会社の平成19年版のテルモヘルスケア商品カタログでは、生活習慣予防のための体重管理の必要性が言及されているが、体脂肪計、体組成計、体重計の掲載はなく、販売はされなかった(甲38。同カタログでは、家庭での血圧測定や日々の体調管理の重要性が指摘され、「アームイン」が付された「血圧計」及び「Woman℃\ウーマンドシー」が付された体温計が掲載されたが(甲38?40)、テルモ社が商標登録した商標「アームイン」及び「Woman℃\ウーマンドシー」は、指定商品が第10類「医療用機械器具」である。)。
(f)社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会の平成19年10月版の盲人用具カタログにも、被請求人の家庭用の体組成計(Inner Scan BC-200)が掲載され、販売された(甲32)。
(g)株式会社メディセオの平成25年版の医療機器カタログにおいて、請求人の大型の業務用体脂肪測定器「DUALSCAN HDS-2000」と共に、被請求人の小型の業務用体重計(WB-260A)が掲載され、販売された(甲70の1)。
(h)株式会社アズワンのナビス看護・医療用品総合カタログ2010-2012において、高精度体組成計(被請求人の業務用のDC-320、インボディ社のInbody370)と共に、小型の体組成計、体重計(請求人の家庭用のHBF-371、701、370、202や被請求人の家庭用のBC-305)が掲載され、販売された(甲71)。
(i)株式会社栗原医療器械店のムラナカ総合カタログ〔診察・看護〕’11-’12において、小型の体脂肪計、体組成計、体重計(パナソニック社の家庭用のEW-FA21、EW-FA31、被請求人の家庭用のBC-305、請求人の家庭用のHBF-202、373、701)が掲載され、販売された(甲72)。
(j)松吉医科器械株式会社の松吉医療総合カタログ2012-13において、高精度体組成計(請求人の業務用のMC-980A、180、190)と共に、小型の体脂肪計、体組成計、体重計(被請求人の業務用WB-260A、請求人の家庭用のHBF-375、207、212、被請求人の家庭用のBC-717)が掲載され、販売された(甲73)。
(k)株式会社三和製作所の「サンワ保健福祉カタログ SQUIL」(平成24年9月1日以降用)において、大型の精密体組成計や医療用体重計とともに、小型の体脂肪計、体組成計、体重計(請求人の業務用のWB-150、WB-260A、家庭用のHBF-214、373、375、被請求人の家庭用のHS-302、BC-621)が掲載され、販売された(甲77)。
(l)理化学系医療関係の物流部門を担っている株式会社三商の作成した、三商研究実験用ガラス製品・機器総合カタログ2011-2012において、小型の体組成計、体重計(被請求人の家庭用のBC-715、309)が掲載され、販売された(甲78の1、78の2)。
b 本件査定後の事情
(a)株式会社インボディ・ジャパンの総合カタログ(平成27年印刷)には、医療用体組成計のInBody770と、非医療用体組成計のInBody570(専門家用)、InBody370(業務用)が、共に掲載され、販売された(甲68)。
(b)アスクル株式会社の医療材料カタログ2014-2015号において、小型の体組成計、体重計(請求人の家庭用のHBF-217、被請求人の家庭用のHS-302)が掲載され、販売された(甲74)。
(c)日陶科学株式会社の保健福祉カタログ平成27・28年版において、高精度体組成計(被請求人の業務用のDC-320、請求人の業務用のMC-780A、WB-150)と共に、小型の体組成計、体重計(被請求人の業務用のWB-260A、家庭用のHBF-217、被請求人の家庭用のHS-302、BC-202、567)が掲載され、販売された(甲75)。
(d)株式会社フロンティアの医療総合カタログNo.025(平成27年用)において、高精度体組成計(被請求人の業務用のDC-320)と共に、小型の体組成計、体重計(請求人の業務用のWB-110、150、260A、被請求人の家庭用のHS-302、BC-751、312、309)が掲載され、販売された(甲79)。
これらは、いずれも本件査定後の事情であるが、本件査定後に販売対象等に変化をもたらす要因があったとはうかがわれず、本件査定時における事情と同様と推認される。
(イ)小売店での販売
家電量販店である株式会社ヨドバシカメラの秋葉原店において、平成25年11月当時、体重計、体脂肪計及び体組成計は、ドライヤー、ヘアケア用品、血圧計、低周波治療器、歩数計、体温計、電動歯ブラシ等と共に、「理美容・化粧品」コーナーで販売された(甲12の1、12の2)。
(ウ)ネットショッピング
a 本件査定前、当時の事情
楽天市場では、平成25年の時点で、体重計、体脂肪計(体重測定機能を有しないものを含む。)及び体組成計は、いずれも、「ダイエット・健康」のカテゴリーの中の「計測器、健康管理」の中に含まれていた(甲13の1、13の2)。
b 本件査定後の事情
(a)株式会社ドリテック、株式会社マキノトレーディング、株式会社マクロス、株式会社オーム電機、株式会社阪和のウェブサイトにおいて、平成26年1月当時、小型の体組成計、体重計のみが販売された(乙13の1?13の5)。
(b)請求人のウェブサイトにおいて、小型の体組成計、体重計(家庭用
のHBFシリーズ)が販売されている(甲92の1?92の5)。なお、請求人は、体重測定機能のない内臓脂肪測定装置HDS-2000も製造、販売しているが(甲7)、同装置が掲載された医療関係者用のページでは、一般消費者のログインを控えてほしいとの依頼文言が掲載され、医療関係者であることを示す「はい」というボタンを押さない限り、アクセスできない(甲20、乙14)。もっとも、販売の制限まで行っているか否かは不明である。
(c)パナソニック株式会社のウェブサイトにおいて、小型の家庭用体組成計、体重計(EW-FA43、23)が販売されている(甲94)。
(d)アスクル株式会社のウェブサイトにおいて、大型の体組成計、体重計と共に、小型の体組成計、体重計(被請求人の業務用のWB-260A、家庭用のBC-754)が販売されている(甲95の1、95の2)。
(e)楽天市場において、バスリエ株式会社の開設した「お風呂のソムリエShop」で、被請求人の小型の業務用体重計(WB-260A)が、一般消費者向けに販売されている。ウェブサイト上は、「業務用デジタル体重計」であることを明記しつつも、「病院や移動検診、体重の証明用におすすめ。もちろん家庭用にもお使いいただけます。」として、対象者を、病院関係者に限らず、一般消費者も含めている。(甲70の2、70の3)
(f)ヤフーショッピングサイトにおいて、鮎川氏が開設した「Beauty.net」で、被請求人の小型の業務用体重計(WB-260A)が、一般消費者向けに販売されている(甲70の4、70の5)。
(g)ヤフーショッピングサイトにおいて、Neonが開設した「ショップneon」で、被請求人の小型の業務用体重計(WB-260A)が、一般消費者向けに販売されている(甲70の6、70の7)。
(h)アマゾンのウェブサイトにおいて、被請求人の小型の業務用体重計(WB-260A)が、一般消費者向けに販売されている(甲70の8)。
(i)日進医療器株式会社が開設したアクトロイヤルネットにおいて、請求人の小型の体組成計(HBF212)と共に、被請求人の小型の体組成計(BC-751WH)、体重計(HA851、HD661)が販売されている(甲76の1、76の2)
(j)医療機器販売を業とする有限会社ワイズメディカルのウェブサイトにおいて、被請求人の小型の体組成計(インナースキャン)が販売されている(甲80の1、80の2)。
(k)OCT医薬品の予約・サポートサービス、健康関連商品の通信販売サービスを提供する株式会社e健康ショップのウェブサイトにおいて、小型の体組成計(請求人の家庭用のHBF-254、被請求人の家庭用のBC-313)が販売されている(甲81の1、81の2)。
(l)医療機器の製造・販売・修理及び卸売を業とする星盛堂医療器工業株式会社のウェブサイトにおいて、小型の体組成計(請求人の家庭用のHBF-701、601、371、361)が販売されている(甲82の1、82の2)。
(m)有限会社ジョイパルが開設した「JOYPALSHOP」という医療器具・衛生材料専門販売ウェブサイトにおいて、高精度体組成計と共に、小型の体組成計、体重計(被請求人の家庭用のBC-305)が販売されている(甲83の1、83の2)。
(n)株式会社フロンティアが開設した「アスリートトライブ」という医療器具販売ウェブサイトにおいて、身障者用の大型の体重計、業務用デジタル体重計(被請求人のWB-110、150)と共に、小型の体組成計、体重計(被請求人のRD-900)が販売されている(甲84の1、84の2)。
(o)メディエントランス株式会社が開設した「MEDICAL SUPPLY GooDs」という医療器具販売ウェブサイトにおいて、精密体重計、業務用デジタル体重計と共に、小型の体組成計、体重計(被請求人の業務用のWB-260A、150、家庭用のBC-753、757、請求人の家庭用のHBF-216、217)が販売されている(甲85の1、85の2)。
(p)ブティックス株式会社が開設した「医療の王様」という医療器具販売ウェブサイトにおいて、大型の体組成計、体重計(被請求人の業務用のDC-320、MC-190)と共に、小型の体組成計、体重計(家庭用のBC-717、307、請求人の家庭用のHBF-375)が販売されている(甲86の1?86の4)。
(q)株式会社大塚商会のウェブサイト「たのめーる」において、大型の体組成計、体重計と共に、小型の体組成計、体重計が販売されている(甲96の1?96の5)。
これらは、いずれも本件査定後の事情であるところ、本件査定後に、ネットショッピングの普及が進んだことは否定できないものの、販売対象等に変化をもたらす要因があったとはうかがわれず、本件査定時における事情をほぼ反映するものと推認される。
ウ 価格及び性能
(ア)体脂肪の測定方法
遅くとも平成16年ころには、健康のバロメータとして、体重以外に、体脂肪が着目されるようになり(乙6の1)、体脂肪の測定方法として、a CTによる測定以外にも、b 水中体重計を用いて、空気中の体重と水中の体重から体密度を求め、体脂肪量を計算する水中体重秤量法、c DXA法(Dual energy X-ray Absorptiometry)という波長の異なる2種類の放射線の透過量から人体の組成を求める方法、d 生体インピーダンス法(Bio Impedance Analysis)という体脂肪が電流を流しにくい性質を利用し、身体に微弱電流を流して推定する方法、e 特定波長帯の近赤外線を照射し、反射エネルギーから体脂肪量を推定する近赤外分光法、f つまみ上げた皮膚の厚さを測定するキャリパー法等が示されている(甲28、29、乙6、7〔枝番のあるものは、各枝番を含む。〕)。CTによる測定やDXAの測定には、大型の医療機械が必要であり(乙7の4、7の5、7の7?7の11、7の14、7の15、7の17?7の19、7の21)、DXA法では、骨密度も測定可能である(乙7の28?7の32)。家庭用の体脂肪計では、比較的簡便なインピーダンス法、近赤外分光法、キャリパー法が採用されているが、インピーダンス法が採用する推定法則は、水中体重秤量法で測定されたデータを基にしていることが多い(甲28)。
しかしながら、生体インピーダンス法は、身体状態の差によるインピーダンスの差が大きい、生体電気インピーダンスから体脂肪率を推定するノウハウが、測定機器メーカーごとでばらつきがあるといった欠点がある。そこで、被請求人は、測定精度を高めるため、細胞の抵抗成分(レジスタンス)を容量成分(リアクタンス)とは別に計測するリアクタンステクノロジーや、複数の周波数を使い分けるマルチ周波数測定という方法を用いて、筋肉内電解質の電気特性の個人差を反映させることができるようにし、平成23年当時の時点で、DXA法との差を縮小していた(甲31、49、54、55、乙6の5)。
(イ)体脂肪計の機能や値段等の変遷
体脂肪計は、被請求人が平成4年に業務用の販売を開始し、平成6年に家庭用の販売が開始したが、その後、平成8年に1万円台のモデルが販売され、急速に売上げを伸ばした(甲49)。
また、平成15年以降、体重計の機能が急速に多様化した。すなわち、体重だけを測定するものから、内臓脂肪や筋肉量、基礎代謝量、骨量など体の組成を測定するものへと機能が多様化した。請求人が、平成15年6月に体重と体脂肪率、基礎代謝量等を測定できる家庭用の「カラダスキャンチェック HBF-352」を発売し、その後も体年齢がわかる「HBF-353」や筋肉率を測定できる「HBF-354」を追加投入した。これに対し、被請求人は、平成15年10月、体重、体脂肪、内臓脂肪以外に、基礎代謝量等を測定できる「インナースキャンBC-51」を投入し、骨量を推定できる「BC-52」を追加投入した。その後も高機能化が進み、平成17年の時点で、請求人は、骨格筋レベル表示やメモリー機能の付いた「HBF-359」を、被請求人は、体重を50g単位で測定できる機種を追加販売するなど、多項目の測定が可能となった。他方、一般消費者が多機能製品を使いこなすことには限界があることから、体重精度を落とし、筋肉量や体年齢計の計測機能を省いた1万円以下の価格帯の機能を絞った機種が投入された(以上、甲33)。
(ウ)各種製品の性能
a 請求人の健康機器総合カタログ(甲6、35)では、家庭用の小型の「体重体組成計、体脂肪計」として、両足測定タイプと両手両足測定タイプの体組成計と、両手測定タイプの体脂肪計が掲載されているが、いずれも50g単位又は100g単位での体重測定が可能であり、測定レベルが異なるが、内臓脂肪(0.5レベル又は1レベル単位)、体脂肪率(0.1%単位)等の測定が可能であり、骨格筋量(0.1%単位)、基礎代謝量、体年齢(1歳単位)が測定できるものもある。
他方、請求人の業務用の内蔵脂肪測定装置「DUAL SCAN HDS-2000」は、本体が314mm(横)×269mm(奥行き)×142mm(高さ)で3.6kg、専用架台セット時には585mm(横)×772mm(奥行き)×1035mm(高さ)で42kgという大型の医療用機器であり、専用架台とプリントを標準装備したメーカー希望小売価格が350万円(税抜き)であるが、請求人独自のデュアルインピーダンス法(両手から両足に微弱な電流を流し、腹部でインピーダンスを測定することにより、除脂肪面積を算出すると共に、腹部の表皮から微弱な電流を流し、腹部でインピーダンスを測定することにより腹部皮下脂肪面積を算出し、事前に「腹部測定ユニット」で算出した腹部全断面積から除脂肪面積と皮下脂肪面積を引くことで、内蔵脂肪面積を算出する。2つの経路から電流を流すことで内臓脂肪と腹部皮下脂肪を識別し、X線CTと相関の高い内臓脂肪面積の算出が可能となる。)が採用され、検査結果はレポートで出力される(甲7、20)。
小型の家庭用体組成計である請求人のHBF-362及びHBF-353が、多数の医療関係の研究論文で使用されている(甲87、88の1、88の2、89?91、92の4)。
b 被請求人の健康機器カタログでは、家庭用の小型の両足測定タイプと両手両足測定タイプの体組成計が掲載されているが、いずれも50g単位又は100g単位での体重測定が可能であり、いずれも、6歳以上の対象者の体脂肪率、内臓脂肪レベル、左右部位別測定、6歳以上の対象者の筋肉量、基礎代謝量、体内年齢、6歳以上の対象者の推定骨量等を測定できる。体内の水分の異動や量変化に対応したリアクタンステクノロジーが搭載されている。体組成を測定しないタイプの体重計も掲載されている。被請求人の腹部脂肪計「AB-140」は、本体2.6kg、インピーダンス計0.5kgであり、仰向け姿勢で測定できる腹部インピーダンス法を採用し、18歳以上の対象者の体幹部脂肪率(0.1%単位)、内臓脂肪レベル(0.5レベル単位)、体幹部脂肪率判定(9段階)、内臓脂肪レベル判定(6段階)を測定できる(甲8、9)。
被請求人の大型の業務用体組成計MC-190は、標準小売価格が157万5000円であるが、全身についての50g単位の体重、脂肪量、除脂肪量、筋肉量と基礎代謝量、0.1%単位の体脂肪率、右腕、左腕、右足、左足、体幹の部位単位についての0.1%単位の体脂肪率、50g単位の脂肪量、筋肉量につき、非侵襲、簡便で短時間での測定が可能である。被請求人の業務用体組成計、体重計は、基準適合証印が付され、商店での計量販売、薬局、病院での調査剤、医療機関での記録等での使用が可能であり、医療、運動関連施設、学校、旅館での使用が可能である(甲34)。
被請求人の小型の業務用デジタル体重計WB-260Aは、使用場所の地域設定を行った上で、100g単位の体重計を測定できる製品であり、取っ手が付いているため持ち運び可能で、バックライト付きで暗いところでも見やすく、表示方向の切替えも可能である(甲70の2、70の4、70の6)。
被請求人の小型の家庭用体組成計BC-303について採用された生体インピーダンス法は、DXA法で求めた体脂肪と筋肉量との相関関係が、0.94と高精度であり、家庭で簡便かつ客観的な肥満評価が可能であると評されている(甲31、34)。
なお、被請求人において、業務用機器とは、医療・運動関連施設から学校、旅館までで利用できるものを想定しており、医療用に用いることができるものを指す(甲34)。
c 他の健康機器メーカーの小型の家庭用体組成計、体重計の性能も、請求人や被請求人の同種品と、概ね同様である(甲10、11)。
d(a)医療用の体組成分析装置については、日立アロカメディカル株式会社のEchoMRIシリーズは、ラット等の動物用のものであるが、脂肪成分、除脂肪成分、遊離水分量、全水分量をグラム測定でき、61mm又は121mm(横)×71mm(奥行き)×140mm前後(高さ)で、250kg又は500kgと大型である(甲19の1)。
(b)株式会社オーワメディカルのX-SCAN PLISは、全身と部位別測定が可能であり、重水希釈法との比較で高い正確度(0.97)と再現度(0.99)が検証されたものであり、496mm(横)×836mm(奥行き)×1150mm(高さ)で、大型である(甲19の2)。
(c)フレゼニウス メディカル ケア株式会社のBCM ○R 体組成分析装置は、5kHzから1000kHzまでの異なる50の周波数で総体液量と細胞外液量に相当する電気抵抗を算出し、体液過剰・不足量を分離算出するところに特徴があるが、本体は、168mm(横)×272mm(奥行き)×112mm(高さ)で、2kgである(甲19の3)。
(d)東洋メディック株式会社のBOD POD体脂肪測定装置は、体重と空気置換法により計測した体積から体脂肪を計算で求める方式を採用しており、人がBOD POD内に入って計測するほど大型なものである(甲19の4)。
(e)株式会社神戸メディケアのインボディ720は医療機器であり、4極8点接触型電極により30個のインピーダンス値と15個のリアクタンス値を測定し、0.1kg単位で細胞内水分、細胞外水分、タンパク質、ミネラル、体脂肪量、骨格筋量、筋肉量、除脂肪量、体重等を分析できる装置で、高い精密度(0.98)と再現度(0.99)が検証されたものであって、520mm(横)×870mm(奥行き)×1200mm(高さ)と大型である(甲19の5)。
(f)株式会社インボディ・ジャパンの医療用のInBody770は、526mm(横)×854mm(奥行き)×1175mm(高さ)であり、体水分量(細胞内・外水分量)、タンパク質量、ミネラル量、除脂肪量、体重、筋肉量、体脂肪量を測定し、評価できる。非医療用のInBody570は、医療用として販売されていないが、専門家の利用が予定されている。InBody570は、522mm(横)×893mm(奥行き)×1113mm(高さ)で大きさに違いはなく、測定項目も共通しており、いずれも、部位別直接インピーダンス測定法を採用しつつ、多周波数測定による正確性と、8点接触型電極法による再現性を実現し、わずかな体成分変化も感知するものである(甲68)。
(エ)各種製品の価格
製品に備え付けられた機能の内容や精度に応じて、種々の価格帯の製品が存在する。
a 平成19年当時における被請求人の小型の家庭用体組成計インナースキャンシリーズは、両足測定タイプで、体重、体脂肪率、推定骨量、筋肉量等が測定できるが、メーカー小売希望価格は1万円(税込み1万0500円)?1万8000円(税込み1万8900円)であった(甲34。甲57によると、平成22年の時点での後継機は約2万円である。)。右腕、左腕、右足、左足という部位測定が可能なタイプのインナースキャンBC-600のメーカー小売希望価格は3万円(税込み3万1500円)であった(甲34)。内臓脂肪チェック機能の付いた体脂肪計であるTF-100のメーカー小売希望価格は1万2000円(税込み1万2600円)、下肢筋肉量チェック機能の付いた体脂肪計であるLM-003のメーカー小売希望価格は1万6000円(税込み1万6800円)、体脂肪計の付いた体重計のメーカー小売希望価格は5000円(税込み5250円)?8000円(税込み8400円)、体組成を測定できない体重計のメーカー小売希望価格は2000円(税込み2100円)?6000円(税込み6300円)であった(甲34。甲57によると、平成22年当時の後継機は若干値下がりした。)。被請求人の業務用体組成計や体重計のうち、小型の体重計であるWB-260Aは、約3万5000円で販売されているが(甲70の2、70の4、70の6、70の8)、受注生産品で、体重証明可能な体重計であるWB-110のメーカー小売希望価格はセパレートタイプで7万円(税込み7万3500円)、取引証明用ではない体組成計であるBC450のメーカー小売希望価格は12万円(税込み12万6000円)であり、大型の医療用で最も高価格帯の体組成計であるMC-180とMC-190のメーカー小売希望価格は170万円(税込み178万5000円)、150万円(税込み157万5000円)であった(甲34)。6つの周波数で精度の高い測定が可能な医療用の大型の体組成計であるMC-980Aのメーカー小売希望価格は200万円(税込み210万円)であるが、重力補正をするデュアル周波数体組成計であるDC320のセパレートタイプのメーカー小売希望価格は24万円(税込み25万2000円)であった(甲34、37)。
b 請求人の小型の家庭用体組成計であるカラダスキャンシリーズは、概ねオープン価格であり、両手測定タイプの体脂肪計のメーカー小売希望価格は6510円(税込み)であった(甲35)。
c シチズン・システムズ株式会社の200g単位での測定可能な小型の家庭用体重計HM2000のメーカー小売希望価格は6825円(税込み)、肥満度の表示も可能な小型の家庭用体重計HM3000のメーカー小売希望価格は8925円(税込み)、手のひらで体脂肪を測定する体脂肪計のメーカー小売希望価格は7350円(税込み)であった(甲36)。
d オムロンコーリン株式会社の販売する請求人の小型の家庭用体組成計カラダスキャンシリーズはオープン価格であるが、両手測定タイプの体脂肪計のメーカー小売希望価格は6510円(税込み)であった(甲46)。
e 楽天市場における体脂肪計、体組成計、体重計の売れ筋は、請求人のカラダスキャンシリーズと被請求人のインナースキャンシリーズという小型の家庭用体組成計付き体重計であり、価格帯は、1000円から1万円弱のものである(甲13の1、13の2)。請求人と被請求人の各製品は、性能と価格帯が比較的近い。
f アマゾンにおける体脂肪計、体組成計、体重計の売れ筋は、請求人のカラダスキャンシリーズと被請求人のインナースキャンシリーズという小型の家庭用体組成計付き体重計であり、価格帯は、1000円台から5000円弱のものである(甲58、59)。請求人と被請求人の各製品は、性能と価格帯が比較的近い。
g ジャパネットタカタにおける体脂肪計、体組成計、体重計の売れ筋は、請求人のカラダスキャンシリーズと被請求人のインナースキャンシリーズという小型の家庭用体組成計付き体重計であり、価格帯は、1000円台から5000円弱のものであるが、被請求人のデュアルスキャンシリーズは約2万5000円である(甲60)。請求人と被請求人の各製品は、性能と価格帯が比較的近い。
h 株式会社インボディ・ジャパンの医療用のInBody770は245万円であり、非医療用のInBody570は185万円、InBody370は95万円である(甲69)。
i 被請求人の業務用デジタル体重計WB-260A(販売価格3万7346円(税込み))を販売しているウェブサイトでは、販売価格2280円(税込み)の株式会社マキノトレーディングの小型の家庭用デジタル体重計MT0194や、販売価格1000円台から3万円台の被請求人のデジタル体重計、家庭用から業務用まで1000点以上の在庫があることを示す通販サイトなどに、それぞれリンクが貼られている(甲70の4、70の8)。
j 医療機器や医療用品が掲載されたカタログやウェブサイトは、医療機関向け、保健福祉機関向け、一般企業向けなど様々であり、これらのカタログに掲載された体脂肪計、体組成計、体重計の価格帯は、業務用体重計で10万円を超えるもの、体組成計として100万円を超えるものもあるが、5000円以下のものや、請求人のカラダスキャンシリーズ、被請求人のインナースキャンシリーズ等1万円以下から2万円程度のものも掲載されている(甲71?86、92?96〔枝番のあるものは各枝番含む。〕)。
エ 需要者に関する事情
(ア)アマゾンにおける体脂肪計、体組成計、体重計の売れ筋は、1000円台から5000円弱で、高額のものでも2万円台で、家庭用のものである(甲58、59)。
(イ)健康関連商品のウェブサイトでの販売は、要指導医薬品と第1類医薬品については、自宅配送が不可能であるが(甲81の1)、それ以外の商品について、個人での購入制限があることはうかがわれない(甲80?86、92?96〔枝番のあるものは各枝番含む。〕)。
(ウ)業務用体組成計は、病院以外にも、フィットネスクラブやエステサロン、研究施設(大学)でも使用されている(甲34、37、49、66)。被請求人のWB-260Aのように、業務用体重計であっても、わざわざ家庭での使用も可能と明記して販売されるものもあるし(甲70の2)、家庭用製品や医療用・家庭用両方の製品のウェブサイトにリンクが貼られていることもある(甲70の4、70の8)。
(エ)ダイエットや健康器具の比較に関するウェブサイトであるフィッテウェブにおける2015年のアンケートの結果では、「体重計、体組成計部門」で、請求人のカラダスキャンシリーズと被請求人のインナースキャンシリーズという小型の家庭用体組成計の人気が高い(甲61、62)。
これらの状況も、本件査定時から大きい変化はないと推認される。
オ 市場のシェア
家電量販店における平成15、16年当時における家庭用体組成計、体重計の販売シェアは、請求人と被請求人の両社で90%を超える(甲33)。
カ 行政機関における体脂肪計の取扱い
平成22年の時点において、経済産業省の技術戦略マップ2010の医療分野の欄では、体脂肪計が血圧計等と同じグループに整理された(甲48)。
(3)検討
以上によれば、本件査定時において、本件商標と引用商標の指定商品に関連する体脂肪計、体組成計、体重計等の取引の実情に関し、次のことがいえる。
ア まず、業務用として販売されている体組成計及び体重計は、医療用として使用することを想定した機能や性能を有し、医療用製品に該当するといえるところ、家庭用の体組成計及び体重計のシェアが極めて高い請求人と被請求人は、医療用製品の製造者でもある。また、医療用の体組成計しか製造していないメーカーが存在する一方、医療用の体組成計を製造していない家電メーカーも存在し、家庭用の製品と医療用の製品に関し、シェアが一致しているとは認められない。
イ 次に、メーカーによって、販売用のカタログの種類、掲載対象は異なる
が、家庭用の体組成計や体重計のシェアが高い被請求人は、家庭用と業務用の両方を掲載したカタログを用意している。また、多数の医療機器販売メーカーのカタログにおいて、小型の体脂肪計、体組成計、体重計が掲載され、販売されているが、その中には、請求人や被請求人の製品で、業務用のものと家庭用のものの両方が含まれているため、医療関係者は、医療用機器の購入時に家庭用機器も併せて購入対象として検討することになる。
小売店における体脂肪計、体組成計、体重計の販売では、業務用の大型のものは展示されていないが、健康意識の向上に伴い、血圧計や体温計といったヘルスケアに関する製品と一緒に展示されており、一般消費者は、家庭用体組成計、体脂肪計及び体重計を、健康維持や病気予防の目的で使用できる製品と近い性質のものと認識し得る。
また、近時は、ネット販売の増加もうかがわれるところ、体脂肪計、体組成計、体重計のネット販売は、家電メーカー、医療機器メーカーに限られず、オフィス用品取扱会社などにおいても取り扱われており、医療関係者の購入を前提とし、医療用製品を主に取り扱うウェブサイトもあれば、一般消費者の購入を前提とし、家庭用製品を主に取り扱うウェブサイトもある。前者では、医療用機器として大型の体重計、体組成計以外に小型の製品も掲載され、医療用に限定されず、家庭用の体組成計、体重計が販売されていることが多いため、主たる需要者である医療関係者にとって、医療用機器と同様に、家庭用機器が購入検討対象となる。しかも、医療用製品を主として取り扱うウェブサイトであっても、一般消費者がアクセスすること自体に制限はなく、購入も禁止されていないため、一般消費者も需要者となることがあり、その場合の購入対象は、家庭用機器に必ずしも限られず、医療用機器も候補となる。他方、一般消費者向けのウェブサイトであっても、業務用体重計が販売される場合もあり、医療用製品が購入候補になることもあるし、リンクが貼られた業務用製品販売通販サイトへアクセスすることで、他の医療用製品等が購入候補となることもある。
ウ さらに、医療用と家庭用の体脂肪計、体組成計、体重計において、その品質及び価格は様々であるが、医療用と同程度の品質及び価格が用意されている業務用のものは、医療現場以外の学校やフィットネスクラブ等でも使用され、学生やフィットネスクラブの会員である一般消費者が、直接接する場合がある。
具体的には、医療現場に設置されることが多いと考えられる業務用の製品は、価格が100万円を超えるものや、一般住宅内での設定が想定できないほど大型のものがあるが、一方、業務用の体重計であっても、価格が3万円程度で、一般家庭での購入が十分可能な製品もある(被請求人のWB-260A)。
他方、家庭用の体脂肪計、体組成計、体重計であっても、多数の機能が付加されていることが通常であり、1万円を超えることも珍しくない。これらの家庭用の体重計等は、家庭用計量器の基準しか満たさないものとはいえ、その測定対象や測定単位が医療用のものと同様のことがあり、医療関係の研究論文で使用される程度の精度を備えていて、医療現場で購入される場合もある。
エ このように、家庭用の体重計の需要者である一般消費者は、医療用の体組成計、体重計も入手可能な状況となっていたといえる上に、医療用の体組成計、体重計は、医療現場での利用に限定されず、学校やフィットネスクラブ、企業等でも利用されるから、その需要者は、医療関係者に限定されず、学校関係者やフィットネス関係会社、企業の物品購入部門、健康管理部門の従業員も含まれる。そして、医療用の体組成計及び体重計のシェアの正確な数値は不明であるが、被請求人の医療用の体組成計の販売台数は相当数に及び、販売シェアも小さくないから、これらの需要者は、家庭等で被請求人の家庭用の体組成計を目にするだけでなく、学校やフィットネスクラブ等で被請求人の医療用の体組成計を目にする機会もあることが推認される。
また、一般消費者の一部を構成する医療従事者は、一般消費者よりも高い注意力をもって商品を観察するとはいえ、医療用と家庭用の両方の製品を製造し、家庭用のシェアの大半を占める請求人と被請求人の製品に日常的に接することになるから、医療用製品の出所について、家庭用製品の出所と区別して認識することが困難な状況といえる。
さらに、その他の学校関係者、フィットネス関係会社や企業の物品購入部門、健康管理部門の従業員には、一般的な消費者も含まれており、しかも、医療用と家庭用の体重計、体組成計の測定対象は同じであり、性能等が近づきつつあるといえる上に、精度の違いは一般消費者には識別し難い場合があることから、性能による明確な区別も困難である。
オ よって、本件査定時においては、医療用の「体脂肪測定器、体組成計」と家庭用の「脂肪計付き体重計、体組成計付き体重計、体重計」は、誤認混同のおそれがある類似した商品に属するというべきである。
4 小活
以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
5 被請求人の主張に対する判断
(1)被請求人は、「類似商品・役務審査基準」を尊重すべきであり、非類似の推定は覆されない、個別具体的な要素を検討しても非類似と判断されるべきと主張する。
確かに、「類似商品・役務審査基準」が、一般的な商品の類否の判断に当たって、一定の基準を付与しており、画一的な判断を容易にする機能を果たしていることは否定できない。しかしながら、同基準自身が、類似群コードが異なる場合に、非類似とみなさず、推定しているだけであり、推定が覆滅されることを許容しているから、上記判断は、「類似商品・役務審査基準」の判断の枠組みから外れるものではない。そして、本件の具体的な事情に基づく判断は、上記3で詳細に説示したとおりである。
したがって、被請求人の主張は採用できない。
(2)被請求人は、医療用と非医療用では、その生産部門、販売部門、品質、用途、需要者の範囲が異なるなどと主張し、旧薬事法上の認証の有無なども異なると主張する。
確かに、医療用と非医療用とでは、その生産部門、販売部門、品質、用途、需要者の範囲が完全には一致しないこと、これらが商品の類否判断において重要な考慮要素となることは、請求人の指摘するとおりである。しかしながら、これらの指摘は、医療用として高額なものと家庭用でも最も安価なものに重点を置いて対比した結果にすぎない。上記3で説示したとおり、医療機器にも家庭用機器にも種々の品質と機能のものがあり、それに伴って価格帯も様々であるし、健康志向に伴って家庭用機器の品質が上昇していることから、両者の境界は曖昧になっているといわざるを得ない。
また、機能の近接の程度、家庭用の高額製品や手頃な価格の医療用製品の存在、販売方法の変化等の事情に鑑みれば、需要者にとって出所の混同が生じやすいことは否定できず、当該機器における製造目的の相違は、上記判断を左右するものではない。
なお、商標における指定商品として医療機器に該当する上で、旧薬事法上の認証の取得は要件ではないし、需要者・取引者における医療機器との出所の混同を回避させるものではない。
したがって、被請求人の主張は採用できない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標


審理終結日 2016-05-20 
結審通知日 2016-05-25 
審決日 2016-06-07 
出願番号 商願2012-93199(T2012-93199) 
審決分類 T 1 11・ 262- Z (W09)
T 1 11・ 263- Z (W09)
T 1 11・ 264- Z (W09)
T 1 11・ 261- Z (W09)
最終処分 成立 
前審関与審査官 佐藤 松江 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 小松 里美
田中 幸一
登録日 2013-04-19 
登録番号 商標登録第5576127号(T5576127) 
商標の称呼 デュアルスキャン、デュアル 
代理人 中村 稔 
代理人 藤倉 大作 
代理人 青木 博通 
代理人 木村 剛大 
代理人 苫米地 正啓 
代理人 本多 泰介 
代理人 深井 俊至 
代理人 辻居 幸一 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 松尾 和子 
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