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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W30
審判 全部申立て  登録を維持 W30
管理番号 1317268 
異議申立番号 異議2016-900046 
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-02-17 
確定日 2016-07-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第5808477号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5808477号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5808477号商標(以下「本件商標」という。)は、「あそんで」と「たべよう」の平仮名を二段に書してなり、平成27年7月9日に登録出願、同年10月27日に登録査定され、第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミ-トパイ,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」を指定商品として、同年11月20日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項第6号に該当することについて
ア 本件商標の構成自体に識別性がないことについて
本件商標は、平仮名「あそんで」と「たべよう」から構成されており、両文字が上下二段にまとまりよく併記される構成態様になっている。
まず、平仮名「あそんで」は、「遊ぶ」「遊び」を容易に想起せしめる語であって、「遊び菓子」からなる商標が識別性がないと特許庁においても判断されており(甲2の1?3)、ネット上では「遊べる楽しいお菓子」を紹介するウェブページも存在する(甲3)。
さらに、平仮名「たべよう」自体はその使用商品が菓子であることから当然、識別性がない語である。
このように、本件商標は、その指定商品「菓子」との関係で識別性がない語を「菓子」の主たる需要者層である子供達にも容易に理解できるように平仮名で表示をし、その上、「あそんで、それからたべよう」といった観念をより容易に想起せしめるように「あそんで」と「たべよう」とを上下二段に併記した構成となっている。
したがって、本件商標は、本来的に識別性のない商標であり、特に、後述するように「菓子」のジャンルには、「おもちゃで遊び、菓子を食べる」という菓子や「お菓子で遊んだ後にそのお菓子を食べる」という菓子が存在しており、これらの菓子の内容についての広告宣伝或いはキャッチフレーズとしてしか認識されないことから、識別性がないと思料する。
さらに、「遊べる楽しいお菓子」の中には、「即席菓子のもと」で菓子を作ることを楽しんだ後でその作った菓子を食べるといった商品が存在する(甲3)。
商品「即席菓子のもと」との関係において、本件商標は、商品「即席菓子のもと」の用途、用法等を端的に表示しているものであり、今後、「『即席菓子のもと』で菓子を作るたのしみと自分達で作った菓子を食べる」といった商品が増えていくことにかんがみると、本件商標を構成する「あそんで」「たべよう」の各語は、商品「即席菓子のもと」の用法、用途を表示する語として何人も使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであることから、「あそんで」と「たべよう」の両語を結合した表示を一私人に独占することを認めるのは妥当ではなく、また、多くの場合にすでに一般的に使用されているか将来必ず使用がされるものであることから、本件商標は、自他商品識別性がないと思料する(甲4)。
イ 「おもちゃで遊んで、食べる」菓子について
「おもちゃで遊んで、食べる菓子」は、一般に「玩具菓子」と呼ばれている。
「玩具菓子」とは「おまけの玩具を付けた市販菓子」をいい(甲5)、本件商標の指定商品中の「菓子」の分野において、一つのカテゴリーとして確立している(甲6の1?3)。
この「玩具菓子」が日本に初めて登場したのは、1922年に申立人から発売された絵カード入りのグリコであるとされており、1927年におまけがオリジナルの豆玩具に移行し、これが現在の玩具菓子の基盤となっているとされている。
「玩具菓子」というジャンルの創始者であって申立人の創業者の、子どもの二大天職である「食べる」と「遊ぶ」を一体化し、栄養菓子グリコが健康な身体をつくり、おもちゃが豊かなこころを育んでくれるようにと、子どもを想う気持ちから、おもちゃ入りグリコを想う気持ちから、おもちゃ入りグリコは誕生した(甲7)。
このように、「玩具菓子」は、「あそぶ」と「たべる」という二つの要素を兼ね備えた菓子である。
現に、「玩具菓子」では、例えば「食べておいしい、遊んで楽しいフーセンガム」、「“ガチャガチャ”する当社の小粒キャンディ『キャンベビーフルーツ』が出てくる、遊んで楽しい、食べて美味しい『カプセルベンダーマシン』をモチーフにした商品です」、「アンパンマンコロコロビスケッチョ遊んで食べよう?あんぱんまんお菓子」などといった表現がなされ(甲8の1?8)、ブログでも例えば「遊んで食べるお菓子に・・・」(甲8の9)といった表現がなされている。
ウ 「お菓子で遊んだ後にそのお菓子を食べる」という菓子について
かかる菓子につき本件商標権者は「知育菓子」と称して販売をしているが、おみくじやラッキーナンバーが入っているクッキーとして従来から親しまれている「フォーチュンクッキー」を始め、駄菓子の世界では「うらないをしたり、フエを吹いたり、あそびながら食べられる駄菓子」は存在している(甲9、甲10)。
このように、「お菓子で遊んだ後にそのお菓子を食べるという菓子」自体、菓子の種類としては従来から存在したことから、「あそんで/たべよう」自体、かかる種類の菓子であることを端的に示す標語と解されるものであると思料する。
現に、本件商標権者自身、自社商品に「遊んで楽しい、食べておいしい」、「チョコをつなげて、遊んで食べよう!」、「ラムネをつなげて、遊んで食べよう!」、「ドキドキのバランスゲームで楽しく遊んで食べよう!!」、「自由に遊んだ後に食べられる商品です」といったキャッチフレーズを用いるなどしている(甲11の1?5)。
さらに、本件商標権者以外によっても、「菓子」において例えば、「スタンプで遊んだあとはそのまま食べられる!モンスタースタンプ」、「楽しく遊んで、食べておいしい!」、「食べても遊んでも楽しめるピーピーと音の鳴るフエラムネ」、「遊ぼう、食べてみよう」、「楽しく遊べて美味しくたべられるようになりました」、「遊んで食べられる兵隊さん」、「食べられる【レゴブロック】の作り方、遊んだ後は《パクッ》とたべちゃう?」、「遊べて美味しい百人一首」といった表示が認められる(甲12の1?8)。
このような事例から本件商標を構成する「あそんで/たべよう」は、「お菓子で遊んだ後にそのお菓子を食べる菓子」そのものを表示する標語として認識されると思料する。
エ 小括
本件商標を構成する「あそんで」と「たべよう」の各語は、各々「あそぶ(遊ぶ)」と「たべる(食べる)」に相当する言葉であり、しかもわざわざ平仮名で「あそんで」と「たべよう」を二段に併記することで、商品「玩具菓子」、「菓子で遊んだ後に食べる菓子」の主たる需要者である子供達にも一見して容易に理解ができ、これらの商品に本件商標が付される場合、「玩具菓子の玩具であそんで菓子をたべよう」、「菓子で遊んでから菓子を食べよう」というメッセージであると子どもたちにも無理なく認識されるものである。
かかる主張は、商標「習う楽しさ 教える喜び」が第41類「技芸、スポーツ又は知識の教授」との関係では「当該文字に接した取引者・需要者はこれを、各種学校等の教育に関する役務の理想、方針等を表示する宣伝文句ないしキャッチフレーズであると認識、理解するにとどまり、自他役務の識別標識とは認識しないものと認める以外にはないというべきである」との裁判例(甲13)の判旨に沿うものである。
以上より、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)商標法第3条第1項第3号に該当することについて
菓子業界では、商品「即席菓子のもと」で菓子を作ることを楽しみ、そして、その作った菓子を食べるという商品が販売されており、本件商標を構成する「あそんで」、「たべよう」の各語は、かかる商品の用法、用途を表示していることから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

3 当審の判断
(1)申立人が提出した証拠について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。
ア 本件商標の指定商品中「菓子」においては、本件商標の登録査定の日前から、「玩具菓子」と呼ばれる「おまけの玩具を付けた菓子」の他、「お菓子で遊んだ後にそのお菓子を食べる」というものや「菓子を作ることを楽しんだ後でその作った菓子を食べる」というもの(以下、それらをまとめて「玩具菓子等」という。)がある(甲3、甲5、甲7 ほか)。
イ 本件商標の登録査定の日前ないし現在において、玩具菓子等の紹介、説明などには、(ア)「食べておいしい、遊んで楽しいフーセンガム」、(イ)「“ガチャガチャ”すると当社の小粒キャンディ・・・が出てくる、遊んで楽しい、食べて美味しい『カプセルベンダーマシン』をモチーフにした商品です。」、(ウ)「おやつを食べながら、どんどん“超変換”して遊ぼう!」、(エ)「シールで遊んで、チョコを食べよう!」、(オ)「家族で作って遊んで食べちゃいましょう!」(甲8)、及び(カ)「スタンプで遊んだあとはそのまま食べられる!」、(キ)「楽しく遊んで、食べておいしい!」、(ク)「食べても遊んでも楽しめるピーピーと音の鳴るフエガム。」、(ケ)「遊ぼう、食べてみよう(食べ方)」、(コ)「子供達がわなげがわりに楽しく遊べて美味しく食べられるようにしました。」、(サ)「遊んで食べれる兵隊さん」、(シ)「食べられる【LEGOブロック】の作り方|遊んだ後は《パクッ》と食べちゃう?!」(甲12)といった表現が用いられている。
そして、上記の事実からすれば、玩具菓子等の紹介、説明などには、「遊ぶ」ことや「食べる」ことを表す語が、他の語や記述を伴って用いられているとはいえるものの、「遊ぶ」ことと「食べる」こととが菓子とどのような関係にあるのかは、その対象となる商品の特性や特徴等に応じて説明が加えられることによってはじめて、具体的な意味合いを表しているものとみるのが相当である。
また、「あそんでたべよう」の文字を用いている証左はなく、「遊んで食べよう」の文字を用いているものは、本件商標権者自身が用いているもの(甲11)を除くと、本件商標の登録査定の日前のものと認められるものの、動画のタイトルの一部に用いられた一件(甲8の3)のみである。
そうすると、「あそんで」「たべよう」の文字は、これに接する者に「玩具菓子の玩具であそんで菓子をたべよう」、「菓子で遊んでから菓子を食べよう」等のメッセージを表すものと理解されるとはいい難いものである。
(2)商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は、上記1のとおり、「あそんで」と「たべよう」の文字からなり、その構成文字は二段に表されているとはいえ、同書、同大で外観上一体的であり、全体として「遊んで食べよう」程度を想起し得るものであるが、上記(1)からすれば、これが特定のメッセージを表すものと理解させるとはいい難いものである。
してみれば、本件商標は、その指定商品との関係において、直接的、具体的な意味合いが認められず、商品の宣伝広告を表示するものとして認識させるとはいい難い。
また、職権をもって調査するも、本件商標の登録査定の日前において、「あそんでたべよう」、「遊んで食べよう」の文字が、本件商標の指定商品との関係において、商品の宣伝広告を表示するものとして一般に使用されている事実も、該文字が自他商品の識別力がないといえる程に、取引上、普通に使用されている事実も発見できなかった。
そうすると、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものとまではいうことができない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものとはいえない。
(3)商標法第3条第1項第3号該当性について
申立人は、本件商標の構成中「あそんで」、「たべよう」の各語が菓子を作ることを楽しんだ後でその作った菓子を食べるという商品(即席菓子のもと)の用法、用途を表示していることから、本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当する旨主張しているが、その主張を裏付ける証拠の提出はなく、「あそんでたべよう」の文字が、商品のどのような用法、用途を表示するのかについて、具体的な主張、立証をしていない。
なお、申立人の主張の全趣旨及び同人が本件商標は商標法第3条第1項第6号に該当するとして提出した甲各号証によっても、本件商標は、その指定商品の用法、用途を表すものとすべき事実を見いだすことができず、職権による調査によっても、「あそんでたべよう」の文字が、商品の用途等を表すものとすべき事実を発見できなかった。
そうすると、本件商標は、その指定商品の用途等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ということができない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものといえない。
(4)申立人の主張について
申立人は、商標法第3条第1項第6号に関する主張において、本件商標を構成する「あそんで」、「たべよう」の各語は、商品の用法、用途を表示する語として何人も使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであることから、両語を結合した表示を一私人に独占することを認めるのは妥当ではなく、また、多くの場合にすでに一般的に使用されているか将来必ず使用がされるものであることから、本件商標は自他商品識別性がない旨主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第6号該当性は、登録査定時において「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」と認定できるか否かであるから、将来を含めた認識の可能性を考慮すべきではない(知財高判平成18年4月27日 平成17年(行ケ)第10714号)とされているから、申立人の上記主張は当たらない。
仮に、これが同項第3号に係る主張としても、「あそんでたべよう」の文字について、その指定商品の用途等を表すものとすべき事実を見いだすことができないこと前記のとおりであるから、本件商標は、将来必ず使用がされるものとも、これを一私人に独占することを認めるのが妥当でないものともいうことはできず、申立人の上記主張は採用することができない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-07-21 
出願番号 商願2015-65314(T2015-65314) 
審決分類 T 1 651・ 13- Y (W30)
T 1 651・ 16- Y (W30)
最終処分 維持  
前審関与審査官 川崎 萌未真鍋 恵美 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 田中 亨子
板谷 玲子
登録日 2015-11-20 
登録番号 商標登録第5808477号(T5808477) 
権利者 クラシエフーズ株式会社
商標の称呼 アソンデタベヨウ、アソンデタベヨー、アソンデ、タベヨー 
代理人 工藤 莞司 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 黒川 朋也 
代理人 浜田 廣士 

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