• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W11
審判 一部申立て  登録を維持 W11
審判 一部申立て  登録を維持 W11
審判 一部申立て  登録を維持 W11
管理番号 1317265 
異議申立番号 異議2015-900343 
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-10-26 
確定日 2016-07-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第5780718号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5780718号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5780718号商標(以下「本件商標」という。)は、「BRISA」の欧文字を標準文字で表してなり、平成27年3月10日に登録出願され、第11類「ろうそく用点火器,オーブン用ガス点火器,ガス点火器」及び第34類「喫煙用具」を指定商品として、同年6月16日に登録査定、同年7月24日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標の登録異議申立ての理由に引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4655908号商標(以下「引用商標1」という。)は、「BRITA」の欧文字を標準文字で表してなり、平成13年6月15日に登録出願、第1類「家庭用浄水器用の補充用バッグに充填してなるイオン交換樹脂又は吸着剤」及び第11類「家庭用浄水器,イオン交換樹脂又は吸着剤を充填した家庭用浄水器用カートリッジ式フィルター」を指定商品として、同15年3月20日に設定登録され、その後、同25年3月19日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2)国際登録第876040号商標(以下「引用商標2」という。)は、「Brita」の欧文字を横書きしてなり、2004年9月17日に、Germanyにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2005年(平成17年)2月9日に登録出願、第11類の「Filters for water; water filtration apparatus.」を含む、第7類、第11類、第32類及び第40類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成19年11月2日に設定登録されたものである。
(3)国際登録第876044号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2004年9月17日に、Germanyにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2005年(平成17年)2月9日に登録出願、第11類「Filters for water; water filtration apparatus.」を含む、第7類、第11類、第32類及び第40類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成19年11月30日に設定登録されたものである。
(4)国際登録第979006号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、2007年8月10日に、Germanyにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2008年(平成20年)1月8日に登録出願、第11類「Filters for water, water filtration appliances.」を含む、第11類、第32類及び第40類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成22年3月12日に設定登録されたものである。
(5)国際登録第1071047号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、2010年6月17日に、Germanyにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2010年(平成22年)12月14日に登録出願、第11類「Devices for the treatment of water, water filtration apparatus, water treatment apparatus, water filters.」を含む、第7類、第11類、第21類、第32類及び第40類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成25年1月11日に設定登録されたものである。
(6)国際登録第1071048号商標(以下「引用商標6」という。)は、「BRITA」の欧文字を横書きしてからなり、2010年6月17日に、Germanyにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2010年(平成22年)12月14日に登録出願、第11類「Devices for the treatment of water, water filtration apparatus, water treatment apparatus, water filters.」を含む、第7類、第11類、第21類、第32類及び第40類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成25年1月11日に設定登録されたものである。
なお、引用商標1ないし6をまとめていうときは、「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の登録はその指定商品中の第11類「ろうそく用点火器,オーブン用ガス点火器,ガス点火器」について、同法第43条の2の規定により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第27号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「BRISA」の文字を書してなるものであり、一方で、引用商標は「BRITA」若しくは「Brita」の文字を書してなるか、又は「BRITA」の文字を含む構成であることから、本件商標と引用商標1及び3ないし6は、その外観において互いに相紛れるおそれのある商標であり、引用商標1ないし6は、その称呼において類似するものである。
また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、互いに類似する商品である。
したがって、本件登録商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、当該語が申立人の創業者の娘の名前に由来する造語商標かつハウスマークであり、申立人の「家庭用浄水器」及び「家庭用浄水器用カートリッジ式フィルター」に使用された結果、日本国内において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、当業界及び需要者間に広く認識されている周知著名な商標であるところ、本件商標をその指定商品に使用すれば、当該商品が申立人の業務に係る商品と関係があるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人が提出した甲各号証及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、1966年に設立されたドイツの浄水器メーカーであり、世界中の国及び地域において、家庭用及び業務用浄水器の製造販売を行い、2014年の年間売上高は、362百万ユーロである(甲11)。
(イ)「BRITA」は、創業者の娘の名にちなんで採用されたものであり、その日本語表記の「ブリタ」と共に、申立人の商号の略称及びハウスマークである。そして、申立人は、「BRITA」を日本を含む世界中で商標登録している(甲12)。
(ウ)引用商標は、申立人の製造販売するポット型、蛇口型及びビルトイン型家庭用浄水器並びに交換用カートリッジ式フィルターに使用されている(甲13)。
そして、インターネットにおいて、家庭用浄水器及び交換用カートリッジ式フィルターを取り扱う2つの通信販売サイトに、引用商標及びそれが使用された商品が掲載され、当該商品は、同サイトにおいて「浄水器・整水器 売れ筋ランキング」又は「浄水器・整水器ランキング」の1位や「カテゴリ 浄水ポット用カートリッジ」の「ベストセラー1位」として、掲載されている(甲25?27)。
なお、甲第25号証は、印刷日を確認できないものであり、甲第26号証及び甲第27号証は、2016年1月23日に印刷したものである。
(エ)申立人は、日本において、2005年にポット型家庭用浄水器の発売を開始し、その後、ビジネス雑誌や経済新聞で、2009年4月に「ポット型浄水器でトップシェアを誇るのが、ドイツのブリタ。」、2014年6月に「ポット型で最も売れているのがドイツの浄水器メーカー、ブリタの日本法人ブリタが展開するモデル。」等と評された(甲15、16)。
(オ)申立人の日本法人は、ポット型家庭用浄水器について2008年に、ビルトイン型家庭用浄水器について2011年に、それぞれグッドデザイン賞を受賞した(甲14、17)。
(カ)申立人の日本法人は、申立人のポット型家庭用浄水器について、2008年10月5日、同年12月11日、2009年4月17日、同年5月27日、同年10月16日、同年11月12日に、また、申立人のビルトイン型浄水器について、2011年10月22日に、引用商標を使用して朝日新聞に広告を掲載した(甲18?20)。
(キ)申立人の日本法人は、富士山での育林活動、ベルマーク運動の協賛への参加、日本最大級の環境展示会「エコプロダクツ2014」への出展など、社会貢献活動を行い、「BRITA」ブランドのイメージ及び認知の向上を図っている(甲21?23)。
(ク)「浄水器普及率調査・報告書(2015年)」(一般社団法人浄水器協会発行)によれば、我が国の一般家庭における全国的な浄水器の普及率は、調査期間の2015年7月において、約40%であり、同書の地域別普及率によれば、浄水器が普及している地域にもほぼ偏りがないことが伺われる(甲24)。
一方、同書によれば、家庭用浄水器のタイプ別普及率は、高い方から順に、「蛇口直結形」が14.6%、「据え置き形」が7.5%、「水栓一体形」が7.1%等であり、「ポット・ピッチャー形」は2.6%である(甲24第8葉目)。
イ 上記アで認定した事実によれば、申立人は、ドイツの家庭用及び業務用浄水器メーカーであり、2014年の年間売上高は、362百万ユーロであることが認められる(甲11)。
しかしながら、上記の年間売上高は、世界全体におけるものであって、我が国における商品の販売数量、販売高等の取引の具体的な実績を把握し得る証左は見当たらない。
次に、申立人の日本法人は、申立人のポット型家庭用浄水器及びビルトイン型浄水器について、2008年から2011年に、新聞広告を掲載し(甲18?20)、引用商標を使用した申立人の製造販売するポット型家庭用浄水器は、2009年及び2014年にポット型浄水器でトップシェアを誇ると雑誌や新聞で評され(甲15、16)、また、家庭用浄水器及び交換用カートリッジ式フィルターを取り扱うインターネット通信販売サイトにおいて、浄水器・整水器の売れ筋ランキングの上位に掲載されている(甲25?27)ことが認められる。
しかしながら、新聞広告について提出された資料は、本件商標出願の6年から3年以上前の数回である。
また、家庭用浄水器の需要者は一般家庭といえるところ、甲第24号証によれば、2015年において、我が国の一般家庭における全国的な浄水器の普及率が約40%であって、その使用タイプ別の内訳では、申立人がトップシェアを有すると評されるポット型がわずか2.8%であることが記載されていることからすれば、我が国の一般家庭におけるポット型家庭用浄水器の普及率は約1%程度にすぎないといえるものであるから、申立人の業務に係るポット型家庭用浄水器及びその交換用カートリッジ式フィルターが、我が国の一般家庭である需要者の間で広く認識されているとまではいうことはできない。
さらに、同号証によれば、家庭用浄水器のなかでは最も多い使用タイプは「蛇口直結形」(使用タイプ別の内訳14.6%)とのことであるが、申立人の業務に係る蛇口型及びその交換用カートリッジ式フィルターについても、その販売数量、販売高、市場占有率等の取引の具体的な実績を把握し得る証左は見当たらない。
さらに、甲第25号証は、印刷日を確認できないものであり、甲第26号証及び甲第27号証は、本件商標の登録査定後の2016年1月23日に印刷されたものである。
そうすると、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る「家庭用浄水器」及び「家庭用浄水器用カートリッジ式フィルター」であることを表示するものとして、我が国の取引者及び需要者の間で広く認識されて周知、著名になっていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「BRISA」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成は、同書、同大、等間隔にまとまりよく表されているものであり、該文字は、辞書等に掲載されている成語ではないことから、特定の意味合いを想起させるものではない。
そうすると、本件商標からは、その構成文字に相応して「ブリサ」の称呼を生じ、また、直ちに特定の観念を生じないとみるのが相当である。
イ 引用商標
引用商標1、2及び6は、前記2(1)、(2)及び(6)のとおり、「Brita」又は「BRITA」の欧文字を表してなるものである。また、引用商標3ないし5は、別掲1ないし3のとおり、図形(以下「図形部分」という。)と「BRITA」の欧文字(以下「文字部分」という。)との結合からなるところ、図形部分と文字部分は、視覚上分離して看取され、両部分を一体とみなければならない特段の事情は見いだせないものであるから、該文字部分は、独立して出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
そうすると、引用商標は、その構成の文字又は文字部分に相応し、「ブリタ」の称呼を生じ、また、直ちに特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標を比較するに、本件商標と引用商標1及び3ないし6の構成の文字又は文字部分は、5文字の欧文字から構成され、その構成文字中の「B」、「R」、「I」及び「A」の文字を共通にし、第4文字目の「S」及び「T」の文字において差異を有するものであるところ、5文字という比較的短い構成にあって、第4文字目が、曲線からなる「S」の文字と直線を組み合わせた「T」の文字であり、その態様が全く異なることからすれば、その差異が商標全体の外観に及ぼす影響は少ないとはいえず、本件商標と引用商標1及び3ないし6は、外観上、明確に区別し得るものである。
また、本件商標と引用商標2は、その構成文字中の「B」の文字のみを共通にするものであり、2文字目以降が大文字と小文字と、その態様が全く異なることからすれば、両商標は、外観上、明らかに相違するものである。
そして、本件商標から生ずる「ブリサ」の称呼と引用商標から生ずる「ブリタ」の称呼を比較すると、両称呼は、「ブリ」の音を同じくし、末尾において「サ」の音と「タ」の音の差異を有するものであるところ、「サ」の音は、舌端を前硬口蓋に寄せて発する摩擦音の母音「s」と母音「a」を結合した音であるのに対し、「タ」の音は、舌先を上前歯のもとに密着して破裂させる無声子音「t」と母音「a」を結合した音であるから、両音は、音感において差異を有し、末尾に位置するものであるとしても、全体として3音という明瞭に発音される短い音数にあっては、聴取され難い音であるとはいえない。
してみると、これらの差異音が、短い3音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は大きいものといえるから、両称呼をそれぞれ全体として称呼した場合においても、その語調、語感が相違したものとなり、互いに聞き誤るおそれはないというべきである。
また、本件商標と引用商標は、上記ア及びイのとおり、いずれも特定の観念を有しない造語からなるものであるから、観念上比較することはできないものであり、相紛れるおそれがあるというべき特段の実情もない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 本件商標と引用商標に係る指定商品の類否
本願商標と引用商標とは、上記ウのとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、商標の同一又は類似を要件とする商標法第4条第1項第11号の検討にあっては、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について検討を要しないというべきである。
オ 小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、その指定商品と引用商標の指定商品との類否を検討するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。
(3)商標法第4条第1項第15号の該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして我が国の取引者及び需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものである。
また、上記(2)のとおり、本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想又は想起させることはなく、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(引用商標3)



別掲2(引用商標4(色彩については、原本参照のこと。))



別掲3(引用商標5)




異議決定日 2016-07-05 
出願番号 商願2015-21614(T2015-21614) 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (W11)
T 1 652・ 263- Y (W11)
T 1 652・ 261- Y (W11)
T 1 652・ 262- Y (W11)
最終処分 維持  
前審関与審査官 豊田 純一鈴木 駿也 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 藤田 和美
田中 幸一
登録日 2015-07-24 
登録番号 商標登録第5780718号(T5780718) 
権利者 株式会社ライテック
商標の称呼 ブリサ 
代理人 柏 延之 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 副田 圭介 
代理人 本宮 照久 
代理人 高田 泰彦 
代理人 勝沼 宏仁 
代理人 宮嶋 学 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ