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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W05 審判 全部申立て 登録を維持 W05 審判 全部申立て 登録を維持 W05 審判 全部申立て 登録を維持 W05 審判 全部申立て 登録を維持 W05 審判 全部申立て 登録を維持 W05 |
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管理番号 | 1317251 |
異議申立番号 | 異議2015-900366 |
総通号数 | 200 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2016-08-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-12-07 |
確定日 | 2016-07-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5788195号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5788195号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5788195号商標(以下「本件商標」という。)は、「リムノ」の片仮名と「RIMUNO」の欧文字を2段に横書きしてなり、平成27年3月2日に登録出願、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科材料,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」を指定商品として、同年7月22日に登録査定、同年8月28日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する国際登録第882171号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、2006年2月16日にBeneluxにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2006年(平成18年)3月9日に国際商標登録出願、第5類、第29類、第30類及び第32類に属する別掲2のとおりの商品を指定商品として、平成23年7月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、「リムノ」の片仮名を上段に、又その下段に「RIMUNO」の欧文字を配して2段書きにして表されてなり、これらの文字に照応して「リムノ」の称呼が自然に生じるものである。 他方、引用商標は、その構成中の第2文字目の要素がアルファベットの「i」に近似していることとあいまって、引用商標からは「ビムノ」の称呼が自然に生じることとなる。 してみれば、本件商標と引用商標の間には、語頭音の「リ」と「ビ」の差異しか存在しないことに加え、差異音の「リ」と「ビ」は母音を共通にすると共に、これに続く「ム」の音に吸収されて聴取し難いことに鑑みると、両称呼を一気一連に称呼した場合、両者は語感・語調が近似し、称呼上相紛れることは明らかである。 そして、本件商標と引用商標の指定商品は、同一又は類似の関係といえるものである。 2 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)申立人及び引用商標について 申立人及びクラサド インコーポレイテッド(以下、「申立人」と併せて「申立人等」という。)にあっては、その設立当初より「薬剤,動物用薬剤,栄養補助食品,食餌療法用食品・飲料・薬剤及び乳児用食品」の製造販売を主な業務としており(甲3)、その業務に係る商品の大半に付される引用商標に関し、我が国を含む128の国と地域で商標の保護を受けるに至っている(甲2、甲4及び甲5)。 そして、申立人等の業務に係る製品の高品質性や独自性ともあいまって、我が国の複数の事業者が申立人の製品を取扱うべく、近年、頻繁に会合を設けており(甲6)、このことからも引用商標を付した申立人等及びその業務に係る製品が我が国の事業者の間で広く認知されていたことが容易に理解できるものである。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性 ア 引用商標の周知著名性について 本件では、引用商標が遅くとも本件商標が出願・登録された日までに、申立人の業務に係る商品「薬剤,動物用薬剤,栄養補助食品,食餌療法用食品・飲料・薬剤及び乳児用食品」を表示するものとして、我が国の取引者の間に広く認識されていることは上述したとおりである。 さらには、申立人等の事業が世界規模で行われていることも考慮すると、引用商標の世界的な認知度とあいまって、申立人等の業務に係る一群の商品を表す、引用商標のブランドも既に確立していると考えられるものである。 イ 本件商標と引用商標等との混同について 本件商標と引用商標との類似性は上述のとおりであり、本件商標から生じる称呼「リムノ」は3音という極めて短い音数から構成され、引用商標から生じる「ビムノ」とは3音中2音を共通にするものである。 この点に加え、差異音たる「リ」と「ビ」は母音も共通にしており、聴別され難いことをも考慮すると、本件商標より生じる称呼「リムノ」が発音された場合、需要者・取引者には語尾の「ムノ」の音のみが強く印象付けられ、語頭の「ビ」の音は極めて印象に残り難いことは容易に想像でき、ゆえに本件商標が付された本件指定商品が取引に資された場合、これに接した需要者・取引者にあっては、正に申立人と経済的・組織的に何らかの関係性を有する者の業務に係る商品であると需要者等に容易に想起させ得るものであり、具体的な取引の実情という観点からも、本件商標は出所の混同を生じさせるものである。 3 商標法第4条第1項第19号該当性について 申立人は、自己の知的財産権に関し細心の注意を払い、世界各国で第三者による冒認出願の有無の監視を行ってきた。 そして、申立人は、本件商標に係る商標登録出願がされたことを確認したものの、申立人等と本件商標権者及びその関連会社とは複数回にわたって引用商標を付した商品の事業に関し面談を行った関係にあったことから(甲6)、このような両者間の友好的な関係を損ねないよう、昨年の11月に同商標登録出願の取下げの申出を行った(甲7)。 これに対し、本件商標権者は、「本件商標は、申立人による前記ブランドを認知しているであろう人物によって、(本件商標権者が)与り知らぬところでなされたものと理解しており、友好的な解決は可能と考える。」との回答を11月27日付けのEメールで行い、一旦は申立人の意図する友好的な解決を受け入れるとの姿勢を示したにもかかわらず、その後1週間と経たない12月2日に、本件商標登録に係る商標権の譲渡の対価として50万円もの費用を提示した。 このような状況において、本件商標権者は、前記50万円の金額の根拠として、本件商標登録に関しこれまでに費やした金額とのみ述べているものの、本件商標登録に関しては商標権者自身が行っており、代理人等の手数料は発生していないことをも考慮すると、50万円という金額は、商標権者が本件商標登録に関連して発生した金額をはるかに超えると考えられるものである。 上述の諸点を勘案すると、本件商標権者において、引用商標を付した製品のみならず、申立人の近年の我が国での動向も熟知していたことは動かしようのない事実であり、本件商標は、需要者・取引者の間に広く認識されている引用商標と類似する商標について権利取得することをもって、申立人等が長年にわたって築き上げてきた業務上の信用を害する目的、申立人等の業務に化体した信用にフリーライドする目的、これを高額で買い取らせる目的、又は申立人等に何らかの契約締結等の行為を強制する目的等の不正の目的をもって出願されたものである。 4 商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標権者が、申立人及び引用商標の存在を十分に認識した上で本件商標登録を行っていることに鑑みると(甲6)、このような行為は最早公正な商取引の範ちゅうにあるものとはいえないばかりか、むしろ、社会の秩序を害し、かつ商品の流通秩序をも混乱させるものである。 したがって、このように我が国の事業者に広く知られている引用商標を申立人等と何ら関係のない出願人が、私的独占の目的をもって採択し、これを商標として登録することは社会の一般的道徳観念に反することは明らかであり、したがって、本件商標は、その出願の経緯等に照らして、著しく社会的妥当性を欠くと考えられる、公序良俗に反するものである。 第4 当審の判断 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に該当すると主張しているので、以下、検討する。 1 引用商標の周知著名性について (1)証拠について 申立人が提出した証拠について検討する。 ア 甲第3号証 甲第3号証は、申立人のウェブサイトの抜粋であるところ、これは外国語(英語)による申立人の取扱いに係る商品を紹介するものであって、これより、申立人が同人の商品「薬剤,動物用薬剤,栄養補助食品,食餌療法用食品・飲料・薬剤及び乳児用食品」などについて、引用商標を使用した商品の販売を行っていることが把握できる。 しかしながら、ここには、引用商標を使用した申立人の商品が、我が国及び英語圏の諸外国でどの程度の規模で取引されたのかを把握できる事実及び情報は記載されていない。 イ 甲第4号証 甲第4号証は、引用商標の国際登録の公報であって、ここには、我が国及び諸外国において、引用商標が使用されていることについての記載はない。 ウ 甲第5号証 甲第5号証について申立人は、これが、申立人会社の紹介資料であるところ、これは英語による資料であり、その三葉目には、「Our Locations」として、申立人の活動地域と活動概要が記載されているものの、ここには我が国における活動は掲載されてはおらず、また、この号証には、その発行時(2013年頃のものと推認される。)に、引用商標が、我が国及び特定の外国において周知となっていることを把握しうる取引の実情についての記載はない。 エ 甲第6号証 甲第6号証は、申立人が、2014年7月29日ないし31日に、日本企業と、事業上の関わりをもったことを記載した、申立人作成に係るレポートであるところ、この号証には、引用商標の我が国における使用の実情を把握しうる記載はない。 オ 甲第7号証 甲第7号証は、異議申立人から本件商標権者に送付した、2015年11月23日付けの本件商標登録出願の取下げの申出を行った旨の書簡の写しであるところ(申立ての趣旨)、この号証には、引用商標の我が国における使用の実情を把握しうる記載はない。 (2)引用商標の周知性について 上記(1)のアないしオによれば、申立人会社の概要や世界における活動状況の一端及び申立人が引用商標を使用して商品「薬剤,動物用薬剤,栄養補助食品,食餌療法用食品・飲料・薬剤及び乳児用食品」などを取り扱っていることをうかがい知ることができるものの、これらからは、引用商標を使用した申立人の商品について、我が国において、どの期間、どの地域で、どのような規模で使用され、どの程度広告宣伝され、どの程度の売上やシェアがあるのか等を把握することができず、また、引用商標が特定の外国で周知性を獲得していたと認めることもできないものである。 してみれば、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び特定の外国における取引者、需要者の間で広く認識されて著名になっていたと認めることはできないというべきである。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、前記したとおり、「リムノ」の片仮名を上段に、「RIMUNO」の欧文字を下段に、それぞれ横書きしてなるものであり、ここからは「リムノ」の称呼が生じるものである。そして、本件商標を構成する「リムノ」の片仮名及び「RIMUNO」の欧文字は、ともに特定の意味を有する語とは認められないから、これらからは特定の観念は生じないものである。 (2)引用商標について 引用商標は、前記したように、その構成を別掲1に示すものであるところ、欧文字「B」の次に記されているのは、欧文字「i」の上部の「・」を数字の2をもって表した態様のものであり、引用商標は、デザイン化されているとしても、全体として欧文字「BiMUNO」を容易に認識させるものというのが相当である。 よって、引用商標からは、「ビムノ」の称呼が生じるとみるのが自然である。 そして、欧文字「BiMUNO」は、特定の意味を有する語とは認められないから、ここからは特定の観念は生じないものである。 (3)本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標とは、その外観においては、十分区別し得る態様のものであるから、相紛れるおそれはない。 そして、本件商標から生じる「リムノ」の称呼と、引用商標から生じる「ビムノ」の称呼を比較すると、両者はともに三音という短い音構成のものであり、称呼上重要な位置を占め、比較的強く発音されるといえる語頭部において、「ビ」と「リ」という音の差異があることで、両者をそれぞれ一連に称呼するときには、語調・語感が異なり、聴別し得るものであるから、称呼において相紛れるおそれはない。 さらに、観念においては、本件商標と引用商標は、ともに特定の観念を生じないものであるから、相紛れるおそれはない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について 前記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国における取引者、需要者の間で広く認識されて著名になっていたと認めることはできないものである。 また、前記2のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標である。 そうすると、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認することはなく、その出所について混同を生じるおそれはないというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第19号該当性について 前記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国における取引者、需要者の間で広く認識されていたと認めることはできず、また、前記2のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような構成のものとはいえず、これをその指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものともいえず、他の法律によって、その商標の使用等が禁止されているものともいえず、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するものでもなく、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような特別の事情があるともいえないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 6 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に該当するとは認められないから、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1 引用商標 別掲2 引用商標の指定商品 第5類「Pharmaceutical and veterinary preparations; sanitary products for medical purposes; dietetic substances adapted for medical use, food for babies; plasters, materials for dressings; material for stopping teeth, dental wax; disinfectants; preparations for destroying vermin; fungicides, herbicides, nutritional supplements and additives for medical or therapeutic use (included in this class).」 第29類「Processed food for non-medical purposes consisting of milk products, in liquid, capsule, tablet, pastille, powder and/or bar form, processed food for non-medical purposes consisting of meat, fish, poultry, game, eggs, milk, milk products, animal fat and/or seafood products, in liquid, capsule, tablet, pastille, powder and/or bar form, all the above enriched with a food supplement containing a probiotic or a prebiotic, for non-medical use not included in other classes; food supplements based on the milk in the form of liquid, powder, pastille, capsule or tablets, for non-medical use not included in other classes; foods supplements based on lactose in the form of liquid, powder, capsule, pastille, or tablets, for non-medical use not included in other classes.」 第30類「Processed food consisting of flours, cereals, rice, tapioca, in liquid, capsule, tablet, pastille, powder and/or bar form, all the above enriched with a food supplement containing a probiotic or prebiotic, for non-medical use not included in other classes; food supplements based on cereals in the form of liquid, powder, capsules, pastille, or tablets for non-medical use not included in other classes.」 第32類「Beers; mineral and aerated water and other non-alcoholic beverages; fruit beverages and fruit juices; syrups and other preparations for making beverages, non-alcoholic beverages with energizing and fortifying properties (not included in other classes).」 |
異議決定日 | 2016-06-28 |
出願番号 | 商願2015-18605(T2015-18605) |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Y
(W05)
T 1 651・ 262- Y (W05) T 1 651・ 261- Y (W05) T 1 651・ 22- Y (W05) T 1 651・ 263- Y (W05) T 1 651・ 271- Y (W05) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小田 昌子 |
特許庁審判長 |
大森 健司 |
特許庁審判官 |
原田 信彦 土井 敬子 |
登録日 | 2015-08-28 |
登録番号 | 商標登録第5788195号(T5788195) |
権利者 | EAファーマ株式会社 |
商標の称呼 | リムノ |
代理人 | 岡部 讓 |
代理人 | 田中 尚文 |