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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1317245 
異議申立番号 異議2015-685010 
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-03-25 
確定日 2016-02-12 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1199742号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1199742号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第1199742号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成からなり、2013年10月10日にPeople’s Republic of Chinaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年(平成25年)12月12日に国際商標登録出願、第25類「Clothing;furs [clothing];clothing of leather;clothing of imitations of leather;girdles;scarfs;boas [necklets];pelerines;footwear;fur stoles.」を指定商品として、平成26年10月16日に登録査定、同27年1月23日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
(1)引用商標
申立人の引用する登録第1586180号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成からなり、昭和50年11月19日に登録出願、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同58年5月26日に設定登録され、その後、指定商品については、平成15年6月18日に、第14類「時計,時計の部品及び附属品」を指定商品とする指定商品の書換登録がされたものであり、現に有効に存続しているものである。そして、引用商標は、申立人の業務に係る商品「腕時計」に使用されているものである。
(2)具体的理由
ア 引用商標の周知・著名性
申立人は、1905年にイギリスのロンドンに設立された約100年の歴史を誇る世界的に著名な時計会社である(甲3)。
そして引用商標は「ROLEX」の名称とともに、1908年にスイスで商標登録され、以来100年以上にわたって我が国を含む世界各国において使用されており、我が国の需要者間においても申立人の業務に係る商品を表示するものとして周知・著名となっている。
引用商標の周知・著名性が特許庁において顕著なものであることは、引用商標を基礎とする防護標章登録(商標登録第1586180号の防護標章登録第1及び2号)が幅広い商品及び役務について登録されている(甲4)ことからも明らかであり、引用商標が周知・著名となっている事実に争いはない。
イ 商標の同一・類似について
(ア)本件商標の構成
本件商標は、5本の長く延びた突起を持つ王冠の図形を赤一色で表した下に欧文字で「OUGUAN」と書した図形と文字とを組み合わせた構成からなるものであり、図形部分の王冠の5本の長い突起は、根本から先端に向かって細く、先端部には円形の膨らみが形成され、扇状に円弧を描いて等間隔の左右対称に配置されているものであり、図形部分からは「王冠」の観念及び「オウカン」の称呼を生じる。
なお、文字部分「OUGUAN」は、「王冠」の中国語での表音である。
(イ)引用商標の構成
引用商標は、5本の長く延びた突起を持つ王冠の図形であり、これら突起は、根本から先端に向かって細く、先端部には円形の膨らみが形成され、扇状に円弧を描いて等間隔の左右対称に配置されており、王冠の下端部には楕円状の切り抜きがあるものであり、「王冠」の観念及び「オウカン」の称呼を生じる。
(ウ)外観の類似
本件商標と引用商標は、それぞれ上記(ア)及び(イ)のとおりの構成からなるところ、両商標の外観を対比すると、いずれも、5本の長い突起があり、その突起は根本から先端に向かって細く、先端部に円形の膨らみが形成されており、扇状に円弧を描いて等間隔の左右対称に配置されているという基本構成と特徴点が共通している。
したがって、本件商標と引用商標とは、その図形が、いずれも構成の軌を同一にする王冠である点を共通にし、その細部も、突起の形状と本数及び配置までが一致することから、極めて相紛らわしいといえる。
そうとすれば、両商標の外観上の特徴がこれほどまで一致する以上、時と処を違えて離隔観察した場合、看者は本件商標と引用商標の両者から共通した印象を受けると考えるのが自然である。
また、差異点についてみれば、赤か黒のどちらか一色で塗り潰した点と、一方に楕円状の切り抜きがあるという2点であり、その正確な差異は対比観察によらなければ把握することが難しく、商標全体の印象に与える影響は決して大きいものではなく、本件商標と引用商標は、ごく細部において相違は存在するものの、図形のモチーフが王冠であるという基本構成とその王冠の特徴点が一致しており、商標全体の外観上の印象が一致する極めて紛らわしい類似の商標である。
(エ)観念の類似
本件商標と引用商標は、いずれも「王冠」以外の観念は生じないものであるから、観念が同一の類似商標である。
(オ)称呼の類似
本件商標と引用商標は、その外観上の特徴から、王冠を表したものであると容易に看取できるものであるから、「オウカン」の称呼を生じる、称呼を同一にする類似の商標である。
(カ)まとめ
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、観念及び称呼のいずれにおいても相紛らわしい類似の商標であることが明らかである。
ウ 混同のおそれ
本件商標の指定商品は、第25類に属する上記1に記載のとおりの商品である。
他方、引用商標の指定商品は「時計,時計の部品及び附属品」であり、申立人の業務に係る商品「腕時計」に使用されて周知・著名となっているものである。
そして、「腕時計」と、本件商標の指定商品である第25類の商品とは、著名なセレクトショップにおいて、被服と腕時計の両方が同じ店舗で取り扱われ(甲5)、有名アパレルブランドにおいても被服の他、同じブランドの下で腕時計が製造・販売されている(甲6ないし甲8)など、共にファッションに関連する、互いに関連性の高い商品といえ、取引の実情に照らすと需要者、販売場所、製造業者等において共通することの多い、互いに密接な関連を有する商品であるといえる。
したがって、引用商標と外観が酷似する本件商標をその指定商品について使用すれば、出所の混同を生じるおそれが極めて高いといわざるを得ない。
また、韓国において、本件商標と同一の構成からなり、「被服」を含む第25類に属する商品を指定商品とする商標登録に対し、引用商標と同一の構成からなり、「腕時計」を含む第14類に属する商品を指定商品とする異議申立事件において、両商標は類似し、その指定商品も深い関連性があるとして取り消された(甲9)。
(3)むすび
以上から明らかなように、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)本件商標と引用商標の類似性について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲(1)に示すとおり王冠と思しき図形の下部に「OUGUAN」の欧文字を横書きしてなるところ、図形部分と文字部分とは、外観上分離して看取されることもあり、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当である。
そして、該図形部分は、下部から上部に向かって5本の突起が細長くやや広がって描かれており、その先端には同じ大きさの楕円図形を有するものであって、全体としてやや横広がりの印象を有する王冠と思しき図形を赤色で塗りつぶしてなるものであるが、該図形は抽象的に描かれており、これに接する看者をして、直ちに王冠を表したものと認識させるとまではいい難いことから、図形部分から特定の観念及び称呼を生じるとはいえないものである。
また、該文字部分は、「OUGUAN」の文字を横書きしたものであり、これより「オウグアン」の称呼を生じるものの、該文字は辞書等に掲載された成語ではなく、一種の造語と認められるものであるから、特定の観念は生じない。
そうとすれば、本件商標は、「オウグアン」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は、底辺が白抜き楕円で、その楕円の上部から5本の突起が細長く、上部に向かってやや広がって描かれており、その先端には同じ大きさの黒点を有しているものであって、全体として細く縦長のすっきりした印象を有する黒色からなる王冠と思しき図形というのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の比較
本件商標と引用商標とは上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、その外観においては、文字と図形からなる本件商標全体と引用商標とは、その全体構成において明らかな差異を有するものである。
次に、本件商標の図形部分と引用商標とを比較してみるに、両者はいずれも王冠と思しき図形ではあるものの、本件商標は、やや横広がりの印象を有するものであり、他方、引用商標は、全体として細く縦長のすっきりした印象を有するものである。また、本件商標は、引用商標に有する楕円状の白抜き部分が存在しないという相違点があり、この相違点は、外観の全体観察において著しい差異というべきもので、加えて、本件商標の図形部分全体が赤色であり、その色彩も全く異なるものであることをも考慮すれば、本件商標の図形部分と引用商標とは、看者に与える印象はかなり相違するといえるものである。
そうとすれば、本件商標の図形部分と引用商標とは、ともに王冠と思しき図形を構成要素にしているとしても、視覚的印象において、明らかな差異を有するものであるから、これらを時と処を異にして離隔的に観察しても、外観において相紛れるおそれはないものといわなければならない。
また、上記アのとおり、本件商標の図形部分から特定の称呼、観念を生じるとはいえないから、本件商標の図形部分と引用商標とは、称呼及び観念の点については比較すべくもないものであり、かつ、本件商標全体と引用商標とを比較してみても、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれがあるとはいえないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(2)本件商標の15号該当性について
本件商標と引用商標は、上記(1)ア及びイのとおりの構成からなるものであり、上記(1)ウのとおり、全く印象の異なる別異の商標である。
そうとすれば、仮に引用商標が、商品「腕時計」について使用されて、取引者、需要者の間において広く認識されていたとしても、本件商標をその指定商品に使用した場合に、これに接する取引者、需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するということができない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】


異議決定日 2016-02-08 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小田 明 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 中束 としえ
榎本 政実
登録日 2013-12-12 
権利者 Xinning County Laofoye Fur Import & Export Co., Ltd.
商標の称呼 オーガン、オーグアン、オウガン、オウグアン 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 山崎 和香子 

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