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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W35
審判 全部申立て  登録を維持 W35
審判 全部申立て  登録を維持 W35
審判 全部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1317240 
異議申立番号 異議2015-900371 
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-12-10 
確定日 2016-06-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第5790605号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5790605号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5790605号商標(以下「本件商標」という。)は,「エナジア」の片仮名を標準文字により表してなり,平成27年1月13日に登録出願され,第35類「広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業管理,財務書類の作成,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作」を指定役務として,同年8月19日に登録査定,同年9月4日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は,以下の2件であり,いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第4964802号商標(以下「引用商標1」という。)は,「エネルギア」の片仮名を上段に「EnerGia」の欧文字(「G」の文字は「n」以降の文字と同じ大きさで表されている。以下,同じ。)を下段に,それぞれ横書きしてなり,平成17年10月31日に登録出願,第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,速記,筆耕,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与,求人情報の提供,自動販売機の貸与」を指定役務として,同18年6月30日に設定登録され,その後,同28年4月26日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
2 登録第3104821号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成4年6月11日に登録出願,第39類「電気の供給」を指定役務として,同年12月26日に設定登録され,その後,同18年4月11日及び同27年8月18日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
以下,これらをまとめて「引用商標」という場合がある。
3 申立人が,本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は,引用商標1である。
4 申立人が,本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は,引用商標1及び引用商標2である。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第29号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標1の商標の類否について
ア 商標と取引実情の検討
(ア)本件商標の外観,称呼及び観念の検討
本件商標は,「エナジア」の片仮名を標準文字で書した構成からなるところ,その「エナジア」の片仮名に相応して「エナジア」の称呼を生じ,この片仮名は,一般的な辞書等に掲載されていない特定の意味合いを有しない造語よりなるものである。
(イ)本件商標の取引実情
本件商標の商標権者は,平成25年8月12日に商号を「株式会社グリーン・ストラテジー&アソシエイ」として設立された後,平成26年7月4日に商号を「株式会社エナジア」に変更したところである(甲9)。
そして,本件商標の商標権者は,本件商標の出願日と同日受領の「早期審査に関する事情説明書」において,「(3)商標の使用時期 平成26年11月から使用中」,「(5)商標の使用の事実を示す書類 株式会社エナジアの会社案内。」と述べ,添付の会社案内において,5個の四角形を弧状にずらし重ねた図形の右側に,上段に大きく「energia」の欧文字を配し,下段の右下に小さく「エナジア」の片仮名を配した商標をもって,本件商標の使用の事実を証したところである(甲10)。
もっとも,本件商標の商標権者は,平成27年4月15日提出の判定2015-600012号事件(以下「本件判定」という。)の判定請求書において主張したように,「欧文字『energia』に代え会社名の略称である片仮名『エナジア』をあてたイ号標章に変更し,平成27年1月26日から使用を開始し,現在に至っている。」と述べ(甲8),同判定請求書に甲第3号証「株式会社エナジアのホームページ写し」を添付したところである(甲11:本件判定 添付証拠甲第3号証)。
ところが,この判定請求書添付甲第3号証では,イ号標章が表示されている他,左上のホームページアドレスとして「http://energia.xyz/」と表示され,住所及び連絡先のEメールアドレスとして(info@energia.xyz」と表示されているところである(甲11)。
また,申立人の調べによる平成27年12月21日時点の本件商標の商標権者のホームページ「http://energia-jp.com/」では,本件商標が表示されている他,住所及び連絡先のEメールアドレスとして「info@energia-jp.com」と表示され,また,著作権の表示として「2015 ENERGIA Inc.All Rights Reserved.」と表示されており(甲12),イ号標章に変更した後も,引き続き「energia」の欧文字を継続して使用しているところである。
(ウ)引用商標1の外観の検討
引用商標1は,上段に「エネルギア」の片仮名を配し,下段に「EnerGia」の欧文字を配した構成からなるところである。
そして,商標法第4条第1項第11号の審査基準によれば,引用商標1の上段の片仮名につき振り仮名を付したものと解した場合であっても,下段の「EnerGia」の欧文字より生ずる他の自然的称呼を考慮して類否判断すべきことは明らかである。
(エ)引用商標1の称呼の検討
a 辞書等の記載
引用商標1の「EnerGia」の欧文字は,一般的な辞書等に掲載されていない特定の意味合いを有しない造語と考えられることから,この欧文字よりいかなる自然的称呼を生じるかは明らかでないところである。
この点,「energia」の欧文字につき,スペイン語,ポルトガル語,イタリア語,ポーランド語において「エネルギー」の意味合いを有する語であるとしても(甲8),我が国の需要者,取引者が,これら馴染みのない言語を理解し,これら馴染みのない言語に応じた発音で称呼することは極めて稀なことである。
むしろ,引用商標1の「EnerGia」の欧文字とつづりを異にするも,「エネルギー」の意味合いを有するものとして我が国における需要者,取引者に親しまれている外来語「energie」については,これを「エネルギー」と称呼しており(甲13),「エネルギー」の意味合いを有するものとして我が国における需要者,取引者に最も親しまれている英語においては「energy」となって,これを「エナジー」と称呼しているところである(甲14)。
したがって,引用商標1の「EnerGia」の欧文字は「energia」のつづりであるが,この欧文字につき,我が国の需要者,取引者が,特定の意味合いを有しない造語と理解し,この欧文字の称呼に際しては,つづりが異なるも近似する外来語「energie」(エネルギー)になぞらえて,ドイツ語風に「エネルギア」と自然に称呼する他は,つづりが異なるも近似する英語「energy」(エナジー)になぞらえて,英語風に「エナジア」と自然に称呼する場合も決して少なくないところである。
むしろ,英語「energy」は,初等中等教育で習う平易な英語であって(甲14),我が国における英語の普及度を考慮すると,引用商標1の「EnerGia」の欧文字を英語「energy」になぞらえて英語風に「エナジア」と自然に称呼する需要者,取引者は多いところである。
そして,引用商標1の「EnerGia」の欧文字の如く,欧文字からなる商標であって,ドイツ語風や英語風など,複数の自然的称呼を生じる場合,各々の称呼が生ずる商標と類似すると解釈すべきことは,「TITAN」の欧文字から生ずる称呼につき,「我が国において『チタン』と発音されることもあるが『タイタン』と読まれることがないとは到底云えず,一般にしばしば『タイタン』と発音されていることが認められるので,本願商標は,『タイタン』の称呼をも生ずると認めるのが相当である。」と判じた東京高等裁判所 昭和54年(行ケ)第17号 同年8月29日判決からも明らかである。
b 商標登録の例
欧文字「energia」のつづりに読み仮名として「エナジア」の片仮名を併記して商標出願し商標登録を受けている甲第15号証ないし甲第19号証の商標採択例もまた,「energia」の欧文字のつづりを「エナジア」の自然的称呼をもって使用されている例であって,引用商標1の「EnerGia」の欧文字を「エナジア」と自然に称呼する取引実情を推認し得るものである。
c 商標使用の例
欧文字「energia」のつづりに読み仮名として「エナジア」の片仮名を併記して使用している甲第20号証,甲第21号証の一般使用例もまた,「energia」の欧文字のつづりを「エナジア」の自然的称呼をもって使用されている例であって,引用商標1の「EnerGia」の欧文字を「エナジア」と自然に称呼する取引実情を推認し得るものである。
d 本件商標の商標権者の例
欧文字「energia」のつづりより,「エナジア」の自然的称呼も生じる証左は,前述の如く,まず本件商標の商標権者が,上段に「energia」の欧文字を配し,下段の右下に小さく読み仮名の「エナジア」の片仮名を配した商標をもって本件商標の使用の事実を証し,またホームページにおいてホームページアドレス等に「energia」の欧文字,英文商号に「ENERGIA」の欧文字を本件商標と一緒に使用している以上,本件商標の商標権者でさえこれを否定できないところである(甲11,甲12)。
イ 商標の類否の検討
(ア)本件商標
本件商標は,その「エナジア」の片仮名に相応して「エナジア」の称呼を生じ,この片仮名は,一般的な辞書等に掲載されていない特定の意味合いを有しない造語よりなるものである。
そして,本件商標の商標権者が,ホームページにおいてホームページアドレス等に「energia」の欧文字,英文商号に「ENERGIA」の欧文字を本件商標と一緒に使用している取引の実情を考慮すると,需要者,取引者は,本件商標の他,これと一緒に表示されるホームページアドレス,Eメールアドレス,さらには英文商号等をも含めて事業主体を想起する以上,本件商標に接する需要者,取引者は「エナジア」の片仮名より「energia」の欧文字を推認し理解すると解するのが商取引の実情に照らして相当である。
(イ)引用商標1
引用商標1は,振り仮名を付した商標と解した場合であっても,下段の文字より生ずる他の自然的称呼を考慮して商標の類否判断ができることは明らかである。
そして,引用商標1は,その「EnerGia」の欧文字部分より,「エネルギア」の称呼の他に「エナジア」の自然的称呼を生じ,この文字は,一般的な辞書等に掲載されていない特定の意味合いを有しない造語よりなるものである。
(ウ)商標の類否
本件商標と引用商標1は,その要部の文字部分において,外観において差異を有し,観念において比較する術はないが,引用商標1より「エネルギア」の称呼の他に「エナジア」の自然的称呼を生じ,本件商標より生ずる「エナジア」の称呼を共通にする以上,商取引上最も重要な役割を果たす称呼が共通し,全体として類似する商標であることは明らかである。
そして,引用商標1の如く,「エネルギア」の称呼の他に「エナジア」の自然的称呼を生じる場合,他の称呼よりすれば他人の商標と類似する場合,その他人の商標と類似すると解釈すべきことは,「ある商標につき二様の称呼及び観念が生じ得るにおいては商標の一の称呼及び観念上よりすれば,他人の商標と同一又は類似であるといい得ない場合であっても,他の称呼及び観念上よりすれば他人の商標と類似するものであるときは,これを類似商標として扱わなければならないことは勿論である。」と判じた東京高等裁判所昭和27年(行ナ)第29号昭和28年3月24日判決からも是認され,また,「一つの称呼,観念が他人の商標の称呼,観念と同一または類似であるはいえないとしても,他の称呼,観念が他人の商標のそれと類似するときは,両商標はなお類似するものと解するのが相当である。」と判じた最高裁判所昭和37年(オ)第953号昭和38年12月5日第一小法廷判決からも明らかである。
さらに,本件判定で述べられた如く,「本件商標(引用商標2)からは,その指定役務『電力の供給(原文ママ)』との関係において,『中国電力株式会社の提供する電力の供給』の観念を生じるのに対し,イ号標章からは,観念が生じないものであるから,観念上,比較することができず,類似するとはいえないものである。」(甲8)と根拠付けるが如きは,周知著名性を獲得した商標は,必ずその事業主体を想起する結果,他の商標との関係で必ず観念上非類似と扱われることとなり,このような解釈は,周知著名商標にあって,具体的取引事情を背景として考え,当然出所の混同を生じる範囲,類似範囲を広く解釈すべきとする最高裁判所昭和33年(オ)第766号昭和35年10月4日第三小法廷判決にも反するものである。
そして,本件商標と引用商標1の各文字は,特定の意味合いを有しない造語よりなるものであって観念において比較する術はないが,本件判定で述べられた如く,後述の2(1)「引用商標1及び2の使用と取引実情について」で述べるが如き,具体的取引事情を背景として考え,「EnerGia」の欧文字より「中国電力株式会社の提供する電力の供給」との観念を生じるのであれば,前述「1(1)イ(イ) 本件商標の取引実情」で述べた如く,ホームページにおいてホームページアドレス等の「energia」の欧文字と一緒に本件商標を使用している本件商標の具体的取引事情も背景として併せて考え,本件商標を「中国電力株式会社の提供する電力の供給」と密接な営業上の関係又は同一の表示による事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る役務であると誤信する以上,本件商標と引用商標1が観念上相紛らわしい商標であることは明らかである。
(2)本件商標と引用商標1の役務の類否について
ア 指定役務の検討
本件商標の指定役務「広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業管理,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作」は,引用商標1の指定役務と類似する。
イ 役務の類否の検討
本件商標と引用商標1の指定役務は,それぞれ需要者,取引者に同一の営業主の提供に係る役務と誤認されるおそれがある同一又は類似する役務であることは明らかである。
(3)小括
以上のように,本件商標は,「エナジア」の片仮名に相応して「エナジア」の称呼を生じ,この片仮名は,一般的な辞書等に掲載されていない特定の意味合いを有しない造語よりなるものである。
他方,引用商標1は,上段に「エネルギア」の片仮名を配し,この片仮名につき,振り仮名を付したものと解した場合であっても,下段に配した「EnerGia」の欧文字より生ずる他の「エナジア」の自然的称呼を生じ,これら文字は,特定の意味合いを有しない造語よりなるものである。
したがって,本件商標と引用商標1は,その要部の文字部分において,外観において差異を有するものの観念において比較する術はなく,商取引上最も重要な役割を果たす称呼において,「エナジア」の称呼を共通する以上,全体として類似する商標であることは明らかである。
そして,本件商標の指定役務は,引用商標1の指定役務と同一又は類似する役務である。
してみれば,本件商標は,平成27年3月31日付け手続補正書提出後の「財務書類の作成」を除くその余の指定役務について,商標法第4条第1項第11号に違反して商標登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標1及び2の使用と取引実情について
引用商標1及び2は,申立人により,永年使用されてきた商標であり,引用商標2が平成23年2月25日に防護標章登録を受けていることからも明らかであるが(甲6,甲7),「電気の供給」の役務との関係において,電気の供給区域内のみならず,供給区域外の需要者,取引者一般にも広く知られている商標である。
そして,引用商標1及び2は,今日に至るまで,申立人のハウスマークとして使用されており(甲23,甲24),しかも,申立人とそのグループ企業が密接な営業上の関係にあることを表示するグループブランドとしても使用され(甲25),さらに,申立人とそのグループ企業の営業は,業種別でも「医療・福祉施設,商業施設・テナントビル,工場,建設業,官公庁,教育施設,商店・自治体」まで及んでおり,目的別でも「環境,省エネ・節電,防災・防犯,建築・資材,電力設備,ビジネスサポート」にまで及んでいるところである(甲26)。
その上,今日では,平成28年の家庭向けの電力小売全面自由化に向け,申立人も西日本全域で「電気の供給」の役務を提供するのみならず(甲27),九州電力株式会社も首都圏で「電気の供給」の役務を提供するなど(甲28),従前の電気の供給区域にとらわれることなく,各電力会社が「電気の供給」の役務を提供するに至っているところである。
(2)グループ企業の一であるとの誤認の検討について
本件商標の商標権者「株式会社エナジア」をインターネット上の検索サイト「Google」にて検索すると(甲29),本件商標の商標権者が検出される他,先頭から5番目に「中国電力」として,a申立人のホームページが検出され,先頭から10番目には,b「株式会社エネルギア・ソリューション・アンド・サービス」のホームページが検出され,さらにその下位の検出では,「PETホームページ」として,c「株式会社パワー・エンジニアリング・アンド・トレーニングサービス」のホームページが検出され,「広島,岡山,山口,島根,鳥取の住宅 中国電力グループの・・・」として,d「株式会社工ネルギア不動産」のホームページが検出され,「株式会社エネルギア介護サービス 広島の介護付有料老人・・・」として,e「株式会社エネルギア介護サービス」のホームページが検出され,「会社概要|エネルギアコミュニケーションズ」として,f「株式会社エネルギア・コミュニケーションズ」のホームページが検出されたところである。これらb?fの各社は,いずれも申立人のグループ企業の一である(甲23 第38頁,甲26)。
(3)具体的出所の混同の検討について
引用商標1及び2が,申立人の役務を表示する商標として,電気の供給区域内のみならず,供給区域外の需要者,取引者一般にも広く知られ,申立人により永年に亘りハウスマークとして,またグループブランドとして使用されていること,申立人の経営の規模,環境保護活動,社会貢献活動の実績,企業経営の多角化の傾向等をも併せて考慮すると,本件商標をその商標権者が使用した場合,これに接する需要者,取引者は,本件商標を使用した商標権者の提供する指定役務について,申立人又はそのグループ企業との間に,密接な営業上の関係又は同一の表示による事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る役務であると誤信し,役務の出所につき誤認を生じさせることは明らかである。
また,本件商標の商標権者が,ホームページにおいてホームページアドレス等の「energia」の欧文字と一緒に本件商標を使用している「本件商標の取引実情」を考慮すると,本件商標をその商標権者が使用した場合,引用商標1ないし4(審決注:引用商標1及び2の間違いと思われる。)の持つ顧客吸引力へのただ乗りやその希釈化を招くことは明らかである。
(4)小括
以上のように,本件商標をその商標権者が使用した場合,これに接する需要者,取引者は,本件商標の商標権者の提供する指定役務を申立人又はそのグループ企業の提供する役務と誤認し,役務の出所の誤認を招くのみならず,引用商標1及び2の持つ顧客吸引力へのただ乗りやその希釈化を招くことは明らかである。
してみれば,本件商標は,平成27年3月31日付け手続補正書提出後の「財務書類の作成」を含む全ての指定役務について,商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれがある商標」に当たり,同号に違反して商標登録されたものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は,「エナジア」の片仮名からなるところ,これは,一般的な辞書等に掲載されている語でないことから,特定の意味合いを有しない一種の造語というのが相当である。
してみれば,本件商標は,その構成文字に相応して,「エナジア」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標1について
引用商標1は,「エネルギア」の片仮名を上段に「EnerGia」の欧文字を下段に、それぞれ横書きしてなるものである。
そして,上段の片仮名は,下段の「EnerGia」の欧文字の読みを特定したものとして理解されるというのが自然である。
また,該「エネルギア」の片仮名は,一般的な辞書等に掲載されている語でないことから,特定の意味合いを有しない一種の造語というのが相当であり,該「Energia」の欧文字は,スペイン語,ポルトガル語,イタリア語,ポーランド語において,「エネルギー」の意味合いを有する語であるが,この語が我が国において一般的に親しまれ知られているとはいえないことから,該文字からは,特定の意味合いを看取することはないとみるのが相当である。
してみれば,引用商標1は,その構成文字に相応して,「エネルギア」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標1について
ア 本件商標と引用商標1との類否について
本件商標と引用商標1とを比較すると,外観においては,本件商標は片仮名を構成文字とするものであり,引用商標1は,片仮名と欧文字を構成文字とする二段書きのものであるから,外観上,明確に区別できるものである。
また,称呼においては,本件商標から生じる「エナジア」の称呼と引用商標1から生じる「エネルギア」の称呼は,語頭の「エ」と語尾の「ア」が共通するものの,4音と5音と音数も異なることから,それぞれ一連に称呼した場合には,その語調,語感も異なり,称呼上,明瞭に聴別することができるものである。
さらに,観念においては,本件商標及び引用商標1は,共に特定の観念を生じないものである。
そうすれば,本件商標と引用商標1とは,観念において比較することができないとしても,外観及び称呼において明確に区別できる非類似の商標であって別異の商標というべきものである。
イ 申立人の主張について
申立人は,称呼について,最高裁判例及び商標審査基準をあげ,引用商標1の「EnerGia」の欧文字は,英語「energy」(エナジー)になぞらえて,英語風に「エナジア」と自然に称呼する場合も決して少なくないと主張している。
しかしながら,「EnerGia」の欧文字は,前記したように,我が国で一般的に親しまれて知られている外国語とはいえず,引用商標1においては,上段に表された片仮名が,下段の欧文字の称呼を特定したものと認識されるというのが自然であり,これをあえて英語風に「エナジア」と称呼するとみるのは妥当ではなく,引用商標1は「エネルギア」とのみ称呼されるというのが相当である。
また,申立人は,別件の判定の内容について種々述べているが,当該判定事件と本件登録異議申立事件とは事案を異にするものであり,その内容が直ちに,本件の判断に影響を与えるものではない。
なお,申立人は,引用商標2から生ずる称呼に関して,申立人が出願した同商標の防護標章登録出願(2007-118184)に係る審査中に提出した意見書において,「本標章を構成する『EnerGia(エネルギア)』については,本出願人および本出願人のグループ企業の『キーコンセプト』として,1991年1月に制定されたものであり,この『EnerGia(エネルギア)』については,本出願人の略称として使用されており,本出願人のHPのドメインの他,本出願人の社員が使用するメールアドレスに至るまで,『energia』の文字が採択されております。」と主張し,さらに,同出願の拒絶査定不服審判(不服2010-5575)において,「インターネット上の検索サイト『Google』や『Yahoo!JAPAN』にて,『EnerGia』の欧文字から生ずる称呼『エネルギア』の片仮名を検索ワードとして入力し,検索を試みたところ,その大半が審判請求人等のホームページや審判請求人等を指称した記事が検出され・・・・・このことは,多くの一般世人が,原登録商標やこれから生ずる『エネルギア』の称呼を審判請求人等の出所を表示する商標と正しく理解している証左に他ならないというべきである。」旨を主張している。
そうすれば,申立人が,本件において「EnerGia」から「エナジア」の称呼が生ずると主張することは,上記防護標章登録出願の審査及び審判における主張に相反するものであり,包袋禁反言の主張といえるものである。
よって,申立人の主張は,いずれも妥当ではなく採用することができない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標2の周知性について
引用商標2が周知性を有する商標であるとして申立人が,提出した甲第23号証ないし甲第26号証を総合すれば,引用商標2は,申立人の業務に係る役務「電気の供給」を表示するものとして電気の供給区域内の需要者,取引者をはじめ,供給区域外の需要者の間にも広く知られ,認識されていることが認められるものである。
(2)引用商標2について
引用商標2は,別掲1のとおり,「EnerGia」の欧文字を横書きし,かつ,その「E」の文字は,図案化された態様で,その左側と下側から濃淡の相違する2本の帯状の線が捻られながら左下方に延びるように表され,その帯状の線の中間に円弧の図形を配した構成として看取されるものである。
ちなみに,「EnerGia」の文字は、辞書にも掲載されていない一種の造語であるから,その構成文字に相応して,「エネルギア」及び「エナジア」の称呼を生じると認められるものであるが,甲第23号証の「会社案内」の3頁においては,「企業理念」の見出しのもと,「キーコンセプト」として,「ENERGIA」の欧文字の上部に「エネルギア」と片仮名で読みが付されており,申立人自身においても,該「ENERGIA」の文字の称呼を「エネルギア」と特定して使用している事情、及び、引用商標2が需要者に広く知られている周知商標であることを参酌すれば,該「EnerGia」の文字は,取引者及び需要者においても「エネルギア」と称呼され,引用商標2の構成態様から「中国電力のブランド」として知られているものというのが相当である。
してみれば,引用商標2は,その構成文字に相応して「エネルギア」の称呼のみを生じ,その構成態様全体より「中国電力のブランド」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標2との類否について
本件商標と引用商標2とを比較すると,外観においては,本件商標は片仮名を構成文字とするものであり,引用商標2は,図形と欧文字の結合商標であるから,外観上,明確に区別できるものである。
また,称呼においては,本件商標から生じる「エナジア」の称呼と引用商標2から生じる「エネルギア」の称呼は,語頭の「エ」と語尾の「ア」が共通するものの,4音と5音と音数も異なることから,それぞれ一連に称呼した場合には,その語調,語感も異なり,称呼上,明瞭に聴別することができるものである。
さらに,観念においては,本件商標は,特定の観念を生じないものであり,引用商標2は,「中国電力のブランド」の観念を生じるものであるから,観念上,明確に区別できるものである。
そうすれば,本件商標と引用商標2とは,外観,称呼及び観念において非類似の商標であって,その印象が全く相違する別異の商標というべきものである。
(4)出所の混同について
ア 引用商標1について
本件商標と引用商標1は,前記1(3)のとおり,その印象が全く相違する非類似の商標であって,別異の商標であるから,本件商標をその指定役務について使用しても,これに接する取引者,需要者をして引用商標1を連想し,又は想起させることはなく,その役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように,その役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
イ 引用商標2について
前記(1)のとおり,引用商標2が,申立人の役務「電気の供給」を表示するものとして取引者,需要者の間において広く知られているとしても,本件商標と引用商標2は,上記(3)のとおり,その印象が全く相違する非類似の商標であって,別異の商標であるから,本件商標をその指定役務について使用しても,これに接する取引者,需要者をして引用商標2を連想し,又は想起させることはなく,その役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように,その役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから,商標法第43条の3第4項により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲 引用商標2




異議決定日 2016-06-16 
出願番号 商願2015-5589(T2015-5589) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W35)
T 1 651・ 263- Y (W35)
T 1 651・ 271- Y (W35)
T 1 651・ 261- Y (W35)
最終処分 維持 
前審関与審査官 齋藤 貴博 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 山田 正樹
榎本 政実
登録日 2015-09-04 
登録番号 商標登録第5790605号(T5790605) 
権利者 株式会社エナジア
商標の称呼 エナジア 
代理人 金沢 彩子 
代理人 大竹 正悟 
代理人 原田 雅章 
代理人 小椋 崇吉 
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