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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W09
審判 査定不服 外観類似 登録しない W09
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W09
管理番号 1317202 
審判番号 不服2015-18988 
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-10-21 
確定日 2016-07-06 
事件の表示 商願2015-10442拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第9類「電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として,平成27年2月5日に登録出願されたものである。
そして,その指定商品については,原審における平成27年6月16日付け及び同月23日付けの手続補正書により補正された結果,第9類「測量・土木支援のためのコンピュータソフトウェア」となったものである。

2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した登録第4703500号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2(1)のとおりの構成からなり,平成14年9月20日に登録出願,第9類「電子応用機械器具及びその部品」を含む別掲2(2)のとおりの商品を指定商品として,同15年8月22日に設定登録されたものであり,その後,同25年6月11日に商標権の存続期間の更新登録がされ,現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は,前記1のとおり,上端に至るほどに細くとがり下部は太く角張って紫色から徐々に黄色にグラデーション的に変化させ右向きに湾曲させたものと,同じく上端に至るほどに細く尖り下部は太く角張って青色から徐々に黄色にグラデーション的に変化させ左向きに湾曲させたものとを交差させた形状からなる図形を左側に配し,これと一定の間隔を空けて,やや太めの黒色のサンセリフ体で大きく書した「X-FIELD」の欧文字及び記号を右側に配してなるところ,その構成は,左右で異なる態様からなるものであって,視覚上,図形部分と文字部分とに分離して看取し得るものである。
そして,本願商標の構成中の湾曲したものを交差させた形状からなる図形部分は,直ちに特定の事物を想起させるものではないから,該図形部分からは,特定の称呼及び観念を生じないものとみるのが相当である。
一方,本願商標の構成中,「X-FIELD」の文字部分は,これを構成する各欧文字及び記号が同じ書体,同じ大きさをもって,等間隔に表されており,文字部分全体として,視覚的にまとまりのよい一体のものとして把握し得るものであるところ,「X」及び「FIELD」の各欧文字が,それぞれ「未知のもの」及び「分野,範囲」の意味を有する語であるとしても,両語を「-」で連結し,「X-FIELD」と一連に書してなる本願商標の文字部分からは,直ちに特定の意味合いが看取されるとはいい難く,該構成文字に相応して「エックスフィールド」の称呼が生じるものであって,特定の観念を生じないものである。
そうすると,本願商標は,これを構成する図形部分と文字部分とが視覚上,分離して看取し得るものであり,両者に観念上の結びつきはなく,また,図形部分も文字部分も,それぞれ自他商品の識別力を有するものとみるのが相当であるから,これに接する取引者,需要者に,常に一体不可分のものであるとして認識されるとはいい難く,その構成中の「X-FIELD」の文字部分を要部として抽出し,これを引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるものである。
イ 引用商標について
引用商標は,前記2のとおり,やや太めの黒色のセリフ体で大きく書した「XFIELD」の欧文字を上段に配し,黒色のゴシック体で小さく書した「エックスフィールド」の片仮名を下段に配してなるところ,上段の「XFIELD」の文字は,辞書等に載録のない一種の造語であり,また,下段の「エックスフィールド」の片仮名は,その位置するところとあいまって,上段の欧文字の読みを表したものと無理なく理解されるものである。
そうすると,引用商標は,その構成文字に相応して,「エックスフィールド」の称呼を生じるものであって,特定の観念は生じないものである。
ウ 本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標は,上記ア及びイのとおり,それぞれから生じる「エックスフィールド」の称呼において同一であり,また,観念においては,本願商標と引用商標とは,いずれも特定の観念を生じないものであるから比較することができないものである。
さらに,本願商標は,上記アのとおり,湾曲したものを交差させた形状からなる図形部分と「X-FIELD」の文字部分からなるものであり,引用商標は,上記イのとおり,「XFIELD」の欧文字と「エックスフィールド」の片仮名からなるものであるから,両商標は,その構成全体としての外観は相違するものの,本願商標の要部である「X-FIELD」の文字部分と,引用商標の構成中,顕著に表された「XFIELD」の欧文字とを比較すると,両者は,「-」の有無を除き,その構成文字を共通にするものであり,互いに近似した印象を与えるものといえる。
してみれば,本願商標と引用商標とは,観念において比較できないとしても,外観において近似した印象を与えるものであり,「エックスフィールド」の称呼を共通にするものであるから,互いに紛らわしい類似の商標である。
エ 本願の指定商品と引用商標の指定商品の類否について
本願の指定商品は,「測量・土木支援のためのコンピュータソフトウェア」であるところ,該商品は,引用商標の指定商品中,「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる「電子計算機用プログラム」(商標法施行規則別表第9類の欄参照)に該当する商品であるから,これらの指定商品に同一又は類似の商標が使用された場合,これに接する取引者,需要者がこれら商品を同一営業主の製造又は販売に係るものと誤認混同を生じるおそれがあるというのが相当である。
したがって,本願の指定商品と引用商標の指定商品とは,同一又は類似するものである。
オ 小括
以上からすれば,本願商標と引用商標とは,類似する商標であり,その指定商品も同一又は類似するものであるから,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標は,「最左端のシンボルマークを先頭に始まり右端の『FIELD』の文字までが中間の区切り符号『-』により左右バランス良く配列されており,一体感を感じさせる優れた一連の商標であると言え,指定商品の第9類『測量,土木支援のためのコンピュータソフトウェア』に使用したとき,自他商品識別力と出所表示機能を発揮することが予感させる。」とし,「してみれば,・・・本願商標は,『X』『F』『I』『E』『L』,および『D』の六つのアルファベット大文字と,『エ』『ッ』『ク』『ス』『フ』『ィー』『ル』,および『ド』の八つのカタカナ文字とを書き連ねただけの引用商標(・・・)とは,外観も称呼も観念の何れにおいても顕著に異なるので,相互に非類似であるというべきである。」などと主張する。
しかしながら,上記(1)アのとおり,本願商標は,これを構成する図形部分と文字部分の態様及び配置等を踏まえれば,構成全体として把握されるのみならず,その構成中の「X-FIELD」の文字部分を要部として抽出し,これを引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるものというべきである。
そして,上記(1)ウのとおり,本願商標の要部である文字部分と引用商標とを比較すれば,両者は,称呼が同一であり,外観において近似した印象を与えるものあって,観念においては比較することができないものであるから,両商標は,その称呼,外観及び観念を総合して全体的に考察すれば,互いに類似する商標というのが相当である。
イ 請求人は,本願商標は,請求人(出願人)がデザイン会社に創作を依頼して完成された創作物の著作権と共に譲り受けた著作物であり,そのデザインの採用にあたっては,請求人の希望とデザイン会社からの提案により,まず,シンボルマーク(図形部分)のデザインが決まり,さらに,このシンボルマークがイメージするクロスサーチを強調すべく,シンボルマークの横に「X」字形の文字を配することで本願商標の前半部の構成が決まり,次いで,後半部に「-FIELD」の文字列を配することが決まったものであるとして,本願商標の採択理由及びその経緯を述べた上で,「この“-FIELD”という文字列は,言葉の区切りを示すために使用される補助記号の『-』が上記シンボルマークの次に配置される『X』字形の構成の間に介在することから,『X』と『-FIELD』とに認識することができ,その前に位置している『X』字形の部分から『未知数,未知のもの』という観念を生じ,かつ,介在している区切りの補助符号『-』にて区切られた『X』と『-FIELD』との文字列は『未知の分野,未知の領域,未知の研究領域』の意味合いを生ずることになる」と主張する。
しかしながら,本願商標の採択理由及びその経緯が原告主張のとおりであるとしても,本願の指定商品を取り扱う業界において,その採択の理由等が広く浸透しているとはいい難く,本願商標は,そのかかる構成において,これに接する取引者,需要者に,図形部分と文字部分とが常に一体不可分のものであるとして認識されるとはいい得ないこと,上記(1)アのとおりである。
また,本願の指定商品の分野において,「X-FIELD」の語が,「未知の分野,未知の領域,未知の研究領域」を表すものとして,普通に使用されている実情を見いだすことはできない。
ウ 請求人は,引用商標について,ARKeX Ltd社が開発した測量,土木支援業務に利用するソフトウェア「XField」との関係からして,「測量,土木支援に利用するソフトウェア」については,普通名称化していると主張し,その立証方法として甲第3号証ないし甲第9号証(「XField(XFIELD)」が互いに全く関連のない複数の業者によって営業的に使用している事実),甲第15号証ないし甲第19号証(「XFIELD」が無関連に使用されている事実)及び甲第10号証ないし甲第12号証(商標の普通名称化に係る審判決例)を提出している。
しかしながら,ARKeX Ltd社に係るコンピュータソフトウェア「XField」について請求人が提出した証拠は,該社の外国ウェブサイト(甲3)のみであって,また,当審において調査するも,該社の「XField」なるコンピュータソフトウェアが,我が国の取引者,需要者の間に広く知られている実情を見いだすことはできない。
そして,請求人の提出する証拠(甲5?甲9,甲15?甲19)からは,「XField」の語が,特定の商品の名称,品質等を表すものとして一般に使用されている事実など,該語が,普通名称化等によって自他商品の識別標識としての機能を喪失したと認められる実情も見いだせない。
さらに,登録出願に係る商標が登録され得るものであるか否かの判断は,個々の商標ごとに個別具体的に検討,判断されるべきものであるところ,本願商標と引用商標とは,両商標の外観,称呼及び観念が,それぞれ取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,さらに,両商標の指定商品において抵触する商品に係る取引の実情をも勘案して,全体的に考察すれば,互いに類似する商標というべきであって,また,本件審決時において,引用商標が自他商品の識別標識としての機能を喪失したと認められるような特段の事情等も見いだせないのであるから,商標の構成態様,適用条文等を異にする過去の登録例,判断例があることをもって,両商標が非類似ということはできない。
エ したがって,請求人の上記主張はいずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本願商標(色彩は原本参照)


2 引用商標
(1)商標の構成


(2)指定商品
第9類「耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラ-消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」


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審理終結日 2016-05-10 
結審通知日 2016-05-11 
審決日 2016-05-25 
出願番号 商願2015-10442(T2015-10442) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W09)
T 1 8・ 263- Z (W09)
T 1 8・ 261- Z (W09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 榊 亜耶人 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 根岸 克弘
平澤 芳行
商標の称呼 エックスフィールド、フィールド 
代理人 戸川 公二 

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