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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W14
管理番号 1317194 
審判番号 不服2015-3479 
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-02-24 
確定日 2016-07-21 
事件の表示 商願2014- 16045拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「Tiara」の文字を標準文字で表してなり,第14類「身飾品(『宝飾品としてのティアラ』を除く。)」を指定商品として,平成26年3月4日に登録出願,その後,指定商品については,当審における同27年2月24日受付の手続補正書により,第14類「イヤリング,ネックレス,ブレスレット,ペンダント,宝石ブローチ,指輪,ピアス」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願指定商品『身飾品(『宝飾品としてのティアラ』を除く。)』には,高級な宝飾品として取引され,品質,原材料,用途,需要者等に共通性,関連性を有すると思われる『身飾品,イヤリング,貴金属製き章,貴金属バッジ,貴金属ボンネットピン,ネクタイ止め,ネクタイピン,ネックレス,ブレスレット,ペンダント,宝石ブローチ,メダル,指輪,ロケット』等も含まれているから,『ティアラ:宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り』を意味する『Tiara』の文字を標準文字で表してなる本願商標を,その指定商品に使用した場合,これに接する,取引者,需要者は,これを付した商品が,前記の商品であると認識し,商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第16号について
本願商標は,前記1のとおり,「Tiara」の欧文字を標準文字で書してなるところ,「Tiara」の欧文字は,原審も摘示しているとおり,「ティアラ:宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」(ランダムハウス英和大辞典)の意味を有する英語である。同様の意味合いで,「広辞苑第六版」にも,「ティアラ【tiara】」の項には,「女性がつける王冠形の髪飾り。」と掲載されているし,「ベーシックジーニアス英和辞典」にも,「tiara」の項には,「ティアラ<宝石をちりばめた女性用頭飾り>」と掲載されている。そして,なによりも請求人自らが登録出願時の指定商品として,前記1のとおり,「身飾品(『宝飾品としてのティアラ』を除く。)」と記載していることからすれば,請求人自らも,その「ティアラ」とは,「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」や「女性がつける王冠形の髪飾り」といった商品を指称する一般的名称「ティアラ【tiara】」の意味で使用していることは明らかである。
以上のことからすれば,本願商標「Tiara」は,「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」や「女性がつける王冠形の髪飾り」を意味する「ティアラ」の英語表記にすぎず,これに接する取引者・需要者は,「Tiara」との表示からごく自然に商品「ティアラ」を理解するものと認められる。
そして,商品「ティアラ」と本願商標の補正後の指定商品「イヤリング,ネックレス,ブレスレット,ペンダント,宝石ブローチ,指輪,ピアス」とは,共に,身に飾ることによって,直接的にその人の美しさを増すための身飾品であるから,互いに類似する商品と認められる。
そうすると,本願商標「Tiara」(ティアラ)が表示していると通常理解される品質(「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」や「女性がつける王冠形の髪飾り」)と補正後の指定商品「イヤリング,ネックレス,ブレスレット,ペンダント,宝石ブローチ,指輪,ピアス」の有する品質とが異なることは明らかで,しかも,商品「ティアラ」と補正後の指定商品とは,互いに類似する商品と認められるものであるから,そのような指定商品に本願商標を付した場合には,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標の補正後の指定商品「イヤリング,ネックレス,ブレスレット,ペンダント,宝石ブローチ,指輪,ピアス」などに「Tiara」の商標が使用されていても,それらの商品の購入に際し,需要者が「Tiara」(宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り)と認識し,商品について誤認してイヤリングなどを購入してしまうという事態は全く考えられない旨主張する。
しかし,公益に反する商標の登録を排除するという商標法第4条第1項第16号の趣旨に照らすならば,商標法第4条第1項第16号への該当性の有無は,商標が表示していると通常理解される品質と指定商品の有する品質とが異なり,商標を付した商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるか否かを基準として判断されるべきものであり,実際に商標を使用した商品がどのような品質を有しているかは,商標法第4条第1項第16号への該当性の有無に影響を及ぼすものではない(平成20年11月27日知財高裁同年(行ケ)第10086号)から,前記(1)のとおり,本願商標「Tiara」(ティアラ)が表示していると通常理解される品質と本願商標の補正後の指定商品の有する品質とが異なり,しかも,商品「ティアラ」と補正後の指定商品とは,互いに類似する商品である以上,そのような指定商品に本願商標を付した場合には,商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
イ 請求人は,登録第1890389号商標「ティアラ」を「身飾品」について保有し,長年に使用が継続されていることから,本願商標も自他商品識別標識として機能している旨主張する。
しかし,前記(1)のとおり,「ティアラ」とは,「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」や「女性がつける王冠形の髪飾り」といった商品を指称する一般的名称であって,そのことは請求人自らも「ティアラ」を登録出願時の指定商品の記載に使用していたことからも明らかである。そして,上記登録商標「ティアラ」の実際の使用を示すものとして請求人が提出した証拠は,第4号証のみであるところ,これは,通常使用権者である株式会社シバタがYAHOO!JAPANのショッピングサイト「Jewellery SHIBATA」において、「ティアラ 王冠モチーフホワイトゴールドダイヤモンドペンダントネックレス」や「オリジナルブランド『ティアラ』ロイヤルティアラ風ダイヤモンドペンダントです。」などのように使用しているにすぎないから,これによって一般的名称としての上記「ティアラ」の認識が変わるものではないし,ましてや欧文字「Tiara」であればなおさらである。
ウ 請求人は,第1号証をもって,「Tiara」は,本来女性皇族が宮中での慶賀にローブデコルテと勲章,そしてティアラという正装の際に用いる冠であり,市場で取引の対象となる装飾品とは全く異なる旨主張する。
しかし,第1号証には,「日本においては,基本的に女性が用いるものが『ティアラ』と称呼される。舞台衣装・婚礼衣装を除くと,宮中での女性皇族が正装の際に身につける。」と記載されていることからすれば,少なくとも,舞台衣装・婚礼衣装の際にも身につけられるものであることは明らかである。なお,このことは,以下のウェブサイト記事によっても裏付けられる。
(ア)「BRUGGE BRIDAL ACCESSORY」のウェブサイト(http://www.jp-brugge.com/tiaras.htm)において,商品ページ「TIARA ティアラ」の項には,「■挙式のシーンといえばティアラ 挙式のシーン,凜とした美しさを印象づけるヘッドピースはやっぱりティアラ。憧れの花嫁姿をティアラで手に入れる。」との記載があり,複数のティアラの写真が掲載されている。
(イ)「TASAKI」のウェブサイト(http://www.tasaki.co.jp/bridal/tiara/#/page/1)において,「BRIDAL」の項中の「BRIDAL COLLECTION」には,「TIARA」の見出しのもと,「心からの祝福を,輝きにかえて・・・すべてのティアラはTASAKIのクラフツマンが1点ずつ丁寧に作り上げています。」との記載があり,複数のティアラの写真が掲載されている。
(ウ)「Love Tiara」のウェブサイト(http://www.lovetiara.com/)において,「Tiara&Crown」の項には,商品が写真とともに一覧に掲載されており,そのうちの一「ノーブルフラワーパールティアラ・シルバー」には,「花模様のフェミニンなパールティアラ。当店のロングセラーアイテムです。」との記載がある。
エ 請求人は,過去の登録例を挙げ,本願商標も登録できる旨主張する。
しかし,商標の類否判断は,過去の登録例等に拘束されることなく,当該商標の査定時又は審決時において,当該商標の構成態様やその指定商品の取引の実情等を考慮して、事案ごとに個別具体的に判断されるべきものである。
オ よって,請求人の上記主張は,いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第16号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。

審理終結日 2015-06-22 
結審通知日 2015-06-23 
審決日 2015-07-07 
出願番号 商願2014-16045(T2014-16045) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (W14)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 浦崎 直之 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 田村 正明
網谷 麻里子
商標の称呼 ティアラ 
代理人 特許業務法人東京アルパ特許事務所 

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