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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X2528
管理番号 1317160 
審判番号 取消2015-300292 
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-04-21 
確定日 2016-07-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第1389173号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1389173号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1に示すとおりの構成よりなり,昭和50年9月16日に登録出願,第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同54年8月30日に設定登録され,その後,平成2年2月19日,同11年9月21日及び同21年7月7日に商標権の存続期間の更新登録がされ,さらに,同21年8月19日に,第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ」,第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第28類「遊戯用器具,運動用具」とする商標権の指定商品の書換登録がされ,現に有効に存続しているものである。
なお,本件審判の請求の登録は,平成27年5月1日である。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定商品中「第25類 運動用特殊衣服,運動用特殊靴,第28類 運動用具」について登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め,その理由を以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,本件審判の取消しに係る指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は,被請求人の答弁に対して弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第24号証(枝番を含む。)を提出した。
1 本件商標について
本件商標は,本件審判請求の登録日である平成27年5月1日の前3年以内の期間中,日本国内において,「第25類 運動用特殊衣服」について継続して使用されていたものであり,本件審判請求は成り立たない。
2 本件商標の使用者について
被請求人は,本件商標につき,ワールドスポーツアパレル株式会社(以下「本件通常使用権者」という)に通常使用権を許諾しており,本件通常使用権者は「運動用特殊衣服」を現在に至るまで,本件商標を日本国内において継続して使用しているものである。
本件通常使用権者は,自らのインターネット通販サイトにより「運動用特殊衣服」を販売しているほか,日本最大手の通販サイトのAmazonや楽天でも,「シンプソンスポーツ」の名称を用いて販売している。
また,本件通常使用権者の顧客は,一般個人消費者に限らず,スポーツ用品販売業者も含まれる。
3 本件商標の使用事実の証明について
(1)使用商標について
ア 本件商標は,別掲1のとおり,図案化した欧文字「Simpson」と片仮名「シンプソン」を二段に横書きしてなるところ,使用している3つの商標うちの一つは,別掲2のとおり,図案化した欧文字「Simpson」(以下「使用商標1」という。)である。
使用商標1は,運動用特殊衣服のうちのテニス用被服(以下「使用商品1」という。)に使用されている(乙4の1,乙4の2)。使用商品1については,(3)アに詳述する。
イ 使用している3つの商標うちの二つ目の商標は,本件商標の構成中の文字を普通に書してなる「(シンプソン)Simpson」又は「シンプソン(Simpson)」である(以下「使用商標2」という)(乙2の5,乙5の1)。
また,使用商標2は,テニス用ドレス又はテニス用被服(以下「使用商品2」という。)に使用されている(乙2の5,乙2の6,乙7の1,乙8の1,乙9の1)。
さらに,使用商標2は,リストバンド(以下「使用商品3」という。)に使用されている(乙2の5,乙2の6,乙10の1)。
なお,使用商品2及び3については,(3)イ及び(3)ウにて詳述する。
ウ 使用している3つの商標うちの三つ目の商標は,別掲3のとおり,本件商標を変形させた商標(以下「使用商標3」という。)である。
使用商標3は,使用商品1ないし3の全般にわたって使用されている(乙2の2,乙2の4ないし乙2の6,乙6,乙10の1,乙17の1,乙22,乙24の1ないし乙24の4,乙24の6,乙24の8ないし乙24の11(審決注:書証上「乙28の9」とあるのは「乙24の9」の誤記と認める。))。
(2)本件商標及び使用商標1ないし3の社会通念上の同一性について
ア 使用商標1について
本件商標中の下段の片仮名「シンプソン」は,上段の欧文字「Simpson」の称呼である。
欧文字「Simpson」及び片仮名「シンプソン」のそれぞれから生じる観念は,被請求人が確立してきた,テニス製品おいて,全豪(オーストラリア)の由緒ある老舗ブランドであり,著名に至っている「Simpson」ブランドの観念を想起させるものである(乙1(枝番を含む。)及び乙18)。そのため,使用商標1のように,上段部分のみを使用しても,本件商標及び使用商標1の称呼及び観念は同一である。
したがって,本件商標及び使用商標1は,「社会通念上同一」(商標法第50条)といえる。
イ 使用商標2について
使用商標2のうちの欧文字「Simpson」は,本件商標の上段を,標準的な文字態様にしたものであるが,かかる「Simpson」の称呼は当然に「シンプソン」であり,その称呼は本件商標と変わるところがない。そのため,本件商標は,使用商標2の「Simpson」と称呼及び観念において同じである。
したがって,使用商標2の「Simpson」は,本件商標と「社会通念上同一」(商標法第50条)といえる。
使用商標2のうちの片仮名「シンプソン」は,本件商標の下段とほぼ同じような態様であるが,使用商標2の「シンプソン」からは,称呼「シンプソン」が生じる。そのため,本件商標は,使用商標2の「シンプソン」と称呼及び観念において同じである。
したがって,使用商標2の「シンプソン」は,本件商標と「社会通念上同一」(商標法第50条)である。
なお,本件通常使用権者は,Amazonや楽天で「シンプソンスポーツ」の名称を用いているが(乙2の5,乙2の6),スポーツ用品を取り扱う関係上,「シンプソンスポーツ」の「スポーツ」は自他商品識別力がないので,「シンプソンスポーツ」の使用は使用商標2の「シンプソン」の使用となる。
ウ 使用商標3について
使用商標3は,本件商標の上段の標章を大文字「SIMPSON」にして変更を加えたものであるが,それでも,使用商標3からは,本件商標の欧文字「Simpson」を識別させるには十分であり,よって,その称呼も「シンプソン」である。
使用商標3の変更箇所であるが,使用商標3中の欧文字「O」には,王冠とカンガルーのデザインが施されている。王冠とカンガルーのデザインが挿入されていても,全体として「SIMPSON」との同一性は何ら損なわれないので,本件商標の観念と同じように,被請求人のブランド「Simpson」と観念は同じである。
また,このデザインは使用商標3の全体の大きさに対して極めて小さいので,次のエで詳述する過去の審決例をみても,「社会通念上同一」の許容範囲内である。
ゆえに,本件商標及び使用商標3は,称呼及び観念において共に同じなので,「社会通念上同一」である。
(3)使用商品1ないし3が「第25類 運動用特殊衣服」に該当する事実について
ア 使用商品1について
使用商品1は,テニス用の上着であり,「ヤッケ」に該当する(乙13)。
使用商品1の販売形態は,スポーツ用品店又はデパートなどのスポーツ用品売り場で,スポーツ用被服として販売されていることからみても(乙2の4ないし乙2の6,乙17の1及び乙172),日常用の被服ではなく,「運動用特殊衣服」として扱われるべきである。
そして,特許情報プラットフォームの「商品・役務名検索」では,「第25類 テニス用被服」は,「第25類 運動用特殊衣服」と同じ類似群コード「24C01」が含まれている(乙19)。よって,「第25類 運動用特殊衣服」は包括概念の表示であるから,そのうちの一つには,「テニス用被服」も含まれていると考えるのが適切である。
よって,本件の使用商品1は,「運動用特殊衣服」に該当する。
イ 使用商品2について
使用商品2は,ワンピースの形態をしているため「テニス用ドレス又はテニス用被服」又は「テニス用被服及びテニス競技用衣服」である。
特許情報プラットフォームの「商品・役務名検索」によれば,第25類「テニス用ドレス及びテニス競技用ドレス」及び「テニス用被服及びテニス競技用衣服」は,運動用特殊衣服の類似群コード(24C01)が含まれている(乙19)。
よって,「第25類 運動用特殊衣服」は包括概念の表示であるから,そのうちの一つには,「テニス用ドレス及びテニス競技用ドレス」及び「テニス用被服及びテニス競技用衣服」も含まれていると考えるのが適切である。
したがって,本件の使用商品2は,「運動用特殊衣服」に該当する。
ウ 使用商品3について
使用商品3はリストバンドである。「類似商品・役務審査基準」によれば,「第25類 運動用特殊衣服」には,「リストバンド」が含まれている。
したがって,本件の使用商品3は,「運動用特殊衣服」に該当する。
(4)使用商標1ないし3の使用が商標法上の「使用」(商標法第2条3項)に該当する事実について
ア 本件通常使用権者が使用商品1及び3並びにこれらの包装に使用商標1又は3を表示することは,商標法第2条第3項第1号に規定する「標章を付する行為」に該当する。
イ 本件通常使用権者が使用商標1,2又は3を表示した使用商品1,2又は3を販売し,又は販売目的のために展示することは,商標法第2条第3項第2号に規定する「譲渡」及び「展示」に該当する。
ウ 本件通常使用権者が使用商品1又は3に関する納品書に使用商標3を印刷して購入者に渡すことは,商標法第2条第3項第8号に規定する「取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。
エ 本件通常使用権者が使用商品1,2,又は3に関する写真を,並びに,使用商標2又は3の画像をインターネット通信販売の画面上に載せる行為は,商標法第2条第3項第8号に規定する「情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
(5)本件商標が審判請求登録日(平成27年5月1日)前3年の間に使用されている事実について
ア 本件通常使用権者は,使用商品1について,平成24年(2012年)3月下旬に発売予定の企画をしていたものである(乙20)。
少なくとも,平成24年(2012年)7月6日にはAmazonの通販サイトを通して販売しているが,これは,Amazonの通販サイトの使用商品1に関するウェブページ上に,「取扱開始日:2012/7/6」と記載されていることからも明白な事実である(乙5)。
さらに,本件通常使用権者は,自身のインターネット通販サイト販売や電話等による商品注文受付によっても,使用し続けている(乙2の4)。
上記該当期間の使用証拠として,この間に顧客に送付した納品書,明細書及び商品送付伝票の写しを添付する(乙22)。
イ 本件通常使用権者は,使用商品2を少なくとも平成27年(2015年)2月26日にはAmazonのインターネット販売を通して,販売を開始していたものであるが,これは,Amazonの通販サイトの使用商品2に関するウェブページ上に,「取扱開始日:2015/2/26」と記載されていることからも明白な事実である(乙7の2,乙8の2,乙9の2)。
ウ 本件通常使用権者は,使用商品3を少なくとも平成24年(2012年)7月6日にはAmazonのインターネット販売を通して,販売を開始していたものであるが,これは,Amazonの通販サイトの使用商品3に関するウェブページ上に,「取扱開始日:2012/7/6」と記載されていることからも明白な事実である。
さらに,本件通常使用権者は,自身のインターネット通販サイトや直接の注文受付でも販売している(乙2の4)。
上記該当期間の使用証拠として,上記該当3年の期間内に顧客に送付された納品書,明細書及び商品送付伝票の写しを添付する(乙24(枝番を含む。))。
エ よって,本件商標は,審判請求登録日(平成27年5月1日)前3年の間に使用されていたものである。
4 むすび
上記1ないし3に述べたとおり,本件通常使用権者は,本件商標の指定商品「第25類 運動用特殊衣服」について,本件審判請求の登録日(平成27年5月1日)前3年内(平成24年(2012年)5月1日から同27年(2015年)4月30日の期間。以下「要証期間」という。)に,日本国内において本件商標を使用していたものである。

第4 当審の判断
1 事実認定
証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実を認めることができる。
(1)ワールドスポーツアパレル株式会社は,本件商標の使用を許諾された通常使用権者である(乙2の1,被請求人の主張)。
(2)乙第2号証の5は,Amazon.co.jp(以下「Amazon」という。)の通販サイトのウェブページであり,当該ウェブページには,販売業者として「ワールドスポーツアパレル株式会社」の記載及び店舗名「シンプソン スポーツ」の記載があり,「シンプソン スポーツのほかの商品:」として掲載された商品中には,使用商標2を含む「(シンプソン)Simpson STA-B00」「リストバンド ホワイト フリー」「¥1,296」の記載と共に,白色の商品「リストバンド」の写真が掲載されている。
(3)乙第10号証(枝番を含む)は,Amazonの通販サイトのウェブページであり,当該ウェブページには,使用商標2を含む「(シンプソン)Simpson STA-B00 リストバンド ホワイト フリー」「価格:¥1,296」「この商品は,シンプソン スポーツが販売し,Amazon.co.jpが発送します。」の記載と共に,白色の商品「リストバンド」の写真が掲載されている(乙10の1)。そして商品の説明に続く登録情報の項目には「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日:2012/7/6」の記載がある(乙10の2)。
(4)以上の認定事実によれば,ワールドスポーツアパレル株式会社は,本件商標の使通常使用権者であって,同社は,2012年(平成24年)7月6日に,Amazonの通販サイトのウェブページにおいて,我が国の需要者に対して,商品「リストバンド」に関する広告を内容とする情報に,使用商標2を付して電磁的方法により提供したものと認めることができる。
2 判断
(1)使用商標2について
ワールドスポーツアパレル株式会社がAmazonの通販サイトのウェブページに掲載した使用商標2は,本件商標と文字の構成を共通にしており,称呼を同一にするものといえるから,本件商標と社会通念上同一ということができるものである。
(2)使用商品について
商品「リストバンド」は,手首の保護と汗ふきとを兼ねて,専らスポーツの際に手首に使用するものであるから,「運動用特殊衣服」に含まれると解されるものである。
したがって,本件において,商品「リストバンド」については,本件審判の取消しに係る指定商品「運動用特殊衣服」に含まれるものである。
(3)小活
以上によれば,本件商標の通常使用権者であるワールドスポーツアパレル株式会社は,要証期間内である2012年(平成24年)7月6日に,我が国の需要者に向けた通販のウェブサイト上において,本件請求に係る指定商品中「運動用特殊衣服」に含まれる商品「リストバンド」に関する広告を内容とする情報に,本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標2を付して電磁的方法により提供したものと認められる。
そして,通常使用権者の上記使用行為は,商標法第2条第3項第8号に該当するものと認められる。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,通常使用権者が本件請求に係る指定商品中「運動用特殊衣服」に含まれる商品「リストバンド」について,本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したと認め得る。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条により,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本件商標


別掲2 使用商標1


別掲3 使用商標3



審理終結日 2016-02-09 
結審通知日 2016-02-15 
審決日 2016-03-02 
出願番号 商願昭50-114225 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X2528)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田中 幸一
田村 正明
登録日 1979-08-30 
登録番号 商標登録第1389173号(T1389173) 
商標の称呼 シンプソン 
代理人 藤田 美穂 
代理人 宮武 敏夫 
代理人 風早 信昭 
代理人 浅野 典子 

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