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審決分類 審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) X093842
審判 全部無効 外観類似 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) X093842
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) X093842
審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) X093842
管理番号 1317143 
審判番号 無効2013-890044 
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-06-28 
確定日 2016-06-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第5431520号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5431520号の指定商品及び指定役務中、第38類「放送,無線通信機器の貸与」についての登録を無効とする。 その余の指定商品及び指定役務についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5431520号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり「パーソナルホットスポット」の片仮名と「PERSONAL HOTSPOT」の欧文字を二段に横書きしてなり、平成23年2月24日に登録出願、第9類「携帯電話,スマートフォン,無線LAN用電気通信機械器具,電気通信機械器具,無線LAN用電子応用機械器具及びその部品,無線による通信及び接続性のためのネットワークソフトウエア用電子計算機用プログラム,無線通信システム用コンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品,電子出版物」、第38類「移動体電話による通信,無線通信機器を用いて行うデジタル通信,携帯無線通信用端末装置による通信,電気通信(放送を除く),放送,無線通信機器の貸与」及び第42類「無線通信用ソフトウェアの提供,無線通信システムにおける電子計算機用プログラムの提供,無線による通信及び接続性のためのネットワークソフトウエア用電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を指定商品及び指定役務として、同年7月28日に登録査定、同年8月12日に設定登録されたものである。
これに対して、平成23年11月14日に登録異議の申立てがあった結果、第38類「移動体電話による通信,無線通信機器を用いて行うデジタル通信,携帯無線通信用端末装置による通信,電気通信(放送を除く)」についての商標登録を取り消すとの決定が同25年6月24日に確定し、残余の第38類「放送,無線通信機器の貸与」のほか、第9類及び第42類の指定商品及び指定役務については、有効に権利が存続しているものである。

第2 引用商標
請求人が、本件商標の登録の無効の理由として引用する登録商標は、以下の2件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第4539387号商標
登録第4539387号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ホットスポット」の片仮名を標準文字で表してなり、平成12年11月16日に登録出願、第38類「電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供,コンピュータによるメッセージ及び映像の送信,デジタルデータ転送,移動体電話による通信,映像・音声伝送通信,電気通信に関する助言,電子メール通信,電子計算機端末による通信,電話による通信,付加価値通信網の提供,無線呼出し,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,移動体電話による通信に関する情報の提供,電子計算機端末による通信に関するコンピュータデータベースによる情報の提供,電子計算機端末による通信に関する情報の提供,電話による通信に関する情報の提供,無線呼出しに関する情報の提供,コンピュータネットワークの加入に関する情報の提供,データ通信に関する情報の提供,電気通信に関連する情報の提供,電話の加入に関する情報の提供,テレビジョン放送・有線テレビジョン放送・ラジオ放送に関する情報の提供,報道をする者に対するニュースの供給に関する情報の提供,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与に関する情報の提供,電子通信情報の提供」を指定役務として、同14年1月25日に設定登録されたものである。

2 登録第4682174号商標
登録第4682174号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成14年4月23日に登録出願、第38類「電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供,コンピュータを利用したメッセージ及び映像による通信,電子メールの自動転送,ホームページへの接続の自動転送,移動体電話による通信,映像・音声伝送交換,電気通信(放送を除く。)に関する助言,電子メール通信,その他の電子計算機端末による通信,電話による通信,付加価値通信網の提供,無線呼出し,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,移動体電話による通信に関する情報の提供,電子計算機端末による通信に関するコンピュータデータベースによる情報の提供,電子計算機端末による通信に関する情報の提供,電話による通信に関する情報の提供,無線呼出しに関する情報の提供,コンピュータネットワークの加入契約に関する情報の提供,データ通信に関する情報の提供,電気通信(放送を除く。)に関する情報の提供,電話による通信の加入契約に関する情報の提供,テレビジョン放送・有線テレビジョン放送・ラジオ放送に関する情報の提供,報道をする者に対するニュースの供給に関する情報の提供,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与に関する情報の提供」を指定役務として、平成15年6月13日に設定登録されたものである。

以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という場合がある。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第142号証を提出した。
1 無効理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、請求人が所有する引用商標と同一又は類似であって、引用商標の指定役務と同一又は類似する役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものであり、同法第46条の規定に基づき、その登録は無効とされるべきものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、その指定商品、指定役務について使用された場合には、「無線LANを利用した高速インターネット接続サービス」の役務分野において周知・著名な引用商標との関係で、需要者をして、その出所について混同を生じさせるおそれがあるから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであり、同法第46条の規定に基づき、その登録は無効とされるべきものである。

2 具体的理由
(1)引用商標の周知・著名性について
ア 引用商標「ホットスポット(HOTSPOT)」は、請求人が無線LANを利用した高速インターネット接続サービスについて長年使用し、周知・著名となっているものである。
請求人が「ホットスポット(HOTSPOT)」の下に、無線LANを利用した高速インターネット接続サービスを開始したのは2002年5月15日である。当該サービスは、2001年から請求人が実施してきた実証実験「Hi-FIBE」を商用化したものであって、具体的には、無線LAN(構内情報通信網)を使って外出先からインターネットに高速接続するサービスであり、利用者は、無線LANカードを差し込んだノートパソコンや携帯情報端末(PDA)を基地局周辺に持ち込めば無線で高速接続出来るというものである。請求人は、当初、ファストフード店、ホテル、家電量販店など都内約200ヶ所に小型の無線基地局(アクセスポイント)を設置して当該サービスを提供していた。
その後、駅、空港といった施設にもアクセスポイントを設置していき、2005年には全国47都道府県に約3,000ヶ所のアクセスポイントに急増し、2006年には3,700ヶ所のアクセスポイントを設けて当該サービスを提供しているものである。
イ また、「ホットスポット(HOTSPOT)」のアクセスポイントを貸会議室や待合室、エントランスホールに設置する態様がビル利用者への新しい付加価値として評価された他、図書館や大学の構内に設置してキャンパス内での利用に供する等、利用形態は更に広がりをみせているものである。
このアクセスポイントは、@nifty、BIGLOBE、So-net及びWILLCOM等のプロバイダーの顧客も利用できる形態となっているため、利用者は「ホットスポット(HOTSPOT)」の契約者に限られず、その数倍となっているものであって、プロバイダー業者を介する利用者数は600万IDに及び、2008年には、無線LANの加入状況において、業界で2位のシェア(シェア33%)となっている。
このような状況下、請求人が提供する「ホットスポット(HOTSPOT)」サービスは各種新聞、雑誌、用語辞典等において多数取り上げられているのみならず、現在に至るまでの間、請求人及びプロバイダーは、本サービスについて連綿盛大に宣伝広告を行っているものであって、引用商標の認知度あるいは周知度は極めて高く、引用商標は、当該サービス分野の取引者・需要者の間で、請求人の提供に係る役務を表彰する商標として広く認識されるに至り、その周知・著名性は現在に至るまで継続しているものである。上記した事情は、甲第7号証ないし甲第91号証に示すとおりである。
ウ なお、引用商標が、遅くとも本件商標の出願時(平成23年2月24日)までには、「無線LANを利用した高速インターネット接続サービス」分野の需要者の間において、請求人の提供に係る役務の出所を表示するものとして広く認識されるに至っており、その周知性が、本件商標の登録査定時(平成23年7月28日)においても継続していたことは、請求人が本件商標に対して起こした異議事件(異議2011-900403)の異議決定においても認められている(甲92)。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
(ア)本件商標は「パーソナルホットスポット」の片仮名と「PERSONAL HOTSPOT」の欧文字を上下二段に横書きした構成からなるところ、上段の片仮名は、下段の欧文字の読みを表したものと容易に理解されるものであり、かつ、「パーソナルホットスポット」「PERSONAL HOTSPOT」の綴りからなる成語は存在しないものである。
そして、前半の「パーソナル」「PERSONAL」は、「個人的」、「他の語の上に付いて、個人用の」、「小型で手軽な」等の意味を表す英語、外来語として一般に広く知られているものであるところ(甲93)、本件商標の第38類の指定役務「放送」の分野においては、「個人向けの放送サービス」、「個人放送サービス」が存在し(甲94?甲96)、自分専用の放送局のことを「パーソナル放送局」と称している例も見られる(甲97)。
また、同じく第38類の指定役務「無線通信機器の貸与」との関係では、主として一人暮らしや単身赴任者向けに、無線通信機器を含めた生活必需品のレンタルサ一ビスのことを、事業者が「パーソナルレンタル(Personal Rental)」と称し(甲98?甲99)、個人向けの通信機器のことを事業者が「パーソナル向けの通信機器」と称している例が見られる(甲100?甲101)。
したがって、「パーソナル」、「PERSONAL」の部分は、本件商標の第38類の指定役務との関係においては、「個人向けのサービス」、あるいは「個人が提供するサービス」という役務の質を表す語として一般的に用いられているものであって、当該指定役務との関係では自他役務の識別力が弱いか、あるいは非常に弱いものである。
なお、「パーソナル」の文字からなり、第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電話による通信,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,報道をする者に対するニュースの提供,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,その他の電気通信」を指定役務とした商標登録出願(商願2000-37406)に対しては、「『個人用の、個人向けの』といった意を表す外来語として広く使用され親しまれている『パーソナル』の文字を普通に用いられる方法で表してなるものですから、これをその指定役務中の、例えば個人向けに提供される各種通信・放送又は通信機器の貸与といった上記意味合いに照応する役務に使用しても、これに接する者をして、容易にその役務の内容・目的・用途・提供の用に係るものを表示したものであるといったことを理解させるにとどまるもので、役務の質を表示するものと認めます。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがありますので、商標法第4条第1項第16号に該当します。』旨の拒絶理由通知がかけられ、拒絶査定が確定している(甲102?甲105)。
このことからも、本件商標において、「パーソナル」「PERSONAL」の部分の識別力が弱い、あるいは無いことが容易に理解できるものである。
(イ)引用商標が周知著名性を有する役務が属する「無線通信」の分野と、本件商標の指定役務「放送」、「無線通信機器の貸与」とは密接な関係にある。すなわち、現在では、公衆回線であるインターネットを通じて番組を配信するサービスであって、パソコン、スマートフォン、インターネット接続が可能なインターネットテレビでも受信できる「インターネット放送」のほか、地上波で放送したテレビ番組をパソコンや携帯電話向けに有料配信するサービス(「テレビ番組のネット配信」)も普及している状況にあり(甲106、甲107)、「放送」と「無線通信」とは有機的に融合し、密接不可分の状態といい得るものである。
「無線通信機器の貸与」については、これは、無線通信を行うための機器であって、引用商標が周知著名性を有する「無線LANを利用した高速インターネット接続サービス」とは、その需要者を共通にすることも多く、密接な関係を有するものである。
(ウ)よって、上記した、引用商標が「無線LANを利用した高速インターネット接続サービス」分野の需要者の問において、請求人の提供に係る役務の出所を表示するものとして広く認識されるに至っている状況からすれば、本件商標の指定役務「放送,無線通信機器の貸与」との関係では、本件商標の構成中「ホットスポット」「HOTSPOT」の部分が要部として機能するものであって、本件商標は「パーソナルホットスポット」の他に、単に「ホットスポット」の称呼も生じるものである。
イ 引用商標について
引用商標1及び引用商標2は上記のような構成からなるものであるから、いずれも「ホットスポット」の称呼を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との対比
本件商標と引用商標からは、共に「ホットスポット」の称呼を生じるものであるから、両商標が称呼上類似することは明らかである。
また、本件商標の第38類の指定役務及び引用商標の指定役務は上記したとおりであるから、両指定役務が類似関係にあることも明らかである。
さらに、本件商標及び引用商標の出願日、登録日も上記したとおりであるから、本件商標が引用商標の先願・先登録に係るものであることも明白である。
よって、本件商標は先願・先登録に係る引用商標と類似し、指定役務も同一又は類似するものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号違反について
ア 引用商標が、本件商標の出願時及び登録時において、「無線LANを利用した高速インターネット接続サービス」の分野の需要者の間で、請求人の提供に係る役務の出所を表示するものとして広く認識されるに至っている状況であったことは上記したとおりであるところ、本件商標の第9類の指定商品「携帯電話,スマートフォン,無線LAN用電気通信機械器具,電気通信機械器具,無線LAN用電子応用機械器具及びその部品,無線による通信及び接続性のためのネットワークソフトウェア用電子計算機用プログラム,無線通信システム用コンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品,電子出版物」は、「無線LANを利用した高速インターネット接続サービス」と密接な関係を有するものである。
すなわち、本件商標の指定商品中、「携帯電話,スマートフォン,無線LAN用電気通信機械器具,電気通信機械器具,無線LAN用電子応用機械器具及びその部品,無線による通信及び接続性のためのネットワークソフトウェア用電子計算機用プログラム,無線通信システム用コンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェア」は、「無線通信」を使用目的とするものであって、引用商標が周知著名性を有する「無線LANを利用した高速インターネット接続サービス」と目的を共通にし、需要者を共通することも多いものである。
なお、市場では「Skype」、「KakaoTalk」、「Viber」、「LINE」のように(甲108?甲111)、インストールしさえすれば、無料で他者と通信を行うことができる接続用ソフトウェアが爆発的に普及している状況にあることから、需要者は、「接続用ソフトウェア」と、それをインストールすることによって適用を受けられる「無線通信」サービスとを一体不可分のものと認識しているものである。したがって、このような「電子計算機用プログラム」を含む概念である「電子応用機械器具及びその部品」と、「無線LANを利用した高速インターネット接続サービス」とは、その目的(用途)、需要者を共通することも多いものであって、互いに密接な関係を有するものである。
また、本件商標の第42類の指定役務は「無線通信用ソフトウェアの提供,無線通信システムにおける電子計算機用プログラムの提供,無線による通信及び接続性のためのネットワークソフトウェア用電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」であって、「無線LANを利用した高速インターネット接続サービス」と密接な関係を有するものである。
すなわち、上記指定役務中、「無線通信用ソフトウェアの提供,無線通信システムにおける電子計算機用プログラムの提供,無線による通信及び接続性のためのネットワークソフトウェア用電子計算機用プログラムの提供」は、「無線通信」を使用目的とするものであって、「無線LANを利用した高速インターネット接続サービス」と目的を共通にし、需要者を共通にすることも多いものである。
そして、請求人は、インストールすることによって通信を行う接続用ソフトウェアである「050plus」を提供しつつ、無線通信サービスを提供する役務を現実に行っていることから(甲112、甲113)、「無線通信用ソフトウェアの提供,無線通信システムにおける電子計算機用プログラムの提供,無線による通信及び接続性のためのネットワークソフトウェア用電子計算機用プログラムの提供」と、「無線LANを利用した高速インターネット接続サービス」とは、その事業者をも共通にするものである。
なお、「無線通信用ソフトウェア」は「電子計算機用プログラム」の概念に含まれるものであるから、「電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」も「無線LANを利用した高速インターネット接続サービス」とは、その目的、需要者、事業者を共通にすることも多いものである。
イ また、本件商標の構成中、前半の「パーソナル」「PERSONAL」は、上記のように「個人的」、「他の語の上に付いて、個人用の」、「小型で手軽な」等の意味を表す英語、外来語として一般に広く知られているものであるところ、本件商標の第9類の指定商品及び第42類の指定役務との関係においては、「パーソナルテレビ」、「パーソナルコンピュータ」、「パーソナル・ハンディフォン・システム(PHS)」、「パーソナル通信」、「パーソナル移動通信システム」、「パーソナルファイアウォール」のように(甲93、甲114?甲119)、「個人用」あるいは「個人対応」の商品、役務を表す用語として広く一般的に用いられているものであるから、第9類の指定商品及び第42類の指定役務との関係においては、その品質・質・用途を表すものであって、自他商品・自他役務の識別力が無いか、あるいは非常に弱いものである。
ウ よって、これらの商品・役務分野においては、引用商標の周知著名性とも相まって、本件商標の「ホットスポット」「HOTSPOT」の部分が要部として機能するものであって、本件商標からは「パーソナルホットスポット」の他に「ホットスポット」の称呼も生じるものである。
エ そうとすれば、本件商標は周知・著名な引用商標と類似するものであって、このような本件商標が、上記指定商品・指定役務に使用された場合には、需要者・取引者をして、請求人と経済的あるいは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品、役務であるかのように誤認混同を与えるおそれが高いものである。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
オ なお、「商標審査基準(発明推進協会発行)」によれば、商標法第4条第1項第15号の審査基準の1つとして、「他人の著名な商標と他の文字と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め、原則として、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して、取り扱うものとする。」と定められている(甲120)。
著名な引用商標「ホットスポット」を含む本件商標については、当該原則が適用されるべきであり、この点からも本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであることは明らかである。
(4)小括
以上述べたように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第46条の規定に基づき無効とされるべきである。

3 弁駁書における主張
(1)「ホットスポット」の識別力及び周知・著名性について
ア 被請求人は、乙第1号証ないし乙第12号証を提出し、「ホットスポット」が「無線LAN接続が可能な場所」等を意味する一般用語であると主張する(答弁書5頁14行目から17行目)。
請求人は、乙第1号証に示されているように、「ホットスポット」が、「周囲より放射能や化学物質濃度が高い部分・地域」、「リンスフェアより下にある高温部」、「紛争や感染症などの起きている危険地帯」、「無線LANのアクセスポイントが設置され、インターネット接続が可能な空間のこと」等の意味を表す言葉であることについては否定するものではない。
しかしながら、ある既存の言葉について、それが同時に特定の事業者の周知著名商標であったとしても、その全てが用語辞典に必ず掲載されるものでないことはいうまでもない。
また、商標法は、商標使用者の企業努力により商標に化体した業務上の信用を保護することによって取引秩序の維持を図り、これによって産業の発達に寄与し、需要者の利益を保護することを法目的とするものであるところ(商標法第1条)、ある言葉が商標として機能するか否かは、その時代、その事業内容、使用方法等の要因によって変化するものであって、商標の識別力は市場との関係で得られたり失われたりする相対的な概念である。
したがって、「ホットスポット」が上記語義を有する多義語であり、元々は識別力の弱い言葉であるとしても、だからといって、これが特定の事業者の商標として機能し、多大な業務上の信用を蓄積することまで否定されるものではないし、現に引用商標は、請求人の企業努力によって、請求人が提供する役務との関係で商標として機能し、多大な業務上の信用、周知・著名性を獲得しているものであることは既に立証したとおりである。
本件は、裁判例(甲121、甲122)と同じ考え方をすべき事案である。
イ そもそも、引用商標は、2002年に出願したところ、審査の過程で自他役務の識別力を否定した拒絶理由を受けることもなく、同年あるいはその翌年に登録されたものであって(甲123、甲124)、当時においては、「ホットスポット」は被請求人が指摘する意味を表す用語として一般的に用いられていたものではなかったことは明らかである。
ウ また、引用商標については、平成19年(2007年)に、東京商工会議所において周知著名性を認められ(甲89、甲90)、特許庁の審決、異議決定においても、平成18年(2006年)及び平成23年(2011年)当時における周知著名性を認められているものであるから(甲91、甲92)、その識別力の有無並びに周知著名性については議論する余地のないものである。
この点、被請求人は、東京商工会議所の証明書について、「『ホットスポット』の文字については、一般的な意味において『広く知られている』ものであるにもかかわらず、請求人の誘導により請求人独自の識別標識であるかのように誤解して作成されたものと解するほかない。」(答弁書10頁21行目?24行目)と主張している。
しかしながら、東京商工会議所における審査は、登記簿謄本、会社定款、会社案内、「使用している事実」・「周知性」といった証明に係る事項を客観的に確認できる資料(前者については、広告宣伝が掲載された印刷物、伝票類・請求書・領収書等、商標が使用されていることを明示する写真、広告業者・出版業者・印刷業者等の証明書、後者については、同業者・取引先・需要者等の証明書、取引先・代理店の証明、一般紙・業界紙・雑誌・インターネット等の記事、需要者を対象とした商標の認識度調査の結果報告書、テレビコマーシャルフィルムとテレビ局発行の放映証明等、業界団体等が発行した市場占有率を証明する資料、有価証券報告書・決算書)といった豊富で客観的な資料を基に行われるものであるから(甲125、甲126)、東京商工会議所が行っている当該証明サービスの実績も考慮すれば、なんらその客観性に疑う余地はなく、請求人の誘導などあり得ないものである。
なお、被請求人は、東京商工会議所発行の証明書について、「甲第89、90号証は、東京商工会議所発行の証明書であり、引用商標が、(a)「無線LANサービス」について継続使用され、(b)同サービスについて広く認識されていると記載されている。しかし、これらの証明書は、同サービスとは性質を異にする本件指定商品役務についてのものでない」(答弁書10頁15行目?19行目)と述べているが、このことから何をいわんとしているのかは不明である。
請求人は、まず引用商標が自己の業務に係る役務について使用され、かつ、周知著名であることを立証する目的から本証明書を提出しているのであって、本件商標の指定商品・役務分野における引用商標の使用及び周知著名性まで立証する必要性はない。
エ 引用商標が周知著名性を有する「無線LANサービス」の分野では、通信事業者のみならず様々な事業者が参入しており、需要者は、それらの事業者が販売する機器に搭載され、あるいはインターネットを介して配信等されるアプリケーションソフトを利用して、そのサービスの提供を受けているものであって、引用商標が周知著名性を有する役務と、本件商標の指定商品・役務とは密接な関連性を有するものである。そして、後述するように、引用商標が周知著名性を有する役務と、本件商標が使用されているデザリング機能とは同種のサービス・商品といってよい程の近似性を有するものであるし、請求人及びそのグループ会社は通信を中心として非常に広範囲な事業を営んでいるものであるから、本件商標の指定商品・役務に本件商標が使用されれば、需要者をして、引用商標との間で、請求人と経済的・組織的に何等かの業務に係る者の業務に係る商品・役務であるかの如くに誤認させるおそれがあり、広義の混同を生じさせるおそれが客観的に存するものである。
オ また、審決、異議決定に関して、被請求人は、「同事例は、問題となっている商標の登録時以前に「ホットスポット」の語が一般的な言葉であったことを立証するための資料が1件しか提出されなかった事案であり、引用商標の周知性の有無を総合的に判断する資料を欠いた事案であった」と主張し(答弁書11頁9行目?12行目)、「請求人が本件商標に対して申し立てた異議の決定も挙げているが、この事件は、商標権者が取消理由通知に対し応答しなかった事案であり、「ホットスポット」の普通名称的性質及び周知性の有無を客観的に判断しうる資料を欠いてなされた決定である。」と主張している(同14行目?19行目)。
しかしながら、「ホットスポット」の周知性については、これを、請求人が収集し、提出した豊富な証拠を基に認定していることは、審決における「当審の判断」及び異議決定における「引用商標の周知性について」において、請求人の提出に係る個々の証拠に言及し、認定していることからも明らかである。
カ また、被請求人は、請求人が提出した甲第46号証?甲第74号証に関して、「『ホットスポット』の文字は、ほとんど常に『NTTコミュニケーションズ』『NTTコム』等請求人を示す文字ないし、使用商標1ないし3とともに使用されている。」、「引用商標1及び2のいずれも、文章中の説明は、『NTTコミュニケーションズ』や上記使用商標1などとともに使用されており、また、特段目立つように表示されているものではないから、結局、需要者・取引者が、引用商標自体に注目し請求人の商標として記憶したとは到底認められないものであり、本件商標の登録査定時において、引用商標が請求人の商標として周知・著名であったと解することはできない。」と主張している(答弁書9頁20行目?22行目、同10頁4行目?10行目)。
しかしながら、これらはほとんど請求人のサービスを利用した企業のウェブページ、ウェブサイトであって、サービス提供者が誰であるのかを明示すべく、「NTTコミュニケーションズ」「NTTコム」、請求人のハウスマーク(答弁書における「使用商標1」)等の請求人の表示を行うことは至極当然である。また、引用商標2は目立つ態様で、説明文とは独立して表示されているものであって(甲55、甲57、甲59、甲61等)、需要者の記憶に残り易いものである(なお、引用商標2について、これを1段に表示したものについては、スペースの関係で止むを得ず1段に表示したものであるが、だからといって、引用商標2との実質的な同一性は害されてはいないものであって、当該1段の表示についても引用商標2の1つの使用態様と理解することについては何ら不自然な点はないものである。)。
さらに、各ウェブサイトにおいて行われている「ホットスポット(HOTSPOT)とは、NTTコミュニケーションズ(株)が提供する公衆エリアでの高速インターネット接続サービスの名称(商標)です。」の表示は、請求人の商標であることの周知を図ることによって、需要者が、これを単なる「無線LAN接続が可能な場所」と誤認混同することを防ぐ目的から、請求人であると、そのサービス利用者であるとを問わず実施しているものであって、請求人の企業努力の一つの現れである。これによって、引用商標が請求人の商標であると認識され、記憶されるのであって、上記被請求人の主張は失当であるといわざるを得ない。
キ なお、乙第9号証として提出されたインターネット記事においては、「ホットスポット」そのものではない「Wi-Fiホットスポット」、「ワイヤレスホットスポット」、「モバイルホットスポット」、「Wi-Fi CERTIFIED Hotspot」の表示に関する記事が大半であるが、これらと、被請求人が「無線LAN接続が可能な場所」の意味を表す一般用語であるとしている「ホットスポット」とがどのような関係にあるのかは不明であって、「ホットスポット」を一般用語とする証左とはならない。
ク また、被請求人は、「『ホットスポット』のような一般名称それ自体を、一私企業にすぎない請求人が、電気通信分野にかかる役務について商標登録を取得したことは、当時問題視され、また、その後においても多くの批判がされている」として(答弁書7頁11行目?15行目)、乙第12号証を提出している。
乙第12号証によれば、当該批判に対して、あたかも請求人が自己の考えを開陳したかのようなウェブサイトも見受けられるが、仮にこのような批判が現実にあったとしても、引用商標が識別力を有しているか否か、周知著名であるか否かは、市場における事実に基づいて客観的に判断されるべきであって、引用商標の識別力の有無、周知著名性の判断には何らの影響も及ぼすものではない。
ケ 以上述べたとおり、「ホットスポット」は「周囲より放射能や化学物質濃度が高い部分・地域」、「リンスフェアより下にある高温部」、「紛争や感染症などの起きている危険地帯」、「無線LANのアクセスポイントが設置され、インターネット接続が可能な空間のこと」等の意味を表す多義語であって、元々識別力の弱い言葉であるとしても、請求人の企業努力によって、請求人の提供する役務を表彰する商標として周知・著名性を獲得したものであって、被請求人の主張は失当である。
(2)本件商標と引用商標との類否について
ア 被請求人は、「欧文字と片仮名の2段書き商標については、特別の理由がない限り、片仮名にしたがって、そのまま称呼されると解すべきである。」と述べ、「本件商標は、『パーソナルホットスポット』の片仮名にしたがって、そのまま『パーソナルホットスポット』の称呼を生じると解するのが自然かつ合理的である。」と主張し(16頁10行目?15行目)、その根拠として異議決定、判決を引用している。
異議決定は、「いーこんび」と「E-CONVE」を上下二段に併記した商標に関して、上段の振り仮名にしたがって「イーコンビ」の称呼が生じる、と認定したもので、判決は、「GEO」と「ゲオ」を上下二段に併記した商標に関して、「ゲオ」と併記されたものである以上、「ジオ」と称呼すると考えるのは不自然であり、唯一「ゲオ」なる称呼が生じる、と認定したものである。
請求人も本件商標から、その片仮名に照応して「パーソナルホットスポット」の称呼が生じる点については争うものではない。ただ、被請求人も述べているように、本件の場合は「特別の理由」が存することから、本件商標からは、「ホットスポット」の称呼も生じると主張しているのであって、「E-CONVE」、「GEO」をどう称呼しようが、本件とは何らの関係性をも有しないものである。
イ 審判請求書においても述べたように、「パーソナル(PERSONAL)」は、本件商標の第38類の指定役務「放送,無線通信機器の貸与」との関係においては、それが「個人向けに提供されるサービス」であることを表すものであって、それ自体、自他役務の識別力が無いか、あるいは非常に弱いものであるのに対し、「ホットスポット(HOTSPOT)」は、請求人の提供に係る「無線LANを利用した高速インターネット接続サービス」あるいは「公衆無線LANサービス」を表彰する商標として周知著名性を有するものであって、自他役務の識別力の強いものである。加えて、本件商標の指定役務と、請求人の提供に係る上記役務とは密接不可分な関係にあるから、本件商標においては、「ホットスポット(HOTSPOT)」の部分が要部として機能するものであって、「ホットスポット」、あるいは「HOT」と「SPOT」を一体的に上下二段に表した構成からなる引用商標とは称呼上類似するものである。
ウ なお、被請求人は、「『パーソナル/PERSONAL』は、商標の識別上重要な語頭に位置するから、『出所識別標識としての称呼、観念が生じない』とはいえず、あえて省略される理由もない。」と主張するが(答弁書15頁13行目?16行目)、語頭に位置するからといって、必ず語頭部分から称呼が生じるわけではなく、具体的事案によって、語頭部分から称呼は生じないと判断すべき場合があることは詳述するまでもないものである。本件の場合、「パーソナル」が表す語義、引用商標の周知著名性並びに本件商標の指定役務と、引用商標が周知著名性を有する役務との密接不可分な関係性からすれば、請求人が提供する「ホットスポット」サービスのパーソナルタイプ(個人向けサービス)と誤認されることも十分に考えられるものであって、語頭の「パーソナル(PERSONAL)」の部分を商標とは見ないケースもあり得るものである。
エ 上記したように、本件商標は引用商標と類似し、その指定役務も引用商標の指定役務と同一又は類似の関係にあるものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)出所の混同を生じるおそれについて
ア 最高裁判決(レール・デユ・タン事件)は、「商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品又は指定役務(以下「指定商品等」という。)に使用したときに、当該商品等が他人の商品又は役務(以下「商品等」という)に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず当該商品等が他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ(以下「広義の混同を生ずるおそれ」という。)がある商標を含むものと解するのが相当である。けだし、同号の規定は、周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とするものであるところ、その趣旨からすれば、企業経営の多角化、同一の表示による商品化事業を通して結束する企業グループの形成、有名ブランドの成立等、企業や市場の変化に応じて、周知又は著名な商品等の表示を使用する者の正当な利益を保護するためには、広義の混同を生ずるおそれがある商標をも商標登録を受けることができないものとすべきであるからである。」と判示している(最高裁平成10年(行ヒ)第85号 甲128)。
そして、「広義の混同」に関しては、同規定の審査基準において、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標とは、その他人の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがある場合のみならず、その他人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがある場合をもいう。」とされている(甲127)。
イ この点、乙第20号証の12に記載されているように、本件商標は、スマートフォンの一つであるiPhoneが受信する携帯電話用の電波をWi-Fi無線LAN用の電波に変換し、自らが親機となりゲーム機やパソコンなどのWi-Fi機能搭載の子機にインターネット接続を提供する機能、すなわちテザリング機能について使用されているところ(なお、当該機能は、実際には、被請求人が販売する機器に組み込まれて提供されるアプリケーションソフト若しくは需要者が被請求人のインターネットサイトからダウンロードするアプリケーションソフトによって提供されるものである。)、「Wi-Fi」とは「インターネットに無線で接続する仕組み」のことをいい、「Wi-Fi」に関しては、「親機」とは「無線電波を出すための機器で、主に無線ルーターのこと」をいい、「子機」とは「パソコンやスマホなど、その電波を受け取る機器」のことをいうものである。そして、請求人が引用商標を用いて提供している公衆無線LANサービスは、まさに飲食店や公共施設等において無線LANルーターを提供するものであるから(甲第129号証)、被請求人が本件商標を用いて提供しているサービスは請求人が提供しているサービスと同種といっていいものである。
ウ そうとすれば、引用商標が周知著名であること、本件商標における「パーソナル(PERSONAL)」の部分が、第9類の指定商品及び第42類の指定役務との関係においては、自他商品・役務の識別力を有しないか、あるいは非常に弱いものであることは既に述べたとおりであるから、上記被請求人の本件商標の使用行為は、引用商標との間で、広義の混同を生ずるおそれの非常に高いものである。
エ なお、本件商標の指定商品・役務と、本件商標が周知著名性を有している「公衆無線LANサービス」とが密接な関係にあることは審判請求書において詳述したとおりであるが、請求人であるNTTコミュニケーションズ株式会社は、資本金2,117億円、従業員6,850人の大企業であるところ、電気通信事業を中心にネットワークの提供サービス、アプリケーション・コンテンツの提供サービス、データセンターサービス、ホスティングサービスその他を事業内容としており、以下のグループ会社を有するものである(甲130?甲142)。
(ア)エヌ・ティ・ティ国際通信株式会社
(事業内容)国内外のデータセンターの企画・構築・運用、国内の通信ビルの設備構築・保守・運用等
(イ)NTTコムオンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
(事業内容)マーケティングリサーチ、ビッグデータの解析、ソフトウェアの開発・配信・販売・賃貸、ハードウェア・ソフトウェアの企画・設計・開発・制作・運用・保守等
(ウ)NTTコムソリューション&エンジニアリング株式会社
(事業内容)システムソリューション事業、ネットワークソリューション事業等
(エ)エヌ・ティ・ティ・コムチェオ株式会社
(事業内容)コールセンターの運営、ソーシャルマーケティングの支援、インターネット検定の運営等
(オ)NTTコムテクノロジー株式会社
(事業内容)ネットワークインテグレーション、音声系システムエンジニアリング、サーバ系システムエンジニアリング、セキュリティソリューション、上記のコンサルティング
(カ)NTTコムマーケティング株式会社
(事業内容)IPサービス業務、フリーダイヤル、ナビダイヤル、IP電話等の販売支援等
(キ)NTTスマートトレード株式会社
(事業内容)電子マネー、クレジットカード、コンビニエンスストア等における決済サービス
(ク)株式会社エヌ・ティ・ティ ピー・シーコミュニケーションズ
(事業内容)グラウドサービス、インターネット接続サービス、ホスティングサービス等
(ケ)エヌ・ティ・ティ・ビズリング株式会社
(事業内容)データセンタサービス、テレビ会議サービス
(コ)エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社
(事業内容)ポータルサイト「goo」の運営、インターネット広告の作成、検索エンジンの開発、オンラインストアの運営等
(サ)エヌ・ティ・ティ・ワールドエンジニアリングマリン株式会社
(事業内容)通信ケーブル・電力ケーブル・地方自治体公共ネットワーク・環境調査・海洋深層水等の新たな海洋インフラの構築に関するコンサルティング・海洋調査・敷設工事等
(シ)株式会社クロスリスティング
(事業内容)情報提供サービス

オ 上記したように、請求人及びそのグループ会社が行っている事業は多岐にわたるものであって、この点からも、本件商標がその指定商品・役務に使用された場合には、請求人と経済的・組織的に何等かの関係を有する者の業務に係る商品・役務であるかの如くに誤認させるおそれがあるものであって、引用商標との間で広義の混同を生じるおそれを客観的に有するものである。
カ 以上述べたように、本件商標は引用商標との間で出所の混同を生じるおそれがあるものであって、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(4)小括
以上述べたことから明らかなように、本件登録商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条の規定に基づき、その登録は無効とされるべきものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第20号証(枝番を含む。)を提出した。
1 被請求人の反論の要旨
本件商標は、片仮名「パーソナルホットスポット」及び欧文字「PERSONAL HOTSPOT」を二段に配した構成であり、その構成全体が一体不可分に認識される造語である。
「ホットスポット」の語は、本件商標の登録査定時、わが国において、「無線LAN接続が可能な場所」等を意味する一般的な言葉として広く知られていた。
また、引用商標は、本件商標の登録査定時において、本件商標の指定商品及び指定役務(以下「本件指定商品役務」という。)の需要者・取引者の間で、周知・著名であったとはいえない。
したがって、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であり、また、総合的にみて、本件商標と引用商標間に出所混同のおそれは全くないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当しない。

2 請求人の主張に対する反論
(1)「ホットスポット\HOTSPOT」の語の意味
ア 本件商標に含まれる「ホットスポット」「HOTSPOT」の語は、わが国の権威ある辞書、用語辞典並びにインターネット英和事典及び用語辞典等において、以下の(ア)ないし(カ)のとおり定義ないし説明されている。
(ア)広辞苑第六版(2008年1月11日発行 乙1):
「無線LANアクセスポイントが設置され、インターネット接続が可能な空間のこと。」(なお、請求人の登録商標についての記載はない)
(イ)goo辞書・国語辞書(提供元は「デジタル大辞泉」 乙2):
「無線LANに接続してインターネットを利用できるサービス。また、それを提供する場所。主に大都市圏の駅、ホテル、喫茶店、ファーストフード店などに設置されている。ホットスポットサービス。無線LANホットスポット。」
(ウ)goo辞書・IT用語辞典(出典は「IT用語辞典(NTTコミュニケーションズ)」 乙3):
「公衆のエリアで無線LANサービスが提供されている場所のこと。主に喫茶店やレストラン、空港、駅、ホテルなどでサービスが提供されており、その場所では無線ネットワーク対応のLANカードなどを搭載したモバイルマシンからインターネットに接続することができる。」
(エ)ネットワーク用語集(乙4):
「無線LAN、Bluetooth、赤外線などのアクセスポイントを設置して、特定の小さな範囲でワイヤレスの高速インターネット接続サービスを行う場所をいう。一般にホテルやレストラン、カフェなどといった、人の集まる場所に設置されることが多い。」
(オ)初心者のためのパソコン用語辞典(乙5):
「無線LANやBluetoothなどのアクセスポイントを設置し、無線でのインターネット接続サービスを不特定多数の利用者に提供している空間のこと。」
(カ)英辞郎 on the WEB(乙6):
「インターネットに接続できる無線LANアクセスポイント」
以上のとおり、「ホットスポット(hotspot)」は、コンピュータ及びコンピュータネットワークの分野に限らず、一般的にも、「無線LAN接続が可能な場所」や「無線LAN接続サービス」等を意味する一般用語である。
本件商標の登録査定時(平成23年7月28日)において、「ホットスポット」の語が、請求人の出所とは無関係の一般的名称であったことは、上記のとおり、2008年発行の「広辞苑第六版」及び上記多数の辞書等に記載されていることから明らかである。
イ さらに、以下に示すとおり、実際にも、「ホットスポット(hotspot)」の語は、引用商標の出願時及び登録時(平成14年?15年)以前から、現在に至るまで、全国紙を含む新聞、雑誌、インターネット記事等で、一般的に使用されてきた。
新聞について(2001?2012年のもの):乙第7号証の1ないし51
雑誌について(2010?2011年のもの):乙第8号証の1ないし4
インターネット記事について(2010?2011年のもの):乙第9号証の1ないし35
ウ 加えて、ホットスポット(無線LAN接続が可能な場所)の情報を提供するインターネットウェブサイトとして「東京ホットスポット情報館」(乙10の1)があり、「ホットスポット」は、「ホットスポット(HOTSPOT)とは、カフェやファーストフード、ホテルのロビーや駅、屋外(商店街や公園)など、自宅や会社同様、街中でもブロードバンド環境でインターネットが利用できるよう、無線LANアクセスポイントを設置した場所のことを指す。」とされており(乙10の2)、同ウェブサイトより、「BBモバイルポイント」「フレッツ・スポット」などの事業者が提供する「ホットスポット」を検索することができる。さらに、ホットスポットの検索ウェブサイト「RBB TODAY 無線スポット(ホットスポット)検索」も存在し(乙11の1)、例えば新宿駅周辺で検索すると、「docomo Wi-Fi」「フレッツ・スポット」「BBモバイルポイント」「FREESPOT」など、複数の企業の「ホットスポット」が検出される(乙11の2)。
これら「東京ホットスポット情報館」及び「RBB TODAY 無線スポット(ホットスポット)検索」は、2006年9月10日付け新聞記事(乙7の48)で紹介されており、現在まで存続しているから、本件商標の登録査定時(平成23年7月28日)において、「ホットスポット」の語が、「無線LANが接続可能な場所」や、複数の事業者が提供する「無線LAN接続サービス」の総称として使用されていたことは疑う余地がない。
エ 以上の事実から、「ホットスポット」「HOTSPOT」は、引用商標の出願時及び登録時、また少なくとも本件商標の登録査定時において、「無線LAN接続可能な場所」「無線LAN接続サービス」等を意味する一般的・総称的言葉であり、現にそのような意味で使用され、理解されていたことは明らかである。
オ なお、上記のとおり「ホットスポット」は、引用商標の登録時において、すでに一般的な名称であったにもかかわらず、第38類の役務「電子計算機端末による通信ネットワークヘの接続の提供」等について、請求人「エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ」の名義で商標登録された(引用商標1)のであるが、「ホットスポット」のような一般的名称それ自体を、一私企業にすぎない請求人が、電気通信分野に係る役務について商標登録を取得したことは、当時問題視され、また、その後においても多くの批判がされている(乙12の1?9)。これについて、請求人は、「一般的に無線LANでインターネットにアクセスする場所を『ホットスポット』と呼ぶことについて制限を加えるものではない」と述べ、「ホットスポット」の語の公共性・独占不適応性を認めている(乙12の9)。
(2)「ホットスポット」の請求人商標としての非周知・著名性
ア 請求人は、引用商標について、「無線LANを利用した高速インターネット接続サービス」について長年使用した結果、周知・著名となっていると主張し、その証拠として甲第7号証ないし甲第92号証を提出している。
そこで、請求人が提出した上記証拠を以下に検討する。
(ア)甲第7号証ないし甲第45号証は新聞記事、雑誌記事等であり「ホットスポット」の語が記事中で用いられている。
A 甲第7号証ないし甲第19号証、甲第21号証及び甲第22号証は、新聞記事であるが、その掲載回数は、2002年から2005年にかけてもわずかに15回であり、そのほとんどが一般の読者が購読するものではない工業新聞、産業新聞であり、甲第10号証ないし甲第12号証においては、「ホットスポット」の文字は用いられてさえいない。
B 上記甲第7号証ないし甲第45号証においては、ほとんど常に「NTTコミュニケーションズ」「NTTコム」「NTTCom」など請求人を示す言葉とともに用いられているうえ、例えば甲第7号証において「無線LAN(機内情報通信網)を使って外出先からインターネットに高速接続するサービス『ホットスポット』を始める。」、甲第28号証において「コムはSOMA以外にも無線LAN技術を使った『ホットスポット』サービスも提供している。」、甲第30号証において「無線LANを使う公衆エリアでのインターネット接続サービス(無線LANインターネット)『ホットスポット』」、甲第44号証において「主要駅など全国約4000ヵ所のNTTコミュニケーションズの公衆無線LAN『ホットスポット』」などと記述されるなど、「ホットスポット」の語が、一般的用語として用いられているのか、請求人のサービス名称として用いられているのか、明瞭な区別はされておらず、読者にはわからない。
C 現に、請求人が提出する証拠のうち、例えば甲第9号証、甲第13号証、甲第16号証、甲第26号証、甲第29号証、甲第30号証、甲第32号証(該当箇所に赤線を引いたものとして乙13?乙19)においては、例えば、請求人の役務とは無関係に「ホットスポットと呼ぶ基地局(接続ポイント)を設置。」と記述され、同じ文脈において、請求人以外の企業(モバイルインターネットサービス)のサービス展開にも触れられていたり(甲9 該当箇所に赤線を引いたものとして乙13)、請求人以外の企業のサービスも含め「ホットスポットが急増中」「主なホットスポット・サービス」(甲29 該当箇所に赤線を引いたものとして乙17)、「全国のホットスポットはここで探せる」「特派員がホットスポットの使い心地をリポート」「エリア別ホットスポット情報を掲載、掲示板も」「多くのホットスポット(無線LANサービス)では」(甲32 該当箇所に赤線を引いたものとして乙19)と表示されるなど、明らかに「ホットスポット」の語は、一般的意味で用いられている。
D 甲各号証には雑誌が含まれるが、それらの発行場所、発行部数等は不明であり、甲第31号証にあっては、請求人グループの機関誌にすぎないと思われる。
E 甲第33号証、甲第34号証、甲第36号証、甲第37号証、甲第40号証、甲第41号証、甲第45号証においては、競合他社との比較のために、「サービス名称」を他社のものと並べざるを得ないが故に「ホットスポット」と表示されているのであり、結局、常に「NTTコミュニケーションズ」等の請求人の表示も併記されており、「請求人のサービス名称として表示」との前提情報を与えたうえで読者に読ませるものであるから、単独の「ホットスポット」(引用商標1)の語それ自体の周知性の根拠とはなり得ない。
F なお、甲第7号証ないし甲第45号証に引用商標2はほとんど表示されておらず、引用商標2の周知性の根拠とはならないことは明白である。
(イ)甲第46号証ないし甲第74号証は、請求人又は請求人サービスを利用した企業のニュースリリースウェブページ又はウェブサイトである。
A 「ホットスポット」の文字は、ほとんど常に「NTTコミュニケーションズ」「NTTコム」等請求人を示す文字ないし、マークとともに使用されている。
B これらのウェブページ及びウェブサイトにおける「ホットスポット」の語は、やはり、一般的用語として用いられているとも理解され得る使用態様であり、そもそも、そのアクセス数が不明である。
C 引用商標1及び2のいずれも、文章中の説明は、「NTTコミュニケーションズ」などとともに使用されており、また、特段目立つように表示されているものではないから、結局、需要者・取引者が、引用商標自体に注目し請求人の商標として記憶したとは到底認められないものであり、本件商標の登録査定時において、引用商標が請求人の商標として周知・著名であったと解することはできない。
(ウ)甲第75号証ないし甲第81号証、甲第83号証ないし甲第87号証は、請求人サービスの広告宣伝物であるが、引用商標1「ホットスポット」の文字自体は目立たず、また、その発行場所、期間、発行部数等は全く不明である。
(エ)甲第89号証及び甲第90号証は、東京商工会議所発行の証明書であり、引用商標が、(a)「無線LANサービス」について継続使用され、(b)同サービスについて広く認識されていると記載されている。
しかし、これらの証明書は、同サービスとは性質を異にする本件指定商品役務についてのものでないうえ、使用実績と周知性を客観的に証明するものでもなく、特に上記の「ホットスポット」の一般的意味(無線LAN接続可能な場所)、請求人の使用態様からすれば、「ホットスポット」の文字については、一般的な意味において「広く知られている」ものであるにもかかわらず、請求人の誘導により請求人独自の識別標識であるかのように誤解して作成されたものと解するほかない。
なお、上記のとおり、請求人の証拠によれば、請求人は、無線LANサービスの広告の際、「NTTコミュニケーションズ」や「NTTCommunications」のロゴを合わせて表示しており、また、図案化された「HOTSPOT」については、二段に書した引用商標2だけでなく、一段に表した商標も用いており、このような使用状況下で引用商標自体の周知性を証明した上記証明書は到底措信できるものではない。
(オ)請求人は、引用商標の周知性を認定した事例として無効2007-890077審決を挙げている(甲91)。
しかしながら、同事例は、問題となっている商標の登録時以前に「ホットスポット」の語が一般的な言葉であったことを立証するための資料が1件しか提出されなかった事案であり、引用商標の周知性の有無を総合的に判断する資料を欠いた事案であったうえ、本件商標とは登録性の判断時期が大きく異なる。
(カ)また、請求人は、請求人が本件商標に対して申し立てた異議の決定(甲92 異議2011-900403)も挙げているが、この事件は、商標権者(本件無効審判被請求人)が取消理由通知に対し応答しなかった事案であり、「ホットスポット」の語の一般的な意味に係る資料は一切提出されておらず、やはり「ホットスポット」の普通名称的性質及び周知性の有無を客観的に判断しうる資料を欠いてなされた決定である。
なにより、同異議事件は、本件商標の全指定商品及び指定役務を対象に申し立てられたにもかかわらず、かつ被申立人が答弁しなかったにもかかわらず、本件指定商品役務については、その登録が維持されたものであり、むしろ、本件指定商品役務の取引者・需要者において、引用商標が周知性を有さないこと、及び、本件商標に無効理由が存在しないことをそれぞれ認定したものである。
イ 以上検討したとおり、引用商標、特に「ホットスポット」の語(引用商標1)は、それ自体では自他商品役務識別力を有さず、請求人を示す他の表示と組み合わせた場合などの付加情報があって初めて、請求人が想起される場合があるというにすぎない。
したがって、少なくとも、本件指定商品役務については、引用商標が、請求人の表示として強い出所表示機能が備わっているとは到底認められない。
以上のとおり、引用商標が、本件商標の登録査定時において、本件指定商品役務の取引者・需要者の間で、請求人の出所を示すものとして周知・著名であったとの請求人の主張は根拠がない。
(3)無効理由非該当性
ア 商標法第4条第1項第11号
(ア)商標の類否判断に係る最高裁判例
商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきもであって、その商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする(最高裁昭和39年(行ツ)第110号・昭和43年2月27日判決・民集22巻2号399頁参照)。
そして、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについては、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者・需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないと解されている(最高裁平成19年(行ヒ)第223号・平成20年9月8日判決・判例時報2021号92頁参照)。
(イ)上記最高裁判例に従い、本件商標と引用商標との類否を検討する。
A 外観
本件商標は、一連に表示された片仮名「パーソナルホットスポット」と欧文字「PERSONAL HOTSPOT」を二段に横書きした構成からなる。
これに対し、引用商標1は「ホットスポット」を標準文字で表してなり、引用商標2は欧文字「HOT」及び「SPOT」を二段で書し、全体として図案化された構成からなる。
上記各構成から本件商標と引用商標が外観上類似しないことは、明白である。
B 観念
本件商標「パーソナルホットスポット\PERSONAL HOTSPOT」は、辞書等に掲載されている既成語ではなく、本件指定商品役務の分野において一般的に使用されている言葉でもない。つまり、本件商標は特定の意味を有しない造語である。
なお、その構成中、「パーソナル\PERSONAL」は「個人の、個人的な、私的な」等の意味を、「ホットスポット\HOTSPOT」は、「無線LANが接続可能な場所」の他に「周囲より放射能や化学物質濃度が高い部分・地域」等も意味する(乙1 広辞苑第六版)言葉であることから、本件商標からは「私的な無線LANアクセスポイント」「個人の周囲より放射能や化学物質濃度が高い部分・地域」等の観念が生じるといえるが、いずれにせよ、その具体的な意味は不明である。
これに対し、引用商標からは、その構成文字に応じて、上記のとおり「無線LAN接続可能な場所」「周囲より放射能や化学物質濃度が高い部分・地域」等の観念が生じる。
したがって、本件商標と引用商標とが、観念上の混同を生じないことは明らかである。
C 称呼
本件商標は、その構成全体から「パーソナルホットスポット」の称呼が生じることは疑いがない。
これに対し、引用商標は、その構成文字に応じて、「ホットスポット」の称呼が生じる。
したがって、本件商標と引用商標は、称呼においても明瞭に区別できる非類似の商標である。
D 以上のとおり、本件商標と引用商標は、外観、観念及び称呼のいずれにおいても出所の混同を生じるおそれのない非類似の商標である。
E 請求人の主張について
(a)請求人は、「パーソナル\PERSONAL」の文字部分は、「個人向けのサービス」「個人が提供するサービス」という役務の質を表す語として一般的に用いられているものであって、本件商標の指定役務第38類「放送,無線通信機器の貸与」との関係では識別力が弱いか、あるいは非常に弱いものであり(審判請求書第7頁4?7行目)、また、引用商標が周知著名性を有する「無線通信」の分野と上記役務とが密接不可分の状態にあり(同第7頁下から3行目)、需要者を共通にする(同第8頁1行目)するから、本件商標の要部が「ホットスポット\HOTSPOT」の文字部分にあり、本件商標と引用商標とは、共に「ホットスポット」の称呼を生じ、称呼上類似すると主張する(審判請求書第8頁6?7、13?14行目等)。
しかしながら、本件商標の構成は、「パーソナルホットスポット」「PERSONAL HOTSPOT」を、それぞれ同一の書体、同一の大きさで一連に書した構成であり、特段「ホットスポット\HOTSPOT」の文字部分を強調したものではない。また、これより生じる称呼「パーソナルホットスポット」も決して冗長ではなく、商標として適切な長さのもので、一気一連に称呼できる。
上記のとおり、本件商標は、漠然とではあるもののまとまりある観念を生じる造語である。「パーソナル\PERSONAL」は、「ホットスポット\HOTSPOT」を形容する言葉であり、本件商標は、その観念も相まって、全体として結合性が高い不可分の造語と理解されるものであり、さらに、「パーソナル\PERSONAL」は、商標の識別の上で重要な語頭に位置するから、上記判例の判示するところの「出所識別標識としての称呼、観念が生じない」とはいえず、あえて省略される理由もない。
また、審決・判例は、一般的に欧文字と片仮名を併記した構成の商標において、その片仮名部分が欧文字部分の称呼を特定すべき役割を果たすものとして無理なく認識し得るときは、片仮名部分より生じる称呼が、その商標より生じる自然の称呼とみるべきであると解してきた。
例えば、異議2002-90147(平成14年10月18日決定)、東京地裁 平成7年(ワ)第11819号(平成10年10月29日・判時1669号136頁)。
しかして、本件商標は、上記のとおりの構成であるから、「パーソナルホットスポット」の片仮名にしたがって、そのまま「パーソナルホットスポット」の称呼を生じると解するのが自然かつ合理的である。
さらに、「ホットスポット」の言葉及び称呼は、上記の一般的な意味(無線LAN接続可能な場所)で理解されており、本件指定商品役務の需要者・取引者の間で、請求人の商標として周知著名であるとは認められないし、まして、本件指定商品役務の分野において、本件商標のように他の言葉と結合して一体不可分の造語を形成した場合に、その部分のみが注目されることはないというべきである。
つまり、本件商標「パーソナルホットスポット\PERSONAL HOTSPOT」は、全体で一体不可分の商標であり、「ホットスポット\HOTSPOT」の文字部分のみが分離されて、請求人の出所表示として認識されることはあり得ない。
(b)また、請求人は、「hotspot」の文字を含む商標に対する無効審判請求が認容された例を挙げるが(甲91)、同審判事件においては、「hotspot」の意義についての立証が不十分であったことに加え、同事件に係る商標は「hotspot」の文字が独立して看取できる構成であったこと、その指定役務は第38類「インターネットヘの接続の提供,その他の電気通信(放送を除く。)」のみであって、本件指定商品役務とは異なること等、この審決の事例は、本件とは全く事案を異にするものであり、先例とはなり得ない。
(c)また、請求人は、商標「パーソナル」が商標法第3条第1項第3号を理由に拒絶査定となった例を挙げるが(甲103?甲105)、本件商標は、上記のとおり一体不可分の造語である「パーソナルホットスポット\PERSONAL HOTSPOT」であり、上記事例とは商標の構成が著しく相違し、これも明らかに事案を異にするものである。
(d)すなわち、請求人の主張は、本件商標と引用商標との類否判断に妥当するものではなく、本件指定商品役務に関し、本件商標の構成中、「ホットスポット\HOTSPOT」の文字部分が取引者・需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることはなく、また、「パーソナル\PERSONAL」の文字部分が、出所識別標識としての称呼、観念が生じないとはいえないから、本件指定商品役務について、「ホットスポット\HOTSPOT」のみを要部として引用商標との類否を判断すべき理由は全くない。
したがって、本件商標より「ホットスポット」の称呼が生じ引用商標と称呼上類似するとの請求人の主張は明らかに失当である。
F 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は、外観・観念・称呼のいずれにおいても明らかに異なる非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号には該当しない。
イ 商標法第4条第1項第15号
「出所の混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知・著名性及び独創性の程度や当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号・平成12年7月11日判決・民集54巻6号1848頁)。
上述のとおり、本件商標「パーソナルホットスポット\PERSONAL HOTSPOT」は、本件指定商品役務について使用するとき、全体が一体不可分の一個の独立した商標として認識されるものであり、その構成中の「ホットスポット\HOTSPOT」の文字部分のみが分離して認識されることはあり得ない。
また、本件商標は、外観・称呼・観念のいずれにおいても引用商標とは非類似の商標である。
加えて、引用商標に係る「ホットスポット」「HOTSPOT」の文字ないし称呼は、既に普通名称となっているものであり、本件指定商品役務の取引者・需要者において、請求人の商標としては認識されず、まして識別標識として周知・著名とは到底いえない。
さらに、被請求人の製品に係る「パーソナルホットスポット」機能が、わが国各種メディアによって報道された際に(乙20の1?14)、請求人の業務との混同を示唆ないし指摘するものは皆無であった。
したがって、本件指定商品役務の取引者及び需要者が、本件商標が付された商品・役務が、請求人又は請求人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、その商品・役務の出所について混同を生じるおそれはない。
以上を総合的、全体的に考察すれば、本件商標と引用商標は極めて明確に区別でき、混同のおそれは全くない。すなわち、本願商標は、上記判例の観点からも、出所の混同が生じるおそれは全くない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号には該当しない。

3 結語
以上詳述したとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当しない。

第5 当審の判断
請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたと主張しているので、以下、検討する。
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
ア 本件商標は、上記第1のとおり、「パーソナルホットスポット」の片仮名と「PERSONAL HOTSPOT」の欧文字を二段に横書きしてなるものである。
イ 「パーソナル」及び「PERSONAL」の文字について
「パーソナル」の外来語及び「PERSONAL」の英語は、「個人的。個人用の。」等の意味を表す語として、日常普通に使用されているといえるものである(例えば、本件商標の登録査定前である、2008年(平成20年)1月発行の「広辞苑第六版」には、「パーソナル」の語について、「個人的。個人用。一身上。」とあり、1998年発行の「研究社 新英和大辞典」には、「personal」の語について、「一個人の、自分の」などの記載がある。)。
そして、請求人が提出した、甲各号証(本件商標の登録査定前の内容・事情が示されているもの)によれば、本件商標構成中の「パーソナル」の文字は、個人向け、個人用のものであることを意味するものとして、その指定商品を取り扱う分野において、「パーソナルコンピュータ」のように使用され(甲115)、また、本件商標の指定役務を取り扱う分野において、「パーソナルレンタル」(甲98)、「パーソナル通信サービス」(甲117)、「パーソナル移動通信システム」(甲118)などのように使用されていることが認められるものである。加えて、本件商標の指定役務中の「放送」の分野においては、「個人向けの放送サービス」、「個人放送サービス」が存在し(甲94、甲95)、「個人放送局」という内容の事業についての記述がされ(甲96)、自分用の仕様にした放送のことを「パーソナル放送局」と称している例も認められる(甲97)。
ウ 「ホットスポット」及び「HOTSPOT」の文字について
「ホットスポット」及び「HOTSPOT」の文字は、「無線LAN接続可能な場所」、「周囲より放射能や化学物質濃度が高い部分・地域」の意味を有する語(広辞苑第六版(乙1))である。
エ 小活
上記イからすると、本件商標構成中の「パーソナル」、「PERSONAL」の文字は、本件商標の指定商品・役務との関係では、「個人向け、個人用」の商品・役務であることを表す、商品の品質・用途、役務の質・提供の用に供する物・用途を表示する語であって、自他商品・役務の識別機能を果たし得ないか、それが極めて弱いものというのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成中の「ホットスポット」、「HOTSPOT」の文字部分をもって取引に資されることは決して少なくないというのが相当である。
そして、上記ウからすると、本件商標は、その構成中の「ホットスポット」及び「HOTSPOT」の文字部分から「ホットスポット」の称呼及び「無線LAN接続可能な場所」、「周囲より放射能や化学物質濃度が高い部分・地域。」の観念を生じるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、上記第2のとおり、「ホットスポット」の片仮名(引用商標1)又は「HOTSPOT」の欧文字及び図形からなる(引用商標2)ところ、その構成態様に相応して、「ホットスポット」の称呼を生じ、上記(1)ウのとおり、「無線LAN接続可能な場所」、「周囲より放射能や化学物質濃度が高い部分・地域。」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標は、「ホットスポット」の称呼及び「無線LAN接続可能な場所」、「周囲より放射能や化学物質濃度が高い部分・地域。」の観念を共通にするものであるから、称呼及び観念において相紛れるおそれがある。
また、外観においては、本件商標と引用商標の全体の外観は相違するものの、本件商標の要部といえる「ホットスポット」及び「HOTSPOT」の文字部分と引用商標の文字部分は、「ホットスポット」又は「HOTSPOT」の文字を共通にし、本件商標と引用商標は、近似した印象を与えるものであるから、相紛れるおそれがある。
そうすると、本件商標と引用商標は、称呼、観念及び外観のいずれにおいても相紛らわしい類似する商標である。
(4)本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定役務との類否について
ア 本件商標の指定役務中、第38類の「放送」は、引用商標の指定役務中「テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,テレビジョン放送・有線テレビジョン放送・ラジオ放送に関する情報の提供」と同一又は類似するものである。
イ 本件商標の指定役務中、第38類の「無線通信機械器具の貸与」は、引用商標の指定役務中「電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与に関する情報の提供」と同一又は類似するものである。
ウ 本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類の指定商品及び第42類の指定役務は、引用商標の指定役務とは類似するものではない。
(5)小括
上記(1)ないし(4)のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標であって、その指定商品及び指定役務中、第38類の「放送,無線通信機械器具の貸与」については、引用商標の指定役務と同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
しかしながら、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第9類の指定商品及び第42類の指定役務については、引用商標の指定役務と類似するものではないから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第15号該当性について
請求人は、引用商標は、請求人の業務に係る役務「無線LANを利用した高速インターネット接続サービス」(以下「本件請求人役務」という。)に永年使用し、周知著名となっていると主張しているところ、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類の指定商品及び第42類の指定役務に関し、本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について、以下、検討する。
(1)引用商標の周知著名性について
ア 事実認定
(ア)請求人が提出した甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
A 請求人は、2002年(平成14年)5月15日から、本件請求人役務の提供を開始し(甲7、甲8、甲10?甲13、甲25)、当該役務について、「ホットスポット」の名称により、その提供を開始したこと(甲7?甲9、甲13、甲25)。
B 本件請求人役務は、無線LANにより、駅や喫茶店、ホテル、図書館などに無線基地局を設置してインターネットへの接続を提供するものであること(甲14?甲19)。
C 請求人は、当初、ファストフード店、ホテル、家電量販店等の都内約200カ所に小型の無線基地局を設置して該サービスを提供し(甲7、甲9及び甲12)、これが2005年には全国で約3000カ所(甲58?甲61)に、2011年には4000カ所(甲44)に増加したこと。
D 請求人が提供する本件請求人役務は、2002年4月ないし2011年4月に「ホットスポット」の文字とともに、各種新聞記事(甲7?甲9、甲13?甲23)、各種雑誌記事等(甲24?甲28、甲30?甲32、甲36、甲38?甲40、甲42?甲44)において、取り上げられていること。
E 請求人及び関連プロバイダーは、本件請求人役務について、2002年10月ないし2010年4月にウェブサイトにおいて、「ホットスポット」の文字をもって本件請求人役務の紹介ないし宣伝を行ってきたこと(甲46?甲54、甲56?甲66、甲73。なお、甲67?甲72及び甲74は、その掲載日が本件商標の登録出願前ないし登録査定前のものであることを確認できない(甲68?甲72及び甲74には、下段に本件商標の登録査定後である「2011/12/01」との日付が表示されている。))。
F 請求人が提供する本件請求人役務が、2003年1月ないし2007年1月に請求人のパンフレット、チラシなどにより、「ホットスポット」の文字をもって広告宣伝されていること(甲77?甲81。なお、甲75及び甲76は、その掲載日が本件商標の登録出願前ないし登録査定前のものであることを確認できない。)。また、甲第77号証ないし甲第81号証のパンフレット、チラシなどが、それぞれ、どの範囲に、どの程度の期間において、どの程度の枚数が配布されたのかは確認できない。
G 請求人が提供する本件請求人役務が、2009年12月ないし2010年2月に週刊誌、雑誌等において、「ホットスポット」の文字をもって広告宣伝されていること(甲83?甲86)。
H 請求人が提供する本件請求人役務が、2009年4月ないし2010年3月に請求人提供に係るインターネット上の広告において、「ホットスポット」の文字をもって広告宣伝されていること(甲87)。
I 請求人が提供する本件請求人役務が、2002年12月ないし2010年3月に「HOTSPOT」の文字(社会通念上同一といえるものを含む。)をもって、雑誌、ウェブサイト等で取り上げられ、ないし宣伝されていること(甲29、甲33、甲34、甲37、甲41、甲53、甲54、甲65、甲81、甲83?甲87)。
J 請求人が提供する本件請求人役務が、2002年10月ないし2010年3月に引用商標2(社会通念上同一といえるものを含む。)をもって、雑誌、ウェブサイト等で取り上げられ、ないし宣伝されていること(甲32、甲47、甲48、甲57、甲59、甲61、甲63、甲64、甲66、甲77?甲81、甲87)。
K 「ホットスポット」の文字は、2002年11月ないし2007年12月に雑誌、ウェブサイト等において、無線LANによるインターネット接続サービスについての請求人の登録商標であることが唱われていること(甲35、甲48、甲49、甲51、甲58、甲59、甲63?甲66)。
L 引用商標が「無線LANサービス」について継続して使用された結果、利用者の間において請求人の業務に係る役務を表すものとして広く認識されていることが、東京商工会議所会頭により証明されていること(甲89、甲90)。
(イ)被請求人が提出した乙各号証(枝番を含む。)によれば、以下の事実が認められる。
A 「ホットスポット」の文字には、「無線LANのアクセス・ポイントが設置され、インターネット接続が可能な空間のこと。」の意味があり、これが本件商標の登録出願前である2008年(平成20年)1月11日に出版された広辞苑第六版に掲載されていること(乙1)(なお、「ホットスポット」の意味を示した乙第2号証ないし乙第6号証は、掲載日が不明であり、本件商標の登録出願前ないし登録査定前に表示されていたか否かが確認できない。)。
B 「ホットスポット」の文字について、「無線LANが使用できる設備(環境)が整った場所(アクセスポイント)である」旨を意味するものとして、本件商標の登録出願前ないし登録査定前である2001年8月11日ないし2012年3月17日の間に発行された新聞に掲載されていること(乙7の1ないし51)。
C 「ホットスポット」の文字について、「外出先でインターネットに接続して無線LANが使用できる設備、ないし、その設備が整った場所である」旨を意味するものであることが、本件商標の登録出願前に発行された雑誌に掲載されていること(乙8の1ないし4)。
D 「ホットスポット」の文字が、無線LANの機能、同通信設備、同規格などに関連する用語として、本件商標の登録出願前ないし本件商標の登録査定前のインターネットニュースサイト中に使用されていること(乙9の1?22、乙9の29?35(なお、乙9の23?28は、本件商標の登録査定後のものである。))。
E 「ホットスポット情報サイト」として、「神奈川ホットスポット情報館」との情報サイトがあり(乙10の1)、「ホットスポットって何?」として、「ホットスポット(HOTSPOT)とは、カフェやファーストフード、ホテルのロビーや駅、屋外(商店街や公園)など、自宅や会社同様、街中でもブロードバンド環境でインターネットが利用できるよう、無線LANアクセスポイントを設置した場所のことを指す。」との説明がされた、本件商標の登録出願前のものと推認できるウェブサイトがあること(乙10の2)。なお、乙第11号証(枝番を含む。)は、本件商標の登録出願前ないし登録査定前のものであることが確認できない。
F 「ホットスポット」の文字が商標登録されたことに関して、インターネット上において、以下の(a)ないし(f)のような個人の意見が寄せられていること。
(a)「『ホットスポット』は従来から普通名称的に用いられていたため、一企業が商標登録することに批判が集まった」(乙12の1、2002年)
(b)「“ホットスポット”は,いわゆる無線LANによるインターネット接続サービスを提供する場を指す用語だが,これをNTTコミュニケーションズが商標登録した。」(乙12の2、2002年4月)
(c)「『ホットスポット』という言葉自体をNコミが作り出したわけでもないのにこうした商標登録は絶対におかしい。」(乙12の4、2005年6月)
(d)「駅や飲食店など公共性の高い場所で無線LANが利用できる『ホットスポット』。今話題のこの言葉が、実はすでに商標として登録されていることをご存じだろうか。」(乙12の5、2005年5月)
(e)「NTT Communicationsは無線LANサービスの『ホットスポット』を商標登録しています。これは普通名称を商標登録にしてしまったもので、困りものです。」(乙12の6、2007年11月)
(f)「【ホットスポット】なんて普通に外来語だと思っていましたよ。」(乙12の7、2005年11月)
G 乙第13号証(2002年5月23日)は、甲第9号証の新聞記事の写しであるところ、ここには、請求人に関する記事のほかに、「・・・通信インフラを、市街地にあるファストフード店やホテルなどの施設に引き込み、ホットスポットと呼ぶ基地局(接続ポイント)を設置」との記事が掲載されていること。
H 乙第14号証(2002年7月19日)は、甲第13号証の新聞記事の写しであるところ、ここには、請求人に関する記事の後に、「米では『ホットスポット』は無線LANが使える公共スペースを指す言葉だが、NTTコムはこれを商標登録し、サービス名として売り込む。」との記事が掲載されていること。
I 乙第15号証(2002年9月24日)は、甲第16号証の新聞記事の写しであるところ、ここには、請求人に関する記事の前に、「駅や飲食店など外出先で、無線LAN(…)によりブロードバンド(…)インターネット接続サービスを提供する『ホットスポット』が今年に入って増加している。」との記事が掲載されていること。
J 乙第17号証(2002年10月)は、甲第29号証の雑誌記事の最後に添付されていたもの(Nikkei Linux 2002年10月号42頁)であるが、ここには、「公衆無線LANインターネット接続サービス」「ホットスポットが急増中」との見出しのもと、「主なホットスポットサービス」として、請求人を含む各社のサービス内容が表形式で示されていること。なお、ここには請求人のサービス名について「ホットスポット」と記載され、他社のものには「ホットスポット」の名称は使用されていない。
K 乙第18号証(2002年12月16日)は、甲第30号証の雑誌記事の写しであるところ、ここには、請求人に関する記載の前には、「無線LANを使う公衆エリアでのインターネット接続サービス(無線LANインターネット)『ホットスポット』」との記載がある記事であることが認められること。
L 乙第19号証は、甲第32号証の雑誌記事の写しであるところ、ここには、請求人に関する記事については、「カフェでもパソコンを無線LANで使える『ホットスポット』体験リポート」との見出しによるものであり、かつ、左下部には「全国のホットスポットはここで探せる」との記載のもと、請求人以外の2件のウェブサイト名が表示されていることが認められる。
イ 判断
(ア)引用商標1の周知著名性について
請求人が提出した甲各号証によれば、請求人は、本件請求人役務について、2002年(平成14年)5月15日から、「ホットスポット」の名称により、その提供を開始し、無線基地局は、2011年に4000カ所に達したことが認められる。
そして、引用商標1を構成する「ホットスポット」の文字とともに本件請求人役務について、本件商標の登録出願前ないし登録査定前において、上記ア(ア)のDないしHに見られるように,各種新聞記事、雑誌、パンフレット、チラシにおいて報道され、紹介され、また、請求人及び関連プロバイダーにより使用されていたといえるものである。しかし、上記ア(ア)Eのウェブサイトへのアクセス数がどの程度あったのか判然とせず、上記ア(ア)Fのパンフレット、チラシの配布地域、配布期間、配布部数がどの程度であったのか確認することはできず、また、上記ア(ア)D及びGの週刊誌、雑誌等の販売部数も定かではない。
他方、請求人が本件請求人役務の使用を開始した2002年(平成14年)5月15日以前の新聞記事である乙第7号証の1ないし11において、「ホットスポット」の文字が「無線LANが使用できる設備(環境)が整った場所(アクセスポイント)である」旨を意味するものとして使用されていることが認められる。
そして、本件商標の登録出願時ないし登録査定時においても、上記ア(イ)AないしEのとおり、「ホットスポット」の文字は、「無線LANのアクセス・ポイントが設置され、インターネット接続が可能な空間のこと。」の意味があるとの広辞苑の記載があること、「無線LANが使用できる設備(環境)が整った場所(アクセスポイント)である」旨をいう新聞記事が多数あること、「外出先でLANが使用できる設備、ないし、その設備が整った場所である」旨であることを掲載した雑誌記事があること、「無線LANの機能、同通信設備、同規格」などに関連する用語としてインターネット情報記事中に使用されていること、「ホットスポット情報サイト」とのインターネット情報が存在すること、「ホットスポット(HOTSPOT)とは、カフェやファーストフード、ホテルのロビーや駅、屋外(商店街や公園)など、自宅や会社同様、街中でもブロードバンド環境でインターネットが利用できるよう、無線LANアクセスポイントを設置した場所のことを指す。」との説明がされたウェブサイトがあることが認められる。
さらに、上記ア(イ)GないしLのとおり、「ホットスポット」の文字は、請求人のサービスに係るものであるか、そうでないのかは明らかでない記載がある。
以上のことを総合して検討すれば、引用商標1は、それが請求人の、本件請求人役務に使用する商標として取引者、需要者の間において、一定程度知られていたということができるものであるとしても、その文字が、「無線LANが使用できる設備(環境)が整った場所(アクセスポイント)」を表したものであるとの認識を有していた者は決して少なくないとみることができるものである。
そうであれば、引用商標1である「ホットスポット」の文字は、本件商標の登録出願時ないし登録査定時において、「無線LANを利用したインターネットへの接続の提供」の一般的な取引者、需要者間において、請求人の本件請求人役務に使用する商標として周知著名であったということはできない。
(イ)引用商標2の周知著名性について
請求人が提出した甲各号証において、引用商標2が取り上げられ、宣伝されている事例は、上記ア(ア)Jのとおりであるが、その事例は、少ないものであり、これらの事例をもって、その周知著名性を認定することはできない。
(ウ)東京商工会議所による証明について
上記ア(ア)Lの東京商工会議所会頭による証明は、上記ア(イ)AないしLにみられる事実がある中で、証明者が、どのような事実、実績により引用商標の周知性を証明したのか判然とせず、また、ここでいう「取引者及び利用者」は、当該サービスに係る普通一般の者をいうのかも判然としないものである。よって、この証明は、引用商標が周知であることの証明としては客観性に欠けるものというべきである。
(エ)他に、引用商標が周知著名となっていることを示す証拠はない。
(オ)小括
したがって、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間において、請求人の本件請求人役務を表すものとして広く認識されて周知著名となっていたと認めることはできないものである。
(2)引用商標1の独創性の程度について
引用商標1を構成する「ホットスポット」の文字は、上記(1)イ(ア)のとおり、「無線LANのアクセス-ポイントが設置され、インターネット接続が可能な空間のこと。」の意味があるとの広辞苑の記載があること、「無線LANが使用できる設備(環境)が整った場所(アクセスポイント)である」旨をいう新聞記事が多数あることなどの記載があることから、造語ではなく、請求人が創出したものであるとはいえない。
したがって、引用商標1を構成する「ホットスポット」の文字は、その独創性の程度は高いとはいえないものである。
(3)出所の混同のおそれ
上記(1)及び(2)のとおり、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間において、請求人の本件請求人役務を表すものとして広く認識されて周知著名となっていたと認めることはできないものであること、引用商標1を構成する「ホットスポット」の文字は、その独創性の程度は高いとはいえないものであることなどを総合的に考慮すると、本件商標を、その指定商品及び指定役務中、第9類の指定商品及び第42類の指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が、その商品又は役務が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生じるおそれはないというべきである。
(4)小括
上記(1)ないし(3)のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、第38類「放送,無線通信機器の貸与」については、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項により、無効とすべきであり、その余の指定商品及び指定役務については、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本件商標



2 引用商標2(色彩は原本を参照)




審理終結日 2016-01-29 
結審通知日 2016-02-02 
審決日 2016-02-18 
出願番号 商願2011-12912(T2011-12912) 
審決分類 T 1 11・ 263- ZC (X093842)
T 1 11・ 271- ZC (X093842)
T 1 11・ 261- ZC (X093842)
T 1 11・ 262- ZC (X093842)
最終処分 一部成立 
前審関与審査官 山田 正樹 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 原田 信彦
大森 健司
登録日 2011-08-12 
登録番号 商標登録第5431520号(T5431520) 
商標の称呼 パーソナルホットスポット、ホットスポット 
代理人 柴田 泰子 
代理人 幡 茂良 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 小出 俊實 
代理人 高橋 孝仁 
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