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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 取り消して登録 W031416182021242535
審判 査定不服 商4条1項19号 不正目的の出願 取り消して登録 W031416182021242535
管理番号 1317128 
審判番号 不服2015-11995 
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-24 
確定日 2016-07-12 
事件の表示 商願2014-66230拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「Lisbeth Dahl」の文字を標準文字で表してなり、第3類、第14類、第16類、第18類、第20類、第21類、第24類、第25類及び第35類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成26年8月6日に登録出願されたものである。そして、指定商品及び指定役務については、原審における平成27年1月16日受付の手続補正書により、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料」、第14類「貴金属,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,宝石箱,身飾品,時計」、第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤,紙類,文房具類,印刷物,写真,写真立て」、第18類「愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス,愛玩動物用ベッド,犬小屋,小鳥用巣箱,家具」、第21類「化粧用具,家事用手袋,台所用品(「ガス湯沸かし器・加熱器・調理台・流し台」を除く。),食器類,清掃用具及び洗濯用具,アイロン台,霧吹き,こて台,へら台」、第24類「織物,布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第35類「広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,求人情報の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『Lisbeth Dahl』の文字からなるところ、該文字は、1981年にデンマークに設立された会社が使用する標章であって、当該会社のデザインした雑貨・食器などが世界各国で使用され販売されてきたことが認められる。そして、日本においても、遅くとも本願商標の出願前には、『Lisbeth Dahl』の標章を使用する雑貨・食器などが、当該会社のデザイン・業務に係る製品として多くの通信販売業者らにより認識され輸入され販売されていたものと認められる。そうすると、本願商標は、その指定商品・指定役務に使用した場合には、デンマークの『Lisbeth Dahl』の標章を使用する会社の業務に係る商品・役務かのように商品・役務の出所について誤認・混同を生じさせるおそれのある商標と認められる。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨、認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における拒絶の理由の要点
当審において、平成28年1月18日付けの拒絶理由通知書で、請求人に対し通知した拒絶の理由の要旨は、以下に示すとおりである。
本願商標は、「Lisbeth Dahl」の欧文字を標準文字で表した商標であるのに対し、「Lisbeth Dahl A/S」社の商標は、「Lisbeth Dahl」又は全て大文字で表した「LISBETH DAHL」の文字(以下「使用商標」という。)を表してなるものである。 してみれば、本願商標は、その出願前からデンマークで取引者、需要者の間に広く認識されている使用商標と酷似するものである。
しかも、本願商標は、特定の観念を生じない造語といえるものであって、使用商標と文字の綴りを同一にし、構成上の顕著な特徴を共通にするものであることからすれば、請求人が本願商標を採択するに際し、使用商標と偶然一致したものであるとは、認められない。
そうすると、本願の指定商品及び指定役務中の「宝石箱、写真立て、傘、食器類」等と、使用商標を使用する会社が販売している商品「食器、写真立て、宝石箱、傘」は、同一又は類似のものであり、取引者、需要者が共通しているといえるものであることなどを総合勘案すると、請求人は、本願商標の登録出願時に、使用商標の存在を熟知していたものというべきであり、使用商標が、本願の指定商品・指定役務の分野において商標登録されていないことを奇貨として先取りし、剽窃的に本願商標を登録出願し、その登録を受けようとしたものというのが相当であるから、不正の目的をもって使用するものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
第4 当審における拒絶の理由に対する意見
上記第3の拒絶理由通知に対して、請求人は、平成28年2月29日受付の意見書及び同年5月18日付けの上申書により、次のとおり述べている。
拒絶理由通知において指摘されたデンマークの「Lisbeth Dahl A/S」(以下「リスベスダール社」という。)に関しては、2013年1月17日付にて、審判請求人会社のグループ会社である「株式会社ジョージオリバー」との間で、我が国における代理店契約を締結し、当該事実は、取引社へ通知されていた。その後、2013年10月16日付にて、リスベスダール社は破産したが、リスベスダール社のCEO・取締役であった「Nicolai Winding Andersen」氏(以下「ニコライ氏」という。)は、同日付にて、新会社「LISBETH DAHL COPENHAGEN ApS」(以下「新会社」という。)を設立した。当該新会社は2014年6月3日付にて倒産しているが、2014年6月16日付けにて、ニコライ氏と株式会社ジョージオリバーとの間で、覚書を締結した。その覚書の第1項において、両者は、「Lisbeth Dahl JAPAN Company(仮)」を設立することを同意し、これに基づいて設立されたのが審判請求人会社である。さらに、覚書第4項において、「Lisbeth Dahl Copenhagen」のブランド名等に係る全ての権利を、ニコライ氏から審判請求人会社へ移転することが合意されている。
以上の事実から、審判請求人会社は、本願商標を正当に使用及び取得する権原を有していることは明らかである。
したがって、外国の権利者の国内参入を阻止したり、代理店契約締結を強制する目的で出願したものであるというような不正な意図を窺わせるような状況ではなく、むしろ、両者の合意に基づいて出願をしたものであって、審判請求人会社に不正の目的はないことは明確であるから、本願商標を、商標法第4条第1項第19号に該当するとした拒絶理由は妥当ではない。

第5 当審の判断
本願商標は、「Lisbeth Dahl」の文字からなるところ、該文字は、前記第2のとおり、1981年にデンマークで設立されたリスベスダール社に係る雑貨ブランドであって、「食器、宝石箱、傘」等の商品について使用されて、少なくとも本願商標の登録出願時(平成26年(2014年)8月6日)には、同社の出所を表示するものとして、同国において広く認識されているものと推認されるものである。さらに、我が国における取引者、需要者の間にも一定程度知られていたものというのが相当である。
しかしながら、上記第4の請求人の意見及び提出された証拠によると、本願商標の登録出願前に、リスベスダール社と請求人のグループ会社の「株式会社ジョージオリバー」は、代理店契約を結んでいたものである。そして、リスベスダール社の破産後は、リスベスダール社の元CEO・取締役のニコライ氏と請求人との間で、ニコライ氏が設立した「Lisbeth Dahl Copenhagen」のブランド名等に係る全ての権利を、ニコライ氏から請求人へ移転することが合意されていることが認められる(添付資料6)。
そうすると、本願商標をその指定商品及び指定役務について使用しても、破産したリスベスダール社との間で出所の混同を生ずるおそれはないものと認められるものであって、また、本願商標は、その指定商品及び指定役務の分野において商標登録されていないことを奇貨として先取りし、剽窃的に本願商標を登録出願し、その登録を受けようとしたものではなく、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用する商標であるということはできない。
してみれば、本願商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に該当しない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2016-06-29 
出願番号 商願2014-66230(T2014-66230) 
審決分類 T 1 8・ 222- WY (W031416182021242535)
T 1 8・ 271- WY (W031416182021242535)
最終処分 成立  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 清棲 保美
榎本 政実
商標の称呼 リスベスダール、リスベス、ダール 
代理人 北村 周彦 

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