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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W43
審判 全部申立て  登録を維持 W43
審判 全部申立て  登録を維持 W43
管理番号 1315922 
異議申立番号 異議2016-900022 
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-01-29 
確定日 2016-06-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第5802243号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5802243号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5802243号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成27年3月23日に登録出願、同年8月3日に登録査定がされ、第43類「ラーメンの提供」を指定役務として、同年10月30日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第7号について
ア 申立人の使用商標について
申立人は、北海道旭川市内において「ラーメン すがわら」を運営する者であり、当該ラーメン店の店名として「ラーメン専門 すがわら」ないし「旭川ラーメン すがわら」の文字を使用するとともに、看板に本件商標の図形部分と同一のラーメンどんぶりを抱えた女の子と思しき別掲2に示したとおりの構成からなる図形(以下「本件図形」といい、両者を併せて「使用商標」という。)を使用している(甲3)。
イ 本件商標と使用商標の同一・類似性について
本件商標と使用商標は、共に「ラーメンの提供」に使用するものであり、「旭川ラーメン」及び「すがわら」の文字が共通するとともに、その本件図形も酷似している。
特に、本件図形に関しては、創作の幅が広いにもかかわらず、本件商標と使用商標に使用されている本件図形がほぼ同一の酷似したものである点に鑑みれば、本件商標は、使用商標をそのままそっくり自己の商標として出願・登録したと解するのが相当である。
ウ 本件商標採択の経緯と不正の目的について
申立人が運営する「ラーメン すがわら」は、昭和49年から続く老舗のラーメン店である。「ラーメン すがわら」は、S氏が創業し、当初は個人経営であったところ、平成15年からはS氏が設立した有限会社すがわらが運営を行っていたが、現在は有限会社すがわらが商号変更をした申立人が2店舗の「ラーメン すがわら」を運営している(甲4ないし甲13)。
有限会社すがわらの株式が申立人の代表者に譲渡され、有限会社すがわらが商号変更により申立人に移行され(甲5ないし甲9)、申立人が、「ラーメン すがわら」に関する食材の仕入れ、店舗家賃の支払い、本件商標に係る商標権者(以下「本件権利者」という。)を含む従業員への給与の支払い及び営業許可申請を行っている(甲10の2ないし甲11の2、甲12、甲13)。
本件権利者は、S氏の息子であり、有限会社すがわらの代表取締役を務めるていたが、経営がうまくいかず、当時「ラーメン すがわら」のフランチャイズ店を運営していた申立人の代表者に「ラーメン すがわら」の経営を委ね、有限会社すがわらから申立人へ移行当初は申立人の役員であったが、平成26年4月30日に役員を辞任し(甲9)、その後、平成27年2月28日に退職している(甲12)。
本件商標が、平成27年3月23日に登録出願され、平成27年10月30日に登録されると、本件権利者は、申立人に対し、本件登録をもって、使用商標の使用について金銭を要求している(甲14)。
このような本件商標の経緯及びその後の申立人に対する金銭要求に鑑みれば、本件商標が、申立人の業務を妨害し、申立人に対し商標使用に関する金銭を要求するために行われたことは明らかであり、使用商標が商標登録されていないことを奇貨として、申立人に無断で、使用商標と同一又は類似の商標を、先取り的に出願・登録したものと解するのが相当である。
したがって、本件商標は、本件商標が申立人の商標であると認識しながら自己の商標として出願・登録された剽窃的なものであって、公正な商取引の秩序を乱し、ひいては公の秩序を害するおそれがあることは明らかである。
よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものである。
(2)商標法第4条第1項第10号について
申立人が運営する「ラーメン すがわら」は、昭和49年に創業された、ラーメン店が200店以上ある競争の激しい旭川市において、今も続く老舗の名店であって、旭川市内だけでなく東京原宿などにフランチャイズ展開し、知名度アップを図っていたこともあり、ラーメンのランキングでも上位に入る人気店である(甲4、甲15?甲24)。また、申立人はグルメ雑誌や旭川駅案内図等における広告掲載などの広告宣伝活動を行っている(甲15、甲19?甲24)。
このような状況を鑑みれば、本件商標と同一又は類似する使用商標は、本件商標の登録出願前より、ラーメン店の店名として永年に亘り使用され、その間、ラーメン店の営業や雑誌等の媒体を通じて宣伝・広告活動が行われた結果、本件商標の登録出願時において、申立人が運営するラーメン店の店名として需要者、取引者の間に広く認識され、周知・著名性を獲得していたと解するのが相当である。
よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、上記のとおり、申立人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似であり、本件権利者は、上記(1)のとおり、不正の目的をもって、本件商標を出願・登録したものである。
よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものである。

3 当審の判断
(1)使用商標の周知性について
申立人の提出に係る証拠(甲3?甲24)を総合すると、「ラーメン すがわら」は、昭和49年に創業したラーメン店であり、当初は個人経営であったが、2003年(平成15年)9月1日に、有限会社ラーメンすがわらとして法人化し、その後、平成26年3月10日に、有限会社ラーメンすがわらの全株式が申立人の代表者に譲渡され、同年3月28日に株式会社エンフードに商号変更し、申立人の代表者が代表取締役及び本件権利者が取締役に就任し、有限会社すがわらの所在した場所(店舗)でラーメンの提供を行っていること、雑誌に広告を掲載したこと、チラシを作成したこと、旭川のガイドマップ等に掲載されたことを認めることができ、申立人の店舗の看板には、本件図形及び「ラーメン専門 すがわら」の文字が看板に表示されていることがうかがえる。
しかしながら、使用商標の周知性を明らかにする上記証拠のうち、甲第15号証、甲第17号証、甲第24号証は、いずれも本件商標の登録出願日(平成27年3月23日)以降に掲載されたものと認められ、また、甲第16号証及び甲第18号証のウェブサイトの口コミの件数は合わせても僅か38件にすぎず、甲第17号証のウェブサイトのランキングは、これが何を根拠とした如何なるランキングであるかも明らかでなく、甲第19号証及び甲第20号証のチラシは、その発行年、発行部数、頒布方法等の頒布の実情が明らかにされていない。加えて、甲第21号証の旭川駅周辺案内図、甲第22号証ないし甲第24号証のガイドマップ等は、他の店舗等とともに、申立人の店舗が並べて紹介されているにすぎず、その店舗数も旭川市に数店舗のみである。
なお、申立人の提出した証拠において、本件図形が表示されているものは、甲第3号証の写真のみであって、該図形の使用開始時期も明らかではない。
さらに、本件商標の登録出願日及び登録査定日前における、使用商標を使用した申立人の業務に係る役務の売上高、広告費等も明らかにされていない。
その他、本件商標の登録出願日において、使用商標が周知であったことを認めるに足りる証拠の提出はない。
してみると、提出された証拠をもってしては、使用商標が、申立人の業務に係る役務「ラーメンの提供」を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標は、別掲1のとおり、ラーメンどんぶりを抱えた女の子と思しき図形(本件図形)と「旭川ラーメン」及び「すがわら」の文字から構成されるものであり、他方、使用商標は、「ラーメン専門 すがわら」ないし「ラーメン すがわら」の文字、及び別掲2のとおりの構成からなるラーメンどんぶりを抱えた女の子と思しき図形(本件図形)であるところ、本件商標中の文字部分と使用商標の文字部分は、いずれも、役務の出所識別標識としての機能を有しないか有するとしてもその機能は極めて弱いものである。
そして、本件商標の図形部分と使用商標の本件図形は、略同一の構成態様からなるものであるから、類似の商標と認められ、本件商標の指定役務は、申立人が使用商標を使用する役務と同一である。
しかしながら、使用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る役務(ラーメンの提供)であることを表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることができないものである。
したがって、本件商標は、使用商標と同一又は類似の商標であると認められるものの、使用商標は、他人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認めることはできないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものとはいえない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、上記(1)のとおり、他人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものである。
また、申立人の提出に係る甲各号証をもってしても、本件権利者が使用商標に化体した業務上の信用を利用して不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって本件商標を使用するものであるとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものとはいえない。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性について
ア 商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は商標登録をすることができないとしているところ、同号は、商標自体の性質に着目したものとなっていること、商標法の目的に反すると考えられる商標の登録については、同法第4条第1項各号に個別に不登録事由が定められていること、商標法においては、商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを考慮するならば、商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法第4条第1項第7号に該当するのは、その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきである。そして、同号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは、商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので、特段の事情のある例外的な場合を除くほか、許されないというべきである。そして、特段の事情があるか否かの判断に当たっても、出願人と、本来商標登録を受けるべきと主張する者との関係を検討して、例えば、本来商標登録を受けるべきであると主張する者が、自らすみやかに出願することが可能であったにもかかわらず、出願を怠っていたような場合や、契約等によって他者からの登録出願について適切な措置を採ることができたにもかかわらず、適切な措置を怠っていたような場合は、出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも、当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから、そのような場合にまで、「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない(平成14年(行ケ)第616号、平成19年(行ケ)第10391号)。
イ 申立人は、「使用商標が使用されることを十分知っていながら、使用商標が商標登録されていないことを奇貨として、申立人に無断で、使用商標と同一又は類似の商標を、先取り的に商標登録出願し、登録を得たものであって、本件権利者の行為は申立人の業務の遂行を妨害し、申立人に対し商標使用に関する金銭を要求する意図で行われたものであって、剽窃的なものである。」旨主張している。
しかしながら、上記(1)のとおり、使用商標は、我が国において広く認識されているということはできないものであり、申立人の主張も、本件権利者が申立人の取締役であって、使用商標を知り得る状況にあったこと、本件商標と使用商標が酷似するものであることをもって、申立人の事業の遂行を阻止し、金銭的要求を図る意図で登録出願したものであり、剽窃的なものであると主張しているのであって、申立人の提出した証拠からは、具体的に、本件権利者が申立人の事業の遂行を妨害や阻止しようとしていることを裏付ける証拠は見いだすことができない。
また、申立人は、本件権利者が金銭的要求をしているとして、携帯電話の画面(甲14)を挙げているが、該画面から携帯電話のLINEと称する回線を通じて、本件権利者名を称する者が本件商標が表示された商標登録証の画像とともにフランチャイズ料を要求していることはうかがえるとしても、これをもって、本件権利者が、申立人の業務を妨害し、剽窃的に本件商標を登録出願したとまではいうことができない。
しかも、申立人は、使用商標の使用開始にあたって、その商標を自ら登録出願する機会は十分にあったというべきであって、自ら登録出願しなかった責めを本件権利者に求めるべき事情を見いだすこともできない。
そうすると、本件商標について、商標法の先願登録主義を上回るような、その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあるということはできないし、そのような場合には、あくまでも、当事者間の私的な問題として解決すべきであるから、公の秩序又は善良の風俗を害するというような事情があるということはできない。
してみると、本件権利者が、申立人の営業表示と類似する本件商標の登録出願をし、登録を受ける行為が「公の秩序や善良な風俗を害する」という公益に反する事情に該当するものということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものとはいえない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)




別掲2(本件図形)色彩については、原本参照




異議決定日 2016-06-08 
出願番号 商願2015-31614(T2015-31614) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W43)
T 1 651・ 25- Y (W43)
T 1 651・ 22- Y (W43)
最終処分 維持 
前審関与審査官 藤平 良二中村 聖 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 平澤 芳行
中束 としえ
登録日 2015-10-30 
登録番号 商標登録第5802243号(T5802243) 
権利者 菅原 学
商標の称呼 アサヒカワラーメンスガワラ、アサヒカワラーメン、スガワラ 
代理人 佐川 慎悟 
代理人 小林 基子 
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