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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W35
審判 全部申立て  登録を維持 W35
審判 全部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1315917 
異議申立番号 異議2015-685026 
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-07-31 
確定日 2016-04-01 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1201001号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1201001号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第1201001号商標(以下「本件商標」という。)は、サンセリフ書体による「INVICTA」の欧文字を横書きしてなり、2013年11月14日にItalyにおいてした商標の登録出願に基づくパリ条約第4条による優先権を主張して、2013年(平成25年)12月13日に国際商標登録出願、第35類「Retail services,wholesale services and online retail services for optical apparatus and instruments,eyeglasses,sunglasses,spectacles,spectacles frames,goggles for sports,protection devices for personal use against accidents,irradiation and fire,cases for electronic diaries,for photographic apparatus,for glasses,for compact discs,DVD and video cassettes,for laptops,for telephones and mobile telephones,for smartphones,covers for mobile telephones,for smartphones,for tablet computers and for electronic and/or computer products,calculating machines,pocket calculators,cases for calculators,USB flash drivers,decalcomanias (transfers),bookmarkers,tickets,cards,business cards,greetings cards,invitations,stickers,writing or drawing books,diaries,block note pads,posters,calendars,photographs,printed publications,books,periodicals,manuals and handbooks,magazines,newspapers,newsletters,catalogues,brochures and pamphlets,writing papers and envelopes,sets of stationery material,articles and instruments for writing and drawing,namely pens,ball-point pens,fountain pens,felt-tip markers,permanent markers,highlighters,markers for underlining,rollerball pens,fine tip pens,pencils,chalk,crayons cases for pens and for drawing,daily and weekly planners,folders for drawing,loose-leaf binders,gift wrapping paper,shopping bags of paper,plastic materials for packaging,rucksacks,backpacks,school bags,shoulder bags for carrying infants,bags,shopping bags,travelling bags and duffel bags for travel,bags and holdalls for sports,handbags,bags for campers,beach bags,backpacks for hiking and climbing,satchels,briefcases,pocket wallets,purses,key cases,hip bags,suitcases,umbrellas,trunks,walking sticks,overnight suitcases,vanity cases,sample bags,garment bags for clothing,wheeled bags,wheeled backpacks and wheeled suitcases,articles of clothing,footwear,headgear,active wear,sportswear,namely trousers,sport suits,shorts,swimwear,bathing suits,bikinis,slips,swimsuit shorts,swimming caps,pareos,bras,ponchos,underwear,namely bodices,boxers,T-shirts,tank tops,bras,culottes,leotards,shorts,slips,thongs,leather wear and lounge wear,bathrobes,nightdresses,pajamas,apparel of any design and nature made from fabrics of any nature,namely,pants,trousers,work clothing and work overalls,jeans,shorts,jackets,coats,waistcoats,overcoats,raincoats,hosiery,knitwear,sweaters,cardigans,fleece tops and bottoms jumpers,twin sets,woven shirts,dresses,training and track suits,bodices,shirts,plush shirts,polo shirts,nightshirts for men,T-shirts,undershirts,cut and sew tops,dresses,skirts,trousers-skirts,gowns,socks,dressing gowns,bands,balaclavas,scarves,silk scarves,neck and face masks (bands),gloves and mittens,ski gloves,headwear,namely hats,caps,bandanas,visors,wrist bands,belts and ties,footwear,shoes,dress shoes,sneakers,boots,chaps,sandals,slippers,sport and athletic shoes,studded shoes,mountaineering shoes,ski boots and trekking boots,gaiters,heeled shoes,bands for protecting face and ear from cold,skis,protective padding for the practice of sports,namely shin guards,knee pads,elbow pads,gloves for sports,namely for football,soccer,hockey,rugby,golf,bicycle and motorcycle,bob-sleighs,sleighs (sports articles),roller skates,games,toys,skateboards (recreational equipment),ski and surf boards,parachutes for paragliding,paragliders,hang gliders.」を指定役務として、平成27年4月3日に登録査定がされ、同年5月22日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標について、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号に該当するから、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号について
(1)申立人及びその商標権について
ア 申立人は、米国の法人であり、腕時計及びその関連商品(クロノグラフ、時計バンド、時計ケース、時計ストラップ等)の世界的なメーカーであり、かつ、世界的な卸売・小売業者である。
また、申立人は、サングラスを含む眼鏡、筆記具及び宝飾類もINVICTA商標を付して販売し、かつ、これらの商品をINVICTA商標が付された小売店で販売している。
その他、申立人に関する情報は、申立人のウェブサイト等に記載されている(甲第6号証、甲第7号証)。
イ 申立人は、「INVICTA」の欧文字からなる商標及び該欧文字を含む商標(「INVICTA」の欧文字と別の単語との組合せ又は図形との組合せ)に係る商標権を、我が国を含む世界中で所有している(甲第5号証)。
そして、別掲1に示す米国商標登録第4399998号商標(以下「引用商標1」という。)及び別掲2に示す国際登録第849179号商標(以下「引用商標2」という。)は、代表的なものであり、その他にも甲第5号証に掲げられているような本件商標と類似する商標が多数存在する。
米国における商標登録例は、甲第13号証に示すとおりであり、申立人は、我が国において、引用商標2を所有している。
また、申立人は、国際登録第1214142号商標(甲第3号証)も所有している(ただし、我が国を指定国とするものではない。)。
(2)商標の使用開始時期
申立人は、1989年に米国において、INVICTA商標を腕時計及びその関連商品について使用を開始して以来、継続して使用している。また、INVICTA商標は、我が国において、遅くとも2005年4月には使用が開始され、大々的な宣伝広告もされている(甲第8号証)。
申立人は、2013年2月、米国フロリダ州に最初のINVICTA小売店を開店し、その後、米国を始め、トルコ、シンガポール、マレーシア、メキシコ、台湾、プエルトリコ及びエジプトに同小売店を設け、近々、他国においても設ける予定である。
(3)商標の使用範囲
申立人は、INVICTA商標を米国、カナダ、中米、南米、ヨーロッパ、中東及びアジア太平洋地域にわたり使用している。
(4)我が国での販売
我が国での販売者(卸売業者)は、現在、「POWER BRANDS LTD」及び「POWERHOUSE TIMEPIECES LTD」であり、甲第9号証は、申立人の商品の販売に当たり、両者が発行した請求書の写しである。
また、甲第12号証は、申立人から我が国の法人に直接販売した際の請求書の写しである。
(5)商標の露出
申立人の商品は、ウェブページ広告、オンライン小売業者(amazon.com等),テレビ(ホームショッピングネットワーク)、オンラインカタログ、フォーラム、プレスリリース、有名人による宣伝・推薦、カレンダー、ニュースレター並びに広告・宣伝を含む様々な方法で、米国その他世界中で販売促進が行われてきた。
また、申立人の商品は、フェイスブック、インスタグラム、ツイッターを含むソーシャルメディアを使用した宣伝・広告も行われている(甲第6号証)。
さらに、申立人は、権威のあるレッドドットデザイン賞(Reddot Design Award)を2013年に受賞しており(甲第10号証)、申立人のINVICTA商標に係る名声・信用及び認知度は強固なものとなっている。
加えて、インターネットで「invicta」をキーワードとして検索した場合、その結果の上位全てが申立人又は申立人の商品に係るサイトである(甲第11号証)ことからも、引用商標は、著名であることが分かる。
(6)年間売上高
昨年の世界中での売上高は、約3,000億円であり、また、広告・宣伝費用は、約300億円である。
(7)申立人の商標が保護されるべき範囲
申立人の商品は、時計を含むものであるが、これに限定されるものではない。
そして、腕時計等の高級品・贅沢品のメーカーにとって、その商標に係る名声及び信用を利用することにより、例えば、眼鏡、宝飾類、筆記具などといったアクセサリー商品をその取扱商品として拡大することは珍しいことではなく、消費者は、その商品が申立人の商品であると混同することになる。
本件商標権者は、明らかに申立人の周知商標の高い顧客吸引力、名声及び評判を不当に利用しようとするものである。
(8)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性
上記(1)ないし(7)において述べたことを踏まえ、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するか否かを同号に係る商標審査基準に当てはめて検討すると、申立人の「INVICTA」商標及び「INVICTA」を含む商標は、我が国及び外国において広く知られているものであり、また、「INVICTA」は、創造標章であって、ハウスマークである。
さらに、申立人は、「INVICTA」に係るブランド力を利用して、主力の腕時計のみならず、様々な商品・役務について「INVICTA」の商標を付して経営を展開していく可能性がある。
加えて、本件商標の指定役務は、眼鏡やサングラスの小売・卸売等を含むところ、これらの商品は、申立人の主力商品である腕時計との関係において、「貴金属」や「ファッションアクセサリー」といった分類で括られ、同じ売り場で販売される可能性があるから、本件商標の指定役務と申立人の商標の商品・役務との間の関連性は高い。
してみれば、本件商標と引用商標1とが全く同一の商標であることに上述したことをも勘案すれば、本件商標をその指定役務に使用した場合、商品及び役務の出所について混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であり、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第19号について
(1)商標の類似
本件商標と引用商標1とは、同一である。
また、本件商標と引用商標2とを比較すると、引用商標2には図形が付されているものの、その構成中の「INVICTA」の文字部分は共通しており、外観、称呼及び観念を総合的に判断すると、両商標は、類似の商標といえる。
なお、引用商標1及び引用商標2は、代表的なものであり、その他にも甲第5号証に掲げられているような本件商標と類似する商標が多数存在する。
(2)申立人商標の周知性
申立人商標が我が国及び外国において周知であることは、上記1において述べたとおりである。
(3)不正の目的
本件商標は、我が国及び外国において周知な引用商標1及び引用商標2と極めて類似するものであるから、「不正の目的」が推認される。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものであり、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
3 商標法第4条第1項第7号について
本件商標と引用商標1及び引用商標2とが類似すること、さらに、引用商標1及び引用商標2が我が国及び外国において周知な商標であることは、いずれも上述したとおりである。
そうすると、本件商標の商標権者は、引用商標が、その指定役務につき、我が国において商標登録されていないことを奇貨として、先取り的に商標登録出願し、商標権を取得したとみるのが相当である。
してみれば、本件商標の商標権者が本件商標を商標登録出願し、商標権を取得した行為は、公正な商取引の秩序を乱すおそれがあり、ひいては公の秩序を害するおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であり、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は、取り消されるべきものである。
第3 当審の判断
1 申立人の商標について
申立人は、本件登録異議の申立てにおいて、その申立ての理由に係る商標として、米国商標登録第4399998号商標(引用商標1)及び国際登録第849179号商標(引用商標2)を代表的なものとしつつ、国際登録第1214142号商標その他甲第5号証のリスト中に挙げられたものも本件商標と類似する旨主張しているところ、国際登録第1214142号商標は、引用商標1と同一の構成態様からなるものであるし、また、甲第5号証のリスト中に挙げられたものには、その具体的な構成態様が不明のものも含まれているものの、申立人は、それを総括的に「『INVICTA』の欧文字からなる商標及び該欧文字を含む商標(『INVICTA』の欧文字と別の単語との組合せ又は図形との組合せ)」などとしている。
その他、申立人の主張及びその提出に係る甲各号証を総合勘案すれば、本件登録異議の申立ての理由の有無を判断するに当たっては、別掲1に示す引用商標1及び別掲2に示す引用商標2のほか、申立人の小売店の看板等において用いられている別掲3に示す商標(以下「引用商標3」という。)を含めたものをその申立ての理由に係る商標とするのが相当である。
したがって、以下の検討においては、申立人の商標を引用商標1ないし引用商標3とする。
2 申立人の商標の周知性について
(1)申立人の商標
ア 引用商標1
引用商標1は、別掲1に示すとおり、セリフ書体による「INVICTA」の欧文字を横書きしてなるものであり、米国特許商標庁により、2013年9月10日に、「RETAIL STORE SERVICES FEATURING TIMEPIECES,EYEWEAR,AND WRITING INSTRUMENTS,IN CLASS 35(第35類 時計、眼鏡、および筆記具の小売業務)」について、同年2月6日を最初の使用として登録された米国商標登録第4399998号に係る商標である(甲第2号証)。
そして、引用商標1を構成する「INVICTA」の欧文字は、「インビクタ」の称呼を生じ、「不敗の、無敵の」といった意味を有するスペイン語(「小学館 西和中辞典」、株式会社小学館発行)であるが、我が国におけるスペイン語の普及の程度を鑑みれば、該欧文字が、取引者、需要者をして、既成のスペイン語と看取、理解されるとまではいい難い。
してみれば、引用商標1は、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるとみるのが相当であり、その構成文字に相応して、「インビクタ」の称呼を生じるものであって、特定の観念を生じないものといえる。
なお、上記米国商標登録を基礎とする国際登録第1214142号は、WIPO(世界知的所有権機関)により、2014年5月20日に国際登録されているが、その指定国に我が国は含まれていない(甲第3号証)。
イ 引用商標2
引用商標2は、別掲2に示すとおりの構成からなり、我が国において、2010年(平成22年)11月8日に国際商標登録出願(事後指定)、第14類「Watches,chronometers,chronographs,clocks,watch bands,watch cases,and watch chains.」を指定商品として、平成25年6月7日に設定登録されたものである。
そして、引用商標2は、別掲2に示すとおり、図形と欧文字との組合せからなるところ、その構成中、上方に位置する図形は、特定の意味合いを想起させるとはいい難いものであり、下方に位置するセリフ書体による「INVICTA」の欧文字(その構成中の「V」の欧文字部分は、若干図案化されている。)は、上記アに述べたとおり、既成のスペイン語ではあるものの、我が国においては、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものである。
そうすると、引用商標2は、外観上、その構成全体をもって一体のものとしてのみ看取、把握されるとはいい難い上、その構成全体からまとまりある意味合いを想起させるなどといった事情も見いだし得ないものであるから、これに接する取引者、需要者をして、その構成中の「INVICTA」の欧文字部分が分離、抽出され、該欧文字部分をもって取引に資される場合も少なくないとみるのが相当である。
してみれば、引用商標2は、その構成中の「INVICTA」の欧文字部分が要部たり得るものであり、その構成文字に相応して、「インビクタ」の称呼を生じるものであって、特定の観念を生じないものといえる。
ウ 引用商標3
引用商標3は、別掲3に示すとおり、セリフ書体による「INVICTA」の欧文字(その構成中の「V」の欧文字部分は、若干図案化されている。)を横書きしてなるところ、その構成態様は、引用商標2の構成中の「INVICTA」の欧文字部分と同一と認められる。
してみれば、引用商標3は、その構成文字に相応して、「インビクタ」の称呼を生じるものであって、特定の観念を生じないものといえる。
(2)申立人の商標の使用
ア 申立人は、自己の業務に係る商品の紹介等をするためのウェブサイトを開設しており(甲第6号証)、該ウェブサイトには、引用商標2及び引用商標3が表示されている。
また、上記申立人のウェブサイトには、文字盤に引用商標2又は引用商標3を付したクロノグラフ等の腕時計の画像のほか、引用商標3を看板等として掲げた店舗の様子を示す画像及び店舗一覧(米国(13店舗)を中心に、エジプト(1店舗)、メキシコ(6店舗)、プエルトリコ(1店舗)、トルコ(5店舗)、台湾(4店舗)及びマレーシア(2店舗)の合計32店舗)などが掲載されている。
ただし、上記ウェブサイト(甲第6号証)に係る情報は、その左上隅にある「2015/10/24」の表示に徴すれば、2015年(平成27年)10月24日に紙出力したものとみるのが相当であるから、これをもって、上記情報が本件商標の登録出願時及び登録査定時に掲載されていたということはできない。
イ 申立人は、自己の業務に係る商品(腕時計)に係る広告を、我が国において発行された雑誌(甲第8号証。なお、職権をもって調査した結果によれば、これらの雑誌は、2015年4月、5月、7月及び9月発行の「411」、2015年6月発行の「Men’s JOKER」、「SPA!」(2回)、「Lightning」及び「チャンプロード」であり、「THE POINT NETWORK」については、発行時期が不明である。)に掲載した。
上記広告には、腕時計の画像とともに、引用商標2又は引用商標3が表示される場合があったが、該広告は、発行時期不明のものを除き、本件商標の登録査定日後に発行された雑誌に掲載されたものである。
なお、甲第8号証には、2015年7月に、我が国のレゲエシンガーである「TAK-Z」とのコラボレーションによるプロモーションやクラブイベントのスポンサーとなった旨の記載があるところ、該イベント会場の壁面等に引用商標2の表示が見受けられるものの、いずれもその詳細は不明である。
(3)その他
ア 申立人は、申立人の商標について、米国、カナダ、中米、南米、ヨーロッパ、中東及びアジア太平洋地域にわたり使用しており、そのうち、米国では、1989年に腕時計及び関連商品に使用を開始して以来、継続的に使用しており、また、我が国では、遅くとも2005年4月には使用を開始している旨主張する。
しかしながら、引用商標2が「WATCHES,CHRONOMETERS,CHRONOGRAPHS,CLOCKS,WATCH BANDS,WATCH CASES,AND WATCH CHAINS,IN CLASS 14(第14類 時計、クロノメーター、ストップウォッチ、時計バンド、時計側、時計鎖)」について、1989年を最初の使用とする米国商標登録第2947259号として登録されている(甲第13号証)ことからすれば、引用商標2は、米国において、上記時計等の商品について使用を開始したとはいい得るものの、その後、継続的に使用しているか否かについては、申立人提出の証拠からは明らかでない。
また、申立人提出の甲第9号証及び甲第12号証によれば、2005年4月28日付けで、申立人から兵庫県神戸市東灘区に所在する者へあてた、何かしらの荷物(101個)に係るインボイスが作成されたこと、2012年12月7日付けで、香港所在の「POWERHOUSE TIMEPIECES LTD.」から東京都豊島区巣鴨に所在する者へあてた、「Quartz Analogue Watches (working samples)」(クオーツアナログ腕時計(作業見本))(83個)に係るインボイスが作成されたこと、2013年1月28日付けで、香港所在の「POWERHOUSE TIMEPIECES LTD.」から東京都豊島区巣鴨に所在する者へあてた、「Quartz Analogue Watches (All in Stainless Steel Cases)」(クオーツアナログ腕時計(全てステンレス製ケース))(62個)に係るインボイスが作成されたこと、及び、2013年7月4日付けで、香港所在の「POWER BRANDS LTD.」から東京都豊島区巣鴨に所在する者へあてた、「Quartz Analogue watches (All in Stainless Steel Cases)」(クオーツアナログ腕時計(全てステンレス製ケース))(262個)に係るインボイスが作成されたことは見いだし得るものの、これらのインボイスに係る商品等に、引用商標1ないし引用商標3が使用されていたかは明らかでない。
さらに、申立人は、上記(2)アのとおり、2015年(平成27年)10月24日までに、米国その他で32店舗を展開しているところ、このうち、米国フロリダ州に所在する最初のものについては、2013年2月に開店した旨述べているものの、その他の店舗については、いつ開店したのか不明である。
加えて、引用商標1については、その使用の事実を認めるに足る証拠の提出はない。
イ 申立人は、自己の業務に係る商品について、米国その他世界中において、フェイスブック、インスタグラム、ツイッターといったソーシャルメディアを使用した広告・宣伝を含む様々な方法で販売促進が行われており、また、2013年のレッドドットデザイン賞の受賞は、申立人の商標の名声・信用及び認知度を強固なものとしており、さらに、インターネット検索(Google)を用いた「INVICTA」というキーワード検索の結果として、申立人に係るサイト又は申立人の業務に係る商品についてのサイトが示されることからすれば、引用商標は著名である旨主張する。
しかしながら、申立人の主張する販売促進方法については、それが、いつ、どこで、どのような方法及び態様をもってなされたものか、何ら明らかにされておらず、また、上記受賞やインターネット検索結果の事実があるとしても、それらが、我が国における引用商標1ないし引用商標3の認知ないし周知の程度に直ちに結びつくとはいい難い。
ウ 申立人は、昨年の世界中での売上高は、約3,000億円であり、また、広告・宣伝費用は、約300億円であると主張するが、その主張に係る売上高及び広告・宣伝費用の詳細(例えば、国ごとの各金額、各金額に占める引用商標1ないし引用商標3の使用に係る商品の割合など)は、何ら明らかにされていない。
(4)小括
上記(1)ないし(3)において述べたことを総合勘案すれば、申立人の商標である引用商標1ないし引用商標3は、いずれも、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務、とりわけ腕時計や腕時計の小売であることを表示する商標として、我が国及び外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができないものである。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、前記第1のとおり、サンセリフ書体による「INVICTA」の欧文字を横書きしてなるものであるところ、該欧文字は、我が国においては、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものであり、「インビクタ」の称呼を生じるものであって、特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標1ないし引用商標3は、それぞれ、上記2(1)アないしウのとおり、セリフ書体による「INVICTA」の欧文字を横書きしてなるもの、図形とセリフ書体による「INVICTA」の欧文字(その構成中の「V」の欧文字は、若干図案化されている。)との組合せからなるものであって、その構成中の「INVICTA」の欧文字部分が要部たり得るもの、セリフ書体による「INVICTA」の欧文字(その構成中の「V」の欧文字は、若干図案化されている。)を横書きしてなるものであり、いずれも「インビクタ」の称呼を生じるものであって、特定の観念を生じないものである。
そうすると、本件商標と引用商標1ないし引用商標3とは、その外観、称呼及び観念を総合勘案すれば、いずれの比較においても類似する商標といえる。
しかしながら、引用商標1ないし引用商標3は、上記2(4)のとおり、いずれも、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務、とりわけ腕時計や腕時計の小売であることを表示する商標として、我が国及び外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができないものである。
なお、引用商標2は、上記2(1)イのとおり、本件商標よりも先の登録出願に係る他人の登録商標であって、第14類「Watches,chronometers,chronographs,clocks,watch bands,watch cases,and watch chains.」を指定商品とするものであるが、その指定商品は、本件商標の指定役務とは非類似のものである。
してみれば、本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように連想、想起することはなく、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあるということはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標1ないし引用商標3が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務であることを表示する商標として、我が国及び外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものであることは、上記2(4)のとおりである。
そして、申立人の提出に係る証拠のいずれをみても、本件商標権者が本件商標を不正の利益を得る又は他人の著名商標に蓄積された信用若しくは名声にフリーライドする等の不正の目的をもって使用すると認めるに足る具体的事実は、見いだし得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。
5 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、本件商標の商標権者は、引用商標1ないし引用商標3がその指定役務につき、我が国において商標登録がされていないことを奇貨として、先取り的に商標登録出願し、商標権を取得したとみるのが相当であって、このような行為は、公正な商取引の秩序を乱すおそれがあり、ひいては公の秩序を害するおそれがある旨主張する。
しかしながら、申立人の提出に係る証拠を総合してみても、本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあったと認めるに足る事実は見いだせない。
また、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではないし、本件商標をその指定役務に使用することが、社会公共の利益、一般的道徳観念に反するものとはいえず、国際信義に反するものともいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】



異議決定日 2016-03-28 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W35)
T 1 651・ 271- Y (W35)
T 1 651・ 222- Y (W35)
最終処分 維持 
前審関与審査官 松本 はるみ 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 田中 敬規
高橋 幸志
登録日 2013-12-13 
権利者 Invicta S.p.A.
商標の称呼 インビクタ 
代理人 安達 友和 
代理人 恩田 誠 
代理人 恩田 博宣 
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