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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W05
管理番号 1315818 
審判番号 不服2014-650065 
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-06-24 
確定日 2016-03-01 
事件の表示 国際登録第1112120号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は,「CAMPAIGN」の欧文字を横書きしてなり,第5類「Medicines and pharmaceutical preparations for veterinary use;insecticides and preparations for destroying vermin.」を指定商品として,2011年(平成23年)10月7日にBeneluxにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,2012年(平成24年)2月24日に国際商標登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は,「本願商標は,『CAMPAIGN』の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ,当該文字及びそれを日本語で表した『キャンペーン』の文字は,『1 社会上・政治上の目的をもつ組織的な闘争や運動』『2 ある特定の問題についての啓蒙宣伝活動。また,大がかりな商業宣伝。』(広辞苑第6版)等の意味を有する語として広く知られている。そして,本願商標の指定商品を含む様々な商品分野において,例えば,特定の商品を購入すると抽選等で景品が当たるなどのような商品の宣伝,販売促進のことを『CAMPAIGN』又は『キャンペーン』と称している実情が見受けられる。そうすると,本願商標は,これをその指定商品に使用しても,宣伝,販売促進としてのキャンペーンに係る商品であると認識させるにとどまるとみるのが相当であって,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわざるを得ない。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨,認定,判断し,本願を拒絶したものである。
第3 当審における審尋
請求人に対し,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものとして,平成27年5月26日付けで通知した審尋の内容は,要旨以下のとおりである。
1 本願商標
本願商標は,「CAMPAIGN」の欧文字を横書きしてなるところ,当該文字は,「キャンペーン」と発音される親しまれた英単語であって,外来語としても「社会上・政治上の目的をもつ組織的な闘争や運動。」や「ある特定の問題についての啓蒙宣伝活動。大がかりな商業宣伝。」等(株式会社岩波書店発行 広辞苑第六版)を意味する語として広く知られているものである。
2 認定事実
以下の(1)ないし(16)によれば,本願商標の指定商品を含む様々な商品を取り扱う業界において,商品の販売促進活動の一環として,抽選で景品を提供したり,商品の試供品を提供したりする等の活動が広く行われており,このような商品の宣伝活動において,「campaign」と同じつづりからなる欧文字,あるいはこれを片仮名で表した「キャンペーン」の文字が使用されていることが認められる。
(1)「株式会社ハーティウォンツ」のウェブサイトにおいて,「キャンペーン情報 campaign」の見出しの下,「ウォンツ Wants 殺虫剤キャンペーン!!」,「クルーズコース 抽選でペア10組20名様 12,000円分の銀河ペアランチクルーズ」及び「北海道コース 抽選で20名様 5,000円分のグルメカタログギフト 北海道七つ星ギフト」の各記載がある。
(2)「株式会社キリン堂」のウェブサイトにおいて,「?応募キャンペーン?殺虫剤を買って当てよう♪合計120名様に旅行券やお買い物券が当たる!」,「殺虫剤応募キャンペーン」及び「キャンペーン対象商品 【アース製薬】【金鳥(KINCHO)】【フマキラー】【ライオン】の殺虫剤商品全品が対象です。」の各記載がある。
(3)「株式会社ザグザグ」のウェブサイトにおいて,「殺虫剤でデラックスキャンペーン」及び「期間中ザグザグ各店舗にて,対象商品(アース製薬,金鳥,フマキラーの殺虫剤商品全般)を1品以上含むお買い上げ合計金額ごとに抽選で豪華賞品をプレゼント!」の各記載がある。
(4)「小林製薬株式会社」のウェブサイトにおいて,「サワデー誕生40周年キャンペーン Sawadayを買って応募!総計2,000名様に西内まりやが選んだおうちで使えるグッズプレゼント!Campaign」の記載がある。
(5)「ライオン株式会社」のウェブサイトにおいて,「キャンペーン」の見出しの下,「アーチフィットでTRY!システマキャンペーン 2015年3月25日(水)?5月31(日)当日消印有効 期間中にシステマ対象商品を一定金額以上ご購入・ご応募頂いたお客様の中から抽選で,システマオリジナル岡田准一QUOカードプレゼント致します。」の記載がある。
(6)「エリエール株式会社」のウェブサイトにおいて,「GOO.N かならずもらえる! 愛されてるしるし。キャンペーン グ?ンマークを集めると点数に応じて景品がかならずもらえる!」の記載がある。
(7)「アース製薬株式会社」のウェブサイトにおいて,「キャンペーン一覧」の見出しの下,「モンダミンご愛顧感謝キャンペーン いつもモンダミンをご愛顧いただきありがとうございます。感謝の気持ちをこめて,クイズに正解された方の中から抽選で選べる賞品をプレゼント!」の記載がある。
(8)「キリン株式会社」のウェブサイトにおいて,「キャンペーン」の見出しの下,「バドワイザー 『MADE FOR MUSIC』キャンペーン 応募シールをめくって,豪華音楽グッズを当てよう!抽選で400名様に人気のヘッドホン・イヤホンをプレゼント!」の記載がある。
(9)「いなばペットフード株式会社」のウェブサイトにおいて,「キャンペーン Campaigns」の項に,「『焼』シリーズとチャオちゅーる,プチ・ボーノスープを5袋買って当てよう!チャオで当てチャオ キャンペーン」の記載がある。
(10)「エステー株式会社」のウェブサイトにおいて,「キャンペーン&プレゼント」の見出しの下,「ムシューダで選べるごほうび『カタログギフトプレゼント』キャンペーン チャンスは2回!対象商品のバーコードでお好きなコースを選んでご応募いただくと,絶品グルメや人気ショップの雑貨などのギフトカタログが計250名様に当たります。」の記載がある。
(11)「佐藤製薬株式会社」のウェブサイトにおいて,「キャンペーン」の見出しの下,「ユンケル51文字サポーター大募集!!キャンペーン」及び「ユンケルWEBサイト限定。イチロー選手へあなたの51文字の応援メッセージを届けよう。投稿いただいた方の中から,抽選で素敵な商品をプレゼント!」の記載がある。
(12)「ジョンソン株式会社」のウェブサイトにおいて,「キャンペーン一覧」の見出しの下,「【今だけ限定コラボ!】 ハローキティxバブルくん 必ずもらえるキャンペーン実施中!あの大人気キャラクター“ハローキティ”とスクラビングバブルのブランドキャラクター“バブルくん”が初コラボ!ハローキティがバブルくんそっくりの姿に変身したレアな限定グッズを,『必ずもらえるキャンペーン』と『抽選で当たるキャンペーン』でもらっちゃおう!」の記載がある。
(13)「サントリー株式会社」のウェブサイトにおいて,「SUNTORY オールフリーコラーゲン 発売前 お先に体験キャンペーン」及び「発売前から話題のノンアルコールビールテイスト飲料『オールフリーコラーゲン』を抽選で500名様にプレゼント。」の記載がある。
(14)「株式会社資生堂」のウェブサイトにおいて,「第2弾 400万人体感キャンペーン エリクシール ホワイトのサンプルセットを毎月抽選でプレゼント。先進の美白&エイジングケアをあなたの肌で,ぜひ体感してください。」の記載がある。
(15)「ユニ・チャーム株式会社」のウェブサイトにおいて,「ライフリートップ>キャンペーン」の見出しの下,「ライフリー さわやかパッドでお出かけを楽しもう キャンペーン」及び「ライフリーさわやかパッドで,万が一のトイレの不安に邪魔されず,お出かけを楽しみましょう! 下記のクイズにお答えいただいた方のなかから,抽選で100名様に『ライフリーさわやかパッド80cc』または『ライフリーさわやかパッド男性用80cc』のサンプル(2枚)をプレゼントいたします。」の記載がある。
(16)「株式会社イプサ」のウェブサイトにおいて,「サンプルキャンペーン イプサ公式オンラインショップでキャンペーン対象商品をご購入いただいた方には,季節のおすすめ商品のサンプルをプレゼント」の記載がある。
3 本願商標の商標法第3条第1項第6号の該当性
以上によれば,「campaign」と同じつづりからなる「CAMPAIGN」の欧文字も,商品の宣伝活動において一般的に使用される標章といえるものであって,これを特定の一私人に独占使用させることは,公益上適当とはいえないものである。また,「CAMPAIGN」の欧文字をもって当該商品の出所を識別するための標識として認識するとみるのは,極めて困難であるといわなければならない。
したがって,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわざるを得ないから,商標法第3条第1項第6号に該当する。
第4 審尋に対する請求人の意見
前記第3の審尋に対し,請求人は,平成27年9月4日付け回答書を提出し,要旨以下のように回答した。
1 前記第3の審尋において示されている2(1)ないし(16)の例においては,「CAMPAIGN(campaign)」の欧文字又は「キャンペーン」の片仮名は,いずれも,商品の宣伝活動を行っていることを示すために使用されているにすぎず,商品の出所を表すための識別標識,すなわち,商標として使用されているものではない。
登録商標の独占的な使用権は,あくまでも商標的な使用についてのみ認められるものであるから,仮に「CAMPAIGN」の文字が商標登録されたとしても,商標権の効力は,記述的,説明的な使用には及ばず,何人も自由に使用することが許される。
したがって,「CAMPAIGN(campaign)」「キャンペーン」等の文字が商品の宣伝活動において一般的に使用されている事実をもってしては,本願商標が,需要者が何人かの業務に係る商標であることを認識することができないものとはいえない。
2 本願と同じ時期に,「キャンペーン」の片仮名からなる商標が登録されている。そうすると,本願商標について商標法第3条第1項第6号に該当するとして拒絶査定の判断がなされたのは,前記登録との間で齟齬が生じる。また,前記登録は片仮名からなり,本願商標と文字種が異なるが,それをもって,両者の判断を異にしなければならない特段の事情があるともいえないから,本願商標は,前記登録と同様の判断がなされるべきである。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号の趣旨
商標法は,「商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もつて産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条),商標の本質は,自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり,この自他商品の識別標識としての機能から,出所表示機能,品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは,同項第1号ないし第5号に例示されるような,識別力のない商標は,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,自他商品の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成21年(行ケ)第10270号,平成22年1月27日判決)。
そうすると,商標法第3条第1項第1号から第5号までにおいて例示的に列挙されたもの以外にも,本件審決時において,本願商標がその指定商品に使用された場合に,将来を含め,その需要者において,商品の宣伝活動を行う際に一般的に使用される標章と認識されるものであり,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないと判断されるときは,本願商標は同項第6号に該当するものと解するのが相当である。
2 本願商標の商標法第3条第1項第6号の該当性
当審が発した審尋(前記第3)に対する請求人の意見(前記第4)を踏まえても,なお,本願商標は,審尋において示したとおり,商標法第3条第1項第6号に該当するものと判断する。
すなわち,本願商標は,「CAMPAIGN」の欧文字を横書きしてなるところ,当該欧文字は,「キャンペーン」と発音される親しまれた英単語であって,外来語としても「大がかりな商業宣伝」等(広辞苑第六版)を意味する語として広く知られていること,また,本願商標の指定商品を含む様々な商品を取り扱う業界において,商品の販売促進活動の一環として,抽選で景品を提供したり,商品の試供品を提供したりする等の活動が広く行われており,このような商品の宣伝活動において,「campaign」と同じつづりからなる欧文字,あるいはこれを片仮名で表した「キャンペーン」の文字が使用されていることが認められることからすると,本願商標がその指定商品に使用された場合には,その需要者は,「CAMPAIGN」との欧文字についても,商品の宣伝活動を行う際に一般的に使用される標章と認識するのが通常であるから,これを特定の一私人に独占使用させることは,公益上適当でないと判断せざるを得ない。
したがって,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきであるから,商標法第3条第1項第6号に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は,前記第3の審尋において示されている2(1)ないし(16)の例においては,「CAMPAIGN(campaign)」「キャンペーン」等の文字は,いずれも,商品の宣伝活動を行っていることを示すために使用されているにすぎず,商標として使用されているものではないし,仮に「CAMPAIGN」の文字が商標登録されたとしても,商標権の効力は,記述的,説明的な使用には及ばないから,これらの文字が商品の宣伝活動において一般的に使用されている事実をもってしては,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商標であることを認識することができないものとはいえない旨主張する。
しかしながら,前記1のとおり,本願商標がその指定商品に使用された場合に,将来を含め,その需要者において,商品の宣伝活動を行う際に一般的に使用される標章と認識されるものであり,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないと判断されるときは,本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するものと解するのが相当である。そして,前記第3の審尋で示したとおり,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,「CAMPAIGN(campaign)」「キャンペーン」等の文字が,商品の宣伝活動を行う際に広く使用されていることが認められることからすれば,本願商標もその需要者において,商品の宣伝活動を行う際に一般的に使用される標章と認識されるものであり,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないと判断せざるを得ない。そうである以上,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきである。
したがって,請求人の前記主張は,採用することができない。
(2)請求人は,本願と同時期に登録された商標「キャンペーン」の例を挙げ,本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものであるか否かの判断は,当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて,個別具体的に検討・判断されるべきものであって,請求人主張に係る商標登録例があるからといって,本願商標についての同号該当性の判断が左右されるものではない。
したがって,請求人の前記主張は,採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2015-09-28 
結審通知日 2015-10-06 
審決日 2015-10-21 
国際登録番号 1112120 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 丈晴菅沼 結香子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 小林 裕子
田村 正明
商標の称呼 キャンペーン 
代理人 八木 智砂子 
代理人 塩谷 信 
代理人 宇梶 暁貴 
代理人 勝沼 宏仁 

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