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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201513171 審決 商標
不服2016260 審決 商標
不服201513765 審決 商標
不服20159313 審決 商標
不服201516550 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W07
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W07
管理番号 1315793 
審判番号 不服2015-13403 
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-14 
確定日 2016-05-26 
事件の表示 商願2014-77627拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「オンパセツゴウ」の文字を標準文字で表してなり、第7類「金属加工機械器具,超音波振動を利用した金属接合機を含む金属加工機械器具,化学機械器具,超音波振動を利用した化学機械器具,半田付け機械器具,超音波振動を利用した半田付け機械器具,プラスチック加工機械器具,超音波振動を利用したプラスチック加工機械器具,半導体製造装置,超音波振動を利用した半導体加工機械器具,音波振動を利用した金属接合機を含む金属加工機械器具,音波振動を利用した化学機械器具,音波振動を利用した半田付け機械器具,音波振動を利用したプラスチック加工機械器具,音波振動を利用した半導体加工機械器具」を指定商品として、平成26年9月12日に登録出願されたものである。

2 原査定における拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『オンパセツゴウ』の文字を標準文字で表してなるところ、構成前半の『オンパ』の文字は、『気体・液体・固体などの音の媒質が、発音体の振動を受けて生ずる弾性波動』の意味を有する『音波』の片仮名表記であり、構成後半の『セツゴウ』の文字は、『つぎあわすこと』を意味する『接合』の片仮名表記と認められることから、本願商標は『音波を利用した接合』程の意味合いを容易に認識させるものである。そうすると、本願商標をその指定商品中『音波を利用して接合する金属加工機械器具,超音波振動を利用して接合する金属接合機を含む金属加工機械器具,音波を利用して接合する化学機械器具,超音波振動を利用して接合する化学機械器具,音波を利用して接合する半田付け機械器具,超音波振動を利用して接合する半田付け機械器具,音波を利用して接合するプラスチック加工機械器具,超音波振動を利用して接合するプラスチック加工機械器具,音波を利用して接合する半導体製造装置,超音波振動を利用して接合する半導体加工機械器具,音波振動を利用して接合する金属接合機を含む金属加工機械器具,音波振動を利用して接合する半導体加工機械器具』等に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「オンパセツゴウ」の文字を標準文字で表してなるところ、指定商品との関係からすれば、その構成中の「オンパ」の文字は、「音波」の片仮名表記であり、「気体・液体・固体などの音の媒質が、発音体の振動を受けて生ずる弾性波動」の意味を、「セツゴウ」の文字は、「接合」の片仮名表記であり、「つぎあわすこと」の意味を有する語として理解されるものであり、構成全体として、「音波接合」の漢字を片仮名表記したものであると直ちに認識されるものである。そして、これらの文字は、一連の熟語として、辞書等には掲載されていないものの、超音波を利用して接合することを「超音波接合」と称して一般に使用されている実情(別掲参照:原審における拒絶理由通知において示した事実)があり、また、「超音波」の語は、「振動数が約2万ヘルツ以上で、定常音として耳に聞こえない音波。」(いずれも株式会社岩波書店 広辞苑第六版)の意味を有するものであり、「超音波」は、「音波」の中に含まれるものと理解されることから、「音波接合」の語を「オンパセツゴウ」と片仮名表記した本願商標は、「音波を利用した接合」程の意味合いを認識させるにすぎないものである。
してみれば、「オンパセツゴウ」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品中、「音波を利用して接合する金属加工機械器具,超音波振動を利用して接合する金属接合機を含む金属加工機械器具,音波を利用して接合する化学機械器具,超音波振動を利用して接合する化学機械器具,音波を利用して接合する半田付け機械器具,超音波振動を利用して接合する半田付け機械器具,音波を利用して接合するプラスチック加工機械器具,超音波振動を利用して接合するプラスチック加工機械器具,音波を利用して接合する半導体製造装置,超音波振動を利用して接合する半導体加工機械器具,音波振動を利用して接合する金属接合機を含む金属加工機械器具,音波振動を利用して接合する半導体加工機械器具」に使用しても、これに接する需要者に「音波を利用した接合のための機械器具」であることを表すものと理解、認識させるにとどまり、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、その指定商品中、「音波を利用して接合する金属加工機械器具,超音波振動を利用して接合する金属接合機を含む金属加工機械器具,音波を利用して接合する化学機械器具,超音波振動を利用して接合する化学機械器具,音波を利用して接合する半田付け機械器具,超音波振動を利用して接合する半田付け機械器具,音波を利用して接合するプラスチック加工機械器具,超音波振動を利用して接合するプラスチック加工機械器具,音波を利用して接合する半導体製造装置,超音波振動を利用して接合する半導体加工機械器具,音波振動を利用して接合する金属接合機を含む金属加工機械器具,音波振動を利用して接合する半導体加工機械器具」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、接合の分野において、「超音波」の語と「音波」の語は使い分けされていて、超音波を使用した接合機は多数あったとしても、音波を使用した接合機は、請求人が初めて試みたことであり、請求人のみが使用しているものである。したがって、「オンパセツゴウ」の文字は、直ちに特定の商品の品質を直接的かつ具体的に表示するものとして理解されるのではなく一種の造語として認識されるものである旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項各号に該当する商標であるか否かは、現実の使用の事実が適用の要件となるものではないから、請求人以外に「オンパセツゴウ」の使用例がないとしても、本件の判断が左右されるものではない。
また、「オンパセツゴウ」の文字を請求人のみが使用しているとしても、それをもって、取引者、需要者が上記(1)のとおり「音波を利用した接合」を認識する場合があることを否定されるものではない。
イ 請求人は、拒絶査定において示された「歯ブラシ」や「洗浄器」の分野における実情は、本願の指定商品の分野に当てはまるものではない旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品の分野においては、「歯ブラシ」や「洗浄器」の分野のように超音波以外の音波を利用したものが広く一般的に使用されていないとしても、上記(1)のとおり、「超音波」は、「音波」の中に含まれるものであって、指定商品の分野において「超音波を利用した接合」を「超音波接合」と称し一般に使用されていることからすれば、「音波接合」の語を片仮名表記した「オンパセツゴウ」の文字からは、超音波によるものを含めた「音波を利用した接合」の意味合いを容易に認識、理解するというのが相当である。
ウ したがって、上記ア及びイのとおり、請求人の主張はいずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(原審における拒絶理由通知書において示した事実)
(1)2014/8/18付け「日経産業新聞」9ページに「太陽電池の電極とガラス基板、超音波振動で直接接合、東芝三菱電機、接着剤不要、コスト低減。」のタイトルで、以下の記載があります。
東芝と三菱電機が折半出資する東芝三菱電機産業システムは薄膜太陽電池の電極材料とガラス基板を超音波の振動で接合することができる装置を開発した。はんだなどの接着剤が不要になり、製造コスト低減につながる。既に評価試験を始めており、3年後をめどに20億円の売り上げを目指す。
超音波振動を使った接合は、金属同士の接合に使われるのが一般的。素材表面に圧力と振動を与えて表面層を除去し、原子同士の働きを利用して接合する。バッテリー電極やケーブル端子などに用いられている。
東芝三菱電機は圧力のかけ方や超音波の周波数、接合部にあてる機器の先端形状などを工夫し、ガラスへの衝撃を低減する技術を開発した。ガラスが割れない程度の圧力で金属とガラスを接合できる。(中略)
このほど国内外の太陽電池メーカーと評価試験を始め、来年にも初号機を納入する。価格は1億円前後で、2?3年後をめどに20台の販売を目指す。東芝三菱電機は今後、超音波接合技術を基幹技術とした装置開発を加速する方針。
(2)2010/10/30付け「日本経済新聞」地方経済面に「シンアペックス、超音波接合装置、機能絞り価格半分??半導体部品向け。」のタイトルで、以下の記載があります。
電子機器の開発・販売のシンアペックス(長野県岡谷市、丸山裕之社長)は、半導体部品の配線に使う装置の新製品を開発、販売を始めた。金属を超音波でつなぐ既存製品の機能の一部を絞り込むことで、価格を半分の約200万円に抑えた。配線の工程がある電子部品メーカーの需要を掘り起こす。
2008年に発売した超音波接合装置「SHB?150」の機能を絞った。金属に超音波をあてることで、表面を再結晶化して接合することができる。
(3)2005/11/14付け「日経産業新聞」7ページに「丸文、アルテクスと代理店契約、超音波接合装置を販売??年商30億円目指す。」のタイトルで、以下の記載があります。
半導体商社の丸文は超音波で金属同士を直接接合する装置の販売を始める。超音波金属接合装置を開発・製造するアルテクス(福岡市、佐藤茂社長)と販売代理店契約を結んだ。同装置ははんだを使わないため接続部分の強度が上がり、電気抵抗も少なくて済むという。耐久性と信頼性が求められる自動車向け電子部品製造用を中心に、二〇〇八年度に年間三十億円程度の売り上げを見込む。
超音波接合装置は二十キロヘルツまたは四十キロヘルツの超音波で振動する装置側の部品を、溶着したい部分に押し付ける。溶着したい金属表面の酸化膜を除去し、超音波で原子を活性化することで直接結合させる。はんだを使わないため部品が外れにくく、接合部分の電気抵抗も抑えられる。
(4)2004/9/9付け「日経産業新聞」16ページに「シンテックス、IC実装、超音波振動で??有機EL用など受託生産。」のタイトルで、以下の記載があります。
半導体関連ベンチャーのシンテックス(東京、押真司社長、03・5735・0300)は携帯電話の液晶画面などに使うフィルム状基板に対するIC(集積回路)実装の受託生産事業を始める。回路線幅の微細化に対応できるとして導入が広がり始めた超音波接合技術を採用。新たな事業の柱に育てる。(中略) フィルム状基板へのIC実装は現在、異方性導電膜(ACF)と呼ぶ接続材料を使う方式などが主流。シンテックスはこれとは異なり、接続突起に金、回路配線に金メッキを施した銅を使い、これらを超音波振動によって接合する方式を使う。
(5)2003/10/7付け「日経産業新聞」1ページに「東レエンジ、LSI、電極10倍??チップ、超音波接合。」のタイトルで、以下の記載があります。
東レエンジニアリングと精密機器製造のアルテクス(福岡市、佐藤茂社長)は、超音波を使ってLSI(大規模集積回路)チップを回路基板に直接接合する実装機器を開発した。はんだを熱で溶かす従来方式に比べて半分の電極間隔でも接合でき、電子機器の大幅な小型軽量化につながる。今月中に出荷を始め、半導体メーカーなどへの納入を目指す。
新開発の「フリップチップボンダー」は、アルテクスの持つ超音波に関する特許を基に共同開発した。超音波でチップを振動させ、チップと基板の間に生じた摩擦を利用し電極同士を接合する。
超音波接合は二十?三十マイクロ(マイクロは百万分の一)メートルの電極間隔での接合が可能。従来の方法では四十マイクロメートルが限界で、同じ大きさのLSIなら従来の十倍以上の電極があっても基板と接合できる。加工時間も十分の一の〇・五秒で済むほか、接合時に高熱を生じて基板が劣化する心配もない。
超音波接合の技術は電池などでは利用されていたが、LSIのような微細な回路を傷つけずに振動を制御するのが難しかった。新開発の装置は、超音波発生装置がたわまないように発生装置を支える構造を工夫。超音波によって発生する振動を均一に伝達できるようにし、LSIや基板を傷つけないようにした。

審理終結日 2016-03-23 
結審通知日 2016-03-29 
審決日 2016-04-11 
出願番号 商願2014-77627(T2014-77627) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (W07)
T 1 8・ 13- Z (W07)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新井 裕子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 酒井 福造
豊泉 弘貴

商標の称呼 オンパセツゴウ、オンパセツゴー 
代理人 丸林 敬子 

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