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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 W44
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 W44
管理番号 1315781 
審判番号 不服2015-9100 
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-05-15 
確定日 2016-06-13 
事件の表示 商願2014-62915拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「大手町温泉」の文字を標準文字で表してなり、第44類「温泉施設の提供,美容,理容,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり」を指定役務として、平成26年7月28日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『大手町温泉』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『大手町』の文字は、『東京都千代田区東部の地区』である地名を容易に想起させるものであるから、本願商標は、全体として『大手町にある温泉』の意味合いを生ずるものである。そして、東京都千代田区大手町においても温泉が湧き出たという事実が認められる。以上によれば、『大手町温泉』の文字を普通に用いられる方法で書してなる本願商標を、その指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、『大手町にある温泉施設の提供、大手町にある温泉施設で提供される役務』であること、すなわち、役務の質(内容)、役務の提供場所を表示したにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、本願の指定役務との関係で、本願商標が出願人の提供に係る役務を表示するものとして需要者及び取引者の間で広く認識されているものと判断することができず、独占適応性を満たすものと判断することもできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「大手町温泉」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「大手町」の文字は、「東京都千代田区東部の地区」等の意味を有する語であり、「温泉」の文字は、「地熱のために平均気温以上に熱せられて湧き出る泉。」及び「それを利用した浴場」等の意味(いずれも、株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)を有する語であるから、「大手町温泉」の文字からは、「大手町の温泉及び大手町の温泉浴場」程の意味合いを容易に想起されるものである。
そうとすれば、「大手町温泉」の文字からなる本願商標をその指定役務中、「温泉施設の提供」に使用したときは、役務の提供の場所及び提供の用に供するものを普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項について
請求人は、本願商標は需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものである旨主張し、原審及び当審において証拠方法として、第1号証ないし第111号証を提出(枝番を含む。以下、同じ。その他、「第36号証」は、番号が重複して表示されているため、後出の「第36号証」を「第36号証-2」とする。)しているところ、それらの各号証及び職権による調査から、以下のことが認められる。
請求人は、「大手町連鎖型都市再生プロジェクト第3次事業」として、東京都千代田区大手町の再開発事業敷地内(日本政策投資銀行本店ビルなど3棟を解体)において掘削作業を行い、平成26年7月に温泉を掘り当てている。
また、湧出した湯は、公益財団法人中央温泉研究所の温泉分析によって温泉として認定を受けており、請求人は、源泉名を「大手町温泉」と名付けた。
そして、2016年春頃には、請求人による「大手町温泉」を利用した宿泊できる温泉入浴施設等が完成予定である旨の報道等が、新聞、テレビ、ラジオ及びウェブサイトにおいて多数された(第4号証ないし第26号証及び第36号証-2ないし第62号証。)。
例えば、平成26年7月15日付け日本経済新聞において、「東京『大手町温泉』掘削完了 三菱地所、旅館で利用」の見出しの下、「三菱地所は15日、東京・大手町で温泉の掘削が完了したと発表した。今春工事を始め、地下1500メートルからの湧出を確認した。2016年春に完成する再開発ビルに入居するフィットネス施設と、旅館で利用する。地震などの災害時は復旧作業員らが臨時に使えるよう開放する予定だ。源泉名は『大手町温泉』とした。公益財団法人中央温泉研究所に温泉分析を依頼、このほど認定を受けた。泉温は36.5度で毎分240リットルをくみ上げることができ、神経痛や打撲などに効果があるという。温泉掘削は三菱地所が大手町で進める再開発事業の一環。日本政策投資銀行本店ビルなど3棟を解体し、高層オフィス棟と星野リゾートが運営する純和風の旅館『星のや 東京』が入る中層の宿泊棟を建設している。20年の東京五輪を見据え、外国人観光客に日本ならではの魅力を発信できる空間にするという。」と記載された(第8号証)。
さらに、2015年10月13日付の請求人によるプレスリリースにより、東京都千代田区大手町で開発を進めているオフィスビル「大手町フィナンシャルシティ グランキューブ」(2016年4月竣工予定)に入居する施設内の大浴場で「大手町温泉」が利用できることを発表した(第66号証)。
そして、「大手町温泉」を利用した温泉施設が実際の開業を間近に控えていることを受けて、全国放送のテレビ番組や新聞等の各種メディア及びウェブサイトにおいて、「大手町温泉を利用した温泉施設の提供」が平成28年5月に開始されることが、数多く取り上げられた(第67号証ないし第101号証)。
例えば、2015年10月13日付け共同通信ニュースにおいて、「◎一般利用は1回1500円 大手町温泉、来年5月開業」の見出しの下、「三菱地所は13日、東京・大手町で進めている再開発事業で掘り当てた『大手町温泉』の利用概要を発表した。建設中の高層複合ビル『大手町フィナンシャルシティ グランキューブ』に入居するフィットネス施設の大浴場で温泉を使う。会員以外は浴場利用は税抜きで1回1500円。来年5月開業の予定だ。」と記載された(第69号証)。
さらに、職権調査によっても、2016年(平成28年)4月19日付け「住宅新報」(4頁)に、「大手町『グランキューブ』商業、5月9日開業温泉利用のフィットネスも」の見出しの下、「三菱地所は、東京・大手町で開発中の『大手町フィナンシャルシティグランキューブ』(4月竣工)の商業ゾーン(1階、地下1階)を5月9日にグランドオープンする。・・・フィットネスは敷地内で掘削・湧出した大手町温泉を利用し、エリア就業者や皇居ランナー のサポート、トレーニング機能やリラクゼーションなど充実のオフタイムを提供する施設となる。」と記載された。
以上のとおり、「大手町温泉」の文字は、請求人が「温泉施設の提供」について使用する商標として、広く、宣伝広告等された結果、審決時において、全国的に知られているに至っているものとみるのが相当である。
他方、「大手町温泉」の名称のもとで温泉施設の提供を行っているのは、請求人以外は見あたらないものであり、請求人が湧出させた温泉を指称すること以外で、「大手町温泉」の名称で営業されている事実も発見できない。
そうとすると、本願商標は、「大手町の温泉及び大手町の温泉浴場」程の意味合いを想起させるとしても、前記のとおり、請求人が「温泉施設の提供」に使用する商標として広く知られていること、及び、「大手町温泉」の文字は、請求人以外の者による使用がないこと等を総合して考慮すれば、その指定役務中「温泉施設の提供」について、需要者が請求人の業務に係る役務であることを表すものと認識することができるに至ったと判断するのが相当である。
また、「温泉施設の提供」以外の本願の指定役務「美容,理容,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり」と、「大手町温泉」の文字との関係においては、直ちに役務の提供場所や質を直接的に表したものとはいえず、自他役務の識別標識として機能し得るものというのが相当である。
したがって、本願商標は、その指定役務中「温泉施設の提供」ついて、商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、同法第3条第2項の要件を具備するものであり、「美容,理容,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり」については、商標法第3条第1項第3号に該当しないものである。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、その指定役務中、「温泉施設の提供」について、商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、同第3条第2項の要件を具備するものであるから、原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2016-05-24 
出願番号 商願2014-62915(T2014-62915) 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (W44)
T 1 8・ 17- WY (W44)
最終処分 成立  
前審関与審査官 吉沢 恵美子 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 大井手 正雄
田中 亨子
商標の称呼 オーテマチオンセン 
代理人 土生 真之 
代理人 中村 仁 
代理人 大塚 啓生 

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