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審決分類 審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない W09
審判 査定不服 観念類似 登録しない W09
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W09
審判 査定不服 外観類似 登録しない W09
管理番号 1315775 
審判番号 不服2015-9098 
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-04-23 
確定日 2016-05-20 
事件の表示 商願2014-68694拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類「空気清浄装置を備えた科学実験用ヒュームフード,実験室用クリーンベンチ,その他の理化学機械器具」を指定商品として、平成26年8月1日に登録出願されたものである。
そして、その指定商品については、原審における平成26年12月11日付け手続補正書により補正された結果、第9類「空気清浄装置を備えた科学実験用ヒュームフード,実験室用クリーンベンチ」となったものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録第1182986号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和46年2月3日に登録出願、同50年6月6日に登録査定され、第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同51年2月2日に設定登録されたものであり、その後、3回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がされ、また、平成18年9月13日に指定商品を第9類「理化学機械器具」を含む、第1類、第5類、第9類、第10類及び第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、前記1のとおり、黒色と薄い灰色で彩色された3本の波線状の図形及びややデザイン化されたゴシック体風の書体で黒色に彩色された「ORIENTAL」の欧文字を上下に配してなり、その構成は、上段と下段が異なる態様からなるものであることから、視覚上、図形部分と文字部分とに分離して看取し得るものである。
また、本願商標の構成中、その図形部分を構成する3本の波線状の図形は、直ちに特定の事物を想起させるものではないから,これよりは特定の称呼及び観念を生じないものであり、一方、その文字部分を構成する「ORIENTAL」の語は、「東洋の」の意味を有する英語であって、本願の指定商品の分野において、商品の品質等を理解させるものではないから、自他商品の識別標識としての機能を有するものである。
そうすると、本願商標は、これを構成する図形部分と文字部分とに観念上の結びつきはなく、また、図形部分も文字部分も、それぞれ、自他商品の識別力を有するものとみるのが相当であり、両部分を分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているということはできない。
したがって、本願商標は、その構成中の図形部分と文字部分とを分離して観察することができるものであり、当該文字部分を要部として抽出し、これを引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきであるから、本願商標は、その構成中「ORIENTAL」の文字部分に相応して、「オリエンタル」の称呼及び観念を生じる。
イ 引用商標について
引用商標は、前記2のとおり、右肩上がりに上から茶色、黄色、緑色で彩色された縦長の楕円図形を三重に配した図形及びゴシック体風の書体で黒色に彩色された「ORIENTAL」の欧文字を上下に配してなり、その構成は、上段と下段が異なる態様からなるものであることから、視覚上、図形部分と文字部分とに分離して看取し得るものである。
また、引用商標の構成中、その図形部分を構成する彩色された三重の楕円図形は、直ちに特定の事物を想起させるものではないから,これよりは特定の称呼及び観念を生じないものであり、一方、その文字部分を構成する「ORIENTAL」の語は、「東洋の」の意味を有する英語であって、引用商標の指定商品中の理化学機械器具の分野において、商品の品質等を理解させるものではないから、自他商品の識別標識としての機能を有するものである。
そうすると、引用商標を構成する図形部分と文字部分とに観念上の結びつきはなく、また、図形部分も文字部分も、それぞれ、自他商品の識別力を有するものとみるのが相当であり、両部分を分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているということはできない。
したがって、引用商標は、その構成中の図形部分と文字部分とを分離して観察することができるものであり、当該文字部分を要部として抽出し、これを本願商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきであるから、引用商標は、その構成中「ORIENTAL」の文字部分から、「オリエンタル」の称呼及び観念を生じる。
ウ 本願商標と引用商標の類否について
本願商標は、前記アのとおり、3本の波線状の図形と「ORIENTAL」の文字からなるものであり、引用商標は、前記イのとおり、彩色された三重の楕円図形と「ORIENTAL」の文字からなるものであるから、両商標は、その構成全体としての外観は相違する。
次に、本願商標と引用商標は、前記ア、イのとおり、いずれも、その文字部分を要部として抽出し、互いを比較することができるものであるから、両商標は、それぞれから生じる「オリエンタル」の称呼及び観念において同一である。
してみれば、本願商標と引用商標とは、全体としての外観は相違するが、それぞれの図形部分と文字部分が分離、観察されて、当該文字部分から生じる「オリエンタル」の称呼及び観念を同一にするものであるから、これが同一又は類似の商品に使用された場合、これに接する取引者、需要者は、商品の出所について誤認混同を生じるおそれがあるというのが相当である。
したがって、本願商標は、引用商標と類似する商標である。
エ 本願の指定商品と引用商標の指定商品の類否について
本願の指定商品「空気清浄装置を備えた科学実験用ヒュームフード,実験室用クリーンベンチ」は、別掲3のとおり、前者が、化学的な研究・実験において、実験対象により発生する化学物質を除去して排気するための専用の装置、後者が、その作業環境への埃や雑菌の混入を防ぎ、無菌状態で作業するための装置であり、いずれも、化学的な研究又は実験のための機械器具であって、専らその研究者又は実験者によって使用されるものである。また、両商品は、引用商標の指定商品中、自然科学の研究用又は実験用に専ら使用される機械器具である「理化学機械器具」とは、その用途及び需要者を共通にし、生産販売部門を共通にする場合も多いといえる。
そうすると、本願の指定商品と引用商標の指定商品中の「理化学機械器具」に同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者がこれら商品を同一営業主の製造又は販売に係るものと誤認混同を生じるおそれがあるというのが相当である。
したがって、本願の指定商品と引用商標の指定商品とは、同一又は類似するものである。
オ 小括
以上からすれば、本願商標と引用商標とは、類似する商標であり、その指定商品も同一又は類似するものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標と引用商標は、いずれも文字と図形とを組み合わせた結合商標であるから、文字と図形を分離して使用できるものではなく、また、本願商標と引用商標における図形部分も商標の要部を構成する一つであり、それぞれの図形部分は、著しく異なる形状であるから、両者は確実に識別され、さらに、「文字と図形の組み合わせ」として出願した結合商標の場合は、文字部分に識別力が存在しない場合であっても、図形部分に登録要件があると判断される場合は、既に登録されている第三者の登録商標と非類似の図形であれば、その登録が認められるものであるから、本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、前記(1)のとおり、本願商標と引用商標は、共に、図形部分と「ORIENTAL」の文字部分からなる結合商標であるところ、「ORIENTAL」の語は、本願の指定商品及び理化学機械器具の分野において、商品の品質等を理解させるものではないから、本願商標及び引用商標の構成中「ORIENTAL」の文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を有するものである。そして、両商標は、その構成中の図形部分と文字部分とを分離して観察し、商標の類否を判断することが許されるものであることに加えて、簡易迅速を尊ぶ商取引の実際においては、一般に商標の構成全体のうち、記憶しやすい文字部分に着目し、これより生じる称呼及び観念をもって取引を行う場合があることは、経験則に照らし、自然なことといえるものであり、また、本願商標と引用商標は、共に、図形部分から特定の称呼及び観念を生じないものであって、「ORIENTAL」の文字部分から同一の称呼及び観念を生じるものである。
そうすると、本願商標と引用商標は、その構成中の図形部分のみを比較した場合には、両図形が明らかに異なる構成からなるとしても、独立して出所識別標識としての機能を果たし得る文字部分から生じる称呼及び観念は同一であるから、両商標が同一又は類似の商品に使用された場合、これに接する取引者、需要者は、商品の出所について誤認混同を生じるおそれがあるというべきである。
したがって、本願商標と引用商標とは類似する商標というべきである。
よって、請求人の上記主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本願商標(色彩は原本参照)


2 引用商標(色彩は原本参照)


3 本願の指定商品について
(1)「空気清浄装置を備えた科学実験用ヒュームフード」について
ア 「ヤマト科学株式会社」のウェブサイトにおいて、「試験研究設備 ヒュームフード(ドラフトチャンバー)」の見出しの下、「ヒュームフード(ドラフトチャンバー)とは、研究者や実験者を有害物質から保護することを目的とした局所排気装置で、危険物質や有害物質の封じ込め機能と排気機能を有した囲われた作業空間を持っている製品です。 安全のため、実験内容、使用薬品に基づき、風量、形状、材質を選定することが重要です。」の記載がある。
http://www.yamato-net.co.jp/product/laboratory/fumehood/
イ 「株式会社テックジャム」のウェブサイトにおいて、「ヒュームフードとは?」の見出しの下、「ヒュームフードの用語解説 各実験室で、研究者の作業性・安全性・快適性を大きく左右するのがヒュームフードです。ヒュームフードは薬品を用いた化学反応、装置を組んだ各種実験を行う際に発生する侵蝕性の高い有害ガスや悪臭が実験室内に流出することなく、効率よく外部へ排出させることを目的とした装置です。」の記載がある。
http://www.tech-jam.com/dictionary/hume-food.phtml
ウ 「weblio辞書」のウェブサイトにおいて、「ウィキペディア」の項に、「ドラフトチャンバー ドラフトチャンバーとは、化学実験などで有害な気体が発生するときや、揮発性の有害物質を取り扱うとき、もしくは有害微生物を扱うときに安全のために用いる局所排気装置の1種。一般的には単にドラフトもしくはドラフト装置、俗に排チャン、ドラチャンと呼ばれる。英語ではfume hoodまたはfume cupboardと呼ばれており、日本国内においても国際的な環境安全教育の観点からヒュームフードと呼ぶことを推奨する見解がある。」の記載がある。
http://www.weblio.jp/content/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC
(2)「実験室用クリーンベンチ」について
ア 「goo辞書」のウェブサイトにおいて、「クリーンベンチ【clean bench】」の項に、「防塵(ぼうじん)台。作業対象物に空気中や周囲のちりが付着しないように管理された作業台。・・・出典:デジタル大辞泉」の記載がある。
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/63968/meaning/m0u/
イ 「研究.net」のウェブサイトにおいて、「研究用語辞典」の見出しの下、「クリーンベンチ」の項に、「【クリーンベンチとは】 クリーンベンチとは細胞や微生物を取り扱う際に、埃や雑菌の混入(コンタミネーション)を防ぎ、無菌状態で作業するための装置です。安全キャビネットが、装置内部の菌や微生物が空気中に漏れることを防ぐ装置であるのに対して、クリーンベンチは外部の雑菌が装置内に入ることを防ぎます。」及び「【クリーンベンチの実用動向】 医薬品分野では微生物の培養、細胞培養、医薬品の調整に用いられ、化成品分野では半導体、液晶、電子部品、精密機器の作製などに用いられます。」の記載がある。
http://www.kenq.net/dic/73.html
ウ 「weblio辞書」のウェブサイトにおいて、「製造業技術用語集」の項に「クリーンベンチ・・・クリーンベンチとは、規定の空気清浄度を保つようにした囲い付きの作業台のこと。」、「バイテク用語集」の項に「クリーン・ベンチ・・・無菌実験台ともいう。ウイルス、大腸菌、培養細胞などの取扱いにおいて、外部からの雑菌の混入、外部への生物汚染を防ぐ工夫がされている実験台。」及び「ウィキペディア」の項に「クリーンベンチ・・・クリーンベンチ(clean bench, laminar flow cabinet)とは、生物学、生化学的な研究に用いられる、埃や環境微生物の混入(コンタミネーション)を避けながら作業を行う(無菌操作)ための装置である。」の記載がある。
http://www.weblio.jp/content/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%81
(3)本願の指定商品と理化学機械器具との関係について
ア 「計測器・理化学機器専門の販売サイト 株式会社テックジャム」のウェブサイトにおいて、「理化学機器カテゴリの販売商品一覧」の見出しの下、「理化学機器カテゴリで販売している商品のご紹介」として、「理化学機器では、超音波洗浄器、恒温水槽、グローブボックスなどの汎用理化学機器や、オートクレーブ、ドラフトチャンバー、クリーンベンチ、電気炉、乾燥炉などの理化学実験装置や、ポンプや粉砕器、分中器など理科実験機器など、幅広い科学機器・研究機器を紹介しております。」の記載があり、また、「理化学機器カテゴリの小カテゴリ一覧」中、「ドラフト装置の小カテゴリ一覧」の項には、「ヒュームフード販売価格一覧」の記載がある。
http://www.tech-jam.com/science-equipment/index.phtml
イ 「トラステックアース株式会社」のウェブサイトにおいて、「サービス/製品一覧」の見出しの下、「理化学機器」の項に、「ドラフトチャンバー、クリーンベンチ、クリーンブース、スクラバー、薬品棚、殺菌庫等を製造しています。」及び「【ドラフトチャンバー】 化学実験等において、有害な気体・微生物が発生する時に、安全のために用いる排気装置です。前面が上下にスライドするガラス窓となっており、少し開けて、下から手を入れて実験操作を行うことができます。」の記載がある。
http://trustec-e.co.jp/service.html
ウ 「株式会社ホンダ」のウェブサイトにおいて、「事業案内・取扱商品」の見出しの下、「理化学用品及び計測器」の項の「汎用理化学機器・器具」の欄に、「ビーカー類などガラス器具(特注品も扱います。)、クリーン手袋などの汎用理化学品、クリーンベンチ、ドラフトチャンバー、実験台、電気炉、各種スターラー、攪拌機、乾燥器、純水製造装置、ロータリーエバポレーター、オートクレーブなどさまざまな業種の研究部門へ納入させていただいております。」の記載がある。
http://www.k-honda.co.jp/product/chemistry.html
エ 「エドガワレイテック株式会社」のウェブサイトにおいて、「営業品目」の見出しの下、「理化学製品・実験装置の設計製造販売」の項に、「純水装置、クリーンベンチ、ドラフトチャンバー、スクラバー」の記載がある。
http://www.edogawa-reitec.com/company.html
オ 「実験用品・理化学機器.net supported by ASKUL」のウェブサイトにおいて、「実験器具・消耗品」、「実験機器・分析検査用品」と並んで「実験室設備・クリーンルーム」の項があり、同項に、「ドラフト/ヒュームフード」及び「クリーンベンチ」が紹介されている。
http://jikken-goods.net/search/c1=40/c2=100/c3=480/c4=5050
http://jikken-goods.net/search/c1=40/c2=100/c3=480/c4=5030
カ 「三和理工有限会社」のウェブサイトにおいて、「事業内容のご紹介 ?理化学機器?」の見出しの下、「理化学機器」の項の「実験室設備」の欄に、「クリーンベンチ」及び「ドラフトチャンバー」の記載がある。
http://www.sanwariko.co.jp/scientific.html


審理終結日 2015-12-10 
結審通知日 2015-12-18 
審決日 2016-03-30 
出願番号 商願2014-68694(T2014-68694) 
審決分類 T 1 8・ 264- Z (W09)
T 1 8・ 263- Z (W09)
T 1 8・ 262- Z (W09)
T 1 8・ 261- Z (W09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊田 純一矢代 達雄 
特許庁審判長 堀内 仁子
特許庁審判官 根岸 克弘
小松 里美
商標の称呼 オリエンタル 

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