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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y29 |
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管理番号 | 1315753 |
審判番号 | 取消2013-300830 |
総通号数 | 199 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2016-07-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2013-10-01 |
確定日 | 2016-05-31 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4898860号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4898860号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4898860号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおり「傳右ェ門」の文字を筆書き風に縦書きしてなり、平成16年10月29日に登録出願、第29類「加工水産物,肉のつくだに,果実の漬け物,めんま,野菜の缶詰及び瓶詰,野菜の漬物,なめ物」を指定商品として、同17年10月7日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、平成25年10月23日である。 第2 請求人の主張 請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由を請求書、弁駁書及び口頭審理陳述要領書をもって要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 弁駁の理由 (1)本件請求の成否は、請求の登録の日から遡って3年間の間(以下「要証期間」という場合がある。)に被請求人が本件商標を現実に「使用」していたか否かによって決せられるが、被請求人は、本件商標を巡る民事訴訟やその他の被請求人と請求人との交渉の経緯等を云々するのみであり、何ら、被請求人の本件商標の使用の事実について証明しないため、被請求人の答弁に理由がないことは明らかである。 (2)商標法第50条第1項の要件該当性は、商標権者による当該商標の「現実の使用」の有無によって定まるものであり、被請求人が民事訴訟において自らが本件商標の商標権者であると主張し、請求人に対して本件商標の使用差止め等を求めることが、前記の「現実の使用」に当たるものではない。 (3)被請求人は、請求人による平成22年9月以降の本件商標の使用を、被請求人の使用許諾に基づく使用であって、商標法第50条第1項にいう被請求人の「使用」に当たるとの主張であるが、被請求人は、名古屋地方裁判所半田支部平成25年(ワ)第6号商標権侵害差止等請求事件の訴状において自ら主張しているように、請求人の平成22年9月以降の本件商標の使用は、被請求人の使用許諾に基づくものではない(乙21)。 したがって、被請求人の前記主張に理由がないこともまた明白である。 なお、請求人は、被請求人に対し、商標使用料として何らかの金員を支払った事実はない。請求人が被請求人藤田敏文(以下「被請求人F」という。)に平成22年3月まで支払ってきたものは、商品販売委託契約に基づく販売委託料であり(乙21)、請求人が被請求人伊藤尚代(以下「被請求人I」という。)に平成23年4月まで支払ってきたものは、請求人の社員としての役員報酬ないし従業員としての給与である(乙8及び乙9)。 また、被請求人Iが平成22年12月3日まで請求人の社員であったことによって、同日までの請求人による本件商標の使用を被請求人Iによる本件商標の使用と同視することができることにはならない。 (4)被請求人は、被請求人Fが平成22年8月20日以降も在庫のある限り商品を販売し、本件商標を自ら使用していたと主張するが、被請求人は、当該事実を証明すべき証拠を提出していない。 (5)答弁書4頁第3項(2)記載の、被請求人と信濃産業株式会社(以下「信濃産業」という。)」との合意内容を証する証拠も提出されていない。実際には、被請求人と信濃産業との間には、本件商標の使用等に関して何らの取り決めもなく、請求人と信濃産業との間で覚書(甲3)が取り交わされたのみである。 (6)以上のとおり、被請求人は、要証期間における被請求人による本件商標の使用の事実を証明することができないことが明らかであるから、本件商標は速やかに取り消されるべきである。 3 口頭審理陳述要領書における主張 (1)乙第4号証ないし乙第7号証について 本件審判の請求に係る指定商品は、前記第1のとおりである。しかしながら、乙第4号証ないし乙第7号証は、いずれも商品「醤油」のために準備されたラベル若しくはパンフレットである。よって乙第4号証ないし乙第7号証は、これらが使用の事実を示しているか否か、もしくは要証期間であるか否かを問わず、証拠として不適切であることは明白である。 (2)乙第12号証ないし乙第16号証の各写真について 被請求人は、「上記写真に示す商品が要証期間内に販売されていたことを示すレシートは、(ア)乙12は乙53、(イ)乙13は乙54、(ウ)乙14は乙55」と述べている。しかしながら、乙第53号証は溜り醤油、乙第54号証は味噌についてのレシートであるから、本件商標の指定商品についての使用に当たるものではない。 また、乙第55号証は「デンエモンなめたけ」とあることから、本件商標の指定商品に含まれているものと推測されるが、これに対応する乙第14号証を見ても、いずれが当該商品か判然としない。 そもそも、乙第12号証ないし乙第16号証の写真について、被請求人自身が「上記写真について、物理的に商品を発送し代金を受領しているものは請求人に他ならない」と自認しているとおり、当該商標の使用者は、商標権者・専用使用権者・通常使用権者のいずれでもないから、乙第12号証ないし乙第16号証の写真は「本件商標がその指定商品について商標権者、専用使用権者又は通常使用権者によって要証期間内に使用されていることを具体的に示す証拠」には当たらない。 なお、請求人が専用使用権者・通常使用権者のいずれにも当たらないことは、上記2(3)のとおりである。よって、これらの写真が、その不明瞭さ・不適切さに拘らず、仮に「本件商標がその指定商品について要証期間内に使用されていることを具体的に示す証拠」に当たるとしても、当該商標の使用者が、商標権者・専用使用権者・通常使用権者のいずれでもない以上、乙第12号証ないし乙第16号証の各写真をもってしても、使用の事実は証明し得ないものである。 第3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を審判事件答弁書、答弁書(2)、口頭審理陳述要領書、口頭審理陳述要書(2)ないし(6)(以下、「口頭審理陳述要領書、口頭審理陳述要書(2)ないし(6)」を一括して、単に「口頭審理陳述要領書」という。)において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第67号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 審判事件答弁書における主張 (1)商標権者について 本件商標権は、被請求人I及び被請求人Fの共有にかかるものである。 (2)請求人ついて 請求人の合名会社伊藤商店(以下「伊藤商店」という場合がある。)の持分権者は、その代表役員である伊藤冨次郎、社員である伊藤いね子及び被請求人Iの3名である。被請求人Iは平成6年11月30日に請求人の社員となり、同年12月6日にその旨の登記をなした(乙1)。この時期に被請求人Iが請求人の社員となったのは、この時期に請求人と被請求人が取消2013-300826号事件における商標権(以下「別件商標権」という。)について通常使用権設定許諾契約を口頭で締結したからである。 (3)本件商標の使用商品について 本件商標権の使用の対象となる商品は「なめたけ」の瓶詰であり、その製造は請求人ではなく、信濃産業である。信濃産業の製造した商品の販路及び信濃産業と被請求人の合意は次のとおりである。 ア 被請求人は本件商標を付した商品の製造を信濃産業に委託して、信濃産業は本件商標を付した商品を製造し、請求人及び被請求人以外に本件商標を販売しないことを約する。 イ そして、信濃産業は上記瓶詰を請求人に納入する。 ウ 請求人は信濃産業から納品を受けた瓶詰については被請求人との使用許諾契約(後記(4)ア)に基づき、「エスポア藤田」(被請求人Fの店舗)の指定した顧客或いは「エスポア藤田」にのみしか販売しない。委託を受けて被請求人Fが販売したときのマージンは、上代価格の20%を上限とする。また、「エスポア藤田」自らはネット販売及び店頭販売によって請求人から一旦仕入れて販売した商品については「エスポア藤田」の指示した顧客に請求人が納品し、被請求人Fは請求人からの仕入額と被請求人の販売額との差額を自己の利益とする。請求人の納品した商品を顧客に売却する。 (4)請求人と被請求人との間の通常使用権設定契約の拡張について ア 請求人と被請求人は平成6年11月頃、口頭で別件商標権について、通常使用権設定契約を締結し、平成17年10月以降この口頭の契約をなめたけの瓶詰にも拡張して適用した。これにより、被請求人は信濃産業の製造する商品にも本件商標を付して販売することが可能となったが、請求人は被請求人Fとの販売委託契約により専ら被請求人Fに委託し、請求人が販売する商品についてのみしか本件商標を付してはならないとの拘束を受けていた。また、被請求人Iもこの契約内容に基づいて使用許諾契約に同意していた。 イ 請求人と被請求人Fとの間の通常使用権設定契約に基づく使用料は、別件商標と本件商標を含めて月額20万円との約定であった。また、被請求人Fと請求人との間の販売委託契約は、被請求人Fが本件商標を付して請求人製造にかかる商品を販売し、その商品の上代価格の20%を被請求人Fに支払っていた。集計表(乙3)は、請求人が作成したものであり、その内容は被請求人Fに対する支払い額である。年月の右側が使用料の支払い、その右側2つが委託販売手数料の支払いである。平成22年の1年間分は請求人は使用の対価を支払っていた。 ウ 被請求人Fは請求人から仕入れた請求人製造にかかる商品を自ら販売していた。乙第4号証ないし乙第7号証は、その販売に際して被請求人F自らが使用していたラベル及びパンフレットであり、そこに記載されているホームページアドレス及び電話、FAX番号は被請求人Fの店舗(エスポア藤田)のアドレス、電話、FAXの番号である。ホームページ代、TEL代、FAX代は被請求人Fが支払っていた。このように被請求人Fは平成22年末頃まで本件商標を自ら使用していた。 なお、乙第4号証ないし乙第7号証のラベルやパンフレットには請求人名も記載されているが製造元としての記載にすぎない。 エ 被請求人Iについては、請求人の社員であるから、通常使用権設定契約に対する対価である使用料は、請求人から被請求人Iに対して支払われる給与ないし社員報酬に含まれていた。 乙第8号証は、平成18年から平成23年までの請求人の賃金台帳中、被請求人Iに対する部分であるが、これにより平成23年4月分まで請求人は被請求人Iに対して使用料を含む給与を支払ったうえで本件商標を使用していたことがわかる。すなわち、被請求人Iは、請求人に本件商標を使用させて、平成23年4月までその対価を得ていたのである。 また、乙第9号証の1ないし6は、上記賃金台帳に対応する年間の請求人が支払った社員報酬の内訳である。数値は、正確には乙第8号証と一致する訳ではないが、会社の決算期は毎期9月1日から翌年8月31日までであるから、請求人は平成22年9月1日から平成23年8月31日までの報酬として被請求人Iに社員報酬を支払っていたことがわかる。この社員報酬は被請求人Iの有する別件商標権、本件商標権の使用対価も含むものである。 オ 被請求人Fに対する本件商標使用に対する使用料の支払い状況については、平成22年に180万円が支払われている(乙3)。 しかし、平成22年夏頃から平成23年夏頃まで請求人と被請求人Fとの間では、請求人が本件商標を被請求人の許諾を得たうえで使用していることを前提として、円満解決すべく交渉が進められており、最終的には平成23年7月11日付で請求人から被請求人Fに和解案が送付されている。その内容は、被請求人Fが別件商標権者であること、請求人は被請求人の許諾を得て本件商標を使用し得ること、本件商標使用の対価は無償とすることを内容としている(乙10の1、第4条)。 被請求人Fは請求人の上記和解案を拒絶したが、請求人はおそくとも平成23年7月11日までは被請求人Fの許諾のもとに本件商標を使用していたことを自ら認めていたものである。 (5)本件商標の係争の原因と現状 ア 請求人は平成22年8月20日付書面で、被請求人Fに対して平成6年から続いた販売委託契約を解除する旨通知した(乙11)。しかし、この解除通知には本件商標使用契約を解除する等の内容は含まれていない。事実請求人はその後も本件商標の使用を現在まで続けている(乙12ないし乙16)。そして上述のとおり請求人は、被請求人Iには少なくとも翌平成23年4月分まで使用料を支払っており、平成23年7月11日付文書(乙10の1)では被請求人Fの許諾の下に本件商標の使用をしているのみであることを請求人自らが認めている。その後も請求人は被請求人の有する本件商標権を平成6年及び平成17年の使用許諾に基づいて使用していながら、使用料を払っていないにすぎない。 イ その後、請求人は、平成22年12月3日付けで被請求人Iが退社した旨の虚偽の登記をなした(乙17)。そして、その一方、請求人は、被請求人Iに本件商標使用の対価を平成23年4月ないし8月まで(審決注:乙乙8の2、乙8の3及び乙9の5によれば、1月ないし4月の誤記と思われる。)支払っていたのだから、被請求人Iの許諾の下に商標使用をしていたことは疑問の余地がない(乙8及び乙9)。 (6)民事訴訟における被請求人の権利主張及びその行使 ア 平成24年7月25日、請求人は被請求人を相手方として半田簡易裁判所に調停の申立をしたが(乙19)、その内容は、本件商標が被請求人Fと被請求人Iの共有であること、請求人がその商標を使用していることを前提として、被請求人に対してその商標権の移転を求めるものであった。 イ 上記調停が不調に終わると、請求人は平成24年10月29日、名古屋地方裁判所半田支部に、上記調停とほぼ同内容の訴訟を提起した(乙20)。 ウ 被請求人Fは、平成22年8月20日以降平成24年10月29日付訴訟が提起されるまでの間、本件商標の共有者である被請求人Iと請求人らが親子であることを慮って、本件商標を自ら使用することは控えていた。なお、被請求人Fが請求人から仕入れてネット販売していた商品及び店頭販売していた商品については、平成22年8月20日以降も在庫のある限り販売していたから、その後も本件商標を自ら使用していた。 (7)要約 ア 本件商標は、その登録以来一貫してその権利者である被請求人により使用されている。 イ 上述のとおり、平成23年7月11日付和解文書(乙10の1)までは、上記アについて請求人、被請求人間に争いはなかった。また、その後、平成24年10月29日付訴訟においても(乙20)請求人は被請求人にその権利の移転を求めているにすぎない。 ウ 平成24年末ないし平成25年初めまでは、請求人は本件使用権者及び別件商標権者は被請求人であることに争いはなく、かつ本件商標は現在も使用されている。 エ さらに被請求人の許諾による使用か否かについても、平成23年7月11日付和解文書(乙10の1)のみでなく、乙第8号証及び乙第9号証から示されるように請求人は被請求人Iには平成23年4月まで、その対価を支払っていた。また、被請求人Fに対しては平成22年1年間で180万円が支払われていた(乙3)。 オ 被請求人自らの使用については、被請求人Iは登記簿上平成22年12月3月まで請求人の社員であったのだから(乙17、ただしこの抹消は虚偽による)請求人の使用は被請求人の使用と同視し得る。また、被請求人Fについても、平成22年8月20日付解除通知以降もその在庫品の販売を続けていたものであるから、平成22年末頃までは店頭及びインターネットを通じて商品を販売し本件商標及び別件商標を使用していた。 カ 以上のように、請求人の主張には全く理由がないが、平成23年以降被請求人が本件商標を自ら使用しないようにしてきたのは、平成6年以降平成22年までの両者の協調関係や請求人と被請求人Iが親子であることから、市場の混乱等を招かないように努めてきたからであって、正当な理由に基づくものであり、請求人の本件審判の申立は信義則に反し、権利の濫用にほかならない。 2 答弁書(2)における主張 (1)被請求人の本件商標の不使用の期間について ア 被請求人は、平成25年10月1日に本請求のなされる1年以上前である平成24年9月1日以前から本件商標を付した味噌・醤油、ゆず等の販売を行う準備を整えていたものであり、手許に残っている証拠からすればどんなに遅くとも平成25年11月はじめ頃には被請求人は本件商標を付した商品を店頭販売していたものであることを明らかにする。 イ したがって、仮に被請求人が本件商標を付して商品を店頭販売することのみをもって本件商標の使用とする狭い解釈をしたとしても、本件商標を付した商品を店頭販売していなかった期間は、被請求人Fについては平成23年1月頃からであり、被請求人Iについては平成23年4月頃からであるから(なお、被請求人Iについては今日に至るまで請求人の社員であり、請求人の使用は即ち被請求人Iの使用であるというのが被請求人Iの主位的主張である)、いずれについても使用していない期間は3年に満たないというものである。 ウ 株式会社メビコラボ(以下「メビコラボ」という。)を介した商品の販売について (ア)被請求人は自ら出資し、取締役となって平成22年3月にメビコラボを設立しており、平成22年8月20日以降はこの会社を通じて本件商標を付した商品の販売をすることを検討していた(乙34)。しかし、平成22年8月以降も被請求人は請求人との円満解決を望んでおり、平成23年7月11日には請求人から本件商標は被請求人のものであることを認めた和解案が提示された(乙10)。その後、請求人から半田簡易裁判所に調停の申立がされたことからも(乙19)、被請求人は円満解決を求めて調停に出頭していたが、この調停が不調に終わり、平成24年10月29日に請求人から名古屋地方裁判所半田支部に訴訟が提起された(乙20)。調停の不調により被請求人は自ら本件商標を付した商品を販売することを決めた。 こうしたことから被請求人が請求人のみでなくメビコラボに対しても本件商標を使用許諾し、メビコラボを介して販売することを企図した。これは請求人から申し立てられた民事調停が不調となって以降平成24年8月頃のことである。 (イ)被請求人は、本件商標についてメビコラボとの間で商標使用許諾契約を締結することとし(乙33)、平成24年12月5日には契約を取り交わし、被請求人がメビコラボを介して商品販売の準備をはじめたのは本申立てのなされた平成25年10月1日よりも1年以上の前のことである。 (ウ)現在手許に残っている証拠資料によれば、平成26年1月28日付の請求書及び納品書により本件商標の付されたラベルがメビコラボに納品されている(乙35の1及び2)。 乙第35号証の1及び2の左下には平成25年9月23日「打合せ商品サンプル」とあり、乙第35号証の1及び2は平成25年9月23日に商品とラベルを照らし合わせて打ち合わせをしたことがわかる。 (エ)乙第36号証の1(ちりめん山根)及び乙第35号証の2(なめたけ)が平成25年9月23日の打ち合わせの際のラベルである。 (オ)被請求人は、上述の打ち合わせに先立って商品の仕入れ先を確保し、自社(メビコラボ製)のラベルを作成していた。それが乙第37号証の1ないし3であり(乙37の1・しょうゆ、乙37の2及び3・白だし)であり、いずれも瓶又は缶に貼るラベルである。また、乙第38号証の1ないし5も(乙38の1・たまり、乙38の2・酢みそ、乙38の3・めんつゆ、乙38の4及び5・ドレッシング)同じくメビコラボにおいて作成した瓶または缶に貼るものであり、いずれの製造も平成25年9月23日よりも以前のものである。 (カ)これらの商標を用いて被請求人が本件商標の使用権を承諾した商品についての伝票が乙第39号証(請求書)、乙第40号証(発注書)及び乙第41号証(同)である。乙第39号証の日付は平成25年12月31日であるが、傳右衛門「かつみそ」の発注日付は平成25年12月2日である。 これよりも古いものは現在調査中であるが被請求人及びメビコラボにおいては平成25年10月1日よりもはるか以前に準備が整っていたものであり、また、店頭に出回っていた可能性も否定できない。 (キ)そしてこれらの商標を付した商品は、次のように店頭販売されている。 (a)平成26年2月19日? 東京ベイ幕張ホール2階(乙42) (b)平成26年2月25日? 横浜市緑区長津田みなみ台4-2-3 長津田農場 (c)平成26年2月27日? 東京都世田谷区上荻1-9-1 タウンセブンあじけん内 (d)平成26年3月10日? 東京池袋 久世表示会 (ク)このように、商標権者である被請求人は、現在メビコラボと請求人双方に使用許諾をし、メビコラボからは使用対価を受領している。 (2)請求人の使用料支払義務 ア 請求人は被請求人への使用料の支払いを免れるために本審判を申し立てたにすぎず、被請求人は請求人から約定どおりの使用料を受領していないにすぎない。 イ 被請求人は請求人から本件商標を付した商品を仕入れてネット販売、店頭販売をしていたのであるが、これについても請求人からの仕入れが途絶えたので在庫のある限りにおいてしか販売できなかった(平成22年末頃まで)。 ウ 請求人は被請求人に対する使用料の支払いを怠り、更に被請求人に対する商品の供給を停止した。これにより被請求人は商標権は有していてもこれを付して販売すべき商品の手当てができない状況に追い込まれ、請求人に使用料を請求する地位が残ったにすぎない。 エ その後、被請求人は体制を立て直し自ら又はメビコラボを介して平成24年12月5日付け契約書(乙33)により本件商標を使用している。 3 口頭審理陳述要領書における主張 (1)乙第4号証ないし乙7第号証について ア 乙第4号証ないし乙7第号証の商品について (ア)乙第4号証のラベルは平成7年頃から平成22年頃までに継続して作成使用されたものであり、上記の期間、請求人が製造した900mlの濃口醤油に添付されたラベルであって、上記の期間被請求人Fの経営する藤田商店が販売していたことを示すものである。 (イ)乙第6号証については、ラベルを貼布した商品が720m1のたまり醤油の瓶であることを除いて乙第4号証と同じである。 (ウ)乙第7号証については、ラベルを貼布した商品が180mlのたまり醤油の瓶であることを除いて乙第4号証と同じである。 (エ)乙第5号証については、請求人及び被請求人が上記(ア)ないし(ウ)等の商品を箱に入れる等して販売する際に商品とともに用いていたチラシである。 乙第5号証についてのみ、請求人の表示に「製造者」と記載されていないが、その上に記載されているメールアドレス及びその下に記載されている電話番号はいずれも被請求人Fのものであり、販売者、作成者及び頒布者のいずれも被請求人Fであることを示している。 イ 乙第4号証について (ア)乙第4号証のデザインは被請求人Fがこれを発案し作成したものである。印刷、発行については、本件商標登録申請以前には被請求人F自身がラベル(デザイン自体は乙4と同じである)を白黒で印刷したものを、被請求人F自身が醤油の瓶に自らラベル貼りをして濃口醤油を販売し、白黒のラベルを頒布していたものである。 (イ)本件商標登録以降は、被請求人の使用許諾の下に請求人が乙第4号証自体をカラー印刷し、これを後記(カ)a)及びb)の各販形態に応じて請求人あるいは被請求人Fが醤油の入った瓶に貼って被請求人Fにおいてこれを販売していたものである。 したがって、乙第4号証の作成者(発行者)は請求人と被請求人Fの双方である。 (ウ)乙第4号証のラベルの作成日については、請求人と被請求人F双方の作成、発行にかかるものであり、カラー印刷の乙第4号証自体は、本件商標登録申請後から平成22年までのことである。ただし、白黒印刷であってそのデザイン作成が乙第4号証と同じものについては被請求人Fの作成(発行)にかかるものである。この頒布時期は平成6年頃から本件商標登録申請以前までのことである。 (エ)なお、乙第4号証のラベルには、請求人の表示である「伊藤商店」との記載は「製造者」としての記載にしかすぎず、販売者としての記載ではない。逆に「製造者」としてのみしか請求人の記載のないことは、販売者は請求人ではなく、被請求人Fであることを表示するものである。事実、乙第4号証に記載されている電話番号は被請求人Fの経営する藤田商店の電話番号であり(乙45ないし乙48)、また、被請求人Fはこの電話代金は要証期間内である平成23年4月4日まで払っていた(乙47の2)。乙第4号証に表示されているメールアドレスも被請求人Fのアドレスである(乙49ないし乙51)。また、被請求人はインターネット代金は要証期間内である平成23年4月まで払っていた(乙50)。 (オ)以上のことから、乙第4号証を頒布し、販売をしていた者は被請求人Fである。また、この販売は平成22年8月20日以降、平成23年3月ないし4月頃まではされていた。 (カ)被請求人Fの販売形態は、a)被請求人Fの店頭販売及びネット販売の場合は被請求人が直接ユーザーに販売し、乙第4号証を頒布する形態であり、b)他方被請求人Fが自ら有していた商流を利用して大規模店舗に卸したり販売したりしていた商品については、被請求人Fが販売した先に被請求人の指示により請求人が乙第4号証のラベルつきの商品を直送していた。そして、この販売高に対応して請求人は被請求人に商標使用の対価を支払っていた(乙57の3)。 (キ)以上のとおり、乙第4号証の頒布場所はa)の場合は被請求人Fの店舗、b)の場合は請求人の工場等出荷場所である。 (2)乙第12号証ないし乙第16号証の各写真について ア 撮影日については、乙第12号証ないし乙第14号証については、平成25年6月24日であり(乙53ないし乙55並びに乙59の1及び2)、乙第15号証及び乙第16号証については、平成25年7月9日である(乙59の3及び4)。 撮影者はNである(乙52)。 撮影場所は次のとおりである。 (ア)乙第12号証 愛知県内海市内 d-mare所在一柳(乙53) (イ)乙第13号証 愛知県知多市所在 知多フランテ館内ヤマナカ(乙54) (ウ)乙第14号証 愛知県武豊市所在 ピアゴ武豊店内(乙55) (エ)乙第15号証 愛知県知多半島所在 パワードーム内 (オ)乙第16号証 愛知県知多半島所在 商工会内・観光案内所・夢の里 イ 乙第12号証ないし乙第16号証の各写真のうち、不鮮明ながらも本件商標について請求人が平成25年6月24日時点において被請求人の許諾を得て、使用していることが判明するものは次のとおりである。 (ア)乙第12号証 乙第53号証のレシート 右上の写真には傳右衛門とある。 (イ)乙第13号証 乙第54号証のレシート 右上及び中央の写真には傳右衛門みそ、同さしみたまりとある。 (ウ)乙第14号証 乙第55号証のレシート 2枚目の写真には「九代目杜氏冨次郎」とあるが、これは請求人代表者の製造にかかるたまり醤油であることを示すものである。 乙第14号証 3枚目にいずれも「傳右衛門」とある。 (エ)乙第15号証 いずれの写真も傳右衛門の標記がある。 (オ)乙第16号証 1枚目右端中央には「伊藤商店」とあり、また、2枚目中央も同じである。 (3)上記(2)の写真についての請求人と被請求人との関係について 請求人は被請求人の許諾にもとづいて本件商標を付した商品を、上記(1)イ(カ)a)の商流に乗せて販売、本件商標を被請求人Fの有していた販売網にのせて上記の各商標を付した商品を頒布した。請求人と被請求人Fとの本件商標使用契約によれば請求人は被請求人藤田に対して販売数量に応じた使用料を支払うべき義務を負っているところ、この支払について領収証で確認し得るものは平成22年9月7日である(乙57の3)。請求人は平成22年9月までは被請求人Fの許諾を得て使用し、使用料を支払っていたのである。 したがって、上記写真について物理的に商品を発送し代金を受領している者は請求人に外ならないが、これは被請求人Fから許諾を得て請求人がこれを事実上使用しているものなのであってその後、使用料を払っていない。 (4)上記写真に示す商品が要証期間内に販売されていたことについて 上記写真に示す商品が要証期間内に販売されていたことを示すレシートは、(a)乙第12号証は乙第53号証、(b)乙第13号証は乙第54号証、(c)乙第14号証は乙第55号証であり、いずれも平成25年6月24日付であり要証期間内である。 (5)上記(2)ないし(4)により、本件商標は、少なくとも要証期間内である平成25年6月24日において、請求に係る指定商品である「野菜の缶詰及び瓶詰」に含まれる「なめ茸の瓶詰」について、日本国内において、通常使用権者である伊藤商店によって、使用されていたことが証明される。 (6)被請求人Fが平成25年8月20日以降商品を販売したことについて 被請求人Fが平成25年8月20日以降商品を販売したことを示す売上伝票は乙第56号証の1及び2であり、平成22年9月7日までのものは残っている。 (7)請求人が本件商標の通常使用権者であることについて 伊藤商店(請求人)は、口頭によって本件登録商標の使用許諾を得た通常使用権者であることについて、疑いの余地はない。 被請求人が書面による使用許諾契約を敢えて残していないのは、協力関係にあったが故の通常の商慣習に基づくものであり、書面を残していないことについて明らかな落ち度があると主張されるべき理由も考えられない。請求人においては、協力関係にある者が商標登録を受け、その登録商標を使用した商品を製造販売していたという事実を鑑みれば、一般的な商慣習に基づいて通常使用権の許諾を両当事者が認めていたということ以外の合理的帰結もあり得ない。使用許諾がなければ、請求人は故意によって他人に帰属する登録商標を不正使用していたことを認めていることに他ならず、民事的な損害賠償の責めを負うばかりでなく、不正使用に基づく刑事罰の責めを負うべきことを自ら主張することに他ならない。 (8)乙第61号証ないし乙第67号証について ア 乙第61号証は、有限会社メディアマガジンの発行に係る知多半島情報誌ステップである。乙第61号証の1は、その表紙であり平成24年11月号であることを示す。乙第61号証の3は、その裏表紙であり平成24年11月発行であること及び発行者を示すものである。そして、乙第61号証の2の左上の欄は、請求人が本件商標を平成24年11月時点で使用したことを示している。 イ 乙第62号証は、武豊町商工会の町おこし推進委員会の作成発行にかかる武豊の名産品推奨品ガイドであり、その内容は平成25年4月1日時点のものである。乙第62号証の1の右下は、請求人が本件商標を使用していることを示すものであり、その時期は、平成25年4月1日時点であることを示している。また、乙第62号証の2は、パンフレットの作成者、発行者、表題を示している。乙第62号証の3は、パンフレットに挟み込まれたチラシであり、その6番は商品価格を示している。 ウ 乙第63号証は、武豊町観光協会の「代々伝わる街、武豊」なる冊子である。乙第63号証の1は、その表紙であり、左横の手書きの記載は、この冊子が平成25年4月に発行されたことを示すものである。また、乙第63号証の3は、武豊町商工会にて被請求人に対応した担当者を示すものであり、乙第63号証の1の「平成25年4月発行」の記載は、該担当者によるものである。そして、乙第63号証の2は、上記冊子の第13頁であり、その5番は請求人が本件商標を使用していることを示している。 エ 乙第64号証は、「おてんば娘」の投稿したブログであり、その記載内容から平成24年11月20日から翌日頃請求人が本件商標を使用していたことがわかる。 オ 乙第65号証は、平成25年6月29日に「アコースティックな夜」として投稿されたブログであり、この頃、請求人が本件商標を使用していたことがわかる。 カ 乙第66号証は、「それいけテクノ君」として投稿されたブログであり、平成24年5月3日に請求人が本件商標を使用していたことがわかる。 キ 乙第67号証は、「Izumi Private Kitchen」名で投稿されたブログであり、平成23年7月31日に請求人が本件商標を使用していたことがわかる。 第4 当審の判断 1 被請求人は、本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に商品「なめ茸の瓶詰」(以下「使用商品」という場合がある。)について、日本国内で通常使用権者である伊藤商店によって使用されていたと主張するところ、被請求人の主張及び提出した乙各号証によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第12号証ないし乙第16号証には、商品の写真が含まれているところ、乙第59号証の2ないし4の写真番号4ないし49は、前述の写真と同じものであると推認できるものであり、乙第59号証の2ないし4の各写真の下部には、「2013-06-...」又は「2013-07-...」の表示がある。 また、上述の写真には「なめ茸80%」の商品札の後方等やや不鮮明なものを含め「傳右ェ門」の文字が表示されたラベルが付された瓶が表示されている(乙12(乙59の3の写真番号23)、乙15(乙59の3の写真番号34)、乙16(乙59の4の写真番号41))。 そして、乙第66号証は、「それいけテクノ君」として投稿された、「武豊町の醤油」の表題の2012年5月3日の日付のブログであるところ、その3葉目の写真には、「傳右衛門 なめ茸」の文字が記載された商品説明板の後方に、やや不鮮明ではあるものの乙第12号証、乙第15号証及び乙第16号証等と同一と思しき商品が並んでいる。 しかしながら、これら商品の製造者、販売者等商標の使用者が確認できない。 (2)乙第33号証は、被請求人を甲とし、メビコラボを乙とする、平成24年12月5日付の「商標使用許諾契約書」の写しであるところ、「第1条(本契約の対象商標) 甲は、乙に対し、甲の所有にかかる下記商標権について専用使用権を許諾する。」の記載があり、「本件商標権の登録番号、商標名、商品等の表示」として、「一 ・・・商標登録第4898860号」、「二 商標名・・・『傳右ェ門(でんえもん)』、「三 指定商品と役務・・・『加工水産物、肉のつくだに、果実の漬物、めんま、野菜の缶詰及び瓶詰、野菜の漬物、なめ物』(第29類)」及び「第2条(使用権の範囲)」として「1 使用期間 自平成24年12月5日至平成29年12月4日/上記の5年間とし、更新の際にはそれに従う」の記載がある。 (3)乙第35号証の1及び2は、「26年1月28日」の記載がある有限会社みやこ惣房が、メビコラボに宛てた「納品書」及び「物品受領証」であり、「コード・商品名」欄には、「傳右エ門 なめ茸・味付」、「傳右エ門 なめ茸・かつお入り」及び「傳右エ門 なめ茸・ゆず入り」の記載があるところ、被請求人の主張(上記第3 2(1)ウ(ウ))によれば、ラベルに係る伝票とのことであるから、これらをもって、メビコラボが商品を譲渡した事実を確認することはできず、かつ、上述の日付は要証期間内ではない。 (4)乙第36号証の2ないし4は、商品のラベルであるところ、「傳右エ門」及び「なめ茸」の文字が記載されていることが認められる。 しかしながら、その製造者、販売者等の表示がなく、さらに、該ラベルが付された商品が譲渡又は引き渡された事実を確認することもできない。 (5)乙第40号証及び乙第41号証は、株式会社ヒラハラからメビコラボに宛てた、いずれも送信日を2014年2月24日とする「発注書」であるところ、該日付は要証期間内ではない。 (6)乙第42号証の1ないし6は、使用商品の店頭販売がなされた写真とされるものであるところ、被請求人が使用商品の店頭販売がなされたと主張 する、平成26年2月19日?、平成26年2月25日?、平成26年2月27日?、及び平成26年3月10日?は、いずれも要証期間内ではない。 2 判断 (1)上記1(1)、(3)ないし(5)によれば、本件商標の使用商品は、「なめ茸の瓶詰」であり、本件の指定商品中、「野菜の缶詰及び瓶詰」の範ちゅうに属する商品と認められる。 また、該商品のラベルに表示された「傳右ェ門」の商標は、本件商標と同一(社会通念上の同一を含む。)といえるものである。 (2)上記1(1)の「2013-06-...」又は「2013-07-...」は、2013年6月及び2013年7月を表示するものであるから、要証期間内に本件商標がその使用商品である「なめ茸の瓶詰」に使用されたと認めることができる。 しかしながら、該商品のラベルに表示された商標の使用者が明らかにされていないから、商標権者又は使用権者が本件商標を使用したということはできない。 (3)上記1(2)によれば、メビコラボは本件商標の使用権を有しているものと認められるところ、上記1(3)及び(5)のとおり該メビコラボが本件商標を使用したとする「納品書」及び「物品受領証」(乙35の1及び2)及び「発注書」(乙40及び乙41)は、いずれも要証期間内のものではない。 (4)被請求人は、請求人が本件商標の通常使用権者として使用していた旨及び被請求人自身が平成22年12月まで本件商標を付した商品(審決注:「なめ茸の瓶詰」と思われる。)を販売していた旨主張するが、これらの事実を証する書面は提出されていない。 また、その他、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品ついて、本件商標を使用した事実を見い出すことはできない。 3 被請求人のその他の主張について 平成23年以降被請求人が本件商標を自ら使用しないようにしてきたのは、平成6年以降平成22年までの請求人と被請求人の協調関係や請求人と被請求人Iが親子であることから、市場の混乱等を招かないように努めてきたからであって、正当な理由に基づくものであると主張するが、これを証する証拠の提出はされていない。 そして、商標法第50条第2項は、そのただし書において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が指定商品又は指定役務に登録商標を使用していないとしても、「登録商標の使用をしていないことについて正当な理由」があることを商標権者である被請求人が明らかにしたときは、その商標登録は取り消されない旨規定しているところ、同項が規定する正当な理由とは、地震、水害等の不可抗力、放火、破損等の第三者の故意又は過失による事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由等、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の責めに帰することができない事由が発生したために、商標権者等において、登録商標をその指定商品又は指定役務について使用をすることができなかった場合をいうと解すべき(東京高等裁判所 平成7年(行ケ)第124号判決、知的財産高等裁判所 平成20年(行ケ)第10160号判決、知的財産高等裁判所 平成22年(行ケ)第10012号判決)ものであり、被請求人の主張は、商標法第50条第2項にいう「正当な理由」に該当するものとはいえない。 4 まとめ 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。 また、被請求人は、その指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本件商標) |
審決日 | 2015-08-03 |
出願番号 | 商願2004-104086(T2004-104086) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(Y29)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 田中 幸一 |
特許庁審判長 |
土井 敬子 |
特許庁審判官 |
大森 健司 中束 としえ |
登録日 | 2005-10-07 |
登録番号 | 商標登録第4898860号(T4898860) |
商標の称呼 | デンエモン、デンウエモン |
代理人 | 大島 真人 |
代理人 | 上田 千織 |
代理人 | 鈴木 弘子 |
代理人 | 鈴木 弘子 |
代理人 | 横井 俊之 |
代理人 | 飯田 昭夫 |
代理人 | 多田 克也 |
代理人 | 江間 路子 |
代理人 | 大島 真人 |
代理人 | 古田 宜行 |
代理人 | 古田 宜行 |
代理人 | 安藤 敏之 |
代理人 | 横井 俊之 |
代理人 | 多田 克也 |