ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない W28 審判 査定不服 観念類似 登録しない W28 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W28 |
---|---|
管理番号 | 1315736 |
審判番号 | 不服2016-903 |
総通号数 | 199 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2016-07-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-01-20 |
確定日 | 2016-05-12 |
事件の表示 | 商願2015-19627拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,別掲のとおりの構成からなり,第28類「遊戯用器具(パチンコ玉を使用するスロットマシンを含む),遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く)」を指定商品として,平成27年3月4日に登録出願されたものである。 2 引用商標 原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下の(1)及び(2)のとおりであり,その商標権はいずれも現に有効に存続している。 (1)登録第4782573号商標(以下「引用商標1」という。)は,「コトブキ」の片仮名を標準文字で表してなり,平成11年8月12日登録出願,第9類「遊園地用機械器具」を含む,第6類,第7類,第9類,第11類,第14類,第19類ないし第21類,第24類,第34類,第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同16年7月2日に設定登録されたものである。 (2)登録第5054961号商標(以下「引用商標2」という。)は,「コトブキ」の片仮名を標準文字で表してなり,平成18年11月1日登録出願,第9類「スロットマシン」及び第28類「遊戯用器具,ビリヤード用具」を含む,第9類,第21類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同19年6月15日に設定登録されたものである。 以下,これらをまとめていうときは,「引用商標」という場合がある。 3 当審の判断 (1)商標の類否判断 商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,そのためには,両商標の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(昭和43年最判参照)。 この点に関し,図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,経験則上,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合,取引の実際において,一部の構成部分のみによって称呼,観念されることも少なくないといえる。このことから,結合商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などは,当該構成部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(昭和38年最判,平成5年最判,平成20年最判,知財高裁平成26年(行ケ)第10122号同年10月27日判決参照)。 上記の観点から,本願商標と引用商標との類否について判断する。 (2)本願商標 ア 本願商標は,別掲のとおり,紫色の図形の中央に白抜きの文字を配した結合商標である。 そして,その構成中の図形部分は,目及び口が描かれていることから,何かの紫色の生物を戯画化したと思しき図形であり,直ちに特定の生物を想起させない図形であるから,これからは特定の称呼及び観念が生じないものである。 一方,文字部分は,「寿」の漢字を白抜きで書してなるところ,この構成文字が「めでたいこと。」の意味を有する語(広辞苑第6版)として広く知られていることを踏まえれば,これからは,「コトブキ」の称呼を生じ,「めでたいこと」の観念を生じる。 イ 本願商標は,別掲のとおり,紫色の図形部分の中央に白抜きの「寿」の文字が顕著に表されているものであり,構成上からは図形部分と文字部分とが,それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合されているような事情は見出せない。また,上記アのとおり,図形部分からは,特定の称呼及び観念が生じないものであるのに対し,文字部分からは,「コトブキ」の称呼及び「めでたいこと」の観念を生じるものであるから,図形部分と文字部分とは,称呼及び観念においても密接な関連を見いだせない。そうすると,本願商標は,その構成中,図形部分と文字部分とがそれぞれ独立して取引者,需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。 したがって,本願商標を構成する「寿」の文字部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標(引用商標)と比較して商標の類否を判断することができるものである。 (3)引用商標 引用商標は,上記2のとおり,「コトブキ」の片仮名を標準文字で表してなるところ,これからは「コトブキ」の称呼のみが生じる。そして,「コトブキ」と称呼される語として誰もが思い浮かべるのは広く知られている「寿」のみであることから,引用商標からは「めでたいこと」の観念が生じるというのが相当である。 (4)本願商標と引用商標の類否 本願商標の要部である「寿」の文字部分と引用商標とを対比すると,両者は,外観において相違するとしても,「コトブキ」の称呼及び「めでたいこと」の観念が同一であるから,これらを総合勘案すれば,互いに類似する商標というべきである。したがって,本願商標と引用商標も類似する商標となる。 そして,本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。 (5)小括 以上によれば,本願商標と引用商標とは,互いに類似する商標であり,その指定商品も同一又は類似するものである。 したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 (6)請求人の主張について ア 請求人は,本願商標の文字部分から,「コトブキ」のほか,「ジュ」,「イキ」,「カズ」,「ヒサシ」及び「ホギ」等の称呼及び「めでたいこと」等の観念が生じ,図形部分から,「クジラ」の称呼及び「クジラ」の観念が生じ,本願商標全体として,「幸運(ラッキー)なクジラ」の観念をも生じることを前提に,本願商標と引用商標は,「コトブキ」の称呼と「めでたいこと」の観念を共通にするとしても,その他大部分の称呼及び観念,外観において異なる非類似の商標である旨主張する。 しかしながら,本願商標は,その構成中の図形部分からは特定の観念が生じず,かつ,「寿」の文字部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標(引用商標)と比較して商標の類否を判断することができるものであり,本願商標の要部たる「寿」の文字部分と引用商標とを対比すると,外観において相違するとしても,「コトブキ」の称呼及び「めでたいこと」の観念が同一であるから,これらを総合勘案すれば,互いに類似する商標というべきであることは,上記(2)及び(4)で述べたとおりである。 イ 請求人は,当庁において,「寿」(旧漢字含む)の文字を共に含む商標同士が,絵や図柄が付加されていることにより非類似と判断され,並存して登録されている例があるとし,これら登録例と同様に判断すべきである旨主張する。 しかしながら,請求人が挙げる事例は,いずれも,本願商標及び引用商標の構成態様及び指定商品と異なっている。また,そもそも,商標の類否判断は,登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において,個別具体的に判断されるものであるから,請求人の挙げた商標登録の例などがあるからといって,本願商標も必ず登録されるものであるということにはならない。 ウ したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。 (7)まとめ 以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似するものであり,その指定商品も引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することはできない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本願商標) (色彩については,原本参照) |
審理終結日 | 2016-03-18 |
結審通知日 | 2016-03-22 |
審決日 | 2016-03-30 |
出願番号 | 商願2015-19627(T2015-19627) |
審決分類 |
T
1
8・
262-
Z
(W28)
T 1 8・ 261- Z (W28) T 1 8・ 263- Z (W28) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 板谷 玲子、小松 里美 |
特許庁審判長 |
田中 幸一 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 冨澤 武志 |
商標の称呼 | コトブキ、ジュ |