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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W182135
審判 全部申立て  登録を維持 W182135
審判 全部申立て  登録を維持 W182135
管理番号 1314580 
異議申立番号 異議2015-685022 
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-07-06 
確定日 2016-03-08 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1184769号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1184769号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
国際登録第1184769号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2013年5月1日にUnited States of Americaにおいてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、2013年(平成25年)10月31日に国際商標登録出願、第18類「Cosmetic bags,cosmetic cases,cosmetic carrying cases all sold empty.」、第21類「Make-up brushes.」及び第35類「Online retail store services for cosmetics,make-up,cosmetic bags,cosmetic cases,cosmetic carrying cases,make-up brush holders and make-up brushes.」を指定商品及び指定役務として、平成27年2月24日に登録査定、同年4月24日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4233471号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、1997年7月10日にフランス共和国においてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、平成10年1月6日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同11年1月22日に設定登録されたものである。
(2)国際登録第1072247号商標(以下「引用商標2」という。)は、「NUXE」の欧文字を横書きしてなり、2011年(平成23年)2月14日に国際商標登録出願、第3類「Cosmetics;perfumes,eaux de toilette,cologne,personal deodorants;essential oils;soap,cleansing milks;cosmetic skin-care creams,gels,milks,lotions,masks,pomades,powders and preparations;cosmetic anti-wrinkle preparations;cosmetic lip-care preparations;cosmetic sunscreen preparations,cosmetic sun-tanning preparations,cosmetic aftersun preparations;cosmetic slimming preparations;depilatory preparations;hair-care preparations,namely preparations for the care of the hair and scalp;cosmetic bath preparations;make-up and make-up removing preparations;shaving preparations and after-shave preparations;moist towelettes and tissues impregnated with cosmetic lotions;room perfumes.及び第44類「Hygiene and beauty care;massages;beauty salons;healthcare services;saunas;health spa services;health and beauty services;balneotherapy,physiotherapy and aromatherapy services.」を指定商品及び指定役務として、平成24年5月11日に設定登録されたものである。
(以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という場合がある。)
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第11号に該当するから、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標と引用商標との類否
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、やや特殊な態様の「NYX」の欧文字を横書きしてなるところ、「NYX」の欧文字から、「エヌワイエックス」の称呼を生じるほか、「NYX」の欧文字が、ギリシャ神話の「夜の女神」である「Nyx(ニュクス)」を表すものであるから、これより「ニュクス」の称呼をも生じるとみるのが相当である(甲3及び甲4)。
イ 引用商標
引用商標1は、別掲2のとおり、正方形内の上部に樹木の図形を描き、その下部に黒地長方形内に白抜きで「NUXE」の欧文字を横書きし、さらに、その下に黒で小さく「PARIS」の欧文字を横書きしてなるものである。そして、その樹木の図形と「NUXE」の欧文字とは何ら関連性がなく、また、「PARIS」の文字はフランスのパリを表す識別力のない語であるから、引用商標1は、その構成中の「NUXE」の欧文字部分が独立して商標としての機能を果たすものと認められるものであり、これより「ニュクス」の称呼を生じるものである。
また、引用商標2は、前記2(2)のとおり、やや太字で「NUXE」の欧文字を横書きしてなるから、これより「ニュクス」の称呼を生じることは明らかである。
ウ 本件商標と引用商標との比較
本件商標と引用商標とは、前記ア及びイで述べたとおり、いずれも「ニュクス」の称呼を生じるものであるから、両商標の外観上の差異を考慮しても、称呼において類似する商標である。
(2)本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品との類否
本件商標の指定商品及び指定役務中には、前記1のとおり、第18類「Cosmetic bags,cosmetic cases,cosmetic carrying cases all sold empty.(化粧道具入れ,化粧品用ケース,化粧品持ち運び用ケース(全て空のもの))」、第21類「Make-up brushes.(化粧用刷毛)」及び第35類「Online retail store services for cosmetics,make-up,cosmetic bags,cosmetic cases,cosmetic carrying cases,make-up brush holders and make-up brushes.(オンラインによる化粧品,メイクアップ化粧品,化粧道具入れ,化粧品用ケース,化粧品携帯用ケース,化粧用ブラシフォルダー及び化粧用ブラシの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供)」が含まれている。
他方、引用商標1の指定商品中には、前記2(1)のとおり、第3類「化粧品,つけづめ,つけまつ毛」が含まれており、また、引用商標2の指定商品及び指定役務中には、前記2(2)のとおり、第3類「Cosmetics(化粧品)」が含まれている。
そうすると、本件商標の指定商品及び指定役務は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
(3)小括
本件商標と引用商標とは、前記(1)及び(2)のとおり、「ニュクス」の称呼を共通にする、称呼上、類似の商標であり、かつ、両商標の指定商品又は指定役務も同一又は類似するものである。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標と引用商標とは類似の商標であり、かつ、両商標の指定商品又は指定役務も同一又は類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号により、取消されるべきである。
4 当審の判断
(1)本件商標について
ア 本件商標は、別掲1のとおり、図案化してなる「NYX」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、申立人の提出に係る「研究社 新英和大辞典第5版」(甲3)及び「フリー百科事典『ウィキペデイア(Wikipedia)』を用いた『ニュクス』の文字の検索結果」(甲4)には、「Nyx」の欧文字が「ニュクス」と称されるギリシャ神話における夜の女神を意味する語である旨の記載はあるものの、これらをもって、該欧文字が、我が国において、そのような意味を有する語として一般に知られているとはいい難く、むしろ、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるとみるのが相当である。
イ また、当審における職権調査によれば、例えば、化粧品の通信販売サイトのうち、「BUYMA」のウェブサイトにおいて、「NYX エヌワイエックス」の見出しの下、「ファンデーション・コンシーラー」、「リップグロス・口紅類」、「アイメイク・アイブロウ」に本件商標と同一の構成態様からなる標章が付されていること(http://www.buyma.com/brand/NYX-%E3%82%A8%E3%83%8C%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9.html)、同じく、「ViVI公式コスメ通販サイトDresser Room」のウェブサイトにおいて、「NYX(エヌワイエックス)」の見出しの下、「リップスティック」に本件商標と同一の構成態様からなる標章が付されていること(http://www.dresser-room.jp/vivi/products/list.php?category_id=290)が認められる。
ウ 以上の状況をも勘案するならば、本件商標の「NYX」の欧文字は、「エヌワイエックス」と称呼されるものであって、特定の意味合いを想起させるとはいい難いものであるから、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
(2)引用商標について
ア 引用商標1
(ア)引用商標1は、別掲2のとおり、正方形状の枠線内の下方約4分の1を黒色で塗りつぶし、該枠線内の上方には、樹木と思しき図形を描き、下方の黒色部分には白抜きで「NUXE」の欧文字を横書きし、さらに、該枠線の下方外側に「PARIS」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中の「PARIS」の欧文字部分は、フランスの首都である「パリ」を意味する語として一般に慣れ親しまれており、引用商標1の指定商品との関係においては、商品の産地、販売地などとして看取、把握されるものである。
そして、引用商標1の構成中の文字部分と図形部分とは、それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当であるところ、図形部分からは、特定の称呼、観念は生じないものである。
そうとすると、引用商標1をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「NUXE」の欧文字部分に着目し、該部分をもって取引に資される場合も決して少なくないというのが相当である。
(イ)引用商標1の構成中の「NUXE」の欧文字についてみるに、該欧文字は、辞書類に載録が認められないことから、特定の意味合いを生じることのない一種の造語を表したものとして認識されるものとみるのが相当である。
そして、当審における職権調査によれば、例えば、「アイビューティーストアー」のウェブサイトにおいて、「ニュクス NUXE」の見出しの下、「1957年にパリで誕生し、フィトテラピーとアロマテラピーで肌への優しさと効果を両立する、ナチュラルコスメブランド『ニュクス』。ブランド名はラテン語で『クルミ』の意味を持ち、Nature(自然)とLUXE(贅沢さ)を掛け合わせた造語でもある。」(http://www.ibeautystore.com/brands/1208.nuxe)、さらに、「COSMETIC TIMES」のウェブサイトにおいて、「NUXE(ニュクス)」の見出しの下に、「肌への優しさと効果を両立する、ナチュラルコスメブランド「ニュクス(NUXE)」は、1957年にナチュラル コスメトロジーのエキスパートとして誕生」(http://www.cosmetic-times.com/brand/list?brand=172)の記載があることから、「NUXE」の文字は、「ニュクス」と称呼されるものである。
(ウ)以上の状況をも勘案するならば、引用商標1は、その構成中の「NUXE」の欧文字部分が出所識別に当たっての要部といえるものであって、該欧文字は、「ニュクス」の称呼を生じ、特定の語義を有しない一種の造語といえるものであるから、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標2について
引用商標2は、前記2(2)のとおり、「NUXE」の欧文字を横書きしてなるところ、該欧文字は、前記アにおける「NUXE」と同様に、一種の造語として認識されるものであり、該欧文字に相応して、「ニュクス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との対比について
ア 外観
本件商標と引用商標の構成は、前記(1)及び(2)のとおりであるところ、その構成全体をもって比較するときは、容易に区別し得ること明らかであり、また、本件商標の要部である「NYX」の欧文字部分と引用商標の要部である「NUXE」とを比較した場合も、その綴りが異なるものであるから、両商標は、外観上、相紛れるおそれはないものである。
イ 称呼
本件商標より生じる「エヌワイエックス」の称呼と引用商標より生じる「ニュクス」の称呼とは、その構成音数、構成音の差異により、明瞭に聴取し得るものである。
ウ 観念
本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、両商標を比較することはできないものである。
エ 小括
してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において、比較することができないものであり、外観及び称呼においては相紛れるおそれのない非類似の商標といえるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】


異議決定日 2016-03-02 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W182135)
T 1 651・ 262- Y (W182135)
T 1 651・ 263- Y (W182135)
最終処分 維持  
前審関与審査官 林 圭輔 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 平澤 芳行
田中 亨子
登録日 2013-10-31 
権利者 L’OREAL
商標の称呼 ニックス、ニクス、ニュクス、エヌワイエックス 
代理人 太田 雅苗子 
代理人 特許業務法人はなぶさ特許商標事務所 
代理人 廣中 健 

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