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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W1825
管理番号 1314568 
異議申立番号 異議2015-900074 
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-03-03 
確定日 2016-04-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第5721171号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5721171号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5721171号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,平成26年6月20日に登録出願され,第18類「皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同年10月7日に登録査定,同年11月28日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,登録異議の申立ての理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証及び追加資料1ないし追加資料11を提出している。
(1)申立人について
申立人は,主に被服についてのデザイン,生産,販売等を行う法人である。申立人は,2007年に,主に被服等に係るブランドとして「Dartin Bonaparto」を立ち上げ,現在まで展開してきている。申立人の当該ブランドに係るパンフレット(以下「申立人パンフレット」という。)には,ブランド「Dartin Bonaparto」についてのコンセプトや商品の紹介及び申立人の代表者であってデザイナーについて記載があり,最後頁には,申立人の名称「株式会社アンフェジベーナ」の英語表記である「Anfesibena Co.,Ltd.」が見て取れる。当該ブランドは,平成2009年9月頃に,東京都渋谷区所在の複合商業施設である「表参道ヒルズ」に出店し,現在に至るまで出店を継続しており,広く認知されている。
当該ブランドは,その立ち上げ段階から,そのキャラクターとして,申立人パンフレットにそのキャラクターについての設定の説明と共に掲載しており,胸から上のほぼ正面向きの男性をやや抽象的に描いたキャラクター図形を商標として使用してきている。ここで,申立人は,表参道ヒルズ店への出店一周年記念を機に,当該ブランドの更なる発展を狙い,今後のブランドを担うキャラクターとして,当該メインの男性キャラクターをボーカルに見立て,更に男性2名女性1名の3名を追加し,これら計4名をメンバーとする仮想のロックバンドとするアイデアの着想を得た。申立人は,この当該3名のイラスト画を考案し,これらを表参道ヒルズ店出店一周年記念パーティーにて発表した。
ここで,当該仮想4名のキャラクターについては,申立人パンフレットに,立ち上げ当初から使用されているメインの男性キャラクターについての愛称は「Mick」とされ,バンド内での役割はボーカル,などというように,設定が与えられている。上記のとおり,表参道ヒルズ一周年記念にて発表された追加の3名については,イラスト画の開発と共に,愛称および設定を,ドラムの「COZY」,ベースの「SUZY」およびギターの「JEFF」という設定とされたものである。
申立人の作業用コンピュータに記憶されている当該キャラクターに係るデザイン開発における関連データによれば,新たに追加された愛称「COZY」に係る図形は,遅くとも2010年7月28日には,原案が存在していたことがわかり,ここから,最終的な修正が幾度かされたあと,2010年8月20日に最終案としての現行のキャラクターデザインが完成されている。この申立人により開発された,愛称「COZY」に係る図形は,本件商標と,同一であることがわかる。
新たに追加された他のメンバーであるベース担当の設定であって愛称を「SUZY」とする女性キャラクター及びギター担当の設定であって愛称を「JEFF」とする男性キャラクターに関する開発データによれば,これら追加された当該3名のイラストのタッチ等に係る表現は,当初から使用されていた愛称「MICK」のものと共通するものであることは一見して明らかであり,デザインとして統一感のあるものとなっていることがわかる。
また,これら追加3名のキャラクターは,同時期に開発が行われ,当該ブランド「Dartin Bonaparto」の表参道ヒルズ店出店一周年記念における発表に間に合うよう,開発が行われていた。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号について
上述したように,申立人が独自に考案開発した「COZY」に係る図形は,申立人主催の2010年9月の出店一周年記念のパーティーでの初披露により,その存在および仮想の4人組バンド設定も知られるところとなっているものであって,本件商標と全くの同一である。
また,申立人の当該ブランド「Dartin Bonaporto」は,2009年9月に,東京でも有数の一大商業複合施設である表参道ヒルズに出店以来,現在に至るまで出店を継続してきている。そして,特に当該ブランド名もしくはメインの男性キャラクター「Mick」は,商品の展示会や他ブランドとのコラボレーション商品等によって親しまれ,また雑誌等にも取り上げられるなど,広く知られるに至っている。
以上のとおり,申立人に係る当該ブランド名およびそのキャラクター図形等をはじめとする関連商標は,本件商標の出願時および登録時において広く知られており,本件商標の指定商品である第25類「被服」について使用されるものであるので,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当するものである。
また,本件商標の,第25類「被服」以外の指定商品および第18類に属する指定商品は,主として被服のデザイン,生産,販売等を行うファッションブランドが展開する商品群として一般的な分野であるので,これら被服以外の商品についても,申立人の業務と出所の混同を生ずるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(3)商標法第3条第1項柱書について
本件商標権者と同一名義人による商標登録を検索すると,複数の検索結果が示されるが,ここで,登録第5721176号は,上記において説明したが,申立人デザインによる女性キャラクター「SUZY」と同一の商標である。
さらに,本件商標権者について,インターネット検索サイト「Google」にて検索をしたが,いずれについても,指定商品に係る被服等の製造,販売等の事業を行っているという事実は発見できず,また,そういった事業を行う法人の代表であるなどといった事実も発見できなかった。
ここで,商標法第3条第1項柱書は,「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については,次に掲げる商標を除き,商標登録を受けることができる」旨規定するが,本件商標は,本件商標権者にとって,「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」に該当するものではない。
以上のとおり,本件商標権者は,申立人が自ら考案開発した図形と同一の本件商標を申立人に無断で商標登録したものであり,本件商標の指定商品に係る事業を行っていないものである。このことからすれば,本件商標が,商標法第3条第1項柱書に規定する自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標にあたらないことは明白であるので,本件商標は,商標法第3条第1項柱書に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項7号および同項第19号について
本件商標権者は,上述のとおり申立人が自ら考案した上記説明の愛称「COZY」に係る男性図形を無断で商標登録している。本件商標は,申立人の関係者が著作権を有する図形を,そのまま無断で商標登録したものである。さらに,本件商標権者は,本件商標のみならず,同じく申立人の考案に係る,上記説明の愛称「SUZY」に係る女性キャラクターについても,同様に無断で商標登録しているものである。
申立人と無関係の者が,申立人が考案したキャラクター画と全く同一のものを複数出願登録しているという事実は,明らかに申立人とブランド「Dartin Bonaparto」およびそこに使用されている関連商標を知った上で,申立人の当該商標が商標登録されていないのを奇貨として,先んじて商標登録をし,自身のために何らかの不当な利益を得ようとする等の不正の目的が色濃く推認される。
以上のとおり,申立人の考案に係る同一の図形を複数商標登録していることから,本件商標権者は,申立人の当該ブランドを知った上で,申立人の著作に係る当該図形を,無断でそのまま商標登録したものである。こうした本件商標権者による,申立人のブランド開発及び営業活動に係る地道な努力による成果を,不正に自己の利益のために利用しようとする行為は,公正な競争秩序を逸脱するものであり,著しく商標法の目的に反するものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に該当する。
(5)むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項柱書,同法第4条第1項第7号,同項第10号,同項第15号及び同項第19号に該当し,商標登録を受けることができないものであるから,本件商標は,商標法第43条の2第1号の規定により,取り消されるべきである。
2 平成27年11月19日付け提出の上申書
(1)愛称「COZY(コージー)」に係る刺繍用型は,2010年(平成22年)中には作成され,現在に至るまで変更されることなく継続して使用されているものである。
愛称「COZY(コージー)」に係る刺繍用型を使ってスパンコール刺繍をした2013年モデルのTシャツは,申立人の取引会社の一つであるステージ・ワイ社より納品され,販売管理台帳のとおり,2013年10月26日より販売実績があるものである。ここで,販売管理台帳とは,販売した商品のタグを半分切り取ったものを,販売実績を書き留める代わりに貼り付けて管理している台帳のことである。納品後,2013年(平成25年)10月31日付け請求書が,ステージ・ワイ社より発行されている。
これ以前にも,2010年(平成22年)12月10日,同月22日,2011年(平成23年)8月9日及び2014年(平成26年)4月24日に「COZY」のデザインを用いた商品を販売した実績がある。
(2)外国における展示の事実
日本貿易振興機構(JETRO)によるイタリア国における展示会「WHITE」は,2012年の情報では来場者数が6千人を上回り,2万以上のバイヤーと1千人にのぼる報道関係者が訪れるとあり,極めて大規模な展示会である。
申立人のブランド「Dartin Bonaparto」は,当該展示会に過去度々出展しているが,2014年1月開催の当該展示会に「COZY」のデザインを用いたTシャツを展示している。

第3 本件商標の取消理由
1 審判長は,平成27年12月25日付けで本件商標権者に対し,理由を示して本件商標を取り消すべき旨の通知をした。その理由は,次のとおりである。
2 申立人の提出に係る証拠及び申立ての理由によれば,以下の事実を認めることができる。
(1)申立人は,主として被服の製造販売を業とする会社であり,2007年(平成19年)に被服のブランドとして「Dartin Bonaparto」の文字よりなるブランドを採用し使用を開始した。そして,申立人は,2009年(平成21年)9月頃に,東京都渋谷区に所在する表参道ヒルズに直営店(以下「表参道ヒルズ店」という。)の営業を開始し事業の展開を図っている。また,申立人は,上記ブランドのキャラクターとして「MICK」と名付けた男性の正面を向いた頭部を中心とする図形(「『MICK』図形」という。)を商標として使用してきた(甲7,甲10)。
(2)申立人は,上記(1)の「MICK」図形に,「COZY」及び「JEFF」とそれぞれ名付けた2名の男性のほぼ正面を向いた頭部を中心とする図形及び「SUZY」と名付けた女性のほぼ正面を向いた頭部を中心とする図形(以下,それぞれ「『COZY』図形」(別掲2参照),「『JEFF』図形」,「『SUZY』図形」という。)をキャラクターとして加え,計4名をメンバーとする仮想のロックバンドを考案した(甲2)。そして,これらキャラクターのうち,「COZY」図形は,遅くとも2010年7月28日には原案が存在し,同年8月20日には最終案としての現行のキャラクターデザインが完成されている(甲4)。加えて,「SUZY」図形及び「JEFF」図形についても,表参道ヒルズ店の1周年記念における発表に間に合うよう開発された(甲5,6)。
(3)申立人は,上記(2)の仮想のロックバンド及びその図形を,表参道ヒルズ店の1周年記念パーティー(2010年(平成22年)9月18日)において発表し,同時に,これらの図形をモチーフにしたTシャツの販売をした(甲3)。
(4)申立人は,表参道ヒルズ店の1周年記念以降も,同人の発行に係る「DARTIN BONAPARTO/2014・2015」パンフレットに,「Dartin Bonaparto」の文字よりなるブランドと共に上記4名のキャラクター図形を掲載した(甲2)。
(5)さらに,本件商標の商標権者は,「SUZY」図形(別掲3参照)についても,これと酷似した登録出願をし,登録を受けた(登録第5721176号商標 別掲4参照)。
3 商標法第4条第1項第7号該当性
(1)商標法第4条第1項第7号について
商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には,(ア)その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合,(イ)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも,指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反する場合,(ウ)他の法律によって,当該商標の使用等が禁止されている場合,(エ)特定の国若しくはその国民を侮辱し,又は一般に国際信義に反する場合,(オ)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合,などが含まれるというべきである(東京高裁 平成18年9月20日判決 平成17年(行ケ)第10349号)。
(2)これを本件についてみるに,上記2の事実によれば,申立人は,我が国有数の商業地区である表参道ヒルズにおいて約6年にわたり被服の販売を展開してきたこと,その販売に係るTシャツ等には,申立人が従来よりブランドのキャラクターとして「MICK」図形を使用してきたが,表参道ヒルズ店の1周年記念がおこなわれた2010年(平成22年)9月18日からは,前記「MICK」図形に加え,「COZY」図形,「JEFF」図形及び「SUZY」図形も使用するようになり,その後,これらのキャラクター図形は,申立人のパンフレットにも掲載されるようになったことが認められる。
これより,上記キャラクター図形は,遅くとも本願商標の出願前の2010年(平成22年)9月18日から,第三者においても目にすることが可能な状況になったといえる。
本件商標は,別掲1のとおりの構成よりなるものであるところ,本件商標と,別掲2の申立人がその業務に係る被服について本件商標が出願される以前より使用している「COZY」図形とを比較してみると,陰影のみよる描写方法,描かれた男性の顔,髪型,服の襟の部分の形及び光の部分と陰の部分の位置や形など独創性を有する特徴が同一といえるほどに酷似していることからすると,本件商標と申立人による「COZY」図形の構成とが,細部の特徴に至るまで偶然に一致したとは到底考えられない。
さらに,本件商標の商標権者は,「COZY」図形だけでなく,申立人の4人のキャラクター図形のうちの「SUZY」図形についても,これと細部の特徴まで酷似した図形商標を登録出願し,登録を受けたことを併せ考慮すると,本件商標の商標権者は,本件商標の登録出願時において,未だ「COZY」図形が商標登録されていないことを奇貨として,商標権の譲渡による不正な利益を得る目的あるいは申立人に損害を与える目的などの不正の目的をもって,「COZY」図形と酷似する構成よりなる本件商標を登録出願し,登録を受けたものと推認せざるを得ない。
これより,申立人に係る独創性を有する図形と酷似する商標を剽窃し,申立人が当該図形を使用する商品を含む指定商品について,自己の商標として登録出願する本件商標の商標権者の行為は,登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当するというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。
4 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第7号に違反してされたものである。

第4 商標権者の意見
審判長は,上記第3の取消理由に対して,期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが,商標権者は,何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断
本件商標についてした上記第3の取消理由は,妥当なものと認められるものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから,その他の登録異議の申立の理由について判断するまでもなく,同法第43条の3第2項により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標


2「COZY」図形(甲第4号証 第1葉)


3「SUZY」図形(甲第5号証 第1葉)


4 本件商標権者所有の登録第5721176号商標


異議決定日 2016-03-16 
出願番号 商願2014-55811(T2014-55811) 
審決分類 T 1 651・ 22- Z (W1825)
最終処分 取消 
前審関与審査官 深田 彩紀子 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 早川 文宏
前山 るり子
登録日 2014-11-28 
登録番号 商標登録第5721171号(T5721171) 
権利者 塩崎 裕也
代理人 吉澤 大輔 
代理人 秋元 輝雄 
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